第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.経営理念

誠実(Sincerity)に生き

情熱(Passion)を持って仕事をし

親切(Kindness)な対応ができる

企業人の集団

 

2.経営方針

(1)持続可能な収益力の維持、伸長

①最重要経営指標は売上高営業利益率(連結)としており、当期は4.8%となりました。

②自動車業界の変革の波(EV化/CASE)に対して、SPKの経営理念の下、しっかりと対応できる人材の育成と新しいビジネスモデルや商品の開発、販路の深掘りにチャレンジしてまいります。

 

(2)積極的な株主還元の実施

①ステークホルダーへの感謝の気持ちを念頭に、「理念経営」を実践して、業績に連動した積極的な株主還元を実施します。

②当期(2024年度)末配当は32円配当となり、通期では60円配当になります。

 過去の実績は以下のとおりです。

   年 度

02

03

04

05

06

07

08

09

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

 配当(円)

30

32

34

37

40

43

47

49

51

53

55

57

59

61

63

65

67

72

37

40

44

50

60

 当社は、2020年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を実施しております。2019年度末以前の配当については当該株式分割前の実際の配当金の額を記載しております。

③次期(2025年度)の配当は中間5円、期末3円増配し、通期で8円増配の68円の配当を予定しております。これが実現しますと実質28期連続の増配となります。

 

(3)経営の深化

①将来のさらなる成長を目指し、中期経営計画「UPGRADE SPK!」では、経営基盤の強化を主眼とし、経営資源の適切な配分を意識した取り組みを進めます。

②人的資本・ESG経営を重点取組とし、サステナブル経営を実践します。

③資本コストの最小化を意識した経営を行います。

④中長期的な企業価値向上のインセンティブとなる譲渡制限付株式報酬制度を導入しました。

 

3.経営環境

当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済環境は、雇用・所得環境が改善する中、長期化する不安定な国際情勢、原材料・エネルギー価格の高騰、物価上昇、急激な為替変動、米国経済政策動向などにより世界経済への影響が懸念されており、先行き不透明な状況が続いております。

しかしながら、当社グループは100年を超える歴史を有しており、その中で培ってきた下記のような経営資源や競合他社にはない競争優位を活用し、当該経営環境を乗り越えてまいります。

 

国内営業本部は全国1,000社の自動車部品商を通じ、メーカー・モデルを問わず、あらゆる国産車・輸入車を対象に、補修部品・用品を供給しており、そのために、札幌から沖縄まで全国19箇所の営業拠点を配置し、国産だけでも3万点を超える部品の在庫品揃えをもって、お客様の要望には即時に応えられる体制を整えています。また、輸入車部品に関しては大阪・東京の外車業務部を軸に、海外調達部品の流通を行っています。

また、日々変貌するアフターマーケットの環境に適応し、市場に新たな付加価値をもたらすために、商品企画部門を国内営業部に統合し商品開発に積極的に取り組んでいます。開発は機能部品を中核に据えつつも、付加価値の高い電子部品や、車載コンピューター診断機等、整備市場の発展に不可欠な製品・システムも合わせて販売しております。

海外営業本部は世界の日本車市場に向けて自動車部品の輸出を行っております。創業以来培ってきた自動車整備・補修部品販売のノウハウを生かし、80ヵ国・250社以上の顧客に高品質な製品・サービスを提供しています。また、シンガポール・マレーシア・タイ・中国・オランダ・米国に現地法人を構え、より地域に密着したサポートや商品開発を積極的に推進し、多様な市場ニーズへの対応を実現しています。

カーメーカーの生産拠点のグローバル化に伴い、世界の日本車市場は拡大の一途をたどっておりますが、この時代の変化に適応すべく、独自のグローバルネットワークを生かして更なるサービス向上に邁進しています。

工機営業本部は建設車輌をはじめ農業車輌やフォークリフト等の産業車輌を生産する大手メーカー様向けに生産材・部品を供給しています。

主たる取扱商品は、多機能ディスプレイ等電装部品、統合スイッチ・ダイヤル等機構部品から各種ランプ・フィルターまで幅広い商品群を備えるとともに、特に環境と安心安全分野に注力し、パートナー企業と電動化、コネクト、自動省人化商品の提案・開発を推進しております。

グローバルに展開するビジネスに歩調を合わせ、グローバル調達比率を増やしながら提案営業を実践し、環境負荷の低減、作業環境の高効率化、事故の無い安心安全社会の実現に向け邁進しております。

CUSPA営業本部はカスタマイズドパーツ、モータースポーツ関連の商品を中心に、自動車メーカー、カスタマイズブランドメーカー、自動車用品卸商、自動車用品量販店、カーディーラー、専門店等へPB品、NB品、及びOEM品を供給しています。

難しい市場環境下ではありますが、総輸入権や独占代理権の獲得、新規事業の立ち上げ、さらに大型買収により株式会社ブリッツを子会社として迎え、新規商材の投入など強みを磨きつつ市場の環境変化に柔軟に対応、取扱商品・販路の拡大や新規チャレンジを絶えず継続しながら事業推進しています。

 

4.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、2021-2023年度中期経営計画(1st Cycle)では、売上、利益ともに2020年度比1.5倍の成長を達成しました。また2nd Cycle(2024年~2026年)3か年中期経営計画の初年度も当初計画を超過する業績となりました。しかし、急激な成長の結果、組織体制の課題や人材不足が浮き彫りになってきており、引き続き増収増益をしっかりと果たしながら、経営基盤の強化を図る予定です。事業においても、引き続き国内外の変化の激しい市場環境にも機動的に対応し、顧客ニーズを的確に捉えてまいります。

国内営業本部では、車検整備による消耗部品の交換需要が一定量見込める一方、電動化の進展や自動車の利用形態の変化など自動車業界の100年に1度の大変革期と言われております。このような市場環境においても、顧客ニーズに合う自社ブランドの拡充や供給サービスを充実化、また物流改革、拠点エリアの再編やシステム改修による業務効率化を進めることで、さらなる事業強化を図ります。

海外営業本部では、保有車両台数増により補修部品需要が拡大し続ける海外市場で、円安も追い風となった旺盛な受注に支えられて期初より販売は好調に推移しました。足元では、矢継ぎ早に発表される米国関税政策の不確定さにより、各国の経済への悪影響が懸念されますが、そのような状況の中でも、当社のグローバルなネットワークを駆使し、新たに強化する地域を増加し、事業領域も拡大を図ることと共に、状況に応じて迅速な対策を講じることでリスク回避を図りながら、事業の拡大を目指します。

工機営業本部では、北米での需要減少及び欧州での景気低迷を背景に、主要顧客における減産傾向が顕著となり現在も継続している状況にありますが景気回復や顧客での増産に期待するのみならず、新しい市場や商材の開拓を継続しております。既存事業の強化に加え新たな市場・商材・顧客の開拓を継続して推し進め、安心・安全性能を向上させる製品開発に取り組むことで更なる成長を目指します。

CUSPA営業本部では、円安の進行により輸入仕入コストが上昇し、あわせて原材料価格や物流費の高騰も重なったことで、販売活動に多大な影響を受けました。こうした厳しい環境の中で、主要ブランドにおける価格戦略および流通体制の見直しを行うと同時に、大型買収により株式会社ブリッツを子会社として迎え、国内外で同社との協業を通じて連結収益増を目指す体制作りを構築しました。今後も、為替動向や市場環境を注視しながら、主要商品の安定供給に努めるとともに、グループ各社との連携を強化しさらなる事業成長を目指してまいります。

このような状況下における当社グループの課題は、自動車補修部品・建機・産業車輌部品の供給というライフラインを守ることであり、この不透明な環境の中での財務上の課題は手元流動性と経営の安定性を高めることであり、かつ成長事業分野への投資資金の確保であります。そのため当社では、さらなる成長に向けた資金調達も視野に入れて、活動してまいります。

 

5.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループにおいて重要と位置付ける経営指標は、売上高営業利益率です。当連結会計年度の売上高営業利益率は、株式会社ブリッツの大型買収やシステム投資などもありましたが4.8%となりました。引き続き、当該指標の水準が維持されるよう取り組んでまいります。

また、今後は資本効率を重視すべく、ROE(自己資本利益率)を重要指標とし、現在の10%の水準を維持、向上してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

当社は、経営理念である「誠実(Sincerity)に生き、情熱(Passion)を持って仕事をし、親切(Kindness)な対応ができる企業人の集団」を中核に据え、設立以来100年以上にわたり、近江商人の精神である「三方よし、始末して気張る、進取の気性」を経営方針として受け継いでまいりました。特に「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」の考え方は、現代のサステナビリティ経営に通じるものであり、当社の持続的な価値創造の根幹となっております。

当社は、企業としての利益のみならず、株主、投資家、取引先、社員など、あらゆるステークホルダーの信頼に応え、社会全体に対して貢献する企業であり続けることを目指しています。そのため、持続的な企業価値の向上に向けた「サステナビリティ経営」を重要な柱と位置づけております。

2024年度においては、ESG推進室を新設し、当社およびグループ会社の従業員をメンバーとするESG推進コミッティを通じて、ESGに関する理解の促進、課題の抽出、及び取り組みの方向性の検討を行いました。その結果、当社本体においては、抽出された課題に対する具体的な対応策について、次年度に向けた準備を開始しております。グループ会社においては、コミッティで得られた知見や考え方を各社に持ち帰り、社内への浸透を図る活動を実施いたしました。

 

(1)サステナビリティ全般

① ガバナンス

当社は、サステナビリティに関する方針の策定および推進体制の強化を目的として、コーポレート統括本部内に「ESG推進室」を設置しています。ESG推進室は、代表取締役の指揮のもと、経営会議および取締役会と連携しながら、全社的なESG戦略の立案と実行を担っています。

また、同室はコーポレート統括本部の機能を活かし、国内・海外・工機・CUSPAの各営業本部およびグループ会社と密接に連携しながら、ESG課題への対応を統括的に推進しています。重要事項については、経営会議での審議を経て取締役会に報告・付議され、経営層による意思決定のもとで実施されています。サステナビリティに関する最終的な責任は取締役会が負っており、その監督責任は社内外の取締役によって担保されています。

2024年度には、サステナビリティ経営の高度化と全社的なガバナンス強化を目的として、以下のような体制整備と運用を進めました。

まず、2024年4月1日付で「ESG推進室」を新設し、同年6月には全国の拠点から選出された15名による「ESG推進コミッティ」を発足。コミッティは各本部や営業所、グループ会社の従業員で構成されており、月に1回の定例会議を行っております。この定例会議では、現場の視点を活かし事業継続の観点から重要な課題の抽出、マテリアリティ(重要課題)の特定、リスクと機会の定量分析を実施しました。

ESG推進コミッティで行った議論内容を、ESG推進室が主体となって情報をまとめ、経営会議において精査された後、取締役会に付議され、最終的な意思決定がなされるというプロセスを行っております。現場から経営層、そして取締役会へとつながるこの一連の流れは、当社におけるESG経営の実効性を高める大きな一歩となりました。さらに、管理部門を統括する「コーポレート統括本部」が、全社横断的な課題解決、経営管理、リスク管理体制の構築を推進しており、ESG推進室は同本部内に編成されています。

 

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② 戦略

当社は中期経営計画「VISION2030」において、「サステナブルな低炭素社会への貢献」および「多様な人材が活躍するグローバル企業の実現」を重要な柱として掲げております。この方針は、当社のサステナビリティ戦略と完全に整合しており、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の各領域において、持続可能な企業価値の創出に向けた具体的な取り組みを推進しています。環境面では、TCFD提言に基づくシナリオ分析を通じて、気候変動に起因する物理的・移行的リスクを評価し、再生可能エネルギーの導入や温室効果ガス排出量の削減、BCP(事業継続計画)の整備などを進めています。これらの施策は、2050年までにGHG排出量実質ゼロを目指す長期目標、および2030年までの中間目標と連動しており、KPIの設定と進捗管理を通じて実効性を確保しています。

社会面では、人的資本を中長期的な競争力の源泉と位置づけ、従業員の成長と働きがいの向上を重視しています。ESG推進体制のもと、現場の声を反映したマテリアリティの特定を行い、人材育成、柔軟な働き方、ダイバーシティ推進、安全衛生の強化など、多面的な施策を展開しています。これにより、従業員エンゲージメントの向上と人材の定着を図り、企業の持続的成長を支える基盤を構築しています。

今後も当社は、「VISION2030」の実現に向けて、サステナビリティ経営を経営戦略の中核に据え、全社一丸となって取り組みを深化させてまいります。

 

マテリアリティの特定とプロセス

2024年度、当社はサステナビリティ経営の実効性を高めるため、全社的なマテリアリティ(重要課題)の特定プロセスを実施しました。これは、同年4月に新設された「ESG推進室」と、6月に発足した「ESG推進コミッティ」による主導のもと、全社横断的な体制で進められました。コミッティは、各本部や営業所、グループ会社の従業員から選出されたメンバーで構成され、現場の視点を活かしたボトムアップ型の議論を通じて、事業継続や企業価値向上の観点から重要な課題を抽出。経営方針である「三方よし」の精神を基盤に、今後の中長期的な成長に向けた課題を深掘りし、マテリアリティの特定に至りました。特定された課題は、ESG推進室から経営会議に報告され、経営層による検討を経て、最終的に取締役会にて審議・決議されました。なお、2024年度における活動の成果としては、マテリアリティの特定に加え、それらに基づき取り組むべき活動の洗い出しまでを実施した段階であり、現在は次年度以降の施策展開に向けた準備を進めております。今後はこれらのマテリアリティを指針として、具体的な施策を展開し、指標を設定のうえ、定期的に進捗と成果を評価・見直してまいります。

 

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サステナビリティについての講義

外部アドバイザーを招き、ESG推進コミッティメンバーに向けてサステナビリティについての講義及び気候変動や人的資本に関する考え方の講義を行い、メンバー全体での知識レベルの統一を行いました。

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課題の洗い出し

ESG推進室とコミッティメンバーと1on1を設け、メンバー個人や所属部署での課題の洗い出しを行いました。また、GRIやSASB等を基に課題の抽出を行い、メンバーからのヒアリングと合わせて課題の洗い出しを行いメンバーに共有しました。

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定量分析

各課題に対して、事業へのインパクトの定量分析を行いました。定量分析に際して、シナリオ分析を行い、1.5℃、3℃、4℃シナリオの3種類のシナリオを設定し、課題に基づくデータの収集を行い、近い将来に発生する事業インパクトの算定を行いました。

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妥当性の確認

定量分析結果をコミッティメンバーに共有を行い、定量分析のロジックの確認や妥当性の確認を行いました。確認が取れなかったものに関しては、再度分析を行いメンバー全員の理解を得られる形まで落とし込みました。

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経営レベルで承認

ESG推進コミッティで行ったマテリアリティの洗い出し~定量分析までを経営層に向けて説明会を実施しました。

 

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③ リスク管理

当社は、持続可能な企業価値の向上を図るうえで、リスク管理を経営の重要課題と位置づけ、全社的な体制整備と運用強化を進めております。

2024年度には、コーポレート統括本部を中心に、事業継続、環境対応、人的資本、コンプライアンス等の多様なリスクを網羅的に把握・評価する体制を構築しました。特に、ESG推進室およびESG推進コミッティを通じて、現場からの課題抽出を起点としたボトムアップ型のリスク発見から評価・報告する体制を構築しました。今後も、リスクの変化に柔軟に対応できる体制を維持・強化し、取締役会による監督機能の下、全社的なリスク管理の高度化を推進してまいります。

 

④ 指標及び目標

当社として、重要課題としている「気候変動」と「人的資本」において、指標及び目標を設定し、次項以降で示す目標に向けて取り組むこととしております。

 

(2)気候変動に関する取組み

① ガバナンス

(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」にて記載のガバナンス体制で対応に取り組んでいます。

 

② 戦略

当社グループは2030年に目指す姿「VISION2030」で「モビリティビジネスのグローバル商社」となることを掲げ、国内経済の動向や環境・人的資本などへの社会的要請、更には自動車業界や株式市場といった当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化する中で、変革に取り組んでおります。こうした変化の中で当社は、環境問題が自社に及ぼす影響について定量分析やシナリオ分析を行い、それを非常に重要な課題と位置づけています。気候変動に伴う社会の変化に対しては、対策を講じるとともに適応を進め、レジリエンスを高めることで、持続可能な企業価値の創出を目指しています。

2024年度は、TCFDの提言に基づくシナリオ分析を通じて、物理的・移行的リスクの評価を実施しました。

 

③ リスク管理

当社は、気候変動に起因する物理的・移行的リスクを経営上の重要リスクと捉え、TCFDの枠組みに基づき、ESG推進室およびESG推進コミッティを中心にリスクの特定・評価を実施しています。特定されたリスクは、経営会議にて審議された後、取締役会に付議され、対応方針が決定される体制を構築しており、現場から経営層、取締役会まで一貫したガバナンスのもとでリスク管理を行っています。

 

環境(E)に関する取組:気候変動への対応

当社グループは、「気候変動」を経営の重要課題の一つと位置づけ、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークに基づいたシナリオ分析を実施し、リスクと影響度を定量的に評価しました。特に、以下のような施策に取り組んでおります。

・温室効果ガス排出量の可視化と削減努力

再生可能エネルギー導入に向けた計画立案を進め、排出量の定期的な把握と削減を推進。

・エネルギー効率の向上

各営業所および倉庫の照明をLEDへ切り替えるなど、電力使用量の削減施策を実施。

・BCP(事業継続計画)の整備

自然災害による流通への影響を評価し、在庫管理体制の強化を通じたリスク軽減策を検討。

・環境配慮型商品のニーズ調査

環境に優しい品のリビルド動向を調査し、ラインアップの拡充に向けた準備を開始。

なお、本社および営業所で使用する電力については、再生可能エネルギーへの段階的な移行を検討中です。

 

物理リスク: 事業所ごとのリスクを分析:

当社では、気候変動に伴う水害リスクに関するシナリオ分析を実施するにあたり、国土交通省が公表する「浸水マップ」等の公的資料を活用し、事業所周辺の洪水リスクを評価しました。具体的には、対象地域の浸水可能性、被害率、在庫額等を組み合わせることで、想定される損失額を算出しております。なお、本分析においては、IPCCやIEA等の国際機関が提示するシナリオ(SSP、RCP、STEP等)ではなく、国内の信頼性の高い公的データに基づくローカルリスク評価を採用しております

≪参考資料≫

国土交通省:https://suiboumap.gsi.go.jp/ShinsuiMap/Map//?x=138.71337890625003&y=35.35321610123823&z=5

 

 

当社グループのリスク・機会の概要と事業及び財務への影響は以下の通りです。

リスク・機会

概要

シナリオ分析

事業及び財務への影響

1.5度

3

4

環境・気候変動関連

リスク

移行リスク

政策規制

国内及び海外の炭素税導入やカーボンプライシングへの取り組み強化

直接・間接コストの増大

市場

ガソリン車の販売規制によりEV化への加速が想定されるが、それに伴い部品点数の大幅減や既存品からEV/CASE商品へのシフトを迫られる可能性がある

売上減や研究開発費の増大

排出ガス抑制への活動が投資家などに不十分と捉えられた際のレピュテーションリスク等

マーケット対策費などの増大

気候変動に伴うマーケットの変化や消費者意識の変化による原材料の高騰

原材料高騰に伴い、車離れの加速による需要の減少

物理リスク

急性

気候変動に起因する自然災害による倉庫・事業所の損害、商品毀損

甚大な気候災害により事業者や倉庫への被災による営業停止や商品毀損

慢性

気候変動に起因する夏場の熱中症等のリスクや感染症の罹患による倉庫・事業所の機能不全

慢性的な極端な気候による倉庫の労働環境の悪化

機会

市場

商品・サ|ビス

グローバルな事業展開の下で、EV/CASE用の商品・サービスやリビルト・リサイクル部品の活用の需要が高まることが想定される

輸送コストが増大している中、部品をリビルトし日本国内で生産することで価格を抑えた商品の開発

凡例:小:5億以下  中:5億以上10億以下  大:10億以上

 

 

④ 指標及び目標

本年度の、Scope1およびScope2の算定は以下の通りです。

 

(a)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標及び目標について

イ.Scope1・2のGHG排出量削減目標

当社は1.5℃シナリオの実現に向け、目標年である2050年度に連結ベースでのGHG排出量(Scope1・2)の実質ゼロを目標として掲げております。また、中間目標として2030年度には2021年度(基準年)のGHG排出量1,326.02t-CO2の22.5%に当たる298.35t-CO2の削減を目指しています。

 

ロ.実績並びにその他の指標

当社は、温室効果ガス(GHG)排出量について、Scope1(直接排出)およびScope2(間接排出)を対象に、「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」に基づきマーケット基準にて算定しております。2024年度のGHG排出量実績は以下のとおりであり、事業活動において使用する電力に占める再生可能エネルギーの使用実績および比率についても併せて開示しております。

 

Scope1・2のGHG排出量実績並びに事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー使用実績および比率

 

 

(単位:CO2換算トン)

 

基準年度

2021年度(*1)

実績

2024年度(*1)

Scope1

 

1,016.92

Scope2

 

650.28

Scope1 + Scope2

1,326.02

1,667.20

再生可能エネルギー使用実績

4.29MWh

(0.31%)(*2)

43.2MWh

(2.8%)(*2)

(*1)連結対象の海外現法6社(売上比率18%)については、データ収集困難なため、本体単体の使用量から算出。

(*2)グループ消費電力量 2021年度:1,393.57MWh 2024年度:1,525.90MWh

 

(b)排出量削減に向けての主な取組状況と今後の課題

イ.主な取組状況

・2021年11月 近畿営業所の新築移転に伴い、太陽光パネル設置。また営業車としてEV1台導入

・2022年5月 東京営業所にEV2台導入。蓄電設備等を整えるとともに2023年2月に太陽光パネルを設置。(伊藤忠商事との協業による実証実験)

・2022年9月 名古屋営業所に太陽光パネル設置。同営業所は本件によりNearly ZEBの認証を取得

・2023年9月 竣工の新本社ビルについては、省エネ設備を駆使しZEB READYを取得

・2023年11月 広島営業所において、倉庫をLED照明に切替

・2024年3月 札幌営業所において、LED照明に切替

・2024年度、各営業所は、蛍光灯の交換時にLED照明へ切替えを徹底

 

今後、営業所などで使用しているガソリン車を先進環境対応車に順次入れ替えていきます。

また、電力プランも再生可能エネルギーを利用するものに見直すことを検討していきます。

 

ロ.Scope3の取組等について

リビルト、リサイクル事業者との協業等を進め、商品ライフサイクルにおけるGHG排出量削減を目指します。また一部の商品で用いられているプラスチックボトルの削減、代替品の活用等についても検討を進めてまいります。なお、上記以外のScope3の取組や算定等については今後、検討していく予定です。

 

(3)人的資本への対応

当社グループは、人的資本経営を重要課題と定め、全社的に取り組みを強化しています。経営理念である「誠実(Sincerity)に生き、情熱(Passion)を持って仕事をし、親切(Kindness)な対応ができる企業人の集団」は、まさに人づくりが事業基盤となるため、従業員一人ひとりの個性や能力を最大限に引き出し、働きがいをもって活躍できる人材育成と社内環境の整備に取り組んでいます。

すでに人事制度の見直しや業績評価制度の導入など各種制度の整備を進めていますが、今後は、育成面やインセンティブの充実、労働環境の改善、従業員の健康増進、キャリアアップ支援など施策を進めながら、従業員のエンゲージメントを高めてまいります。それによって、生産性の向上、リテンション効果、顧客満足度の向上、収益性の向上など事業への好循環が図れるものと見ております。

 

① ガバナンス

(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」にて記載のガバナンス体制で対応に取り組んでいます。

 

② 戦略

当社グループは2030年に目指す姿「VISION2030」で「モビリティビジネスのグローバル商社」となることを掲げ、国内経済の動向や環境・人的資本などへの社会的要請、更には自動車業界や株式市場といった当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化する中で、変革に取り組んでおります。

こうした変化の中で当社は、人的資本を中長期的な競争力の源泉と位置づけ、従業員の成長と働きがいの向上を通じて、持続可能な企業価値の創出を目指しております。

2024年度には、ESG推進室およびESG推進コミッティを中心に、現場従業員との1対1ヒアリングを実施し、労働環境、人材育成、安全衛生等に関する課題を抽出。これらの意見をもとに、経営層との協議を経て、人的資本に関するマテリアリティを正式に特定しました。

2024年度に特定した人的資本に関する重要課題を今後、対策や改善に努め社員や従業員の風通しがよい働きやすい環境整備を行い、「モビリティビジネスのグローバル商社」へと変革を行ってまいります。

 

③ リスク管理

当社は、人的資本に関するリスクを中長期的な経営課題と捉え、従業員の確保・育成・定着、労働環境の整備、多様性の推進等に関するリスクを体系的に管理しています。

2024年度には、ESG推進室およびESG推進コミッティを中心に、現場ヒアリングを通じて人的資本に関する課題を抽出し、経営会議での審議を経て、取締役会にてマテリアリティとして正式に特定しました。これにより、現場と経営層が連携したボトムアップ型のリスク管理体制を構築しています。

リスクは、定期的にESG推進体制を通じてレビューされ、必要に応じて経営会議および取締役会に報告されることで、継続的な改善とガバナンスの実効性を確保しています。

 

リスク種別

想定されるリスク

管理・対応策

働き方改革の推進

労働生産性の低下、従業員満足度の低下

育児介護時短対象年齢の拡張、柔軟な勤務制度の導入

採用強化/人材育成・確保の強化

人材流出、スキルミスマッチ

社内キャリアコンサルタント体制の整備、採用基準・スキル要件の見直し、教育プログラムの充実、人材確保戦略の策定

ダイバーシティの促進

人材確保の困難化

多様な人材の活躍を支援する社内イベントやネットワーク形成の推進

労働環境の改善

気候変動による労働環境の過酷化

空調設備の見直し、熱中症対策など、安全・健康に配慮した職場づくり

これらの施策は、従業員のエンゲージメント向上と人材の定着・活躍を促進し、企業の持続的成長を支える基盤として位置づけられています。

 

 

④ 指標及び目標、実績について(*1)

目的

指標

目標

2026年度

実績

(項目)

2023年度

2024年度

ダイバーシティ

管理職に占める

女性従業員の割合

10.0以上

5.8%

7.8

女性社員比率

30.0以上

21.9%

23.8

男性従業員の

育児休業取得率

50.0以上

40.0%

20.0

外国人社員比率

1.4%

2.3

障がい者雇用率(*2)

2.70

2.35%

2.49

人材育成

総研修費用

10,000千円

9,208千円

8,270千円

従業員

エンゲージメント

サーベイ結果(*3)

75.0以上

66.6

65.8

従業員持株会入会比率

90.0以上

84.1%

81.5

離職率(*4)

8.0以下

9.1%

7.1

健康・安全

平均残業時間(*5)

15.0時間

20.3時間

19.8時間

有給休暇取得日数

15

9.7日

9.1

ガバナンス

コンプライアンス研修受講率

100

100

(注)*1.当社においては、指標についての具体的な取り組みを進めているものの、連結グループすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、上記指標については、提出会社の実績及び目標を記載しております。

*2.障がい者雇用率は厚生労働省宛の「障がい者雇用報告書」に基づく実績(6月1日時点)を記載しています。

*3.インソース社による「エンゲージメント診断」において、従業員エンゲージメントの状態を示す主要6項目の平均値

*4.離職率は常用労働者を対象にしています。

*5.平均残業時間は管理職を除く正社員を対象にしています。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断しております。

 

(方針及び体制)

当社グループは、リスクを適切に管理することは、企業価値を継続的に高め、社会的責任を果たすために、極めて重要な経営課題であると認識しております。従来、経営者や各事業責任者が、事業運営の中でリスク感度を高くし、リスクが高まれば、即時対応を行う体制をとっております。

現在、これまでよりもさらに予防的な対応を図り、全社的なリスク認識を共有するため、コーポレート統括本部内の法務・リスクマネジメント課により、各本部と連携しながら当社が直面しうるリスクの抽出を行ってリスクヒートマップを作成しております。また、重要課題に対応すべく、情報システム・セキュリティ管理規程や個人情報保護規程の策定、秘密保持契約書のひな型の整備、コンプライアンス研修を行う等、全社横断的なリスク管理の推進を図っており、今後も継続する計画としています。

 

(主要リスクの概要)

1.政治・経済情勢

当社グループは、世界80か国以上に事業展開しており、世界経済や海外の特定地域の固有の経済動向、特に、日本車保有台数の多いアジア、中南米等の開発途上国に幅広く展開していることから、当該国の政治並びに経済情勢の変化や為替変動の影響を受けます。

また、自動車業界の大変革期における市場環境の激変や自動車に対する意識変容等による影響が及ぶ可能性があります。

当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済環境については、雇用・所得環境が改善する中、長期化する不安定な国際情勢、原材料・エネルギー価格の高騰、物価上昇、急激な為替変動、米国経済政策動向などにより世界経済への影響が懸念されて先行き不透明な状況が続いており、不測の事態が起きるリスクがあります。

上記のように政治・経済情勢は国内外を問わず常に移り変わり、リスクは常にあるものと認識しております。

当社では、グローバルなネットワークを構築しており、逐次、情報が経営者や各事業責任者に入るため、各種会議体で、適宜対応について、議論、検討できる体制となっております。

 

2.マーケットの環境変化

自動車部品業界においては、環境規制や電動化、自動運転技術の進展による大きなマーケット環境の変化が生じており、当社グループの業績へ影響を与える可能性があります。国内の自動車保有台数の減少や自動車の電動化による補修部品の需要減少も予測されますが、現状、国内の自動車保有台数は直近の10年間で約230万台増加しており、早期の悪影響はないものとみております。しかしながら、上記マーケット環境の変化に伴う将来のリスクを軽減すべく、安定した事業基盤をさらに強化して生産性の向上に取り組むことで付加価値の高い商品や市場ニーズに合った新規商材の開発を行い、新規事業領域の開拓を引き続き行ってまいります。

また、完成車メーカーの海外現地生産台数増加によって、当社の輸出の減少が懸念されるものの、海外事業等の市場の成長力の見込まれる部分については需要増を取りこぼすことなく国際情勢を注視しながら商権の強化を行い、また、当社グループの海外現地法人の調達・供給網を活用し、機会を捉えてまいります。

 

 

3.法令・規制、コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、事業の性質上、関連する法令・規制が多岐にわたり、会社法、税法、外為法を含む貿易関連諸法、個人情報保護法、不正競争防止法、独占禁止法、下請法、贈賄防止に関する法令、暴力団排除条例、海外事業に係る当該国の各種法令・規制等があります。また、国内外の行政・司法・規制当局等による法令の制定・改廃、社会・経済・環境・安全に向けた各種規制の変更の可能性もあり、早期に関係法令の改正情報を入手する必要があります。

当社グループでは、リスクの重要度に合わせた対策を行うことで法令順守を図っております。具体的には、法務支援サービスや反社チェックツールを活用して改正対応や法令違反防止策を講じ、個人情報保護法や不正競争防止法への対応として規程やひな型の整備を行い、コンプライアンス意識を持つ風土醸成のために顧問弁護士に当社専用のコンプライアンス研修資料作成・講義を依頼して全社員に受講させる等の対策を講じてまいりました。

上記対策を実施しながらコンプライアンスリスクに対する監視を続け、状況に合わせて回避、軽減、転嫁、受容の対応を考えてまいります。

 

4.海外での販売活動

当社グループは、海外での販売活動においては、各拠点での危機事象の発生や、テロ行為、金融危機によるカントリーリスクおよび新興国からの廉価商品との競争激化により、当社グループの事業展開や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。また、長期化する不安定な国際情勢、急激な為替変動、米国経済政策動向などによって先行き不透明な状況であり、リスクが顕在化した場合、状況によっては債権回収や事業遂行の遅延・不能等により損失が発生しかねず、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループのグローバルなネットワークや情報共有・議論の行いやすい社内体制を駆使し、各国における情報収集を定期的に行ってリスクへの迅速な対応を図ります。

 

5.取引先の減産による影響

工機営業本部では、建設車輌をはじめ、フォークリフト、トラクター等の産業車輌を生産する大手メーカー向けに組付け用の部品・部材を供給しており、これら建設車輌・産業車輌メーカーが減産に転じた際には当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

上記影響を軽減するため、当社グループでは取引先メーカーのニーズにあった車輌・部品について増産するだけでなく、国内外問わず新しい市場や商材、顧客の開拓、安心・安全性能を向上させる製品開発、品質管理機能の強化等に取り組んでおりますが、引き続き重要な課題として認識し、対応してまいります。

 

6.のれんの減損

当社は、企業買収に伴い発生したのれんを連結貸借対照表に計上しております。当該のれんについては将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、事業環境の変化等により収益性が低下した場合に、当該のれんについて減損損失を計上し、当社グループの事業展開や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

当社では、減損を未然に防ぐため、買収前はより緻密なデューデリジェンスを行い、企業価値を見極め、潜在的リスクに対する対応を模索しております。また、買収後はPMIを体系化し、デューデリジェンス残課題やシナジーの最大化を推進するためプロセスの明確化を図り、実行中です。

今後とものれんについては、少なくとも年に一度、あるいは減損の兆候が認められる場合はより頻繁に確認を実施し、対応してまいります。

 

 

7.危機事象発生によるリスク

当社グループは、全国19か所、海外にも10か所に拠点があり、これらの地域で地震や津波等の自然災害、停電、感染症、テロ、その他事業を中断すべき危機的な事象が生じた場合、当社グループの社員や各拠点の設備・システムへの被害による事業拠点の休業、サプライチェーンの寸断や顧客及び取引先の事業停止・休業などの事業活動の制限が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。

これらの危機事象発生に備え、感染症対策規程やBCPの策定、防災バッグを完備し、避難経路の掲示する等従業員の安全確保を最優先にリスクを軽減させる策を講じております。また、上記の通り、幅広く拠点を展開しているため、拠点間のバックアップ体制を整え、リスク回避、軽減に努めます。

 

8.情報システム・セキュリティに関するリスク

当社グループには小規模な海外拠点も存在し、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピューターウイルス侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、トラブルによるシステム停止等のリスクは常にありうるものと考えており、被害の規模によっては、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

情報システム・セキュリティ管理については当社が遵守すべき情報システムの導入、総合的な管理及び運用の取扱いに関する社内規程を、個人情報に関しては近年個人情報保護法が頻繁に改正されることに伴い現状に適した内容の個人情報保護規程を策定し、規程に合わせた管理体制の構築や、啓もう活動・アンケート調査による社員への周知をしております。

 

9.その他のリスク

上記以外にも事業活動を進めていく上において、様々なリスクが当社グループの事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、こうしたリスクに対して適切な対応を選択すべく、リスク管理体制の強化に取り組んでおります。適宜取締役会その他経営会議へ連絡・報告を行う体制をとっており、当社を取り巻くリスクをヒートマップ化して可視化しております。今後、発生時の影響を最小限に抑えるための対策をより強化すべく、制度構築を進めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済環境は、雇用・所得環境が改善する中、長期化する不安定な国際情勢、原材料・エネルギー価格の高騰、物価上昇、急激な為替変動、米国経済政策動向などにより世界経済への影響が懸念されており、先行き不透明な状況が続いております。

このような事業環境のもと、当社グループは2030年までにモビリティビジネスのグローバル商社を目指す「VISION2030」の2nd Cycle(2024 年~2026年)3か年中期経営計画の初年度を迎えました。北米及び欧州市場での需要減少の影響を受けた工機事業、円安などによるコスト上昇やカスタマイズ商品販売減となったCUSPA事業は苦戦を強いられましたが、市場での保有車両台数に支えられ安定した需要が見込める主力の自動車アフターマーケット補修部品関連について、国内は引き続き堅調に推移し、海外においても伸長する旺盛な需要を取り込むことができ増収を達成しました。大型の買収案件も実行することができ、国内外の子会社も連結収益に貢献し当初計画を超過する業績となりました。

その結果、当社グループ(当社及び連結子会社)の当連結会計年度の経営成績は売上高687億20百万円(前期比8.6%増)、営業利益33億11百万円(同5.3%増)、経常利益35億68百万円(同6.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益24億97百万円(同4.4%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(国内営業本部)

国内営業本部は、車齢の長期化による安定した補修部品の需要や自動車整備単価の上昇があり、主要顧客への販売が堅調に推移しました。商品別ではバッテリー、足回り商品、ワイパー、輸入車消耗部品などの主力商品の販売が引き続き好調を維持し前年を上回る業績となりました。また国内連結グループ会社の業績は、原材料価格の上昇や主要顧客での販売減の影響で苦戦もありましたが、フォークリフト用商品の販売は好調を維持しました。

その結果、売上高は309億33百万円となり、前年同期比3.7%の増収となりました。依然、業界内では人手不足やコスト増が続いていますが、物流改革、拠点エリアの再編やシステム改修による業務効率化を進めて対応してまいります。また取引先や各本部、グループ会社との連携を強化し、高度化された自動車の整備など、整備環境の変化に対応できるようバリューチェーンの構築に取り組んでまいります。

 

(海外営業本部)

海外営業本部は、保有車両台数増により補修部品需要が拡大し続ける海外市場で、円安も追い風となった旺盛な受注に支えられて期初より販売は好調に推移しました。米国の関税政策、金利動向や急激な為替変動など不透明感がさらに増してきましたが、第4四半期も大幅な受注の落ち込みもなく推移しました。サプライヤーからの納期長期化により積みあがった受注残も順調に売上に繋がりました。海外連結グループ会社では、米国法人が大幅に売上を伸ばし、連結業績に大きく貢献しました。

その結果、売上高は253億42百万円となり前年同期比13.5%の増収となりました。足元では矢継ぎ早に発表される米国関税政策の今後の影響が見通せず、顧客からは景気を不安視する声も聞こえております。日々変わる情報に感度を高くし、為替変動にも注視しながら、状況に応じて迅速な対策を講じてまいります。

 

(工機営業本部)

工機営業本部は、建機・農機・産業車輌メーカー向け部品販売を行っておりますが、北米での需要減少及び欧州での景気低迷を背景に、期中から主要顧客における減産傾向が顕著となり現在も継続している状況にあります。景気回復や顧客での増産に期待するのみならず、新しい市場や商材の開拓を継続しております。

その結果、売上高は77億80百万円となり、前年同期比1.2%の増収となりました。不透明な経済環境が続く見通しではありますが、既存事業の強化に加え新たな市場・商材・顧客の開拓を継続して推し進め、安心・安全性能を向上させる製品開発に取り組むことで更なる成長を目指します。また開発・品質管理機能の更なる強化を通じ「働く乗り物」社会へ貢献してまいります。

 

 

(CUSPA営業本部)

CUSPA営業本部は、円安の進行により輸入仕入コストが上昇し、あわせて原材料価格や物流費の高騰も重なったことで、販売活動に多大な影響を受けました。さらに、自動車メーカーによる新車の受注停止もあり、新車向けカスタマイズ商品の販売も苦戦を強いられる結果となりました。こうした厳しい環境の中で、主要ブランドにおける価格戦略及び流通体制の見直しを行うと同時に、メディア露出やSNSを活用したプロモーション施策を継続的に展開しました。さらに大型買収により株式会社ブリッツを子会社として迎え、国内外で同社との協業を通じて連結収益増を目指す体制作りを構築しました。

その結果、売上高は46億63百万円となり、前年同期比34.8%の増収となりました。今後も、為替動向や市場環境を注視しながら、主要商品の安定供給に努めるとともに、グループ各社との連携を強化しさらなる事業成長を目指してまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は期首に比べ9億4百万円増加(前連結会計年度は2億64百万円増加)し、当連結会計年度末には77億57百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は11億92百万円(前連結会計年度は18億35百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益36億49百万円と、売上債権の増加11億22百万円、棚卸資産の増加2億3百万円、仕入債務の減少3億11百万円、及び法人税等の支払額10億43百万円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、支出した資金は28億88百万円(前連結会計年度は17億97百万円の支出)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出20億35百万円、有形固定資産の取得による支出6億96百万円、無形固定資産の取得による支出2億22百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、獲得した資金は24億90百万円(前連結会計年度は1億67百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の減少3億24百万円、長期借入れによる収入55億50百万円、長期借入金の返済による支出21億37百万円、及び配当金の支払による支出5億53百万円によるものです。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績・受注実績

該当事項はありません。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

国内営業本部(千円)

24,705,017

102.7

海外営業本部(千円)

21,346,211

111.5

工機営業本部(千円)

6,538,931

97.8

CUSPA営業本部(千円)

3,510,921

132.9

合計(千円)

56,101,083

106.8

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

国内営業本部(千円)

30,933,920

103.7

海外営業本部(千円)

25,342,679

113.5

工機営業本部(千円)

7,780,910

101.2

CUSPA営業本部(千円)

4,663,356

134.8

合計(千円)

68,720,867

108.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)財政状態

流動資産は342億96百万円となり、前連結会計年度末と比較して36億71百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金の増加9億4百万円、受取手形及び売掛金の増加12億78百万円、電子記録債権の増加2億57百万円、及び棚卸資産の増加10億56百万円によるものです。固定資産は98億76百万円となり、前連結会計年度末と比較して18億59百万円の増加となりました。これは主に建物及び構築物(純額)の増加2億84百万円、土地の増加2億55百万円、のれんの増加5億3百万円、及び顧客関連資産の計上6億87百万円によるものです。

この結果、総資産は441億72百万円となり、前連結会計年度末と比較して55億31百万円の増加となりました。

 

流動負債は114億76百万円となり、前連結会計年度末と比較して7億42百万円の増加となりました。これは主に支払手形及び買掛金の減少4億23百万円、及び1年内返済予定の長期借入金の増加13億円によるものです。固定負債は56億33百万円となり、前連結会計年度末と比較して23億17百万円の増加となりました。これは主に長期借入金の増加22億41百万円によるものです。

この結果、負債合計は171億10百万円となり、前連結会計年度末と比較して30億60百万円の増加となりました。

 

純資産の部は270億62百万円となり、前連結会計年度末と比較して24億70百万円の増加となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益24億97百万円、剰余金の配当5億53百万円、及び為替換算調整勘定の増加4億円によるものです。この結果、自己資本比率は61.0%(前連結会計年度末は63.4%)となりました。

 

 

2)経営成績

売上高は、前連結会計年度に比べて54億18百万円増加(8.6%増)し、687億20百万円となりました。

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載している要因により、国内営業本部は11億11百万円増加(3.7%増)、海外営業本部は30億6百万円増加(13.5%増)、工機営業本部は95百万円増加(1.2%増)、CUSPA営業本部は12億5百万円増加(34.8%増)となりました。

営業利益は、前連結会計年度に比べて1億66百万円増加(5.3%増)し、33億11百万円となりました。売上高販管費率は前期比0.4ポイント増加し13.9%となりましたが、売上総利益率が前期比0.3ポイント増加し18.7%となったため、売上高営業利益率は前期比0.2ポイント減少の4.8%となりました。

経常利益は、前連結会計年度に比べて2億11百万円増加(6.3%増)し、35億68百万円となりました。

特別損益は、80百万円の利益(前連結会計年度は16百万円の損失)となりました。

法人税等(法人税等調整額を含む)は、前連結会計年度に比べて2億1百万円増加(21.4%増)し、11億44百万円となりました。

その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて1億5百万円増加(4.4%増)して24億97百万円となり、自己資本当期純利益率は(ROE)は9.7%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

キャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金は内部資金の活用を基本としておりますが、設備資金を中心とする事業の維持拡大のための資金として金融機関からの借入による調達も行っております。また、事業環境等の不測の変化に備え、流動性の確保のために金融機関には十分な借入枠を有しております。

当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績は売上高687億20百万円(前連結会計年度比8.6%増)、営業利益33億11百万円(同5.3%増)と増収増益となりました。売上については海外営業本部やCUSPA営業本部が大きく牽引しました。また、利益面につきましては経常利益、当期純利益とも増益となりました。しかしながら自動車補修部品市場は、車輌のIT化・自動運転化・HV/EV化による大きな変革が訪れつつあり、引き続き当社グループは進取の気性を持って柔軟に対応していくことができる人材の育成に注力してまいります。

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループにおいて重要と位置付ける経営指標は、売上高営業利益率であり、当連結会計年度は4.8%(前年同期比0.2ポイント減少)でした。引き続き、これらの指標が改善されるよう取り組んでまいります。

 

⑤セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

⑥重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。