第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社の社是には「何事にも無理なく、堅実に、しかも進取、独創、能率的に経営し、信用を第一におく」と謳っています。当社は、その「信用第一主義」の理念を守って、機械工具を取り扱う専門商社として日本の産業界の発展に貢献してまいりました。

近年、日本経済は激動の時代を迎えており、産業構造も大きく変化しております。産業構造の変化が進展するにつれて、各企業は構造変化に対応するために、自らの変革を求められております。当社は、いかなる経営環境下におきましても経営理念である「信用第一主義」を堅持し、経営の軸足は国内におきつつも、経済のグローバル化並びに市場のニーズの変化に対応する積極的な経営を進めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、経営指標として「ROE 8.0%以上、PBR 1倍以上」を目標に掲げております。ROE(自己資本利益率)の数値目標を継続的に達成し、企業価値を高めることで株式市場から適正な評価を受け、PBR(株価純資産倍率)1倍以上を達成することが必要であると考えております。いかなる経営環境下でもこの経営指標の達成ができる経営体質を目指しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、機械工具を販売する専門商社であります。戦後の激動期には“空気圧機器”販売を中心に展開し、近年では産業の製造現場における省力化・自動化の潜在的需要を先取し、産業用ロボット中心にFA機器に注力するとともに、最近では地球環境にも配慮した商品も提案することで、常に日本の産業界における設備投資効率の向上に貢献する“FAプランナー”としての地位を築いてまいりました。

これからも当社グループは、事業の継続的成長をめざし、“FAプランナー”としての優れた提案力を武器に、他社との差別化を図った付加価値の高い営業展開を進めてまいります。

中期経営計画「Next Stage 2028」については、当社ホームページを参照ください。

https://www.toba.co.jp/ir/management/management_02.html

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループを取り巻く経営環境を概観しますと、半導体市場は、生成AI関連の需要増加とそれに伴うデータセンターの能力拡張、DXの普及による設備投資需要等、今後底堅く推移していくものと想定しており、半導体及び半導体製造装置関連の得意先への販売は拡大していくものと予想しております。また、自動車産業におきましては、HVやADAS(先進運転支援システム)関連等、設備投資は堅調に推移していくものと予測しております。一方で、ウクライナ情勢等の地政学的リスク、原油・原材料価格の高騰、米国トランプ政権による関税政策や米中貿易摩擦等により景気の下振れが懸念され、先行きは不透明な状況であります。

このような事業環境を踏まえ、当社グループが中期経営計画「Next Stage 2028」に基づき産業の発展と地球環境に貢献する企業として成長するために優先的な課題は以下のとおりであります。

①技術革新が進む産業界において、当社業容の拡大できる新しい販売市場の開拓

②同業他社と差別化できる環境負荷の低い高付加価値商品の発掘

③人への投資による既存人材の成長と将来を担う感性豊かな人材の確保

④基幹システムの更新等による業務効率及び顧客満足度の向上

⑤激動する社会情勢に対応するためのコーポレート・ガバナンスの強化

当社グループは、以上の課題をサステナビリティにおける重要課題として認識しており、課題解決への取組を推進し、企業価値向上と持続可能な社会実現を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) サステナビリティ基本方針

当社グループは、中期経営計画で掲げている「目指すべき企業像」、「5つの企業理念(社是)」および「企業行動規範」に則り、製造現場の省力化・自動化を支える企業として、環境・社会・企業統治に配慮した事業活動を行うことで、持続可能な社会の実現に貢献します。

サステナビリティに関する考え方及び取組については、当社ホームページを参照ください。

https://www.toba.co.jp/company/sustainability.html

①ガバナンス

当社は、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。本委員会では、サステナビリティ基本方針に基づきマテリアリティ(重要課題)を抽出、特定を行い、課題解決への取組について検討しております。本委員会は管理本部にサステナビリティ委員会事務局を置き、気候変動に関するリスク管理を含む全社的なサステナビリティの取組の監督を行います。本委員会は四半期に1度開催され、重要事項については都度取締役会に報告しており、経営戦略の策定等について総合的な意思決定を行っております。

②リスク管理

四半期に1度開催されるサステナビリティ委員会において、全社的なあらゆるリスクについての検討を行い管理しております。また、当社では、気候変動によって受ける影響を識別・評価するために気候変動のリスクと機会を抽出すべく、サステナビリティ委員会において検討してまいります。サステナビリティ委員会において検討された事項及び決定の内容については随時、取締役会に報告しております。

 

(2) 気候変動への取組

当社グループは気候変動を当社事業へ大きな影響を及ぼす重要課題と捉え、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った情報開示を進めております。当社は、環境方針及びサステナビリティ基本方針を制定しており、地球環境の保全に全社員が全力で取り組むことが企業の使命と認識しております。製造現場の省力化・自動化を支える企業として、環境・社会・企業統治に配慮した事業活動を行い、当社グループの企業価値向上と持続可能な社会の実現を目指してまいります。

①ガバナンス

代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会において、気候変動に関する重要事項を随時討議し、取り組むべき課題の抽出及び課題解決のための推進、進捗管理を行っております。サステナビリティ委員会で協議した事項及び内容については随時、取締役会に報告しております。詳細は「(1) サステナビリティ基本方針」をご参照ください。

②戦略

当社グループはマテリアリティとして「CO排出量削減等、環境に配慮した商品の発掘と拡販」「生産性向上のための最適な商材、ロボットシステムの提案」を特定しており、日々の事業活動において環境付加価値の高い商材の発見や該当商材の拡販に努めております。年2回実施している営業所長会議において、マテリアリティ達成のための施策を討議すると共に、都度最新の情報を社内共有できる環境を構築しております。

また、気候変動による当社事業への様々なリスクと機会に対して、当社が今後長期に渡り存続・成長していくための対応策を検討及び実行していく必要があると考えております。抽出した対応策は当社の中期経営計画へ反映し、全社的に取組を推進してまいります。

③リスク管理

四半期に1度開催されるサステナビリティ委員会において、気候変動によって受ける影響を識別・評価するためのリスクと機会を抽出し、検討しております。また、サステナビリティ委員会において検討された事項及び決定の内容については随時、取締役会に報告しております。

当社グループは急激な気象の激甚化や中長期的な気候変動による物理的な影響(物理的リスク)と気候変動関連の緩和・適応要件に取り組むための政策や技術及び市場の変化による低炭素経済への移行による影響(移行リスク)を「気候変動関連リスク」と定義し、今後も定期的なリスク項目の見直し及びその対応策の検討を行い、新鮮かつ適切な情報開示に努めてまいります。

 

 

リスク項目

対応策と機会

移行リスク

・カーボンプライシング(炭素税等)の適用による製品仕入価格の上昇

・省エネ商材の需要拡大

・早期低炭素技術の導入によるエネルギーコスト削減、炭素税への事前準備

・再エネの購入及び設備投資の増加

・再エネの推進による当社Scope2の削減

・環境負荷低減商品の取扱いの遅れによる受注額の減少や取引停止

・充電ステーション等のインフラ整備不足による、EV導入後の活動範囲縮小(制限)

・環境負荷低減商品の開発推進及び拡販

・EVの普及拡大による半導体需要増加

・営業車のHVへの切替による当社Scope1の削減

・気候変動への対応の遅れや、情報開示不足による企業評価の低下(企業価値の毀損)

・社内サステナビリティ活動及び情報開示の推進

物理的リスク

・災害による、自社、サプライチェーン及び在庫商品等への直接被害

・輸送経路の断絶によるデリバリー被害

・オンライン対応の推進

・各営業所のBCP対策の強化

・各種保険への加入

・デリバリーの効率化推進と在庫管理形態の見直し

・平均気温上昇による従業員への健康被害

・社内空調をはじめとする従業員の働きやすい職場環境の整備推進

 

④指標及び目標

当社グループの事業活動は、気候変動により様々な影響を受ける可能性があります。当社グループが継続して安定的な事業活動を行っていくことはもとより、環境問題の解決に向けた積極的な取組みは企業としての社会的使命であると考えております。当社グループでは、温室効果ガス(CO)排出量削減のため、指標とする温室効果ガス(CO)排出量についてGHGプロトコルに基づきScope1~3の算定を行い、以下の様に中期的な目標を設定しております。

今後も温室効果ガス(CO)排出量のモニタリングを継続し、サステナビリティ委員会において削減に向けた具体的な対策及び取組について検討してまいります。

指標

中期目標

区分

内容及びカテゴリ

2023年度

GHG排出量

(t-CO2)

2024年度

GHG排出量

(t-CO2)

削減へ向けた取組

Scope1

燃料燃焼(ガソリン)

341

331

営業車の50%をHV車へ切替

Scope2

電気使用(電力)

196

194

事業所電力を100%再エネに切替

Scope3

カテゴリ1

41,304

49,731

① 環境負荷低減商品の拡充

  カテゴリ 1・11

 

② 廃棄物削減、輸送の効率化

  カテゴリ 4・5・9

 

削減に向けたサプライヤーとの連携強化

カテゴリ2

615

71

カテゴリ3

113

111

カテゴリ4

456

488

カテゴリ5

24

17

カテゴリ6

75

86

カテゴリ7

94

91

カテゴリ9

122

148

カテゴリ11

38,394

36,863

カテゴリ12

195

207

Scope3 計

81,392

87,813

 

Scope1~3 合計

81,929

88,338

 

 

(注)  上記指標の対象は連結会社であります。

 

 

(3) 人的資本・多様性について

当社は人財が企業にとっての重要な資産であることを認識しており、当社人権方針に則り、以下の方針を定めております。

①人材育成方針

当社は、人材を主に新卒採用で確保しており、中長期的な戦略に基づいた採用を積極的に行っております。今後の業績拡大や新しい事業展開への可能性を追求する上で、採用を強化し、安定的に人材を確保することが重要と考えております。その為、採用窓口を拡大し、幅広い分野から社内に異なる経験、スキル、知見、価値観等を持ち合わせた人材を、女性、外国人、中途採用を問わず採用できる体制の構築に取り組んでおります。人材育成については、社員教育テキストに基づき、カリキュラムに沿った教育研修を実施しており、役職とは別にスキルに応じた職能等級制度を構築し、各人の多様な能力を持続的に活用できる環境づくりに取り組んでおります。

②社内環境整備方針

当社の企業行動規範では、社員の自己実現への環境づくりとして、次の2つの規範を定めております。

・当社は、働くもの全員が明朗、勤勉、練達の社員であり、進取・独創・能率的に行動し、効率的な業務を遂行できるような安全で快適な職場環境の整備を行います。

・私たちは常に自己研鑽に励むとともに、資格制度にチャレンジし、職場が自己実現の場となるよう努めます。

上記の行動規範に基づき、当社は、2023年8月に健康保険組合連合会より当社の健康経営への取組が評価され「健康優良企業 銀の認定」を受けております。また、ワークライフバランスの観点から、有給休暇の取得推進と残業時間の削減、育児休暇後の社員に対しての時短勤務の適用等を推進しており、育児休暇取得率及び育児休暇後の復職率100%を維持できる体制を構築しております。このような取組により、当社は、2025年3月に女性活躍推進法に基づく「えるぼし」認定(2段階目)を取得いたしました。その他、当社は技術専門商社として必要なスキルを維持するための各種資格取得を推奨しており、取得後は社員に対して一定期間の資格手当の支給を実施しております。また、2016年2月より、従業員の長期的な業績向上や株価上昇及び長期勤続に対する意欲の高揚を図るとともに、中長期的な企業価値向上に資することを目的とした、従業員インセンティブ・プラン(従業員向け株式交付信託)を導入しており、社員のエンゲージメント向上を目指しております。

③指標及び目標

女性活躍の推進については当社の課題と捉えており、女性社員が自身の強みを活かして働ける組織を構築し、女性社員の勤続年数の長期化を目標においております。

■具体的な取組

 当社は女性活躍推進法に基づく行動計画を策定しております。

 行動計画:社員がその能力を発揮し、仕事と生活の調和を図り働きやすい雇用環境整備を行う

 計画期間:2022年4月1日~2027年3月31日までの5年間

 目標:女性労働者の平均勤続年数を現在の9.3年から10.5年にする。

 <対策>

 2022年4月~ 育児休業等の仕事と育児の両立支援制度について、全社員に周知する。また全管理職を対象に、制度及び支援の方法について研修を実施する。

        厳正な勤怠データの管理を行い、時間外勤務が多い部署への改善策を検討・実施する。

 2023年4月~ 全社的な交流会を兼ねたスキルアップ研修を定期開催し、業務上の問題解決や社員のエンゲージメント強化を図る。

当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

指標

目標

実績(当事業年度)

女性労働者の平均勤続年数

2027年3月まで10.5

9.7

 

(注)  上記の「指標及び目標」については、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。連結グループに属する全ての会社では現状、実績数値を集計しておりません。今後、連結グループ全社において、実績数値の管理及び集計を実施する予定であります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経済情勢の変化によるリスクについて

当社グループの得意先は、主としてデジタル機器、半導体、自動車・車載部品、医療機器、精密機器等の業界であります。当社グループはこれらの業界の設備投資向け機械工具等を供給しております。将来、経済情勢の変化によって同業界又は得意先の設備投資が激減する事態が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況は少なからざる影響を受ける可能性があります。当社グループは、収益基盤の強化のため、各種のコスト削減策を実施することにより、リスクの最小化に努めております。

 

(2) 信用リスクについて

当社グループは、得意先に対して信用供与を行っており、与信リスクを負っております。債権管理につきましては、取引開始時より、社内ノウハウ及び外部情報等を駆使して与信リスク回避に努めております。しかし、不測の事態により得意先の経営状況が悪化した場合には、保有する債権が回収不能となり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に少なからざる影響を与える可能性があります。

 

(3) カントリーリスクについて

当社グループは、海外において事業活動を行っております。当該事業活動を行う相手国及び当事国における政変や社会的混乱、又は予期しない政治・経済の制度変更等が起きた場合、事業活動そのものが出来なくなる可能性があり、当該事態が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を与える可能性があります。当社グループは、仕入先との連携強化を図るとともに、主要な海外拠点に現地法人を分散させて設立し、販売管理体制の強化を行うことにより、リスクの最小化に努めております。

 

(4) 環境に関するリスクについて

当社グループは、製造業の生産設備に必要となる制御機器、FA機器、産業機器を主軸にした機械工具及び装置を販売する専門商社です。利益創出型企業として、継続的に存在するために地球環境と調和のとれた企業活動の推進に努めています。環境に適合した企業活動を行うために、外部認証としてISO14001を取得するとともに、定期的に外部機関の監督を受けることによって、適合性の確保に取り組んでおります。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応として、当社における温室効果ガス排出量のモニタリングを実施し、削減に向け取り組んでおります。将来、当社グループの事業活動を行った過程で、環境汚染等が発生した場合や、温室効果ガス排出量削減に関する新たな規制等が施行された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、気候変動リスクの内容及びその対策については、「2[サステナビリティに関する考え方及び取組](2) 気候変動への取組」に記載のとおりであります。

 

(5) 情報漏洩に関するリスクについて

当社グループは業務に関連して、多数の情報資産を保有しております。このため、当社グループは情報管理規程を体系的に整備、運用することによって情報漏洩防止を図っており、さらに、全てのシステムに情報漏洩防止を目的としたセキュリティ対策等を講じております。しかし、不測の事態により情報が漏洩した場合には、当社グループは損害賠償責任を負う可能性があります。

 

(6) 法的リスクについて

当社グループの主たる取扱商品である制御機器、FA機器、産業機器等に関する法的規制について、今後改廃又は新たな規制が制定されることで、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、各種業界団体への加盟等により、必要な情報を的確に収集することにより、リスクの最小化に努めております。

 

 

(7) 人材確保と人材育成に関するリスクについて

近年、産業界の技術革新のスピードは著しく速く、当社グループの所属する機械工具業界における取扱商品も高精度化・多品種となり、それらを取り扱うためには専門的な知識が要求されます。こうした業界のニーズに対応するため、「人材確保」「人材育成」は重要な課題であります。当社では「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」をもとに、このような課題の解決に取り組み、市場環境の変化にも対応してまいります。しかし、これらの「人材確保」「人材育成」への対応が遅れた場合、同業他社との競合に劣後して、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 事業上使用する資産に関するリスクについて

当社グループは事業の遂行上、保有する土地・建物等の不動産及び什器備品等の動産を本社及び全国の営業所で使用するだけではなく、リース契約によって使用している資産も多数あり、いずれの資産に対しても最良又は最適な状態で十分に活用できるよう、必要な保守管理を行っております。しかし、地震や水害等の自然災害及び感染症の流行等の不測の事故が発生した場合には、財産的な損害ばかりではなく、正常な業務処理や活発な営業活動ができなくなり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、賃上げによる雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の回復に加え、企業の堅調な設備投資に支えられ緩やかな回復が続きました。しかし、物価上昇による個人消費への影響や、海外経済の減速懸念など、景気の先行きは不透明な状況であります。一方、世界経済においては欧米を中心にインフレ抑制に向けた金融引き締め策の影響が顕在化し、成長の鈍化が見られました。また、ウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクは依然として高く、エネルギー価格や資源価格の変動、サプライチェーンの混乱などが世界経済の重荷となっております。

このような経済環境下における当社グループの国内販売は、生成AIの普及、DX関連投資やデータセンター投資の増加等により、半導体関連の設備投資が回復傾向にあります。主要取引先である半導体製造装置に関連する得意先への販売は、年度後半より回復基調で推移いたしました。また、自動車産業におきましては、HVやADAS(先進運転支援システム)の普及により、自動車・車載部品関連の得意先からの受注が好調に推移いたしました。さらに、人件費高騰や労働力不足による自動化・省人化の流れを受けて、ロボットや自動化システム設備をはじめとするFA機器の販売が好調に推移いたしました。

海外販売につきましては、中国の経済成長の鈍化は継続しているものの、各種デバイス向け電子部品に関連する得意先へのFA機器の販売は前年度を大きく上回る結果となりました。

以上の結果、売上高は315億65百万円(前年同期比11.0%増)、営業利益は16億84百万円(前年同期比11.2%増)、経常利益は18億12百万円(前年同期比12.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12億31百万円(前年同期比14.6%増)となりました。

また、当連結会計年度末の資産合計は307億28百万円(前年同期比4.3%減)、負債合計は97億46百万円(前年同期比16.2%減)、純資産合計は209億82百万円(前年同期比2.4%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、104億72百万円と前連結会計年度末に比べ21億75百万円(17.2%)の減少となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により使用した資金は、7億52百万円(前年同期は27億42百万円の収入)となりました。資金の主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上(18億43百万円)や減価償却費(1億74百万円)であり、資金の主な減少要因は、仕入債務の減少(14億27百万円)や法人税等の支払(6億19百万円)、売上債権の増加(5億58百万円)、棚卸資産の増加(2億48百万円)であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、5億79百万円(前年同期は6億88百万円の収入)となりました。資金の主な減少要因は、定期預金の預入による支出(5億円)であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、9億50百万円と前年同期に比べ1億7百万円(12.7%)の増加となりました。資金の主な減少要因は、配当金の支払額(4億81百万円)や自己株式の取得による支出(2億2百万円)、短期借入金の返済による支出(2億円)であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績

該当事項はありません。

 

b. 受注実績

受注実績と販売実績との差異は僅少なため、受注実績の記載は省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

機械工具器具等の販売

31,565,763

11.0

合計

31,565,763

11.0

 

 

d. 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

機械工具器具等の販売

27,087,729

12.4

合計

27,087,729

12.4

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについて、経営者は過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5[経理の状況]」の「1[連結財務諸表等]」「(1)[連結財務諸表]」「[注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は、生成AIの普及、DX関連投資やデータセンター投資の増加等により、半導体関連の設備投資が回復傾向にあり、主要取引先である半導体製造装置に関連する得意先への販売は、年度後半より回復基調で推移いたしました。また、自動車産業におきましては、HVやADAS(先進運転支援システム)の普及により、自動車・車載部品関連の得意先からの受注が好調に推移いたしました。海外販売は、中国における各種デバイス向け電子部品に関連する得意先へのFA機器の販売は前年度を大きく上回る結果となりました。以上の結果、前年同期比31億15百万円(11.0%)増の315億65百万円となりました。また、売上総利益は前年同期比3億68百万円(8.5%)増の47億7百万円となりました。なお、売上総利益率は0.4ポイント減少し14.9%となっております。

販売費及び一般管理費においては、前年同期比1億99百万円(7.1%)増の30億22百万円となり、営業利益は前年同期比1億69百万円(11.2%)増の16億84百万円となりました。

営業外収益は、受取配当金の増加などにより前年同期比27百万円(24.5%)増の1億40百万円となり、営業外費用は、為替差損の増加などにより前年同期比3百万円(31.5%)増の12百万円となったため、経常利益は前年同期比1億93百万円(12.0%)増の18億12百万円となりました。

特別利益は、投資有価証券売却益の増加などにより前年同期比49百万円増の52百万円となり、特別損失は、固定資産圧縮損の計上などにより前年同期比14百万円(206.0%)増の21百万円となったため、税金等調整前当期純利益は前年同期比2億29百万円(14.2%)増の18億43百万円となりました。

以上の結果、税効果会計適用後の法人税等負担額は前年同期比72百万円(13.5%)増の6億11百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比1億56百万円(14.6%)増の12億31百万円となりました。自己資本当期純利益率(ROE)は、前年同期比0.6ポイント増の5.9%となりました。

 

b. 財政状態の分析

(流動資産)

流動資産は、前連結会計年度末比13億11百万円(5.3%)減の232億84百万円となりましたが、現金及び預金の減少(21億75百万円)、電子記録債権の減少(3億68百万円)と受取手形及び売掛金の増加(10億3百万円)、商品増加(2億53百万円)が主な要因となっております。

(固定資産)

固定資産は、前連結会計年度末比83百万円(1.1%)減の74億43百万円となりましたが、投資有価証券の減少(2億97百万円)、投資その他の資産のその他の減少(1億40百万円)、無形固定資産のその他の減少(1億12百万円)と長期預金の増加(5億円)が主な要因となっております。

(流動負債)

流動負債は、前連結会計年度末比17億72百万円(16.0%)減の92億80百万円となりましたが、電子記録債務の減少(17億37百万円)、短期借入金の減少(2億円)、流動負債のその他の減少(1億61百万円)と支払手形及び買掛金の増加(3億43百万円)が主な要因となっております。

(固定負債)

固定負債は、前連結会計年度末比1億14百万円(19.7%)減の4億65百万円であり、特記すべき事項はありません。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上(12億31百万円)による増加、為替換算調整勘定の増加(1億55百万円)と前期決算の剰余金の配当(4億81百万円)による減少、自己株式の取得(2億1百万円)による減少、その他有価証券評価差額金の減少(2億32百万円)などにより、前連結会計年度末と比べ4億91百万円(2.4%)増の209億82百万円となりました。

 

c. キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「第2[事業の状況]」の「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]」「(1) 経営成績等の状況の概要」「② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

d. 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2025年3月期の達成状況について、売上高は、計画比5億65百万円(1.8%)増の315億65百万円、経常利益は、計画比2億27百万円(11.2%)減の18億12百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、計画比1億48百万円(10.8%)減の12億31百万円、自己資本当期純利益率(ROE)は、計画比0.8ポイント減の5.9%となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要の主なものは、商品等の購入費用、販売費及び一般管理費等の営業費用及び維持更新を目的とした設備投資等であります。これらの資金需要に対しては、営業活動から獲得する自己資金並びに金融機関からの借入による調達を基本としております。

なお、予定されている重要な資本的支出はありません。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。