文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針及び経営戦略
当社グループは、「革新と創造」という経営理念のもとで、「顧客満足度の追求」を徹底することにより業容を拡大し、併せて業務の効率化を推進することによって収益力の強化・企業価値の増大を図ることを経営の基本方針としております。
「顧客満足度の追求」につきましては、より多様化するユーザーニーズにきめ細かく対応するために、魅力ある幅広い品揃え、カタログやインターネット等による様々な情報の提供に加え、商品のクイックデリバリーやサポートサービス等、お客様の利便性向上が重要であると考えております。
<目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略>
中期経営計画「PROJECT ONE」の推進
当社グループは、2020年度よりスタートした中期経営計画「PROJECT ONE」を基本方針とし、2024年度の達成すべき目標に向け活動していくとともに、その先の将来に向けても成長を継続することができるよう経営基盤の構築に邁進してまいります。
[中期経営計画 -Opportunity of Next Evolution-「PROJECT ONE」(2020年度~2024年度)]
① 経営ビジョン
「アズワンは、「科学」・「医療」を中心とした専門分野を主な事業領域とし、顧客が必要とする商品・サービス・情報を提供することで、社会に貢献する企業を目指します」
② 3つの課題
ⅰ.成長のシフトアップ
ⅱ.収益性の向上
ⅲ.企業価値の向上
③ 目標とする経営指標
2024年度において、連結売上高1,000億円、連結営業利益率12.5%、ROE(株主資本利益率)12.0%を実現することを目標としております。
(2) 経営環境
当社を取り巻く環境としては、以下のような変化が見られます。
ユーザーサイドの発注管理の効率化やコンプライアンスの観点から取引の電子化を求めるニーズが高まってきております。また、電子購買に移行するにあたっても、専門的でかつワンストップで購買ができる品揃えの豊富さやスピーディーに納品できる高度な物流機能が重視されております。さらに、研究開発或いは製造プロセスにおいて機器類の品質を担保するニーズが高まっており、点検・校正などのアフターメンテナンスサービスを求められるケースが増えてきております。一方、利用する様々な機器メーカーに、個々に点検や校正を依頼すると管理が煩雑になることから、管理を一括化したいというニーズが生じております。
海外においては、日本の2~3倍の研究開発費を使う米国や中国、或いはそれに追随する欧州などの広大な研究開発市場があります。また、国内ユーザー企業のグローバル化は伸展し、工場進出先の中国から東南アジアへのシフトや、欧米企業とのアライアンスなど多方面への拡大が見られます。一方、保護主義的な経済のブロック化への動きや、新型コロナウイルスによるパンデミック発生により、グローバルなサプライチェーンの寸断リスクを目の当たりにし、国内回帰の機運も高まっております。
医療業界においては、中長期的に医療費抑制という国を挙げての方向性があり病院の経営環境は引き続き厳しく、病院数、病床数は減少傾向にある一方、クリニックや介護施設は増加傾向にあります。一方、足もとにおいては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う病床・医療器材・医療者の不足から医療崩壊の瀬戸際までの経験を経て、国家的対応が行われている状況にあります。
社会構造の変化として、人口の高齢化に伴い労働力人口はマイナスに転じております。また、労働の質という面からは働き方改革という言葉に象徴される効率的な働き方が推奨されております。こうした変化は、例えば物流業界で、人材確保難や労働環境の改善等から配送費等の上昇という形で表出しております。当社グループにおいても、運賃や倉庫作業料の上昇という形で少なからず影響を受けております。
また、シェアリングエコノミーという言葉に代表される、所有から利用へという流れも、研究プロセスにおける実験機器の所有にこだわるより、機器の利用或いは委託によるアウトプットのみを求めるという形で当業界においても変化していくことが予想されます。
さらに、Society5.0時代のAI(人工知能)やIoT、ロボットなどの新しいテクノロジーは、人の介在を減らし社会に大きなパラダイムシフトをもたらすものと期待されていますが、遠隔操作や非接触を旨とする新型コロナウイルス感染拡大への対応は、ますますこの変化を加速させております。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、2020年度よりスタートした中期経営計画「PROJECT ONE」を基本方針とし、3つの課題として「成長のシフトアップ」「収益性の向上」「企業価値の向上」を挙げております。当社グループのリソースを最大限活用し、課題解決に尽力してまいります。
ⅰ.成長のシフトアップ
イ)eコマースの強化及び海外チャネルの拡大
eコマースの強化
eコマースについては、大規模ユーザーに集中購買システム「ocean」を、小規模ユーザーに対しては自社ネットショップ「AXEL Shop」の機能強化・利用促進を推進するほか、中堅ユーザー向けには販売店がエンドユーザーに提供する専用ECシステムを支援する「Wave」の利用拡大を営業の柱としております。業界のDX化にも貢献している「Wave」は、計画を大きく上回るペースで販売店、エンドユーザーとの接続が進んでおり、より利便性を追求することで、より多くのお客様の利用を促進してまいります。
コロナ禍は対面営業に変化をもたらしましたが、当社の豊富な品揃えとECの組み合わせは、時代のニーズに合致し、人の往来が再開してもお客様に大きな利便性をもたらすものです。ネット通販事業者向けの供給アイテムの促進など、様々なECチャネルに対しマーケティングを強化し、eコマースの更なる拡大に向け取り組んでまいります。
海外チャネルの拡大
海外チャネルの拡大は重要な課題であると同時に、大きなチャンスであると捉えています。現在の海外事業で最も力を入れている地域は、現地法人を置く中国です。中国では、沿岸部に6営業拠点を展開し、現地に在庫を持ち、中国語のカタログを活用して営業しております。今後も、現地販売店の開拓に力を入れ、国営企業向け集中購買システムの導入等に取り組んでまいります。
また、当社が運営する海外向けの多言語商品サイト「AXEL_GLOBAL」の取扱商品点数は約167万点にのぼりますが、今後も更に拡充し、欧米や東南アジア市場の開拓に力を入れてまいります。
一方調達面では、日本国内における海外商品の輸入販売は150億円を超えてきており、重要な収益の柱でもあります。調達拠点としては中国以外に米国にも現地法人を構えておりますが、コロナ禍が落ち着けば、欧州や東南アジアにも自前の調達拠点を設け、海外調達力をより強固にしていく所存です。
ロ)品揃えと物流機能の強化
品揃えの拡充
当社は商品データベース「SHARE-DB」を業界共通の商品のデータベースと位置づけ、誰かが必要としていて、ここへアクセスすれば見つかるという環境をサプライヤーとの連携や新規開拓を進めながら整えております。品揃えは、1年間で約90万点増え、2021年3月末には510万点を超えました。これらは、「AXEL」など当社のWEBサイトを通じてどなたでもご覧いただけます。
一点一点では利用頻度の少ないロングテール商品も含まれますが、紙面のカタログに掲載せずWEBサイトのみで紹介する商品の売上高は72億円(前期比56.0%増)となり、当社の売上高を牽引する一つの要素でもあります。サプライヤーにも販売店にもユーザーにも使いやすい共通のデータベースとするべく、今後も日本国内のみならず世界各国のサプライヤーとの連携強化を通し、専門性にこだわった品揃えの拡充を図ってまいります。
物流機能の強化・活用
当社では、物流機能の強化に常に取り組むことで、カタログ掲載品の当日出荷率を95%程度と高い水準で維持するなど、研究や医療の現場に必要なモノをスピーディーにお届けする社会的使命を担ってまいりました。2020年5月には、中期経営計画の目標売上高1,000億円に向けて増大する在庫量・出荷量へ対応すべく千葉市稲毛区に新物流拠点「Smart DC」を開設しました。今後は、庫内のオペレーションの効率化を図っていくとともに、大阪、東京、九州、千葉の物流拠点の最適活用を進めてまいります。
また、物流の効率化は社会的課題でもあります。当社のルート配送を活用した共同配送を一部開始しております。更にアライアンスを展開し理化学業界のロジ・シェアリングに貢献してまいります。当社は、サプライヤーと販売店をつなぐ役割を担っておりますが、流通のハブとしてのポジションを更に強固にすべく、物流機能を武器に業容の拡大を図ってまいります。
ハ)サービス事業拡大及び新規ビジネスの展開
サービス事業の拡大
当社グループの主要なお客様である研究者の多くは、「時間がない」「予算がない」「もったいない」の『3つのない』の悩み(=課題)を抱えています。従来、当社では、モノの購買の利便性を高めることに注力することで研究者の課題解決に貢献してきましたが、今後は研究者のニーズに対応する様々なサービス事業の開発に力を入れてまいります。
例えば、校正サービスでは、複数メーカーの機器校正を当社が一括受託することで、お客様が各メーカーに発注する手間を削減できる上、短納期・低価格である点も評価を受けています。また、期間限定の治験等に利用いただくレンタルサービスは、所有にこだわらないシェアリング時代に合ったものであり、需要の拡大を期待しております。その他、研究受託や点検サービスなど様々なサービスメニューを展開してまいります。
新規ビジネスの展開
研究者の悩みを解決する手段として、デジタル化も注目されています。リアルな実験を計算科学シミュレーションを利用することで効率化したり、RPAやAI(人工知能)などを応用したりすることでお客様の課題を解決できる可能性が広がっています。当社では2021年4月にはデジタルイノベーションを推進する組織を新設し、研究現場のデジタル化の促進を図ってまいります。また、2021年度中には研究者向けの情報発信サイトをスタートし、研究者との接点を増やしていく予定です。様々な接点から研究者の悩みを捉え、当社が有するハブとしての機能を活かしあらゆる技術、機能をつなげ、新しいビジネスの開発に取り組み、お客様の研究成果の効率的な創出に貢献してまいります。
また、子会社の株式会社トライアンフ・ニジュウイチ(以下「トライアンフ21」という)では、従来のモノに加えて通信費や人材派遣料などの間接経費も一括して最適購買する業務代行ビジネスへと領域を拡大させてまいります。
ⅱ.収益性の向上
当連結会計年度においては、「Smart DC」の開設に伴う固定費の増加を見込んでおりましたが、大幅な売上成長により前連結会計年度に引き続き営業利益率12%台の高い収益性を示すことができました。
しかしながら、環境変化のスピードは極めて速く、予断を許しません。中長期的な視点に立ち、付加価値の高いオリジナル商品やサービス事業の拡大に加え、eコマース拡大、RPA・AI活用によるデスクワークのデジタル化、物流の効率化等を推進することで収益性のさらなる向上を図ってまいります。
当社グループは、卸でありながら10%以上の営業利益率を確保し、収益性にこだわってまいりました。引き続き中期経営計画で掲げる営業利益率12.5%に向けて、着実に各施策を推進してまいります。
ⅲ.企業価値の向上
当社グループは、資産効率を意識して資金の配分を検討し、成長への効率的かつ積極的な投資を行い、一株当たりの利益を高めてまいります。また、資本コストを意識し、ROE(株主資本利益率)を高めることで、株主価値の向上に努めてまいります。
ⅳ.新型コロナウイルス感染拡大への対応
喫緊の課題として、新型コロナウイルス感染拡大への対応がございます。医療や研究開発を下支えする企業として、社員の安全を守りつつ、医療用品の供給など事業を継続することが必要です。大半の社員のテレワークが可能なインフラの整備や、物流施設においては、毎日の検温、マスク着用、昼食時間の分散などの予防措置を講じるなどにより操業を継続してまいります。医療機関に十分な医療器材・感染防止・保護用品が行きわたらない状況もある中、代替品の供給や新規調達ルートの開拓等を通じ少しでも早くお届けできるよう注力してまいります。
コロナ禍に伴い世界は一変しました。ウィズコロナ或いはアフターコロナへと環境が変化していく中で、「革新と創造」という経営理念のもと、変化をチャンスと捉えて新しいことにチャレンジし、新しい仕組みを作り出すことにより、社会に必要な会社として企業価値を向上させてまいります。
以下では、有価証券報告書提出日現在において当社が判断した、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループでコントロールできない外部要因や必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断上重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスクの発生可能性を十分に認識した上で、リスク回避の施策を実施し、また発生した場合には的確な対応を行うための努力を継続してまいる方針でありますが、当社株式に関する投資判断、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の事項及び本書中本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありません。
(事業リスク)
(1) 当社グループの事業内容に関するリスク
当社グループは、各種研究所、研究機関、生産施設、医療施設等において使用される科学機器、備品等の卸売を主たる事業としております。事業の形態といたしましては、国内約13,000拠点の科学機器や医療・介護関連機器の販売店に対し商品カタログ等を提供し、販売店がこのカタログをユーザーに配布して営業を行い、販売店が当社に注文を出し、当社から販売店へ商品を届けるカタログ販売の形態をとっております。
商品の仕入は、当社グループ全体で約4,200社のサプライヤーから仕入れ、一部商品については、当社ブランドの商品を生産委託しております。このように、当社グループの事業は販売店、サプライヤー等の多くの取引先の協力によって支えられております。従って、取引先の経営状況の変化等によって取引先から協力が得られない事態になった場合は、販売チャンスを逸したり商品の仕入に支障を来したりするなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、取引先の経営状況の把握に努め、特定取引先に依存することのないように多数の取引先に取引を分散しております。
(2) 競合に関するリスク
理化学機器や医療用品等を販売店に卸す当業界は、大小さまざまなメーカー、商社が激しい競争を行っております。当社グループといたしましても、カタログ及びWEBを通じた幅広い品揃え、「ビーカー1つ」でもすぐに納入できるクイックデリバリー体制の構築及び情報機能強化等を図り、競合他社との差別化に努め、売上の拡大を図っております。しかしながら、競合先も、価格、サービス等それぞれの得意分野を活かした業容拡大を図っており、当社グループが即応できないサービスを提供する競合先が現れる可能性があり、当社グループが対応できない速さでその支持が広がり、当社グループの提供する価値が極端に魅力を失った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、品揃えの拡充をはじめとして他社の追随を許さない利便性の向上に努めております。
(3) eコマースの推進に関するリスク
現在の当社グループの成長を最も牽引している施策はeコマースの推進です。しかしながら、通信やインターネット利用に関する何らかの技術革新やユーザーの物品購買習慣の変容等により、価格競争に巻き込まれるまたは利便性の高い流通の仕組みが開発される可能性があります。当社グループが対応できない速さでその支持が広がり、当社グループの提供する価値が極端に魅力を失った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、専門性が高い商品の業界随一の品揃えとIT力と物流力の融合で差別化を図り、ITや通信技術情報にアンテナを張り最新の技術動向を把握するとともに、サービスなどの人と人との関わりも兼ね備えた付加価値の高いeコマース事業としてのブランドを確立すべく努力しております。
(4) 海外展開に潜在するリスク
当社グループは、世界30ヶ国以上の国や地域から商品を調達し販売しております。また、中国や米国にて現地法人を設立し営業をしております。これらの海外への事業展開には以下に掲げるようなリスクが内在しております。
① 予期しない法律または規制の変更
② 予期しない不利な政治的または経済的要因の発生
③ 人材の採用と確保の難しさ
④ 未整備の技術インフラが、当社グループの商品やサービスに対する顧客の支持を低下させる可能性
⑤ 為替相場の変動
⑥ 災害、テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱
これらにより、商品の供給等に支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、現地法人や専門部署における情報収集を図り対応をしております。為替リスクについては、為替予約により変動リスクを最小限にとどめる努力をしています。
(5) サービス事業推進に関するリスク
当社グループは、研究者に対する物販のみならずレンタルや校正などの研究にかかわる様々なサービスを提供する事業の強化を図っております。しかしながら、サービス分野における知名度の低さや既存のサービス提供者との競争により想定通りに事業拡大できない可能性があります。また、サービス事業の展開にはレンタル品や校正機器の購入などの先行投資が発生します。一部に投下資本の回収に想定以上の時間を要する可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、理化学機器の物販により培った顧客基盤をベースに、物販とともにワンストップでサービスを利用できるよう利便性を高めるほか、納期の短縮や価格競争力の強化などを図っております。また、レンタルについては、レンタル商品の拡充に際し価格と回転数を十分に考慮しながらレンタル品の拡大を図っております。
(財産リスク)
(6) 在庫リスク
当社グループは、2021年3月期連結貸借対照表においてたな卸資産として89億74百万円を計上しており、総資産に対する比率は9.5%となっております。また、お客様の利便性を重視し高い受注即日出荷率を信条としており、受注後直ぐに出荷できるよう予め受注を予測して在庫を保持しております。しかしながら、販売状況が想定していたものと大きく異なる結果となった場合には、たな卸資産の評価減等を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、適正在庫水準の維持を図るべく、一定期間受注のない商品や過剰な量の商品について定期的に把握し不稼働在庫の圧縮に努めております。また、輸入商品やプライベートブランド商品など比較的まとまった量を仕入れる必要がある場合には慎重な検討を経て実施しております。
(7) 固定資産の減損リスク
当社グループは土地、建物及び投資不動産などの固定資産を保有しております。現時点で必要な減損等の処理は実施済みですが今後これら資産の時価の下落、収益性の低下が認められる場合には減損損失を認識する必要が生じます。
当社グループはこのような事態を回避するため、これらの取得に際し慎重な検討を行い、取得後は時価のあるものは時価を含めその収益性を継続的に確認しております。
(8) 有価証券等の価格の変動に関するリスク
当社グループは、他社との事業上の関係等を維持、促進する目的または資産運用の目的で、2021年3月期連結貸借対照表において有価証券及び投資有価証券を236億55百万円保有しており、総資産に対する比率は25.1%となっております。
しかし、かかる投資有価証券について、経済環境や金融市場環境の変化等により市場価格が変動した場合に、元本・利息の回収ができなくなった場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、事業上の関係等の維持・促進を目的とした有価証券は発行体とのコミュニケーションを密にし情報収集に努め、運用目的の債券は一定の格付以上で業種や銘柄を分散して運用しております。
(9) 年金運用リスク
当社グループでは従業員の将来の退職給付に備え、毎月一定額を外部の運用機関に拠出し年金資産として運用を委託しております。運用成績については一定の期待収益率を見積もっておりますが金融市場の変動等によりその成績が急激に悪化する場合があります。
当社グループでは、このような事態を極力回避するため、運用委託先に対しボラティリティの低い商品群による運用を指示しております。
(外部要因リスク)
(10) 景気変動リスク
当社グループは日本国内での売上高がグループ売上高の90%以上を占めております。また、国内における研究費の70%前後が民間企業の拠出であり、当社グループの業績は、日本国内の景気変動の影響から切り離すことはできません。
特に、民間企業の生産現場向けの需要は、直接的に景気変動の影響を受けやすいフィールドとなります。但し、研究開発向け需要は大学や公的研究機関など産業界とは別の市場でもあることや、一般的に景気に左右されず研究開発を続けることが民間企業の競争力の維持につながることから生産現場ほど景気変動に敏感ではありません。しかしながら、民間の研究開発費が大幅に減退する事態になれば、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの売上高は概ね60%前後が大学の研究室や企業の研究開発部門向け、20%前後が企業の民間生産現場向けの理化学機器の売上であり、20%前後が医療機関や介護施設向けの医療・介護用品の売上で構成されています。景気変動と連動しない医療機関向けのフィールドを持つことで、景気変動の影響を軽減させております。
(11) 未知の感染症の拡大に関するリスク
新型コロナウイルス感染拡大への各国の対応に見られるように、ワクチンや特効薬が見つかっていない感染症が拡大し、対応策として外出制限を含めた人と人との接触を断つことを最優先とせざるを得ない状況になった場合は、企業の生産活動や研究活動が制限される可能性があります。それらの活動が極端に抑制され長期間に及んだ場合は、ラボ・インダストリー部門の業績に影響を及ぼします。また、国内に限らず世界でも蔓延している場合は、一部の商品の世界的需要過多による供給不足の発生、サプライヤー側の生産活動の抑制・停止や各国の輸出制限措置等により、商品の調達に支障を来たし、お客様に求められる商品の供給ができず、部門を問わず当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態においても、医療機関を下支えする卸売業としての社会的責任を負っており、物流センターの操業が許される限り、衛生管理の徹底を図りながらテレワーク体制によるBCPプランを実行し、医療機関への医療用品の供給を継続できる体制を敷いております。
(12) 災害や停電に関するリスク
当社は、千葉市、大阪市、埼玉県北葛飾郡及び福岡県朝倉市に物流センターを設置しております。これらの施設において地震や津波等の災害、停電、その他の操業を中断する事象が生じた場合、商品の出荷能力が著しく低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、商品の調達に一部支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態が生じた際の影響を軽減するために、いずれかの施設の操業が不能になった際に他の施設でバックアップして出荷対応するBCPプランを作成しております。
(その他リスク)
(13) 商品に関するリスク
当社グループは、商社という特性から大半の取扱商品は他社ブランド品でありますが、当社グループが輸入した商品及びプライベートブランド商品も取扱っております。従って、予想外のリコールや製造物責任賠償につながるような問題が生じた場合は、賠償等の多額のコストの発生や、当社グループの社会的評価の低下を通じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、国内事業所においてISO9001の認証を取得し、品質マネジメント体制の構築に取り組んでおり、また、製造物責任賠償については、保険に加入しております。しかしながら、この保険が最終的に負担する賠償額を充分にカバーできない場合もございます。
(14) 情報システムに関するリスク
当社は、受注から出荷までを一連の情報システムによって運営しております。また、受注は主に販売店経由で、その約8割がインターネットをはじめとする電磁的方法により注文を受け、受注業務の効率化を図っております。
しかしながら、情報システム関連の技術革新は著しく、基幹システム、ネットワークの障害及び情報の改ざん・破壊・漏洩等を完全に予防または回避することが困難な場合もあり、万が一かかる事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、情報システム関連の技術革新に適応すべく継続的に情報投資を実施しております。また、万一の事態に備え、耐震性等に優れたデータセンターを利用することに加え、重要な設備の冗長化を図り、不正アクセスやコンピュータウィルスを防御するセキュリティー対策も講じております。
(15) 法的規制等に関するリスク
当社グループは、事業運営において薬機法、建設業法、計量法、古物営業法、電気用品安全法、食品衛生法、毒物及び劇物取締法、貨物利用運送事業法、倉庫業法、外国為替及び外国貿易法、下請代金遅延等防止法、個人情報保護法、製造物責任法等関係諸法令により様々な法的規制等の適用を受けております。そのため、これらの法的規制等が変更または新設された場合や当社グループの活動がこれらの法的規制等に抵触した場合、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、各責任部門においてこれら法的規制等の情報収集を行い法令順守に努めるとともに、弁護士事務所と顧問契約を締結し、都度指導を仰いでおります。
(16) 気候変動・環境に関するリスク
地球環境問題への対応は、企業市民として避けることのできない重要事項と認識しております。環境負荷の低い商品取扱いへの移行や脱炭素社会への取り組みが遅延した場合、当社グループの社会的評価の低下につながる可能性があり、ひいては業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、環境問題への取り組みとして、国内事業所において環境マネジメントシステムとしてISO14001の認証を取得し事業活動に組み込んでおります。
また、気候変動による自然災害が増加する傾向にあり、物流センターの運営や情報資産へのリスクが想定されますが、(12) 災害や停電に関するリスクや(14) 情報システムに関するリスクに合わせて記載しております。
<リスクの発生可能性・影響度>
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況は次のとおりであります。
なお、当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。
①財政状態及び経営成績の状況
イ.財政状態の状況
(資産の部)
当連結会計年度末の流動資産は、587億21百万円(前連結会計年度末比105億40百万円増)となりました。これは、主として売上の増加に伴う売上債権の増加により受取手形及び売掛金並びに電子記録債権が合わせて47億59百万円増加したこと、現金及び預金が22億71百万円増加したこと、たな卸資産が19億18百万円増加したこと等によるものです。
固定資産は、355億3百万円(同21億64百万円増)となりました。これは、主としてトライアンフ21ののれんの期中償却及び減損処理によりのれんが9億12百万円減少した一方、保有投資有価証券の時価評価等により投資有価証券が26億97百万円増加したこと等によるものであります。「Smart DC」に関する建設仮勘定は、稼動に伴い機械装置等に振り替わりました。
(負債の部)
当連結会計年度末の流動負債は、255億96百万円(前連結会計年度末比34億16百万円増)となりました。これは主として、売上の増加に伴う仕入債務の増加により支払手形及び買掛金が23億70百万円増加したこと、1年以内に返済期限を迎える長期借入金の科目振替により短期借入金が4億50百万円増加したこと、未払法人税等が3億86百万円増加したこと等によるものであります。
また、固定負債は、58億67百万円(同30億21百万円増)となりました。これは、主としてコロナ禍下の流動性を考慮して期初に行った借入れにより長期借入金が21億50百万円増加したこと、投資有価証券の評価増等に伴い繰延税金負債が9億29百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は、627億61百万円(前連結会計年度末比62億67百万円増)となりました。これは、主として利益剰余金が34億23百万円増加したこと、その他有価証券評価差額金が27億43百万円増加したこと等によるものであります。
ロ.経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの影響が続くなか、段階的な経済活動の再開や、政府・自治体の各種政策の効果、ワクチン接種開始への期待感等により、緩やかながら持ち直しの動きが見られました。しかしながら、感染再拡大は波状的に到来し、緊急事態宣言の再発出やまん延防止等重点措置などの対応に迫られ、依然として先行き不透明な状況が続きました。一方、医療の現場においては、感染者数の再拡大に伴い重症者対応や感染防止対策における設備・物資・人員不足が再び懸念される状況にあります。
このような事業環境のもと、当連結会計年度の連結売上高は、816億6百万円(前期比15.9%増)と伸張しました。この要因としては、従前から取り組んでいる品揃えの拡大、集中購買システム「ocean」や販売店向けEC支援システム「Wave」などのEC基盤の伸展、安定供給やクイックデリバリー等顧客満足度の追求による顧客基盤の拡大等が挙げられます。
WEB上の取扱商品の品揃えが510万点を超え、紙カタログに掲載せずWEBサイトのみで紹介するロングテール商品の売上高は約72億円(同56.0%増)となりました。当社の持つ充実したデジタル商品情報が、DXという潮流の中で大きく新規売上に貢献しております。また、一時的な品不足が生じたものの、いち早く調達の安定化を図り、ディスポウェアや非接触体温計といった感染対策用品等を、タイムリーに供給できたことが顧客基盤の拡大と売上増に繋がりました。在庫・出荷能力を強化した新物流拠点「Smart DC」稼働も奏功しました。
(中期経営計画-PROJECT ONE-における主要売上施策の進捗状況)
中期経営計画で掲げる主要売上施策は以下のとおり推移しました。
※1eコマースについては、集計対象を一部加えたため、前連結会計年度の数字を変更しております。
※2海外事業の約7割は中国現地法人の売上ですが、現地法人事業年度が1~12月のため、現地における1~12月の売上高を連結しております。
※3前中期経営計画で掲げていた新規商材は既存事業を含めた各事業にまたがる商材となるため、 現中期経営計画では分離して扱う集計を行っておりません。
なお、eコマースにつきましては、集中購買やネット通販のチャネルに加え、販売店のeコマースを支援する「Wave」の利用拡大を推進しております。エンドユーザーと販売店と当社がデジタル連携していく仕組みで、当社のみならず商流のDX化にも貢献できるシステムであります。まだ緒に就いたばかりですが、お客様の賛同を得て、計画を上回るペースでご利用いただいております。
海外事業につきましては、中国においてローカル向けの研究需要は好調なものの、日系企業向けが低調であり邦貨ベースでは為替の影響から全体では前期比微増にとどまりました(人民元ベースでは3.3%の増収)。日本からの中国以外のアジア地域等への輸出は、海外渡航が難しい上、海外経済の減速の影響を受けましたが、通期で前年実績を確保することができました。
販売費及び一般管理費につきましては、前期に比べ26億36百万円増加し、160億35百万円(同19.7%増)となりました。増加要因としては、物流自動化設備等約45億円の設備投資を行ってきた「Smart DC」が2020年5月に稼働したこと等により減価償却費が6億32百万円増、不動産賃借料が4億93百万円増となったこと、売上高増加等により運賃及び倉庫作業料が6億51百万円増となったこと等が挙げられます。
なお、当社は当社グループの理化学機器卸としての専門性とトライアンフ21が有するWEB購買業務代行サービスでの強みとを有機的に連携させ、両社のビジネス・ネットワークの融合を図ることで、eコマース分野での新たな付加価値を提供することを目的に同社を連結子会社化し、株式取得時に発生したのれんを資産計上いたしました。しかしながら、トライアンフ21の業績が当初想定した計画を下回って推移していることや、コロナ禍による一部新規プロジェクトの遅延等の影響を考慮し事業計画の見直しを行った結果、超過収益力が見込めなくなったため、のれんの減損損失を計上いたしました。また、当社が保有する投資有価証券のうち実質価額が著しく低下したものについて投資有価証券評価損を計上し、合わせて特別損失として12億54百万円計上いたしました。
この結果、営業利益は98億91百万円(同15.7%増)、経常利益は101億95百万円(同15.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億88百万円(同0.4%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ32億71百万円増加し、100億56百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、53億81百万円の資金収入で、前連結会計年度に比べ収入が9億31百万円減少いたしました。これは、主として仕入債務の増減に伴い収入が前連結会計年度に比べ31億16百万円増加した一方、売上債権の増減に伴い支出が41億32百万円増加したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、21億16百万円の資金支出で、前連結会計年度に比べ支出が13億41百万円減少いたしました。これは、主として前連結会計年度において大きかった「Smart DC」向けの投資が落ち着いたことで有形固定資産の取得による支出が19億57百万円減少した一方、資本業務提携を行ったHPCシステムズ株式会社の株式取得等に伴う投資有価証券の取得による支出が9億60百万円増加したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、11百万円の資金収入(前連結会計年度は28億73百万円の資金支出)となりました。これは、主としてコロナ禍下の流動性を考慮して行った資金調達により長期借入れによる収入が40億円増加し、配当金の支払額による支出が3億16百万円減少した一方、長期借入金の返済による支出が15億円増加したこと等によるものです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
a.各指標の算出方法は以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
b.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
c.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(期末自己株式数控除後)により算出しております。
d.営業キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
e.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
f.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
g.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2019年3月期の期首から適用しており、2018年3月期に係る指標については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標となっております。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。売上高における生産実績、部門別販売実績、品目別販売実績は以下のとおりです。
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、無塵化洗浄加工商品及びプラスチック容器の生産実績であり、7億53百万円(前期比37.5%増)となりました。
ロ.受注実績
当社グループの事業内容は、当日出荷を基本とする事業の性格上、受注実績と販売実績に特筆すべき差が生じないため、当該記載を省略しております。
ハ.部門別販売実績
当連結会計年度の販売実績を部門別に示すと、次のとおりであります。
なお、部門の名称を以下のとおり変更しておりますが、集計方法は従来と変更ありません。
(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 その他はトライアンフ21のシステム利用料売上であります。
a.ラボ・インダストリー部門
大学、研究機関及び企業の研究部門等を対象とするラボラトリー分野(旧科学機器分野)では、期初の緊急事態宣言下において一部で在宅勤務等の措置が取られ需要が一時軟調となりました。宣言解除後は、回復基調に転じ分析機器・用品や微生物検査用品、研究設備品やクリーンルーム用手袋等幅広く需要が活発化し、当分野の売上高は、447億45百万円(前期比8.9%増)と伸張しました。
また、製造現場等を対象とするインダストリー分野(旧産業機器分野)は、同じく緊急事態宣言下において需要が軟調となり、解除後も生産活動の回復の遅れから低迷しておりましたが、10月以降は、クリーンルーム用品はじめ全体として需要は復調を見せ、当分野の売上高は、153億91百万円(同1.8%増)となりました。この結果、当部門の売上高合計は601億37百万円(同7.0%増)となりました。
b.メディカル部門
医療機関や介護施設等を対象とするメディカル部門では、医療現場のコロナ禍対策が常態化し、マスク・手袋等感染対策消耗品のみならず、非接触体温計等バイタル計測機器や安全キャビネット、医療廃棄物容器等にいたるまで様々な品目に需要が広がりました。一部国内で品不足が生じるなかいち早く安定調達できたことも奏功し、お客様の支持を広げることができました。この結果、当部門の売上高は210億49百万円(同52.8%増)と大幅に伸長しました。
c.その他
子会社のトライアンフ21は「OffSide」システム等により理化学機器・消耗品等のWEB購買業務代行サービスを運営しております。当連結会計年度は、期初から緊急事態宣言下における主要な顧客の在宅勤務推進等による購買需要減退の影響を受けました。宣言解除後は製薬企業を中心に回復基調を見せるものの、通期では前期比微減にとどまりました。この結果、同社のシステム利用料としての売上高は4億20百万円(同0.2%減)となりました。
ニ.品目別販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 その他はトライアンフ21のシステム利用料売上であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在にて判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの当連結会計年度の経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。期初においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞を加味し、売上高は上期前年同期比0.3%減、下期同5.8%増、通期同3.0%増の成長を見込み、一方コスト面では5年後売上高1,000億円時の出荷量を見据えた物流拠点「Smart DC」の新規稼働に伴う減価償却費や不動産賃借料の大幅増が生じるため、利益面では減益を計画しておりました。しかしながら、医療現場における感染対策用品の高需要の常態化や研究開発需要を主とするラボラトリー分野の早い回復等があり、売上高は15.9%増の大幅増収、11期連続増収となりました。これによる売上総利益の増加が「Smart DC」のコスト増やのれんの減損損失等の想定外のコストも吸収し、親会社株主に帰属する当期純利益の10期連続増収を達成することができました。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
世界中で需要が急拡大した中で海外品の調達難が懸念された感染対策用品等の調達をいち早く安定化させ、顧客基盤の拡大に繋げられたことや、従前から取り組んでいたEC取引がDX化の潮流にうまく適合したこと等が奏功したと考えられます。
メディカル部門においては、防護服やマスクなど多くの感染対策消耗品が国内においても一時品不足に陥りましたが、新旧様々なサプライヤーと良好な関係を構築しいち早く安定調達を実現し、従来顧客への安定供給を示すことができただけでなく、顧客基盤の拡大にもつなげることができました。
ラボ・インダストリー部門においては、大学や公的研究機関の予算執行状況、民間企業の研究開発動向・設備投資・生産動向等の影響を受けます。当連結会計年度においては、一時期大手企業・大学における在宅勤務の影響から需要が低迷しましたが、研究開発活動や生産活動はコロナ禍下においても堅調に推移しました。当社グループ全体の仕組み(膨大な品揃え、バラ売り、当日発送、システム連携、EC連携等)は、リモート化やDX推進を求める時代の趨勢の中で、求められる一つのソリューションとしてその利用価値が増してきております。特に、他に類を見ない研究機器の品揃えと物流機能とIT力を持ち合わせる当社は、研究機器の集中購買での提供について大きな強みを有しており、eコマース型の集中購買「ocean」の新規連携ユーザーは20社、販売店向けEC支援システム「Wave」の新規連携ユーザーは441社増加しました。
なお、上記の他、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等
当社グループは中期経営計画を策定し公表しており、売上高、営業利益率、ROEの3項目を指標目標としております。同計画(2020年4月~2025年3月)の初年度である当連結会計年度の達成状況は以下のとおりです。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度においては、主な戦略的投資活動として、物流拠点「Smart DC」に設置する物流機器、情報機器、システムなどの設備投資、また、今後の当社グループの提供サービスの多様化を見据え、計算科学シミュレーションを提供するHPCシステムズ株式会社への出資などを実施し、投資キャッシュ・フロー全体では21億円支出しました。
また、配当性向50%の方針の下、前連結会計年度の期末配当金及び当連結会計年度の中間配当金の支払として25億円支出し、長期借入金を24億円返済しております。
これらの資金は、営業キャッシュ・フロー53億円及び長期借入金50億円等により賄い、現金及び現金同等物の期末残高は100億円で、前連結会計年度末比32億円増加しました。
b.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、情報機器や物流機器等の設備投資、システム投資、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することが重要と考えております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等に関しては自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
但し、当連結会計年度においては、期初においてコロナ禍による不透明な経済情勢を踏まえ、長期に流動性を確保するため50億円の長期借入を行っております。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務等を含む有利子負債残高は48億円、現金及び預金の残高は143億円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載しております。
なお、以下の事象については、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと認識しております。
a.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、将来の課税所得を十分に検討し、合理的に見積もっております。将来において、課税所得が予想を下回った場合は、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。
b.退職給付債務及び退職給付費用
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の数理計算上、仮定で設定される計算基礎に基づいて算出されております。実際の結果が当該仮定と異なる場合、又は当該仮定が変更された場合は、退職給付債務及び退職給付費用の計算に影響を及ぼす可能性があります。
c.のれん
当社グループは、のれんについてその効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しておりますが、将来において当初想定した収益が見込まれなくなった場合はのれんの減損処理を行う可能性があります。
当連結会計年度において、この方針に従い、トライアンフ21ののれんについて8億26百万円減損処理を行いました。なお、当該減損処理の過程において同社の事業計画の見直しを行っておりますが、その重要な仮定は、最適購買を提供するソリューションビジネスから得られる手数料売上の成長であり、これは取扱金額及びユーザー数に影響を受けます。
以上の結果、当連結会計年度末現在のれんは計上されておりません。
なお、個別財務諸表においてもトライアンフ21の株式について同様に子会社株式評価損を計上しております。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大の完全収束には一定の期間を要すると考えられ、企業活動の抑制、雇用情勢の悪化が長期化すれば景気後退が見込まれますが、多業種にわたる科学機器や備品を取り扱う当社グループへの直接的な影響は少なく、医療機関をはじめとする感染予防・保護用品の需要は当面続くものと思われます。これらにより、繰延税金資産の回収可能性等の重要な会計上の見積りを行うにあたり新型コロナウイルス感染拡大による影響は限定的であると仮定しています。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
(当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。)
当連結会計年度においては、新商品の開発を中心に研究開発活動のため
なお、当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。