第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針及び経営戦略

当社グループは、「革新と創造」という経営理念のもとで、「顧客満足度の追求」を徹底することにより業容を拡大し、併せて業務の効率化を推進することによって収益力の強化・企業価値の増大を図ることを経営の基本方針としております。

「顧客満足度の追求」につきましては、より多様化するユーザーニーズにきめ細かく対応するために、魅力ある幅広い品揃え、カタログやインターネット等による様々な情報の提供に加え、商品のクイックデリバリーやサポートサービス等、お客様の利便性向上が重要であると考えております。

 

<目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略>

中期経営計画「PROJECT ONE」の推進

当社グループは、2020年度よりスタートした5年間の中期経営計画「PROJECT ONE」を2022年度より残り3年を「PROJECT ONE ver.2.0」としてバージョンアップさせることとしました。この「PROJECT ONE ver.2.0」を基本方針とし、2024年度の達成すべき目標に向け活動していくとともに、その先の将来に向けても成長を継続することができるよう経営基盤の構築に邁進してまいります。

 

[中期経営計画 -Opportunity of Next Evolution-「PROJECT ONE ver.2.0」(2022年度~2024年度)]

①  経営ビジョン

「アズワンは、「科学」・「医療」を中心とした専門分野を主な事業領域とし、顧客が必要とする商品・サービス・情報を提供することで、社会に貢献する企業を目指します」

②  重点戦略

ⅰ.事業成長の加速化

ⅱ.経営基盤の構築

ⅲ.事業育成

ⅳ.資本の有効活用

③  目標とする経営指標

2024年度において、連結売上高1,066億円、連結営業利益率11.7%、ROE(株主資本利益率)11.6%を実現することを目標としております。

 

(2) 経営環境

当社を取り巻く環境としては、以下のような変化が見られます。

ユーザーサイドの発注管理の効率化やコンプライアンスの観点から取引の電子化を求めるニーズが高まってきております。また、電子購買に移行するにあたっても、専門的でかつワンストップで購買ができる品揃えの豊富さやスピーディーに納品できる高度な物流機能が重視されております。さらに、研究開発或いは製造プロセスにおいて機器類の品質を担保するニーズが高まっており、点検・校正などのアフターメンテナンスサービスを求められるケースが増えてきております。一方、利用する様々な機器メーカー毎に、個々に点検や校正を依頼する煩雑さから、管理を一括化したいというニーズが生じております。

海外においては、日本の2~3倍の研究開発費を使う米国や中国、或いはそれに追随する欧州などの広大な研究開発市場があります。また、国内ユーザー企業のグローバル化は伸展し、工場進出先の中国から東南アジアへのシフトや、欧米企業とのアライアンスなど多方面への拡大が見られます。一方、経済安全保障等から保護主義的な経済のブロック化への動きや、新型コロナウイルスによるパンデミック発生により、グローバルなサプライチェーンの寸断を経験し、国内回帰の機運も高まっております。

 

医療業界においては、中長期的に医療費抑制という国を挙げての方向性があり病院の経営環境は引き続き厳しく、病院数、病床数は減少傾向にある一方、クリニックや介護施設は増加傾向にあります。一方、コロナ禍においては病床・医療器材・医療者の不足から医療崩壊の瀬戸際までの経験を経て、サプライチェーンの信頼性が重要度を増しました。今後の新型コロナウイルス感染症の動向は、収束の方向に進むのか、引き続き流行の波が繰り返されるのか、弱毒化していくのか予断を許しません。

社会構造の変化として、人口の高齢化に伴い労働力人口は減少に転じております。また、労働の質という面からは働き方改革という言葉に象徴される効率的な働き方が推奨されております。こうした変化は、例えば物流業界で、人材確保難や労働環境の改善等から配送費等の上昇という形で表出しております。当社グループにおいても、運賃や倉庫作業料の上昇という形で少なからず影響を受けております。

また、シェアリングエコノミーという言葉に代表される、所有から利用へという流れも、研究プロセスにおいて実験機器の所有にこだわるより、機器の利用或いは委託によりアウトプットのみを求めるという形で当業界においても変化していくことが予想されます。

さらに、Society5.0時代のAI(人工知能)やIoT、ロボットなどの新しいテクノロジーは、人の介在を減らし社会に大きなパラダイムシフトをもたらすものと期待されていますが、遠隔操作や非接触を旨とする新型コロナウイルス感染拡大への対応や気候変動や労働環境を含めたサステナビリティの観点からも、ますますこの変化を加速させております。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループは、「科学」・「医療」を中心とした専門分野を主な事業領域としており、研究の成果や医療の提供が持続可能な社会の創造につながると考えております。そのために、当社のプラットフォームを通じて人・モノ・情報・サービスを効率的に繋ぎ、研究者や医療者が様々な課題を乗り越え、目指すアウトプットにより早く到達できるようアシストすることで、社会に貢献してまいります。

 

ⅰ.事業成長の加速化

販売店チャネルの強化

当社は、研究や医療などの専門的な領域において、膨大な数のサプライヤー様から商品調達を行い、それらを掲載した紙カタログを販売店様の営業ツールとして提供してきました。また、在庫や配送といった物流機能を担い、安定供給や効率的な流通網の構築に貢献してまいりました。

昨今ではWEBサイトを通じた情報収集が当たり前になっていることから、当社においても、紙カタログには収容できない630万点を超える多数の商品をWEBサイトで検索・閲覧できるようにしております。これらカタログ非掲載品の売上は年々増加しており、幅広い品揃えがユーザー様に認知・評価され、購買に繋がっているものと考えております。このサイクルをさらに加速するのが、2019年にユーザー様と販売店様を結ぶECプラットフォームとして開設した「Wave」です。

販売店様は「Wave」 を導入することで、当社の幅広い品揃えや在庫情報と直結し、販売店様の独自商材も販売可能な実質的な自社ECサイトを簡単に手にすることが可能です。一方でユーザー様は、商品検索や発注を「Wave」 でワンストップで行うことができ、利便性が高まります。 「Wave」を通じて販売店チャネルの強化を図り、国内最大級の商品情報をユーザー様に直接お届けすることで売上の拡大に繋げてまいります。

 

集中購買事業の強化

大企業を中心にご利用いただいている集中購買「ocean」はユーザー企業の中でアナログ的に分散購買されていた間接資材をECで一括購買する仕組みです。研究用機器・消耗品において国内最大級の品揃えと在庫の確実性を強みに、現在249社にご利用いただいております。研究機材の集中購買に取り組めている大手ユーザーはまだほんの一部であり、顧客層の拡大を図ってまいります。

また、接続によりユーザー様との接点を持つことで、ユーザー様のご要望やお困りごとの相談をいただく機会が増えました。 「ocean」を応用した在庫管理や大学における無人店舗なども行っており、今後も様々なソリューションをデザインし、既存のお客様への深耕も図ってまいります。

 

 

ⅱ.経営基盤の構築

サプライチェーンの強化

当社は、卸売業としてグローバルに約4,000社のサプライヤー様とのお取引があり、このサプライチェーンは当社の強みの源泉でもあります。業界のデータベースとして推進しているSHARE-DBには現在630万点の仕様・画像・取扱説明書・荷姿情報等を取り揃えております。年々増える品揃えは、着実に当社の売上拡大に貢献しており、今後も効率的に拡充しつつ、情報の鮮度を維持していく必要があります。

新年度においては、サプライチェーン統括本部を設置し、マーケティング、在庫管理、商品データベース管理、物流企画等サプライヤー様との接点となる部門を一本化しました。当初の中期経営計画の目標は2025年3月期に700万点でありましたが、今般目標を1,000万点に引き上げました。組織的統一的に対応を進め、スピードアップと内容の充実を図ってまいります。

 

物流戦略

また、サプライチェーン統括本部にはデータ分析を行う機能を集約しております。強化すべき商品群や、在庫最適化をさらに進め機会ロスの削減に努めてまいります。

そして、機会ロスを回避するためには売れる商品の在庫スペースの拡大や入出荷能力の拡大が必要になってまいります。2年前に売上高の拡大に備えて千葉市にSmart DCを開設し、当時から5年程度の入出荷は賄える計画でありました。しかしながら、売上高は当初の中期経営計画を1年程度前倒しで推移しており、今後の継続的な成長を見据えて物流能力拡充の早期化も視野に入れる必要が生じてまいりました。

責任ある流通のハブとして、業容の拡大や入出荷量拡大の状況を見ながら、より安全で効率的な物流を目指して能力拡充の準備を進めてまいりたいと存じます。

 

ⅲ.事業育成

海外事業の強化

海外事業については、2年以上にわたってコロナ禍が世界を覆い、渡航制限やロックダウンなどにより日本国内以上に制約の多い環境が続いております。こうした中でも、中国現地法人においての在庫を持つ優位性やリモート技術の活用、そして取扱商品点数195万点の多言語サイト「AXEL_GLOBAL」等の活用で成長してきました。

今後について、中国においては、先行する日本での取扱いアイテムを中国サイトであるasonlineへの中国語での展開を進め、同時に現地オリジナル商品の開発を強化し、現地ECプレイヤーや企業集中購買への連携を強化してまいります。

海外への輸出についても、海外市場向け商品の開発を促進し、現地で当社商品を在庫する現地パートナーの育成、ECプレイヤーとの協業等により、売上の拡大を図ってまいります。

 

提供価値の向上

新年度より、お客様にアズワンを通じてモノやサービスをご利用された際にどう感じていただくか、会社の提供価値をどう体験していただくかをデザインする部署としてUX(User eXperience)デザイン部を設置しました。AXELをはじめとしたWEBショップや、研究者のための情報サイト「Lab BRAINS」等においてもお客様との接点が増えており、より支持される提供価値を創出してまいります。

 

長期的な取り組み

当社は、大阪中之島に再生医療をはじめとした未来医療の国際拠点を推進する一般財団法人未来医療推進機構の設立に参画しており、2024年に開設予定の医療機関と企業、スタートアップ、支援機関等が一つ屋根の下に集積する未来医療国際拠点に入居する予定です。ここでは、再生医療向けに高度な品質管理に則った資材調達が必要であり、当社の強みを活かして特徴あるソリューションを提供していきたいと考えております。

 

 

ⅳ.資本の有効活用

保有資産の効率化

当社グループは自社在庫に加えて、サプライヤー様在庫の見える化を推進しております。このようにキャッシュコントロールしながらお客様満足度の追求を推進しております。また、当連結会計年度で遊休不動産の売却を行いましたように、今後も継続して保有資産の効率化を進め、資産効率の向上を目指してまいります。

 

収益性の向上

当社グループは、卸でありながら10%以上の営業利益率を確保してきており、高い収益性を維持しつつ売上を拡大させていく「成長と収益のバランス」を重視しております。今後も成長への投資を続けながらも高い収益の確保・拡大に努めてまいります。具体的には、データドリブンを活用した機動的で最適なプライシング、最適ロット調達、調達送料などを加味した原価の最適化にも取り組んでまいります。加えて、オリジナル商品の収益性の向上、付加価値の高い自社サービス事業の拡大等により粗利率の向上を目指してまいります。

また、DX推進部による社内オペレーションのデジタル化の強化、運営効率の高いeコマースの拡大、物流オペレーションの効率化などにより、間接コストの低減にも努めてまいります。

これらにより、高い水準を維持しつつ、中長期的な収益性の向上を目指してまいります。

 

企業価値の向上

当社グループは、資本効率を意識して資金配分・株主還元を検討し、効率的かつ積極的な成長投資を行い、一株当たりの利益を高めてまいります。また、資本コストを意識し、ROE(株主資本利益率)を高めることで、株主価値の向上に努めてまいります。

また当社は、社会への貢献度が高く当社に関わった方々がその大切な人に薦めたくなるような働き甲斐のある「良い会社」になることを目指して事業運営を行っております。こうした、ESGに関わる非財務情報もさらに開示を充実させ、ご評価いただけるよう努めてまいります。

 

コロナ禍や世界情勢の目まぐるしい変化により、今後の見通しが難しい今日でありますが、「革新と創造」という企業理念のもと、変化をチャンスと捉えて新しいことにチャレンジし、新しい仕組みを作り出すことにより、社会に価値を提供し続ける会社として発展させてまいります。

 

2 【事業等のリスク】

以下では、有価証券報告書提出日現在において当社が判断した、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループでコントロールできない外部要因や必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断上重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスクの発生可能性を十分に認識した上で、リスク回避の施策を実施し、また発生した場合には的確な対応を行うための努力を継続してまいる方針でありますが、当社株式に関する投資判断、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の事項及び本書中本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありません。

 

(事業リスク)

(1) 当社グループの事業内容に関するリスク

当社グループは、各種研究所、研究機関、生産施設、医療施設等において使用される科学機器、備品等の卸売を主たる事業としております。事業の形態といたしましては、国内約13,000拠点の科学機器や医療・介護関連機器の販売店様に対し商品カタログ等を提供し、販売店様がこのカタログをユーザー様に配布して営業を行い、販売店様が当社に注文を出し、当社から販売店様へ商品を届けるカタログ販売の形態をとっております。

商品の仕入は、当社グループ全体で約4,400社のサプライヤー様から仕入れ、一部商品については、当社ブランドの商品を生産委託しております。このように、当社グループの事業は販売店様、サプライヤー様等の多くの取引先の協力によって支えられております。従って、取引先の経営状況の変化等によって取引先から協力が得られない事態になった場合は、販売チャンスを逸したり商品の仕入に支障を来したりするなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、このような事態を回避するため、取引先の経営状況の把握に努め、特定取引先に依存することのないように多数の取引先に取引を分散しております。

 

(2) 競合に関するリスク

理化学機器や医療用品等を販売店に卸す当業界は、大小さまざまなメーカー、商社が激しい競争を行っております。当社グループといたしましても、カタログ及びWEBを通じた幅広い品揃え、「ビーカー1つ」でもすぐに納入できるクイックデリバリー体制の構築及び情報機能強化等を図り、競合他社との差別化に努め、売上の拡大を図っております。しかしながら、競合先も、価格、サービス等それぞれの得意分野を活かした業容拡大を図っており、当社グループが即応できないサービスを提供する競合先が現れる可能性があり、当社グループが対応できない速さでその支持が広がり、当社グループの提供する価値が極端に魅力を失った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、このような事態を回避するため、品揃えの拡充をはじめとして他社の追随を許さない利便性の向上に努めております。

 

(3) eコマースの推進に関するリスク

現在の当社グループの成長を最も牽引している施策はeコマースの推進です。しかしながら、通信やインターネット利用に関する何らかの技術革新やユーザー様の物品購買習慣の変容等により、価格競争に巻き込まれる、または利便性の高い流通の仕組みが開発される可能性があります。当社グループが対応できない速さでその支持が広がり、当社グループの提供する価値が極端に魅力を失った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、このような事態を回避するため、専門性の高い商品の業界随一の品揃えとIT力と物流力の融合で差別化を図り、ITや通信技術情報にアンテナを張り最新の技術動向を把握するとともに、サービスなどの人と人との関わりも兼ね備えた付加価値の高いeコマース事業としてのブランドを確立すべく努力しております。

 

 

(4) 海外展開に潜在するリスク

当社グループは、世界30ヶ国以上の国や地域から商品を調達し販売しております。また、中国や米国にて現地法人を設立し営業をしております。これらの海外への事業展開には以下に掲げるようなリスクが内在しております。

①  予期しない法律または規制の変更

②  予期しない不利な政治的または経済的要因の発生

③  人材の採用と確保の難しさ

④  未整備の技術インフラが、当社グループの商品やサービスに対する顧客の支持を低下させる可能性

⑤  為替相場の変動

⑥  災害、テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱

これらにより、商品の供給等に支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、このような事態を回避するため、現地法人や専門部署における情報収集を図り対応をしております。為替リスクについては、為替予約により変動リスクを最小限にとどめる努力をしております。

また、当社グループにおける海外売上は連結売上高の5%程度です。当社単体売上高に占める海外直接仕入品の割合は20%弱です。国別では中国が5.7%、マレーシア4.1%、台湾2.6%、その他30ヶ国以上の国や地域に分散しリスクの低減に努めております。

 

(5) サービス事業推進に関するリスク

当社グループは、研究者に対する物販のみならずレンタルや校正などの研究にかかわる様々なサービスを提供する事業の強化を図っております。しかしながら、サービス分野における知名度の低さや既存のサービス提供者との競争により想定通りに事業拡大できない可能性があります。また、サービス事業の展開にはレンタル品や校正機器の購入などの先行投資が発生します。一部の投下資本の回収に想定以上の時間を要する可能性があります。

当社グループは、このような事態を回避するため、理化学機器の物販により培った顧客基盤をベースに、物販とともにワンストップでサービスを利用できるよう利便性を高めるほか、納期の短縮や価格競争力の強化などを図っております。また、レンタルについては、レンタル商品の拡充に際し価格と回転数を十分に考慮しながらレンタル品の拡大を図っております。

 

(財産リスク)

(6) 在庫リスク

当社グループは、2022年3月期連結貸借対照表において棚卸資産として81億71百万円を計上しており、総資産に対する比率は8.5%となっております。また、お客様の利便性を重視し高い受注即日出荷率を信条としており、受注後直ぐに出荷できるよう予め受注を予測して在庫を保持しております。しかしながら、販売状況が想定していたものと大きく異なる結果となった場合には、棚卸資産の評価減等を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、このような事態を回避するため、適正在庫水準の維持を図るべく、一定期間受注のない商品や過剰な量の商品について定期的に把握し不稼働在庫の圧縮に努めております。また、輸入商品やプライベートブランド商品など比較的まとまった量を仕入れる必要がある場合には慎重な検討を経て実施しております。

 

(7) 固定資産の減損リスク

当社グループは土地、建物及び投資不動産などの固定資産を保有しております。現時点で必要な減損等の処理は実施済みですが今後これら資産の時価の下落、収益性の低下が認められる場合には減損損失を認識する必要が生じます。

当社グループはこのような事態を回避するため、これらの取得に際し慎重な検討を行い、取得後は時価のあるものは時価を含めその収益性を継続的に確認しております。

 

 

(8) 有価証券等の価格の変動に関するリスク

当社グループは、他社との事業上の関係等を維持、促進する目的または資産運用の目的で、2022年3月期連結貸借対照表において有価証券及び投資有価証券を223億11百万円保有しており、総資産に対する比率は23.2%となっております。

しかし、かかる投資有価証券について、経済環境や金融市場環境の変化等により市場価格が変動した場合に、元本・利息の回収ができなくなった場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、このような事態を回避するため、事業上の関係等の維持・促進を目的とした有価証券は発行体とのコミュニケーションを密にして情報収集に努め、純投資における株式は長期的に減らしていく方針であり、運用目的の債券は一定の格付以上で業種や銘柄を分散して運用しております。

 

(9) 年金運用リスク

当社グループでは従業員の将来の退職給付に備え、毎月一定額を外部の運用機関に拠出し年金資産として運用を委託しております。運用成績については一定の期待収益率を見積もっておりますが金融市場の変動等によりその成績が急激に悪化する場合があります。

当社グループでは、このような事態を極力回避するため、運用委託先に対しボラティリティの低い商品群による運用を指示しております。

 

(外部要因リスク)

(10) 景気変動リスク

当社グループは日本国内での売上高がグループ売上高の95%程度を占めております。また、国内における研究費の70%前後が民間企業の拠出であり、当社グループの業績は、日本国内の景気変動の影響から切り離すことはできません。

特に、民間企業の生産現場向けの需要は、直接的に景気変動の影響を受けやすいフィールドとなります。但し、研究開発向け需要は大学や公的研究機関など産業界とは別の市場でもあることや、一般的に景気に左右されず研究開発を続けることが民間企業の競争力の維持につながることから生産現場ほど景気変動に敏感ではありません。しかしながら、民間の研究開発費が大幅に減退する事態になれば、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの売上高は概ね60%前後が大学の研究室や企業の研究開発部門向け、20%前後が企業の民間生産現場向けの理化学機器の売上であり、20%前後が医療機関や介護施設向けの医療・介護用品の売上で構成されております。景気変動と連動しない医療機関向けのフィールドを持つことで、景気変動の影響を軽減させております。

 

(11) 未知の感染症の拡大に関するリスク

新型コロナウイルス感染拡大への各国の対応に見られるように、ワクチンや特効薬がない感染症が拡大し、対応策として外出制限を含めた人と人との接触を断つことを最優先とせざるを得ない状況になった場合は、企業の生産活動や研究活動が制限される可能性があります。それらの活動が極端に抑制され長期間に及んだ場合は、ラボ・インダストリー部門の業績に影響を及ぼします。また、国内に限らず世界でも蔓延している場合は、一部の商品の世界的需要過多による供給不足の発生、サプライヤー様側の生産活動の抑制・停止や各国の輸出制限措置等により、商品の調達に支障を来たし、お客様に求められる商品の供給ができず、部門を問わず当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、このような事態においても、医療機関を下支えする卸売業としての社会的責任を負っており、物流センターの操業が許される限り、衛生管理の徹底を図りながらテレワーク体制によるBCPプランを実行し、医療機関への医療用品の供給を継続できる体制を敷いております。

 

 

(12) 災害や停電に関するリスク

当社は、千葉市、大阪市、埼玉県北葛飾郡及び福岡県朝倉市に物流センターを設置しております。これらの施設において地震や津波等の災害、停電、その他の操業を中断する事象が生じた場合、商品の出荷能力が著しく低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、商品の調達に一部支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、このような事態が生じた際の影響を軽減するために、いずれかの施設の操業が不能になった際に他の施設でバックアップして出荷対応するBCPプランを作成しております。

 

(その他リスク)

(13) 商品に関するリスク

当社グループは、商社という特性から大半の取扱商品は他社ブランド品でありますが、当社グループが輸入した商品及びプライベートブランド商品も取扱っております。従って、予想外のリコールや製造物責任賠償につながるような問題が生じた場合は、賠償等の多額のコストの発生や、当社グループの社会的評価の低下を通じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、このような事態を回避するため、国内事業所においてISO9001の認証を取得し、品質マネジメント体制の構築に取り組んでおり、また、製造物責任賠償については、保険に加入しております。しかしながら、この保険が最終的に負担する賠償額を充分にカバーできない場合もございます。

 

(14) 情報システムに関するリスク

当社は、受注から出荷までを一連の情報システムによって運営しております。また、受注は主に販売店経由で、その約8割がインターネットをはじめとする電磁的方法により注文を受け、受注業務の効率化を図っております。

しかしながら、情報システム関連の技術革新は著しく、基幹システム、ネットワークの障害及び情報の改ざん・破壊・漏洩等を完全に予防または回避することが困難な場合もあり、万が一かかる事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、このような事態を回避するため、情報システム関連の技術革新に適応すべく継続的に情報投資を実施しております。また、万一の事態に備え、耐震性等に優れたデータセンターを利用することに加え、重要な設備の冗長化を図り、不正アクセスやコンピュータウィルスを防御するセキュリティー対策も講じております。

 

(15) 法的規制等に関するリスク

当社グループは、事業運営において薬機法、建設業法、計量法、古物営業法、電気用品安全法、食品衛生法、毒物及び劇物取締法、貨物利用運送事業法、倉庫業法、外国為替及び外国貿易法、下請代金遅延等防止法、個人情報保護法、製造物責任法等関係諸法令により様々な法的規制等の適用を受けております。そのため、これらの法的規制等が変更または新設された場合や当社グループの活動がこれらの法的規制等に抵触した場合、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、このような事態を回避するため、各責任部門においてこれら法的規制等の情報収集を行い法令順守に努めるとともに、弁護士事務所と顧問契約を締結し、都度指導を仰いでおります。

 

 

(16) 気候変動・環境に関するリスク

地球環境問題への対応は、企業市民として避けることのできない重要事項と認識しております。環境負荷の低い商品の取扱いへの移行や脱炭素社会への取り組みが遅延した場合、当社グループの社会的評価の低下につながる可能性があり、ひいては業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、環境問題への取り組みとして、国内事業所において環境マネジメントシステムとしてISO14001の認証を取得し事業活動に組み込んでおります。

また、気候変動による自然災害が増加する傾向にあり、物流センターの運営や情報資産へのリスクが想定されますが、(12) 災害や停電に関するリスクや(14) 情報システムに関するリスクに合わせて記載しております。

 

<リスクの発生可能性・影響度>

事業内容に関するリスク

eコマースの推進に関するリスク

災害や停電に関するリスク

情報システムに関するリスク

 

景気変動リスク

海外展開に潜在するリスク

未知の感染症の拡大に関するリスク

競合に関するリスク

サービス事業推進に関するリスク

気候変動・環境に関するリスク

法的規制等に関するリスク

固定資産の減損リスク

有価証券等の価格の変動に関するリスク

年金運用リスク

在庫リスク

商品に関するリスク

 

 

 

 

発生可能性

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況は次のとおりであります。

なお、当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。

なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。それに伴い、前連結会計年度と収益認識に関する会計処理が異なっておりますが、以下の状況の分析については、異なる会計処理のまま増減額及び前年同期比(%)を記載しております。なお、これに伴う売上高への影響は軽微であります。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。

 

①財政状態及び経営成績の状況

イ.財政状態の状況

(資産の部)

当連結会計年度末の流動資産は、599億4百万円(前連結会計年度末比11億82百万円増)となりました。これは主として現金及び預金が43億71百万円増加した一方、有価証券が満期償還により30億円減少したこと、棚卸資産が8億3百万円減少したこと等によるものです。

固定資産は、362億円(同6億97百万円増)となりました。これは主として投資有価証券が時価評価等により16億55百万円増加した一方、物流機器の減価償却進行、遊休不動産の売却等により有形固定資産が8億44百万円減少したこと等によるものであります。

 

(負債の部)

当連結会計年度末の流動負債は、257億21百万円(前連結会計年度末比1億25百万円増)となりました。これは主として売上の増加に伴う仕入債務の増加により支払手形及び買掛金が4億18百万円増加した一方、未払法人税等が5億36百万円減少したこと等によるものであります。

また、固定負債は、42億29百万円(同16億37百万円減)となりました。これは主として長期借入金が16億円減少したこと等によるものであります。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産は、661億54百万円(前連結会計年度末比33億92百万円増)となりました。これは主として利益剰余金が36億54百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金が5億1百万円減少したこと等によるものであります。

 

ロ.経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスワクチンの接種進展による景気回復への期待が高まる一方で、度重なる変異株の感染拡大、半導体不足や資源高などによる世界的な供給制約等によりインフレが懸念される中で、年度末には米国の金融引き締めやロシアによるウクライナ侵攻が勃発し先行き不透明感が一層高まる情勢となりました。

 

 

このような事業環境のもと、当社グループの連結売上高は、869億54百万円(前期比6.6%増)となりました。この要因としては、当社の主たるマーケットである研究や生産の現場において、コロナ禍に伴う停滞が顕著であった前年度上期の反動増に加え、経済活動の復調を反映し、官民ともに需要が活発であったことが挙げられます。また、コロナ禍に伴う行動変容により、特に集中購買等のDXに繋がるeコマース関連での需要が伸張していることや、WEB上の取扱商品が630万点を超え新規商材の拡大が売上に寄与していることも挙げられます。なお、前年度に年間約30%増と急伸した感染対策用品の売上高は相応の反動減が想定されましたが、前期比6.6%減にとどまり底堅い需要が続きました。

 

(中期経営計画-PROJECT ONE-における主要売上施策の進捗状況)

中期経営計画で掲げる主要売上施策は以下のとおり推移しました。

 

2021年度の

期初目標

(百万円)

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

(百万円)

前年同期比

(%)

期初目標比

(%)

eコマース

17,838

16,123

20,338

126.1

114.0

海外事業 ※

4,180

3,720

4,585

123.2

109.7

合計

22,018

19,844

24,923

125.6

113.2

 

※海外事業の約7割は中国現地法人の売上ですが、現地法人事業年度が1~12月のため、現地における1~12月の売上高を連結しております。

 

eコマースでは、ネット通販会社向けや「AXEL Shop」等のオープンサイト系ECチャネルにおいて、感染対策用品を中心に急拡大した前年の反動があるものの、掲載商品の拡大や顧客数の増加が寄与し、当連結会計年度の売上高は前期比21.5%の増収となりました。一方、大手向け集中購買システム「ocean」や販売店支援型ECシステム「Wave」といったクローズサイト系ECチャネルにおいては、コロナ禍の影響を受けた前年の反動増に加え、官民の経済活動の復調やDX化の潮流にマッチした当社システムを利用するエンドユーザーの増加が寄与し、当連結会計年度の売上高は同30.6%の大幅増収となりました。

海外事業では、中国において、コロナ禍の影響を受けた前年の反動増、日系顧客の工場新設に伴うまとまった受注の獲得、さらに人民元高の影響等も加わり同22.3%の増収となりました。日本からの中国以外のアジア地域等への輸出は、海外渡航が難しいなか、「AXEL_GLOBAL」や「Wave_GLOBAL」の充実及び現地販売店とのリモートコミュニケーション強化等に努め、同30.3%の増収となりました。

 

一方で収益性については、継続的に消費される感染対策用品の一部において既存在庫分の収益性が悪化し、売上高総利益率の低下を余儀なくされました。しかしながら、同商品群の販売が進むにつれ正常な収益性の新規在庫に入れ替わり、売上高総利益率は第2四半期連結会計期間を底に急速に回復を見せております。

 

販売費及び一般管理費については、162億2百万円(同1.0%増)と前期比1億67百万円増加しました。増加要因は、運賃及び倉庫作業料が入出荷量増加に加え労務単価上昇等に伴い5億3百万円増となったこと、人件費が人員増等により1億43百万円増となったこと等であります。一方、前期に発生した物流拠点(Smart DC)稼働に伴う移転費用や、子会社ののれん償却費は無くなっております。

 

この結果、営業利益は93億41百万円(同5.6%減)、経常利益は95億68百万円(同6.1%減)となりました。

一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、財務体質の健全性と効率性の観点から、固定資産売却益等の特別利益の計上があり72億2百万円(同20.3%増)と大幅な増益となりました。

 

期初においては、コロナ禍2巡目の年となり見通しを持つことが難しいなかスタートしましたが、当社グループが今社会にできることに懸命に対応した結果、売上高は12期連続増収、親会社株主に帰属する当期純利益は11期連続増益を達成することができました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ43億71百万円増加し、144億27百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、88億40百万円の資金収入で、前連結会計年度に比べ収入が34億58百万円増加しました。これは主として売上債権の増減額による支出が41億44百万円減少し、棚卸資産の増減額による支出が27億76百万円減少した一方、仕入債務の増減額による収入が19億89百万円減少したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、5億91百万円の資金収入(前連結会計年度は21億16百万円の資金支出)となりました。この収入の増加は、主として投資有価証券の取得による支出より償還による収入が12億69百万円上回ったこと、有形固定資産の売却による収入が9億51百万円生じたこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、51億62百万円の資金支出(前連結会計年度は11百万円の資金収入)となりました。この支出の増加は、主として長期借入れによる収入より返済による支出が42億円下回ったこと、配当金の支払額による支出が9億76百万円増加したこと等によるものであります。

  

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

自己資本比率(%)

67.0

67.5

69.2

66.5

68.7

時価ベースの自己資本比率(%)

162.6

208.5

218.0

275.9

281.7

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)

1.1

0.4

0.4

0.9

0.4

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

75.7

198.7

339.7

529.3

3,033.1

 

a.各指標の算出方法は以下のとおりであります。

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

b.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

c.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(期末自己株式数控除後)により算出しております。

d.営業キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

e.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

f.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

 

③生産、受注及び販売の状況

当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。売上高における生産実績、部門別販売実績、品目別販売実績は以下のとおりです。

 

イ.生産実績

当連結会計年度の生産実績は、無塵化洗浄加工商品及びプラスチック容器の生産実績であり、8億49百万円(前期比12.7%増)となりました。

 

ロ.受注実績

当社グループの事業内容は、当日出荷を基本とする事業の性格上、受注実績と販売実績に特筆すべき差が生じないため、当該記載を省略しております。

 

ハ.部門別販売実績

当連結会計年度の販売実績を部門別に示すと、次のとおりであります。

 

 

部門

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

(百万円)

前年同期比

(%)

ラボ・インダストリー部門

60,137

68,036

113.1

メディカル部門

21,049

18,408

87.5

その他

420

509

121.1

合計

81,606

86,954

106.6

 

(注) その他は株式会社トライアンフ・ニジュウイチのシステム利用料売上であります。

 

 

a.ラボ・インダストリー部門

大学、研究機関及び企業の研究部門等を対象とするラボラトリー分野では、経済活動の復調を反映し、分析特殊機器や汎用器具・消耗品等が増加しました。特に、大手顧客を中心とした集中購買システム経由の売上高は前期比20億86百万円増加し28.4%増と当分野の成長を牽引しました。これらにより当分野の売上高は512億36百万円(同14.5%増)と好調に推移しました。

また、製造現場等を対象とするインダストリー分野は、同じく経済活動の復調を反映し、順調に需要を取り込むことができました。特に、集中購買システム及びネット通販会社経由の売上高は合わせて同7億7百万円増加し19.6%増となりました。これらにより当分野の売上高は167億99百万円(同9.1%増)となりました。この結果、当部門の売上高合計は680億36百万円(同13.1%増)となりました。

  

b.メディカル部門

医療機関や介護施設等を対象とするメディカル部門では、期初において、前期にコロナ禍対応で50%超の急成長を見せたことから相応の反動減が想定されました。しかしながら、顧客基盤の拡大や医療用品総合カタログを更新し品揃えの拡充に努めたことに加え、医療機関における感染対策の常態化を反映し、売上高は想定以上の水準で推移しました。この結果、当部門の売上高は184億8百万円(同12.5%減)となりました。

なお、コロナ禍以前である前々期との比較では2年で33.6%増と底堅く推移しております。

 

 

c.その他

子会社の株式会社トライアンフ・ニジュウイチは「OffSide」システム等により理化学機器・消耗品等のWEB購買業務代行サービスを運営しております。

主力である製薬企業における購買需要が回復していること、新規事業として開発していた間接費用全体の最適購買代行を提供する「C3-OffSide」システムをサービス開始したこと等から、当部門の売上高は5億9百万円(同21.1%増)となりました。

 

ニ.品目別販売実績

当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

2021年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

(百万円)

前年同期比

(%)

科学機器・装置

 

 

 

 

汎用科学機器・装置

8,106

9,491

117.1

 

分析、特殊機器・装置

15,206

17,040

112.1

 

物理、物性測定機器・装置

4,320

4,919

113.9

 

実験用設備機器

7,484

8,627

115.3

 

小計

35,117

40,078

114.1

科学器具・消耗品

 

 

 

 

汎用器具・消耗品

18,962

20,638

108.8

 

半導体関係特殊器具

8,634

8,642

100.1

 

小計

27,596

29,280

106.1

看護・介護用品

18,472

17,085

92.5

その他

420

509

121.1

合計

81,606

86,954

106.6

 

(注) その他は株式会社トライアンフ・ニジュウイチのシステム利用料売上であります。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在にて判断したものであります。

 

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当社グループの当連結会計年度の経営成績

当社グループの当連結会計年度の経営成績は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。当連結会計年度においては、前期に急伸したメディカル部門の調整があった一方、ラボ・インダストリー部門が13.1%増収と順調に推移したこともあり、連結売上高は869億54百万円(前期比6.6%増)となり、過去最高を更新しました。

営業利益は93億41百万円(同5.6%減)、経常利益は95億68百万円(同6.1%減)と前期に続く過去2番目の成績となり、親会社株主に帰属する当期純利益は72億2百万円(同20.3%増)と過去最高を更新しました。

 

b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

ロシア・ウクライナ情勢は、当社においては両国と取引はなく、直接的な影響はないものの、この情勢から生じる政情不安や資源高などが供給制約や景気の下押しに作用すると間接的に当社業績に影響が生じることは考えられます。

ラボ・インダストリー部門においては、大学や公的研究機関の予算執行状況、民間企業の研究開発動向・設備投資・生産動向等の影響を受けます。当連結会計年度においては、緊急事態宣言下で経済活動が停滞した前期の反動もあり、研究開発活動や生産活動は比較的堅調に行われ需要の増加につながりました。当社グループ全体の仕組み(膨大な品揃え、バラ売り、当日発送、システム連携、EC連携等)は、リモート化やDX推進を求める時代の趨勢の中で、求められる一つのソリューションとして利用価値が増してきております。特に、他に類を見ない研究機器の品揃えと物流機能とIT力を持ち合わせる当社は、研究機器の集中購買システムでの提供について大きな強みを有しており、eコマース型の集中購買システム「ocean」や販売店向けEC支援システム「Wave」の新規連携ユーザーは順調に増加いたしました。DX化の潮流は今後も続くものと思われ、これらの仕組みは当社の業容拡大に今後も寄与していくものと考えております。

メディカル部門においては、コロナ禍2巡目となった当連結会計年度は、前期に急伸したコロナ禍対策需要の落ち着きを予想しておりましたが、想定よりも需要の縮小は少なかったものの、下半期からその傾向が見られました。また、一部感染対策用品については、市場価格の乱高下の影響から過年度に調達した在庫の原価を売価が下回る事象も生じ、一時的に採算性の低下を余儀なくされました。これらの需要や採算性の調整は当連結会計年度で済み、翌年度以降の影響はかなり薄まったものとなると考えております。コロナ禍の中での安定供給の信頼性から顧客基盤の拡大も図れており、今後も継続的に業容を拡大させてまいります。

なお、上記の他、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2  事業の状況  2  事業等のリスク」に記載しております。

 

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等

当社グループは中期経営計画を策定し公表しており、売上高、営業利益率、ROEの3項目を指標目標としております。同計画(2020年4月~2025年3月)の2年目である当連結会計年度の達成状況は以下のとおりです。

期間(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

指標

 

中期経営計画

期初年度計画

 

当連結会計年度

(実績)

自己評価

売上高

776億円

827億円

869億円

営業利益率

10.1%

11.2%

10.7%

ROE(自己資本利益率)

9.0%

10.3%

11.2%

 

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度においては、建物、情報機器、レンタル品及びソフトウエア等の設備投資に10億円支出し、配当性向50%の方針の下、前連結会計年度の期末配当金及び当連結会計年度の中間配当金の支払として35億円支出し、長期借入金を16億円返済しております。

これらの資金は、営業キャッシュ・フロー88億円及び資本効率の観点から行った遊休資産の売却や純投資株式の処分等により賄い、現金及び現金同等物の期末残高は144億円で、前連結会計年度末比43億円増加しました。

 

b.当社グループの資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、情報機器や物流機器等の設備投資、システム投資、M&A等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することが重要と考えております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等に関しては自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

当連結会計年度末における借入金及びリース債務等を含む有利子負債残高は32億円、現金及び預金の残高は187億円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、以下の事象については、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと認識しております。

 

・繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、将来の課税所得を十分に検討し、合理的に見積もっております。将来において、課税所得が予想を下回った場合は、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。

 

なお、新型コロナウイルスの感染拡大の完全収束には一定の期間を要すると考えられ、企業活動の抑制、雇用情勢の悪化が長期化すれば景気後退が見込まれますが、多業種にわたるお客様に科学機器や備品を販売する当社グループへの直接的な影響は少なく、医療機関をはじめとする感染予防・保護用品の需要は当面続くものと思われます。これらにより、繰延税金資産の回収可能性等の重要な会計上の見積りを行うにあたり新型コロナウイルス感染拡大による影響は限定的であると仮定しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

5 【研究開発活動】

(当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。)

当連結会計年度においては、新商品の開発を中心に研究開発活動のため17百万円を計上いたしました。

なお、当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。