第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、事業の拡大と収益性の向上を目指し、また、将来のグループの収益の柱となる事業の創造を積極的に行うことにより、当社の企業価値ひいてはステークホルダーの共同の利益向上を目指し、多数の投資家の皆様に当社株式を長期継続して保有していただくため以下の施策を実施しております。

 

経営理念及び経営の基本方針について

当社の経営理念は「人が好き、車が好き」を合言葉に「ヒューマンカーライフの創造を通じ社会に貢献する」ことを念じています。

①サービスステーション(略称SS)との接点〈取引〉の維持・拡大を目指します。

②既存の事業にとらわれない分野への投資及び新規事業開発に取り組んでまいります。

③人財の開発と育成に取り組んでまいります。

④ESG経営を推進いたします。

 

(2)中長期的な経営戦略

①基本営業の徹底によるSS内及びSS数シェア拡大

構造的需要減による総SS件数減少によって、当社グループの実取引数も減少傾向にありますが、基本営業(顧客ごとの要望を聞き入れたカスタマイズ提案と定期的な受注・配送目的の訪問ではなく、当社独自の付加価値情報を提供し当社のブランド力を高める定期訪問PLUSという独自の営業戦略)を徹底することによる信頼・信用・提案力といった当社のブランド力を武器に、SS内での取引アイテム数拡大及び、減少傾向にある実取引数の維持拡大を図ってまいります。また、石油元売各社及びSSとの連携を強化しカーメンテナンスの拡充を図ってまいります。

②中核事業の創出

既存事業であるSS市場へ更なる営業特化を行い、業績維持・拡大を目指します。同時に他業者との提携や既存メーカ-との新商品開発等に加え、新たな分野であるCASEやMaaS等、既存の事業にとらわれない分野への投資及び新規事業開発にも取り組み、新しい市場を開拓し持続的成長を目指してまいります。

③人材育成

持続的成長を見据えた人材確保のため、経営幹部の育成、抜擢及び社員の待遇改善(勤怠・給与・職場環境)に取り組みます。また、営業セールスのスキルは、当社グループの競争力強化や同業他社との差別化に直結することから、インナ-ブランディングで組織を強化し、加速する市場変化を的確に捉え、業務の質や効率の向上を目指してまいります。

④ESG経営

サステナブル経営の実現には、企業理念を礎に長期的なあるべき姿であるビジョンを策定し、その実現に向けた課題の設定を行います。中期経営計画・単年度計画に基づいたESGを意識した事業推進を行い、事業推進の結果をどのような社会課題へ貢献するかをSDGsとの関係性を整理しながら検討し、価値創造ストーリーを構築することで最終的な企業価値の向上を図ります。

 

(3)経営環境

SS業界は、原油価格の高騰、継続する物価高、低燃費車両の増加等により燃料販売は減少を余儀なくされたものの、政府による燃料補助金によって、SS業界全体ではある程度の利益が確保できている状態であると推定されます。しかしながら、SSにおけるメンテナンス(点検整備)による収益は、物価高によるユーザーの買い控えやSSスタッフ数の問題等により引き続き減少傾向にあり、今後も厳しい市場環境が続くものと予想されます。一方、ユーザーの自動車保有期間の増加が見込まれていることから、メンテナンスの必要性は高まっております。

今後、アメリカ政府の関税政策により世界の景気が悪化し原油の需要が低迷するとの見方が強まり原油価格の下落が見込まれておりますが、政府による燃料補助金も2025年4月17日から23日まで0円になるなど縮小・撤廃されていく中、利益確保のためのSSにおける事業の多角化、カーケア収益への再取り組みの必要性は増しております。このような環境の中、当社グループの販売するカーケア関連商品におきましては、ICE(内燃エンジン)車、BEV車にかかわらず、顧客の要望を聞き入れた、他社にまねのできない高付加価値な提案、供給を継続していくことで車両故障、事故を未然に防ぐだけでなく、環境配慮についても貢献してまいります。また、石油元売各社及びSS、仕入先と連携しながら、新たな分野であるCASEやMaaS等に関連した事業に取り組むことでSS業界、ひいてはモビリティ社会に貢献してまいります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループはSS業界だけでなく、モビリティ社会の動向に対しても柔軟に対応できる体制を構築することが今後の課題であります。

これに対処すべく、当社グループは以下の項目の強化が課題と捉えております。

なお、原材料やエネルギー価格をはじめとした物価の上昇、アメリカ政府による関税政策等による米中対立の激化、長期化するウクライナ情勢と中東情勢の地政学的リスクから、国内外の経済は今後も先行き不透明な状況が続くことが予想されます。

 

事業の維持・拡大と収益性の向上

SS業界においては、1990年代から石油製品の輸入自由化による価格競争の激化、地下貯蔵タンク問題、経営者の高齢化や後継者不足、労働者不足による廃業、石油元売各社の統廃合、燃費の向上によるガソリン需要の減少等により、SS業界の縮小が続いておりますが、石油元売会社、SS、仕入先等の関係各社と連携を強化することで市場変化に迅速に対応してまいります。また、当社ビジネスの基軸である基本営業(当期行った新基本営業を標準化し基本営業とします)を継続し、「インナーブランディング」・「アウターブランディング」の二つのブランド戦略を効果的に機能させシェアアップを図り、既存事業の維持・拡大と収益性の向上を目指してまいります。また、新たな分野であるCASEやMaaS等、既存の事業にとらわれない分野への投資及び新規事業開発に取り組み、将来の中核事業とするため、基盤の強化を図ってまいります。

 

人材育成

営業セールスのスキルは、当社グループの競争力強化や差別化に直結するため、継続的なスキルアップや社員の健康、働き方改革は重要な経営課題と捉えております。営業力強化に向けた研修制度の充実や人員配置も含め、社員がチャレンジできる機会を創出してまいります。また、「インナーブランディング」の共有により組織を強化し、加速する市場変化を的確に捉え、業務の質や効率の向上を目指してまいります。

 

ガバナンス体制の充実

株主をはじめとする多様なステークホルダーとの適切な関係を維持し、社会に対する責任を果たすことが、企業としての長期的な業績向上や持続的成長という目的に適うものと考えております。このためコーポレート・ガバナンスの充実と透明性・公平性の高い経営を目指し、経営機構の整備を進めてまいります。また、事業戦略、人事戦略、コンプライアンス、セキュリティといった経営リスクに対しての報告を強化し、対策について議論検討を進めてまいります。

 

ESG経営

当社グループは、社会発展のために果たすべき義務や役割を理解し、事業や地域貢献などの活動を通じて企業価値の向上と社会課題解決を実現してまいります。また、ダイバーシティ(特に女性活躍)の推進を取り組んでまいります。専門部署(女性活躍推進室)において、女性管理職のもと、女性が働きやすい環境の整備を進めて、今後も女性雇用及び女性管理職の登用を進めてまいります。

社会課題の解決やSDGsの達成にあたっては、ステークホルダーとの対話によって、当社グループ自らが課題を発見し取り組む直接的な影響と、顧客に提供する商品、サービスを通じて寄与する間接的な影響があります。また、従業員をはじめとするステークホルダーの声を経営に活かしていくことで、持続的な成長を実現します。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、資産効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「総資産経常利益率(ROA)」及び「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度におけるROAは 4.3%(前年同期は 5.5%)であり、ROEは 3.4%(前年同期は 7.8%)でした。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、あらゆる外部環境の変化によるリスク及び機会を把握し、経営に影響を及ぼす課題を基に、取締役会において、当社グループが取り組むべき重要課題の特定及び解決に向けた施策の方向性を決定しております。この課題に対する取り組みを各部門の部門長と連携し、取締役会において活動内容の報告を行い、活動の推進を行っております。また、重要な課題につきましては、中長期的な経営戦略の中で取り上げることで、対応を図ってまいります。

 

(2)戦略

サステナビリティ課題の特定にあたっては、国際社会の動向や当社グループにとって関係の深い社会的課題を「社会・ステークホルダーにとっての重要性」「当社グループにとっての重要性」の2つの視点で評価し、重要度の高い課題を抽出します。それらの課題について取締役会を含む社内会議で討議を行い、その中で特に重要度の高い課題を特定します。さらに、それぞれの強化領域及び戦略の方向性を明確化し、定量的・定性的なKPIを設定します。特定された課題の解決を通じて、サステナビリティ方針で目指す持続可能な社会の実現と企業価値の向上に取り組んでまいります。

(人材の育成及び社内環境整備に関する方針)

人的資本において当社グループは、戦略的営業体制、組織力向上のために適切な人員配置を行うことに加えて、個人として主体的、自律的なキャリア形成を求め、成果だけではなくグループの組織力向上に貢献する人材を育成支援します。社員が望む多彩なキャリア形成に応えるよう努めながら、個々の能力を最大限に発揮することができる環境づくりを目指すことが、グループの持続的な成長につながっていくものと考えます。

人材を最優先すべき資本の一つと位置付けており、継続的な投資を行うことで、継続的な競争優位性を確保することを目指して人材戦略を作成しています。

社員のビジネススキルは、当社グループの競争力強化や同業他社との差別化に直結することから、人材こそが企業成長の原動力であると認識しております。

その認識のもと、当社グループにおいては人材育成に積極的な投資を行っております。具体的には新入社員に対するマンツーマンでの研修、新人研修、社員研修、管理職研修、コンプライアンス研修、商品研修等、社内研修の充実化を図っており、個々の社員が持てる能力を最大限に発揮できる制度及び環境を整備しております。

今後も社員の処遇改善や人員の増強と並行しながら、社員満足度調査、セールスカルテの作成等の施策により社員とのエンゲージメントを深め、グループ内の人材育成及び働きがいの向上に取り組んでいく方針です。

 

(3)リスク管理

当社グループでは、部門ごとにリスクの識別と評価を行っております。サステナビリティ関連のリスクと機会について分析し、対応策について検討を行ってまいります。リスクと機会については今後、取締役会を含む社内会議にて定期的に確認を行い、必要に応じて重要課題及びその指標や目標を見直すなど適切に対応してまいります。

 

 

(4)指標及び目標

当社グループは、得意先をはじめとするステークホルダーを尊重し、ともによりよい社会を実現していきたいと考えております。事業における重要課題の一つとして「環境負荷の軽減」を特定しています。

「環境負荷の軽減」対策としては、温室効果ガス排出量削減とプラスチック対策を指標・目標としています。温室効果ガス排出量削減の取り組みとして、営業車両の燃費管理及びハイブリッド車、BEV車への段階的な切替を進めてまいります。プラスチック対策としては、社内でのレジ袋削減運動、商品への容器、包装類のプラスチック使用量の削減提案に取り組んでおり、今後より一層規制強化が見込まれる環境法規制への対応を進めるため、プラスチック製品における「環境配慮設計の促進」及び「使用の合理化」を強化してまいります。

また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に基づき、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率に関して、厚生労働省による令和5年度雇用均等基本調査結果における全国の企業の平均を下回っていることから、十分ではないと認識しており、今後その比率が高まるよう人材育成及び社内環境の整備に努めてまいります。

 

指標

目標 (2027年度

実績(2024年度)

女性管理職比率

5以上

2.3

女性従業員比率

10以上

9.0

エコ商品売上高比率

全取扱商品売上高の10以上

24.5

燃費比率

11km/L以上

11.1km/L

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)特定の業界に対する依存度が高いことについて

当社グループの売上高はその99%以上がSS業界に対するものであり、縮小化が続くSS業界の市場に対し毎年継続的に商品を販売しており、SS業界の経営環境の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)売掛債権の回収について

当社グループにおきましては、取引先の与信管理の強化に努めていますが、恒常的に発生する売掛債権に対し信用リスクを抱えています。予期せぬ取引先の財務状況の悪化により、債権の回収等が困難となる可能性があります。

(3)原油価格の高騰について

原油価格の急激な高騰は顧客のSS訪問頻度を減少させるのみならず、取扱い商品の仕入原価に反映され、業績及び財務状況が悪影響を受ける可能性があります。

(4)人材の確保及び育成について

当社グループの事業運営は人材に大きく依存しており、お客様をはじめとする様々なステークホルダーの皆様との共存共栄を実現できる人材を継続的に確保・育成していくことが必要不可欠であります。今後、人材獲得競争の激化等により、相応しい人材の確保が困難になる場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(5)退職給付に伴うリスクについて

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。このため今後は実際の金利水準の変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6)個人情報の管理について

当社グループは、取引先及び顧客の情報資産を保護しセキュリティーを保障したサービスを提供するよう努めておりますが、当社グループにおいて機密情報の漏洩、破壊、不正使用があった場合、それに伴う損害賠償責任により、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7)気象状況や災害などによるリスクについて

当社グループが扱うカーケア関連商品は天候の影響を受けやすく、冷夏や暖冬、空梅雨などの天候不順により、消費者の大きな需要変化が生じる場合があります。気象状況による売上の影響を極力受けることのないよう仕入のコントロールに努めてまいりますが、予測を超えた気象状況の変化や地震などの天災によって営業活動の中断が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)システムに関するリスクについて

当社グループは、コンピュータシステムと通信ネットワークを利用して業務処理を行っており、自然災害や、コンピュータウイルスに起因するシステムの停止、ハッカーなどの外部からの不正な侵入などの犯罪により、システムダウンや重要データの消失または漏洩が生じる可能性があります。当社グループにおいては外部からの不正アクセスやウイルス感染の防御、内部管理体制の強化などの対策を行っておりますが、このような事態が発生した場合、事故対応のコストの増加、損害賠償や信用力の低下等のリスクが想定され、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(9)固定資産の減損に関するリスク

当社グループにおいて、事業等のリスクの顕在化等により、当社グループ事業におけるブランドや地域市場単位の収支悪化が発生した場合には、保有する固定資産について減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(10)気候変動に関するリスク

気候変動が生じると、災害が激甚化するおそれがあります。この場合、社会インフラがダメージを受け、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、所得環境の改善やインバウンド需要の増加により、景気は緩やかな回復を維持いたしました。一方で、継続する物価の上昇、雇用問題、中東情勢等の緊迫などグローバルな地政学的リスク等の要因により、先行きは不透明な状況で推移しております。

当社グループのカーケア関連商品の販売先であるサービスステーション(略称:SS)業界におきましては、政府からの補助金は2024年12月19日から段階的に縮小し2025年1月16日には補助率が0%となり、制度終了後、燃料価格は短期間で上昇し、日用品や食料品等の値上げ等と相まってユーザーの節約志向は一層強まり、燃料以外であるカーケア関連商品への購買意欲は厳しい状況で推移いたしました。

このような環境のもと、当社グループのSSにおけるカーケア関連商品の売上につきましては、当期の営業方針である「新基本営業と新規事業の具現化で事業拡大を目指す」に則り、新基本営業(顧客ごとの要望を聞き入れたカスタマイズ提案と定期的な受注・配送目的の訪問ではなく、当社独自の付加価値情報を提供し当社のブランド力を高める定期訪問PLUSという独自の営業戦略)を実施したことにより、売上高は前年を上回る結果となりました。主力商品であるワイパーブレードは、販売施策を変更したことにより販売不振から回復傾向になり、バッテリー・洗車関連商品(高付加価値洗車等)は前年を上回りました。その他の商品につきましては、デジタルサイネージや設備機器などの販売が好調で、環境対策品であるアドブルーやエコタイヤ等も引き続き好調に推移いたしました。売上総利益につきましては、物流コストの上昇等による商品価格の上昇は多岐にわたりましたが、販売価格への適切な転嫁や仕入数量等を効率的にコントロールすることにより前年を維持いたしました。販売費及び一般管理費につきましては、ベースアップによる人件費の増加、基幹システムの入れ替えに伴う関連費用の増加により前年を上回りました。

新規事業である「業務レンタカーサービス」につきましては、2024年11月18日に神奈川県横浜市瀬谷区にて「横浜瀬谷店」を開始いたしました。業績につきましては、好調に推移いたしました。

当期の会社方針「インナーブランディングで組織を強化し、加速する市場変化を的確に捉え、業務の質や効率の向上を目指す」に則り、企業理念や企業ブランドの価値を理解し共有することで社員の意識と行動の変革を目的とし、2024年11月8日に全管理職を対象とした研修会を実施いたしました。また、年間を通して社員の階層別研修も実施いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高 7,543百万円(前年同期比 1.8%増)、営業利益 143百万円(前年同期比 25.2%減)、経常利益 168百万円(前年同期比 22.0%減)、法人税等 77百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は 90百万円(前年同期比 54.1%減)となりました。

また、当社グループは、カーケア関連商品販売事業を単一の報告セグメントとしており、その他の事業については、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ 57百万円増加し、当連結会計年度末には 1,407百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は 127百万円(前年同期は 119百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益 168百万円、減価償却費 37百万円、役員退職慰労引当金の減少 19百万円、仕入債務の減少 19百万円、未払消費税等の増加 19百万円、法人税等の支払額 104百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は 23百万円(前年同期は 132百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出 10百万円、長期前払費用の取得による支出 12百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は 45百万円(前年同期は 90百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額 38百万円等によるものであります。

 

③ 仕入及び販売の実績

a.仕入実績

当社グループは、カーケア関連商品販売を主な事業としているため、生産及び受注の実績に代えて、仕入の実績を事業ごとに記載します。

事業の名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

カーケア関連商品販売

5,896,480

102.3

その他

123,218

100.8

合計

6,019,699

102.3

(注)上記の金額は、事業内の取引及び事業間の取引については、相殺消去しておりません。

 

なお、「カーケア関連商品販売事業」の商品区分別仕入実績は、次のとおりであります。

商品区分別

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

自動車補修部品

2,107,256

102.7

自動車ケミカル

1,946,399

103.5

自動車用品

232,800

122.6

自動車車内小物

40,937

91.5

SS備品

1,187,465

99.9

冷暖房用品

118,458

95.7

販促ギフト

212,165

97.2

店装器具

50,997

75.7

合計

5,896,480

102.3

 

b.販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業ごとに記載します。

事業の名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

カーケア関連商品販売

7,532,986

101.8

その他

10,145

134.7

合計

7,543,131

101.8

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ENEOSトレーディング株式会社

903,444

12.2

887,829

11.8

アポロリンク株式会社

762,688

10.3

770,569

10.2

 

なお、「カーケア関連商品販売事業」の商品区分別及び地区別販売実績は、次のとおりであります。

商品区分別販売実績

商品区分別

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

自動車補修部品

2,754,526

101.9

自動車ケミカル

2,487,815

103.8

自動車用品

299,902

116.2

自動車車内小物

48,609

87.7

SS備品

1,514,036

99.8

冷暖房用品

146,280

95.2

販促ギフト

242,013

95.5

店装器具

64,896

79.6

合計

7,558,082

101.9

(注)上記の金額は、事業内の取引を含んでおります。

 

地区別販売実績

地区別

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

北海道地区

北海道

485,032

101.5

東北地区

青森、岩手、宮城、山形、福島

901,134

99.4

北関東地区

栃木、茨城、群馬、埼玉

1,516,495

101.1

南関東地区

千葉、神奈川、静岡、山梨

1,695,404

101.7

東京地区

東京

698,081

106.2

北陸・信越地区

新潟、富山、石川

450,591

105.1

東海地区

愛知、三重

668,916

102.9

近畿地区

大阪、兵庫

219,325

96.0

中国・四国地区

広島、香川、愛媛

394,682

99.5

九州地区

福岡、佐賀、大分、宮崎、鹿児島

528,418

104.3

合計

7,558,082

101.9

(注)上記の金額は、事業内の取引を含んでおります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績は売上高 7,543百万円(前年同期比 1.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 90百万円(前年同期比 54.1%減)の増収減益となりました。当社グループの売上高は、99%がSSへのカーケア関連商品販売によるもので、当社の主力商品であるオイルエレメント、洗車機洗剤、ワイパーブレード、バッテリー、エアコン関連商品等の販売量は天候、石油元売会社及びSSの施策によって影響を受けます。また、燃料価格、物価の変動も、カーケア関連商品の販売量に影響します。当連結会計年度は燃料価格の高止まりに加え物価高がユーザーの節約志向に拍車をかけたことにより、主力商品は一部計画を下回ったものの、高付加価値洗車を含む洗車関連、環境対策商品であるアドブルーやエコタイヤは順調な推移により、売上高は前年を上回りました。

業界全体といたしましては、燃料価格の高騰、物価高に加え、低燃費車の普及やカーシェア等の自動車利用の多様化によりSSでの燃料販売は低調であったものの、政府による燃料補助金により利益が確保できる価格体系を維持できたことから、燃料以外での利益確保への取り組みは将来に向けた経営多角化への模索に注力され、従来のカーケア収益という分野においては物価高、人員不足等の問題で取り組みが先送りされている状況が続きました。そのような中でも、高付加価値洗車を含めた洗車関連については、SSにおいて当期も大きな収益源となっております。当社グループは基本営業を(顧客ごとの要望を聞き入れたカスタマイズ提案や当社独自の付加価値情報の提供)を再度強化して、車両点検によるユーザーの安全確保とSSの更なる収益確保により当社グループの業績向上を目指してまいります。

今後の動向といたしましては、SS市場は縮小傾向にあるものの、一定のユーザーは維持されるものと予測しております。SSにおいても様々な取り組みによる経営の多角化が進められております。また、同業者の廃業等も出てきており、当社が新たな顧客の紹介を受けるケースも出てきております。

このような環境の中、当社グループといたしましては、SSに対し基本営業を継続し、「インナーブランディング」・「アウターブランディング」の二つのブランド戦略を効率的に機能させ、顧客との接点(取引)の維持・拡大を目指してまいります。また、新たな分野であるCASEやMaaS等、既存の事業にとらわれない分野への投資及び新規事業開発に取り組み、将来の中核事業とするため、基盤の強化を図ってまいります。

当社グループの持続的成長には一人ひとりのスキルの向上が必要不可欠であることから、多様性(ダイバ-シティ)を重視し外的・内的・組織的といった3つの側面から、人材育成においても注力してまいります。

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりであります。

1)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ6百万円増加の 3,953百万円(前連結会計年度末は 3,947百万円)となりました。

流動資産は、2,685百万円(前連結会計年度末は 2,660百万円)となりました。これは主に現金及び預金が 63百万円増加し、受取手形が7百万円減少したこと、売掛金が7百万円減少したこと、商品及び製品が5百万円減少したこと、その他のうち未収入金が 12百万円減少したこと等によるものです。

固定資産は、1,268百万円(前連結会計年度末は 1,286百万円)となりました。これは主に無形固定資産のその他のうちソフトウェアが 24百万円減少したこと、投資その他の資産のその他のうち長期前払費用が9百万円増加したこと等によるものです。

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ 46百万円減少の 1,262百万円(前連結会計年度末は 1,309百万円)となりました。

流動負債は、963百万円(前連結会計年度末は 988百万円)となりました。これは主に支払手形及び買掛金が 21百万円減少したこと、未払法人税等が 28百万円減少したこと、その他のうち未払消費税等が 19百万円増加したこと等によるものです。

固定負債は 299百万円となり、前連結会計年度末に比べ 21百万円減少いたしました。これは主に役員退職慰労引当金が 19百万円減少したこと等によるものです。

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ 52百万円増加の 2,691百万円(前連結会計年度末は 2,638百万円)となりました。これは主に利益剰余金が 51百万円増加したこと等によるものです。

この結果、自己資本比率は 68.1%(前連結会計年度末は 66.8%)となりました

 

2)経営成績

(売上高)

売上高は、燃料価格の高騰、物価高により主力商品は一部計画を下回ったものの、高付加価値洗車を含む洗車関連、環境対策商品であるアドブルー、タイヤ等は順調に推移し、前連結会計年度に比べ 1.8%増の 7,543百万円となりました。

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、ベースアップによる人件費の増加、基幹システムの入れ替えに伴う関連費用の増加により、前連結会計年度に比べ 4.3%増の 1,630百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ 107百万円減少し 90百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益 198百万円)となりました。その結果、1株当たり当期純利益は 64.07円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

1)キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。

 項 目

2021年

3月期

2022年

3月期

2023年

3月期

2024年

3月期

2025年

3月期

自己資本比率(%)

56.7

61.2

63.3

66.8

68.1

時価ベースの自己資本比率(%)

32.2

38.8

51.5

56.7

50.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.6

1.5

0.3

0.0

0.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

82.2

101.0

457.3

1,135.2

(注)自己資本比率=自己資本÷総資産

時価ベースの自己資本比率=株式時価総額÷総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率=有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ=営業キャッシュ・フロー÷利払い

◍ 各指標は、いずれも連結べースの財務数値により計算しております。

◍ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により計算しております。

◍ 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。

有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としております。

また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

2)資本の財源及び資金の流動性

資金需要

当社グループの事業活動における運転資金の主なものは当社グループのカーケア関連商品販売にかかる仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用、新規事業立上げに資するための費用が主な内容であります。今後、成長分野に対しては必要な設備投資や研究開発投資を行っていく予定であります。

 

有利子負債の内訳

2025年3月31日現在の有利子負債の主な内訳は下記のとおりであります。

(単位:千円)

 

合計

1年以内返済

1年超返済

リース債務

807

807

 

 

財政政策

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っており、運転資金及び設備資金につきましては、子会社のものを含め当社において一元管理しております。

資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断することとしております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成に当たっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

自動車関連用品販売指定業者契約

契約会社名

相手先

契約締結日

ムラキ株式会社

(当社)

アポロリンク株式会社

1976年1月1日

株式会社コスモトレードアンドサービス

1986年10月1日

株式会社デンソーソリューション

2000年7月1日

ENEOSトレーディング株式会社

1988年10月1日

(注)契約締結日は当初の契約日を記載し、1年毎の自動更新となっております。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。