第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、1947年の創業以来、業務用食品卸売業を本業として、主に外食産業の発展に貢献することを使命として

まいりました。また、食の市場の変化に対応するために、給食や中食の分野、中でも特に ヘルスケアフード業態へ

販路を広め事業の拡大を推し進めてまいりました。

 経営の基本は、当社の経営理念(下記ご参照)に示しておりますとおり、顧客第一主義の考えを基軸とし、

存在感のある企業となり、顧客の発展とともに成長し続けることであります。

 企業は、安定した業績を継続することによって、ステークホルダーのご満足を得られるものであると確信して

おります。

 なお、社会経済の環境変化はめまぐるしく、顧客のニーズも多様化し、複雑化してまいりますが、常に的確で

誠意のある対応を心がけ、経営資源を最大限に有効活用する所存であります。

 

 [当社の経営理念]

「私達は、自己の能力を啓発し、奉仕と感謝の心をもって
取引先にとってなくてはならない存在となり、
社員の幸福と企業の安定成長をはかり、
社会と食文化の発展に貢献する」

 

(2)目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略

 当社は長期ビジョンである「いい会社をつくろう」を標榜しており、第5次中期経営計画では、

「Change!Challenge!Create!」をスローガンに掲げ、次の主要な施策により、

事業基盤強化に向けた社内構造改革と、業容の拡大に邁進しております。

 

①(持続可能な)収益力の強化

 「ヘルスケアフード」「PB商品」「中食」「素材品(肉・野菜・魚)」を当社の重点施策として、

特に営業リソースを重点的に投下して、取扱いの促進により収益の拡大と安定化を図ります。

②成長戦略の取組強化

 C&C(キャッシュアンドキャリー)事業における新業態の模索と新規出店、通信販売、海外市場への

商品供給等の取組みに挑戦します。

③経営基盤の強化

 企業の持続的な成長を支えるのは社員一人ひとりの「健康」であることを再認識し、健康経営の一層の推進を

図り、エンゲージメント向上に向けた具体的目標を掲げてこれに取組みます。また、将来の成長に向けた組織の

見直し、中核人材の育成や女性の活躍促進に向けた行動計画を策定し、実行してまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①経営環境への対応

 当社を取り巻く経営環境は、まん延防止等重点措置の解除以降の経済活動正常化に伴い拡大基調となりました。

 一方、足元では、世界的な資源価格の高騰によるインフレ懸念や地政学リスクの顕在化、為替相場の変動による

不確実性の高まり等により、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 今後の国内経済においては、物価の上昇に伴い消費者の節約志向が強まり、個人消費に大きな影響を及ぼす

可能性が想定されます。

 そのような厳しい環境の中、お客様の声に耳を傾け、顧客ニーズの変化や動きを的確につかみ対応して

まいります。

[そのために実践すること]

・重点施策(ヘルスケアフード・PB商品・中食・素材品(肉・野菜・魚))の推進

・C&C(キャッシュアンドキャリー)事業の再構築

・商品開発力、調達力の強化

 

②人財の確保

 人財確保の難易度が増し、またコロナ禍を経て社会全体が働き方の変化への対応を迫られる中、当社では

「人財」を最も重要な経営資源と認識し、長時間労働の抑制、有給休暇の計画的な取得、フレックスタイム制度や

在宅勤務制度等、社員の働き甲斐を向上させるための施策に加え、DX推進による生産性向上にも取組んで

まいります。また、働き方改革関連法に伴う物流の「2024年問題」へ対応するため、配送効率の向上や受注時間の

適正化にも計画的に取組んでまいります。

 

③持続可能な社会の実現

 2015年に国連サミットにて採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)は、地球上の誰ひとり

取り残さないことを目指し、先進国と途上国が一丸となって達成すべき国際社会共通の目標です。当社も、

食に関わる企業として当社独自の活動であるSMILE PROJECTにて、ESGの観点を切り口とした

2030年までの取組目標を掲げ、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ

 当社は、「SDGs」の考え方に賛同し、持続可能な世界を実現するため、

「SMILE PROJECT活動」を推進しております。

①ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティに関する実行の質・スピードを高めることを目的として

「SMILE PROJECT推進部署」を設置しています。

 SMILE PROJECT推進部署は、代表取締役社長執行役員が統括し、委員は営業本部、

マーケティング本部、管理本部の関係部門長で構成され、サステナビリティに関する基本方針、

収益機会・リスクに関する基本的事項、課題についての審議並びに当該事項に関する進捗状況の確認を

行っています。事務局は管理本部人事総務部が担当し、原則、年4回開催し営業戦略会議にて進捗報告を行い、

年1回、取締役会に提案・報告を行っています。

②戦略

 当社グループは「SDGs宣言」を掲げ、E(環境)S(社会)G(ガバナンス)の切り口で、2030年までに

達成するSDGsに連動した当社独自の16の目標を掲げています。

 収益機会の観点から、当社グループが事業活動を通じて様々な社会課題を解決していくために、

当社が取り扱う商品の中でも、MSC・ASC認証商品(水産資源と環境に配慮した持続可能な漁業で

獲られた天然水産物及び養殖水産物)、環境配慮PB商品、やさしいロゴPB商品(ヘルスケアフード

業態向け)を当プロジェクトの重点販売商品として位置づけています。

 一方、リスクの観点からは、企業が持続的な成長をしていく上で「気候変動に配慮したビジネス活動の

展開」は必須であるため、2030年までにCO2排出量を2015年比△46%とする目標を掲げ、6つの取組項目にて

活動を行っています。

 その他、良質なエビ製品の持続的供給と地球環境との共生の実現に向け、「OIEのやさしい森」ブランドを

開発し、2024年1月よりPB商品のエビ製品拡売を通じ、収益の一部を仕入先及びインドネシア

現地パートナーと共に東南アジアでのマングローブの植林活動に充て、環境の保護や再生活動に

取組んでいます。

 また、自ら積極的に変革する企業になるため、健康経営の取組みにも力を入れており、業績の向上と

働き方改革、やりがい向上を両立させることで、人材、組織実行力の強化を図っています。

③リスク管理

 上記のサステナビリティ重点課題は、取締役会にて報告し、社外役員を含む経営陣と必要に応じて意見、

議論を行っています。その結果はSMILE PROJECT推進部署にフィードバックされ、

次期プロジェクト活動に反映しています。

④指標と2030年目標(主なもの)

2030年までのCO2削減目標 2015年比 排出量△46% 削減量△5,394(t-CO2)

(第64期実績11,619(t-CO2) 2015年実績11,725(t-CO2) 削減量106(t-CO2))

 具体的には、1.LEDへの切替、2.太陽光の自社活用、3.電力再エネプラン利用切替、

4.営業車両EV車切替、5.電力省エネ法△1%削減 6.フロン排出量70%削減 を取組項目と

しております。(LEDへの切替においては、第63期に全事業所の切替を完了しております)

 

その他目標値

・MSC及びASC認証取得商品の販売 2030年3月までの販売目標店舗数 7,900店

(第64期実績:6,999店)

・環境配慮PB商品の開発、販売 2030年3月までの販売目標金額 1,800百万円

(第64期実績:1,395百万円)

・やさしいロゴPB商品開発、販売 2030年3月までの販売目標金額 850百万円

(第64期実績:831百万円)

目標値においては、適宜レビューの下、必要に応じて見直しを行ってまいります。

MSC認証取得商品=水産資源や環境に配慮した持続可能な漁業で獲られた水産物

ASC認証取得商品=持続可能(餌やエネルギーを大量に使用せず、自然環境に影響を与えない)な養殖で

生産された水産物

環境配慮PB商品=原料・製造・販売・使用後等、生産から販売、使用に至るまで環境負荷を

低減させた商品

やさしいロゴPB商品=ヘルスケアフード業態を中心に簡単オペレーションで、栄養価に配慮した、

食べる人にも作る人にも「やさしい」メニューの概念を謳える付加価値のある商品

 

(2)人的資本

[人材育成に関する方針]

当社の人事制度(Grow&Challenge)は以下の3点の実現を目指しております。

①等級毎の期待値の明確化(人基準から仕事基準へ)

②納得感の高い考課(公正な評価とフィードバック)

③等級に応じた賃金水準(不公平感の払拭)

 この3点を実現することで、社員一人ひとりが自分の幸せを自分の手でつかみ取るために人間力を磨き、

創意と誠意と熱意をもって仕事に打ち込めるものと考えます。その実現に向け『OIEオリジナル教育体系

プログラム』では、以下の3つのスキルの習得を目指した構成となっています。

①ヒューマンスキル≪対人関係・影響スキル≫

円滑な人間関係を築く上で必要な技術や能力

②テクニカルスキル≪専門知識・技能≫

業務を遂行する上で必要な専門知識や技能

③コンセプチュアルスキル≪課題展開スキル≫

周囲で起こっている事柄や状況を構造的、概念的に捉え、事柄や問題の本質を見極めていく能力

 人材の育成に重きを置く企業風土の醸成に向け、現状に満足することなく積極的に挑戦する社員の成長を

促します。

 

[社内環境整備に関する方針]

『OIE健康宣言』~こころも からだも 健康な いい会社~を目指して、社員の健康と働きがいは経営の

重要な財産と考え、当社が掲げる長期ビジョン「いい会社をつくろう」に則り、社員一人ひとりが

心身ともに健康で、持てる能力を最大限に発揮できる、活力ある環境づくりを推進します。

 

[人事戦略3つの視点]

①経営戦略と人材戦略の連動

経営戦略と連動した人事戦略の構築と人的資本の可視化は車の両輪であり、一体のものとして取組んで

おります。

a.取締役会にて人事戦略報告

b.経営環境の変化を踏まえたKPIの設定

c.サクセッションプランのプログラム化

・中核人材育成選抜研修を実施

(マネージャー、プロフェッショナル)

・役員研修の体系化、評価制度の実施

②As is-To beギャップの定量把握

従業員数及び退職者数の推移、給与水準、平均年齢、平均勤続年数等の現在の姿を分析し、その上で

目指すべき将来の姿を描き、そのギャップを埋めるための方策を講じてまいります。

③企業文化への定着…人事戦略の実行プロセスを通じた企業文化の醸成

 

[人材戦略における5つの共通要素]

①動的な人材ポートフォリオ計画

重点施策や拡大する事業への人材配置を「コアか否か」「難易度の高低」の4象限で分類し、現在の

人材ポートフォリオから、環境変化に応じて経営戦略実現のための人材ポートフォリオをブラッシュアップ

しながら経営戦略実現に向けて適切な人材配置を行ってまいります。

②ダイバーシティ&インクルージョン(組織に所属する人が制約なく働ける環境)のための取組み

a.ダイバーシティ 女性活躍推進(ヘルスケア専任、管理職登用)、障害者、シルバー雇用

b.インクルージョン 在宅勤務(テレワーク)、フレックスタイム、バリアフリー、意識改革

◇期待される効果

・個々人が尊重されて、メンタルヘルスが良い状態を保ち、離職率低下

・心理的安全性が担保され、働きやすさ向上

・活発な意見交換が行われるようになり、画期的な企画や意外な提案が生まれる

・仕事における満足感が得られ、作業効率が向上

③リスキル・学び直しのための取組み

a.当社に不足しているスキル、専門性の習得

・デジタルリテラシー (Oie DXの活用、パソコンスキルの習得)

・システムプログラマーの育成(Oie DXの開発)

・素材品(肉・野菜・魚)、ヘルスケア、マーケティング 専門性の向上

b.OIEオリジナル教育体系プログラムの継続実施

 

④社員エンゲージメントを高めるための取組み

a.ビジョンへの共感

・代表取締役社長執行役員メッセージ(示達)、本社全体朝礼、社内報、各種研修等を通じて、

当社が進むべき方向性を示す。

b.やりがいの創出

・評価制度、表彰制度、ペナルティ制度の見直し

・処遇の改善 (業界No1の給与水準)

・組織改革

c.働きやすい職場づくり

・職場コミュニケーションアップ(健康経営施策)

d.成長支援

・キャリアデザイン研修(入社3年目)

・階層別、職種別 通信教育会社補助

⑤時間や場所にとらわれない働き方の取組み

a.在宅勤務(テレワーク)制度の見直し

b.育児・介護休業制度の浸透

c.年間休日増

 

[指標及び目標]

経営環境の変化を踏まえたKPI

指標

目標

実績(当事業年度)

有給休暇取得率

2030年3月末時点90.0

42.3

女性管理職

2030年3月末時点30

14

労働者の男女の賃金の差異

全労働者

61.2

正規労働者

68.6%

非正規労働者

79.5%

※労働者の男女の賃金の差異においては、当社では、同じ役割であれば男女で賃金の差は設けていないため、

この差は、主に給与の高い職群の社員における男性比率が高いことによるものと考えております。

そのため、男女の賃金の差異の解消の方針として、女性活躍推進の取組みにより、女性の定着を更に

向上するとともに、管理職や役員の女性比率を女性社員比率に対して適正に上げることを実行していきます。

※当社グループでは、上記「(2)人的資本」において記載した、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に

関する方針に係る指標に対し、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが

行われているものの、子会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。

このため、上記の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを

記載しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、

経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、

以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)景気が低迷するリスク

 当社グループは、全国を商圏として外食産業等に対する飲食材料の卸売業を営んでおります。業種柄、

当社グループの取扱品目は多岐にわたっており、特定品目又は特定取引先に依存している事実はありませんが、

景気動向、個人消費動向の変化による外食産業界の業況等により当社グループの業績は影響を受ける可能性が

あります。

(2)為替変動によるリスク

 当社グループの主要取扱品目である飲食材料の一部においては、国際価格の変動並びに為替変動により

仕入価格が大きく変動する場合があり、当該仕入価格の上昇を販売価格へ転嫁できない場合には、利益率が

低下する等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)災害等リスク

 当社グループの取扱う商品が、天災地変や戦争等により被害を受けた場合、自社倉庫・委託倉庫の保管を

問わず、当社グループがそのリスクを負担しなければなりません。その結果、被災商品の廃棄損が業績に影響を

及ぼす可能性があります。

(4)感染症等リスク

 感染症等が発生し、その影響が拡大・長期化した場合、飲食店の休業、訪日外国人客の減少に伴う宿泊施設の

稼働率の低下や宴会等の自粛、海外工場の操業停止による商品調達の遅れ、また物流遅延やサービス停止等により

当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)食品衛生に関わるリスク

 当社グループが取扱う「食」に関する商品については、その性格上、細心の品質管理、食品衛生管理体制の

確立が求められます。当社グループにおきましても、商品の保管・配送・納品については冷凍設備と常温設備を

備えた倉庫、及び配送車を配置する等、品質保持に対応しております。また、製造委託工場の品質管理体制に

ついては、現地工場に赴き、当社グループ独自の品質管理チェックシートによる厳正審査を実施しており、

品質管理並びに食品衛生管理には万全の注意を払っております。当社グループでは、過去において食品の安全・

衛生管理上の重大な問題が発生した事例はありませんが、当社グループが管理し、取扱う食品において、

今後何らかの問題が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(6)取引先等の信用リスク

 売上債権につきましては、取引先の財務情報等を入手・分析し、取引先の経営状況に応じた与信枠設定を

行っておりますが、取引先の業績悪化等により取引額の大きい得意先や仕入先の信用状況が低下した場合、

当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(7)資産減損のリスク

 当社グループでは、固定資産の減損に係る会計基準に従い、定期的に固定資産の減損の兆候を判定し、

兆候がある場合は保有資産の将来キャッシュ・フロー等を算定し、減損損失の認識・測定を行っています。

 経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、対象となる資産に減損損失を計上する必要が生じた場合、

当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(8)保有株式の市場価格の下落に関するリスク

 当社グループは、取引先との関係強化等を目的とした株式を保有しております。今後の経済環境や企業収益の

動向により、保有する株式の時価が、帳簿価額を著しく下回ることとなった場合、当該株式の評価損を計上する

必要が生じ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(9)情報システムに関するリスク

 当社グループは、得意先からの受注、在庫管理、仕入先への発注等の営業活動全般及び、経理処理や

人事管理等、社内外のあらゆる面でコンピューターシステムを利用しております。大規模災害や

コンピューターウイルス感染によりシステムが停止、崩壊した場合、事業が停滞するリスクがあります。

 当社では、基幹システムサーバーは災害対策が施された外部のデータセンターに保管し、随時バックアップ

できる体制を構築しております。また、コンピューターウイルスに対しては、対策ソフトウエアを

導入するとともに、社員の対策意識向上のための教育を継続的に実施しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループは、当連結会計年度が連結財務諸表の作成初年度であり、また、連結子会社の取得日を

2024年1月31日(みなし取得日)としており、連結決算日との差異が3ヶ月を超えないことから、当連結会計年度

においては貸借対照表のみを連結しております。そのため、当連結会計年度においては連結範囲に含めた子会社の

業績は含まれておりません。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済については、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴う行動制限の

緩和等により経済の回復が進みました。一方、ロシア・ウクライナ情勢に起因する原材料価格及びエネルギー費の

高止まりや円安の一層の進行による物価上昇が賃金の上昇を上回り、実質所得の減少を招くことで、消費者の

購買意欲の冷え込みが懸念される等、先行き不透明な状況が続くと考えられます。

 当社の主要取引先であります外食産業におきましては、これまで回復の遅れていた夜間の外食需要も徐々に

戻りつつあり、価格改定による客単価の上昇やインバウンドの増加も相まって業績は改善しております。

 しかしながら、人手不足に起因する売上機会のロスは継続しており、穀物や農水産物の一部の需給ひっ迫と

合わせ、今後も外食産業の回復の阻害要因となることが予想されます。

 このような状況の下、当社は第5次中期経営計画の骨子である営業重点施策に営業資源を集中させ、回復する

外食市場に対して確実に商品を確保し適正な価格で提供させていただくことに注力いたしました。

 2024年1月から3月にかけて全国13会場で春季提案会を実施し、目標を大きく上回るユーザーに

来場いただけました。

 会場では「OIEベーカリー」コーナーを新設し、本格的な湯種パンが作れる専用ミックスやドライイースト、

成形冷凍パン、油脂等の製菓製パン素材を紹介するとともに、カフェやレストラン等の外食ユーザーでも

導入できるベーカリーメニューの提案等、ベーカリー業態等の新規ユーザー開拓に繋げる提案を行いました。

 「おっSOUZAI」コーナーでは、当社管理栄養士考案のパンにも合う惣菜メニューを提案しました。当社の

重点領域であるヘルスケアフード業態や、和洋中の幅広い業態に向けベーカリー・中食メニューの提案を強化し、

今後の新たな取引に繋がる新規ユーザーも多数来場いただけました。

 また、ヘルスケアフード業態向けの営業提案力向上を目的として、営業担当者をサポートする専任チームを

本社部門として6名配置し、全国をフォローする体制を整え、専門的な知識や経験を活用した顧客へのきめ細かな

提案を行っております。

 これらの取組みが奏功して、同業態向けの売上は計画を大幅に上回り、前年比114.5%となりました。

 PB商品につきましては、1月に「サンホーム てりやきのたれ」を含む5品を新たに発売し

商品ラインナップの拡充を図りました。特に「燦宝夢 沖縄県産 減塩味付もずく(三杯酢)」は、

減塩効果だけでなく、袋から取出し解凍するだけですぐにそのままお召し上がりいただける点も評価され、

当社が注力しているヘルスケアフード業態で多くのメニュー採用に繋がりました。

 また1月から3月の3ヶ月にわたり、全営業担当者参加によるPB新商品販売コンクールを実施し、目標を

大幅に超える成果を残しました。これらにより、PB商品の通期売上は前年同期比118%と大きく伸長しました。

 取扱い商品の拡大策として、肉・野菜・魚の素材商品の品揃えの強化を図りました。肉については

「サンホーム豚コマ」を発売し、汎用性の高さから業態を問わず多くのユーザーに受け入れていただきました。

 魚は、当社全事業所に超低温冷凍庫を配備し、冷凍マグロ類の取扱いを開始しました。

 これらにより、素材商品の売上は前年同期比117%と大きく伸長しました。

 SDGsへの取組みの一環として、良質なエビ製品の持続的供給と地球環境との共生の実現に向け、

「OIEのやさしい森」ブランドを開発しました。

 2024年1月よりPB商品のエビ製品の拡売を通じ、収益の一部を仕入先及びインドネシア現地パートナーと共に

東南アジアでのマングローブの植林活動に充て、環境の保護や再生活動に取組んでいます。

 「物流の2024年問題」への対応では、荷受け作業の効率化と仕入先の当社への納品待機時間を減らすことを

目的として東京支店でトラック予約受付システムを導入しました。

 その結果、同支店は、待機時間及び当社受付業務の時間が短縮されました。今後は、他の支店・営業所でも

効果検証をし、効果が認められれば導入を進めます。

 第5次中期経営計画のテーマでもありますM&Aにつきましては、2024年2月29日付で壽屋商事株式会社

(徳島市)の株式を100%取得し子会社化しました。

 同社は、主にヘルスケアフード関係を得意先とした業務用食品卸売企業であり、当社が推進する

ヘルスケアフードの市場拡大と知見の蓄積、事業拠点のない徳島県での対応力強化等、経営基盤の強化面での

シナジー創出が期待されます。

 

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高1,113億75百万円、営業利益32億43百万円、

経常利益32億65百万円、親会社株主に帰属する当期純利益30億55百万円となりました。

 

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、354億11百万円となりました。

 主な内訳は、流動資産が240億21百万円、有形固定資産が68億30百万円、無形固定資産が2億8百万円、

投資その他の資産が43億51百万円であります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、227億16百万円となりました。

 主な内訳は、流動負債が200億円、固定負債が27億16百万円であります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、126億94百万円となりました。

 主な内訳は、資本金が13億5百万円、利益剰余金が109億38百万円となりました。

 

 なお、当社グループは、当連結会計年度が連結初年度であり、前期は連結財務諸表を作成していないため、

前期との比較は行っておりません。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、39億73百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は28億11百万円の収入となりました。

 これは主に、税金等調整前当期純利益が32億68百万円、減価償却費が5億80百万円、仕入債務の増加額が

4億36百万円に対し、売上債権の増加額が14億86百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、90百万円の支出となりました。

 これは主に、有形固定資産の取得による支出が95百万円、敷金及び保証金の差入による支出が

1億34百万円に対し、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が47百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、28億24百万円の支出となりました。

 これは主に、自己株式の取得による支出が13億82百万円、長期借入金の返済による支出が9億9百万円、

配当金の支払額が4億52百万円によるものであります。

 

 なお、当社グループは、当連結会計年度が連結初年度であり、前期は連結財務諸表を作成していないため、

前期との比較は行っておりません。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.商品別売上高

商品別

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

常温食品

36,998,156

113.8

冷蔵食品

11,768,423

114.7

冷凍食品

59,569,317

120.9

酒類

568,329

116.5

非食品

2,311,016

107.5

その他

159,830

106.7

合計

111,375,074

117.4

 (注)地区別売上高は、次のとおりであります。

地区別

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

東日本地区

36,609,543

120.2

中日本東部地区

18,323,429

112.2

中日本西部地区

37,268,933

117.4

西日本地区

18,296,127

118.2

その他

877,040

104.5

合計

111,375,074

117.4

b.商品別仕入高

商品別

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

常温食品

30,525,681

113.2

冷蔵食品

9,595,854

114.2

冷凍食品

47,608,113

118.7

酒類

443,581

115.7

非食品

2,172,646

106.0

その他

181,053

53.8

合計

90,526,932

115.7

 (注)前期比は提出会社の比較になります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されて

おります。この連結財務諸表作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、期末日における資産及び

負債の残高、収益及び費用等に影響を与える仮定や見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを

過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる合理的見積りを行っておりますが、前提条件やその後の

環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれらの見積りと異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、繰延税金資産の回収可能性については

「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に

記載しております。

 

a.有価証券

 投資有価証券につきまして、株価の下落により帳簿価額に対し時価が50%以上下落した場合には減損処理を

行い、30~50%未満下落した場合には、時価の回復可能性等を考慮して必要と認められた額について株式の

減損処理を行います。市場価格のない株式等の場合は、株式の実質価額が帳簿価額の50%以上下落した場合、

株式の減損処理を行います。

 

b.棚卸資産

 取得原価と正味売却価額のいずれか低い金額で棚卸資産を評価します。正味売却価額が取得原価を下回った場合、

在庫の評価減を行います。

 

c.固定資産

 収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった資産について、その帳簿価額を、一定の条件の

下で回収可能性を反映させるよう、帳簿価額を減額するとともに減損損失を計上します。

 

d.貸倒引当金

 売掛債権等の回収で多額の回収遅延や不良債権が発生した場合、貸倒引当金が増加する場合があります。

 

e.退職給付費用

 従業員の退職給付に備えるため退職給付債務及び年金資産の見込み額に基づき計上しています。

 使用した数理計算上の仮定は妥当なものと判断しておりますが、仮定自体の変更により、退職給付に係る資産、

退職給付に係る負債及び退職給付費用に悪影響を与える可能性があります。

 また、連結子会社が有する退職一時金制度は、簡便法により計算しております。

 

f.繰延税金資産

 「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第26号)で

示されている会社分類の判定を行い、将来減算一時差異に対して、スケジューリングによる将来加算一時差異との

相殺見込額及び将来の収益力に基づく課税所得見積額に基づき、繰延税金資産の回収可能性を判断しております。

 繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に

変更が生じた場合、課税所得の見積りが変動し、回収可能な繰延税金資産の金額が変動する可能性があります。

 

②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態及び経営成績等の分析について

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等の詳細につきましては、「4 経営者による

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び

経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりで

あります。

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及び

キャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の

とおりであります。

 当社グループの運転資金及び設備投資資金は、原則として自己資金を原資としております。必要に応じ、

金融機関からの借入れも検討いたします。今後も適切な資金確保、流動性の維持及び財務体質の健全性を堅持して

まいります。

 経営資源の配分に関しては、株主還元はもとより、将来への投資としまして、事業所の新築移転を積極的に

行い、労働環境の改善及び商品の安全性追求を図ってまいります。また業務の効率化を踏まえたシステム投資も

行っております。

 

d.経営戦略の現状と今後の方針

 翌連結会計年度(2025年3月期)の連結業績見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の5類感染症

移行に伴う経済の回復は一巡し、今後、売上の伸長は鈍化が予想されることに加え、物価上昇の継続によって

消費マインドの低下も懸念され、楽観視のできない経営環境となることが想定されます。

 このような市場環境下、当社グループといたしましては企業の安定成長のために、翌連結会計年度に最終年度を

迎える第5次中期経営計画に沿って収益基盤の強化を図ってまいります。ますます激しくなる競争環境や市場の

変化に打ち勝つために「Change! Challenge! Create!」(変われ! 挑め!

創り出せ!)をスローガンとし、「収益力の強化」「成長戦略の取組強化」「経営基盤の強化」を重点戦略に

掲げ、全社一丸となって目標達成に向けて邁進いたします。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。