第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「環境の変化に的確に対応しながら顧客満足度向上を目指し、地域密着型生活関連総合商社として人々の暮らしや地域社会の発展に貢献する」の経営理念のもと、当社グループの使命と存在価値を全従業員が共有し、具体的な行動を確実に実践することで社会課題に対応しながら企業価値向上に努め、持続可能な成長と持続可能な社会づくりを目指し取組んでおります。2050年のカーボンニュートラルを見据えつつ2030年に向けて「会社のあるべき姿」を示した「(2022~2024年度)中期経営計画 “低炭素社会に向けた挑戦 チャレンジ24 ~100年企業を目指して~”」は本年が最終年度となることから、目標の達成に向けて変化する事業環境に対応するための具体的な推進方法等を実践することで、安定収益の確保と経営基盤の拡大に総力を挙げて取組んでまいります。中期経営計画の経営戦略の柱としている項目は次のとおりです。

 ・「サンリンファン」の営業基盤拡充

 ・省エネ事業の強化

 ・M&AやDX推進による市場競争力の強化

 ・SDGsへの取組み

 ・社員の意識改革・行動様式の変革

 

(2)経営戦略等

 ①グループ戦略

 グループを統括する本部につきましては、営業本部と管理本部との2本部で展開することにより、各部横断的な情報共有によって全ての事業の顧客基盤の維持、拡大を図るとともに、グループの相乗効果を高めてまいります。

 

 ②営業本部

 中期経営計画において次の3点を経営戦略の柱として取組んでまいります。

 ア.「サンリンファン」の拡大(営業基盤の拡充)

  ・LPガス・電気・石油類などエネルギー商品を一括管理する当社のメリットをお客様への総合的なサービスとして提供してまいります。

  ・サンリンMyページ会員様向けの特典サービスの拡充を図ってまいります。

  ・ご家庭毎に適した省エネや省力化につながる製品や商品を細やかにご案内いたします。

 イ.省エネ事業の強化

  ・エネルギー創出の太陽光発電システムにプラスして蓄エネルギーの蓄電池、自家創出の電気をEV車用に充電するためのV2Hシステムなどを自社工事体制にて普及拡大を図ってまいります。

  ・断熱リフォームなどの省エネ工事、ハイブリッド給湯器や高効率燃焼器など省エネ機器の普及拡大を、国や地方自治体などによる補助金利用案内とともに積極的に展開し、環境負荷低減を図ってまいります。

  ・企業で自家使用しているA重油などをLPガスへ燃料転化することを積極的に案内し、省エネとCO2削減を図ってまいります。

 ウ.M&AやDX推進による市場競争力の強化

  ・M&Aに積極的に取組み、事業基盤である顧客数拡大を図ります。

  ・ITシステムに蓄積されたデータを基に、お客様への情報提供を含めサービスの拡充を図ってまいります。同時に新しいビジネスモデルの創出を図ってまいります。

 

 ③管理本部

 中期経営計画において次の3点を経営戦略の柱として取組んでまいります。

 ア.デジタル活用による業務改革

  ・基幹システムとの連動を図りながら業務の合理化、効率化、ペーパーレス化を引き続き進めてまいります。

  ・従来の業務を見直し、生産性が向上した分を新たな取組みに活かしてまいります。

 

 イ.社員の意識改革・行動様式の変革

  ・それぞれの社員が、お客様の「豊かな暮らしのお手伝い」や「地域社会や産業を支える仕事」に誇りを持ち、自発的な行動や創造力の発揮により活躍できる企業を目指すとともに、働きやすい職場の実現に向けた業務改善への積極的な提案およびチーム活動を支援してまいります。

  ・2024年4月より開始した新人事制度の早期定着を図ってまいります。

 ウ.SDGsへの取組み

  ・当社の環境理念である「安心安全なエネルギーの供給を通じて、快適な生活が持続できる地域社会の形成に貢献し、地球環境の保全に努めます。」はSDGsの達成と目的を同じくするものであり、社員一人ひとりがこの理念を理解し、それぞれの役割を果たしていくことで、SDGsの達成に貢献してまいります。

 

(3)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

事業環境におきましては、コロナ禍からの回復による社会経済活動の正常化が見られるものの、足元では所謂2024年問題による物流コストの上昇、原油高や円安による原材料コストの上昇、人口減少による人材確保難及び賃上げ等が直面する課題となっております。また、2050年のカーボンニュートラルに向けた環境負荷低減への取組みはサステナブルな社会づくりに欠かせないものとして強く要請されるものとなっております。

「中期経営計画(2022年~2024年度)」の最終年度となる本年は、これまでの実績等を検証し、当社を取り巻く事業環境変化を踏まえて、2050年のカーボンニュートラルを見据えた2030年を念頭に「会社のあるべき姿」示した上で、現段階で実践可能な対応を徹底し、目標完遂に向け始動しております。

当社の事業主体でありますエネルギー関連事業におきましては、人口減などによる需要減少の市場の中にありながらも、収益基盤であります顧客件数の拡大、販売数量の増加を中長期戦略の最重要ポイントと位置付けております。これを踏まえ、当社はLPガス・石油類・電気・産業用ガスなどライフラインとして生活や産業に欠かせないエネルギーを一元的に取扱う企業として、安定供給は勿論のこと、お客様目線での複合的サービスを環境問題への貢献と共に提案し次の内容を実践することでサンリンファンの裾野拡大に取組んでまいります。

 ① エネルギー供給においては安心・安全にご使用いただくため最高レベルの保安の維持、強化に努めてまいります。

 ② エネルギー商品を一括管理する当社のメリットを総合的なサービスとしてお客様へ還元し、顧客満足度向上を図ってまいります。

 ③ 会員特典サービスの拡充を図ってまいります。

 ④ 再生可能エネルギー由来の電気、カーボンニュートラルLPガス、CO2排出量削減効果のある消費機器等の普及拡大に努め、カーボンニュートラルの実現に向けて積極的に取組んでまいります。

 ⑤ エネルギーを作り出す創エネ事業としてバイオマス燃料の精製、PPA事業の展開、太陽光発電で作った電気を貯めて使用する蓄電池の設置などを成長事業として取組みを強化してまいります。

 

経営基盤といたしましては、ESG経営(環境・社会・ガバナンス)に配慮した経営に基づきガバナンス体制の高度化に取組み、ITやデジタル技術活用による業務の効率化や人材の育成、労働環境整備などプラットホームの強化に努めてまいります。

 ① コンプライアンスへの意識向上、法令遵守徹底を図り、リスク管理体制の強化と併せてガバナンスの高度化に努めてまいります。

 ② ITやデジタル技術活用による業務効率化を一層推進し、事業の生産性向上へ集中できる体制作りを進め、人材確保や育成、女性躍進、職場環境、働き方など労働環境の社会課題に対処し、社員のライフワークバランスの最適化と健康維持管理に努めてまいります。

 ③ 人材育成に関しましては、人材育成プログラムの高度化を進め社員が成長する環境を整備することで、事業を担い新たな事業を生み出す人材の育成に注力してまいります。

 ④ SDGsへの取組みは当社の環境理念のもと社員一同で実践し、引き続きCO2排出削減を進めてまいります。

 ⑤ バルク供給システムは配送効率化による燃料油削減やCO2排出削減に効果が見込めるため、さらに普及拡大に注力してまいります。

 

サステナビリティ経営への取組みにおきましては、サステナビリティ基本方針等に基づき、引き続き全役員・全社員が一丸となって持続的な社会の実現と中長期的な企業価値向上に努めてまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが中期経営計画において経営数値目標として掲げている項目の実績は、次のとおりであります。

 

 

 

目標(2024年度)

2023年度実績

連結経常利益 (注)

1,200百万円以上

940百万円

連結ROE(自己資本当期純利益率)

5%以上

3.6%

連結配当性向

30%以上

38.5%

(注) 連結経常利益は、2024年3月期に小売電気販売を「小売電気事業者」から「取次業者」に

変更したことから、当初目標の1,300百万円以上を1,200百万円以上に修正しております。

 

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

    サステナビリティに関するリスクや事業機会、目標や具体的な取組み施策については、取締役会で基本方針を決定の上、役員連絡会で協議・決定・進捗管理・モニタリングを定期的に実施し、必要に応じて是正策を検討しております。また取締役会は、役員連絡会で協議・決定された内容の報告を定期的に受け、サステナビリティに関する監督を行っております。

 

(2)リスク監理

  当社グループは全体的なリスク管理体制を構築するため、定期的にリスク監理部にて当社グループが直面する、あるいは将来発生する可能性のあるリスクの識別・評価を行い、優先順位付けしたうえでリスク対応計画を策定し、その進捗を確認しております。また特定されたリスクの影響とその対応策は、必要に応じて代表取締役社長が取締役会並びに監査役会に対して報告・提言することで全社リスクマネジメント体制においても管理されるように体制を整えております。

 

(3)戦略

  当社グループは、地域密着型生活関連総合商社として、「企業は人なり」の認識のもと、社員一人ひとりの着実な成長こそが当社グループの発展を支える力となると考えております。特に人材育成と社内環境整備を重要テーマとしてサステナビリティ戦略を推進してまいります。

 

ⅰ.人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針

 当社グループは、多様性の確保の観点から、人材育成方針として、女性管理職の育成や女性社員の営業参画を推進しております。加えて、社内の異なる経験、技能、属性を反映した視点や価値観などを踏まえ、資格取得だけにとどまらず、社員のキャリアパスを支援しながら、社員一人ひとりが成長実感をもてる機会を増加させ、個人の成長により組織ひいては当社の成長の原動力とし、新たな事業創生につなげてまいります。

 

ⅱ.社内環境整備に関する方針

 それぞれの社員が、お客様の「豊かな暮らしのお手伝い」や「地域社会や産業を支える仕事」に誇りを持ち、自発的な行動や創造力の発揮により活躍できる環境整備が望ましいと考えております。働きやすい職場の実現に向けた業務改善への積極的な提案およびチーム活動を支援することで、社内環境整備を推進してまいります。

 

  (4)指標と目標

① 当社グループでは、上記(3)戦略において記載した、人材の多様性に確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

指標の内容

2030年度目標

2023年度実績

備  考

管理職に占める女性労働者の割合

7

4.4(%)

課長代理以上の役職

男性労働者の育児休業取得率

20

33.3(%)

 

労働者の男女の賃金の差異

80

78.3(%)

 

(注)1.目標及び実績は、提出会社の従業員の状況となります。

      2.男女の賃金差異=女性の平均年間賃金÷男性の平均年間賃金×100%として算出しております。

 

② 当社グループでは、中期経営計画(2022~2024年度)において、事業活動(Scope1&2)における環境負荷の低減に向けた定量目標を設け、取り組みを進めています。具体的な取り組みとして、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来の電力で調達し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しています。

  また、事業所ごとに空調設備等を省エネ効率の高い機器へと順次更新すると共に、既存照明をLEDに変更することにより、使用電力およびCO2の削減に努めております。目標と2023年度(速報値)の実績は次のとおりであります。

指標の内容

2030年度目標

2023年度実績

備  考

自社全体のCO2排出量削減

2020年実績3,200tから1,400t削減

44%削減

△1,400t

56%削減

△1,795t

進捗率 128%

 

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 製品輸入価格及び為替について

当社グループで扱うLPガス及び石油類については、その供給において海外依存度が非常に高く、その価格の動向及び地政学的要因により、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、仕入先等から必要な情報を的確に収集するとともに、仕入価格に応じ販売価格を見直し適正利益が確保できるよう努めております。

 

(2) 自然災害等について

地震等の自然災害によって、当社グループのガス貯蔵設備、ガス充填・供給設備、石油類貯蔵設備等について、大きな損害を受ける可能性があります。これらの設備が相当な損害を被った場合、燃料類の供給の中断等の発生により、売上高が低下するとともに、拠点等の修復または代替のために巨額な費用を要することとなる可能性があります。また、山間地という営業エリア特有の地形から、特に冬季における豪雪等の気象状況による輸送経路の障害が発生した場合、商品の到着遅延やエリア内でのデリバリーの遅延に起因する供給不足の発生も考えられ、これによる売上高低下の可能性もあります。

当社グループでは、有事に備え定期的に研修・講習会を実施しているほか、非常事態対応マニュアルにより有事の際のリスクの最小化に努めております。

 

(3) 環境汚染等の発生について

当社グループは、可燃性ガス、石油・油脂類、有機溶剤等を扱っており、善良なる管理のもとに操業しておりますが、不測の事態により漏洩等の事態が生ずる可能性があります。この場合、汚染防止、汚染除去等の環境汚染防止のための改修費及び損害賠償や設備の修復等に多額の支出が発生する可能性があります。

当社グループでは、法令に基づいた点検や研修等を毎年実施しリスクの最小化に努めております。

 

(4) 法的規制等の変更について

当社グループは、石油類においては消防法及び各市町村条例、ガス類においては、高圧ガス保安法、液化石油ガス法を始めとする諸規則、リフォーム事業においては、建築基準法を始めとする建設関係法令、また医療事業においては薬事法等の数々の法律に規制されております。これは、消費者や利用者の安全確保を主眼としたものであり、消費者保護の観点から度々改正が行われてきております。LPガス関連法の歴史からみますと、供給設備の一斉改善、マイコン型ガスメーターの設置、電話回線による安全システムの設置等が行われてまいりました。このため、これらの改正の都度、多額の設備投資が必要となりました。

また、大規模地震に関連し、より一層の安全対策が求められることとなった場合、今後の法律改正によっても設備投資が必要になる可能性があります。

当社グループでは、各種業界団体への加盟等により、必要な情報を的確に収集するとともに、関連部署との情報の共有化を図っております。また、必要に応じ各種法令の順守に向けた社員教育及び体制整備に努めております。

 

(5) 各エネルギー間の競合について

エネルギー業界は、エネルギー間の垣根を超えた事業者の新規参入や業界再編を経て、価格競争が更に加速し、消費者側もエネルギー消費を抑えるライフスタイル改革が進み、業界を取り巻く環境は一段と厳しさを増しております。

当社グループにおきましても日々の顧客サービスを徹底し、常に顧客満足度の向上に努めておりますが、それだけでは事態を回避できないケースもあり、競争力強化のための資金需要が発生する可能性があります。

当社グループでは、金融機関に十分な借入枠を確保しております。また、業界や同業他社の情報を日々収集するとともに、お客様への訪問面談を通じて顧客ニーズを把握・蓄積することにより、マーケット環境や顧客ニーズの変化への対応力を高めております。

 

(6) 労働力等の調達について

人口減少や高齢化等による人手不足経済の到来から、新規採用等が計画的に進まない可能性があります。また、それに伴う、人件費への影響から収益確保の阻害要因となる可能性があります。

当社グループでは、企業の継続的な発展を支えるのは人材であると認識しており、新卒採用活動の強化のほか中途採用も積極的に実施し、安定的な人材確保にグループ全体で努めております。

 

(7) サイバー攻撃等による情報漏洩について

 当社グループは、業務運営や情報資産の保護のために、インターネットや各種ネットワークを利用しておりますが、サイバー攻撃等による情報漏洩のリスクが存在します。これらのリスクには、マルウェア感染、ランサムウェア攻撃、フィッシング詐欺、不正アクセス、データの改ざんおよび盗難、内部者による不正行為などが含まれます。サイバー攻撃の高度化および巧妙化に伴い、これらのリスクは増大しています。

当社グループは、これらのリスクに対処するために、情報セキュリティポリシーの策定、セキュリティソフトウェアの導入、定期的なセキュリティ監査および教育・訓練の実施など、多様な対策を講じています。しかし、完全な防御策を構築することは困難であり、万一重大なセキュリティ侵害が発生した場合、事業運営の中断や遅延による収益の減少、お取引先等からの信用失墜、機密情報の漏洩による法的責任や罰金の発生、ブランドイメージの毀損等の影響が考えられ、当社の財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループではこうしたリスクの低減に向けてサイバーセキュリティ対策を講じ、適切な情報管理に努めております。

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、経済活動の正常化が進み、雇用情勢やインバウンド需要に回復の動きが見られたほか日経平均株価の上昇などにより景気は緩やかな回復基調となりました。しかしながら、世界的な金融引締めや中国経済の先行き不安、円安基調による資源・原材料価格の高止まりに伴う物価上昇などが国内景気の下振れリスクとなっており、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

当社グループ関連のエネルギー業界に関しましても、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東情勢を巡る地政学リスクの高まり等によりエネルギー価格の高止まりが継続していることに加え、鋼材価格等の高騰による各種供給設備機器の大幅な仕入価格の上昇も続いており、引き続き経営への影響を注視していく必要があります。

このような状況のもと、当社グループはLPガス・石油類・電力の販売を柱とした「エネルギーのベストミックス」を基本に、地域密着型生活関連総合商社として、お客さまのニーズに的確にお応えする総合的な提案営業を展開するとともに、「中期経営計画(2022~2024年)」の完遂を目標にサステナブル経営を実践し、企業価値の向上に努めてまいりました。

営業活動におきましては、機器販売・リフォーム事業において年間に2回実施した「紙面・バーチャル展示会」を通じて、エネルギー価格の高騰などからお客様の関心が高い省エネ機器や断熱リフォーム等の販売に力を入れ、政府や自治体の各種住宅支援事業も後押しとなり、昨年度を上回る実績を上げることができました。

また、SDGsへの取組みの一環として、既に販売をしております再生可能エネルギー由来100%の電気「穂高グリーンプラン」に加え、LPガスの採掘から消費に至るまでの行程で発生するCOを実質ゼロとみなす「カーボンニュートラルLPガス」の取扱いも開始しました。エネルギー事業に携わる企業として、今後もCO排出量削減への取組みを継続してまいります。

主力でありますLPガス事業におきましては、暖冬の影響により給湯・暖房需要が伸び悩んだため販売数量は前年比で減少したものの、開発部門による新築物件等の開拓、M&Aによる事業譲受等により顧客件数は増加させることができました。

石油事業におきましても、最需要期であります冬場の暖冬の影響により、灯油および軽油の暖房・融雪需要が減少し、販売数量は前年比で減少しました。一方、ガソリンの販売数量は政府による負担軽減策の延長や行動制限の解除等により、セルフ給油所を中心に前年比で増加となりました。なお、設備の老朽化や経営環境の変化から佐久インター給油所を本年3月末で閉鎖いたしました。

電気事業におきましては、契約件数は前年比で増加させることができましたが、仕入単価の値上げ等の影響により利益は前年比で減少となりました。一方、太陽光発電システムや蓄電池の販売におきましては、お客様の創エネ意識や防災対策への関心に加え、長野県の補助事業の対象であることも要因となり、受注は堅調に推移しました。

また、子会社におきましては、青果事業においてえのき茸の販売単価が前年比高値で推移したことに加え出荷量も増加したこと等により、売上・利益とも過去最高となりました。

 これらの結果、当連結会計年度の業績は、主に青果事業で増収となりましたが、エネルギー関連事業においてLPガス及び石油類の販売数量減少等の要因により減収となり、売上高は32,042百万円(前年同期比2.4%減)となりました。

 利益面におきましては、記録的な暖冬の影響等によるLPガス及び石油類等の販売数量減少の影響はあったものの、主に青果事業及びその他事業の建設事業において利益が確保できたこと等により、営業利益613百万円(前年同期比19.9%増)、経常利益940百万円(前年同期比15.3%増)となりました。特別利益として座光寺給油所の土地収用に伴う収用補償金97百万円を計上しており、親会社株主に帰属する当期純利益は700百万円(前年同期比30.2%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

a.エネルギー関連事業

 猛暑及び暖冬の影響によるLPガス・石油類の販売数量減少等により、売上高は28,133百万円(前年同期比3.2%減)となりました。セグメント利益も売上高減少の影響等により318百万円(前年同期比18.9%減)となりました。

 なお、LPガス販売事業者のうち現在全国で2%程度に付与されている「ゴールド保安認定事業者」として、LPガス保安確保機器の設置を進めてきた結果、当連結会計年度末における認定対象先は97%を超えました。

b.製氷事業

 売上高は大口取引先への販売減の影響等により310百万円(前年同期比5.4%減)となりました。セグメント損失は光熱費や減価償却費は減少したものの売上減少分をカバーできず59百万円(前年同期は55百万円のセグメント損失)となりました。

c.青果事業

 きのこ類の出荷量増と販売価格の高値推移等により、売上高は2,814百万円(前年同期比13.8%増)となりました。セグメント利益は売上増加の影響等により199百万円(前年同期は12百万円のセグメント損失)となり、売上・利益ともに過去最高となりました。

d.不動産事業

 前年のような大型の宅地分譲の販売がなかったことから、売上高は354百万円(前年同期比38.0%減)、セグメント利益は売上減少の影響等により10百万円(前年同期比89.0%減)となりました。

e.その他事業

 運送事業・建設事業等のその他事業におきましては、建設事業において完工物件が増加したことから、売上高は431百万円(前年同期比7.3%増)、セグメント利益は57百万円(前年同期比499.5%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比935百万円増加し、当連結会計年度末は4,470百万円となりました。


 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は2,003百万円(前年同期は1,107百万円の獲得)となりました。主な内訳は税金等調整前当期純利益994百万円、減価償却費703百万円、棚卸資産の減少額314百万円等の増加要素、法人税等の支払額228百万円等の減少要素によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果使用した資金は677百万円(前年同期は854百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出711百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動の結果使用した資金は390百万円(前年同期は437百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払いによる支出269百万円等によるものであります。

 

 当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは次のとおりであります。

 

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

2023年

3月期

2024年

3月期

自己資本比率(%)

70.3

69.7

70.1

70.6

70.6

時価ベースの自己資本比率(%)

34.8

34.2

30.9

31.5

30.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.3

2.1

2.8

1.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

134.0

198.4

143.5

196.8

 自己資本比率:自己資本/総資産
 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

※営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

※2022年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

③生産、受注及び販売の実績

  a.生産実績

   当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

エネルギー関連事業(百万円)

412

△18.5

製氷事業(百万円)

279

△7.7

青果事業(百万円)

681

△6.8

合計(百万円)

1,374

△10.8

   (注)金額は製造原価にて記載しております。

 

  b.商品仕入実績

   当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

エネルギー関連事業(百万円)

22,363

△4.0

製氷事業(百万円)

288

△2.9

青果事業(百万円)

2,126

4.8

不動産事業(百万円)

297

△29.3

  報告セグメント計(百万円)

25,076

△3.7

その他(百万円)

1,273

4.4

合計(百万円)

26,350

△3.3

   (注)金額は売上原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

  c.受注実績

   当社グループの製品は、すべて見込生産であり、受注生産を行っておりません。

  d.販売実績

   当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

エネルギー関連事業(百万円)

28,133

△3.2

製氷事業(百万円)

310

△5.4

青果事業(百万円)

2,814

13.8

不動産事業(百万円)

354

△38.0

  報告セグメント計(百万円)

31,611

△2.6

その他(百万円)

431

7.3

合計(百万円)

32,042

△2.4

   (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

 

経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ801百万円減少し、32,042百万円(前年同期比2.4%減)となりました。これは主に、エネルギー関連事業において記録的な暖冬の影響等によるLPガス及び石油類の販売数量減少等の要因によるものであります。

 なお、セグメント別の売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ141百万円増加し、6,858百万円(前年同期比2.1%増)となりました。これは主に、LPガス及び石油類等の販売数量減少の影響はあったものの、青果事業及びその他事業の建設事業において利益が確保できたこと等によるものであります。

(営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、人件費、営業権買収に伴うガス供給設備費及びのれん償却費、旅費交通費、販売手数料等の増加により前連結会計年度に比べ39百万円増加し、6,245百万円(同0.6%増)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ101百万円増加し、613百万円(同19.9%増)となりました。

(経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は、配当金受取増加等により前連結会計年度に比べ47百万円増加し、370百万円(同14.7%増)となりました。

 営業外費用は、子会社への貸倒引当金計上等により24百万円増加し、42百万円(同138.5%増)となりました。

 以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ124百万円増加し、940百万円(同15.3%減)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別利益に給油所の収用補償金97百万円を計上し、特別損失に給油所他の減損損失44百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ162百万円増加し、700百万円(同30.2%増)となりました。

 

財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度における流動資産の残高は、13,578百万円となり、前連結会計年度比664百万円の増加となりました。これは、前連結会計年度比で、現金及び預金が860百万円増加、受取手形、売掛金及び契約資産が390百万円増加、棚卸資産が314百万円減少したこと等が主な要因であります。

(固定資産)

当連結会計年度における固定資産の残高は、14,191百万円となり、前連結会計年度比426百万円の増加となりました。主な要因は、投資有価証券の評価額が増加したことにより投資その他の資産が467百万円増加したこと等によるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度における流動負債の残高は、6,358百万円となり、前連結会計年度比208百万円の増加となりました。主な要因は、子会社において仮受金(交付金の入金分)が260百万円増加したこと等によるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度における固定負債の残高は、1,809百万円となり、前連結会計年度比114百万円の増加となりました。主な要因は、繰延税金負債が124百万円増加したこと等によるものであります。

(純資産の部)

 当連結会計年度における純資産の部の残高は、19,603百万円となり、前連結会計年度比768百万円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金が430百万円増加、その他有価証券評価差額金が370百万円増加したこと等によるものであります。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

 2025年3月期を最終目標年度とする中期経営計画の達成に向けた重点施策への取組みを進めてまいります。

指標

2023年3月期(実績)

2024年3月期(実績)

2025年3月期(計画)

連結経常利益(注)

816百万円

940百万円

1,200百万円

連結ROE

2.9%

3.6%

5.0%

連結配当性向

50.2%

38.5%

30%

(注)連結経常利益は、2024年3月期に小売電気販売を「小売電気事業者」から「取次業者」に変更したことか

ら、当初目標の1,300百万円以上を1,200百万円以上に修正しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入代金等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。また、株主還元につきましては、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。

 運転資金及び投資資金並びに株主還元等につきましては、主として営業キャッシュ・フローで獲得した内部資金を充当し、不足が生じた場合等は金融機関からの借入金で調達する方針となっております。金融機関には十分な借入枠を有しており、必要な資金の調達は十分可能な状況であると考えております。

 なお、当連結会計年度末における借入金の残高は3,037百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,470百万円となっております。

 

③重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 なお、ウクライナ情勢や中東情勢の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

(繰延税金資産)

 当社グループは、繰延税金資産につきまして、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

(固定資産の減損処理)

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループにつきまして、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

(のれん)

 のれんは、将来の販売予測、及び開発、営業、生産等のシナジー効果を見積った上で策定された事業計画を基礎とし、超過収益力として算定され、規則的に償却しております。なお、将来の事業計画は市場環境の変化等による不確実性を伴うものであり、仮に超過収益力に毀損が生じた場合には、翌連結会計年度の連結財務諸表においてのれんの金額に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。