第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「持続可能な成長を実現するために、環境の変化に的確に対応しながら多様なエネルギーを取り扱うと同時に、お客様のあらゆるニーズを捉えながら『豊かな暮らしのお手伝い』をするとともに顧客満足度向上を目指し、地域に選択される『地域密着型生活関連総合商社』として人々の暮らしや地域社会の発展に貢献する」の経営理念のもと、当社グループの使命と存在価値を全従業員が共有し、具体的な行動を確実に実践することで、急激に変化する厳しい事業環境下でも持続可能な成長を実現し続けるために、サステナブル経営を実践し、安心安全なエネルギーの供給を通じて快適な生活が持続できる地域社会の形成に貢献してまいります。

 2025年度からは「お客様の豊かな暮らしと従業員の働きがいを創出し幸せな社会を実現」をスローガンに中期経営計画(2025-2027)がスタートいたしました。2024年12月に創立90周年を迎えた当社は、次の創立100周年に向けライフラインを担う企業としての公益的使命を果たしていくとともに、資本コストと株価を意識した経営に努め、安定収益の確保と経営基盤の拡大に総力を挙げて取組んでまいります。

 

(2)経営戦略等

 ①グループ戦略

 グループを統括する本部につきましては、営業本部と管理本部との2本部で展開することにより、各部横断的な情報共有によって全ての事業の顧客基盤の維持、拡大を図るとともに、グループの相乗効果を高めてまいります。

 

 ②中期経営計画(2025-2027)における経営戦略

 中期経営計画(2025-2027)の経営戦略の柱としている項目は次のとおりです。

 ⅰ.エネルギー関連事業の深化

  <基本方針>

  ・人口減少・エネルギー使用量減少継続を見据え、グループ総合力を発揮した地域密着型営業の強化を通じて、更に顧客満足度を向上させ「サンリンファン」を増やしていく。

  ・持続可能なエネルギー供給を収益機会拡大のチャンスと捉え、地域の低炭素化 に貢献すると共に、収益力強化と効率性向上の両立を目指していく。

  <取組みテーマ>

  ・お客様のライフスタイルに合わせた情報発信とサービス利便性の向上

  ・お客様の安心・快適な暮らしと省エネの実現を目指し、エネルギー取引複合化とグループ総合力を活かした地域密着営業の実践

  ・地域LPG事業者との連携強化による収益機会創出と持続可能な地域LPG供給の実現

  ・SS拠点の戦略的再構築、油外サービス充実化を通じた収益構造の強化

  ・効率的で継続的な新規顧客開拓による複合的な取引基盤の拡大

 

 ⅱ.食・住を軸とした事業領域の拡大

  <基本方針>

  ・サンリングループ総合力による「住」の事業領域拡大と、「食」「住」分野での新規事業模索・開発により、「地域密着型生活関連総合商社」としてのブランド認知度と企業価値向上を実現していく。

  <取組みテーマ>

  ・エネルギー関連事業の事業基盤と不動産事業の総合力で、成長分野であるリフォーム事業の拡大

  ・食・住をテーマとした新規事業の模索・開発

 

 ⅲ.従業員のやりがい創出

  <基本方針>

  ・多彩な人材の活躍を支援し、働きがいとワークライフバランスの両立の実現を通じて、「環境の変化=チャンス」と捉え、やりがいを持って挑戦し続ける人材と組織づくりを実現していく。

  <取組みテーマ>

  ・働きやすく、働きがいのある職場環境・風土を作り、従業員エンゲージメントスコア向上を目指す

 

 ⅳ.収益性や効率性を高めるためのシステム投資

  <基本方針>

  ・顧客生活スタイルやニーズの多様化と従業員の働き方改革の実現のため、従来の業務プロセスを見直し、システム投資・IT化を通じて、顧客満足度と生産性向上を目指していく。

  <取組みテーマ>

  ・デジタル技術を活用したマーケティングによる収益性の向上と、業務のIT化による顧客利便性と高生産性の追求

 

 ③SDGsへの取組み

 当社の環境理念である「安心安全なエネルギーの供給を通じて、快適な生活が持続できる地域社会の形成に貢献し、地球環境の保全に努めます」は、SDGsの達成と目的を同じくするものであり、社員一人ひとりがこの理念を理解し、それぞれの役割を果たしていくことで、SDGsの達成に貢献してまいります。

 

(3)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

我が国の経済環境は、物価高対策の行方及び米国トランプ政権の関税政策を見守る状況となり、先行き不透明な状況が継続すると思われます。また、エネルギー価格につきましても、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢の長期化等により予測が困難な状況が継続すると思われ、これらがもたらす消費活動や企業活動の動静が当社グループの事業活動に大きく影響を及ぼす可能性があります。

このような状況の中、当社グループは、外部環境が与えるネガティブな影響として次の内容を認識しております。

① 脱炭素社会の進展によるエネルギー消費量減少

② 少子高齢化・人口減少による消費世帯数の減少、従業員確保の難化

③ 気候変動による異常気象や自然災害の増加

④ インフレ時代の到来による人件費・輸送費等あらゆるコストの増大

こうした外部環境からの影響へ対応し、次の100周年を目指し地域に密着して持続可能な成長を実現していくために、当社グループでは2025年度より「中期経営計画(2025~2027)」がスタートいたしました。

中期経営計画(2025-2027)では、サステナブル経営をベースとして「① エネルギー関連事業の深化」「② 食・住を軸とした事業領域の拡大」「③ 従業員のやりがい創出」「④ 収益性や効率性を高めるためのシステム投資」の4項目を経営戦略とし、具体的な取組事項の実践によりKPI(重要業績評価指標)達成を目指してまいります。

また、上場会社に求められる「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」につきましても重要課題と位置づけ、重点施策を実行することで資本コストを上回る収益力を目指すとともに適切な情報開示に努めるなど企業価値向上を図ってまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが中期経営計画(2025-2027)において経営数値目標として掲げている項目は、次のとおりであります。

 

2027年度目標

(参考)2024年度実績

連結経常利益

1,600百万円以上

1,278百万円

連結ROE(自己資本当期純利益率)

5%以上

4.1%

連結配当性向

35%以上

35.7%

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 ⅰ.体制

    サステナビリティに関するリスクや事業機会、目標や具体的な取組み施策については、取締役会で基本方針を決定の上、役員連絡会で協議・決定・進捗管理・モニタリングを定期的に実施し、必要に応じてサステナビリティ委員会に是正策の策定を指示しております。また取締役会は、役員連絡会で協議・決定された内容の報告を定期的に受け、サステナビリティに関する監督を行っております。

 

   <サステナビリティ委員会構成員>

    ・委員長  専任取締役

    ・委員   各取締役、執行役員、部長、副部長、課長

    ・事務局  総務部IR・サステナビリティ推進担当

 

   ⅱ.サステナビリティ委員会の活動

      ①勉強会の実施

    外部講師を招き、サステナビリティに関する勉強会を実施いたしました。

       (具体的なテーマ)

    ・開示を検討すべきサステナビリティ情報とは

    ・サステナビリティ委員会で何を話し合うべきか

    ・サステナビリティ経営を推進するために必要なサイクル

    ・サステナビリティ委員会の機能と役割

    ・気候変動などの地球環境問題への配慮 等

 

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       ②サステナビリティに関する取組方針と目標値を策定

     中期経営計画(2025-2027)策定に合わせ、サステナビリティに関する重要課題を抽出し、それぞれの課題への

        取組方針と目標値を定めました。

     今後は当委員会の中で進捗状況を確認し、定期的に役員連絡会及び取締役会に報告してまいります。0102010_002.png

 

(2)リスク管理

  当社グループは全体的なリスク管理体制を構築するため、定期的にリスク監理部にて当社グループが直面する、あるいは将来発生する可能性のあるリスクの識別・評価を行い、優先順位付けしたうえでリスク対応計画を策定し、その進捗を確認しております。また特定されたリスクの影響とその対応策は、必要に応じて代表取締役社長が取締役会並びに監査役会に対して報告・提言することで全社リスクマネジメント体制においても管理されるように体制を整えております。

  また、リスクだけでなくサステナビリティに係る事業機会を的確に捉え、企業価値向上に繋げていくため、取締役会で基本方針を決定の上、役員連絡会で協議・決定・進捗管理・モニタリングを定期的に実施し、必要に応じて

 サステナビリティ委員会に是正策の策定を指示しております。

 

(3)戦略

  当社グループは、地域密着型生活関連総合商社として、「企業は人なり」の認識のもと、社員一人ひとりの着実な成長こそが当社グループの発展を支える力となると考えております。特に人材育成と社内環境整備を重要テーマとしてサステナビリティ戦略を推進してまいります。気候変動の戦略については、(4)指標と目標②に記載のとおりであります。

 

ⅰ.人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針

 当社グループは、多様性の確保の観点から、人材育成方針として、女性管理職の育成や女性社員の営業参画を推進しております。加えて、社内の異なる経験、技能、属性を反映した視点や価値観などを踏まえ、資格取得だけにとどまらず、社員のキャリアパスを支援しながら、社員一人ひとりが成長実感をもてる機会を増加させ、個人の成長により組織ひいては当社グループの成長の原動力とし、新たな事業創生につなげてまいります。

 

ⅱ.社内環境整備に関する方針

 それぞれの社員が、お客様の「豊かな暮らしのお手伝い」や「地域社会や産業を支える仕事」に誇りを持ち、自発的な行動や創造力の発揮により活躍できる環境整備が望ましいと考えております。働きやすい職場の実現に向けた業務改善への積極的な提案およびチーム活動を支援することで、社内環境整備を推進してまいります。

 

  (4)指標と目標

① 当社グループでは、上記(3)戦略において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

指標の内容

2030年度目標

2024年度実績

備  考

管理職に占める女性労働者の割合

7

7.8(%)

 

男性労働者の育児休業取得率

20

37.5(%)

 

労働者の男女の賃金の差異

80

78.1(%)

正社員

(注)1.目標及び実績は、提出会社の従業員の状況となります。なお、連結子会社につきましては業種柄、有期

     雇用者の比率が高く算定が困難であるため、提出会社のみで算出することとしております。

      2.男女の賃金差異=女性の平均年間賃金÷男性の平均年間賃金×100%として算出しております。

 

② 当社グループでは、中期経営計画(2022~2024年度)において、事業活動(Scope1&2)における環境負荷の低減に向けた定量目標を設け、取り組みを進めてまいりました。具体的な取り組みとして、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来の電力で調達し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しています。

  また、事業所ごとに空調設備等を省エネ効率の高い機器へと順次更新すると共に、既存照明をLEDに変更することにより、使用電力およびCO2の削減に努めております。目標と2024年度(速報値)の実績は次のとおりであります。なお、既に目標を達成した指標については、目標値を見直した上で取り組みを進めてまいります。

指標の内容

2030年度目標

2024年度実績

備  考

自社全体のCO2排出量削減

2020年実績3,200tから1,400t削減

44%削減

△1,400t

59%削減

△1,912t

進捗率 136%

 

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 製品輸入価格及び為替について

当社グループで扱うLPガス及び石油類については、その供給において海外依存度が非常に高く、その価格の動向及び地政学的要因により、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、仕入先等から必要な情報を的確に収集するとともに、仕入価格に応じ販売価格を見直し適正利益が確保できるよう努めております。

 

(2) 自然災害等について

地震等の自然災害によって、当社グループのガス貯蔵設備、ガス充填・供給設備、石油類貯蔵設備等について、大きな損害を受ける可能性があります。これらの設備が相当な損害を被った場合、燃料類の供給の中断等の発生により、売上高が低下するとともに、拠点等の修復または代替のために巨額な費用を要することとなる可能性があります。また、山間地という営業エリア特有の地形から、特に冬季における豪雪等の気象状況による輸送経路の障害が発生した場合、商品の到着遅延やエリア内でのデリバリーの遅延に起因する供給不足の発生も考えられ、これによる売上高低下の可能性もあります。

当社グループでは、有事に備え定期的に研修・講習会を実施しているほか、非常事態対応マニュアルにより有事の際のリスクの最小化に努めております。

 

(3) 環境汚染等の発生について

当社グループは、可燃性ガス、石油・油脂類、有機溶剤等を扱っており、善良なる管理のもとに操業しておりますが、不測の事態により漏洩等の事態が生ずる可能性があります。この場合、汚染防止、汚染除去等の環境汚染防止のための改修費及び損害賠償や設備の修復等に多額の支出が発生する可能性があります。

当社グループでは、法令に基づいた点検や研修等を毎年実施しリスクの最小化に努めております。

 

(4) 法的規制等の変更について

当社グループは、石油類においては消防法及び各市町村条例、ガス類においては、高圧ガス保安法、液化石油ガス法を始めとする諸規則、リフォーム事業においては、建築基準法を始めとする建設関係法令、また医療事業においては薬事法等の数々の法律に規制されております。これは、消費者や利用者の安全確保を主眼としたものであり、消費者保護の観点から度々改正が行われてきております。LPガス関連法の歴史からみますと、供給設備の一斉改善、マイコン型ガスメーターの設置、電話回線による安全システムの設置等が行われてまいりました。このため、これらの改正の都度、多額の設備投資が必要となりました。

また、大規模地震に関連し、より一層の安全対策が求められることとなった場合、今後の法律改正によっても設備投資が必要になる可能性があります。

当社グループでは、各種業界団体への加盟等により、必要な情報を的確に収集するとともに、関連部署との情報の共有化を図っております。また、必要に応じ各種法令の順守に向けた社員教育及び体制整備に努めております。

 

(5) エネルギー事業者間の競合について

エネルギー業界は、エネルギー間の垣根を超えた事業者の新規参入や業界再編、またエネルギー事業者間による激しい顧客争奪等により価格競争が更に加速し、消費者側もエネルギー消費を抑えるライフスタイル改革が進み、業界を取り巻く環境は年々厳しさを増しております。

当社グループにおきましても「地域密着型生活関連総合商社」として日々の顧客サービスを徹底し、常に顧客満足度の向上に努めておりますが、それだけでは事態を回避できないケースもあり、競争力強化のための資金需要が発生する可能性があります。

当社グループでは、金融機関に十分な借入枠を確保しております。また、業界や同業他社の情報を日々収集するとともに、お客様への訪問面談を通じて顧客ニーズを把握・蓄積することにより、マーケット環境や顧客ニーズの変化への対応力を高めております。

 

(6) 労働力等の調達について

人口減少や高齢化等による人手不足経済の到来から、新規採用等が計画的に進まない可能性があります。また、それに伴う、賃金引上げ等の人件費への影響から収益確保の阻害要因となる可能性があります。

当社グループでは、企業の継続的な発展を支えるのは人材であると認識しており、新卒採用活動の強化のほか中途採用も積極的に実施し、安定的な人材確保にグループ全体で努めております。

 

(7) サイバー攻撃等による情報漏洩について

 当社グループは、業務運営や情報資産の保護のために、インターネットや各種ネットワークを利用しておりますが、サイバー攻撃等による情報漏洩のリスクが存在します。これらのリスクには、マルウェア感染、ランサムウェア攻撃、フィッシング詐欺、不正アクセス、データの改ざんおよび盗難、内部者による不正行為などが含まれます。サイバー攻撃の高度化および巧妙化に伴い、これらのリスクは増大しています。

当社グループは、これらのリスクに対処するために、情報セキュリティポリシーの策定、セキュリティソフトウェアの導入、定期的なセキュリティ監査および教育・訓練の実施など、多様な対策を講じています。しかし、完全な防御策を構築することは困難であり、万一重大なセキュリティ侵害が発生した場合、事業運営の中断や遅延による収益の減少、お取引先等からの信用失墜、機密情報の漏洩による法的責任や罰金の発生、ブランドイメージの毀損等の影響が考えられ、当社の財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループではこうしたリスクの低減に向けてサイバーセキュリティ対策を講じ、適切な情報管理に努めております。

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、賃上げを背景とした雇用・所得環境の改善や旺盛なインバウンド需要を背景に、宿泊・飲食・レジャー等のサービス消費が堅調に推移し、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。一方、食品・日用品等の生活必需品の物価上昇、不安定な国際情勢、米国トランプ政権による関税政策など景気を左右する不安定要素が顕在化しており、先行きの不透明感が増しております。

当社グループ関連のエネルギー業界に関しましても、中東情勢の緊迫化や長期化するロシア・ウクライナ情勢によるエネルギー価格の高止まりに加え、各種供給設備機器の仕入価格上昇、人件費や物流コストの大幅な上昇、燃料油価格激変緩和対策事業による補助金の縮小など、今後の消費活動に与える影響等を注視する必要があり、当社を取り巻く事業環境は引き続き厳しい状況が続いております。

このような状況のもと、当社グループは昨年12月に創立90周年を迎え、「中期経営計画(2022~2024年)」最終年度の目標達成を目指し、サステナブル経営を念頭に、エネルギー事業者間による激しい顧客争奪に耐えうる営業体制の構築と地域密着型生活関連総合商社として顧客満足度の向上を意識した質の高い営業活動を展開してまいりました。

顧客満足度向上の一環として、お客様からの要望が多かったWeb会員サービス「サンリンMyページ」の会員を対象とした「ポイントサービス」を本年2月より開始いたしました。毎月のご利用金額に応じて、様々なサービスに還元が可能なポイントを付与することでサンリンファンになっていただくとともに、請求書のWeb化により環境負荷の低減にも取組んでまいりました。

主力でありますLPガス事業におきましては、飲食業やレジャー産業などコロナ禍の影響を受けていた需要家の回復や、ガスファンヒーターレンタルの積極的な推進により単位消費量が増加となり、販売数量は前年比で増加となりました。

石油事業におきましては、2024年3月末に1給油所を閉鎖したことや政府によるガソリンなどの燃料価格負担軽減策が段階的に縮小されたことの影響が懸念されましたが、社会経済活動や観光事業の回復からガソリン等の販売数量は前年並みを確保することができました。また、灯油におきましても、最需要期の冬場の給湯・暖房需要が比較的堅調に推移したことにより、販売数量は前年を上回る結果となりました。

 電気事業におきましては、「電気+ガスのセット割」や「長トク割キャンペーン」を継続展開し契約件数は前年比で増加したものの、2024年4月より小売電気事業者から取次事業者へ移行したことに伴い手数料売上のみの計上へ変更になったことから、売上高は前年比で減少となりました。一方、太陽光発電システムや蓄電池・V2Hの販売におきましては、自治体による補助金の後押しや、脱炭素社会や創エネ・蓄エネへの関心の高さから受注が堅調に推移し、売上高は前年比で増加となりました。

機器・リフォーム事業におきましては、年間に2回実施した「紙面・バーチャル展示会」を通じて、エネルギー価格の高騰などからお客様の関心が高い省エネ機器や断熱リフォーム等の販売に力を入れ、政府や自治体の各種補助金事業も活用して、前年を上回る実績を上げることができました。

子会社におきましては、青果事業の株式会社えのきボーヤにおいてえのき茸の販売単価が前年比高値で推移したことに加え出荷量も増加したこと等により、売上・利益とも過去最高を更新いたしました。また、エネルギー関連事業の安曇野RE株式会社においては、2024年6月に安曇野市と脱炭素に向けた連携協定を結び、PPA事業として安曇野市の公共施設等の屋根に太陽光パネルの設置を進めてまいりました。2024年度中に13施設への設置を完了し、2025年4月から各施設への売電を開始してまいります。

これらの結果、当連結会計年度の業績は、主に青果事業で増収となったものの、エネルギー関連事業において電気事業における取次業者への移行に伴う契約形態変更の影響等により減収となり、売上高は30,826百万円(前年同期比3.8%減)となりました。

 利益面におきましては、人件費の増加や配送コストの上昇等の要因により販売費及び一般管理費が増加したものの、青果事業及び不動産事業で利益を確保できたこと等により、営業利益は652百万円(前年同期比6.4%増)となりました。経常利益は子会社の交付金計上の影響により1,278百万円(前年同期比35.9%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は821百万円(前年同期比17.3%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

a.エネルギー関連事業

 LPガス、石油類及び機器販売等の増収要因はあったものの、電気事業における取次業者への移行に伴う契約形態変更の影響等により、売上高は26,731百万円(前年同期比5.0%減)となりました。セグメント利益も賃上げによる人件費の増加や配送コストの上昇等の要因により販売費及び一般管理費が増加したことから、293百万円(前年同期比7.8%減)となりました。

 なお、LPガス販売事業者のうち現在全国で2%程度に付与されている「ゴールド保安認定事業者」として、LPガス保安確保機器の設置を進めてきた結果、当連結会計年度末における認定対象先は98%を超えました。

b.製氷事業

 売上高は大口取引先への販売減の影響がありましたが、新規販売先の開拓等により314百万円(前年同期比1.5%増)となりました。セグメント損失は売上増加や減価償却費の減少等により29百万円(前年同期は59百万円のセグメント損失)となり前年から改善いたしました。

c.青果事業

 きのこ類の出荷量増と販売価格の高値推移等により、売上高は3,157百万円(前年同期比12.2%増)となりました。セグメント利益は売上増加の影響等により235百万円(前年同期比18.0%増)となり、売上・利益ともに過去最高を更新いたしました。

d.不動産事業

 前年のような大型の宅地分譲の販売がなかったことから、売上高は208百万円(前年同期比41.1%減)となりました。一方、セグメント利益は利益確保に努めた結果35百万円(前年同期比231.5%増)となりました。

e.その他事業

 運送事業・建設事業等のその他事業におきましては、建設事業において完工物件が減少したことから、売上高は413百万円(前年同期比4.1%減)となりました。セグメント利益は売上減少の影響等により55百万円(前年同期比2.8%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比478百万円減少し、当連結会計年度末は3,991百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は855百万円(前年同期は2,003百万円の獲得)となりました。主な内訳は税金等調整前当期純利益1,179百万円、減価償却費751百万円等の増加要素、不動産事業における大規模産業用地整備計画用地取得費用等のその他流動資産の増加に伴う支払額869百万円、法人税等の支払額302百万円等の減少要素によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果使用した資金は971百万円(前年同期は677百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出871百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動の結果使用した資金は367百万円(前年同期は390百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払いによる支出269百万円等によるものであります。

 

 当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは次のとおりであります。

 

2021年

3月期

2022年

3月期

2023年

3月期

2024年

3月期

2025年

3月期

自己資本比率(%)

69.7

70.1

70.6

70.6

71.9

時価ベースの自己資本比率(%)

34.2

30.9

31.5

30.9

27.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.1

2.8

1.5

3.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

198.4

143.5

196.8

56.7

 自己資本比率:自己資本/総資産
 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

※営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

※2022年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

③生産、受注及び販売の実績

  a.生産実績

   当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

エネルギー関連事業(百万円)

432

4.8

製氷事業(百万円)

263

△5.7

青果事業(百万円)

755

10.7

合計(百万円)

1,451

5.6

   (注)金額は製造原価にて記載しております。

 

  b.商品仕入実績

   当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

エネルギー関連事業(百万円)

20,817

△6.9

製氷事業(百万円)

266

△7.4

青果事業(百万円)

2,390

12.4

不動産事業(百万円)

126

△57.4

  報告セグメント計(百万円)

23,601

△5.9

その他(百万円)

1,360

6.8

合計(百万円)

24,962

△5.3

   (注)金額は売上原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

  c.受注実績

   当社グループの製品は、すべて見込生産であり、受注生産を行っておりません。

  d.販売実績

   当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

エネルギー関連事業(百万円)

26,731

△5.0

製氷事業(百万円)

314

1.5

青果事業(百万円)

3,157

12.2

不動産事業(百万円)

208

△41.1

  報告セグメント計(百万円)

30,412

△3.8

その他(百万円)

413

△4.1

合計(百万円)

30,826

△3.8

   (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

 

経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ1,216百万円減少し、30,826百万円(前年同期比3.8%減)となりました。これは主に、エネルギー関連事業において電気事業における取次業者への移行に伴う契約形態変更の影響等によるものであります。

 なお、セグメント別の売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ276百万円増加し、7,135百万円(前年同期比4.0%増)となりました。これは主に、エネルギー関連事業及び青果事業において利益が確保できたこと等によるものであります。

(営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、人件費及び配送コスト等の増加により前連結会計年度に比べ237百万円増加し、6,482百万円(同3.8%増)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ39百万円増加し、652百万円(同6.4%増)となりました。

(経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は、青果事業の株式会社えのきボーヤにおいて交付金を計上したこと等により前連結会計年度に比べ303百万円増加し、673百万円(同81.9%増)となりました。

 営業外費用は、非連結子会社を吸収合併した際の抱合せ株式消滅差損の計上等により4百万円増加し、47百万円(同11.7%増)となりました。

 以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ337百万円増加し、1,278百万円(同35.9%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別損失に支店及び給油所の減損損失98百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ121百万円増加し、821百万円(同17.3%増)となりました。

 

財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度における流動資産の残高は、13,713百万円となり、前連結会計年度比134百万円の増加となりました。これは、前連結会計年度比で、現金及び預金が403百万円減少、受取手形、売掛金及び契約資産が162百万円減少したものの、貯蔵品・前渡金等のその他流動資産が845百万円増加したこと等が主な要因であります。

(固定資産)

当連結会計年度における固定資産の残高は、15,355百万円となり、前連結会計年度比1,163百万円の増加となりました。主な要因は、投資有価証券の評価額が増加したことにより投資その他の資産が1,060百万円増加したこと等によるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度における流動負債の残高は、6,141百万円となり、前連結会計年度比216百万円の減少となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金が178百万円減少したこと等によるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度における固定負債の残高は、2,029百万円となり、前連結会計年度比219百万円の増加となりました。主な要因は、繰延税金負債が351百万円増加、長期借入金が58百万円減少したこと等によるものであります。

(純資産の部)

 当連結会計年度における純資産の部の残高は、20,898百万円となり、前連結会計年度比1,295百万円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金が551百万円増加、その他有価証券評価差額金が711百万円増加したこと等によるものであります。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

 2025年3月期を最終目標年度とする中期経営計画の達成状況は次のとおりであります。

指標

2024年3月期(実績)

2025年3月期(実績)

2025年3月期(計画)

連結経常利益(注)

940百万円

1,278百万円

1,200百万円

連結ROE

3.6%

4.1%

5.0%

連結配当性向

38.5%

35.7%

30%

(注)連結経常利益は、2024年3月期に小売電気販売を「小売電気事業者」から「取次業者」に変更したことか

ら、当初目標の1,300百万円以上を1,200百万円以上に修正しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入代金等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。また、株主還元につきましては、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。

 運転資金及び投資資金並びに株主還元等につきましては、主として営業キャッシュ・フローで獲得した内部資金を充当し、不足が生じた場合等は金融機関からの借入金で調達する方針となっております。金融機関には十分な借入枠を有しており、必要な資金の調達は十分可能な状況であると考えております。

 なお、当連結会計年度末における借入金の残高は2,954百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,991百万円となっております。

 

③重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 なお、ウクライナ情勢や中東情勢及び米国トランプ政権による関税政策の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

(繰延税金資産)

 当社グループは、グループ各社の将来の収益力に基づく課税所得及びタックスプランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性を判断しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件又は仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において繰延税金資産の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(固定資産の減損処理)

 当社グループは、他の資産又は資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位として、事業用資産については主として営業店舗ごとに、また将来の利用計画が明確でない遊休資産等は物件ごとにグルーピングを実施しております。

 また、事業用資産については、営業活動から生じる損益が継続してマイナスとなっている資産グループ及び回収可能価額を著しく低下させる変化が生じた資産グループについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

 なお、資産グループの回収可能価額は、使用価値又は正味売却価額により測定しております。使用価値を算定するに当たっては、将来キャッシュ・フローの見積りや割引率等で決定しており、正味売却価額については、不動産鑑定評価額等を基準に市場価格を適正に反映していると考えられる評価額により算定しております。

 将来キャッシュ・フローの見積りにおいては、次年度の予算や事業計画を基礎としております。次年度の予算や事業計画には販売単価や顧客数、商品仕入価格等の重要な仮定が用いられており、その見積りの前提とした条件又は仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、減損損失の金額に重要な影響を与える可能性があります。

(LPガスの検針日から期末日までの未検針期間の売上高の見積り計上)

 需要家によるLPガスの使用によって発生する売上高は、検針日を基準として売上高を認識しておりますが、検針日と期末日が相違する場合は、検針日から期末日までの期間の売上高を合理的な見積りを用いて計上しております。

 検針日から期末日までの期間の売上高は、決算月に実施した検針結果と決算月における使用量には一定の相関関係があるとの仮定に基づき、決算月における過年度の販売使用量を基礎として当連結会計年度における単価改訂等の変動要素を加味し、未検針期間に対応する売上高を算定しております。

 これらの会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、実績との差異があった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において算定される売上高の金額に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。