第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(経営環境)

当社グループは、これまで石油製品販売等の石油関連事業を中心として、不動産等の事業にも取り組み、国内の石油製品需要が減少する中で着実に収益を重ねてまいりました。石油関連事業では、直営SSの運営強化や販売店SSの経営支援、メーカーや電力会社等に対するエネルギーの安定供給及び顧客ニーズに合わせた高付加価値サービスの提供に取組んでおります。不動産事業では、社宅・SS跡地の不動産有効活用等を行ってきました。また、近年では再生可能エネルギー関連事業に注力し、発電設備のコンサルティング営業や発電所運営、バイオマス発電燃料の販売等にも注力しています。

しかしながら、当社グループを取り巻く環境は、国内の石油製品需要減退に加え、業界再編の進展、国内人口の減少や市場構造の変化など、日々大きく変動しています。アフターコロナに向けた社会経済活動の正常化が進みながらも、燃料油等の消費低迷や為替の変動、ウクライナ情勢による資源価格の高騰等の影響が残っており、引き続き財政状態及び経営成績に悪影響を与えることが想定されます。当社グループは石油関連事業の付加価値を向上させるとともに、持続可能な社会の実現を目指し、再生可能エネルギー関連事業等の新規分野を今後さらに拡大させていく必要があると認識しております。併せて、既存事業の選択と集中を進めて事業効率の向上を目指してまいります。また、経営基盤についても、労働環境の多様化やDXの進展に伴い、諸制度の対応やITシステムの高度活用が急務となっています。

このような環境のなか、当社グループでは、企業理念を最上位とし、経営戦略としての長期ビジョン及び中期経営計画を体系化し、企業価値の向上に取組んでまいります。

 

(企業理念)

私たちは、エネルギーが持つ“ものを動かす力”を信じて、暮らしや社会の“つながり”を支えてきました。時代の変化に応じてカタチを変え、新たな価値を創り出す存在へ。関わるすべての人の心に寄り添い、ともに笑顔になる未来をめざします。

 

(対処すべき課題)

当社グループは、長期ビジョン「nissin Vision 2030」及び中期経営計画を策定しております。長期ビジョン「nissin Vision 2030」では、エネルギー企業としての強固な地位の確立をビジョンに掲げ、経営方針として事業構造改革の次なるステージ移行や石油関連事業の収益依存からの脱却、グローバル展開強化等を定めております。そのフェーズⅠである、2022年3月期からの3ヵ年を実施期間とする中期経営計画では、①成長事業への積極投資、②コア事業である石油関連事業の強化、③経営基盤の強化、④SDGs経営の推進の4点を基本方針としております。

 

 中期経営計画の基本方針の詳細は次のとおりです。

① 成長事業への積極投資

再生可能エネルギー関連事業の拡大を推進し、積極投資を継続します。具体的には、バイオマス発電燃料の開発・販売、自家使用型太陽光発電システムの販売、新商材の研究開発等に注力します。

② コア事業である石油関連事業の強化

石油関連事業について、営業力の強化を図るとともに、周辺領域のビジネス機会を取り込んでいきます。

直営SS運営では、燃料油のマージン確保とカーメンテ商品の販売強化を継続し、安定収益の確保に努めます。また、車販や保険販売等の取組み強化などBtoC向けビジネスのサービス開発にも取り組み、中長期的な観点で地域のインフラ拠点としての価値を創造してまいります。

法人向け営業では、潤滑油販売における専門性を活かしたソリューションビジネスの強化、及び経営資源を活用した純新規顧客の獲得を推進してまいります。

③ 経営基盤の強化

事業活動の推進や効率化のために、システム拡充や体制整備を行い、経営基盤を強化してまいります。

営業活動について、営業体制の根本的な見直しによる強化、営業支援システムの活用、ナレッジ共有による営業活動の高度化を図ります。

人事戦略について、教育体系構築や計画的人材配置等により人材の育成・活用面を強化してまいります。

その他、子会社の収益力向上やガバナンス体制強化によるグループ戦略強化、各種業務の標準化や合理化による業務効率化、DX実現に向けた取組みを推進してまいります。

 

④ SDGs経営の推進

企業理念に基づき、エネルギーに関連した取組みを中心として、当社グループを取り巻く全てのステークホルダーが「ともに笑顔になる未来」を目指して、企業価値向上を推進してまいります。具体的には、再生可能エネルギー事業の展開による脱炭素化社会への貢献や多様な人材開発を通じた働き甲斐のある職場環境の提供、サステナビリティ経営の追求によるコーポレート・ガバナンスの向上等に取り組んでまいります。

 

(戦略を支える持続可能な経営体制)

① コーポレート・ガバナンス

当社グループはコーポレート・ガバナンスの基本方針を定め、ガバナンス体制の充実を図りつつ、内部統制システムを構築しております。加えて、コンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス体制を確立するとともに、リスクを想定した各種規程を整備しリスクマネジメントを行っております。これらの取組みにより、近年の社会的な要請の高まりに応え、ステークホルダーから信任を得られるよう、コーポレート・ガバナンスの強化を継続してまいります。

② サステナビリティ

当社グループは、サステナビリティ方針のもと、マテリアリティを特定し、「持続可能なエネルギーの提供」、「地球環境への責任」、「コミュニティとの繋がりの深化」、「信頼されるガバナンス・職場環境」の4つに分類しております。そして、これらのマテリアリティに沿って定めた具体的な取組みを推進してまいります。

 

以上の課題に取り組み、企業理念である「関わるすべての人の心に寄り添い、ともに笑顔になる未来」を目指し、鋭意努力してまいる所存です。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ方針

 私たちは、「関わるすべての人の心に寄り添い、ともに笑顔になる未来を目指す」という企業理念のもと、エネルギーが持つ“ものを動かす力”を通じ、人々の暮らしに豊かさを届けることで、よりよい未来を創造する事を目指して事業に取り組んでいます。

 企業が果たすべき、ESG(環境・社会・ガバナンス)課題への責任を当社の事業活動と一体化させることで、事業を通じて社会課題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現へ貢献するとともに、持続的な企業価値向上を追求していきます。

 

(2)気候変動

①ガバナンス

 当社グループは、2023年度より気候変動に関わるリスクと機会への対応方針や取組み等について、経営企画部を事務局とし、事業活動等への影響やリスクの洗い出し・分析・評価を行い、その結果を経営会議に報告する体制といたしました。経営会議における審議結果は取締役会へ報告し、当社の事業戦略及び全社のリスク管理に反映させることとしています。

 取締役会は社長以下の全取締役と全社外取締役、経営会議は社長以下の全取締役と全執行役員がメンバーとなっており、原則前者を月1回、後者を月2回の頻度で開催しています。

 

 推進体制(気候変動)

 

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②戦略

 当社グループの気候変動に関するリスク・機会を分析し、主要なリスク・機会についてシナリオ分析を実施することで、事業戦略への影響を把握するとともに、気候変動の緩和や適応につながる対策を検討しております。

 

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③リスク管理

 当社グループは、気候変動リスク及び機会については経営企画部が事務局となり、経営会議で年1回以上、リスク及び機会の評価・対応策の検討と見直しなどを行い、この結果は取締役会へ報告する体制としています。

 

④指標及び目標

 当社グループは、経営企画部を気候変動対応に関する事務局とし、経営会議に報告、その審議結果を取締役会へ報告し、2023年度中を目標に温室効果ガスの削減目標等を検討しています。

 

 2022年CO排出量

 

Scope 1

Scope 2

(ロケーション基準)

169 t-CO

1,586 t-CO

 

 

(3)人的資本・多様性

 ①ガバナンス

当社グループは、人的資本や多様性に関わるリスクと機会の対応方針や取組み等について、総務部を事務局とし、事業活動への影響やリスクの洗い出し・分析・評価を行っています。

その結果は、気候変動への対応と同様、経営会議に報告を行い、審議結果は取締役会に報告しています。

 

  推進体制(人的資本・多様性)

 

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 ②戦略

 当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針、社内環境整備に関する方針等は次のとおりであります。また、女性活躍推進法に基づく指標は9ページに記載しております。

(人材育成方針)

 従業員一人ひとりがお互いを認め合い、刺激を受け合いながら能力を最大限に発揮し、ビジネスに新たな価値をもたらすことができるように、以下の取組みを推進しています。

 

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(社内環境整備方針)

 当社グループでは、従業員一人ひとりの適性・成長に鑑みて、通信教育・集合研修の機会を定期的に提供しています。また、公的資格取得制度の整備などを通じて、従業員の自律的な能力開発を支援しています。

 2019年度より人事制度をリニューアルしたことに伴い、2021年度を社内教育元年として、教育制度の構築と整備を進めています。特に、2022年度は、一人ひとりのもつスキルを定量的に把握して、強みを伸ばすとともに、チームとして補完しあう組織づくりに向けた教育研修を実施しました。

 また、将来は幹部候補として活躍することを期待し、OJTとジョブローテーションを組み合わせ、幅広い経験を積める体制を整えています。

 加えて、オンライン型研修の受講を奨励し、自身のキャリア形成を踏まえた自発的な能力開発を行っています。

 具体的な目標数値は定めていませんが、人材育成に関わる重点課題に合わせて必要な投資を行っています。なお、これまでの実績は以下のとおりです。

 

実施した研修

研修内容

延べ受講人数・金額

キャリア研修(2021年度)

一人ひとりのキャリア形成の自覚促進、自己研鑽・自己学習の風土の醸成 等

146人・832万円

基礎スキル向上研修(2022年度)

仮説思考(ロジカルシンキング)やデータ思考(ビジネス数字)、対人スキル(アサーティブ)等

196人・827万円

(2022年度までの実績)

 

(健康・安全に関する事項)

 従業員の健康維持・増進に取り組むため、日新健康保険組合と連携しながら、健康施策を検討・実施しています。また、各種研修を通して、自律的な働き方の推進や良好な人間関係・職場関係の形成促進を支援することで、健康的な労働環境の形成施策を実行しています。

 健康維持・増進の分野では、インフルエンザの予防接種補助、家庭用常備薬や健康関連商品の購入補助を行っています。また、従業員各自の日常的な運動習慣形成をはじめとした健康意識増進のため、日新健康保険組合主催の紙上ウォーキング健歩大会への参加を呼びかけています。

 安全・安心な職場環境の形成施策として、過度な長時間労働を防止する労務研修やハラスメント防止に関するコンプライアンス研修等を実施しました。また、働きやすい職場づくりのために、テレワーク制度を恒久化しました(2023年5月より)。

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 ③リスク管理

 当社グループは、人的資本や多様性に関わるリスクと機会について、人事制度の改定、教育研修を始めとする社内環境整備や従業員の健康・安全への取組みを進めていく中で、総務部が随時、リスク及び機会の評価・対応策の検討と見直しなどを行い、この結果は取締役会へ報告する体制としています。

 

 ④指標及び目標

 当社グループでは、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、教育研修回数及び投資額等に関する具体的な目標は現時点では定めておりませんが、男性女性区別のない育成と登用、従業員の働き方や健康維持に関して必要な投資を積極的に行ってまいります。

 

3【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの経営成績、株価及び財政状態などに影響を及ぼす可能性のあるリスクを記載しております。なお、当社はこれらのリスクが発生する可能性を認識し、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討したうえで判断する必要があります。また、記載したリスクは当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありませんのでご注意ください。なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(原油価格の変動リスク)

 当社グループの取扱う石油製品の仕入価格は、産油国の動向、国際情勢の変化により、変動する可能性があります。当社グループは、仕入価格の変動に対してきめ細かな価格設定の上、石油製品の販売を行っております。一般的に販売価格から仕入価格を除いたものがマージンとなりますが、国内の需要動向や同業者間との競争等により、仕入価格の上昇や下落に応じた販売価格を設定できない場合、当社の利益が損なわれる恐れがあります。具体的には、原油価格の急騰に伴い、当社グループが仕入価格上昇に対応した販売ができなかった場合、または原油価格の急落に伴い、高値で推移していた石油製品市況が急激に悪化し、仕入価格の値下がりを上回るペースで市況価格が下落した場合、利益率の低下等、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(特定事業(石油製品の販売)への依存リスク)

 産業用、民生用のエネルギー源につきましては、脱炭素やSDGs意識の高まり等により将来的に他エネルギーのシェアが上がり、石油製品の依存度が低くなると予想されます。また、電気自動車は近い将来に環境配慮等の面からガソリン車・ディーゼル車に代わって普及が促進すると予想されます。当社グループでは、リスクヘッジの一環として長期ビジョン「nissin Vision 2030」を策定し、再生可能エネルギー関連事業等の新規ビジネスへの取り組み強化など持続可能性の高いビジネスモデルの構築を目指しております。しかしながら、税制優遇、技術の進歩等により他エネルギーのシェア上昇及び電気自動車の普及が想定以上に加速した場合、対応の遅れによる売上の機会損失など、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(季節需要の変動リスク)

 石油製品の中でも灯油、A重油等暖房関連油種の需要は冬期の平均気温に大きく影響を受けます。また、電力用重油も夏期、冬期ともに平均気温に大きく影響されます。一般的に平均気温が夏期に低く、冬期が高いと、冷暖房機器の稼働が減り発電所の稼働が落ち着くため、暖房関連油種や電力用重油等の需要は減少いたします。このような需要の減少が継続した場合、当該油種の売上が大幅に減少するなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(製品の供給不安リスク)

 当社グループは、ENEOS株式会社と特約販売契約を締結しております。この契約に基づき、当社グループが販売している石油製品の大半を同社から仕入れております。しかしながら、ENEOS株式会社の経営戦略に変更が発生し、これに伴い特約販売契約に変更が生じた場合や、国際情勢等の変化により、ENEOS株式会社から当社グループに製品が安定的に供給されなかった場合、売上の機会損失など、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(石油製品等の漏洩による土壌汚染・地下水汚染リスク)

 当社グループは、SSの新規出店の際には二重殻使用の地下貯蔵タンクを採用するほか、配管を含む設備の点検
を定期的に行うなど、漏洩防止に努めております。しかしながら、地下貯蔵タンクの老朽化や配管の亀裂、破損等
によって、地下に石油製品が漏洩した場合、汚染の除去や拡散防止等の対策費用や住民に対する損害賠償費用が発
生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(法規制に関するリスク)

 当社グループは、石油製品を販売するに当たり、ガソリン等危険物を取扱うため「消防法」及び「揮発油等の品質の確保等に関する法律」、産業廃棄物の処理に関しては「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の規制を受けております。また、「消防法」ではSSに「危険物取扱者(乙種第四類)」の有資格者を営業時間中1名以上常駐させることが義務付けられております。しかしながら、これらの法規制へ適切な対応ができなかった場合、SSの営業に支障をきたすなど当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(不動産価値の下落リスク)

 当社グループは、不動産の賃貸事業等に必要な不動産を保有しております。このため不動産市況が低迷した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特に近年では、新型コロナウイルス感染症の流行に伴うテレワークの普及やオフィス離れ等が見られるなど、地価の低下が懸念されています。賃貸事業等に必要な不動産に限らず、保有不動産の地価が大幅に下落した場合には、減損損失の発生など当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(情報、システム管理に関するリスク)

 当社グループは、各SSを中心に個人情報を含む様々な情報を保有し、管理しております。その中でも個人情報に関しましては、漏洩事故等が起きないよう規程の整備、指示、指導を行っております。しかしながら、万一情報が不正に漏洩、紛失等した場合、社会的信用が失墜し、財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが運用している情報システムが自然災害等により、システム障害を引き起こした場合、あるいはコンピュータウィルス等により情報システムを大きく破壊、改ざん等された場合には、業務遂行に影響を及ぼす可能性があります。

(大規模な自然災害の発生リスク)

 当社グループは、大規模な自然災害に対して、その対策を講じておりますが、こうした自然災害等が想定を大きく上回る規模で発生し、ENEOS株式会社からのローリー給油がストップすることによるSSの営業停止や太陽光発電所の損壊などの被害を被った場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(感染症の大流行(パンデミック)に関するリスク)

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症に対して、SSの営業時間変更や事務所勤務者のテレワーク、時差出勤等の対応を行ってまいりました。日本国内において予期せぬ感染症の大流行が発生し、外出自粛要請等が発出された場合には、SSの客数減少や法人向けの営業活動の中断を余儀なくされるおそれがあるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(資金調達に関するリスク)

 当社グループの有利子負債は主に金融機関からの借入・社債により調達しております。現時点においては、借入・社債による資金調達に支障はありませんが、今後、金融システム・金融情勢の大きな変化やSDGs・ESG意識の高まり等に伴う取引金融機関の融資姿勢の変化によって、資金調達や借入条件に影響が出てくる可能性があります。

(固定資産の減損に係るリスク)

 当社グループは、SSの建物・設備や賃貸不動産等の固定資産を保有しておりますが、今後の経営環境や不動産価格の変動等によって、当該固定資産の収益性が低下し、減損損失が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(出資やM&A等に関するリスク)

 当社グループは、既存事業とのシナジーが見込める領域を中心に出資やM&A等を行っております。これらの実施にあたっては、財務や事業に関するデュー・デリジェンスの実施に加え、様々な観点から十分な検討を行っておりますが、出資やM&A等の実施後に事業環境の急変や予期せぬ事象の発生により、当初見込んだ成果を発揮できなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(繰延税金資産の回収可能性低下のリスク)

 当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得については、経営環境の変化等を踏まえ適宜見直しを行っておりますが、繰延税金資産の回収可能性が低下し、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 ①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う各種制限の緩和により、個人消費や企業収益等が緩やかに持ち直し、アフターコロナに向けた社会経済活動の正常化の動きが本格化しました。景気の先行きについては、ウクライナ情勢や世界的な金融引き締めによる企業経営コストの上昇等、インフレや景気後退への懸念は強く、依然として不透明な状況が続いております。

 石油製品販売業界においては、原油価格は第2四半期以降に落ち着きを見せた一方で、急激な円安が日本の石油元売会社の円建て原油コストを上昇させました。国内石油製品価格は、2022年1月に開始された政府の激変緩和措置により、主にガソリン価格の安定化策等が需要の下支えと回復に寄与しました。国内石油製品需要は、ガソリンの場合、2020、2021年度を底として、2022年度は僅かにプラスに転じました。一方、わが国では2050年の脱炭素社会実現に向けた政府による諸政策が継続しており、自動車販売市場で6月に発売された軽自動車タイプのEVが市場をけん引しています。当連結会計年度のEV販売台数は前年度比3.1倍の約7万7千台に達し、EVが乗用車販売全体に占める割合は2.1%(前年度0.72%)となりました。

 このように脱化石燃料による中長期的な石油需要減の見通しは変わらず、当社グループは社会経済の脱石油化に対応すべく引き続き事業ポートフォリオの選択と集中を継続するとともに、再生可能エネルギー事業において当連結会計年度にマレーシア国内にこれまでの設備に加え、新たなバイオマス燃料の輸出用出荷拠点(ストックヤード)を開設し、次期連結会計年度からの本格的な運用を予定しています。

 当社はこのような状況下、長期ビジョン「nissin Vision 2030」のフェーズⅠにあたる2022年3月期からの3ヵ年を実施期間とした中期経営計画の2年目として、その基本方針のもと、次のとおり取組みました。成長事業への積極投資につきましては、再生可能エネルギー関連事業におけるバイオマス発電燃料の営業活動の強化と安定出荷のため、ストックヤードを増設した結果、販売数量が増加しました。コア事業である石油関連事業の強化につきましては、直営SSの運営におけるサービス強化や、法人向け営業において販売価格の適正化等を行い、事業の強化を一層推進しました。一方で、事業ポートフォリオを見直し、連結子会社である日新レジン株式会社の2023年度中の事業停止を決議しました経営基盤の強化につきましては、人事戦略においてスキル研修や人材確保・定着のための施策を実施、コーポレートガバナンスにおいて国内子会社における規程類の整備、グローバル・コンプライアンスに関するルール整備や教育等を推進しました。SDGs経営の推進につきましては、サステナビリティへの取組みにおいて、マテリアリティへの取組み推進や経営幹部への教育実施、ツールを用いた社内周知により、全社的な意識向上を図りました。

 当連結会計年度の当社グループ業績は、主に石油関連事業全体で原油価格の上昇や円安の影響に伴う販売価格の上昇等により、売上高は38,897,187千円(前期比6.7%増)となりました。また、石油関連事業における販売価格の適正化や、バイオマス発電燃料の販売数量の増加等により、営業利益は640,338千円(前期比49.7%増)、経常利益は952,906千円(前期比41.3%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、当第4四半期において、連結子会社である日新レジン株式会社の事業停止に伴う特別損失の計上等により、286,824千円(前期比41.5%減)となりました。

 セグメント別及び部門別の状況は次のとおりであります。

 

 <石油関連事業>

 石油関連事業全体につきましては、燃料油において原油価格の上昇や円安の影響に伴う販売価格の上昇等により、売上高は前期比6.7%増の35,494,591千円となりました。セグメント利益は、燃料油における販売価格の適正化等により、前期比58.1%増の742,393千円となりました。

(直営部門)

 直営部門につきましては、燃料油において販売価格の上昇等により、売上高は前期比5.8%増の29,840,060千円となりました。なお、直営SS数は前期末と同じく53SSとなりました。

(卸部門)

 卸部門につきましては、販売店SSの閉鎖等により燃料油の販売数量が減少したものの、販売価格が上昇したこと等により、売上高は前期比52.4%増の374,281千円となりました。なお、販売店SS数は前期末と比べ、5SS減少し、56SSとなりました。

(直需部門)

 直需部門につきましては、燃料油において販売価格の上昇等により、売上高は前期比13.4%増の3,687,291千円となりました。

 (産業資材部門)

 産業資材部門につきましては、石油化学製品の販売価格の上昇等があったものの、売上高は前期並みの1,255,180千円となりました。

 (その他部門)

 その他部門につきましては、LPガスの販売数量等が減少したものの、CP価格の上昇に伴う販売価格の上昇等により、売上高は前期比5.3%増の337,777千円となりました。

 

 <再生可能エネルギー関連事業>

 再生可能エネルギー関連事業につきましては、PKS(Palm Kernel Shell:パーム椰子殻)の販売等により、売上高は前期比56.9%増の2,753,169千円となりました。セグメント損失は、連結子会社であるNISSIN BIO ENERGY SDN.BHD.における在庫評価の影響等により13,699千円(前期はセグメント利益46,052千円)となりました。

 

 <不動産事業>

 不動産事業につきましては、一部物件の賃貸借契約の終了等により、売上高は前期比1.0%減の649,426千円となりました。セグメント利益は、オフィスビルの修繕費増加や賃貸借契約の終了等により前期比5.4%減の343,725千円となりました。

 

 ②生産、受注及び販売の実績

 a. 生産実績

セグメント

事業部門

当連結会計年度

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

石油関連事業

産業資材

387,363

17.9

 (注)1 金額は、製造原価によっております。

2 日新レジン株式会社が化成品の生産を行っております。

 

 b. 受注実績

 受注生産は行っておりません。

 c. 仕入実績

セグメント

事業部門

当連結会計年度

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

報告セグメント

石油関連事業

直営

25,218,107

5.6%

176,225

479.9%

直需

2,334,917

8.1%

産業資材

749,706

0.1%

その他

230,678

5.1%

小計

28,709,635

6.2%

再生可能エネルギー関連事業

1,961,483

44.4%

不動産事業

-

-

合計

30,671,118

6.5%

 (注)  前連結会計年度において、ケンタッキーフライドチキン店の運営を事業譲渡したことに伴い、当連結会計年度より「外食事業」の報告セグメントを廃止しております。

 

 d. 販売実績

セグメント

事業部門

当連結会計年度

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

報告セグメント

石油関連事業

直営

29,840,060

5.8

374,281

52.4

直需

3,687,291

13.4

産業資材

1,255,180

△0.7

その他

337,777

5.3

小計

35,494,591

6.7

再生可能エネルギー関連事業

2,753,169

56.9

不動産事業

649,426

△1.0

合計

38,897,187

6.7

 (注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 前連結会計年度において、ケンタッキーフライドチキン店の運営を事業譲渡したことに伴い、当連結会計年度より「外食事業」の報告セグメントを廃止しております。

 

 e. 主要な販売先

 該当事項はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に当たって会計上の見積りが必要となる事項については、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 また、連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりであります。

 a. 固定資産の減損

 減損を認識する際の将来キャッシュ・フローは、資産又は資産グループの使用状況や経営計画に基づく合理的な使用計画等を考慮し見積り、減損の要否を判定しております。判定の結果、減損が必要と判断された場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。

 b. 繰延税金資産の回収可能性

 繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や経営計画等を用いた合理的な見積りを行っており、将来において回収が見込めない部分については評価性引当額を計上しております。

 

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、SS・店舗の来店客数減少や法人向け営業活動の停滞等による業績低下の懸念がありますが、「新しい生活様式」に則った各種対策を講じることにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に与える影響は限定的であるとの仮定のもと、会計上の見積りを行っております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 a. 経営成績の分析

(営業利益)

営業利益につきましては、石油関連事業における販売価格の適正化や、バイオマス発電燃料の販売数量の増加等により、前連結会計年度と比較し212,600千円増益の640,338千円となりました。

(経常利益)

経常利益につきましては、為替差益の増加等により、前連結会計年度と比較し278,364千円の増益となり、952,906千円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、当第4四半期において、連結子会社である日新レジン株式会社の事業停止に伴う特別損失の計上等により、前連結会計年度と比較して203,509千円の減益となり、286,824千円となりました。

 

 b. 財政状態の分析

(総資産)

総資産は、前連結会計年度末に比べ、1,137,168千円増加し、35,062,076千円となりました。これは、売掛金が549,257千円、機械装置及び運搬具が171,267千円減少したものの、現金及び預金が464,546千円、商品及び製品165,174千円、建設仮勘定671,197千円、投資有価証券及び関係会社株式が512,918千円増加したことなどによるものです。

(負債)

負債は、前連結会計年度末に比べ、668,135千円増加し、15,004,315千円となりました。これは、社債が112,000千円減少したものの、借入金が385,770千円、未払法人税等が157,950千円、事業整理損失引当金が136,000千円増加したことなどによるものです。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ、469,032千円増加し、20,057,760千円となりました。これは、利益剰余金が153,295千円、その他有価証券評価差額金が347,456千円増加したことなどによるものです。

この結果、1株当たり純資産は前連結会計年度末と比べ、67.95円増加し、2,961.71円となりました。

 

 c. キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローにおいて資金が増加したものの、投資活動によるキャッシュ・フローにおいて資金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ464,546千円増加し、3,841,098千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローでは、1,626,184千円の資金の増加となりました。これは、棚卸資産の増加額165,174千円などにより資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益586,595千円、減価償却費の計上546,421千円、減損損失の計上152,973千円、売上債権の減少額507,267千円などにより資金が増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローでは、1,294,625千円の資金の減少となりました。これは、有形固定資産の取得による支出1,185,285千円、有形固定資産の除却に伴う支出45,168千円、資産除去債務履行による支出25,700千円などにより資金が減少したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローでは、140,241千円の資金の増加となりました。これは、短期借入金の減少額1,400,000千円、長期借入金の返済による支出414,229千円、社債の償還による支出112,000千円などにより資金が減少したものの、長期借入れによる収入2,200,000千円などにより資金が増加したことによるものです。

 

(キャッシュ・フローの指標)

項目

第75期

 2019年3月期

第76期

 2020年3月期

第77期

 2021年3月期

第78期

 2022年3月期

第79期

 2023年3月期

自己資本比率

           (%)

54.5

55.4

58.1

56.9

56.4

時価ベースの自己資本比率

           (%)

17.5

15.9

19.4

17.4

17.3

キャッシュ・フロー対有利子

負債比率       (年)

9.7

7.6

5.7

6.0

インタレスト・カバレッジ・
レシオ        (倍)

7.4

8.1

10.0

11.1

(注) 自己資本比率          ・・・自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率    ・・・株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

                ・・・有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ・・・営業キャッシュ・フロー/利払い

ア.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

イ.株式時価総額は、期末株価終値×発行済株式数(自己株式数控除後)により算出しております。

ウ.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表上に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

エ.第78期は、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオを記載しておりません。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

また、当社グループの運転資金需要の主なものは、石油製品の仕入や販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、主に再生可能エネルギー関連の設備やSSの機械装置等の設備投資によるものであります。

なお、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は9,820,535千円、現金及び現金同等物の残高は3,841,098千円となっております。

 

5【経営上の重要な契約等】

(石油製品等に関する特約店契約について)

 当社は、主要株主でありますENEOSホールディングス株式会社の子会社であるENEOS株式会社と下記の内容の特約店契約を締結しております。

契約内容:ENEOS株式会社の全支店管下一円における同社の一般石油製品の販売と、同社が有する登録商標、登録意匠、サービスマーク等の使用及び指定標識を貸与することを目的とした特約店契約。

契約期間:契約締結の日から1年間。ただし、期間満了3か月前までに別段の意思表示がないときには、更に1年間有効。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。