第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社は、「みんなでよくなろう」という企業理念の基に、計測・制御・理化学のエンジニアリングを基盤として、上下水道等の公共事業体をはじめ、エネルギー、化学、食品、薬品、自動車、半導体、サービス等あらゆる産業の発展に寄与し、広く社会に貢献していくことにより、顧客・取引先・株主・社員が良くなる事を目指しております。

事業経営にあたっては、法令、ルール、社会規範を遵守し、企業倫理に則した公正かつ適切な経営の実現により、豊かな社会を作り出すことで企業の社会的責任(CSR)を果たして参ります。

 

(2) 経営環境と目標とする経営指標

当社を取り巻く事業環境は、エネルギーの自由化、AIやIoT技術の革新、通信の高速化等、大きく変化しており、顧客ニーズの多様化・高度化が進んでおります。これらの変化に伴う設備投資需要を取り込み、当社のエンジニアリング商社としての課題解決能力を最大限に発揮し、成長基盤の確立に繋げて参ります。

また当社は、株主価値増大を数値的に判断する指標として「自己資本比率50%以上」「自己資本当期純利益率(ROE)10%以上」を目標としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社は、2022年度から2025年度までの3か年を対象とする新中期経営計画「Strong & Expanding 2025(SE2025)」を策定し、中長期的な企業価値・株主価値の向上を目標としており、以下の4つを基本戦略としています。

<基本戦略>

① 既存ビジネスの深耕と成長ビジネスの拡大

② R&Dビジネスのソリューション付加を加速

③ DX、IоT、AIを独自の付加価値として提供

④ 経営基盤の強化と推進

当社は計測・制御・理化学分野のエンジニアリングを基盤として、お客様に密着したきめ細かいサービスの提供に努めるとともに、営業体制の充実、新規事業の開拓、提案型営業などを積極的に推進し、ビジネスチャンスを的確にとらえ、事業の拡大に努めてまいります。

特に、電気・水道・ガスなどの社会インフラや環境問題に対する取り組みは、当社事業の基幹ビジネスと位置づけ、一層の推進を図ってまいります。また、お客様のニーズ、要望を的確にとらえた製品、ソフトウェアの開発により、新たな市場を開拓してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は、2022年度を初年度とする新中期経営計画において策定した基本戦略を着実に推進していくことが、当社の対処すべき課題であると考えています。

① 既存ビジネスの深耕と成長ビジネスの拡大

ライフラインビジネス及びIA顧客へのソリューション優位性をより強く発展させ、更に理化学・IMソリューションとの融合にてビジネス拡大を図る。

② R&Dビジネスのソリューション付加を加速

理化学ビジネスにおけるデジタルマーケティングの強化を図ると共に、LAS(Laboratory Automation System)機能でデータを有効活用し、R&DでのDXを推し進める。

 

③ DX、IоT、AIを独自の付加価値として提供

DX、IоT、AIを活用する事で顧客経営のためのソリューションビジネスにてお客様の信頼を勝ち取り、価値を提供していく。

④ 経営基盤の強化と推進

ESG、SDGsへの寄与を最重視した経営を行い、世の中に必要とされる会社を目指す。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社は、「みんなで良くなろう」という企業理念を基に、「計測」「制御」「理化学(分析)」のエンジニアリングを基盤として、あらゆる産業の発展に寄与し、広く社会に貢献していくことにより、お客様、お取引先、株主の皆さま、社員が良くなることを目指しております。

当社は、当該理念のもと、中長期的な持続可能性に関する事項について、経営方針並びに経営戦略を基軸に人的資本に関連するリスクおよび機会を検討し、環境問題への対応および人材育成方針等に係る課題に取り組んでおります。

また、当社においては、取締役会がサステナビリティ全般に関するリスクおよび機会の監督に対する責任と権限を有しており、「経営マネジメント会議」、「内部統制委員会」、「リスク管理コンプライアンス委員会」等で協議・決定された内容の報告を受け、その対応方針および実行計画等に関する経営上の重要事項を審議・決定しております。

会議体

出席者

主な内容

経営マネジメント会議

取締役(監査等委員を除く)

全執行役員

常勤の監査等委員

重要事項の討議および取締役会付議事項以外の重要事項の決議、重要情報の交換等

内部統制委員会

管理部門担当取締役

営業部門担当取締役

経営企画部長

営業統括本部室業務推進部門責任者

内部監査室長

財務報告に係る内部統制の評価範囲の決定および運用状況の確認等

リスク管理コンプライアンス委員会

管理部門担当取締役

総務人事部長

経営企画部長

情報システム部長

内部監査室長

リスク全般の洗い出しとその財務インパクト評価および対応策の審議等

 

 

 

(2) 戦略

人材の育成および社内環境整備に関する方針

当社にとって人材は「人財」であり、最も重要な経営資源であり、社員の成長なくして企業価値を向上させることは困難であると考えております。外部環境の変化が激しい状況下においても、持続的に成長しステークホルダーに信頼される企業になるためには、多様な価値観を持つ社員の主体性や創造性を持つことが重要であると考え、一人ひとりの適正と目標に合わせて様々な成長機会を提供するとともに、人材育成の促進による組織の強化を推進してまいります。

更なる企業価値向上のためには、女性の活躍が不可欠であると認識しておりますが、女性管理職への登用が未だ十分ではないとの認識であり、女性がキャリア形成を目指しやすい職場づくりの推進として、育児・介護休業や勤務時間の短縮を取得しやすい環境の整備に努めるとともに、快適な職場環境や健康管理体制の整備と維持向上、また社内DXの推進による業務効率化にも取り組み、従業員のエンゲージメントレベル向上を目指します。

 

(3) リスク管理

当社では、リスク管理規程を定めリスク管理を推進する組織として、管理部門担当取締役を責任者とする「リスク管理コンプライアンス委員会」を設置しており、メンバーは経理・総務・人事・情報システム・内部監査部門の各部門長により構成されております。同委員会では、リスク全般の洗い出しとその財務インパクト評価および対応策の審議を行っており、重要なものについては管理部門担当取締役を通じて取締役会に報告しており、戦略・計画へ反映されております。

なお、リスクマネジメントに係るプロセスは、以下のとおりであります。

 

(SEEP1 リスクの抽出)

当社は経営におけるリスクを、以下の4つに分けて分類し、リスクの抽出を行っております。

戦略リスク

M&A、投資、価格戦略等

財務リスク

為替差損、貸倒、株価変動、金利変動等

ハザードリスク

地震、津波、火災、水害洪水、システム障害等

オペレーショナルリスク

法令違反、社内不正、労災事故事務処理ミス等

 

 

(STEP2 リスクの評価および特定)

上記で洗い出したリスクを分析し、当社の経営に重大な影響を及ぼす可能性があるものを特定しております。なお、特定する基準としては、以下の評価基準を用いております。

①人命・安全・品質・財務及び信用に関する影響度

②発生の頻度

 

また、特定された経営リスクは、発生確率または影響の大きさに応じて、対応すべき優先順位を決定し、具体的な状況を把握した上でリスクコントロールを行っており、対策が必要とされる項目については再検討を行っております。

 

(STEP3 リスクの見直し)

特定されたリスクについては、原則として年1回以上見直しを行っており、管理部門担当取締役は必要に応じて、リスク管理コンプライアンス委員会に報告することとしております。

 

(4) 指標及び目標

当社では、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について以下の指標を用いております。

 

指標

目標

実績

管理職に占める女性労働者の割合

女性・外国人における比率が低いことは当社としても認識しており、多様性確保という点での課題はあるものの、現時点では適切な管理職登用が行われているものと考えております。

具体的数値目標は現状設定しておりませんが、今後は多様性確保に向けた人材登用を行う方針です。

・管理職に占める女性労働者の割合

89期(当事業年度)実績:2.5

男性労働者の育児休業取得率

当社は、育児休業制度を社内イントラネット経由にて全社員へ周知しており、安定的な育児休業取得を定着させるための環境づくりを推進しております。

また、男性が育児休業を取得できることを管理職より周知し、取得の推進を図っております。

なお、具体的な取得率の目標は以下のとおりです。

 

・男性社員:取得率50以上

・男性労働者の育児休業取得率

89期(当事業年度)実績:50.0

労働者の男女の賃金の差異

当社は、初任給・昇給率など現状男女差は設けておりませんが、管理職に占める女性従業員の比率が低い水準にとどまっていることなどが要因となっております。

具体的数値目標は現状設定しておりませんが、「次世代育成支援対策推進法」および「女性活躍推進法」に基づく施策を積極的に推進することにより、改善がされると考えており、女性にとって働きやすい職場作りをしていく方針です。

・労働者の男女の賃金の差異(男性賃金に対する女性賃金の割合)

89期(当事業年度)実績:69.2

労働者の有給取得率

当社は、計画的な有給取得制度を実施しており、毎月の休暇取得状況を人事および管理職がモニタリングしており、取得を推奨しております。

なお、具体的な取得率の目標は以下のとおりです。

 

・社員1人あたりの有給休暇取得率:50以上

・労働者の有給取得率

89期(当事業年度)実績:72.1

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

1) 主要販売先との取引

当社の販売先は、年間約3,000社ですがその内上位10社の販売額が、売上全体の約30%を占めております。その上位10社の中でも上水道、都市ガス、電力のライフライン関連の販売先が上位を占め、公益事業としての高い信頼性が要求されております。

それらライフライン関連の販売先での著しい信頼性の低下、もしくは販売先における設備投資額の減少、更新計画の延期等は、当社の受注活動にマイナスの影響をもたらす可能性があります。

・リスクへの対応策

サービス品質の維持により販売先への信頼性を確保するとともに、積極的なマーケティング・営業活動により事業領域と顧客拡大を推進し、売上・利益の確保に努めてまいります。

 

2) 主要仕入先との取引

当社は、創業以来横河電機株式会社の代理店として事業を展開し、2007年3月より横河電機株式会社は、主要株主として当社の関連当事者となりました。

現在、横河電機株式会社および横河電機株式会社グループからの仕入額は全仕入の約30%を占めており、国内市場における横河電機株式会社および横河電機株式会社グループの製品競争力の低下、取扱製品ならびに販売先等を定めた当社と横河電機株式会社、横河電機株式会社グループとの代理店契約の変更によっては、当社の業績に影響を与える可能性があります。

・リスクへの対応策

引き続き横河電機株式会社グループとの良好な関係を維持することで安定した仕入に努めてまいります。また、各事業部門における需要動向を的確に把握し、取引先のニーズに柔軟に対応できるよう新規仕入先を積極的に開拓することでリスク低減を図ってまいります。

 

3) 業績の季節変動

当社の主要な販売先は、上水道、電力、ガス等の公益事業関連、民間でもエンド・ユーザーが官公庁の重電・プラント関連の販売先が多く、工事案件の工期が3月の年度末に集中する傾向があります。このため当社の業績は、下期(1月~6月)に売上・利益が集中する季節変動があります。

・リスクへの対応策

事業分野や取引先の拡大、自社ソフトウェアの販売促進を通じて、売上・利益の平準化に努めてまいります。

 

4) 入札制度

主要販売先である公共事業体からの発注につきましては、入札制度があり当社が継続的に受注出来るという保証はありません。

・リスクへの対応策

積極的な営業活動による顧客拡大を推進し、特定の販売先に依存することなく安定した売上・利益が確保できるよう努めてまいります。

 

 

5) 販売先の信用リスク

当社には、販売先から支払われるべき売掛金の不払いに係るリスクが存在します。売掛債権管理につきましては、与信管理を強化徹底しておりますが、すべての取引先が当社に対する債務を履行するまで健全な財政状態にあるという保証はありません。

・リスクへの対応策

定期的な信用調査を実施するとともに、営業活動を通して販売先を取り巻く市場環境や業績・経営戦略の転換等を敏感に捉えることで、総合的に与信管理を行いリスク低減に努めております。

 

6) 情報システムのリスク

当社の販売管理・経理管理は、全て管理用コンピュータシステムにより処理しております。したがいまして、通信回線、コンピュータ本体等がダウンした場合は、業務処理に大きな不都合が発生するリスクがあります。

・リスクへの対応

当社では、社内システムの定期的な保守、バックアップシステムの構築、外部からの不正アクセス防止対策等により、社内システムへの障害発生・情報漏洩などのリスクを低減し、事業継続性の向上を図っています。

 

7) 投資有価証券に係るリスク

当社は、投資有価証券の主要銘柄として横河電機株式会社の株式を保有しており、将来当該株式の大幅な株価下落が続く場合には、当社業績に影響が発生するリスクがあります。

・リスクへの対応

横河電機株式会社グループは当社の主要な仕入先であり、計測制御機器関連の取引関係の維持・強化のためにも投資有価証券の保有は継続する意向です。そのため、当該株式の株価下落による業績への影響は避けがたいものではありますが、積極的なマーケティング・営業活動により事業領域と顧客拡大を推進することで売上を伸張させ、利益の確保に努めてまいります。

 

8) 人財の確保と育成に係るリスク

当社の成長と発展には、最先端技術や日々厳格化する品質基準に対応できる技術者の確保と育成が不可欠であります。その確保・育成ができなかった場合には、顧客ニーズへの適切な対応ができず、当社の信頼性や業績に影響を与える可能性があります。

・リスクへの対応

当社では、新卒採用・中途採用を積極的に行うことにより、優秀な人財の確保に努めるとともに、OJTや階層別研修等の研修制度を充実させることで、社員の技術力の向上に努めています。

 

9) 大規模災害や感染症の蔓延に係るリスク

事業を展開する地域において大規模な自然災害や感染症の蔓延が起きた場合、事業活動の制限・工事の中止や大幅な延期等が発生する可能性があります。また、災害等により社会経済や販売先を取りまく事業環境が大きく変化した場合、販売先の設備投資意欲が大幅に減退することが見込まれ、当社の業績に影響を与える可能性があります。

・リスクへの対応

当社は、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会を設置し、大規模災害等に係るリスクが顕在化した際には、当該機関が中心となり被害状況や事業への影響を速やかに把握し、従業員の安全確保と損害の最小化に努めています。また、当社は上水道、都市ガス、電力等、ライフライン関連に広く従事していることから、有事の際には取引先などと連携し、迅速な復旧への対応を含めた現場ごとの対策を講じています。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行され、社会・経済活動の正常化が大きく進み、雇用・所得環境が改善する下で、日経平均株価が最高値を更新する等、景気は緩やかに回復しました。一方、ウクライナ情勢や中東情勢等に伴う地政学的リスクの長期化、中国経済の先行き懸念、世界的なインフレの進行に対する各国の金融引き締め等、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しする可能性もあり、依然として先行きは不透明な状況にあります。

このような経営環境におきまして当社は、2023-2025年度の中期経営計画「SE2025」に基づき、4つの基本戦略「既存ビジネスへの深耕と成長ビジネスの拡大」「R&Dビジネスのソリューション付加を加速」「DX、IoT、AIを独自の付加価値として提供」「経営基盤の強化と推進」を推進してまいりました。

その結果、当事業年度における業績は、以下の通りとなりました。

 

売上高   364億17百万円 (前期比  14.1% 44億94百万円増)

営業利益   34億65百万円 (前期比   54.6% 12億23百万円増)

経常利益   35億88百万円 (前期比   52.2% 12億31百万円増)

当期純利益  25億28百万円 (前期比  63.2%  9億79百万円増)

 

また、セグメントにつきましては、当社では計測制御機器、理化学機器等の各種電子応用機器の販売と、それに付随するエンジニアリング業務などを行っているものであり、単一であります。

 

制御・情報機器システム(PA、FA)部門

当部門につきましては、ライフライン関連の設備更新案件が順調に推移したことに加え、化学プラント向けの大型案件の完成等により、売上高は191億45百万円(前期比25億31百万円増)となりました。

 

計測器(測定器、計測システム)部門

当部門につきましては、半導体業界の在庫調整による影響を受けたものの、自動車業界向けの需要が拡大し、売上高は39億43百万円(前期比1億23百万円増)となりました。

 

理化学機器(ラボ分析計)部門

当部門につきましては、半導体、化学、石油関連の研究開発投資需要が継続したこと等により、売上高は96億28百万円(前期比5億89百万円増)となりました。

 

産業機器・その他部門

当部門につきましては、自動車関連企業において次世代モビリティ開発に向けた投資需要が継続し、売上高は36億99百万円(前期比12億50百万円増)となりました。

 

当事業年度末の総資産は、有価証券や投資有価証券等が増加したことなどにより、前事業年度末に比べ45億18百万円増加し、315億87百万円(前期比16.7%増)となりました。また、負債合計は、繰延税金負債等が増加したことなどにより、前事業年度に比べ14億24百万円増加し、133億12百万円(前期比12.0%増)となりました。純資産は、利益剰余金の増加などにより、前事業年度末に比べ30億94百万円増加し、182億75百万円(前期比20.4%増)となりました。この結果、自己資本比率は57.9%となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前事業年度末残高から3億80百万円増加し、102億70百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりとなっております。

イ.営業活動によるキャッシュ・フロー

当事業年度における営業活動による資金収支は、15億89百万円の収入(前年同期比7億6百万円の収入減)となりました。これは主に、税引前当期純利益35億88百万円に加えて、仕入債務の増加などがあった一方、法人税等の支払、売上債権の増加等によるものであります。

ロ.投資活動によるキャッシュ・フロー

当事業年度における投資活動による資金収支は、6億62百万円の支出(前年同期比1億33百万円の支出減)となりました。これは主に、有形固定資産や投資有価証券の取得、保険積立金などによるものであります。

ハ.財務活動によるキャッシュ・フロー

当事業年度における財務活動による資金収支は、5億45百万円の支出(前年同期比67百万円の支出増)となりました。これは主に、配当金の支払などによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社は、制御・情報機器システム、計測器、理化学機器等の販売と、それに付随するエンジニアリング業務などを行っているものであり、セグメントは単一であります。

したがいまして、仕入、受注および販売の実績につきましては、商品の品目別に関連付けて示しております。

a.仕入実績

当事業年度における仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

 

品目別

金額(千円)

対前年増減率(%)

制御・情報機器システム

11,488,249

13.8

計測器

3,281,552

2.4

理化学機器

7,782,952

5.3

産業機器・その他

2,887,132

45.9

25,439,887

12.2

 

(注) 機器等の販売に付随するエンジニアリング業務の仕入高については、上記には含まれておりません。

 

b.受注実績

当事業年度における受注実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

 

品目別

受注高(千円)

対前年増減率(%)

受注残高(千円)

対前年増減率(%)

制御・情報機器システム

21,154,930

20.0

15,085,304

11.7

計測器

3,915,004

9.1

863,070

△3.6

理化学機器

9,993,808

9.9

3,758,095

10.8

産業機器・その他

3,027,476

△46.4

3,554,350

△15.9

38,091,219

5.9

23,260,820

5.7

 

 

 

c.販売実績

当事業年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

 

品目別

金額(千円)

対前年増減率(%)

制御・情報機器システム

19,145,373

15.2

計測器

3,943,938

3.2

理化学機器

9,628,683

6.5

産業機器・その他

3,699,938

51.0

36,417,933

14.1

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、本項の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高及び売上総利益)

当事業年度は、浄水場の大規模な設備更新案件の完成時期が重なったことに加え、自動化・電動化を見据えた次世代モビリティ開発案件の増加等により、売上高は364億17百万円(前期比44億94百万円増)となりました。売上総利益は増収に伴う増加分に加え、高度なエンジニアリング力を伴う付加価値の高い案件の増加による粗利率の増加による粗利率の改善も相まって売上総利益は、83億62百万円(前期比14億63百万円増)となりました。

(販売費及び一般管理費)

当事業年度の販売費及び一般管理費は、48億97百万円(前期比2億40百万円増)となり、売上高に対する比率は13.4%(前期比1.2%減)となりました。

(営業利益、経常利益及び当期純利益)

上述の結果、当事業年度の営業利益は34億65百万円(前期比12億23百万円増)、経常利益は35億88百万円(前期比12億31百万円増)となりました。税費用につきましては、賃上げ促進税制の適用もあり、当期純利益は25億28百万円(前期比9億79百万円増)となりました。

(財政状態の分析)

当事業年度末の財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費を主とする販売費及び一般管理費の営業費用によるものであります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。当社は、その資金を自己資本及び事業活動において獲得した資金により賄っております。

当社の当事業年度末の資金残高は、102億70百万円(前期比3億80百万円増)であり、上記運転資金・設備投資資金を十分な水準で確保しており、資金の流動性の確保に特段の問題はないと考えております。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、将来発生する事象に対しての見積もり及び仮定設定を行う必要があり、経営者は、過去の実績や状況及び現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と判断した見積もりや仮定を継続的に採用しております。しかしながら、これらの見積もりには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当社が採用している会計方針のうち、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況」の「重要な会計方針」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が財務諸表作成における見積もりの判断に影響を及ぼすと考えております。

(繰延税金資産)

当社は、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、回収可能性の判断においては、将来課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮し、将来の税金負担を軽減する効果を有すると判断した回収可能額を繰延税金資産として計上しています。将来課税所得の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌事業年度以降の財務諸表において認識する繰延税金資産および法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。

(工事契約に係る収益)

工事契約に係る収益には、主に制御・情報機器システム等に係る計装工事の請負が含まれ、履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工事原価が、予想される工事原価の合計に占める割合(インプット法)に基づいて行っております。想定していなかった原価の発生等により工事原価総額に変更があった場合には、工事進捗率が変動するため、売上高や売上原価に影響を与える可能性があります。

 

④ 経営方針、経営成績、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、株主価値増大を数値的に判断する指標として、「自己資本比率50%以上」「自己資本当期純利益率(ROE)10%以上」を目標としております。当事業年度における自己資本比率は57.9%、自己資本当期純利益率(ROE)は15.1%と目標を上回りました。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

主な販売等の提携

 

相手先

契約内容

備考

契約期間

横河電機株式会社

横河ソリューションサービス株式会社

代理店契約

計測器、工業計器、サービス

自 2024年7月1日

至 2025年6月30日

横河計測株式会社

代理店契約

計測機器

自 2023年10月1日

至 2025年9月30日

横河レンタ・リース株式会社

代理店契約

測定器等レンタル

自 2023年10月1日

至 2024年9月30日

アジレント・テクノロジー株式会社

代理店契約

分析機器

自 2024年5月1日

至 2026年12月31日

 

(注) 契約期間を経過した契約は、契約期間を自動更新中であります。

 

6 【研究開発活動】

当社は市場販売目的ソフトウェアの制作を行っており、製品マスター完成を目的とした研究開発活動を行っております。

なお、当事業年度における研究開発費は32,698千円であります。