第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

企業理念と行動基準を以下の通り定め、“進化する技術と最良の品質を提供する「トータルソリューション技術商社」”を目指します。

企業理念:人と人、技術と技術を信頼で結び、輝く未来を創造する

行動基準:-企業倫理の遵守と社会への貢献-

1.信 頼:最良のサービスを提供し、お客様との高い信頼関係を築こう!

2.技 術:お客様に役立つ新技術の吸収と革新に努めよう!

3.総合力:個々の強みを結集し、トータルサービスを創造しよう!

 

(2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループは、日々変化する経済情勢や事業環境に柔軟に対処すべく、成長戦略、財務体質の強化をはじめとした以下の課題に取組み、更なる業容の拡大と経営基盤の強化を目指してまいります。

また、資本コストや株価を意識した経営の実現を目指して、成長戦略の着実な実行及び、株主還元の強化や積極的なIR活動の実施により、持続的な企業価値向上に注力してまいります。

 

1)成長戦略

当社グループは、2026年度連結売上高1,300億円、NEWビジネス プラス300億円、連結経常利益60億円、ROE9%を目標とする中期経営計画『 T-Link1369 』を策定し、FA機器等の基幹ビジネスの更なる拡大に加え、「グローバル」「メディカル」「オートメーション」「オリジナル」の4つの成長戦略の更なる進化や、既存の枠組みを超えた「モビリティ」「マテリアル」「エネルギーソリューション」「DX推進」等のビジネス領域拡大にも注力し、成長市場に適応した「NEWビジネスの創造」に取組んでまいります。

 

2)財務体質の強化

貸倒れ・未収債権・不良在庫の防止に努めるとともに、徹底した無駄の排除と業務効率化の推進による経営体質の更なる強化に取組んでおります。

 

3)人材の確保と育成

少子高齢化や労働人口の減少等、雇用環境が大きく変化する中、多様な能力を持つ人材の確保に加え、貴重な経営資源である従業員が、能力を最大限に発揮できるための人事制度や教育研修体系を整備し、創造力、実践力の溢れる人材を育成します。

また、当社は「従業員とその家族の健康づくりに積極的に取り組み、一人ひとりが明るく元気に働くことができる環境を実現し、さらなる企業価値を高めるべく健康経営に邁進する」との健康宣言を掲げ、「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されております。

 

4)内部統制への取組み

コンプライアンスの重要性を認識し、社会的責任の自覚、社会規範や倫理に適合した行動、企業活動における関係法令遵守、社内ルール遵守の徹底を行っております。

また、「企業倫理の遵守と社会への貢献」の行動基準のもと、財務報告の適正性を確保するため、金融商品取引法等の法令に準拠し、財務報告に係る内部統制を整備しております。

 

 

5)環境問題、品質マネジメント、情報セキュリティマネジメントへの取組み

地球にやさしい企業を目指し、全社を挙げて環境問題に積極的に対応するため環境マネジメントの国際規格「ISO14001」の認証を取得しております。

また、「顧客第一」の経営方針のもと、製品の品質保証と顧客満足度の向上を目的に品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」の認証を取得するとともに、情報資産の安全かつ適正な管理・運用を実施することを目的として、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO27001」の認証を取得しております。

更には、2030年度を目標として当社グループ全体でのカーボンニュートラル実現に向けた取組みや、気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、TCFDの枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めてまいります。

 

6)個人情報保護マネジメントへの取組み

お客様個人を識別し得る情報を適切に保護することの重要性を認識し、個人情報に関する保管・安全管理などの保護体制を強化するため、「個人情報保護マネジメントシステム行動指針」を設けております。
 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

  当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

  また、本項は連結ベースでの記載を原則としていますが、サステナビリティに関する考え方及び取組の適切な理解を図るため、内容によっては当社単体での記載としております。

 

(1)気候変動への対応

当社は、各種環境ソリューション提案など地球環境問題・脱炭素社会へ向けて取り組むとともに、 従業員への危機管理・コンプライアンス教育の徹底の他、 健康経営を積極的に推進し、企業として生産性を高める取り組みを実践しております。

特に、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響については、当社が特定した経営上重要なリスクの一つとして認識しております。

 グループ全体の事業に関して、当社が特定している主なリスクと機会は以下のとおりです。

 

<リスク>

・移行リスク  :電力の再エネ由来エネルギー導入に伴うコストの上昇、再エネ、省エネに関する設備投資費用の

        増加及び、炭素税等の規制導入による事業コストの上昇等

・物理的リスク:気候変動の影響で激甚化、頻発化する自然災害による、事業継続リスク等

 

<機会>

・取引先の脱炭素化を支援する製品やソリューションの提供、省エネ等環境負荷低減に寄与するビジネスの拡大等

 

 また、気候関連リスク・機会を管理するための指標と目標として、以下の2つを定めております。

1.「事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率」⇒ 2023年度 国内全拠点 100%達成

2.「Scope1・2の温室効果ガス排出量」⇒ 2030年度 実質ゼロ達成を目指す

(弊社HP TCFDページ参照 : https://www.takebishi.co.jp/sustainability/tcfd/ )

 

(2)人的資本・多様性

 当社は、「!Link」(ビックリンク)というコーポレートメッセージを掲げ、人と人、技術と技術でお客様、取引先様との新たな“LINK”を創出し続けてまいりました。

 お客様、取引先様の期待を超える付加価値を生み出し、新たな感動や驚きを創出するトータルソリューションの源泉は「人」であり、「人と人とのつながり」が紡ぐ信頼こそが、当社経営の最も重要な基盤であると考えます。

 従業員一人ひとりがその個性と能力を最大限に発揮し、相互のつながりの中からいきいきと働きがいをもてるような人づくり・環境づくりに取り組むことを通じて、価値創造の最大化を実現してまいります。

 

■人材育成方針

・「!Link」(ビックリンク)の実現につながる人づくり

 当社理念とビジョンの実現に向けた人材の確保と維持は、当社の経営命題ととらえ位置付けています。個性や能力を見極めた採用や育成に注力するとともに、組織文化や価値観をすり合わせる作業を丁寧かつ的確に行うことを重視しています。

 採用においては、相互のミスマッチが起こることのないよう、徹底した選考と対話を通じて納得感に基づいた人材の確保を実現しています。その結果として、入社・配属後の自己都合での離職率が直近3年間平均で3%以下というリテンションの高さで人材の維持を可能なものとしています。

 育成においては、下記の取り組みを進めることで、従業員一人当たりの売上高が150百万円以上という高い付加価値と生産性を生み出し、事業成長につなげています。

 

・ソリューション力の向上につながる育成体系

 トータルソリューションを体現する「つなぐ技術力/営業力」を発揮するためには、技術/営業それぞれの専門性を身につけることに加えて、相互の領域のつなぎ合わせが不可欠と考えます。入社時から技術職には営業、営業職には技術の知識習得と実践機会を設け、相互のシナジーでトータルソリューションの基盤づくりに取り組んでいます。

弊社HP 新卒採用ページ参照 : https://www.takebishi.co.jp/recruit/freshers/kyogaku/

 

・成長戦略の実現につながる育成施策

 成長戦略を実現するための機動的な育成施策を展開しています。なかでも、当社売上比率の21%を占め、今後の成長の大きな柱となる海外ビジネスについては、その担い手を輩出するための取り組みとして、語学力や異文化マインドを習得するためのグローバルスキルの向上に積極的に取り組んでいます。

 

・イノベーションの醸成につながる育成制度

 今後のキャリアやポジションについて希望を申告することができる「自己申告制度」、業務の能力向上に加え、社員自らが学びたいという気持ちを支援する「E-まなびたいむ制度」、自らアイデアを提案・実践し、未来を共創する「スマートワーク推進コンテスト」など、従業員が自身のキャリアやスキル、業務に対して主体的に取り組める育成制度を推進しています。また、新たなイノベーション醸成の風土づくりの一環として、イノベーションマネジメントシステム研修を受講させるなど、新たな発想や働きがいを生み出す風土づくりに取り組んでいます。

 

■社内環境整備方針

・健康経営の推進

 当社は、「従業員とその家族の健康づくりに積極的に取り組み、一人ひとりが明るく元気に働くことができる環境を実現し、さらなる企業価値を高めるべく健康経営に邁進する」との健康宣言を掲げ、「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されています。

 健康経営の推進と従業員をサポートするための戦略マップと体制を策定し、いきいきと働きがいをもつための「健康維持増進」、「モチベーションの維持・向上」、「働き方改革」からなる社内環境の整備と各種施策に取り組んでいます。

弊社HP 健康経営ページ参照 :https://www.takebishi.co.jp/sustainability/health/

 

・ダイバーシティの推進

 持続的な企業価値の向上とイノベーションの源泉となる多様性の文化醸成を目指して、積極的な女性採用に取り組んでいます。

 当社の女性育休取得率は100%(男性育休取得率は52.9%)、育休からの復職率も94.1%と、女性にとって働きやすい職場環境である一方で、持続可能な勤務を維持するための職務体系や勤務地の限定、時短勤務等の活用によって男女間の賃金に格差が生じる結果となっています。女性の働きやすさにやりがいを加えていくことを通じて、さらなる事業成長や新規事業の創出に結びつけるための「女性活躍」と「働きがい」を推進してまいります。

 

・コミュニケーション活性の推進

 若手従業員が主体となって、コミュニケーション活性の場づくりに積極的に取り組んでいます。全従業員及び家族が一堂に会する「クリスマスパーティ」や毎年恒例となっている「新人歓迎イベント」ほか従業員の懇親を援助する各種しくみなど、業務外・非定型の交流を通じて「人と人とのつながり」を促し、ワークエンゲージメントの向上を推進しています。

 

 また、当社では、上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いており、当該指標に関する目標及び実績は次の通りであります。

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

男性育休取得率

2028年3月まで毎年14以上

52.9

一人当たり年次有給休暇取得率

2028年3月まで毎年50以上

65.1

自己都合離職率

2028年3月まで毎年3以下

3.3

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。想定されるリスク管理及び予想される損失の回避や軽減を図るべく、取締役経営戦略室長が委員長を務める「サステナビリティ統括委員会」内に、「リスクマネジメント委員会」を設置して、適切な管理体制を構築するとともに、リスク発生時には迅速な対応が出来る体制を整備しております。

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)外部経営環境に関するリスク

当社グループが、主に事業活動を行う日本国内、中国、東南アジア等における経済環境の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、産業機器システム、半導体・デバイス、社会インフラ(冷熱住設機器、ビル設備、重電、電子医療機器)、情報通信(情報システム、携帯電話等)の販売とソフト開発を主な事業とし、更に関連する物流及び保守・サービス、工事等の事業活動を展開しております。これらに関連する業界の市場動向や取引先の需要の減少は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)主要仕入先に関するリスク

 当社グループは、三菱電機株式会社、オムロン株式会社及び三菱電機グループ各社と販売代理店(特約店)、販売店契約を締結し、商品の仕入れを行っております。当社グループとは良好な関係にありますが、これら主要な仕入先の事業戦略、販売戦略の変更等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの情報通信事業で行っている携帯電話の卸売・販売に関しましては、各電気通信事業者及び一次代理店の事業戦略、販売戦略の変更により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)人材確保に関するリスク

 当社グループの競争力を維持するためには、優秀な人材を採用し、長期的に確保する必要がありますが、高齢化に伴う労働人口の減少や、人材獲得競争の激化及び人材流動化の加速が見込まれている中、採用活動や人事制度の設計・運用等が不十分である場合、中核人材の不足や従業員のエンゲージメント低下によって、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)M&Aに関するリスク

 当社グループは、企業買収等により株式を取得しており、のれん等を計上しておりますが、今後、事業環境や競合状況の急激な変化等により関係会社の業績が当初の想定を下回り、想定していた超過収益力が低下した場合、当該のれん等について減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)為替相場の変動に関するリスク

 当社グループの事業には、外貨による取引が含まれております。そのため、当社グループは先物為替予約による通貨ヘッジ取引を行い、米ドル及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動による影響を最小限に抑える努力をしておりますが、為替相場の変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)大規模自然災害及び新種感染症の世界的流行に関するリスク

 大規模な地震、風水害等の自然災害や新種感染症の世界的流行が発生した際は、事業活動の停止、制限により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下 「経営成績等」 という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業の設備投資に持ち直しの動きが見られたものの、継続する在庫調整の影響に加え、アメリカの通商政策等の動向を背景とした世界的な景気後退懸念により、先行きの不透明感が強まる状況で推移しました。

このような状況下、当社グループは、中期経営計画『 T-Link1369 』が2年目を迎え、基幹ビジネスの拡大に加えて、これまで築き上げてきた「グローバル」「メディカル」「オートメーション」「オリジナル」の4つの成長戦略の更なる進化や、既存の枠組みを超えた「モビリティ」「マテリアル」「エネルギーソリューション」「DX推進」等のビジネスモデルの変革にも注力し、成長市場に適応した「NEWビジネスの創造」に取組んでまいりました。

これらの結果、当連結会計年度における業績は、売上高1,009億65百万円(前年度比0.4%減)、営業利益34億26百万円(前年度比8.3%減)、経常利益37億61百万円(前年度比3.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益26億59百万円(前年度比6.3%増)となりました。

 

<セグメント別の状況>

事業の種類別セグメントの業績は、次の通りであります。

 

a)FA・デバイス事業

(産業機器システム) 売上高:403億26百万円(前年度比 3.5%減) 構成比 39.9%

産業機器システム分野においては、装置システムが製造業の設備投資及び自動化の需要を捉え、半導体や産業用蓄電池向けを中心に増加したものの、顧客の在庫調整を背景としたFA機器の減少に加え、産業用加工機の前年度大口案件剥落による反動減等から、この部門全体の売上高は前年度比3.5%の減となりました。

 

(半導体・デバイス) 売上高:334億27百万円(前年度比 0.1%減) 構成比 33.1%

半導体・デバイス分野においては、デバイスが半導体製造装置関連向け等で減少したものの、電子部品実装機や住宅設備向け、インドの車載関連向け等で増加しました。一方、半導体はパワーコンディショナー向けが堅調も、市場流通品の需要が減少したこと等から、この部門全体の売上高は前年度比0.1%の減となりました。

 

これらの結果、FA・デバイス事業においては、売上高737億53百万円(前年度比2.0%減、構成比73.0%)、営業利益25億18百万円(前年度比13.8%減)となりました。

 

b)社会・情報通信事業

(社会インフラ) 売上高:187億2百万円(前年度比 3.7%増) 構成比 18.5%

社会インフラ分野においては、荷物用エレベーターを中心にビル設備が減少したものの、主力の放射線がん治療装置が堅調に推移したことにより、この部門全体の売上高は前年度比3.7%の増となりました。

 

(情報通信) 売上高:85億8百万円(前年度比 5.9%増) 構成比 8.4%

 情報通信分野においては、主力の携帯電話で高価格端末や店舗向けオリジナルアプリの販売が堅調に推移したことに加え、子会社のフジテレコムズ社がアーバンエココンサルティング株式会社を連結子会社化し、環境分析関連の新規ビジネスが増加したこと等から、この部門全体の売上高は前年度比5.9%の増となりました。

 

これらの結果、社会・情報通信事業においては、売上高272億11百万円(前年度比4.4%増、構成比27.0%)、営業利益9億8百万円(前年度比11.6%増)となりました。

②財政状態の状況

<流動資産>

当連結会計年度末における流動資産の残高は、508億76百万円(前連結会計年度末は510億29百万円)となり、1億52百万円減少しました。これは主に、売上債権の増加により一部相殺されたものの、商品の減少(前連結会計年度末比16億82百万円減)によるものであります。

 

<固定資産>

当連結会計年度末における固定資産の残高は、128億16百万円(前連結会計年度末は141億2百万円)となり、12億86百万円減少しました。これは主に、投資有価証券の減少(前連結会計年度末比14億89百万円減)によるものであります。

 

<流動・固定負債>

当連結会計年度末における負債の残高は、流動・固定合計で228億45百万円(前連結会計年度末は260億50百万円)となり、32億4百万円減少しました。主な減少の要因は、仕入債務の減少(前連結会計年度末比27億83百万円減)であります。

 

<純資産>

当連結会計年度末における純資産の残高は、408億46百万円(前連結会計年度末は390億81百万円)となり、17億64百万円増加しました。主な増加の要因は、利益剰余金の増加(前連結会計年度末比16億67百万円増)であります。なお、当連結会計年度末の自己資本比率は64.1%となっております。

 

2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7億6百万円増加し、当連結会計年度末には87億62百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は、18億19百万円(前連結会計年度は同60億83百万円)となりました。これは主に、仕入債務の減少の要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益42億69百万円、棚卸資産の減少額が19億48百万円あったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、95百万円(前連結会計年度は同84百万円)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入の要因により一部相殺されたものの、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が4億80百万円あったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、13億10百万円(前連結会計年度は同44億22百万円)となりました。これは主に、配当金の支払額が9億91百万円あったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の状況

(1)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

FA・デバイス事業

 

 

産業機器システム(百万円)

40,326

96.5

半導体・デバイス(百万円)

33,427

99.9

計(百万円)

73,753

98.0

社会・情報通信事業

 

 

社会インフラ(百万円)

18,702

103.7

情報通信(百万円)

8,508

105.9

計(百万円)

27,211

104.4

合計(百万円)

100,965

99.6

 (注)上記金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。

 

(2)仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

FA・デバイス事業

 

 

産業機器システム(百万円)

29,768

94.4

半導体・デバイス(百万円)

33,474

100.4

計(百万円)

63,242

97.5

社会・情報通信事業

 

 

社会インフラ(百万円)

15,778

102.0

情報通信(百万円)

6,019

102.9

計(百万円)

21,798

102.3

合計(百万円)

85,040

98.7

 (注)上記金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。

 

①棚卸資産

当社グループは、棚卸資産の、推定される将来需要および市場状況に基づく時価の見積額と原価との差異に相当する陳腐化の見積額について、評価減の計上が必要となる可能性があります。実際の将来需要または市場状況が当社グループの見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。

②固定資産の減損

固定資産については、資産または資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失に計上しております。回収可能価額は、資産または資産グループの時価から処分費用見込額を控除した正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか大きい方としていることから、固定資産の使用方法を変更した場合もしくは不動産取引相場やその他経営環境が変動した場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

③のれん等の減損

当社グループは、のれん及び顧客関連資産(以下、のれん等)について、その効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や売上高成長率、商品の利益率、諸経費の発生見込額等から算出された事業計画を基に検討しており、将来において当初想定した収益が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれん等の減損処理を行う可能性があります。

④繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額を計上しております。将来の課税所得の見通しを含め慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に計上金額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整により費用が減少します。また税制改正により税率の変更等が生じた場合には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。

⑤退職給付に係る負債

従業員の退職給付に備えるため、当社グループは連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき、退職給付費用及び退職給付に係る負債の計上を行っています。退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて算出されています。この前提条件には割引率、退職率、死亡率、予想昇給率等が含まれています。

この前提条件の変更等があった場合には、将来期間における退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼすことがあります。

 

2)据付工事等を伴う販売取引の売上高についての検討内容

当社は汎用的な商品の仕入販売だけでなく、産業機器システムや社会インフラ及び情報通信の分野においては、機器の引渡しに加えて、顧客のニーズに対応するために設置工事・現地調整やシステム連携作業などの据付工事等を伴う販売取引も行っています。

据付工事等を伴う販売取引においては、顧客からの受注時に契約内容を検討し、一括で売上計上すべき機器及び据付工事等を識別したうえで、全ての顧客対応が完了した時点で顧客から入手した検収書に基づいて、関連する機器及び据付工事等を一括で売上高に計上しています。

このような販売取引の1件当たりの売上金額は、汎用的な商品の仕入販売よりも高額となる傾向にあり、1億円を超える取引も存在します。連結損益計算書に記載されている売上高1,009億65百万円のうち、該当する売上高は2割程度を占めています。

据付工事等を伴う販売取引の売上高を適切な時期に計上するには、顧客との契約実態や交渉経緯を網羅的に把握することが必要であり、連結財務諸表に大きな影響を与える可能性がある業務プロセスと位置付け、適切な内部統制を構築し運用しています。

 

3)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

①当連結会計年度の経営成績等

当社グループは中期経営計画『 T-Link1369 』を掲げ、基幹ビジネスの更なる拡大に加え、成長分野を中心としたNEWビジネスの創造に取組んでおります。

このような中、当連結会計年度のFA・デバイス事業においては、装置システムが製造業の設備投資及び自動化の需要を捉え増加しましたが、顧客の在庫調整を背景にFA機器等が減少いたしました。また、社会・情報通信事業においては、主力の放射線がん治療装置が堅調に推移したことに加え、子会社のフジテレコムズ社がアーバンエココンサルティング株式会社を連結子会社化し、環境分析関連の新規ビジネスが増加いたしました。

 

<売上高>

当連結会計年度の売上高は、前年度比0.4%減の1,009億65百万円となりました。FA・デバイス事業では2.0%減の737億53百万円、社会・情報通信事業は4.4%増の272億11百万円となりました。

 

<売上原価、販売費及び一般管理費>

当連結会計年度の売上原価は、前年度比0.7%減の866億円となり、売上高に対する比率は0.3ポイント減の85.8%となりました。販売費及び一般管理費は、前年度比5.5%増の109億38百万円となり、売上高に対する比率は0.6ポイント増の10.8%となりました。

 

<営業利益>

当連結会計年度の営業利益は、前年度比8.3%減の34億26百万円となり、売上高に対する比率は0.3ポイント減の3.4%となりました。FA・デバイス事業では13.8%減の25億18百万円、社会・情報通信事業は11.6%増の9億8百万円となりました。

 

<営業外損益>

当連結会計年度の営業外収益は、前年度から12百万円増加し、4億14百万円となりました。営業外費用は前年度から1億42百万円減少し、80百万円となりました。

 

<経常利益>

当連結会計年度の経常利益は、前年度比3.9%減の37億61百万円となり、売上高に対する比率は0.1ポイント減の3.7%となりました。

 

<特別損益>

当連結会計年度の特別利益は5億92百万円(前連結会計年度は12百万円)、特別損失は84百万円(前連結会計年度は42百万円)となりました。

 

<親会社株主に帰属する当期純利益>

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度比6.3%増の26億59百万円となりました。

 

②経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「3 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、現状、緊急を要する重要な事業リスクはないものと認識しております。

 

③資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、棚卸資産の購入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、例外的な場合を除いて該当ありません。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、通常は該当ありません。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は14億95百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は87億62百万円となっております。

 

5【重要な契約等】

 (1)当社(株式会社たけびし)の主な代理店契約等

相手先

契約の種類

主要取扱商品

契約期間

三菱電機㈱

(注)2

販売代理店契約

回転機、配電・制御、駆動制御、コントローラ

2025年4月1日から1年(自動更新)

回転機、配電・制御、駆動制御、コントローラ

2004年12月13日から1年(自動更新)

レーザー加工機・放電加工機・産業用ロボット

2008年10月1日から1年(自動更新)

空調機器・温水器

2018年4月1日から1年(自動更新)

水処理プラント・発電機

1991年11月7日から1年(自動更新)

受変電設備

1992年10月1日から1年(自動更新)

エレベータ・エスカレーター

2002年10月1日から1年(自動更新)

コンピュータ・周辺端末

2006年4月1日から1年(自動更新)

通信機器

1993年8月1日から1年(自動更新)

パワーデバイス、光・高周波素子

2015年4月1日から1年(自動更新)

オムロン㈱

販売店契約

電子部品

2024年4月1日から1年(契約更新)

 (注)1.契約期間は再契約のものを含めて最新の契約書にもとづく契約期間を表示しております。

2.2004年12月13日からの販売代理店契約は2025年3月31日をもって合意解約により終了となり、2025年4月1日から新たな販売代理店契約を締結しております。

 

 

 (2)㈱フジテレコムズ(連結子会社)の主な代理店契約等

相手先

契約の内容

契約期間

兼松コミュニケーションズ㈱

移動電話サービス加入に関する業務委託並びに移動電話端末機及びその関連商品の売買

2006年4月1日から1年(自動更新)

KDDI㈱

移動電話サービス加入に関する業務委託並びに移動電話端末機及びその関連商品の売買

2001年4月1日から1年(自動更新)

 

 

(3)Le Champ (South East Asia) Pte Ltd(連結子会社)の主な販売店契約等

相手先

契約の種類

主要取扱商品

契約期間

HIROSE ELECTRIC SINGAPORE PTE. LTD.

販売店契約

コネクタ

2019年4月1日から1年(自動更新)

Murata Electronics

Singapore Pte Ltd

販売店契約

キャパシタ

2012年5月1日から1年(自動更新)

Littelfuse, Inc.

販売店契約

ヒューズ

2004年3月19日から事前通知による解除まで(30日前)

JUKI株式会社

販売店契約

産業装置

2016年7月1日から1年(自動更新)

 

 

 

6【研究開発活動】

 研究開発活動については、商品についてオリジナル商品の開発を常に進めておりますが、その他特記すべき事項はありません。