第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループの業績は国内製造業の設備投資と生産活動に依拠しておりますが、国内製造業の少子高齢化に伴う国内市場縮小を見越し、地産地消の考えに基づいて海外への生産移管をますます加速していることから、この変化への対応が最も重要な経営課題となっております。また、今後に向けて「メーカー商社を『協創型』と再定義し、確立する」、「社内外の協創から新しいオリジナル品を供給し続ける」、「ビジネス領域を拡大し続ける」といった課題が出てまいりました。

これらの課題を踏まえ、2024年度より中期3ヵ年計画「GP2026」を下記のとおり策定し、経営課題の解決と経営目標の達成に取り組んでまいります

 

GP2026(RIX Growth Plan)

Ⅰ.当社グループのあるべき姿

世界中のものづくりの課題解決屋になる

 

Ⅱ.当社グループのビジョン

リックスグループは、“販売・技術・製造・サービスの高度な融合”とパートナーとの“協創”により、世界の産業界の課題解決のためのソリューションを提供します

 

Ⅲ.定量目標

2026年度 連結売上高600億円、連結営業利益45億円、連結経常利益47億円

 

Ⅳ.「GP2026」を達成するための4つの軸

1.ビジネス領域の拡大

 ・現状の業界・業種(連結売上高目標600億円のうち525億円)

  ・成長分野(同じく600億円のうち75億円)

 ・海外(同じく600億円のうち96億円)

2.収益性の向上

 ・営業利益率7.5%以上・ROE11%以上(事業活動の効率化)

 ・オリジナル品※1比率40%以上(新製品・新商品開発)

3.人材・組織の強化(全体最適・スピードアップ)

 ・ライフ・ワーク・バランスの充実

 ・RIXing Action※2を実践できる人材の育成・定着

 ・協創センターをフル活用する仕組みづくり

 ・新システムへのスピーディーな移行

4.ステークホルダーリレーションズの充実

 ・CSV-Creating Shared Value ビジネスを通じた社会貢献の実行

 ・ステークホルダーとのコミュニケーション活性化

 ・ガバナンス体制の強化に向けた取り組みの推進

 

※1 オリジナル品とは、リックスグループのみ提供できる製商品・サービスまたはその組み合わせのこと

※2 RIXing Actionとは、RIXの経営理念・行動指針、社風・歴史、ビジネスモデル等を表す総称

 

 

 

当社グループは、顧客業界によりセグメント区分を行っておりますが、各セグメントの経営環境、対応すべき課題や方針は以下のとおりです。

(鉄鋼業界)

鉄鋼業界においては、中国の生産量拡大、グローバルでの競争激化、原料高製品安等により生産拠点・生産品目の撤退・集約、カーボンニュートラルの推進等大きな転換期に差し掛かっております。また、国内生産は高級鋼製造ラインの新設、現有設備の老朽化に伴う設備保全費アップ、世代交代による技術伝承不足、産業界のDX推進・自動化等により顧客のニーズ多様化してきております。このような環境の中、当社グループは顧客密着営業による営業力とグローバル展開による海外商品開発力という強みを生かし、以下の方針を掲げております。

① メーカー機能強化によるメンテナンス・修理・再生サービス事業の拡大

② カーボンニュートラルに関連する分野への深耕

③ 海外拠点展開の推進

④ デジタル・自動化に関するグローバル商品の開発

⑤ 電気自動車(EV)化に伴う素材分野の開拓

 

(自動車業界)

自動車業界においては、従来のガソリン車から電気自動車への移行が着実に進んでおり、この流れは今後も継続することが予想されております。このことは、エンジンなどの機械加工部品が減少し、当社が主として設備・機器を納入している機械加工工場の操業度が低下していくことになります。このような環境の中、当社グループは電気自動車化への対応及び新規商品開発として以下の方針を掲げております。

① 2次電池分野への信頼関係構築

② モーター分野への参入・拡大

③ 顧客工場での自動化・自動計測案件の拡大

 

(電子・半導体業界)

電子・半導体業界においては、当社グループの主顧客である国内半導体メーカーは、競争力強化のためのコストダウンや生産性の向上へのニーズは高くなっており、設備投資への機運も高まっております。このような環境の中、当社グループはコスト競争力のある設備部品の供給、設備の修理対応など顧客のニーズを取り込むとともに、成長が期待できる車載半導体への対応を図っており、以下の方針を掲げております。

① 修理・再生サービスを軸としたメーカー機能強化

② 車載用半導体向けの新商品開拓

③ デジタル商品や開発用途向けの新商品開発

 

(ゴム・タイヤ業界)

ゴム・タイヤ業界においては、タイヤメーカーの設備投資には波があり、当社の主納入品である加硫機部品の販売は安定しない状況であります。このような環境の中、当社グループは顧客の開発部門や海外拠点へのアプローチを行い、新たな商品の開拓を目指し以下の方針を掲げております。

① 自動化案件及び未来の環境対応車向けタイヤ開発部門への深耕

② 設備・工法開発部門への拡販と研究部門の開拓

③ 顧客の海外における開発・生産拠点でのニーズ対応

 

(工作機械業界)

工作機械業界においては、自動化・高効率化・稼働率向上の高付加価値設備の開発が活発になっております。このような環境の中、当社グループはオリジナル品であるロータリージョイントの更なる拡販を図ることとし、以下の方針を掲げています。

① 研究部門・開発部門への新規開発品の深耕

② 付帯設備の拡販と改善提案・提供

③ 新加工技術の研究部門・開発部門への深耕

 

 

(高機能材業界)

高機能材業界においては、今後成長が期待できる材料分野をターゲットとし、以下の方針を掲げております。

① 炭素繊維業界への深耕継続

② 高機能ガラス及び生分解ポリマーなど機能性材料への商品開発と深耕

③ 医薬・化粧品業界への洗浄システムの拡販

 

(環境業界)

環境業界においては、公共事業は災害対策の需要等で堅調に推移しております。また、民間事業では都市再開発等で底堅く推移しております。このような環境の中、当社グループは取扱商品を軸として既存顧客への深耕と新規顧客の開拓を図ることとし、以下の方針を掲げています。

① 水処理関連事業への更なる深耕

② エネルギー分野の開拓

③ 焼却・リサイクル業界への商品開発と深耕

 

(紙パルプ業界)

紙パルプ業界は、電子化、ペーパーレスといった動きから需要拡大、設備投資の拡大といった見通しは立てにくい状況です。このような環境の中、当社グループは新しい分野への進展を図ることとし、以下の方針を掲げています。

① ケミカル素材分野への更なる深耕

② 各社の発電設備へ機器更新およびメンテナンスビジネスを推進

③ バイオエタノール関連事業の深耕

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

私たちリックスグループは、経営理念に存在意義として以下の文章を掲げています。

「私たちは、常に未来を見つめ、販売・技術・製造・サービスの高度な融合を目指す「メーカー商社」として、世界の産業界に貢献します。」

 

第一義的にはお客様である産業界の企業の皆様方に販売・技術・製造・サービスの高度な融合による価値提供を通じて社会に貢献してゆきます。

次に、販売・技術・製造・サービスを生み出す際、または提供する際のプロセスを通じて社会に貢献してまいります。

最後に、販売・技術・製造・サービスの対価としていただく利益を社会に還元してゆきます。

 

サステナビリティ方針

地球上で活動をする一企業として、持続可能な社会/世界の実現に向けた取り組みを行います。そのために、国連のサミットで採択された、持続可能な開発目標 Sustainable Development Goals : SDGsの達成に向けた活動を推進してゆきます。また、当社は1907年の創業以来、100年以上の長きにわたってこの世の中に存在しています。次の創業150年、200年へ向け、長期的に成長できる企業を目指し、環境E、社会S、ガバナンスGの3つの視点で、社会課題の解決に向けた取り組みを行ってゆきます。

当社グループは2024年度より中期3カ年計画 GP2026(Rix Growth Plan)を策定しました。この中で当社の社会貢献活動の方針を示しています。このGP2026を着実に実行することが社会貢献活動の推進につながると確信しております。これらの活動およびRIXのファン(=ステークホルダー)の皆様への積極的な情報発信を通じて、継続的に企業価値を創造してゆきます。

 

 

(1)ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ戦略の推進をより一層強化し、事業戦略とESG戦略の一体推進を図ることで、企業活動を通じた新たな価値創造と社会課題の解決に向けた取り組みの達成を目的として、サステナビリティ委員会を設置しております。

本委員会は、グループ全体におけるサステナビリティ戦略に関する基本方針・基本計画の決定や、それらを実践するための社内推進体制の構築および整備、各種施策のモニタリングなどを行います。また、このような活動内容を定期的に取締役会へ報告のうえ、取締役会に対する答申・提言を行っております。

委員会の構成ですが、代表取締役社長執行役員を委員長として、取締役および担当職務や専門知見から適切と認められるもので構成されます。また、本委員会の下部組織として環境分科会、人材・安全分科会、ガバナンス分科会を設置し、各分科会においてESGの観点より、具体的な施策の具現化をはじめ各種施策の実施・展開を推進する体制としております。

 

構成 委員長:代表取締役社長執行役員

   委 員:各分科会の担当役員、執行役員および従業員 合計7名

 

2023年度開催回数 4回

出席率  100%(委員全員)

主な議題 ・マテリアリティに関する討議

     ・傘下の各分科会における活動報告

     ・TCFDへの対応検討、温室効果ガス排出量の開示に関する事項

     ・方針策定に関する討議(人権方針、環境方針、事業継続計画に関する基本方針)

     ・健康経営に関する討議

     ・CDP、CSA、EcoVadisへの対応に関する討議

     ・サステナビリティ関連の開示に関する討議

 

(2)戦略

当社グループにおいて、短期、中期及び長期にわたり連結会社の経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のマテリアリティについて、ESGの観点から次の通り特定をしました。2023年度より課題解決のためのアクションプランを策定し、中期経営計画GP2026において取り組みをすすめております。

 

マテリアリティ

1.低炭素社会・循環型社会の実現への貢献

  1)TCFDに基づく開示への対応

  2)CO2排出量の削減(再生エネルギー、水素活用、電炉化への貢献含む)

  3)リサイクル・省資源への対応

  4)省エネ・高効率化貢献製品の開発

 

2.持続可能な社会における成長市場の創出

  1)BCPへの取組

  2)顧客のサステナビリティ課題への対応

  3)イノベーションの強化

  4)電動化(EV)への対応

  5)水処理技術の高度化

 

3.多様性の尊重

  1)人権尊重とダイバーシティの取組

  2)人的資本に対する対応強化を目指したRIXing Actionを実践できる人材の育成と定着

 

4.健康で安全な環境の整備

  1)健康経営の促進

  2)全員が活躍する職場づくり

  3)安定的な調達の確保

 

5.ガバナンス体制の構築

  1)公正な事業慣行の実現

  2)実効性の高いガバナンス体制の構築

  3)リスクマネジメントの強化

 

6.ステークホルダーとの対話

    1)透明性の高い経営の実現

    2)コミュニケーションの強化

 

(3)気候変動への対応(TCFD提言への取組)

当社は、サステナビリティ方針において、「持続可能な社会/世界の実現に向けた取り組み」「長期的に成長できる企業を目指し、環境E、社会S、ガバナンスGの3つの視点で、社会課題の解決に向けた取り組み」を行ってゆくこととしています。

環境Eの視点での取り組みにおいては、気候変動への対応が重要課題であると認識しており、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿った取り組み並びに情報開示を進めています。

 

①ガバナンス

サステナビリティ委員会においてモニタリングを行う体制をとっており、気候変動対応は「環境分科会」が担っています。

 

②戦略

国際エネルギー機関(IEA)のSTEPS(公表政策シナリオ)・SDS(持続可能な開発シナリオ)や国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のRCP2.6・RCP8.5などを踏まえ、1.5℃, 2℃及び4℃の2つのシナリオに基づき、気候変動に伴う中長期(2030年及び2050年)の社会環境及びビジネス環境の変化を分析しました。分析にあたっては、下表に示す政府機関及び研究機関で開示されているシナリオを参照しています。

取締役会の監督のもと、経営企画部・総務部が中心となって、当社の事業及びそのサプライチェーン全体を通じて、気候関連の問題及び問題への社会的な対応がどのような影響を及ぼしうるかについて、各事業部からの意見を集約・検討し、気候関連のリスク及び機会を特定しています。

温度帯

分析に用いたシナリオ

1.5℃, 2℃

Sustainable Development Scenario (SDS), IEA, 2020, 2021

Announced Pledges Scenario (APS), IEA, 2021

Representative Concentration Pathways (RCP2.6), IPCC, 2014

4℃

Stated Policy Scenario (STEPS), IEA, 2020, 2021

Representative Concentration Pathways (RCP6.0, 8.5), IPCC, 2014

 

 

 

③主なリスクと機会

<リスク>

シナリオ分析の結果、炭素税の導入などの気候変動対策を進める政策手段の導入、低炭素商品/生産プロセスへの移行による顧客需要の変化などのリスクにより、当社の業績が大きな影響を受ける可能性があると特定しました。

No

リスクの種類

リスクの概要

当社への影響度

リスク低減のための対応策

1.5℃,2℃シナリオ

4℃

シナリオ

2030年

2050年

2030年

2050年

R1

移行

(政策及び規制)

GHG排出の価格付け進行(炭素税の導入)

炭素税の追加的導入により、当社のエネルギー消費量(Scope1,2排出量)に対して課税され、エネルギー調達コストが増加する。

太陽光発電の導入、省エネや再エネ利用により、化石燃料による電力の使用量を削減する。

R2

移行

(政策及び規制)

GHG排出の価格付け進行(炭素税の導入)

原材料(アルミ、ステンレス等)の製造時のエネルギー消費量(CO2排出量)に対して炭素税が課され、原材料の調達コストが増加する。

製品設計を見直し、当該原材料の使用量を削減する。

R3

移行

(技術)

製品/サービスの低炭素オプションへの置換

従来型生産設備から低炭素型生産設備に需要が移ることで、当社の従来型生産設備向け商材の売上が減少する。

低炭素設備に対応した商材の開発を進める。

R4

移行

(技術)

製品/サービスの低炭素オプションへの置換

自動車の電動化が進み、内燃機関製造設備向けの商材の売上が減少する。

内燃機関製造設備向けに代わる、低炭素設備に対応した商材の開発を進める。

R5

移行

(市場)

エネルギーミックスの変化

再生可能エネルギー中心のエネルギーミックスへの移行によって、電力料金が上昇した場合、エネルギー調達コストが増加する。

太陽光発電の導入や省エネにより、電力の使用量を削減する。

R6

移行

(市場)

原材料コスト高騰

仕入先における低炭素化対応コストの増加により原材料商品価格が上昇し、当社の顧客に対する販売価格に転嫁できない分の仕入れコストが増加する。

仕入先と協力して低炭素化対応を進め、原材料商品価格の上昇を抑制する。

R7

移行

(急性)

異常気象の重大性と頻度の上昇

自然災害の増加により、生産本部が被災したり、生産本部従業員が出社困難となったりした場合、製品の製造が滞り、売上が減少する。

少数人員でも生産性を維持できるよう、多能工化を進める。

 

 

 

<機会>

シナリオ分析の結果、社会や顧客の低炭素ニーズに合った製品/商品の提供・開発、気候変動の緩和(低炭素化)に向けたサービスの提供・開発などが、当社の業績に大きな影響を与える可能性があると特定しました。

No

機会の種類

機会の概要

当社への影響度

機会獲得のための対応策

1.5℃,2℃シナリオ

4℃

シナリオ

2030年

2050年

2030年

2050年

O1

製品及びサービス

低炭素商品/サービスの開発、拡大

自動車の電動化が進み、電池関連商材の売上が増加する。

電池関連商材におけるニーズの発掘及び積極的な開発を進める。

O2

製品及びサービス

低炭素商品/サービスの開発、拡大

低炭素化に対応した生産設備に対する投資が増加し、関連生産設備向け商材の売上が増加する。

低炭素型の生産設備に対応した商材の開発を進める。

O3

製品及びサービス

低炭素商品/サービスの開発、拡大

自動車等の電動化が進み、制御関連商材の売上が増加する。

制御関連商材における情報収集及び積極的な開発を進める。

O4

製品及びサービス

資源の効率/再生利用

低炭素化対応により消費材の再生利用が増え、修理・再生ビジネスの売上が増加する。

修理・再生ビジネスのサービスメニューを拡充する。

 

 

④リスク管理

気候変動関連リスクについては、サステナビリティ委員会の下部組織である環境分科会において、リスクと機会の特定、基本計画の策定を行うとともに、サステナビリティ施策の具現化をはじめ、各種施策の実施・展開を推進し、結果をサステナビリティ委員会に報告しております。

サステナビリティ委員会において施策に関する実行計画・進捗状況のモニタリング及び改善について審議し、その結果を取締役会に報告しております。

 

⑤指標と目標

1.温室効果ガス(CO2)排出量の削減目標

2050年度における、当社のCO2排出量(Scope1及びScope2排出量)について、カーボンニュートラルの達成を目指します。

 

2.温室効果ガス(CO2)排出削減に向けた取り組み

社用車の低燃費車への切替(Scope1排出量の削減)

再生可能エネルギーへの移行(Scope2排出量の削減)

 

 ※ Scope1:社用車等の燃料使用に伴う排出(直接排出)

  Scope2:購入した電力・熱の使用に伴う排出(間接排出)

 

 

⑥温室効果ガス(CO2)排出量※

(単位:t-CO2)

項目

2021年度

2022年度

2023年度

備考

総計(Scope1+2+3)

9,703

12,441

12,140

 

 

Scope1(直接排出)

459

461

474

社用車におけるガソリン、軽油の購入量に排出原単位を乗じて算出しました。

 

Scope2(間接排出)

938

872

243

購入した電力の量に排出原単位(メニュー別)を乗じて算出しました。

 

Scope3(その他の排出)

8,306

11,108

11,423

 

 

 

購入した製品・サービス

6,400

7,278

6,297

生産本部において購入した原材料、副資材等、また、自社の用に供するために購入した製品・サービスを対象として、当該年度における購入金額に排出原単位(輸送を含む)を乗じて算出しました。

仕入商品については、大変多くの種類の商品を取り扱うため、全ての商品について算定することは困難です。

 

 

資本財

426

2,233

3,273

当該年度における固定資産純増額に排出原単位を乗じて算出しました。

 

 

Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー活動

258

253

272

購入した燃料及び電力の量に排出原単位を乗じて算出しました。

 

 

輸送、配送(上流)

382

455

422

購入した原材料等の輸送に伴う排出量については、購入した製品・サービスに係る排出量に含まれます。

自社荷主として輸送した製品の物流に伴う排出量については、輸送費に排出原単位を乗じて算出しました。

 

 

事業から出る廃棄物

165

154

197

廃棄物処理費用に排出原単位を乗じて算出しました。

 

 

出張

58

59

62

従業員数に排出原単位を乗じて算出しました。

 

 

雇用者の通勤

161

169

178

各拠点の従業員数・年間勤務日数に排出原単位(各拠点の都市区分別)を乗じて算出しました。

 

 

リース資産(上流)

0

0

0

リース資産は社用車であり、その使用によるエネルギー使用量は、Scope1で算出しています。

 

 

輸送、配送(下流)

該当するものはありません。

 

 

10

販売した製品の加工

該当するものはありません。

 

 

11

販売した製品の使用

456

507

722

当社が製造・販売する装置について、年間販売台数と想定される電力生涯使用量に排出原単位を乗じて算出しました。

当社の主な製品である部品については、それが組み込まれた最終製品の使用に伴う排出量を算定することは困難です。

 

 

12

販売した製品の廃棄

当社の製品は多岐にわたっており、それらの廃棄に伴う排出量を算定することは困難です。

 

 

13

リース資産(下流)

該当するものはありません。

 

 

14

フランチャイズ

該当するものはありません。

 

 

15

投資

該当するものはありません。

 

※リックス(単体)を対象として、温室効果ガス(CO2)排出量を算定しました。

 

⑦温室効果ガス(CO2)排出削減に向けた取り組み

(単位:%)

項目

2021年度

2022年度

2023年度

備考

社用車の低燃費車への切替

69.2

73.1

74.6

ハイブリッド車の導入比率(年度末時点)

再生可能エネルギーへの移行

0

6.8

77.2

CO2フリーで調達した電力量の割合

 

 

 

(4)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

人材育成方針

当社の経営理念(社風・歴史)を理解し、RIXing Actionを実践することができる人材を、継続的に育成します。

当社では、全ての社内教育・研修にRIXing Actionを取り入れて理解・浸透をはかるとともに、グローバルな視点で物事を考え新しい事業の創出ができる人材を育成するため、ステージ別教育に加え次のような取り組みを実施しています。

※ RIXing Actionとは、リックスの経営理念・行動指針・社風・歴史・ビジネスモデル等を表す総称であり、脈々と受け継がれてきたものを意味する言葉です。

 

1.RIXing Action Club(若手社員育成プログラム)

変化の激しい時代に対応できるビジネス思考(グローバル・事業化・起業家視点)を早い時点から醸成・育成する

 

2.グローバル人材育成プログラム

海外戦略を理解し、異文化の中でもRIXing Actionを実践できる人材を育成する

 

3.RENS(全社員参加型・新規ビジネスアイデア創出企画)

既存事業にとらわれず、自由な発想で新しいビジネスアイデアを考えて提案する

 

また、人材・組織を強化するには社内環境整備を充実させることが必要であると考え、以下のテーマに取り組んでいます。

 

1.労働時間と休暇制度

当社では、労働時間の適正化に取り組んでおり長時間労働の削減と働き方改革を推進し、ライフ・ワーク・バランスの向上を図っています。長時間労働者には疲労度チェックを実施し必要に応じで産業医との面談を促進しています。

また時間年休や計画年休制度等を活用して有給休暇取得率の向上に努めています。

 

2.働きやすい職場環境整備

当社では働きやすい職場環境整備に積極的に取り組んでおり、地域限定職への転換制度やジョブリターン制度、時短勤務制度等の諸制度を設け女性が働きやすい環境を整備しています。女性管理職候補の育成のため毎年女性総合職採用人数を定め積極的に採用活動に取り組んでいます。

また仕事と育児の両立のため定期的な情報提供、周知、啓蒙活動を継続実施していきます。

男性の育児休業取得率については、活動の結果2023年度実績35.2%となり当初の目標30%を達成しました。今後も継続して30%以上の取得を目標に、新たな取り組みに着手します。

この他、柔軟な働き方の推進のためテレワークやフレックス制度を試行し制度化を目指します。

 

3.健康経営

当社では、「健康宣言(明るく、楽しく、伸々と)いつまでも健康で活き活きと働ける会社を目指して」を掲げています。全社員に健康管理ツールを導入し従業員自身の健康情報を見える化し、健康意識を高め、ウォーキングイベントの実施や健康コラムの発信等の様々な取り組みを実施しています。

従業員並びにその家族の健康維持・増進をバックアップし、健康で活き活きと働けるライフ・ワーク・バランスの取れた職場環境を整え、2025年度に健康経営優良法人認定を目指します。

 

4.ダイバーシティ

当社では多様な人材の確保のため、採用選考において性別、人種、障がいの有無、性的指向などに基づく差別を排除し、能力やポテンシャルに基づいて人材を選考しています。

女性総合職採用強化及びキャリア拡大のため、女性社員からライフ・ワーク・バランスを実現できる様々な意見を聴取し、長期的に活躍できる環境を整備しています。女性の優れた能力や経験を持つ人材を積極的に採用し組織の多様性を高めていきます。

障がい者雇用率の向上のため「パートナー社員制度」を導入しました。これまでの賃金体系の見直し、無期雇用へ変更等安心して長期就労が出来る環境を整備しています。

また職場環境においてもハラスメント対応窓口、外部カウンセラー制度を設置し差別やハラスメントを無くす取り組みを実施しています。従業員の個性を尊重し公平かつ平等に扱われ、多様な人材が活躍できる環境づくりに努めています。

 

(5)リスク管理

サステナビリティ委員会の下部組織である各分科会において、リスクと機会の特定、基本計画の策定を行うとともに、サステナビリティ施策の具現化をはじめ、各種施策の実施・展開を推進し、結果をサステナビリティ委員会に報告しています。

サステナビリティ委員会は、サステナビリティ施策に関する実行計画・進捗状況のモニタリング及び改善について審議し、その結果は、取締役会に報告されています。

また、サステナビリティ委員会には、環境分科会のほか、人材・安全分科会、ガバナンス分科会があり、ESGの視点から、事業戦略に係るリスクについて、統合的に管理しています。

 

事業戦略にサステナビリティを織り込むためのサイクル

①サステナビリティ委員会にて討議された方針・目標・計画にもとづき、各分科会で具現化にむけた目標・計画を策定

②各分科会で策定された目標・計画は、サステナビリティ委員会がサステナビリティ戦略として集約

③サステナビリティ戦略は、中長期事業戦略として、各本部の事業戦略に反映

④各分科会は、本部を横断して進捗の管理を行い、サステナビリティ委員会へ報告

 

 

(6)人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標

当社では、上記「(4)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

なお、当社においては、各指標のデータ管理及び具体的な取り組みを行っているものの、連結会社の全ての会社において行われてはいないため、連結会社全体における記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、当社のものを記載しております。

指 標

目 標

実績

2022年度

実績

2023年度

RIXing Action Club参加者数(累計)

202024年3月迄

10名

9

グローバル人材育成プログラム参加者数(累計)

342024年3月迄

17名

17

RENS・新規ビジネスアイデア提案者数

302024年3月迄

25名

19

女性管理職比率

52027年3月迄

3.0%

3.5

男性育児休業取得率

302027年3月迄

16.6%

35.2

健康診断受診率

100%継続

100%

100

ストレスチェック受診率

100%2031年3月迄

84.6%

85.5

健康経営優良法人

認定(2025年度

未認定

未認定

 

 

2024年3月迄を目標とした指標の取り組み結果および今後の取り組みについて

①RIXing Action Club参加者数(累計)については、目標未達成でした。

今後の取り組み

参加者の選定方式やプログラムの内容を見直したうえで継続実施いたします。

次の目標は、RIXing Action Club参加者数(累計):20名(2027年3月迄)です。

 

②グローバル人材育成プログラム参加者数(累計)については、目標を達成いたしました。

今後の取り組み

参加者の選定方式やプログラムの内容を見直したうえで継続実施いたします。

次の目標は、グローバル人材育成プログラム参加者数(累計):35名(2027年3月迄)です。

 

③RENS・新規ビジネスアイデア提案者数については、目標未達成でした。

今後の取り組み

アイデアの募集方式やインセンティブの内容を見直したうえで継続実施いたします。

次の目標は、RENS・新規ビジネスアイデア提案者数:30名(2027年3月迄)です。

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済環境の変化に関するリスク

当社グループの主力商品である高圧液圧応用機器を中心とした産業用機械及び部品の販売については、販売先企業の設備投資動向に影響を受けます。設備投資動向は、販売先企業個々の経営状況並びに当該企業が属する業界個々の経済環境に左右される可能性があり、それら様々な変動要因が、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に間接的に悪影響を及ぼす可能性があります。

特に当社グループの主要顧客業界である鉄鋼、自動車、電子・半導体の業界動向によっては、当社グループに、より大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

連結業績への影響度ですが、通常の景気循環による設備投資の増減であれば限定的な影響となりますが、地政学リスクに起因した各地の紛争や米中対立に起因した不安定な国際情勢、新型ウイルス感染症の流行などによって全世界的に大幅な景気低迷が発生した場合、影響度は大きくなります。

 

(2) 国外における事業リスク

当社グループは、日本国外においても販売及び生産活動を行っておりますが、現時点においてその事業リスクは軽微なものと考えております。当社グループの中期経営計画では、海外事業の拡大を重点戦略としており、為替動向及び進出した国・地域を含む国際情勢の急変等が、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

連結業績への影響度ですが、当社グループの海外売上高は全体の1割程度であり、リスクは限定的と考えております。

 

(3) 取引先の信用リスク

当社グループは、取引先の財務情報等を入手・分析し、販売先においては独自の与信枠設定を行い、仕入先・外注先においてはその取引の可否について判断を行うことによって、取引先の信用リスクに備えております。しかしながら、取引先の予期せぬ事態により債権回収に支障が発生した場合や、商品の仕入が出来ないことにより賠償責任が発生した場合等において、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

連結業績への影響度ですが、債権回収に支障が発生する可能性はありますが、当社の主要取引先はその多くが優良企業であり、影響は限定的と考えております。

 

(4) 製品・商品の欠陥リスク

当社グループは、製品の品質・安全に配慮した商品の開発・製造・販売に最善の努力を図っております。しかしながら全ての製品・商品について欠陥がなく、将来において製品回収などの事態が発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。よって、大規模な製品・商品の回収や製造物責任賠償につながるような製品・商品等の欠陥が発生した場合には、当社グループの社会的信頼性に重大な影響を与え、多額の費用又は損失の発生や売上高の減少により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

しかしながら、当社の取り扱う製品・商品は工場で使われる設備・機器であり、直接、最終顧客に渡る製品・商品ではないことから、保険でカバーできないほどの製造物責任賠償が発生する可能性はごく小さいと判断しております。

 

 

(5) 株価の変動リスク

当社グループは、取引先との関係強化及び資金運用を目的として時価のある株式を保有しており、株式相場の動向によっては、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

連結業績への影響度ですが、株価の変動状況を考慮すると評価損が発生する可能性はありますが、保有株式の帳簿価額や保有額を考慮すると、影響は限定的と考えております。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度における世界経済は、世界的な高インフレは鈍化の傾向が窺えるものの、依然として継続しており、サービス産業における個人消費の一服の影響もあり、景気減速が続きました。また、製造業においては地域及び需要分野によって回復の傾向に差が見られました。

また、日本経済は、訪日外国人数が単月で過去最高を記録するなど、サービス産業におけるインバウンド需要は継続して回復しております。製造業に関しては海外経済の持ち直しの影響を受け、設備投資に増加傾向が見られました。

このような経済環境の中、当社グループでは中期3ヵ年計画「GP2023」に基づく施策に取り組んだ結果、2024年3月期連結業績は、売上高497億52百万円(前年同期比10.0%増)、営業利益35億44百万円(同6.6%増)、経常利益39億34百万円(同5.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益27億79百万円(同0.6%増)となりました。

 

セグメントごとの業績は、次のとおりであります。当社グループは、顧客の属する業界ごとに業績管理を行っており、「鉄鋼」「自動車」「電子・半導体」「ゴム・タイヤ」「工作機械」「高機能材」「環境」及び「紙パルプ」の8業界を報告セグメントとしております。

 

(鉄鋼業界)

同業界では、世界の動向として、中国の景気減退による鋼材需要の減少は見られますが、投資が活況なインドをはじめとして粗鋼生産量は前年同期比プラスで推移しました。日本の動向としては、自動車産業向けの需要については継続して堅調に推移しておりますが、中国経済の悪化の影響を受け、産業機械向けの需要低下が見受けられます。

当社グループにおきましては、生産比例品だけではなく整備部門への営業活動に注力した結果、海外製鉄所圧延工程向け設備部品の販売や加炭材、原料工程向け搬送設備機器の販売等により、売上は増加しました。

この結果、鉄鋼業界向け全体としての売上高は139億83百万円(前年同期比14.3%増)となりました。

 

(自動車業界)

同業界では、世界の動向として、中国での新エネルギー車の生産及び輸出が継続して拡大しており、依然として自動車産業は活況を呈しています。日本の動向としては、継続していた車載半導体供給不足の影響は解消されてきておりますが、能登半島地震や自動車認証不正問題の影響で自動車生産が停止していたこともあり、国内における生産は落ち込みました。

当社グループにおきましては、CASE市場で注目されている電池やモーター分野への営業・提案活動に注力した結果、国内・北米電池製造ライン及びモーターライン設備の受注、開発部署向けに安全制御装置の販売等が売上増に寄与しました。

この結果、自動車業界向け全体としての売上高は104億3百万円(前年同期比10.1%増)となりました。

 

(電子・半導体業界)

同業界では、世界の動向として、半導体関連の売上は落ち込みが見られていた前年度から一転し、前年同期比で増加が見られました。日本の動向としては、半導体製造装置の売上は前年同期比で増加し、車載・パワー半導体をはじめ、半導体関連分野は回復傾向が見えつつあります。

当社グループにおきましては、修理・再生ビジネスに加え、現場・設備・保全部門に対して営業活動に注力した結果、半導体製造装置各種部材の販売増加や関連装置の修理案件、半導体工場施設のリサイクル案件等により売上は確保しましたが、好調であった前年度には及びませんでした。

この結果、電子・半導体業界向け全体としての売上高は67億39百万円(前年同期比2.0%減)となりました。

 

(ゴム・タイヤ業界)

同業界では、日本の動向として、自動車業界の動向と関連する新車用タイヤの販売が特に影響を受け、前年同期比で減少しております。

当社グループにおきましては前四半期に続き開発案件のフォローや新規案件、設備投資に関する営業活動に注力した結果、当社グループ会社のオリジナル品であるバルブ・タイヤ関連機器の販売が特に海外向けで好調であったことや、加硫設備向けへの当社オリジナル品の販売等により売上が増加しました。

この結果、ゴム・タイヤ業界向け全体としての売上高は39億59百万円(前年同期比16.6%増)となりました。

 

(工作機械業界)

同業界では、中国での景気減速による設備投資の抑制の影響が継続しており、需要部門によって差はあるものの、特に小型汎用機の受注が国内外問わず減少しました。

当社グループにおきましては、工作機械の5軸化・複合化の要求に対応する用途開発・機器の営業に注力した結果、加工工程向けのクーラント処理装置の販売等により売上を確保しましたが、低迷が続いている業界の影響を受けた結果となりました。

この結果、工作機械業界向け全体としての売上高は24億41百万円(前年同期比0.2%増)となりました。

 

(高機能材業界)

同業界では、物価高による国内消費の低下や中国における需要回復の遅れが影響し、基礎製品となるエチレンの生産量の減少が継続しております。

当社グループにおきましては、修理・再生ビジネスへの注力に加え、医薬・化粧品分野の開拓にも注力した結果、シール類の販売が好調であったことや大型樹脂製ブロワの販売、医療機器関連メーカーへの部材の販売等により売上は伸長しました。

この結果、高機能材業界向け全体としての売上高は21億36百万円(前年同期比8.3%増)となりました。

 

(環境業界)

同業界では、環境装置関連の受注は製造業向けに増加したものの、他業種を含むトータルでは前年同期に比べ減少しました。

当社グループにおきましては、近年重要視されている環境産業・エネルギー産業への深耕に注力した結果、環境装置向けインバータや汽力発電所向けに油圧機器等の販売、造排水処理装置向けのポンプ類やフィルター類の販売等が売上増加に貢献しました。

この結果、環境業界向け全体としての売上高は23億34百万円(前年同期比11.5%増)となりました。

 

(紙パルプ業界)

同業界では、紙類の輸出に関しては増加しておりますが、デジタル化の浸透の影響もあり特に国内において紙類の需要が継続して減少しております。

当社グループにおきましては、各社が注力しているバイオマス素材やエネルギー分野を開拓した結果、バイオエタノール関連の機器販売や既設設備の整備・改造案件の増加、抄紙工程向けへのポンプ類の販売等により、売上は増加しました。

この結果、紙パルプ業界向け全体としての売上高は9億65百万円(前年同期比22.2%増)となりました。

 

各段階損益の分析は次のとおりであります。

売上高は前年同期比で10.0%の増収となりました。一方、当社オリジナル品の販売が伸びず、売上原価率が0.5%悪化した影響で、売上総利益は前年同期比で8.0%増となりました。販売費及び一般管理費は、業績伸長に伴って人件費や販売費が増加したことなどにより、前年同期比で8.7%増となり、その結果、営業利益は前年同期比6.6%増となりました。

営業外収支は為替差益の減少などにより前期に比べ微減となり、その結果、経常利益は前年同期比5.0%増となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

全セグメント

5,098,028

88.5

 

(注) 1 当社グループの製品は、特定のセグメントに区分することが困難であるため、生産実績については一括して記載しております。

2 金額は販売価格によっております。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

鉄鋼

14,039,199

109.8

2,088,159

102.7

自動車

10,691,679

111.8

1,594,621

122.1

電子・半導体

6,754,591

91.9

713,535

102.2

ゴム・タイヤ

3,852,863

111.2

585,018

84.6

工作機械

2,355,067

93.7

121,736

58.5

高機能材

2,402,283

143.9

382,358

328.4

環境

2,486,940

121.3

669,113

129.4

紙パルプ

1,004,259

123.2

76,727

204.6

その他

7,081,957

107.2

1,383,564

126.8

合計

50,668,842

108.2

7,614,834

113.7

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

鉄鋼

13,983,530

114.3

自動車

10,403,413

110.1

電子・半導体

6,739,370

98.0

ゴム・タイヤ

3,959,136

116.6

工作機械

2,441,585

100.2

高機能材

2,136,364

108.3

環境

2,334,851

111.5

紙パルプ

965,026

122.2

その他

6,789,356

113.6

合計

49,752,635

110.0

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

日本製鉄㈱

5,273,495

11.7

5,994,508

12.0

 

 

 

(2) 財政状態

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べて5.6%増加306億48百万円となりました。これは、主に売上債権が21億79百万円、棚卸資産が2億98百万円それぞれ増加し、一方で、現金及び預金が8億94百万円減少したことなどによるものです。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて24.2%増加104億69百万円となりました。これは主に建設仮勘定が5億80百万円、投資有価証券が9億4百万円それぞれ増加したことなどによるものです。

これらの結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて9.8%増加し、411億17百万円となりました。

 

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べて7.2%増加154億32百万円となりました。これは、主に仕入債務が7億45百万円、その他が2億21百万円それぞれ増加したことなどによるものです。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて18.5%増加16億12百万円となりました。これは、主に繰延税金負債が2億31百万円増加したことなどによるものです。

これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて8.2%増加し、170億44百万円となりました。

 

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べて11.0%増加240億73百万円となりました。これは、主に利益剰余金が15億25百万円、その他有価証券評価差額金が5億85百万円、為替換算調整勘定が1億20百万円それぞれ増加したことなどによるものです。

 

なお、当社グループではセグメントに資産を配分していないため、セグメントごとの財政状態の状況に関する記載は行っておりません。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ9億41百万円減少し、67億51百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、全体として14億96百万円の収入となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益39億40百万円、減価償却費4億13百万円、仕入債務の増加額6億49百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額21億35百万円、棚卸資産の増加額2億71百万円、法人税等の支払額10億11百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、全体として12億53百万円の支出となりました。収入の主な内訳は、有価証券の売却及び償還による収入1億円、投資有価証券の売却及び償還による収入1億7百万円であり、支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出9億68百万円、無形固定資産の取得による支出1億84百万円、投資有価証券の取得による支出1億50百万円、貸付けによる支出1億27百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、全体として12億36百万円の支出となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払額12億52百万円であります。

 

資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 

当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は、固定金利の長期借入金で調達しております。

当連結会計年度末の長期借入金残高は2億37百万円であります。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計20億円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、この契約による借入実行残高はありません。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

① 退職給付

従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されています。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は蓄積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

③ 固定資産の減損

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

販売代理店契約

契約会社名

相手先の名称

相手先の所在地

契約内容

契約期間

リックス㈱
(提出会社)

NOK㈱

日本

オイルシールなどNOK製品の販売に関する代理店契約

1943年6月28日から
1945年6月27日まで
(以後1年ごとの自動更新)

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは顧客業界ごとの販売体制を基礎とした業界別セグメントから構成されており、研究開発活動の内容及び金額を特定のセグメントに関連付けることができないため、一括して記載しております。

 

(研究開発費の金額)

 当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は172百万円であります。

 

(研究開発の内容)

当社グループの研究開発活動は、2023年10月より技術開発部門とデジタル開発部門によって構成され、総勢22名で活動しております。

技術開発部門ではトライボロジー、微粒化技術、音響や振動解析、熱流体解析、流体制御技術などの固有技術やこれまでに蓄積した実験データを元に製造部門、営業部門、協力企業、公的研究機関と協力し、各事業の技術的な課題に取り組んでおります。デジタル開発部門では、DXや自働化・省人化などをメインとした製品・ソリューションの開発を進めております。

当連結会計年度において、研究開発活動の状況は以下の通りです。

微粒化技術では大容量を処理できる装置の実用化、新規用途のノズル開発、ナノカーボンや複合粒子の開発などに取り組んでおります。トライボロジー技術では、リックスの主力製品である回転継手に関わるシール材の基礎研究・新規開発などに注力しております。

また、デジタル関連機器の事業においては、製鋼現場で自立走行するロボットの開発や遠隔地より計器を監視するIoT製品の開発にも力を入れております。当社が2018年に商品化した製鋼スラグ内部の泡立ちを鎮静する新型フォーミング抑制材は、廃棄物削減と有効活用に貢献し、令和4年度循環型社会形成推進功労者等、環境大臣表彰を受賞しました。