(1) 経営の基本方針
当社グループは、以下の「企業理念」の下、株主、取引先、社員などすべてのステークホルダーのご期待に応えるよう企業価値の向上に努めるとともに、社会に貢献することを目指しております。
<企業理念>
1.責任ある企業行動により、社会の発展に貢献します。
2.人と技術とサービスで、お客様のために新たな価値を創造します。
3.社員一人ひとりが喜びと誇りを持ち、活力にあふれた企業風土を醸成します。
当社グループは、お客様の良きパートナーとして価値ある商品やサービス、ソリューションを提供するとともに、健全かつ透明な経営を実践し、活力ある職場環境を醸成することで企業価値を高める努力を続けてまいります。
また環境保全活動や社会貢献活動などのESG活動に取り組み、良き企業市民として社会的責任を果たす経営を実践してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループはROEを重要な経営指標と位置づけ、中期的にはROE5%以上の達成を目標とし、収益性と効率性の向上に取り組んでおります。
(3) 中長期的な経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループが属するエレクトロニクス業界は、大規模なM&Aの進展により業界の勢力図が大きく変わる一方で、5G通信技術の活用による通信環境の高速化やIoTをはじめとしたセンシング技術の深化、自動運転技術の進展、AIやロボティクスを活用した医療・介護サービスの導入など、新しいテクノロジーをもとにした社会生活の変化が進んできております。
当社グループは、このような変化をチャンスと捉え、2022年3月期を最終年度とする中期経営計画において、「新たな価値を創造するビジネスモデルの構築」、「成長市場に向けた事業開発の促進」、「持続可能な社会に貢献する取り組みの強化」の3つの基本方針の下、既存事業の基盤強化と新規事業の創出により収益力の向上に取り組んでおります。
各事業セグメントにおける具体的な取り組みは以下のとおりであります。
①デバイス事業
付加価値の高い製品・サービスをソリューション提供することにより、事業収益の最大化を目指すとともに、新たなビジネスモデルの確立と、適材適所の人材配置で生産性の向上に取り組んでまいります。
イ.高付加価値ビジネスの推進
半導体製品を中心に電子モジュール、ソフトウェアなど当社が取り扱う幅広い商材を組み合わせてお客様に提案し、顧客シェアの一層の拡大を図ります。また、米国アロー・エレクトロニクス社との提携によるグローバルな販売ネットワークなど当社ならではのサービスを強みとして、新規顧客とのビジネス拡大に取り組みます。
ロ.成長市場での事業拡大
自動車、情報通信、医療・介護、産業機器、IoTなど今後も成長が期待される分野において、斬新でユニークな商材を発掘し、導入支援コンサルティングを提供することで新たな市場を開拓します。
ハ.新たなビジネスモデルの構築
ライセンス販売やサブスクリプション販売など新たなビジネスモデルの構築を推進してまいります。また、デジタルマーケティングの推進やロボティクス技術の活用により、業務オペレーションのさらなる効率化を図ってまいります。
②システム事業
技術革新やお客様ニーズを機敏に捉え、当社が有する高い専門性をベースにした製品・技術・サービスで差別化を図り、お客様の市場競争力を高めるとともに、より高収益な事業を目指した取り組みを推進してまいります。
イ.取扱い製品の差別化
当社取扱い製品と技術ノウハウを組み合わせ、お客様の要求に応じた装置のカスタマイズ化やモジュール化などのシステムインテグレーションの機能の高度化に取り組みます。また、デジタルトランスフォーメーションの進展を見据え、新たな商材の開発とソリューション提案力の強化を促進し、ローカル5Gやスマートファクトリーなどの新たな市場の需要取り込みを進めます。
ロ.サービスの差別化
当社グループは製品販売から保守サービスを含めたトータルサポートを強みとしております。当社はグループ内に保守・メンテナンスを担う企業を有しており、長年培った経験と技術をベースに応用力を一層高め、フィールドサービスの領域拡大を推進してまいります。また高い専門性を有した人材の確保と育成に努め、さらなる技術優位性の確保に努めてまいります。
ハ.グループ総合力の発揮
グループ間の連携を一層強化し、当社グループの事業リソースを最大限に活用した取り組みを推進することにより、取扱い製品の販売エリア拡大、市場シェアの向上を図ります。
(4)経営環境
① 企業構造
当社グループはデバイス事業とシステム事業の各セグメントにおいて、当社を中心に機能別の事業会社によって構成されております。各事業会社は経営の基本方針に則りグループ間で連携した事業運営を行っておりますが、取り扱い商材や地域の特性に合わせ、主体的に事業管理を行い運営しております。
現在の企業体系は、業績の状況、事業運営の状況等から判断し、良好に機能していると認識しております。
② 市場環境
当社グループが属するエレクトロニクス市場は、技術の高度化に伴って応用製品が広がり、市場拡大を続けています。一方で、企業の生産活動と生活のあらゆる場面で利用されているため、景気の変動や企業の設備投資の動向に影響を受けやすく、変動の大きな市場であります。
製品・技術面では、5G通信技術やAI、IoT、ロボティクスなど新しいテクノロジーの活用が進んでおりますが、貿易摩擦の影響や頻発する自然災害、新型の感染症の流行などにより、市場の不確実性が高まってくるものと予測しております。当社グループはこうした状況下でも成長を図るため、付加価値の高い商品・サービスの開発・強化に取り組んでおります。
③ 顧客動向
当社グループは、大手電機メーカーや自動車関連メーカー、産業用機器メーカーなど多くの顧客と長年にわたり取引を継続しております。当社グループでは、これまでに培った信頼と信用を更に深化させるため、顧客密着型の営業活動と拠点展開を推進するとともに、顧客満足度調査による自社の取組み評価や改善を実施しており、全体としては顧客との良好な関係を構築できていると認識しております。
また現在は、IoTやロボティクスをはじめとした新たな技術の進展や自動車のEV化など、新しいテクノロジーをもとにした社会生活の変化も進んできております。従来にはなかった市場・分野での顧客層が広がっていることから、当社グループでは品揃えの拡充と技術サポート力の強化により顧客基盤の拡大を図っております。
④ 仕入先動向
当社グループは多くの仕入先と代理店契約を締結しております。近年は半導体メーカーの代理店政策の変更により、代理店を担うエレクトロニクス商社の数は減少傾向にあり、今後も当面は同様の傾向が続くものとみています。
当社グループはマーケティング・販売体制の強化やソリューション提案力の向上に取り組み、仕入先とのパートナーシップの強化に努めるとともに、新規仕入先の開拓を行い、関係強化のために必要な場合は投融資やM&A、アライアンスを実施しています。
⑤ 競合他社動向
仕入先のM&Aや代理店政策の変更を背景に、近年は半導体商社間でも事業統合や買収など業界再編が進んでおり、業界全体の競争が激化しております。
当社グループは長年培ったサプライチェーンのノウハウや専門性の高い技術サポート力、グローバルサポート力により独自のポジションを築いていると認識していますが、他社とのさらなる差別化を図るべく、サービスと機能の拡充に取り組んでおります。
⑥ 新型コロナウイルス感染症の影響について
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、当社グループでは取引先ならびに当社従業員の安全確保を最優先に、在宅勤務や時差通勤の実施、電話会議やWeb会議での対応、自社開催セミナーの自粛など感染拡大の防止に向けた取り組みを実施しております。また今後の事業展開における資金需要への対応と運転資金の確保及び財務基盤の安定性向上のため、2020年5月に複数の金融機関との間で総額300百万ドル相当のコミットメントライン契約を締結し、資金の流動性を確保しております。
当社グループでは、上記の取り組みを実行しながら、取引先への安定した商品・サービスの提供の維持に努めております。しかしながら、各国、新型コロナウイルス感染症が未だ収束しない状況の中、デバイス事業においては、当社商品が組み込まれている最終製品の需要の変動や取引先の減産、生産の一時停止、航空運賃の高騰などが同事業の業績に影響を与える可能性があります。またシステム事業では、取引先の設備投資の動向が同事業の業績に影響を与える可能性があります。
こうした状況下でも成長を図るため、当社グループでは、商品ラインアップの拡充や付加価値の高い製品・サービスの開発による差別化推進、ソリューション提案力の強化などに取り組み、5G通信関連やIoT、ロボティクスなどの成長市場の需要の取り込みを進めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)戦略リスク
① 半導体の需要動向及び企業の設備動向による影響について
当社グループは半導体や電子部品、電子応用機器等の国内外のエレクトロニクス商品の仕入販売を主な事業とする商社であります。主な販売先は通信機器や産業機器、車載用電子機器、民生機器、パソコン周辺機器等を開発・製造する国内電子機器メーカーであり、顧客企業やエレクトロニクス市場全体の需要が大きく変動した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、安定的なビジネスの維持・拡大のため、販売先の拡大や付加価値の高い商品の開発拡充に取り組んでおりますが、当社の施策を以って当該リスクを完全に回避できるものではなく、市場が急変した場合には、大きな影響を受ける可能性があります。
② 技術革新・顧客ニーズへの対応について
当社グループが属するエレクトロニクス業界は、技術革新や事業環境の変化のスピードが極めて速く、顧客が当社グループに求める機能も年々、多様化・複雑化しております。
当社グループが提供する商品が陳腐化した場合や顧客ニーズへの対応遅れなどが発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また商品やサービスに不具合や欠陥が生じた場合、その補償費用や追加コストが発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、技術革新・顧客ニーズへの対応のため、商品ラインアップの拡充や技術サポート力の強化、品質管理体制の整備などに取り組んでおります。加えて、商品・サービスの不具合等による補償費用や追加コストが発生する場合に備え、保険を付保するなどリスクの移転を図り対応しておりますが、顕在化の時期や影響度を事前に予測することは困難であると認識しております。
③ 特定の仕入先への依存度が高いことについて
当社グループの主要な仕入先は、Avago Technologies International Sales Pte. Limited及び Cypress Semiconductor Corporationであります。2021年3月期における総仕入実績に対する割合はそれぞれ47.9%及び10.5%となっております。
当社グループでは各仕入先との良好な関係の維持に努めるとともに、継続的に新規仕入先や新規商材の開発に取り組んでおりますが、仕入先の代理店政策の見直しにより契約内容に変更が生じた場合や契約が解除された場合には当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクについては顕在化の時期を事前に予測することは困難でありますが、リスクが顕在化した場合、当該仕入先との取引額によっては大きな影響を受ける可能性があると認識しております。
④ 在庫の廃棄や評価の影響について
当社グループが取り扱う半導体や電子部品は、お客様からの要求納期にジャストインタイムで所要量を提供できるよう常に一定量の在庫を確保、保有しております。
当社グループでは、顧客の需要動向ならびに仕入先の供給状況の把握に努め、在庫が滞留しないよう在庫管理を徹底しておりますが、当初見込んでいた所要量に差異が生じた場合には、在庫の評価損や廃棄損が生じる可能性があります。当該リスクの顕在化に備え、当社グループは事業計画の策定に当たっては直近の在庫保有状況や回転期間に応じて一定額の引当を行っておりますが、その時期や影響額等の影響度を予め正確に見積もることは困難であると認識しております。
⑤ 投融資リスクについて
当社グループは、新規商材の販売権の確保や関係強化を目的として、仕入先への出資や開発資金の貸付などの投融資を行う場合があります。投融資にあたっては、その金額に応じて取締役会などで審議した上で決定し、また投融資先の経営状態や事業の進捗などを定期的にモニタリングしております。投融資先のビジネスプランや業績が投融資時点における想定と大きく乖離し、減損処理が必要となった場合や貸付金の回収が困難になった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクの顕在化の時期や影響額を予測することは困難でありますが、顕在化した場合には各投融資先の投融資額に応じた影響を受けることになります。
(2)市場リスク
① 為替及び金利変動の影響について
当社グループの事業では、外貨建ての輸出入取引の割合が高く、また経済のグローバル化に伴い、国内取引であっても外貨建てでの取引が経常的に発生しております。
外貨建取引において、当社グループでは、売上通貨と仕入通貨が同じ場合には為替のマリー決済を通じ、売上通貨と仕入通貨が異なる場合には為替予約を行うことで、取引形態ごとに為替変動リスクをヘッジすることを基本としております。しかしながら、為替相場が著しく変動した場合には、円建て換算での売上高や売上総利益額、棚卸資産等の評価において大きな影響を及ぼすことがあり、その結果、当グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、海外連結子会社の財務諸表を円換算する場合にも影響を及ぼします。
また当社グループは、事業運営に必要な運転資金の調達を金融機関からの借入を通じても行い、調達手段の多様化や金利スワップ取引など様々な手段を用いて金利変動等によるリスクを軽減するよう努めております。しかしながら、借入通貨の金利変動が大きい時には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
為替相場や金利の変動リスクについては、当社の施策を以って当該リスクを完全に回避できるものではなく、その時期や影響度を事前に見積もることは困難であると認識しております。
② 退職給付債務について
当社グループの退職給付費用及び年金債務は、割引率等の数理計算上で設定する前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されますが、実際の年金資産の運用利回りが低下した場合や数理計算上の前提条件に変動が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。数理計算上の差異は、年1回実施している退職給付見込額の再計算や年金資産の運用実績により発生するため、毎年度一定の影響を被ることは不可避と認識しております。
(3)その他のリスク
① 法的規制について
当社グループは、わが国をはじめ、事業を展開する諸外国の国家安全保障に関する規制や輸出入に関する規制、製造物責任、独占禁止、特許、環境規制など様々な法令・規制の下で事業活動を展開しております。
当社グループでは、各種法令・規制の最新情報の入手に努めるとともに、全社員へのコンプライアンス教育や関係者へのセミナー等を通じて啓蒙活動を行い、法令・規制の遵守に取り組んでおります。これらの法令・規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限され、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクの顕在化の時期や影響度については予め見積もることは困難でありますが、顕在化の可能性は現時点では高くないと認識しております。
② 優秀な人材の確保について
当社グループの競争力を維持、向上していくためには、優秀な人材の確保と育成が重要と考えております。当社グループでは新卒採用や通年での経験者採用、全社横断的な教育研修ならびにOJTによる育成、本人の能力を活かした適材適所の人材配置などを実施しておりますが、人材の確保や育成ができない場合、当社グループの将来の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクの顕在化の時期や影響度については予め見積もることは困難でありますが、顕在化の可能性は現時点では高くないと認識しております。
③ 自然災害などのリスクについて
当社の基幹コンピュータシステムは東京都内に、物流拠点は千葉県山武郡に設置し、大規模地震被災や台風などの自然災害に備え、事業継続計画を策定、BCP体制を構築し、定期的に訓練を実施するとともに、電力や通信回線などのライフラインの多重化や基幹業務システムのバックアップを確保しています。加えて、当社グループでは外部からの不正アクセスやサイバー攻撃、コンピュータウイルスの感染等に対する保全策を講じております。
しかしながら、災害や感染症などが発生した場合のリスク全てを回避することは困難であり、昨今の気候変動などに伴う災害の大規模化や感染症の拡大などにより、想定していない規模でのリスクの顕在化も考えられます。その場合には、事業活動の縮小など当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性がありますが、かかるリスクが顕在化する時期や影響度を予め見積もることは困難であると認識しております。
なお、新型コロナウイルス感染症に対しては、取引先ならびに当社従業員の安全確保を最優先に、在宅勤務や時差通勤の実施、電話会議やWeb会議での対応、全役員・従業員を対象にした毎朝の検温の実施やマスクの着用、自社開催セミナーの自粛など感染拡大の防止に向けた取り組みを実行しながら、取引先への安定した商品・サービスの提供の維持に努めております。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の経済への影響が継続した場合、当社商品が組み込まれている最終製品の需要や設備投資の動向、取引先の減産、生産の一時停止、航空運賃の高騰などが、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクが顕在化する時期や影響度を予め見積もることは困難であると認識しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況にある中、感染拡大の防止策や政府の経済政策、海外経済の改善などにより、生産や輸出を中心に持ち直しの動きが見られました。しかしながら、足元では新型コロナウイルス感染症の収束時期が未だ見通せず、依然として先行き不透明な状況にあります。
当社グループが属するエレクトロニクス業界におきましては、在宅勤務やオンライン授業などライフスタイルが変化し、その変化に伴ってPCや通信機器、民生機器向けの需要が好調に推移いたしました。当該製品に組み込まれる半導体や電子部品の市場も拡大し、半導体製造関連機器の需要も高まりましたが、企業の設備投資については全般的に慎重な姿勢が続きました。
こうした状況の下、当連結会計年度における当社グループの売上高は、前年同期比0.6%増の289,283百万円となりました。一方、利益面では、相対的に利益率の高い商品の売上が低調であったことに加え、期中の円高進行で円ベースの売上総利益が押し下げられたことにより、営業利益は前年同期比56.8%減の1,023百万円となりました。営業外損益では、第4四半期に円安に転じたため、期末の外貨建て債務の評価損が発生し、通期で333百万円の為替差損を計上したことから、経常利益は前年同期比98.3%減の33百万円となりました。また特別損失として、投資有価証券評価損1,350百万円及び希望退職者募集に伴う特別退職金1,229百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損益は2,133百万円の純損失(前期は75百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(デバイス事業)
デバイス事業は、テレワークや巣ごもり需要の拡大を背景に、通信機器や民生機器向け半導体が伸長し、売上高は前年同期比1.0%増の242,050百万円となりました。一方、セグメント損益は、相対的に利益率の高い商品の売上が減少したことや期中の円高進行により円ベースの売上総利益が押し下げられたため、951百万円の損失(前年同期は591百万円のセグメント利益)となりました。
(システム事業)
システム事業は、電子部品の組立検査装置が好調に推移し、医用機器の売上も増加いたしました。一方、コロナ禍における企業の設備投資の鈍化やプロジェクト案件の計画遅れが発生した影響により、人工衛星向け高信頼性部品や各種センサー、レーザ加工装置の需要が減少し、売上高は前年同期比1.3%減の47,233百万円、セグメント利益は売上総利益率の改善及び販管費の節減により前年同期比11.0%増の1,983百万円となりました。
当連結会計年度末(2021年3月31日)の総資産は、前連結会計年度末(2020年3月31日)に比べ4,444百万円減少し、127,006百万円となりました。このうち、流動資産が3,813百万円減少の114,804百万円、固定資産が631百万円減少の12,202百万円となりました。
流動資産が減少した主な要因は、現金及び預金が6,084百万円増加した一方で、商品及び製品が6,504百万円、受取手形及び売掛金が3,339百万円減少したことによるものであります。固定資産が減少した主な要因は、投資有価証券が584百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,279百万円減少の81,966百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末に比べ372百万円減少の76,165百万円、固定負債は前連結会計年度末に比べ907百万円減少の5,801百万円となりました。
流動負債が減少した主な要因は、支払手形及び買掛金が4,888百万円増加した一方で、短期借入金が5,149百万円減少したことによるものであります。固定負債が減少した主な要因は、退職給付に係る負債が828百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,164百万円減少の45,040百万円となりました。これは主に利益剰余金が2,802百万円、非支配株主持分が893百万円それぞれ減少したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.7ポイント減少し、31.5%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、短期借入金の純減少額等があったものの、売上債権の減少、たな卸資産の減少及び仕入債務の増加等により、前連結会計年度末に比べ5,800百万円増加(前期比28.3%増)し、当連結会計年度末には26,274百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は15,205百万円(前年同期は309百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失が2,537百万円、特別退職金の支払額が1,214百万円あった一方で、たな卸資産の減少が6,399百万円、仕入債務の増加が5,093百万円、売上債権の減少が3,969百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は790百万円(前年同期は582百万円の支出)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入が376百万円あった一方で、定期預金の預入による支出が660百万円、有形固定資産の取得による支出が427百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は8,188百万円(前年同期は5,188百万円の収入)となりました。これは主に短期借入金の純減少額が5,739百万円、長期借入金の返済による支出が1,050百万円あったこと等によるものであります。
③新型コロナウイルス感染症の当社グループへの影響
当連結会計年度においてはコロナウイルス感染拡大による影響としましては、在宅勤務やオンライン授業の浸透による通信機器や民生機器向けの需要の増加が見られた反面、企業の設備投資需要の減少やプロジェクト案件の計画遅延が発生しました。今後も、新型コロナウイルス感染症の経済への影響が継続又は拡大した場合、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。新型コロナウイルス感染症に関するリスクは「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりですが、当該リスクが顕在化する時期や影響度を予め見積もることは困難であると認識しております。
先行き不透明な環境下ではありますが、当社グループでは、社内外関係者の感染リスクを極小化する取り組みを実施するとともに、商品ラインアップの拡充や付加価値の高い製品・サービスの開発による差別化推進、ソリューション提案力の強化などに取り組み、成長市場の需要の取り込みを進めてまいります。なお今後の事業展開における資金需要への対応と運転資金の確保及び財務基盤の安定性向上のため、2020年5月に複数の金融機関との間で総額300百万ドル相当のコミットメントライン契約を締結し、資金の流動性を確保しております。
④仕入、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
デバイス事業(百万円) |
228,536 |
100.8 |
|
システム事業(百万円) |
38,191 |
98.4 |
|
合計(百万円) |
266,727 |
100.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の仕入実績及び総仕入実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
Avago Technologies International Sales Pte.Limited |
116,552 |
43.5 |
127,773 |
47.9 |
|
Cypress Semiconductor Corporation |
25,874 |
9.7 |
28,066 |
10.5 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
デバイス事業 |
294,742 |
118.5 |
122,194 |
175.8 |
|
システム事業 |
49,613 |
106.5 |
16,664 |
116.7 |
|
合計 |
344,356 |
116.6 |
138,858 |
165.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
デバイス事業(百万円) |
242,050 |
101.0 |
|
システム事業(百万円) |
47,233 |
98.7 |
|
合計(百万円) |
289,283 |
100.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
SHENZHEN MURATA TECHNOLOGY CO.,LTD. |
75,603 |
26.3 |
69,071 |
23.9 |
|
JCET STATS CHIPPAC KOREA LTD. |
23,246 |
8.1 |
36,689 |
12.7 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要といたします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や当該事象の状況等に照らして合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の分析は以下のとおりであります。
売上高は前期に比べ1,733百万円増加の,289,283百万円となりました。これは主に、通信機器や民生機器向け半導体の増加によるものであります。
売上総利益は、相対的に利益率の高い商品の売上が低調であったことに加え、期中の円高進行で円ベースの利益が押し下げられたことにより前期に比べ2,360百万円減少し、16,217百万円となりました。売上総利益率も前期比0.9ポイント減少し、5.6%となりました。
販売費及び一般管理費は、人件費の減少や営業活動経費の節減により、前期に比べ1,014百万円減少し、15,193百万円となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費の減少はあったものの、売上総利益の減少により、前期に比べ1,346百万円減少し、1,023百万円となりました。
営業外収益は、前期の為替差益716百万円が為替差損に転じたことにより、前期に比べ798百万円減少し、160百万円となりました。営業外費用は、為替相場が第4四半期に円安に転じたことにより、期末に外貨建て債務の評価損が発生し、333百万円の為替差損を計上しましたが、前期に比べ支払利息が585百万円減少したため、172百万円減少し、1,149百万円となりました。
以上の結果、経常利益は前期に比べ1,972百万円減少し、33百万円となりました。
特別利益は、投資不動産売却益31百万円を計上したことにより、前期に比べ20百万円増加し、31百万円となりました。特別損失は、投資有価証券評価損1,350百万円及び特別退職金1,229百万を計上したため、前期に比べ1,371百万円増加し、2,603百万円となりました。
法人税、住民税及び事業税は前期に比べ42百万円減少し355百万円、法人税等調整額は前期に比べ928百万円減少し△741百万円となりました。また非支配株主に帰属する当期純利益は前期に比べ294百万円減少し、△17百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は2,133百万円の損失(前期は75百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました
ロ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの事業活動に必要な運転資金需要の主なものは、商品の仕入代金及び人件費や販売諸掛、業務委託費、旅費交通費などの販売費及び一般管理費であります。投資を目的とした資金需要は設備投資や取引先への投融資であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や設備投資、投融資に関わる資金の調達は、自己資金及び金融機関からの借入れを基本としております。
なお当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は47,474百万円となっております。また当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は26,274百万円となっております。
ハ.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、ROEを重要な経営指標と位置づけ、中期的にはROE5%以上の達成を目標とし、収益性と効率性の向上に取り組んでおります。
直近3事業年度のROEの推移は次のとおりであります。
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2019年3月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
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ROE(自己資本利益率) |
3.8% |
△0.2% |
△5.2% |
(注)ROE:親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本
(1)仕入先との販売代理店・特約店契約
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契約会社の名称 |
相手先の名称 |
契約品目 |
契約内容 |
契約発効日 |
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丸文株式会社 |
Avago Technologies International Sales Pte.Limited |
半導体及び 関連製品 |
販売代理店契約 |
2020年3月13日 |
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丸文株式会社 |
Cypress Semiconductor Corporation |
半導体及び 関連製品 |
販売代理店契約 |
2017年7月3日 |
(2)合弁会社設立に関する契約
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契約会社の名称 |
相手先の名称 |
契約内容 |
契約発効日 |
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丸文株式会社 |
Arrow Electronics, Inc. |
アジア及び北米地域における合弁会社の設立、運営 |
1998年8月27日 |
(3)重要な契約の終了
当社は、Texas Instruments Incorporatedとの間で締結しておりました販売特約店契約を2020年9月30日を以て終了いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(追加情報)をご参照ください。
特記すべき事項はありません。