文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、長期的視点に基づく「パーパス」「ビジョン」「ミッション」「バリュー」を経営の基本的な考え方として定義し、株主、取引先、社員などすべてのステークホルダーのご期待に応えるよう企業価値の向上に努めるとともに、社会に貢献することを目指しております。
<丸文パーパス>
テクノロジーで、よりよい未来の実現に貢献する
<丸文ビジョン>
独自の価値を提供するオンリーワンのエレクトロニクス商社として最も信頼される存在となる
<丸文ミッション>
「先見」と「先取」の精神のもと、人と技術とサービスで社会とお客様の課題を解決する
<丸文バリュー>
「誠実で透明な経営」「健全な経営活動の実践」「社会との調和」「環境保全への貢献」「お客様の満足の向上」「企業リスクの適切な管理」「人権の尊重」「働きやすい職場づくり」
「パーパス」は当社の存在意義、「ビジョン」は当社の目指す姿、「ミッション」は当社の日々の取り組み、「バリュー」は当社が大切にしている信条・価値観を表しています。
(2)目標とする経営指標
2022年度から3ケ年の中期経営計画「丸文 Nextage 2024」では、最終年度である2024年度に、「経常利益60億円、ROE 8.0%」以上の達成を目指しております。
(3)中長期的な経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループが属するエレクトロニクス業界は、第4次産業革命と呼ばれる技術革新の時代を迎えております。自動車のEV化、通信の高速化・大容量化などに伴う需要の増加に加え、今後はAIやIoT、ロボット、ビッグデータなどの革新的な技術があらゆる産業基盤に取り入れられる「Society5.0」に向けた動きが加速していくものと見込まれます。
このような事業環境の下、当社グループは、1844年(弘化元年)に呉服問屋として創業し、1947年(昭和22年)に現在の丸文株式会社を設立してから、2022年で設立75周年及び東京証券取引所上場25周年を迎えます。この節目に、長期的視点に基づく「パーパス・ビジョン・ミッション」を再定義しつつ、新たに2022年度から2024年度までの中期経営計画「丸文 Nextage 2024」を策定いたしました。“次のステージ(Next Stage)”で、技術革新の“新たな時代(Next Age)”に貢献できるエレクトロニクス商社となるため、実効性のある戦略施策の立案と運営(PDCA管理高度化)を通じて、「事業ポートフォリオの進化と収益力改善」を連結ベースで推し進めます。
「丸文 Nextage 2024」基本方針:
① サステナビリティ経営の推進
持続可能な成長実現に向けたESG・SDGsへの取り組みを推進し、ステークホルダーとの連携強化や課題解決型ビジネスの実践を通じ、社会的価値を追求します。
② 新たな事業領域への進出と成長基盤の構築
新市場・新領域における果敢な挑戦を通じ、新たな事業成長機会を継続的に追求します。
③ 既存事業の「選択と集中」の促進とソリューション開発強化
お客様視点でのソリューション開発を加速しつつ、既存事業の「選択と集中」を通じた競争力強化を図ります。
④ グループ経営の強化
セグメント間(デバイス、システム、ソリューション事業間)連携による付加価値と国内外グループ企業間の連携によるグローバルシナジーを実現し、成果をお客様に還元します。
⑤ 業務基盤の整備と内部プロセスの改善
業務インフラ強化や業務プロセスの改善、人材育成、働き方改革により、生産性・効率性を向上します。
各事業セグメントにおける取り組み:
当社はこれまで、デバイス事業・システム事業の2事業セグメントを基軸として経営しておりましたが、更なる長期的成長を見据えて、2022年度より新たな事業セグメントとして“ソリューション事業”を新設し、3事業セグメント体制にて経営してまいります。特に、新設するソリューション事業では、当社の豊富な商材とAI/IoT・ネットワーク技術を組み合わせ、新たな付加価値を当社独自のソリューションとしてお客様へ提供していく方針です。
① デバイス事業
イ.新規商材・新規商権の開発推進
・付加価値の高い新規商材の開発や新たな販売先の開拓に注力し、事業基盤の強化を図る
ロ.既存事業の収益性の維持・向上
・ローコストのオペレーションを徹底し、事業の生産性と効率性を改善する
② システム事業
イ.新規領域における事業規模と収益基盤の拡大
・新規市場と新規商材の開発を推進する
ロ.既存領域における競争優位性の強化
・既存の取扱領域における専門性を研ぎ澄ませ、マーケットにおけるポジションを確固たるものとする
・顧客層の水平展開と垂直深化を進め、顧客基盤を国内外に拡大させる
ハ.グループ連携の強化
・国内外グループ会社との連携を一層強化し、総合力を活かしたサービスをグローバルに提供する
③ ソリューション事業
イ.高付加価値ビジネスの開発推進
・成長市場に向けた革新的な商材や技術を継続的に発掘し事業化を推進する。また有望なベンチャー企業への投資や外部パートナーとの提携機会も模索する
ロ.新規ビジネスモデルの構築と拡大
・サブスクリプションやライセンスビジネスなどの新たなビジネスモデルを確立する
ハ.ソリューション開発力の向上とグループシナジーの創出
・デバイス事業・システム事業との連携を主導し、ネットワークとIoT技術をベースに、商品・技術・サービスを組み合わせて、丸文グループ独自のソリューションを開発し、新たな付加価値を顧客に提供する
経営基盤の強化:
・サステナビリティへの取り組みを強化するとともに、情報開示の充実に取り組む
・デジタルマーケティングとカスタマーリレーションを強化する基盤を整備する
・統合的リスクマネジメントの枠組み整備とリスクモニタリングの運用強化を推進する
・プライム市場上場会社として、コーポレート・ガバナンス体制の一層の充実を図る
・人材への投資、働きやすい職場環境の整備、ITインフラの整備に継続的に取り組む
(4)経営環境
① 企業構造
当社グループはデバイス事業、システム事業、ソリューション事業の3事業セグメントにおいて、当社を中心に機能別の事業会社によって構成されております。各事業会社は経営の基本方針に則りグループ間で連携した事業運営を行っておりますが、取り扱い商材や地域の特性に合わせ、主体的に事業管理を行い運営しております。
現在の企業体系は、業績の状況、事業運営の状況等から判断し、良好に機能していると認識しております。
② 市場環境
当社グループが属するエレクトロニクス市場は、技術の高度化に伴って応用製品が広がり、市場拡大を続けています。一方で、企業の生産活動と生活のあらゆる場面で利用されているため、景気の変動や企業の設備投資の動向に影響を受けやすく、変動の大きな市場であります。
製品・技術面では、5G通信技術やAI/IoT、ロボティクスなど新たなテクノロジーの活用が進んでおりますが、
ウクライナ情勢、米中貿易摩擦などの地政学リスクや頻発する自然災害、新型コロナウイルス感染症の流行などにより、市場の不確実性が高まってくるものと予測しております。当社グループはこうした状況下でも成長を図るため、付加価値の高い商品・サービスの開発・強化に取り組んでおります。
③ 顧客動向
当社グループは、大手電機メーカーや自動車関連メーカー、産業用機器メーカーなど多くの顧客と長年にわたり取引を継続しております。当社グループでは、これまでに培った信頼と信用を更に深化させるため、顧客密着型の営業活動と拠点展開を推進するとともに、顧客満足度調査による自社の取組み評価や改善を実施しており、全体としては顧客との良好な関係を構築できていると認識しております。
また現在は、自動車のEV化やスマートファクトリーなどの企業でのDXの取り組みなど、社会基盤の変化も進んでおります。これまでとは異なった市場・分野での顧客層が広がりをみせていることから、当社グループでは品揃えの拡充と技術サポート力の強化により顧客基盤の拡大を図っております。
④ 仕入先動向
当社グループは多くの仕入先と代理店契約を締結しております。近年は半導体メーカーの代理店政策の変更により、代理店を担うエレクトロニクス商社の数は減少傾向にあり、今後も当面は同様の傾向が続くものとみています。
当社グループはデジタルマーケティングの強化やソリューション提案力の向上に取り組み、仕入先とのパートナーシップの強化に努めるとともに、新規仕入先の開拓を行い、関係強化のために必要な場合は投融資やM&A、アライアンスを実施しております。
⑤ 競合他社動向
仕入先のM&Aや代理店政策の変更を背景に、近年は半導体商社間でも事業統合や買収など業界再編が進んでおり、業界全体の競争が激化しております。
当社グループは長年培ったサプライチェーンのノウハウや専門性の高い技術サポート力、グローバルサポート力により独自のポジションを築いていると認識していますが、他社とのさらなる差別化を図るべく、サービスと機能の拡充に取り組んでおります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業関連リスク
① 半導体の需要動向及び企業の設備動向による影響について
当社グループは半導体や電子部品、電子応用機器等の国内外のエレクトロニクス商品の仕入販売を主な事業とする商社であります。主な販売先は通信機器や産業機器、車載用電子機器、民生機器、パソコン周辺機器等を開発・製造する国内電子機器メーカーであり、顧客企業やエレクトロニクス市場全体の需要が大きく変動した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、安定的なビジネスの維持・拡大のため、販売先の拡大や付加価値の高い商品の開発拡充に取り組んでおりますが、当社の施策を以て当該リスクを完全に回避できるものではなく、市場が急変した場合には、大きな影響を受ける可能性があります。
② 技術革新・顧客ニーズへの対応について
当社グループが属するエレクトロニクス業界は、技術革新や事業環境の変化のスピードが極めて速く、顧客が当社グループに求める機能も年々、多様化・複雑化しております。
当社グループが提供する商品が陳腐化した場合や顧客ニーズへの対応遅れなどが発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また商品やサービスに不具合や欠陥が生じた場合、その補償費用や追加コストが発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、技術革新・顧客ニーズへの対応のため、商品ラインアップの拡充や技術サポート力の強化、品質管理体制の整備などに取り組んでおります。加えて、商品・サービスの不具合等による補償費用や追加コストが発生する場合に備え、保険を付保するなどリスクの移転を図り対応しておりますが、顕在化の時期や影響度を事前に予測することは困難であると認識しております。
③ 特定の仕入先への依存度が高いことについて
当社グループの主要な仕入先は、Cypress Semiconductor Corporationであります。2022年3月期における総仕入実績に対する割合は19.2%となっております。
当社グループでは各仕入先との良好な関係の維持に努めるとともに、継続的に新規仕入先や新規商材の開発に取り組んでおりますが、仕入先の代理店政策の見直しにより契約内容に変更が生じた場合や契約が解除された場合には当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクについては顕在化の時期を事前に予測することは困難でありますが、リスクが顕在化した場合、当該仕入先との取引額によっては大きな影響を受ける可能性があると認識しております。
④ 在庫の廃棄や評価の影響について
当社グループが取り扱う半導体や電子部品は、お客様からの要求納期にジャストインタイムで所要量を提供できるよう常に一定量の在庫を確保、保有しております。
当社グループでは、顧客の需要動向ならびに仕入先の供給状況の把握に努め、在庫が滞留しないよう在庫管理を徹底しておりますが、当初見込んでいた所要量に差異が生じた場合には、在庫の評価損や廃棄損が生じる可能性があります。当該リスクの顕在化に備え、当社グループは事業計画の策定に当たっては直近の在庫保有状況や回転期間に応じて一定額の引当を行っておりますが、その時期や影響額等の影響度を予め正確に見積もることは困難であると認識しております。
(2)財務関連リスク
① 為替及び金利変動の影響について
当社グループの事業では、外貨建ての輸出入取引の割合が高く、また経済のグローバル化に伴い、国内取引であっても外貨建てでの取引が経常的に発生しております。
外貨建取引において、当社グループでは、売上通貨と仕入通貨が同じ場合には為替のマリー決済を通じ、売上通貨と仕入通貨が異なる場合には為替予約を行うことで、取引形態ごとに為替変動リスクをヘッジすることを基本としております。しかしながら、為替相場が著しく変動した場合には、円建て換算での売上高や売上総利益額、棚卸資産等の評価において大きな影響を及ぼすことがあり、その結果、当グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、海外連結子会社の財務諸表を円換算する場合にも影響を及ぼします。
また当社グループは、事業運営に必要な運転資金の調達を金融機関からの借入を通じても行い、調達手段の多様化や金利スワップ取引など様々な手段を用いて金利変動等によるリスクを軽減するよう努めております。しかしながら、借入通貨の金利変動が大きい時には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
為替相場や金利の変動リスクについては、当社の施策を以て当該リスクを完全に回避できるものではなく、その時期や影響度を事前に見積もることは困難であると認識しております。
② 投融資リスクについて
当社グループは、新規商材の販売権の確保や関係強化を目的として、仕入先への出資や開発資金の貸付などの投融資を行う場合があります。投融資にあたっては、その金額に応じて取締役会などで審議した上で決定し、また投融資先の経営状態や事業の進捗などを定期的にモニタリングしております。投融資先のビジネスプランや業績が投融資時点における想定と大きく乖離し、減損処理が必要となった場合や貸付金の回収が困難になった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクの顕在化の時期や影響額を予測することは困難でありますが、顕在化した場合には各投融資先の投融資額に応じた影響を受けることになります。
③ 退職給付債務について
当社グループの退職給付費用及び年金債務は、割引率等の数理計算上で設定する前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されますが、実際の年金資産の運用利回りが低下した場合や数理計算上の前提条件に変動が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。数理計算上の差異は、年1回実施している退職給付見込額の再計算や年金資産の運用実績により発生するため、毎年度一定の影響を被ることは不可避と認識しております。
(3)基盤関連リスク
① 法的規制について
当社グループは、わが国をはじめ、事業を展開する諸外国の国家安全保障に関する規制や輸出入に関する規制、製造物責任、独占禁止、特許、環境規制など様々な法令・規制の下で事業活動を展開しております。
当社グループでは、各種法令・規制の最新情報の入手に努めるとともに、全社員へのコンプライアンス教育や関係者へのセミナー等を通じて啓蒙活動を行い、法令・規制の遵守に取り組んでおります。これらの法令・規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限され、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクの顕在化の時期や影響度については予め見積もることは困難でありますが、顕在化の可能性は現時点では高くないと認識しております。
② 優秀な人材の確保について
当社グループの競争力を維持、向上していくためには、優秀な人材の確保と育成が重要と考えております。当社グループでは新卒採用や通年での経験者採用、全社横断的な教育研修ならびにOJTによる育成、本人の能力を活かした適材適所の人材配置などを実施しておりますが、人材の確保や育成ができない場合、当社グループの将来の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクの顕在化の時期や影響度については予め見積もることは困難でありますが、顕在化の可能性は現時点では高くないと認識しております。
③ 自然災害などのリスクについて
当社の基幹コンピュータシステムは東京都内に、物流拠点は千葉県山武郡に設置し、大規模地震被災や台風などの自然災害に備え、事業継続計画を策定、BCP体制を構築し、定期的に訓練を実施するとともに、電力や通信回線などのライフラインの多重化や基幹業務システムのバックアップを確保しております。加えて、当社グループでは外部からの不正アクセスやサイバー攻撃、コンピュータウイルスの感染等に対する保全策を講じておりますが、災害や感染症などが発生した場合のリスク全てを回避することは困難であり、昨今の気候変動などに伴う災害の大規模化や感染症の拡大などにより、想定していない規模でのリスクの顕在化も考えられます。その場合には、事業活動の縮小など当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性がありますが、かかるリスクが顕在化する時期や影響度を予め見積もることは困難であると認識しております。
また新型コロナウイルス感染症に対しては、取引先ならびに当社従業員の安全確保を最優先に、在宅勤務や時差通勤の実施、電話会議やWeb会議での対応、全役員・従業員を対象にした毎朝の検温の実施やマスクの着用、自社開催セミナーの自粛など感染拡大の防止に向けた取り組みを実行しながら、取引先への安定した商品・サービスの提供の維持に努めております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の経済への影響が継続した場合、当社商品が組み込まれている最終製品の需要や設備投資の動向、取引先の減産、生産の一時停止、航空運賃の高騰などが、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクが顕在化する時期や影響度を予め見積もることは困難であると認識しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
これに伴い、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して大きく減少しております。
そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続いたものの、個人消費や生産、設備投資に持ち直しの動きが見られました。一方で、ウクライナ情勢や原材料価格の高騰、米国の金利上昇、円安の進行など注視する要因が多く、先行きの不透明感が強まりました。
当社グループが属するエレクトロニクス業界におきましては、半導体や電子部品の供給不足が続いたものの、5GやDX関連等の設備投資に支えられ、市場成長が続きました。また今後見込まれる需要の増加に呼応して、半導体・電子部品の製造装置や検査装置も伸長いたしました。
こうした状況の下、当連結会計年度における当社グループの売上高は、旺盛な生産・設備投資需要を背景に、電子部品や産業機器、レーザ機器の売上が増加した結果、167,794百万円となりました。利益面では、売上高の増加や相対的に利益率の高い商品が好調に推移したことに加え、販管費の減少により、営業利益は5,994百万円となりました。一方で、営業外損益では、第4四半期に為替相場が急速に円安に転じたことにより、外貨建て債務の支払や外貨建て借入の返済に伴う決済差損が発生し、通期で1,641百万円の為替差損を計上したことから、経常利益は4,106百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2,437百万円となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は、従来の方法に比べて146,021百万円減少しております。詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (2)その他 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(デバイス事業)
デバイス事業は、5G向けなどの通信機器向け半導体の需要が増加するとともに、既存ビジネスの商権拡大や新規仕入先商品の拡充により、産業機器向け半導体や民生機器向け電子部品で需要が伸長いたしました。また今期より本格的に取り扱いを開始したソフトウエア製品なども好調に推移した結果、売上高は117,568百万円となりました。セグメント利益は、売上総利益率の改善や販管費の減少により、3,452百万円となりました。
(システム事業)
システム事業は、企業の設備投資の改善や生産活動の回復を受け、産業機器分野では電子デバイスの組立・検査装置、レーザ機器分野では産業機器組み込み用の半導体レーザが好調に推移いたしました。また医用機器分野では、画像診断装置やPCR検査関連の需要が増加いたしました。その結果、売上高は50,225百万円、セグメント利益は2,544百万円となりました。
当連結会計年度末(2022年3月31日)の総資産は、前連結会計年度末(2021年3月31日)に比べ21,172百万円増加し、148,179百万円となりました。このうち、流動資産が22,800百万円増加の137,604百万円、固定資産が1,627百万円減少の10,575百万円となりました。
流動資産が増加した主な要因は、受取手形及び売掛金が8,727百万円、商品及び製品が3,860百万円それぞれ減少した一方で、未収入金が34,490百万円増加したことによるものであります。固定資産が減少した主な要因は、工具器具及び備品が433百万円、建物及び構築物が407百万円、投資有価証券が296百万円それぞれ減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ18,638百万円増加の100,604百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末に比べ18,580百万円増加の94,746百万円、固定負債は前連結会計年度末に比べ57百万円増加の5,858百万円となりました。
流動負債が増加した主な要因は、支払手形及び買掛金が9,176百万円減少した一方で、未払金が20,506百万円、短期借入金が6,477百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債が増加した主な要因は、退職給付に係る負債が69百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,534百万円増加の47,574百万円となりました。これは主に退職給付に係る調整累計額が296百万円減少した一方で、利益剰余金が2,377百万円、為替換算調整勘定が680百万円それぞれ増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.7%減少し、28.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、未払金の増加、短期借入金の純増加等があったものの、未収入金の増加、仕入債務の減少等により、前連結会計年度末に比べ1,580百万円減少(前年同期比6%減)し、当連結会計年度末には24,693百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は2,948百万円(前年同期は15,205百万円の収入)となりました。これは主に未払金の増加額が20,704百万円あった一方で、未収入金の増加が25,492百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は145百万円(前年同期は790百万円の支出)となりました。これは主に定期預金の預入による支出が1,108百万円あった一方で、定期預金の払戻による収入が1,240百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は391百万円(前年同期は8,188百万円の支出)となりました。これは主に非支配株主への配当金の支払額が766百万円、配当金の支払額が469百万円あった一方で、短期借入金の純増加額が1,754百万円あったこと等によるものであります。
③ 新型コロナウイルス感染症の当社グループへの影響
当連結会計年度においてはコロナウイルス感染拡大による影響としましては、在宅勤務やオンライン授業をはじめとした巣ごもり需要が一巡いたしましたが、Web会議等の浸透やクラウドサービスの広がりを受けて、データ通信やデータセンターの増強により、通信機器や民生機器向けの需要が増加いたしました。また企業の設備投資も回復の兆しが見受けられました。今後、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動への影響が継続又は拡大した場合、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。新型コロナウイルス感染症に関するリスクは「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりですが、当該リスクが顕在化する時期や影響度を予め見積もることは困難であると認識しております。
先行き不透明な環境下ではありますが、当社グループでは、社内外関係者の感染リスクを極小化する取り組みを実施するとともに、商品ラインアップの拡充や付加価値の高い製品・サービスの開発による差別化推進、ソリューション提案力の強化などに取り組み、成長市場を中心に事業活動を進めてまいります。なお今後の事業展開における資金需要への対応と運転資金の確保及び財務基盤の安定性向上のため、2020年5月に複数の金融機関との間で総額35,478百万円相当のコミットメントライン契約を締結し、資金の流動性を確保しております。
④ 仕入、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
デバイス事業(百万円) |
111,083 |
48.6 |
|
システム事業(百万円) |
41,836 |
109.5 |
|
合計(百万円) |
152,919 |
57.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の仕入実績及び総仕入実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
Avago Technologies International Sales Pte.Limited |
127,773 |
47.9 |
4,252 |
2.8 |
|
Cypress Semiconductor Corporation |
28,066 |
10.5 |
29,395 |
19.2 |
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
デバイス事業 |
169,760 |
57.6 |
86,128 |
70.5 |
|
システム事業 |
59,174 |
119.3 |
25,612 |
153.7 |
|
合計 |
228,935 |
66.5 |
111,740 |
80.5 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
デバイス事業(百万円) |
117,568 |
48.6 |
|
システム事業(百万円) |
50,225 |
106.3 |
|
合計(百万円) |
167,794 |
58.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
SHENZHEN MURATA TECHNOLOGY CO.,LTD. |
69,071 |
23.9 |
7,491 |
4.5 |
|
JCET STATS CHIPPAC KOREA LTD. |
36,689 |
12.7 |
671 |
0.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や当該事象の状況等に照らして合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の分析は以下のとおりであります。
売上高は、通信機器や民生機器向け半導体が増加した一方、「収益認識に関する会計基準」の適用により、前年同期に比べ121,489百万円減少の167,794百万円となりました。
売上総利益は、相対的に利益率の高い商品の売上が好調に推移したことにより前年同期に比べ4,034百万円増加し、20,251百万円となりました。売上総利益率も前年同期比6.5%増加し、12.1%となりました。
販売費及び一般管理費は、人件費の減少や営業活動経費の節減により、前年同期に比べ936百万円減少し、14,257百万円となりました。
営業利益は、売上高の増加による売上総利益の増加や販売費及び一般管理費の減少により、前年同期に比べ4,970百万円増加し、5,994百万円となりました。
営業外収益は、前年同期に比べ109百万円増加し、269百万円となりました。営業外費用は、第4四半期に為替相場が急速に円安に転じたことにより、外貨建て債務の支払や外貨建て借入の返済に伴う決済差損が発生し、1,641百万円の為替差損を計上したため、1,007百万円増加し、2,156百万円となりました。
以上の結果、経常利益は前年同期に比べ4,072百万円増加し、4,106百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益130百万円、投資不動産売却益135百万円を計上したことにより、前年同期に比べ234百万円増加し、266百万円となりました。特別損失は、減損損失299百万及び投資有価証券評価損217百万円を計上いたしましたが、前年同期に比べ2,078百万円減少し、524百万円となりました。
法人税、住民税及び事業税は前年同期に比べ516百万円増加し872百万円、法人税等調整額は前年同期に比べ1,054百万円増加し312百万円となりました。また非支配株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べ243百万円増加し、225百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は2,437百万円の利益(前年同期は2,133百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
ロ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの事業活動に必要な運転資金需要の主なものは、商品の仕入代金及び人件費や販売諸掛、業務委託費、旅費交通費などの販売費及び一般管理費であります。投資を目的とした資金需要は設備投資や取引先への投融資であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や設備投資、投融資に関わる資金の調達は、自己資金及び金融機関からの借入れを基本としております。
なお当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は53,927百万円となっております。また当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は24,693百万円となっております。
ハ.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、ROEを重要な経営指標と位置づけ、中期的にはROE5%以上の達成を目標とし、収益性と効率性の向上に取り組んでまいりました。
直近3事業年度のROEの推移は次のとおりであり、中期のROE目標を達成することができました。
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2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
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ROE(自己資本利益率) |
△0.2% |
△5.2% |
5.9% |
(注)ROE:親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本
(1)仕入先との販売代理店・特約店契約
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契約会社の名称 |
相手先の名称 |
契約品目 |
契約内容 |
契約発効日 |
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丸文株式会社 |
Avago Technologies International Sales Pte.Limited |
半導体及び 関連製品 |
販売代理店契約 |
2021年7月1日 |
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丸文株式会社 |
Cypress Semiconductor Corporation |
半導体及び 関連製品 |
販売代理店契約 |
2017年7月3日 |
(2)合弁会社設立に関する契約
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契約会社の名称 |
相手先の名称 |
契約内容 |
契約発効日 |
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丸文株式会社 |
Arrow Electronics, Inc. |
アジア及び北米地域における合弁会社の設立、運営 |
1998年8月27日 |
特記すべき事項はありません。