第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の方針

当社グループは、経営理念の実現に向け、常にお客様の立場で発想し、お客様と共感する商品・サービスを提供し続けるために、社員の成長を通して企業価値の向上に努め、法令遵守のもと企業の存在意義を高めていきます。

(経営理念)

 ・私達は、常にお客様に満足していただける独創的な商品を豊かに追求し提供します。

 ・私達は、社会の一員として役立つために企業活動を通じて人間性の向上に努めます。

 ・私達は、人間の持つ無限の可能性を信じ企業の永続・発展に努め、より大きな幸せの創造に貢献

します。

 

(2)経営計画

当社グループは主に二輪車を趣味とするユーザーに向けてバイクライフをより快適にする様々な商品を提供しており、社会環境や意識の変化に合わせて順調に成長を続けております。

2007年以降ワークライフバランスが提唱され、長時間労働の抑制を始めとする法令整備もあり余暇時間の増加や充実した人生を送るための趣味の充実など意識の変化も見られます。

また2020年には新型コロナウイルス感染症が発生し、密を避けるアウトドア志向が高まった結果、新規免許取得者や車両販売が大きく増加したことに伴い当社グループ商品の需要が一層加速しました。

その後約3年間続いた新型コロナウイルスへの対応は、行動制限の解除とともに正常な社会活動に向けて大きく変わりはじめ、強い追い風は落ち着き始めておりますが、ワークライフバランスを基軸とした環境変化の流れと拡大した二輪車市場は当社グループにとってプラス要因であると考えております。

このような環境の中、当社グループでは年度ごとの環境変化や中期経営計画の進捗状況を分析した上で、毎年調整を行うローリング方式で3ヵ年の中期経営計画を策定し事業活動を推進しております。

2024年度〜2026年度の中期経営計画は、コロナ特需の風が止み安定的な需要期に入った市場環境にあっても100年企業を目指し、新しい成長へのチャレンジを続けてまいりました。この結果、2024年12月期は、国内拠点卸売事業については、前期に対して増収減益であったものの、海外拠点卸売事業が大幅増収増益となり、グループ全体も増収増益で着地することができました。

2025年〜2027年の中期経営計画については、市場環境の変化と当社グループの経営戦略を織り込み策定いたしました。その概要を当社ホームページ「第53期2024年12月期決算補足説明資料」に公表いたしておりますのでご参照ください。

 

(3)目標とする経営指標

当社グループは、趣味性の高い市場を事業領域としており、お客様のニーズに対応する多くの商品を提供しています。お客様の志向は多種多様であり、このニーズに的確に対応するためには多くの新商品の投入が必要です。当社は、多様なニーズの収集や多品種の開発を適時に行うため少人数で構成する開発グループ制を採用し、また多品種小ロットの商品提供を実現するため、自社では生産設備を持たず、それぞれ商品の特性に合わせた最適なベンダーに生産を委託しています。

これにより、多くの新商品投入を実現し既存商品の販売低下率をカバーしております。したがって毎年投入する新商品による売上高構成比を重要な指標の一つとしています。

また、経営理念に掲げる独創的な商品の提供を目指し、お客様から高い支持を得られる、他社と差別化された付加価値の高い商品により利益を確保し、次の商品開発への再投資やM&Aなどの事業投資による成長を推進するため、営業利益率10%以上を目標としています。さらにM&Aなどの大きな投資による借入金の増加などに備え、自己資本比率をしっかりと確保しながら効率的に資本を活用するため自己資本利益率も重要な経営指標と捉えこの向上に努めます。

中長期的には、バイク文化の創造企業として、世界のライダーに支持されるブランドを持つグループ会社を目指すとともに、これまで培った「発想」「評価」「改善」能力を活用し、環境変化に対応した商品・サービスで社会貢献を目指します。

 

(4)会社の対応すべき課題

国内市場においてはエネルギー価格、原材料価格の高騰による事業活動コストの上昇など当社グループを取り巻く経営環境は、今後も厳しい状況で推移するものと予想されます。
 このような状況下において、当社グループは従来より重点課題としている新商品・リニューアル商品の開発強化・拡大を図り、新サービスの市場投入の強化、安全・安心なモノづくり、サステナビリティの強化、海外市場への積極的な展開、新規チャネル・新規顧客の開拓、さらには新ビジネスモデルへの取り組みを継続し、二輪事業における勝ち残りを進めながら、永続発展のため新規事業の多角的展開を継続し更なる成長を目指します。

 

① 海外市場の展開

2007年4月に設立したインドネシア子会社では、スタッフを増員し販路開拓や新商品の投入スピードを早めるなど精力的に事業遂行した結果、業績は右肩上がりで順調に推移してまいりました。

また、これまで対処すべき課題として認識していた、物量増大に伴う倉庫スペース不足や業務処理能力不足については、物流業務の外部委託をもって対処いたしました。

一方で、同社の業績拡大に伴い、当社グループにおける事業上の重要性が高まったことから、ガバナンス体制や内部統制など管理面における体制強化が必要になってまいりました。

また、2024年2月に設立したフィリピンの子会社については、現地における営業許認可や事業スキーム構築に時間を要しましたが、その目途も立ち、現在は販路開拓に邁進しております。インドネシアでの商材がそのまま流用できることから、販路拡大に伴い売上も増加してくるものと想定しており、当面は販路開拓・拡大が重要課題と捉えております。

 

② 国内市場における商品力、ブランド力の強化

当社グループの主体である国内二輪車用品市場においては、ユーザー支持率No.1ブランドの確立が最も重要な施策です。

人口減少とともに市場規模の逓減傾向が予想される中で、当社が永続発展するためには一層のシェア拡大が必須であり、No.1ブランドとして定着することが不可欠であります。

新商品開発や既存品改良に対してこれまで以上に経営資源を投下し、より魅力ある商品を市場へ投入してまいります。

また、営業活動においてはオンラインの活用、ユーザーに向けては動画による商品訴求の充実、SNSによる情報発信、ユーザーコミュニティサイト運営によるコミュニケーション強化など、ユーザー支持率No.1に向けた効果的な活動を推進してまいります。

 

③ 新規事業投資と事業化の推進

国内の人口減少に伴う二輪車関連需要の縮小に備え、既存事業に次ぐ収益の柱となる事業を確立するため、2022年7月に新規事業部を設置しました(2025年1月より呼称変更と一部改組)。中期では売上構成比の12%程度、将来的には当社の売上構成比の25%程度を二輪車アフターパーツ以外で構成できるよう投資をしてまいります。

特機事業、リユース事業等の新規事業の強化に加え、M&Aによる新たな事業への参入も積極的に推進してまいります。

 

④ 持続可能な社会の実現に向けた取り組み

近年、ESG・サステナビリティといった社会課題に対する注目が高まっており、中長期的な企業価値向上のためには業績の拡大のみならず、これらの社会課題への取り組みが一層重要になると考えております。将来にわたり二輪車を楽しめる豊かな自然環境や社会の実現は当社の永続発展にも資する重要な取り組みです。

今後もコーポレートガバナンス・コードやSDGsを指針に社会貢献に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

  当社グループは、サステナビリティ全般に関する課題を重要なテーマと捉え、中長期的な企業価値向上のためには業績拡大のみならず、これらの社会問題への取り組みが一層重要になると考えております。

 当社グループのサステナビリティの基本方針は、以下のとおりです。

 ①地球環境

   太陽光発電・リユース・リサイクル等の実施により脱炭素化を進め、環境負荷の最小化に努めます。

 ②従業員

  働く者一人ひとりの健康と安全が成長の源であり、人権を尊重し多様性を認めて、公正な立場での活躍の機会と成長のチャンスを提供します。

 ③お客様

   経営理念に則り、期待に応える独創的かつ高品質な製品とサービスを開発・提供します。

 ④取引先

   共存共栄の実現を目指して、関連する諸法令を遵守のうえ自由かつ公正な取引を行います。

 ⑤株主(含投資家)

   正確かつ公正な情報開示を行い、長期的かつ安定的な成長を通じて企業価値の向上を目指します。

 ⑥地域社会

   地域社会の一員として地域の活性化と調和に努めます。

  当社グループは、事業活動を通じて社会の持続可能な発展に貢献することが、当社グループに期待されているサステナビリティ(持続可能性への取組み)と考えています。

詳細は以下当社HPに掲載しております。

https://corporate.daytona.co.jp/sustainability/management/policy.html

 

ガバナンス

当社グループにおけるサステナビリティ推進体制は、さまざまな社会課題解決に対する企業への期待・要請に適宜・適切に対応するべく、実効性のある推進体制を構築しています。

また、サステナビリティ関連も含めた当社のリスク管理は、当社のリスクマネジメント規程の下、適宜・適切に管理・対応しております。

 

戦略

 人的投資につきまして、企業事業の継続および持続的な成長を実現するため、新規事業領域における人材確保を積極的に行うとともに、次世代幹部育成のための中堅若手社員への教育等において、外部専門家の活用を行っております。

 再生可能エネルギーの活用に関しましては、2032年以降「本社電力オフグリッド」による自社の太陽光発電施設からの電力で、本社電力を賄っていきます。

 

リスク管理

当社では、社長を委員長とする「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を設置し、事業リスクの低減と倫理・遵法、環境、人命・地域の安全確保、品質問題など社会的に大きな影響を与えるリスクの根絶を目指し、リスクの早期発見とその対策に取り組んでいます。

気候変動に関連する重要なリスクなどについては、全社リスクマネジメント管理のプロセスと同様に、リスクマネジメント委員会がサステナビリティ委員会と経営会議による分析を経て、その影響度や管理状況について適宜取締役会への報告を行っています。

 

指標及び目標

当社グループは、SDGs(持続可能な開発目標)につきまして、具体的には「自社太陽光発電設備から環境への取り組み」「脱炭素エネルギー・化石燃料の代替燃料として水素生成装置開発の取り組み」「バイクライダーのマナー向上やライダーが集える場所の提供を目的に、各市町村の観光商会とのパートナー協定の推進」等について取り組んでおります。

また、当社グループは、「再エネ100宣言RE Action(アールイー・アクション)」を実現すべく、2021年11月に気候変動テックで脱炭素社会に貢献する非化石証書仲介業者と連携いたしました。現在もデイトナ太陽光発電所の発電電力をトラッキングされたFIT非化石証書をe-dash社より購入し、当社グループで使用される電力の脱炭素化を実現しております。

2024年度は前年に引き続き、当社グループ企業の使用電力は、再生可能エネルギー100%を実現しました。2032年にFIT(再生可能エネルギーの普及を目的とした固定価格買取制度)が終了するデイトナ本社の太陽光発電設備を継続運用することにより、「本社電力オフグリッド」を目指し、脱炭素社会に貢献します。今後もコーポレート・ガバナンスコードやSDGsを指針に社会貢献に取り組んでまいります。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標

当社は従業員に対して、男性・女性関係なく社会の中で生き生きと活躍できるように様々な取り組みを行っています。

「社会の一員、そして仕事のプロフェッショナルとして真の人材となる教育、訓練の実施」を教育方針に掲げ、①次世代育成研修、②リーダー研修、③プレゼンテーション研修、④インナーブランディング研修を実施しております。

また、雇用制度においては、すべての従業員に対し、公正な立場での活躍の機会と成長のチャンスを提供しており、子育て女性・男性への育休制度、育休後のグループ内サポート、時短勤務制度、時差出勤制度、リモート勤務制度、デイトナ人事制度、FA制度、ブーメラン制度、セカンドキャリア制度、イノベーション研修(新規事業創出)、ならびに早朝英会話教室等を実施しております。

また、当社グループでは、グループ会社間(海外子会社)と短期間研修を行っております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、ここで記載する内容は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1) 天候による影響 

当社グループ商品は、バイクライダーが早春から初冬のシーズン中にレジャー・ツーリング等で利用されるものが多く、シーズン最盛期の降雨等の天候不順や異常気象等により売上高が減少し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)為替の変動による影響

国内卸売事業およびアジア拠点卸売事業における外貨建て取引は外国為替相場の変動リスクがあります。主要な取引は必要に応じて為替予約などのリスクヘッジをいたしますが、完全に回避することができず、急激な為替変動により業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(3)減損会計を適用した場合のリスクについて

当社グループは固定資産を保有しておりますが、この中で地価の下落やこれらの資産を利用した事業の収益性に低下があった場合、減損会計に基づき損失として計上することが必要となり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 (4)個人情報について

当社グループは、二輪車部品・用品のインターネット販売を行っており、多くの個人情報を保有しております。当社は、「個人情報の保護に関する法律」を遵守し、厳格な個人情報の管理の徹底を図っております。しかしながら、これら個人情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜、事故対応による多額の経費発生等により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

(5)感染症について

  現在、新型コロナウイルス感染症は、2023年5月より「5類感染症」に分類され、行動制限が解除されました。当社グループにおきましても、行動制限時には衛生管理の徹底や感染者数の多い地域への出張者に対しては在宅勤務の期間を設けてから出社するよう感染防止対策を実施しておりましたが、現在は当該規制も解除しております。

 今後も新型コロナに関わらず、各種感染症等により出荷・荷受関係者に感染が広がった場合には、商品出荷業務の遅延による販売機会損失が発生し、売上高の減少が一定期間続く可能性があります。

 また、海外での感染症の流行により、海外商品において調達先国の工場稼働の停止や原材料の供給不足による製造遅延、船便のコンテナ不足による配送遅延やそれに伴う輸送コストの上昇懸念等で当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。

(6)棚卸資産の評価について

棚卸資産は、一定期間の販売状況、在庫回転期間などに基づき、四半期ごとに適切な評価を行っておりますが、急激な市場の変化により商品需要が経営者のコントロール不能な要因によって大きく変動した場合、保有している商品に滞留が生じます。その結果、過剰在庫の評価方針が実態と乖離した場合、棚卸資産の評価が下がり商品評価損の増大で利益が減少するリスクがあります。

 (7)のれんの減損

 当社では2017年10月に取得した関係会社株式について、のれん6億50百万円を10年間で償却を進めております。現在、7年経過しのれんの残高は1億95百万円となっております。今後の子会社の業績の動向により、取得時に策定した事業計画を下回った場合にはのれんの残高が減損処理となるリスクがあります。

 (8)自然災害に関するリスク

当社グループの国内拠点卸売事業の事務所兼倉庫等の物流拠点は、静岡県と愛知県にあります。地震や風水害等の自然災害により当社グループの事業継続計画(BCP)の想定を超える被害が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を受ける恐れがあります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1)業績の概要

 ① 経営成績等の概要

当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化とともに企業業績は総じて改善傾向にあるものの、不安定な海外情勢や円安に伴う原材料価格、エネルギー価格の高止まり等による景気後退への懸念や消費者の節約志向の高まりなど、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

国内の二輪車業界では、2024年の二輪車販売台数は前年を下回りコロナ前の水準に戻りつつありますが、二輪車保有台数は原付一種を除き増加傾向が続いております。車両メーカー各社は、カーボンニュートラルへの対応や新基準原付の市場投入に注力する一方で、市場活性化に向けて、豊かで快適なバイクライフを提供するイベントやミーティング開催などの活動を強化しております。

このような状況のもと、当社グループは中期経営計画のテーマとして掲げる「変革と成長」の実現に向け、主要事業である国内拠点卸売事業においては、お客様支持率の向上を目指した新商品、リニューアル商品の投入。アジア拠点卸売事業においては、急成長を続けるインドネシア拠点の物流機能、管理機能の強化、新たにフィリピンへの拠点設立などの投資。小売事業においては、バイクライダーのサービス拠点として機能強化に努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の連結売上高は145億78百万円(前期比4.4%増)、営業利益は17億14百万円(前期比1.0%増)、経常利益は17億43百万円(前期比0.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は12億8百万円(前期比2.3%増)となりました。また、連結における自己資本比率は78.0%、自己資本当期純利益率については15.0%となりました。

 

    [国内拠点卸売事業]

  国内拠点卸売事業は、第1四半期は流通各社の在庫調整等の影響により前連結会計年度比で減収となりましたが、第2四半期以降は流通各社の在庫調整の落ち着き、新商品投入などにより回復傾向での推移となりました。

 商品ジャンル別には、当期の重点ジャンルとしているライディングウェアや補修消耗品のバッテリー、ブレーキパッド、ならびにボディーカバーなどが前連結会計年度を上回った一方で、初期需要が一巡したインカム、ドライブレコーダー等の電装品が減少し、全体では前連結会計年度を僅かに上回る売上となりました。

 また、2022年より販売を開始した小型発電機は、販売チャネルの開拓と発電容量のラインアップ追加等により好調に推移いたしました。

 利益面では、一昨年から価格改定による利益率の改善を進めてまいりましたが、原材料価格の高騰や円安継続に伴う輸入商材の原価高により、利益率は前連結会計年度を下回りました。

 この結果、国内拠点卸売事業の売上高は104億3百万円(前期比0.4%増)、セグメント利益は10億81百万円(前期比14.3%減)となりました。

 

    [アジア拠点卸売事業]

アジア拠点卸売事業は、インドネシア子会社においては販路拡大と共にデイトナブランドの認知度向上がいっそう進み、現地のスクータータイプ二輪車向けの部品・用品販売が好調に推移しました。一方で自社倉庫の入出庫など物流機能の処理能力が限界となり、外部への物流機能の委託、システムの刷新など、管理機能の増強を進めました。

2024年2月に設立したフィリピン子会社については、輸入ライセンスを取得するまでの間、販売に向けた内部体制や取引先開拓などを重点活動として進めてまいりました。

なお、現在フィリピン子会社は営業活動を開始しておりますが、同社の決算期が9月のため、連結財務諸表への売上高計上は来期からとなります。

この結果、売上高は16億87百万円(前期比66.4%増)、セグメント利益は4億14百万円(前期比64.7%増)となりました。

 

    [小売事業]

小売事業では、コロナ後の趣味の分散、夏季における猛暑期間の長期化などにより来店客数は前期比で減少となりました。また、物価高騰の影響による高価格帯商品の販売鈍化なども見られました。一方で、車検、整備などのPIT作業ニーズが拡大しており、預かり車両の保管設備の新設などサービス充実に向けた体制作りを強化したことにより、当該分野の売上・利益は増加傾向となりました。

この結果、売上高は22億69百万円(前期比1.6%減)、セグメント利益は1億20百万円(前期比15.6%増)となりました。

 

 [その他]

その他事業の太陽光発電事業では、昨年に比べ日照時間がやや短かったことから、売電収入は前連結会計年度をやや下回ったものの、費用支出が減ったことから、利益面は前連結会計年度を上回りました。リユース販売事業では、利益率向上の方針の基、商品調達ルートの開拓や価格政策の見直し、ならびに業務効率化を図ったことにより、売上高は前連結会計年度を下回りましたが、利益面では前連結会計年度を上回りました。  

この結果、その他事業における売上高は3億13百万円(前期比19.5%減)、セグメント利益は54百万円(前期比62.2%増)となりました。

 

② 財政状態の分析

(流動資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べ7.8%増加し、84億36百万円となりました。これは、棚卸資産が1億79百万円減少しましたが、現金及び預金が6億14百万円増加したことなどによります。

 

  (固定資産)

固定資産は、前連結会計年度末に比べ0.4%減少し、24億95百万円となりました。これは、有形固定資産が67百万円増加しましたが、無形固定資産が75百万円減少したことなどによります。この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ5億99百万円増加し、109億31百万円となりました。

 

  (流動負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ12.3%減少し、20億9百万円となりました。これは、短期借入金が1億50百万円、1年内返済予定の長期借入金が37百万円減少したことなどによります。

 

  (固定負債)

固定負債は、前連結会計年度末に比べ24.5%減少し、2億89百万円となりました。これは、長期借入金が97百万円減少したことなどによります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ3億76百万円減少し、22億98百万円となりました。

 

  (純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ12.7%増加し、86億32百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ5億97百万円増加21億8百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュフロー)

法人税等の支払額による支出が5億43百万円となりましたが、税金等調整前当期純利益が17億42百万円、減価償却費の計上が1億62百万円となったことにより、当連結会計年度における営業活動により得られた資金は14億25百万円(前連結会計年度に得られた資金は12億24百万円)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュフロー)

有形固定資産の取得による支出が1億94百万円、無形固定資産の取得による支出が45百万円となったことにより当連結会計年度における投資活動により使用された資金は2億52百万円(前連結会計年度に使用された資金は1億64百万円)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュフロー)

長期借入れによる収入が1億円となりましたが、長期借入金の返済による支出が2億35百万円、配当金の支払額が2億86百万円となったことにより、当連結会計年度における財務活動により使用された資金は5億76百万円(前連結会計年度に使用された資金は4億86百万円)となりました。

 

(仕入及び販売の状況)

(1)仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(千円)

前連結会計年度増減率
(%)

国内拠点卸売事業

6,909,178

△0.8

アジア拠点卸売事業

1,198,559

77.6

小売事業

923,059

△15.5

合計

9,030,797

3.4

 

 (注) セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

 

(2) 販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前連結会計年度増減率
(%)

国内拠点卸売事業

10,307,209

0.5

アジア拠点卸売事業

1,687,601

66.4

小売事業

2,269,340

△1.6

その他

313,916

△19.5

合計

14,578,068

4.4

 

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な販売先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

アマゾンジャパン合同会社

2,342,486

16.8

2,324,256

16.0

株式会社山城

2,035,717

14.6

2,118,351

14.6

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討の内容

当社グループでは、中期経営計画について毎年市場環境の変化等を取り込み調整するローリング方式により推進しております。2024年度は、国内市場においては、2022年度をピークとする新型コロナによる特需が落ち着く中、お客様支持率の向上による市場シェア拡大や買い替え需要の取り込みを重要施策として、新商品やリニューアル商品の投入、またユーザーのバイクライフの充実を支援するユーザーコミュニティサイトの運営やSNSによる情報発信を推進いたしました。この結果、売上高は前年並みを確保いたしましたが、利益面では円安等によるコスト上昇もあり減益となりました。海外市場では、アジア拠点の子会社において取り扱い店の開拓や新商品投入、SNSを中心とした販売促進などにより、前年を大きく上回る成長が継続いたしました。この結果、連結売上高は前期比4.4%増の145億78百万円、利益面では国内市場の利益減少をアジア拠点が補完する形となり、営業利益は前期比1.0%増の17億14百万円となりました。
 自己資本利益率は15.0%となり前期の16.6%からは減少となりましたが、目安としている8%以上を達成しております。

連結財政状態では、事業投資やM&Aに備えて重視している自己資本比率は78.0%となり、前期の73.2%から4.8ポイント上昇いたしました。1株当たり純資産は、3,592円87銭となり、前期末の3,193円10銭から向上しております。株価純資産倍率については、利益の積み上げによる純資産の増加がありましたが、期末株価が2023年期末の3,000円に対し2024年期末は3,630円となったことで1.01倍となりました。株価純資産倍率が1倍程度である要因について分解し分析した結果、株価収益率が7.1倍程度であり、前期末の6.0倍からは若干の改善がみられるものの東証上場企業の平均値からは乖離が大きいところです。当社および当社業界の認知度や将来の成長への期待値が低いことが大きな要因の一つであると思われることから、当社の理解を深めるためのIR活動に力を入れることとし、自社ホームページのコーポレートサイトのリニューアル、決算発表後の補足資料の提供、個人投資家向け説明会の開催など、引き続き理解を深める活動を継続し、また業績面では中期経営計画の成長施策の実現により成長期待値の向上に努めてまいります。
 その他、当社単体において重視している新商品投入について、2024年度は代替品を除く新商品1,184点(前期759点)を投入し当社売上高全体に占める構成比は7.2%(前期5.8%)となり前期を上回りました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a) キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)業績の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(b) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要の主なものは、商品および資材のほか販売費及び一般管理費などの運転資金、有形・無形固定資産などの購入による設備投資資金であります。

当社グループは、運転資金につきましては自己資金および金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資につきましては自己資金および金融機関からの長期借入金を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債の残高は10億41百万円であります。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は21億8百万円となっております。

 

項   目

2020年

2021年

2022年

2023年

2024年

 自己資本比率

57.0%

65.7%

69.0%

73.2%

78.0%

 時価ベースの自己資本比率

66.2%

89.9%

85.9%

68.8%

78.8%

 キャッシュ・フロー対有利子負債

1.1年

1.7年

―年

1.0年

0.7年

 インタレスト・カバレッジ・レシオ

108.8倍

70.6倍

―倍

130.7倍

181.5倍

 

(注) 1. いずれも連結ベースの財政数値により計算しております。

 2. キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを利用しております。
3. 有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としてお

      ります。

 4. 2022年度12月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会社上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発活動は、国内拠点卸売事業及びアジア拠点卸売事業において行われており、主に顧客ニーズの変化に対応し、快適さや便利さなど、品質・機能・価格のバランスに優れた新商品開発と既存商品の改良をするための研究開発活動を行っております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は74百万円であり内50百万円は国内拠点卸売事業、23百万円はアジア拠点卸売事業であります。

セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。

〔国内拠点卸売事業〕

フェンダーレスキット、ドライブレコーダーの開発、バイクガレージのオプション品の充実、ライディングジャケット、ツーリンググッズ等の既存商品のリニューアル等を行っております。

 

〔アジア拠点卸売事業〕

消耗部品、電装部品、マフラー等の開発を行っております。