当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は「最新最適な医療機器を通じて健康社会の実現に貢献する」ことを経営理念として掲げております。最新最適な医療機器とは、最先端の技術により優れた治療効果が得られる医療機器であるということだけでなく、同時に、患者様の身体的な負担の軽減、あるいは、医療従事者が抱えている医療現場の様々な課題の解決という側面も非常に重要であると考えております。当社は、商社とメーカーという2つの機能を併せ持つ、業界内でもユニークなビジネスモデルを確立しております。このビジネスモデルをさらに強化することで、真に価値のある医療機器をタイムリーに医療現場に提供し続けることが可能となり、健康社会の実現に貢献することができると考えております。
(2)経営環境
日本では高齢化の進行や生活習慣の変化に伴い、循環器疾患をはじめとする様々な疾患に係る医療費が年々増加しております。政府はこのような状況に対して、医療費抑制政策を進めており、医療機器の公定価格である保険償還価格は定期的な改定により引下げられる傾向にあります。
こうしたなか、競合他社は、価格下落への対応や市場シェアの拡大を図るために、従来の医療機器に比べて治療の効果や効率に優れた新規性の高い製品の導入に注力しており、製品開発や販売権獲得の競争が激化しております。また、それらの有望な製品の獲得や新領域への参入を目的としたM&A等も活発に行われております。
(3)経営戦略及び対処すべき課題
① 中期経営計画への取り組み
当社が2020年11月に公表した中期経営計画は、事業ポートフォリオの大幅な見直し等のビジネスの変革により実績と計画の乖離が大きくなっていたことから、これを取り下げ、2023年5月に2024年3月期から2028年3月期まで5ヵ年の新中期経営計画を策定しました。新中期経営計画では、以下の5つの数値目標を設定しております。
(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
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売上高 |
新領域*売上高 80億円 (2028年3月期) |
営業利益率 20%水準 (毎期) |
EPS 120円 (2028年3月期) |
ROIC 12% (2028年3月期) |
*脳血管領域と消化器領域
これらの数値目標を達成するために、次の3点を重点課題として取り組んでまいります。
1.新領域の拡大
当社はこれまで心臓血管領域に特化して事業活動を行ってきましたが、市場環境の変化等に対応して中長期の成長を実現するために、新たに脳血管及び消化器領域に参入いたしました。これらの領域は今後の市場成長が期待でき、また、当社が心臓血管領域で得た知見や培ってきた技術を活かすことができます。成長ドライバーとして位置付けているこれらの新領域の事業計画を着実に達成していくことが中期の数値目標達成のために重要です。
脳血管領域においては、2022年8月にWallaby Medical社と脳血管内治療デバイス11品目の日本国内における独占販売契約を締結しており、この中には新規性が高いデバイスも含まれています。これらを上市することで国内トップクラスの商品ラインナップとなりますので、着実に市場へ導入することで脳血管領域におけるプレゼンスを確立してまいります。
消化器領域では、2017年に自社製品である大腸用ステントの発売以降、心臓血管領域で培ってきた高機能シャフト、ステント及び高周波焼灼等の技術を基に複数の製品を上市しており、当事業年度は新たに胆膵分野の製品の販売を開始しました。消化器領域では引き続き自社技術を活かした製品開発を行い、当社ブランドの浸透を図ってまいります。
2.競争力のある製品の継続的導入
当社を取り巻く事業環境は、2年ごとに実施される保険償還価格改定に伴う製品単価の継続的な下落や競合他社との競争の激化、特に当社のオンリーワン製品の競合品の発売により、より厳しい状況になることが見込まれます。このような状況に対し、当社が併せ持つ商社機能とメーカー機能のそれぞれの強みを活かすことで、競争力のある製品を導入するとともにプロダクト・ポートフォリオの強化に取り組んでまいります。
商社としては、これまでに心臓血管領域において多くの最新の医療機器を国内に導入してきた実績があります。新規性の高い医療機器は、治療の低侵襲化や新たな治療方法の提供にも繋がり、患者様にとっても大きなベネフィットがありますので、引き続き新商品の探索に取り組み、国内の医療現場に迅速に導入してまいります。
メーカーとしては、医療現場のニーズを的確に捉えた開発を行うことで、心腔内除細動カテーテルやオープンステントグラフトのようなオンリーワン製品を市場に導入してまいりました。また、後発品であってもスティーラブルシースのように、医療現場の声を反映し操作性を向上させたことで高い評価を得ている製品もあります。自社製品は仕入商品に比べて利益面の貢献度が高いことから、当社が優位性を持つ技術を活かして新製品の開発を行ってまいります。
3.資本効率を意識した経営の強化
当社は、商品の販売権確保や仕入先との関係強化のために取引先に対する投融資を行うとともに、自社製品の研究開発や生産能力強化のために工場や設備等に積極的に投資を行ってきました。これまで以上に投資対効果を重視しながら、今後も商品パイプラインの確保や自社製品の開発・製造等、将来的な成長に必要となる投資を積極的に行ってまいります。
事業環境の変化への対応や業務プロセスの効率化を目的として基幹システムの刷新を進めるほか、デジタルマーケティングに取り組む等、事業基盤の強化・効率化にも努めております。
このような成長投資を行ったうえで余剰となる資金については、過剰に内部留保を積み上げることなく、配当及び自己株式の取得を実施することで、中期経営計画の期間中において、総額250億円程度を株主のみなさまに還元できると見込んでおります。
② サステナビリティへの取り組み
当社ではサステナビリティへの取り組みについても対処すべき課題と認識しております。
詳細につきましては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。
(1)サステナビリティ
「最新最適な医療機器を通じて健康社会の実現に貢献する」という当社の経営理念には、医療機器を取り扱う企業として、患者様や医療従事者に優れた医療機器を提供するという経済的な価値だけでなく、健康社会の実現という社会的な価値も同時に追求していくという思いが込められております。
患者様、医療従事者、従業員、取引先、地域社会、株主・投資家等、様々なステークホルダーの皆様の期待に応え、サステナビリティの取り組みを強化することで中長期にわたる持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

ガバナンス
当社は、サステナビリティへの取り組みを重要な経営課題として位置付けており、サステナビリティに関する全社方針等の重要事項については取締役会及び代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会において審議・決定しております。
サステナビリティ委員会は、業務執行取締役により構成され、サステナビリティに関する会社全体の活動の取りまとめと推進を行っております。同委員会は、マテリアリティごとに設置されている7つの分科会より四半期ごとに具体的な活動報告を受けることで目標達成に向けた進捗状況をモニタリングし、各分科会に対して必要な指示を行っております。
戦略
当社は様々な社会課題を「当社にとっての重要性」と「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの視点から評価、優先順位付けし、取締役会において7つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。特定したマテリアリティは、以下の指標及び目標をご覧ください。
それぞれのマテリアリティにおいて2030年をターゲットにしたありたい姿を定め、そのありたい姿を実現するために中期目標(2025年3月期)を設定しております。
リスク管理
当社は、リスクマネジメント委員会が中心となって全社的なリスク評価や対応策の検討を実施しております。マテリアリティと関連するリスクについては、各分科会が主管部門と連携して影響度及び発生可能性の観点から定期的にリスク評価を見直し、その優先順位に応じて対応を行っております。
指標及び目標
当社は、マテリアリティごとの中期目標の達成に向けて、その進捗状況を把握・管理するためKPI(Key Performance Indicator)を設定しています。設定したKPIをモニタリングし、取り組みの有効性を検証しながら、必要に応じて新たな対策を講じます。KPIの進捗や取り組み内容については、サステナビリティ委員会に状況報告を行います。各マテリアリティとKPIは下記の通りです。
<マテリアリティとKPI一覧>
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マテリアリティ |
KPI |
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革新的な医療機器による医療課題の解決 |
● 研究開発費 ● 特許の出願件数 ● 知財発信の新領域の模索 ● ユーザーフレンドリーな自社製品/仕入商品の導入 ● 独自技術の他領域への応用・展開 |
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環境負荷の低減 |
● 環境方針策定と推進体制整備 ● CO₂排出量 ● 産業廃棄物のリサイクル率 |
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従業員が安心して働ける職場づくり |
● ワークライフバランス改善に向けた現状把握及び施策の 検討・実施 ● 女性管理職比率 ● 人権リスクの低減に向けた取り組みの強化 |
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人材の育成と活躍機会の提供 |
● 人材方針策定及び人材開発推進体制の構築 ● 従業員満足度の把握と向上 ● 一人当たり教育研修費 |
|
製品の品質と安定供給 |
● グローバルな規制要求事項への対応(MDSAP取得) ● 自社製品の品質維持・向上 ● 生産ライン複線化の推進 ● 重要部材・外注加工委託の複線化・内製化 |
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コーポレート・ガバナンスの強化 |
● コーポレートガバナンス・コードへの対応 ● リスクマネジメントの推進 ● 情報セキュリティ対策の強化 |
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コンプライアンスの推進 |
● コンプライアンス体制の強化 ● 内部通報制度の理解向上に向けた取り組みの推進 |
毎期のKPIの進捗状況は当社ウェブサイトにて開示しておりますのでご確認ください。
(https://www.jll.co.jp/sustainability/sustainability_management.html)
(2)気候変動
ガバナンス
当社は、気候変動への取り組みを重要な経営課題として位置付けており、気候変動に関連する全社方針等の重要事項については取締役会及びサステナビリティ委員会において審議・決定しております。
サステナビリティ委員会は、気候変動に関する具体的な取り組みを推進する環境分科会より四半期ごとに具体的な活動報告を受けることで目標達成に向けた進捗状況をモニタリングし、分科会に対して必要な指示を行っております。
戦略
環境分科会において時間的視点、発生可能性及び影響範囲を踏まえて、当社事業に対する財務的影響をシナリオ分析し、リスクと機会を特定しています。主なリスクと機会は下記の通りです。
<主なリスク>
|
移行リスク (市場) |
消費者行動の変化 ・低炭素関連製品の市場拡大に対応できず、売上・利益が減少する。 ・取引先からの気候変動対応要請に応えられず、売上・利益が減少する。 |
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物理的リスク (急性) |
サイクロンや洪水などの異常気象の重大性と頻度の上昇 ・台風や洪水等の被災により開発・製造停止が発生し、売上・利益が減少する。 ・台風や洪水等の被災により製品供給の物流機能が断絶し、売上・利益が減少する。 |
<主な機会>
|
資源の効率 |
効率的な輸送手段の利用/効率的な生産・流通プロセス ・効率的な配送形態(共同配送など)により、配送費用が減少する。 ・製造プロセスの集約により、製造費用が減少する。 |
|
製品・サービス |
低炭素商品/サービスの開発、拡大と消費者の好みの変化 ・低炭素関連商品の市場拡大により売上・利益が増加する。 ・取引先からの気候変動対応要請に応えることで売上・利益が増加する。 |
気候変動によるリスクと機会のシナリオ分析の詳細は当社ウェブサイトにて開示しておりますのでご確認ください。
(https://www.jll.co.jp/sustainability/environment.html)
リスク管理
気候変動のリスクに関しては、環境分科会が中心となり、時間的視点、発生可能性及び影響範囲の観点から定期的にリスク評価を見直し、その優先度に応じて対応を行っております。サステナビリティ委員会は、環境分科会から四半期ごとに報告を受けることで、リスク管理の状況確認を行っております。
指標及び目標
マテリアリティである「環境負荷の低減」に関して「CO₂排出量」をKPIとして進捗管理を行っております。目標と過去3年間の「CO₂排出量」の推移は下記の通りです。
<CO₂排出量削減目標>
|
2030年CO₂排出量50%削減(2021年3月期比) ※グローバルScope1、2排出量(※1)を対象 |
<CO₂排出量実績(グローバルScope1、2排出量対象)> 単位:t- CO₂
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2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
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CO₂排出量実績 (グローバルScope1、2排出量対象) |
6,950 |
6,720 |
6,612 |
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基準年度比較 |
- |
△3.3% |
△4.9% |
CO₂排出量(グローバルScope1、2排出量対象)の詳細は当社ウェブサイトにて開示しておりますのでご確認ください。
(https://www.jll.co.jp/sustainability/environment.html)
なお、現在Scope3排出量(※2)の把握を進めており、算出が完了次第開示いたします。
(※1)Scope1、2排出量:自社の事業を通じて直接的・間接的に排出される温室効果ガス排出量
(※2)Scope3排出量:自社のサプライチェーン全体から間接的に排出される温室効果ガス排出量
(3)人的資本・多様性
ガバナンス
当社は、人的資本・多様性への取り組みを重要な経営課題として位置付けており、人的資本・多様性に関連する全社方針等の重要事項については取締役会及びサステナビリティ委員会において審議・決定しております。
サステナビリティ委員会は、人的資本・多様性に関する具体的な取り組みを推進する人材・多様性分科会より四半期ごとに具体的な活動報告を受けることで目標達成に向けた進捗状況をモニタリングし、分科会に対して必要な指示を行っております。
戦略
当社は、従業員は事業活動を支える大切な経営基盤であり、それぞれが多様性を活かしながら働くことのできる環境を整えることが会社の持続的成長のために重要だと考えております。このことは、当社のマテリアリティである「従業員が安心して働ける職場づくり」における取り組みにおいて、社内環境の整備等を図ることで実現してまいります。
また、当社は会社の競争優位性を生み出す源泉である従業員が新たな挑戦を通じて成長することによって企業価値の向上が実現できると考えております。これは、「人材の育成と活躍機会の提供」というマテリアリティにおける取り組みにおいて、人材育成の方針に則り、従業員それぞれがやりがいをもって働くことができる環境を整えていくことで実現してまいります。
それぞれのマテリアリティに関連する方針と2023年3月期の主な取り組みは下記の通りです。
① マテリアリティ「従業員が安心して働ける職場づくり」
<社内環境整備の方針>
当社は人種・信条・性別・国籍・身分・年齢・心身の障害・学歴等による差別を排除し、多様な価値観、働き方を尊重してそれぞれの個性や能力が発揮できるように相互に協力して働きます。また相手の尊厳を傷つけるような嫌がらせ(セクシャル・ハラスメント、パワー・ハラスメント等のハラスメント行為を含む)がない職場環境を目指してまいります。
<2023年3月期の主な取り組み>
・価値観の多様化や社会の問題意識の変化に対応するため、従来の従業員の行動に関する方針や指針を整理し新たに「行動規範」を策定しました。
・女性の活躍推進を目的として、社外から講師を迎えて全従業員向けに女性活躍推進のための講演会を実施しました。また、女性従業員向けに社内フォーラムや研修を実施しました。
② マテリアリティ「人材の育成と活躍機会の提供」
<人材育成の方針>
当社が求める人材像は、「自ら考え、行動することのできる人、嘘のない誠実な人」であり、特に、新しいことを積極的に学び、自分の見識を高めるプロフェッショナルな意識と、個人主義に走らずチームワークを大切にできることを重視しております。人材の育成においてもこれらの観点から従業員の成長機会を提供できるように取り組んでまいります。
<2023年3月期の取り組み>
・やりがいをもって働ける環境を整備するため、従業員満足度調査を実施しました。調査によって抽出された課題を基に改善に取り組んでおります。
・教育研修費の執行状況を一元管理することで、全社的な観点から適切かつ有効な教育研修が実施されるように取り組みました。これにより、期初予定されていなかった新しい研修の実施やニーズの高い勉強会の開催頻度を向上することができました。
リスク管理
人的資本・多様性のリスクに関しては、人材・多様性分科会及び人事部が中心となり、影響度及び発生可能性の観点から定期的にリスク評価を見直し、その優先度に応じて対応を行っております。サステナビリティ委員会は、人材・多様性分科会から四半期ごとに報告を受けることで、リスク管理の状況確認を行っております。
指標及び目標
マテリアリティである「従業員が安心して働ける職場づくり」に関して「女性管理職比率」をKPIとして進捗管理を行っております。目標と過去3年間の「女性管理職比率」の推移は下記の通りです。
<女性管理職比率>
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|
目標 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
|
管理職に占める女性従業員の割合 (単体) |
2023年 15% |
1.5% |
2.1% |
2.6% |
|
管理職に占める女性従業員の割合 (連結) |
- |
3.3% |
4.4% |
3.5% |
マテリアリティである「人材の育成と活躍機会の提供」に関しては「一人当たりの教育研修費」をKPIとして進捗管理しております。目標と過去3年間の「一人当たりの教育研修費」の推移は下記の通りです。
<一人当たり教育研修費>
|
|
目標 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
|
一人当たり教育研修費 (単体) |
対前年比5%増加 |
62,701円 |
69,495円 |
97,142円 |
|
対前年比 |
|
△5.2% |
+10.8% |
+39.8% |
その他のKPIである「人材方針策定及び人材開発推進体制の構築」及び「従業員満足度の把握と向上」にも積極的に取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性のある主要なリスクとして以下の事項があります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業戦略に関するリスク
① 技術革新への対応について
当社グループが販売する医療機器には、オンリーワン製品をはじめとして、高い市場シェアを有している製品があります。しかしながら、医療機器業界では競合企業が研究開発を活発に行っており、当社製品と競合する医療機器が導入された場合や、革新的な医療機器が上市されたことにより治療方法自体が大きく変化した場合、当社製品の市場シェアが低下し、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
現在、オンリーワン製品であるS-ICD(完全皮下植込み型除細動器)、心腔内除細動カテーテル及びオープンステントグラフトの3品目で2023年3月期の売上高の約4割弱を占めており、当該リスクが顕在化した場合、一定の影響があると認識しております。当社グループとしては、医療技術の動向を注視しながら新規性の高い製品の導入に努めるとともに、自社製品に関連する特許を取得し技術的優位性を確保することで、リスクの低減を図っております。
② 製品の不具合の発生について
当社グループが取り扱う製品は医療機器であり、製品の不具合に起因する健康被害の発生や、健康被害の発生が懸念される場合、製品の販売停止、回収等の措置を講じる可能性があります。また、健康被害が製品の不具合に起因して発生した場合、損害賠償請求等の訴訟を提起される可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。当社グループでは、医療機器の有効性や安全性を確保するための様々な規制や品質管理に関する規格に準拠し、厳格な管理を行うことでリスクの低減に努めております。
③ 特定の仕入先に対する依存について
当社グループは、一部の商品や自社製品の原材料の供給を特定の仕入先に依存しております。災害等の要因により商品や原材料の供給が円滑に行われなくなった場合や、競合企業による商品仕入先の買収により当社との販売契約が終了された場合、該当する製品の販売が継続できなくなり、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。特に商品の仕入については、2023年3月期における仕入先上位5社の商品が連結売上高の約4割を占めており、当該仕入先に係るリスクが顕在化した場合、一定の影響があることを認識しております。
なお、仕入先上位5社の1社であったBaylis Medical社が買収されたことにより、同社より仕入れていた心房中隔穿刺針「RF Needle」(2023年3月期 売上高:約38億円)の独占販売契約を2023年3月末で終了しました。この影響により、2024年4月以降、当社の売上高は大幅に減少する見込みです。
商品仕入先の買収による販売契約の終了等に対しては、契約期間の長期化や支配権変更時の補償条件の設定等により、リスクの低減に努めております。
④ 取引先等への投融資について
当社グループの資産には、海外スタートアップを中心とする取引先への投資有価証券及び貸付金が含まれております。当社の取引先は独自の技術を持っている一方、特定のメーカー系列に属さない独立性の高い経営体制をとっており、このような取引先に対して投融資を行うことで協力関係を強化するとともに、安定的な製品開発の支援を通じて商品パイプラインの確保を図っております。これらの投資有価証券及び貸付金は、取引先の経営状況の悪化により、投資有価証券評価損や貸倒引当金の計上に至り、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。このようなリスクを低減するために、当社は投融資委員会を設置し、新規の投融資案件につき投融資の可否を審議するとともに、既存の投融資案件についても投融資先の経営状態、財務状況等を定期的にモニタリングし投融資の評価及び継続等について審議しております。
(2) 経営基盤に関するリスク
① 医療機器の製造・販売に係る許認可について
当社グループは、医療機器の製造販売を行うにあたり、医薬品医療機器等法の規制を受けており、当社は以下のとおり第一種医療機器製造販売業許可を監督官庁より取得しております。当社グループでは法的規制を遵守しており、業許可の基準を満たしておりますが、製造販売業許可が更新できない、もしくは取り消された場合、医療機器の販売ができなくなる可能性があります。
また、新たな医療機器の国内販売を開始するにあたり、仕入先が薬事承認を取得する一部の商品を除き、当社グループが同法の定めに従い品質、有効性及び安全性等に関する審査を受け、監督官庁の承認を取得しております。当該医療機器に係る承認が取得できない、または承認取得までの期間が想定を超えて長期化した場合、当社グループの販売戦略の変更が必要となるおそれがあり、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
|
許認可等の名称 |
許認可等の内容 |
有効期限 |
主な許認可取消し事由 |
|
第一種医療機器 製造販売業許可証 |
第一種医療機器製造販売に関する許可 許可番号:13B1X00007 |
2027年6月30日 (5年毎の更新) |
不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は許可の取消し (医薬品医療機器等法第75条) |
② 情報セキュリティについて
当社は、販売物流業務、生産管理業務及び経理業務等の事業全般においてITシステムを活用しております。このため、サイバー攻撃等により大規模なシステム障害が発生し、復旧までに時間を要した場合や、不正アクセス等により個人情報や製品情報等の機密性が高い情報が漏洩した場合、事業活動の停滞をはじめ、会社の信用低下や訴訟の提起等により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対して、コンピュータウイルスやサイバー攻撃に対する防衛策の強化、有事におけるマネジメント体制の構築、各種情報セキュリティ関連規程の整備及び従業員への教育・訓練に取り組んでおります。特に秘匿性の高い患者様のプライバシーに関わる情報等については、2021年12月にプライバシーマークを取得し、これまで以上に適切な保護措置を講ずる体制を整備しております。
(3) 外部環境に関するリスク
① 特定保険医療材料の償還価格改定について
当社グループが販売する製品の大部分は、健康保険の給付対象となる特定保険医療材料であり、その価格は保険償還価格として政府が決定しており、医療費抑制策の一環として、保険償還価格は継続的に改定されております。保険償還価格の引下げにより製品の販売価格が下落するため、大幅な引下げが行われた場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
2022年4月に実施された改定では、2023年3月期の連結売上高に対して約4%程度の影響が生じました。保険償還価格の想定外の引下げリスクに備えるため、医療保険制度や保険償還価格の改定に関する動向を常に注視するとともに、保険償還価格改定の影響を受けにくい新規性が高い製品の導入を図り、リスクの低減に努めてまいります。
② 外国為替相場の変動やインフレーションについて
当社の仕入商品や自社製品の部材・原材料については、円安やインフレーション進行の影響により仕入コストが上昇し、当社の収益を圧迫する可能性があります。
ただし、現状、当社の商品仕入の約70%は円建てであり、円安の影響は限定的であります。さらに、外国通貨建ての一部の取引に関しては、一定以上の為替変動があった場合は仕入価格を調整する為替条項を設ける等、リスクの低減を図っております。また、売上原価の計算には移動平均法を用いており、一時的なコスト増加の影響は、長期間にわたって平準化されます。
③ 災害の発生について
地震、台風、洪水等の自然災害や火災等の災害により、当社もしくは取引先の事業所における損害やサプライチェーンの寸断が発生し、その復旧に時間を要した場合、事業活動が停滞し、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、災害防災マニュアルや事業継続基本規程の整備、BCP(事業継続計画)の策定、社員安否確認システムの導入等の対策を講じております。また、国内外のサプライチェーンについては、生産拠点や原材料の仕入先の複線化を進める等の取り組みを行うことで、リスクの低減に努めております。
④ 感染症の拡大による影響について
当社グループが取り扱う製品の販売は、納入先である医療機関における手術の実施状況の影響を受けます。感染症の拡大により、医療機関において緊急性の低い手術を延期する等の対応がとられる場合、当社の売上高が減少する可能性があります。
2023年3月期は、断続的に新型コロナウイルスの感染拡大が発生したことで、当社の売上高に一定の影響がありました。2023年3月以降は新規感染者数が低水準で推移しており、また、2023年5月に感染症法上の区分見直しが行われたこと等を踏まえて、2024年3月期の業績予想においては新型コロナウイルスの影響を見込んでおりません。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
経営方針、経営環境、経営戦略及び対処すべき課題ならびに経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご覧ください。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)当期の経営成績の概況
当連結会計年度は、2022年4月に保険償還価格の改定が行われたことにより、販売単価は多くの品目で前期に比べ下落しました。特にリズムディバイスやEP/アブレーションの一部品目における保険償還価格の引き下げ幅が大きく、売上高及び売上総利益に対してマイナスの影響がありました。
また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療現場では感染者数の増加への対応に加え、医療従事者の院内感染も広がるなど、医療提供体制はひっ迫した状況が継続しました。特に感染拡大期(第7波:2022年7月~8月、第8波:2022年11月~2023年1月)には、当社の取扱製品に関する症例数が抑制され、当社の業績に影響を与えました。
医療現場では、医師の長時間労働の常態化等が問題となっており、国は「医師の働き方改革」を推進しています。法規制は2024年4月より適用されますが、一部の施設では法令の施行前に段階的に労働環境の改善を進めており、時間外や土曜日の手術の制限を行っています。これを受け、当連結会計年度において、当社の取扱製品に関する症例数に一定の影響がありました。
これらの事業環境の中、当社の業績に特に影響度が大きい心房細動(AF)のアブレーション治療の症例数は、当連結会計年度は前期比で6%程度の増加であったと推計しており、期初計画の想定と概ね同程度で推移しました。この結果、EP/アブレーションは、販売が堅調に推移したことから保険償還価格の下落の影響を吸収し、前期比で4.8%増収となりました。
外国為替相場の状況は、日本円は対米ドルで乱高下しましたが、損益に対しては大きな影響はありませんでした。これは当社の商品仕入の約70%が円建てであることや、売上原価の計算に移動平均法を用いていることから、一部の仕入商品や部材において一時的な調達コストの上昇が生じても、その影響は長期間にわたって平準化されること等が主な理由です。
当連結会計年度の業績は以下のとおりです。
|
|
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
区分 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減 |
増減率 (%) |
||
|
金額 |
構成比 (%) |
金額 |
構成比 (%) |
|||
|
① 売上高 |
51,469 |
100.0 |
51,750 |
100.0 |
281 |
0.5 |
|
② 売上総利益 |
28,835 |
56.0 |
29,895 |
57.8 |
1,060 |
3.7 |
|
③ 営業利益 |
9,973 |
19.4 |
10,837 |
20.9 |
863 |
8.7 |
|
④ 経常利益 |
10,005 |
19.4 |
10,905 |
21.1 |
900 |
9.0 |
|
⑤ 親会社株主に帰属する 当期純利益 |
7,484 |
14.5 |
6,891 |
13.3 |
△ 592 |
△ 7.9 |
① 売上高
前期に比べ、281百万円増収の51,750百万円となりました。詳細は下段の「品目別売上高」に記載しております。
② 売上総利益
前期に比べ、1,060百万円増加の29,895百万円となりました。売上総利益率は、前期に比べ1.8pt上昇し57.8%となりました。製品・商品在庫や原材料等の棚卸資産の廃棄損及び評価損が前期に比べ1,413百万円減少したことや自社製品比率が前期に比べ2.5pt上昇し、54.9%となったことが主な理由であり、保険償還価格の改定に伴う売上総利益率の悪化や一部品目の販売数量の減少等によるマイナスの影響を吸収しました。
③ 営業利益
前期に比べ、863百万円増加の10,837百万円となりました。営業利益率は、前期に比べ1.5pt上昇し、20.9%となりました。販売費及び一般管理費は前期に比べ微増となりましたが、上記のとおり、売上総利益率が上昇したことにより、その影響を吸収しました。販売費及び一般管理費の増減の内訳としては、研究開発費の増加や、新製品の導入に伴う旅費交通費や広告宣伝費等の増加がありましたが、前期に一時的な費用として治験関連費用が290百万円発生したこと等もあり、総額では前期に比べ微増にとどまりました。
④ 経常利益
前期に比べ、900百万円増加の10,905百万円となりました。営業外収益は、受取利息や受取配当金等で293百万円を計上しております。営業外費用は、取引先への長期貸付金等に関する貸倒引当金繰入や自己株式の取得に伴う金融手数料等で224百万円を計上しております。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
前期に比べ、592百万円減少の6,891百万円となりました。第3四半期連結会計期間に、政策保有目的で株式を保有している商品仕入先における事業計画の見直しを伴う増資により、当社の持分が希薄化したため、投資有価証券評価損1,190百万円を特別損失として計上しました。また、第4四半期連結会計期間に、子会社の譲渡及び清算に係る子会社整理益96百万円を特別利益として計上しました。
(品目別売上高)
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(単位:百万円) |
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区分 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減 |
増減率 |
|
① リズムディバイス |
12,977 |
12,403 |
△574 |
△4.4% |
|
② EP/アブレーション |
25,099 |
26,292 |
1,193 |
4.8% |
|
③ 外科関連 |
9,657 |
10,643 |
985 |
10.2% |
|
④ 消化器/PI |
3,733 |
2,411 |
△1,322 |
△35.4% |
|
合計 |
51,469 |
51,750 |
281 |
0.5% |
※ 各品目区分に分類される主たる商品は以下のとおりです。
リズムディバイス 心臓ペースメーカ、T-ICD(経静脈植込み型除細動器)、S-ICD(完全皮下植込み型除細動器)、CRT-P(両心室ペースメーカ)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)、AED(自動体外式除細動器)、舌下神経電気刺激装置
EP/アブレーション EP(電気生理用)カテーテル、アブレーションカテーテル、内視鏡レーザーアブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、食道温モニタリングカテーテル、高周波心房中隔穿刺針
外科関連 人工血管、オープンステントグラフト、ステントグラフト、塞栓用コイル
消化器/PI 大腸用ステント、胃・十二指腸用ステント、肝癌治療用ラジオ波焼灼電極針、胆管チューブステント、胆道鏡システム、胆管拡張バルーン、バルーンカテーテル、ガイドワイヤー、心房中隔欠損閉鎖器具、薬剤溶出型冠動脈ステント、血管内圧測定用センサ付ガイドワイヤー
<相手先別売上高>
|
|
|
(単位:百万円) |
||
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
販売高 |
割合(%) |
販売高 |
割合(%) |
|
|
ディーブイエックス株式会社 |
5,857 |
11.4% |
5,984 |
11.6% |
① リズムディバイス
ペースメーカ関連は、他社との競争激化により、販売は厳しい状況で推移しました。ペースメーカリードの留置を補助するSSPC(サイト・セレクティブ・ペーシング・カテーテル)を新規に導入した効果により、販売数量は前期並みとなりましたが、売上高は保険償還価格の大幅な下落により、前期に比べ大幅な減収となりました。
ICD関連は、T-ICDにおいて、電池の交換時期の到来に伴う交換症例を獲得したことや、CRT-Dの販売が堅調であったことを背景に、前期に比べ増収となりました。オンリーワン商品であるS-ICDは、保険償還価格の引き下げがなく、販売も堅調に推移したため、前期に比べ増収となりました。
以上により、リズムディバイスの売上高は、12,403百万円(前期比4.4%減)となりました。
② EP/アブレーション
EPカテーテルは、AF症例数が増加したことに加え他社製品の供給問題が生じたこともあり、販売は好調に推移しました。心腔内除細動カテーテル「BeeAT(ビート)」、EPカテーテル「EP Star(イーピースター)」、食道温モニタリングカテーテル「Esophastar(エソファスター)」等のアブレーション手術関連の自社製品の販売数量は、前期に比べ10%程度の伸長となりました。一方、売上高は、保険償還価格の下落により、前期に比べ7%程度の増収となりました。
アブレーションカテーテルは、内視鏡レーザーアブレーションカテーテル「HeartLightX3(ハートライト・エックススリー)」の販売が低調に推移したことにより、前期に比べ減収となりました。同商品は、2022年7月以降、世界的な原材料不足を背景に仕入先からの商品供給が断続的に滞ったため、販売に影響を与えました。
その他については、高周波心房中隔穿刺針「RF Needle(アールエフニードル)」が、競合製品の影響を受け、減収となりました。なお、同商品は仕入先であるBaylis Medical社がBoston Scientific社に買収されたことを受け、当社による独占販売は2023年3月末で終了しました。2023年4月以降は、ボストン・サイエンティフィック ジャパン社に販売が移管され、当社は同社との販売パートナーシップ契約のもと、販売支援を行ってまいります。スティーラブルシースの自社製品「Leftee(レフティー)」は、高い操作性が医療現場で評価され、販売拡大が続いており、前期に比べ大幅な増収となりました。
以上により、EP/アブレーションの売上高は、26,292百万円(前期比4.8%増)となりました。
③ 外科関連
人工血管関連は、症例数の横ばい傾向が続く中、緩やかなシェアの拡大により、販売は好調に推移しました。自社製品では、人工血管が堅調に推移したほか、オンリーワン製品のオープンステントグラフト「FROZENIX(フローゼニクス)」も、緊急症例の増加を背景に、前期に比べ増収となりました。仕入商品では、腹部用ステントグラフトの「AFX2(エーエフエックスツー)」が、国内の大学病院で実施された臨床研究の結果が好感されたことや、前期に発売した新商品の「Alto(アルト)」との相乗効果が発揮されたことを背景に、前期に比べ大幅な増収となりました。
その他については、新規参入した脳血管領域向けの塞栓用コイル「Avenir(アベニア)」の販売が好調に推移し、計画を大幅に上回りました。「Avenir」の供給元であるWallaby Medical社とは、脳血管内治療デバイス11品目を対象とする10年間の独占販売契約を締結しており、2024年3月期以降、新商品を順次発売する予定です。脳血管領域の市場は、今後も年4~5%程度の成長が見込めることから、重要な領域として注力してまいります。
以上により、外科関連の売上高は、10,643百万円(前期比10.2%増)となりました。
④ 消化器/PI
消化器関連は、大腸用ステント、胃・十二指腸用ステント、肝癌治療用ラジオ波焼灼電極針等の既存製品の販売が好調に推移したことで大幅な増収となりました。
また、当社は消化器領域の中でも胆膵領域(胆道・膵臓)を成長が見込める分野として位置づけ、当連結会計年度より自社製品で本格的に新規参入しました。しかしながら、胆道鏡等の一部の製品では、初期臨床で改善を要する点が明らかになっており、課題解決に取り組んでいます。一方、胆管用チューブステントは、臨床評価が高く、販売は好調に推移しており、今後さらなる拡販に取り組んでまいります。
PI(経皮的インターベンション)関連は、競争環境の激化等を背景に事業の縮小と消化器領域への販売リソースの転換を進めた結果、大幅な減収となりました。主要な仕入商品であった薬剤溶出型冠動脈ステント「Orsiro(オシロ)」は、独占販売契約を早期に終了しました。
以上により、消化器/PIの売上高は、2,411百万円(前期比35.4%減)となりました。
(2)当期の財政状態の概況
① 資産
当連結会計年度末の資産につきましては、流動資産が前連結会計年度末に比べ1,977百万円増加し、47,130百万円となりました。これは主として、棚卸資産が1,707百万円減少した一方で、現金及び預金が2,298百万円、受取手形及び売掛金が786百万円増加したことによるものであります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ533百万円減少し、27,510百万円となりました。これは主として、無形固定資産が943百万円、長期貸付金が592百万円増加した一方で、有形固定資産が458百万円、投資有価証券が1,352百万円減少したことによるものであります。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末から1,443百万円増加し、74,641百万円となりました。
② 負債
当連結会計年度末の負債につきましては、流動負債が前連結会計年度末に比べ170百万円増加し、14,381百万円となりました。これは主として、1年内返済予定の長期借入金が522百万円、短期借入金が300百万円減少した一方で、その他のうち未払費用が254百万円、未払消費税等が215百万円増加するとともに、賞与引当金が143百万円、支払手形及び買掛金が142百万円増加したことによるものであります。
また、固定負債は前連結会計年度末に比べ355百万円減少し、4,063百万円となりました。これは主として、退職給付に係る負債が278百万円増加した一方で、長期借入金が568百万円減少したことによるものであります。
以上の結果、負債合計は前連結会計年度末から184百万円減少し、18,445百万円となりました。
③ 純資産
当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1,628百万円増加し、56,195百万円となりました。これは主として、剰余金の配当を3,041百万円実施した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を6,891百万円計上したことにより利益剰余金が3,850百万円増加、ならびに自己株式の取得と消却により資本剰余金が
1,079百万円減少、自己株式が868百万円増加したことによるものであります。
(3)当期のキャッシュ・フローの概況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,298百万円増加し、18,357百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、11,201百万円(前年同期は10,246百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の9,789百万円、棚卸資産の減少額の1,720百万円、減価償却費の1,566百万円であり、主な減少要因は法人税等の支払額の2,861百万円であります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、2,461百万円(前年同期は1,131百万円の支出)となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入の153百万円であり、主な減少要因は無形固定資産の取得による支出の1,264百万円、長期貸付による支出の530百万円、有形固定資産の取得による支出の465百万円であります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、6,476百万円(前年同期は6,804百万円の支出)となりました。これは主として、配当金の支払額が3,050百万円、自己株式の取得による支出が1,948百万円、長期借入金の返済による支出が1,076百万円となったことによるものであります。
(4)生産、受注及び販売の実績
ⅰ 生産実績
当連結会計年度における生産実績を区分別に示すと、次のとおりであります。
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
区分 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減率 |
|
リズムディバイス |
16 |
17 |
8.4% |
|
EP/アブレーション |
4,695 |
5,453 |
16.1% |
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外科関連 |
1,441 |
1,421 |
△1.3% |
|
消化器/PI |
505 |
484 |
△4.2% |
|
合計 |
6,657 |
7,376 |
10.8% |
(注) 金額は製造原価によっております。
ⅱ 受注実績
当社グループの事業形態は、原則として受注残高が発生しないため、記載を省略しております。
ⅲ 販売実績
販売実績につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご覧ください。
(5)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ⅰ 資本の財源
当社グループの主要な運転資金需要は、商品の仕入、製品製造のための材料費、労務費、経費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備の新設及び改修、商品パイプラインの確保等を目的とする商品仕入先に対する貸付等に係る投資であります。また今後、当社グループの企業価値向上への寄与が見込まれる場合には、M&A等を含めた投資の検討を行ってまいります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくことを基本としております。なお、金融市場及び手許資金等の状況を勘案し、必要と判断した場合には金融機関からの長期借入による対応も検討してまいります。
ⅱ 資金の流動性
当社グループでは、資金調達の機動性及び安定性を高めることを目的として、コミットメントライン契約を締結し、流動性リスクに備えております。当連結会計年度末におけるコミットメントラインの総額は8,500百万円、借入実行残高は5,000百万円、借入未実行残高は3,500百万円となっております。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループで採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。
(1)海外メーカー等との契約
輸入商品について、各メーカー等との間で、輸入に係る日本総代理店契約を結んでおります。
主なメーカー等との「総代理店契約」の概要は以下のとおりであります。
|
契約会社名 |
相手先の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
備考 |
|
日本ライフライン株式会社 |
オクルテックホールディング社 |
スイス |
構造的心疾患治療器具 |
日本における独占販売権 |
対象製品の保険償還価格決定の日から10年間 (以降2年毎の自動更新) |
- |
|
日本ライフライン株式会社 |
カーディオフォーカス社 |
アメリカ |
内視鏡式レーザーバルーン |
日本における独占販売権 |
対象商品の保険償還価格決定の日から7年間 (3年間のみの自動更新) |
- |
|
日本ライフライン株式会社 |
エンドロジックス社 |
アメリカ |
腹部大動脈 ステント付グラフト |
日本における独占販売権 |
2015年9月4日から 2029年12月31日まで (1年間のみの協議更新) |
- |
|
日本ライフライン株式会社 |
エンドスパン社 |
イスラエル |
胸部大動脈疾患治療用ステントグラフト |
日本における独占販売権 |
対象商品の保険償還価格決定の日から10年間 (以後5年間毎の協議更新) |
- |
|
日本ライフライン株式会社 |
ワラビー・メディカル社 |
香港 |
脳血管内治療デバイス |
日本における独占販売権 |
2022年8月22日から10年間 (以降2年毎の協議更新) |
- |
(2)国内メーカー等との契約
|
契約会社名 |
相手先の名称 |
国名 |
契約品名 |
契約内容 |
契約期間 |
備考 |
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日本ライフライン株式会社 |
ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社 |
日本 |
ボストン・サイエンティフィック社製CRM関連製品 |
日本における独占的販売代理店契約 |
2019年9月1日から 2029年8月31日まで (以降2年毎の自動延長) |
- |
当社は、「最新最適な医療機器を通じて健康社会の実現に貢献する」という経営理念に基づき、患者様のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に寄与することを目指し、医療現場のニーズを的確かつ迅速に反映した高品質・高付加価値な自社製品の開発に取り組んでおります。
商社とメーカーの機能を併せ持つ当社のビジネスモデルの特長を活かし、複眼的な視野から国内外の最新の治療動向を把握することで、製品開発の可能性について広範囲に探索を行っております。また、当社は、心臓血管領域を中心とした治療領域において、先端的な研究を行っている国内外の大学や企業とのネットワークを活かして共同開発を行うことにより、新規性が高い製品の開発に取り組んでおります。
当社の研究開発活動は、メディカル・テクノロジー・パーク(埼玉県戸田市)と市原ファクトリー(千葉県市原市)の2拠点で行っております。それぞれ研究開発部門と製造部門が同一拠点内に設置されているメリットを活かして緊密に連携することにより、量産体制の円滑な立ち上げや製造原価の低減を実現しております。
当社は、2023年5月に策定した中期経営計画において、長期で自社製品比率を55~65%程度を目指すべき水準と設定しております。創業以来、事業を行ってきた心臓血管領域の製品のさらなる拡充を図るとともに、研究開発統括部内の基盤技術を研究する部門を中心として、これまで培ってきた心臓血管用カテーテルに関する技術を消化器領域や他の治療領域の製品に応用することで、独自性と高い競争力を持った製品の開発に注力しております。
さらに新規事業領域として、再生医療領域へも取り組んでおり、2020年6月に、心不全向け再生医療等製品の開発における連携強化を図るため、株式会社メトセラと業務提携契約を締結しております。当社は、再生医療用製剤を患部にデリバリーするカテーテルシステムを開発し、同社とともに治験に協力しております。
以上により、当連結会計年度においては、
(EP/アブレーション)
不整脈の検査や治療に用いる高付加価値ディスポーザブルカテーテル、そのカテーテルと組み合わせて用いるジェネレータ装置及びモニタリング装置の開発を行っております。カテーテル用シャフトの製造技術に関して、独自の構造と機能を持った高機能シャフトの内製化を低コストで実現していることが当社の強みであります。次世代の心臓アブレーション技術であるパルス電界アブレーションについて、当社が開発したカテーテルを米国Galvanize Therapeutics社に供給する契約を2021年5月に締結し、販売開始に向けて取り組んでおります。
(外科関連)
大動脈疾患の治療に用いるオンリーワン製品であるオープンステントグラフトや人工血管等を中心に、医療現場のニーズにきめ細かく応えるため、製品ラインナップのさらなる拡充に取り組んでおります。
2023年3月期には、最新の弓部大動脈置換術に対する新たな選択肢の提供を目的として、分岐管付き人工血管の2モデルをリリースしました。
また、オープンステントグラフトと弓部大動脈置換用の分枝付き人工血管をあらかじめ一体化させた国内初の製品を本格的に販売開始しました。本製品では循環停止時間の短縮や術技の簡便化・標準化を目的としており、胸部大動脈における手術成績のさらなる向上に寄与できるものと考えております。
(消化器/PI)
現在、製品開発に注力している消化器領域では、大腸用および胃・十二指腸用のステントである「JENTLLY(ジェントリー)」シリーズの改良品を継続的に投入しております。2023年3月期は、それぞれの使用用途に応じた物性の最適化を目的として、拡張力とアキシャルフォース(曲げの反発力)を調整した製品を投入しました。
国内メーカーならではの臨床現場との距離感の近さを活かし、医療現場より寄せられるご意見をもとに改善を積み重ね、よりよい製品と安定した供給体制の実現に継続して取り組んでおります。
胆膵関連デバイスにおいては、胆道鏡の開発を進めており認証取得、国内臨床評価を実施しましたが改良点を見出したため、改良に取り組んでおります。胆汁を排出する為の胆管用チューブステントを2023年度3月期に上市し、自社シャフト開発力を活かしたプラスチックステントの特性により当初計画以上の出荷本数を製造しております。