第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績の分析

(経営環境について)

当社グループは主に国内の総合病院等の顧客向けに心臓領域を中心とする医療機器事業を展開しています。日本の医療需要は、人口の高齢化に伴い増加しており、今後もそのトレンドは継続することが予想されています。一方、医療供給はひっ迫しており、各種医療サービスの持続可能性が懸念されています。国は、現行の医療システムが医療従事者の慢性的な長時間労働に依存している状況を改善するため、「医師の働き方改革」を推進しています。

このような状況において、医療機器業界で厳しい競争に勝ち残るには、単に治療効果の高い製品を提供するだけでなく、持続可能な医療を実現するための様々な課題の解決にも貢献していく必要があります。当社グループは、メーカーと商社の2つの機能を併せ持つ強みを活かし、柔軟かつ強靭なプロダクト・ポートフォリオを構築することで、これに取り組んでいます。

 

(事業の状況について)

当中間連結会計期間は、期初の計画に対して良好に進捗しました。症例数の増加や中期経営計画の重点取組事項の進展を背景に、すべての品目区分で増収となりました。その結果、2024年6月の保険償還価格の改定によるマイナス影響をカバーした上で、大幅な増収増益となりました。

特に中核事業のEP/アブレーションでは、心房細動のアブレーション症例数が自社推計で前年同期比約10%増加しました。これにより、心腔内除細動カテーテル等の自社製品の販売が拡大しました。さらに、中期で成長ドライバーと位置付けている大腿静脈用止血デバイスの市場浸透が進み、同事業の売上高は前年同期比16.3%増となりました。

中期の重点課題である「新領域の拡大」においては、脳血管関連・消化器ともに上市した新製品が順調に拡大し、大幅な増収となりました。

一方、販売費及び一般管理費は、人件費の増加や前連結会計年度に導入した新基幹システムに係る減価償却費等の増加があり、一過性の貸倒引当金繰入等も発生しました。

以上の結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高が前年同期比11.4%増、売上総利益が同11.4%増、営業利益が同14.4%増となり、各項目において半期ベースで過去最高となりました。

外国為替相場については、円の対米ドルでの変動が大きい状況が続いていますが、当社の業績への影響は限定的でした。これは当社の商品仕入の約70%が円建てであることや、売上原価の計算に移動平均法を用いていることから、一時的な調達コストの上昇が長期間にわたって平準化されることが主な理由です。

 

(業績について)

当中間連結会計期間の業績は以下のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

 区分

前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

  至 2023年9月30日)

当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日

  至 2024年9月30日)

 増減

 増減率

 (%)

 金額

 構成比

 (%)

 金額

 構成比

 (%)

① 売上高

25,132

100.0

27,985

100.0

2,853

11.4

② 売上総利益

15,231

60.6

16,963

60.6

1,732

11.4

③ 営業利益

5,472

21.8

6,260

22.4

787

14.4

④ 経常利益

5,621

22.4

6,167

22.0

546

9.7

⑤ 親会社株主に帰属する

  中間純利益

4,033

16.0

4,435

15.8

401

10.0

 

① 売上高

売上高は27,985百万円(前年同期比+11.4%)となりました。詳細は後段の「品目別売上高」に記載しています。

 

② 売上総利益

売上総利益は16,963百万円(前年同期比+11.4%)となりました。保険償還価格の改定で販売単価は下落しましたが、EP/アブレーションや心血管関連市場の拡大により販売数量が増加し、影響をカバーしました。自社製品比率は、脳血管関連や大腿静脈用止血デバイスなどの仕入商品の売上高拡大により57.6%(前年同期比△1.5pt)となりました。一方、低採算事業であったコロナリー・インターベンション事業からの撤退や自社製品の原価低減により、売上総利益率は60.6%と前年同期並みを維持しました。

 

③ 営業利益

営業利益は6,260百万円(前年同期比+14.4%)となりました。販売費及び一般管理費は、944百万円増加しました。主な増加要因は以下のとおりです。

●取引先の手形取引停止処分による貸倒引当金繰入の増加

●給与水準の引き上げや業績連動賞与の引当に係る人件費の増加

●新基幹システム等に係るIT関連費や減価償却費の増加

●販売関連費の増加

●研究開発投資に係る費用の増加

 以上の結果、営業利益率は22.4%(前年同期比+0.6pt)となりました。

 

④ 経常利益

経常利益は6,167百万円(前年同期比+9.7%)となりました。営業外収益として、受取利息や受取配当金などで89百万円を計上しました。営業外費用として、自己株式の公開買付けに伴う支払手数料や為替差損などで181百万円を計上しました。

 

⑤ 親会社株主に帰属する中間純利益

親会社株主に帰属する中間純利益は4,435百万円(前年同期比+10.0%)となりました。法人税等の負担率は28.2%となりました。

 

(品目別売上高)

 

 

 

(単位:百万円)

 区分

 前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

  至 2023年9月30日)

 当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日

  至 2024年9月30日)

 増減

 増減率

 (%)

リズムディバイス

6,671

6,725

54

0.8

EP/アブレーション

12,144

14,123

1,978

16.3

心血管関連

5,292

5,656

363

6.9

脳血管関連

353

800

446

126.3

消化器

668

680

11

1.7

合計

25,132

27,985

2,853

11.4

 

※ 各品目区分に分類される主たる商品は以下のとおりです。

  なお、当中間連結会計期間より、従来の「心血管関連」に含まれていた「脳血管関連」を独立した新区分に変更しております。前中間連結会計期間との比較は、変更後の区分に組み替えた数値で算出しております。また、「心血管関連」の主たる商品に記載していた「オープンステントグラフト」は、「Frozen Elephant Trunk」に商品名を変更しております。

 

リズムディバイス

心臓ペースメーカ、T-ICD(経静脈植込み型除細動器)、S-ICD(完全皮下植込み型除細動器)、CRT-P(両心室ペースメーカ)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)、AED(自動体外式除細動器)

EP/アブレーション

EP(電気生理用)カテーテル、アブレーションカテーテル、内視鏡レーザーアブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、食道温モニタリングカテーテル、スティーラブルシース、大腿静脈用止血デバイス

心血管関連

人工血管、Frozen Elephant Trunk、ステントグラフト、心房中隔欠損閉鎖器具

脳血管関連

塞栓用コイル、血栓吸引カテーテル、マイクロカテーテル、ステントリトリーバー

消化器

胆管チューブステント、胆管拡張バルーン、胆道鏡システム、内視鏡ガイドワイヤー、大腸用ステント、胃・十二指腸用ステント、肝癌治療用ラジオ波焼灼電極針

 

① リズムディバイス

リズムディバイスの売上高は、6,725百万円(前年同期比+0.8%)となりました。保険償還価格の改定により販売単価は下落しました。また、他社のリードレスペースメーカが新規症例に広がるなか、自社のペースメーカの販売は軟調に推移しました。一方、コア製品であるS-ICDは新規植込み症例数を大幅に伸ばしたことにより販売は好調に推移し、ICD関連の売上高は半期ベースで過去最高を更新しました。その結果、リズムディバイスの売上高は前年同期をわずかに上回りました。

 

② EP/アブレーション

EP/アブレーションの売上高は、14,123百万円(前年同期比+16.3%)となり、半期ベースで過去最高を更新しました。心房細動のアブレーション症例数が前年同期比で約10%増加したことで、高い市場シェアを誇る心腔内除細動カテーテルと食道温モニタリングカテーテルの販売が大きく伸長しました。さらに、中期での成長ドライバーとして位置付けている大腿静脈用止血デバイスは、新規採用施設数を増やし、販売をさらに拡大しました。

 

③ 心血管関連

心血管関連の売上高は、5,656百万円(前年同期比+6.9%)となりました。コア製品のFrozen Elephant Trunkは、市場拡大が追い風となり、好調に推移しました。腹部用ステントグラフトは、当社独自のモデルの訴求により営業機会が拡大し、堅調に推移しました。また、心房中隔欠損閉鎖器具は、積極的な営業施策が奏功し、シェアを拡大しました。

 

④ 脳血管関連

脳血管関連の売上高は、800百万円(前年同期比+126.3%)となり、半期ベースで過去最高を更新しました。塞栓用コイルは、前連結会計年度に導入した追加モデルの販売が好調に推移しました。血栓吸引カテーテルは、競合品の少ない細径モデルの訴求が奏功し、当中間連結会計期間で販売数を大きく伸ばしました。さらに、新商品としてステントリトリーバーの販売を開始し、当中間連結会計期間から収益に寄与し始めました。

 

⑤ 消化器

消化器の売上高は、680百万円(前年同期比+1.7%)となり、半期ベースで過去最高を更新しました。前連結会計年度で終了したコロナリー・インターベンション事業を除いた売上高は597百万円(前年同期比+34.6%)となりました。主力製品の胆管チューブステントが好調に推移したほか、大腸ステントも預託施設の拡大とともに販売が大きく伸長しました。

 

(2)財政状態の分析

(中間連結貸借対照表に関する分析)

① 資産

当中間連結会計期間末の資産につきましては、流動資産が前連結会計年度末に比べ2,334百万円減少し、40,536百万円となりました。これは主として、受取手形及び売掛金が592百万円、棚卸資産が1,686百万円、それぞれ増加した一方で、自己株式の取得、配当金の支払いならびに法人税等の支払いにより現金及び預金が4,621百万円減少したことによるものであります。

また、固定資産は前連結会計年度末に比べ927百万円減少し、29,710百万円となりました。これは主として、貸倒引当金が211百万円増加し、投資その他の資産のうち投資有価証券が366百万円、投資その他の資産のうちその他に含まれている繰延税金資産が123百万円、それぞれ減少したことによるものであります。

以上の結果、資産合計は前連結会計年度末から3,262百万円減少し、70,246百万円となりました。

 

② 負債

当中間連結会計期間末の負債につきましては、流動負債が前連結会計年度末に比べ423百万円増加し、14,598百万円となりました。これは主として、短期借入金が1,500百万円増加した一方で、支払手形及び買掛金が563百万円、未払金が391百万円減少したことによるものであります。

また、固定負債は前連結会計年度末に比べ207百万円減少し、1,023百万円となりました。これは主として、その他に含まれているリース負債が122百万円減少したことによるものであります。

以上の結果、負債合計は前連結会計年度末から215百万円増加し、15,622百万円となりました。

 

③ 純資産

当中間連結会計期間末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3,478百万円減少し、54,624百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する中間純利益を4,435百万円計上した一方で、剰余金の配当を3,154百万円実施したこと、ならびに自己株式が5,027百万円増加したことによるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ4,621百万円減少し、8,047百万円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

当中間連結会計期間における営業活動による資金の増加は、2,938百万円(前年同期は1,873百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前中間純利益が6,179百万円あった一方で、キャッシュ・フローの減少要因として、棚卸資産の増加が1,684百万円、法人税等の支払額が1,564百万円となったことによるものであります。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

当中間連結会計期間における投資活動による資金の減少は、424百万円(前年同期は1,770百万円の支出)となりました。これは主として、投資有価証券の売却による収入として1,023百万円あった一方で、有形固定資産の取得による支出が802百万円、投資有価証券の取得による支出が637百万円となったことによるものであります。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

当中間連結会計期間における財務活動による資金の減少は、7,187百万円(前年同期は6,884百万円の支出)となりました。これは主として、短期借入金の増減による収入として1,500百万円あった一方で、配当金の支払額が3,154百万円、自己株式の取得による支出が5,225百万円となったことによるものであります。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

当中間連結会計期間における研究開発活動の金額は、1,127百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(8)従業員数

当中間連結会計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数に著しい変動はありません。

 

(9)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当中間連結会計期間における生産実績を商品区分別に示すと次のとおりであり、著しい変動はありません。

 

 

 

(単位:百万円)

 区分

 前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

  至 2023年9月30日)

 当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日

  至 2024年9月30日)

 増減率

 (%)

リズムディバイス

5

10

93.0

EP/アブレーション

2,899

3,176

9.6

心血管関連

645

769

19.1

消化器

262

366

39.4

合計

3,813

4,323

13.4

(注) 1.金額は製造原価によっております。

    2.当中間連結会計期間より、事業区分に「脳血管関連」を追加しておりますが、「脳血管関連」の生産実績は前期、当期ともに発生していないため表示を省略しております。

 

② 受注実績

当社グループの事業形態は、原則として受注残高が発生しないため、記載を省略しております。

 

③ 販売実績

販売実績につきましては、「2経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績の分析」をご覧ください。

 

(10)主要な設備

当中間連結会計期間において、主要な設備の著しい変動又は前連結会計年度末において計画中であったものの著しい変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、新たに締結した経営上の重要な契約等はありません。