第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、経営理念として「新たな価値を創造し、世界のお客様に信頼される会社を実現する」ことを掲げ、真に市場から必要とされ、お客様にとって無くてはならないサプライヤーになることを目指して、事業活動を進めております。その経営理念の下、以下の経営方針を定めており、その実現が企業価値の増大につながるものと考えております。

① グローバル企業としてさらなる発展をめざす

② ファクトリー&ファブレス機能を強化し卓越した強みを創造する

③ 企業の成長を通し、社員の幸福と社会貢献を実現する

 

(2) 目標とする経営指標及びその推移

当社グループが目標とする経営指標(連結)につきましては、以下を掲げております。

① 売上高、売上高総利益率、営業利益、営業利益率

② ROE(自己資本当期純利益率)について8%以上維持を目標としております。

③ ROA(総資産経常利益率)について10%以上維持を目標としております。

④ DOE(純資産配当率)について2.3%を目標としております。

⑤ 配当性向について30%以上を目標としております。

 

なお、各経営指標の達成状況は以下のとおりです。

 

 

67期
2019年3月

68期
2020年3月)(注)1

69期
2021年3月)(注)2

 

 

目標
(期首予想)

実績

目標
(期首予想)

実績

目標
(期首予想)

実績

売上高

(百万円)

40,000

39,457

40,000

35,905

27,000

29,782

売上高総利益率

(%)

25.3

24.9

25.0

24.1

23.4

23.4

営業利益

(百万円)

4,250

4,076

4,100

3,265

1,300

2,105

営業利益率

(%)

10.6

10.3

10.3

9.1

4.8

7.1

ROE
(自己資本当期純利益率)

(%)

8.0

10.0

8.0

8.0

8.0

4.9

ROA
(総資産経常利益率)

(%)

10.0

10.2

10.0

8.1

10.0

5.4

DOE
(純資産配当率)

(%)

2.3

2.4

2.3

2.5

2.3

2.4

配当性向

(%)

30.0

24.1

30.0

31.2

30.0

49.0

 

(注)1.68期(2020年3月)の目標(期首予想)は、下方修正前の数値を記載(2019年11月に売上高36,000百万円、営業利益3,300百万円に下方修正)

2.69期(2021年3月)の目標(期首予想)は、2020年8月に公表した数値を記載(2021年2月に売上高29,000百万円、営業利益1,900百万円に上方修正)

 

(3) 経営環境

今後の自動車市場は、中長期的には新興国を中心とした自動車需要の伸長もあり、緩やかに拡大していくものと考えております。その一方で、環境問題など社会的課題への対応や、電動化、自動運転、コネクティッド、シェア&サービスなどの技術革新の急速な進行などにより、自動車業界は100年に一度の変革期に直面しています。

また、足元は、新型コロナウイルス感染症が再拡大するなど収束の兆しが見られず、加えて、世界的な半導体不足、海上物流の混乱等も顕在化しており、自動車業界の先行きは不透明な状況が続いています。

このような経営環境の中、当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に万全の対策を講じつつ、市場の変化を的確に捕捉し、新たな価値の創造とグローバルな対応力の強化に積極的に取り組んでまいります。

新たな価値の創造に関しては、当社の独自技術である「圧入プロジェクション接合技術」を活用した自動運転関連部品・電動化部品が更に適用範囲を拡げて、採用実績を積み上げております。

グローバルな対応力の強化に関しては、お客様の現地調達ニーズの拡大に対応するために米国、中国、タイの主要海外拠点で冷間圧造、精密プレス、精密切削など国内と同様の生産体制の整備等を推進しております。

当社グループといたしましては、引き続き、開発検討段階から新加工技術や幅広く最適な調達機能を提案できる当社の強みを発揮して、経営の基本方針に沿った各種戦略や、対処すべき課題に掲げた基本戦略をぶれることなく推し進め、今後の難局を乗り越えてまいります。

 

(4) 中長期的な経営戦略

当社グループは、今後5年以内のグループ連結売上高500億円達成を目標とし、以下の戦略を推進しています。

① 開発・製造機能の強化による強みの構築

② グローバル事業体制の強化、拡充

③ 戦略的調達活動の推進

④ 企業価値向上への取組み継続

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 開発・製造機能の強化による強みの構築に関する事項

(a) 幅広いマーケティング活動に基づき、新たな加工技術を開発し競争力を強化する

当社グループは独自の新たな加工技術の開発と、既存保有技術の進化活動を積極的に進めております。

当社独自の加工技術である「圧入プロジェクション接合技術」は、「高強度化」「高精度化」「軽量・コンパクト化」を実現するものであり、今後の拡大が期待される自動運転関連部品や電動化部品として既に大手自動車メーカー数社に採用されております。本接合技術を幅広い部品の製造に活用する等の開発活動にも注力しており、2020年度では、新たにブレーキ関連部品として大手自動車メーカー数社に採用されるなど成果を積み上げております。

また、第二、第三の独自加工技術の開発にも積極的に取り組んでおり、市場調査の専門組織を立ち上げ、減速機ユニット、モーターユニット、HV用エンジンユニット等、次世代自動車への採用が見込まれる部品を中心に、精密塑性加工技術や接合技術等の高度化を調査・研究中です。これらの取組みは当社の強みを増していくだけではなく、各自動車メーカーがCO2削減目標を掲げて開発・投入を進めているHVやEV等に、当社の独自加工技術を用いた部品が採用されることにより、結果的に環境問題への対応として貢献できると考えており、今後、更に加速してまいります。

(b) 各製造拠点の生産対応能力を拡大し、ファクトリー機能を強化する

長期的には世界の自動車生産台数の増加が見込まれており、お客様が求めるニーズも更に多様化、高度化していくものと考えています。こうした需要をカバーし、多種多様な品揃えで差別化を図っていくためには、当社グループ内の生産対応能力の拡大が必要と考えています。

具体的な施策の一例として、2020年度は当社国内製造子会社のオーハシ技研工業株式会社の主要加工技術である切削加工事業を統合いたしました。これは、人材、設備、各種業務、拠点間運賃、インフラ整備等の重複コストを改善することに加え、新技術開発の強化等、同社製造機能の強化を図り、国内における切削加工事業の再構築を目指したものです。

さらに同子会社鈴鹿工場の第2工場建設も検討しており、これらを積極的に推進し、中期的な目処として、売上高に占めるグループ製造部門の比率を現状の25%から40%に引き上げることを目指します。

(c) 主要調達先との資本提携を推進し、グループ内製造機能を強化する

高い加工技術力、独自の加工技術を有する主要調達先との資本提携を推進し、グループ内の製造機能を強化します。現行の資本提携先においては、株式会社テーケーで戦略商品製造ラインの増設を行う等、生産体制の整備を進めています。

② グローバル事業体制の強化、拡充

(a) 既存拠点の機能を強化し、グローバル対応力の向上を図る

当社のお客様の海外現地調達ニーズは今後も更に高まっていく見通しであり、こうしたニーズに対応するため、当社グループ海外拠点では自社製造機能や現地調達機能を更に強化しながら、安定した部品供給体制を構築してまいります。2020年度は、中国の製造子会社において工場を拡張した上で、圧造加工の新規大型設備を導入し、量産開始に向けた準備を進めております。また、米国の製造子会社では圧造、切削、精密加工技術において、タイの製造子会社では切削加工技術において、それぞれ製造強化につながる新規設備を導入しました。

 

③ 戦略的調達活動の推進

(a) ファブレス機能の更なる強化のために、主要調達先企業との戦略的関係を構築する

ファクトリー機能と併せ、当社グループのもう一つの事業の柱であるファブレス機能についても、一層強化 してまいります。お客様のニーズは多様化しており、そのニーズに対応するためには、自社の開発・製造機能の強化と併せ、高い技術力を有する調達先企業との連携を更に強化し、事業活動を行うことが不可欠と考えております。2020年度は、主要調達先数社と新たな設備導入を前提とした受注活動を展開し、新規案件の受注に成功いたしました。

また、新たな調達先の開拓にもグローバルに取り組んでおります。

④ 企業価値向上への取組み継続

(a) SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献する企業活動達成を推進し、企業価値の向上を図るとともに 活力ある豊かな社会づくりを実践する

SDGsに対する当社グループの基本方針は、事業活動を通じて環境と社会の課題解決に貢献し、経済的価値と社会的価値の「共創」を実現していくこととしております。その「共創」の実現により、持続的開発目標の達成を目指してまいります。

優先して取り組む主要目標として、①自動車産業の発展と社会に貢献する技術革新の実現、②地球環境に配慮した企業経営、③人と社会とのつながりを重視したステークホルダーとの関係強化、の3項目を掲げ、具体的取組事項を全部署の目標、調達先との協業目標に組込み、推進してまいります。

また、株主をはじめステークホルダーから信頼されるため、企業倫理に基づき法令・社会規範を遵守し、健全かつ透明性の高い、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる経営体制を構築し、コーポレート・ガバナンスの充実を図ってまいります。その取組みの一環として、本年6月の株主総会において、社外取締役(東京証券取引所の定めに基づく独立役員)1名の追加選任を決議いたしました。

(b) ステークホルダーへの安定的な還元を実行する

継続して企業価値の向上を図り、ステークホルダーの信頼向上に努めることを重視しており、その実現のために、強固な経営基盤と財務体質を維持し、株主様に対しては安定的な還元と積極的な資本政策を実施してまいります。

なお、2020年度は新型コロナウイルス感染症が拡大し、当社業績にも大きな影響を及ぼしましたが、年間配当は前年と同一の1株当たり52円を維持しました。また、株主還元の充実及び資本効率の向上を図ることを目的として自己株式の取得を3回実施し、総額795百万円(52万株)の自己株式を取得した他、従来保有していた自己株式(148万株)の消却も実施いたしました。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループでは、各部門ごとのリスク管理の状況につき、月次で開催する主管業務報告会で、主要部門からの報告を行い、取締役による監督を受けております。また、内部監査部門による監査結果報告も受け、内部統制委員会において、各種リスクに関する現状認識とその低減策について協議する体制としております。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 内外経済動向に係るリスク

当社グループが事業を展開する日本国内並びに海外各地域における景気、金融などの経済動向の変動や、これらの影響を受ける自動車メーカーの生産動向、個人消費動向の変動は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替相場の変動に伴う円貨換算リスク

当社グループは、現在、海外では米州、中国、アセアン、欧州及び台湾において生産、販売活動を展開しているため、為替の変動によって当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。海外子会社の資産・負債については円高が進行すると、それらの子会社に係る為替換算差額が生じ、純資産が減少するリスクがあります。また、海外子会社の収益は主に現地通貨をはじめとする外貨建であり、円高が進むと当社グループの連結純利益にマイナスの影響が生じます。

 

(3) 特定の産業への依存リスク

当社グループは、国内外において、自社の生産拠点で行う「ファクトリー機能」と、部品製造を国内で調達先企業と共同して行う「ファブレス機能」を併せ持つ部品サプライヤーであります。

事業の内容は、「自動車関連部品事業」「その他関連部品事業」の2つに区分しておりますが、「自動車関連部品事業」の比重が圧倒的に高くなっており、自動車産業の生産動向が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 価格競争リスク

得意先からの値下げ要請、海外市場での現地競合先の価格・品質面での競争力向上等により、価格競争が激化し、結果として、販売単価値下げによる収益率低下、失注等をもたらし、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、製造部門及び調達先との協業による原価改善を通じ、価格面での競争力維持向上のための施策を推進しておりますが、加えて、品質、デリバリー、加工技術開発力等も含めた総合力での優位性・競争力の維持向上を図ることにより、価格競争の影響を最小限とするよう努めております。

 

(5) 原材料価格又は為替等の市場変動により調達価格が上昇するリスク

原材料価格の高騰、又は輸入品における為替変動等により当社グループにおける材料・部品等の調達価格が上昇する場合において、価格上昇分を販売価格に転嫁できない場合に、収益率低下等をもたらし当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは原材料価格の変動については、得意先及び調達先と極力同期化を図ることで、その変動リスクを最小化するよう努めております。また、本社・子会社間における外貨建債務の支払いについては原則として為替予約を行い、為替相場の変動リスクを一定とする対応を行っております。

 

(6) 在庫リスク

当社グループは、得意先からの注文・内示・生産計画等の情報を受けて、製造または調達先への部品等の手配を行いますが、得意先の急激な減産や生産終了等の情報に適時に対応できなかった場合に、過剰在庫を抱えるリスクがあります。かかる場合に、得意先による在庫の買取り、補償等が得られない場合は、商品廃棄損の計上を余儀なくされ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、逆に得意先からの増産の要請に対しても適時に対応しなければ、得意先に欠品を生じさせてしまうリスクがあります。

当社グループでは得意先からの増減産、生産終了、設計変更等の情報をタイムリーに入手し、製造部門や調達先にも展開した上で、適正な在庫を維持できるよう、手配及び在庫の管理体制を整備しております。

 

 

(7) 与信リスク

当社グループでは、得意先に対する取引金額の上限である与信枠の設定を行い、不良債権発生の未然防止に努めております。しかしながら、得意先の急激な業績悪化等により、債権が回収不能となった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、取引金額が与信限度額の一定比率(アラームポイント)に達した時点で、営業と出荷担当部門に注意喚起(アラーム)を発信し、与信限度内での取引への調整及び対策を促しております。また、毎年一回、与信限度額の見直し時に取引状況、業績、財務内容の定期的チェックを行うとともに、業績が悪化している得意先については随時業績と支払状況の確認を行い、債権回収に滞りが発生しないよう管理しております。

 

(8) 海外事業における規制等リスク

当社グループが事業を展開している各国において、関税、輸入規制、労働を含む法令・制度等に変化があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、事業に係る各国の法律・規制変更の情報をタイムリーに入手し、本社と変更内容及び対応方針を共有することで、法令・規制等の変更リスクに的確に対処するようグループ内で徹底しております。

 

(9) 災害等、サプライチェーンのリスク

当社グループは、大規模な自然災害の発生時に事業への影響を最小化するため、事業継続計画(BCP)の構築を行っています。しかしながら、想定を超える災害等の発生により、自社の事業所または調達先における事業活動の遅延・停止等、サプライチェーンの寸断が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、まず社員の人命安全確保を最優先とした災害時安否確認システム、基幹システムのバックアップ体制を整備している他、重要業務の早期復旧のための対策を進めております。特定調達先に依存している調達部品への対応も含め、サプライチェーン情報を常にアップデートすると共に主要部品に関する代替調達先の検討を進め、サプライチェーンの寸断によるリスクを最小限とするよう努めております。

 

(10) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループでは、事業活動を通じ取引先や当社グループの機密情報・重要情報等を保有しており、これらの情報管理体制を整備しておりますが、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルス感染等により、情報システム障害及び情報の漏洩等につながる場合、当社グループの信用低下を通じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、これらのリスクを回避するため、情報システムの可用性の向上を図るとともに、ハード・ソフト両面のセキュリティ対策を実施しています。

 

(11) 品質管理におけるリスク

当社グループでは、「私たち、オーハシテクニカの社員は優れた品質で世界のお客様に最高の満足を提供します」とする品質理念を掲げ、厳格な品質保証体制を整備しております。しかしながら、万一、当社グループの製品の欠陥・不良等が原因となって得意先における製品の欠陥等を生じさせた場合に補償を求められる可能性があります。

当社グループでは、品質管理に影響を与える過去事例を分析し、未然防止を徹底することで、製造部門・調達先における品質管理体制の維持向上を図るとともに、重大なトラブルの発生時に備えて製造物賠償責任保険に加入し、これらのリスクを最小限とするよう努めております。

 

(12) 環境に関するリスク

当社グループでは、環境関連法令・諸規制を遵守し、環境管理体制の整備、継続的改善と汚染の予防に努めております。また、グリーン調達を推進するガイドラインを制定し、調達先にも展開することにより、環境活動を推進しております。

今後、当社グループが事業を展開する地域における規制・法令の変更がある場合に、対応が求められる可能性がありますが、これら諸規制の動向を注視し、変更時に的確に対処するよう徹底しております。

 

(13) 人材確保におけるリスク

当社グループは日本の他、世界6か国で操業しており、ビジネスモデルとしての商社機能の他、グループ内で製造機能、物流機能を有しており、相応の人員を確保する必要があります。そのため各部門にて業務の効率化、機械化、IT化等を積極的に進めるものの、国内では今後更に進行する労働人口の減少に伴い、有能な人材を十分確保できないリスクがあります。

当社グループでは、人材獲得については大学等の学校との関係強化、人材紹介会社の活用強化、同業種企業からの採用情報ルートの拡充に努める等、積極的に取り組んでおります。また、国内では再雇用制度を活用し、シニア層の活躍の場の拡充に努めております。

 

(14) 感染症に関するリスク

当社グループでは、日本を含め世界7か国で操業しており、グローバル化が進展した今日、各国、及び全世界の拠点にて役職員の感染リスク、或いは感染拡大により事業継続が困難となるリスクがあります。

当社グループでは、役職員及びその家族の安全と健康維持を最優先事項と捉え、事業を展開する各国の保健・衛生当局の指針に沿った防疫対策を行うことを徹底し、マスク、消毒液等の衛生用品の備蓄を行っております。また社員が出社できない状況となった場合にも業務継続が可能となるよう、不可欠な業務についてテレワークを可能とする体制を構築しています。

今回の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に際しては、グループ共通の「感染症ガイドライン」を制定し、各国で保健・衛生当局の指導内容に準拠した各職場での感染症対策を徹底するとともに、感染状況に応じて出社抑制、在宅勤務、一時休業等の勤務対応を実施し、感染による業務への影響を最小限に抑制する対応を行っております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済及びわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための外出規制、休業要請等で経済活動が厳しく制限され、第2四半期までは各地域で景気の悪化が継続しました。その間、各国とも感染症拡大の抑制と経済活動の両立に向けた政策を実行し、中国ではいち早く景気の回復がみられ、その他の地域においても景気は底打ちし、第3四半期以降、各国の景気は回復基調にありました。しかしながら、一部の国、地域では感染症の再拡大が進み、再度、緊急事態宣言やロックダウンが実施される事態となり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

当社グループの事業分野であります自動車業界におきましては、海外(当社会計期間2020年1月1日~2020年12月31日)では、第2四半期より中国での生産台数の急回復がみられたものの、その他の地域で新型コロナウイルス感染症拡大に伴う主要メーカーの操業停止が本格化し、生産台数は大幅に減少しました。その後、各国政府の政策が下支えとなり、第3四半期以降の生産台数は前年を上回る水準まで持ち直しましたが、当連結会計年度の海外生産台数は第2四半期までの落込みの影響が大きく、前年実績を下回る結果となりました。また、国内(当社会計期間2020年4月1日~2021年3月31日)では、主要得意先メーカーの生産台数は第1四半期を底に回復に転じており、第3四半期以降はほぼ前年並みの水準まで回復していますが、期初からの操業停止と需要の低迷に伴う生産台数の減少の影響が大きく、当連結会計年度の国内生産台数は海外同様、前年実績を下回っています。

このような状況下、当社グループでは事業基盤の強化と経費削減等による経営の効率化に努めてまいりましたが、連結売上高は第2四半期までの主要得意先メーカー各社の操業停止と、需要の低迷に伴う生産台数の減少の影響が大きく、前年比減収となりました。また、連結営業利益も各地域における第2四半期までの売上減少の影響が大きく、前年比減益となりました。

 

当連結会計年度の売上高は29,782百万円(前年同期比17.1%減)、営業利益は2,105百万円(同35.5%減)、経常利益は2,281百万円(同32.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,540百万円(同37.4%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。(セグメント売上高は、外部顧客に対するものであり、セグメント利益は、当期連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)

〔日本〕

当連結会計年度は第3四半期以降、それまでの急激な売上減少から持ち直したものの、期初からの新型コロナウイルス感染症拡大に伴う主要得意先メーカーの一時的な操業停止、その後の需要の低迷に伴う生産減少の影響が大きく、売上高は16,221百万円(前年同期比19.3%減)となりました。セグメント利益は売上減少の影響により、1,011百万円(同41.6%減)となりました。

〔米州〕

政府の経済対策と活動制限緩和、それに伴う自動車生産の回復によって、第3四半期以降の売上高は前年を上回る水準まで回復しました。しかしながら第2四半期の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う主要得意先メーカーでの操業停止や市場の冷え込みによる販売減少によって、売上高は6,235百万円(同15.8%減)となりまし た。セグメント利益は売上減少の影響により、429百万円(同29.0%減)となりました。

〔中国〕

2月から3月にかけて主要都市がロックダウンとなり、主要得意先メーカーが操業停止となったことから、売上高は大きく落込みましたが、5月からは前年を上回る水準で生産が急回復し、当連結会計年度は前年を上回る業績となりました。売上高は4,476百万円(同4.0%増)、セグメント利益は第2四半期からの生産台数の回復により、569百万円(同14.4%増)となりました。

〔アセアン〕

昨年度後半からのアセアン経済の不振と新型コロナウイルス感染症拡大の影響が重なり、自動車販売が低迷しました。市場回復も遅れ、期を通して主要得意先メーカーでの生産減少が続いたことから、売上高は2,003百万円(同28.5%減)となりました。セグメント利益は売上減少の影響が大きく、181百万円(同54.2%減)となりました。

〔欧州〕

昨年度前半からの販売台数の低迷に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が重なり、主要得意先メーカーにおいて大幅な生産減少となりました。これにより、売上高は846百万円(同34.8%減)となりました。セグメント損失は、売上減少、ポンド安に伴う輸入品仕入コストの上昇、拠点統合費用等により、82百万円(前年同期はセグメント損失79百万円)となりました。

〔台湾〕

台灣大橋精密股份有限公司は、グループ間取引のみのため、外部顧客への売上高はありません。グループ会社向けの輸出が減少し、売上高は減少しました。これに伴い、セグメント利益は20百万円(前年同期比52.4%減)となりました。

 

当連結会計年度末における資産の残高は、現金及び預金の減少等により、前連結会計年度末比222百万円減少し、42,138百万円となりました。

負債の残高は、支払手形及び買掛金や電子記録債務の増加等により、前連結会計年度末比30百万円増加し、10,465百万円となりました。

純資産の残高は、その他有価証券評価差額金の増加がありましたが、利益剰余金の減少等により、前連結会計年度末比252百万円減少し、31,672百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ481百万円減少し、21,361百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、2,122百万円の資金の増加(前連結会計年度は3,297百万円の増加)となりました。

 これは主に、法人税等の支払額が875百万円ありましたが、税金等調整前当期純利益を2,297百万円計上したことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、794百万円の資金の減少(前連結会計年度は544百万円の減少)となりました。

 これは主に、有形固定資産の取得788百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、1,469百万円の資金の減少(前連結会計年度は845百万円の減少)となりました。

 これは主に、自己株式の取得795百万円、配当金の支払675百万円によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2020年4月1日
 至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

日   本

(千円)

1,617,979

76.6

米   州

(千円)

769,330

86.3

中   国

(千円)

795,030

101.7

アセアン

(千円)

660,101

70.9

欧   州

(千円)

台   湾

(千円)

合計

(千円)

3,842,441

81.5

 

(注) 1.金額は実際原価によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(b) 仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2020年4月1日
 至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

日   本

(千円)

13,321,935

83.2

米   州

(千円)

3,999,062

80.7

中   国

(千円)

2,784,466

110.7

アセアン

(千円)

794,603

70.8

欧   州

(千円)

585,265

58.5

台   湾

(千円)

606,397

76.8

合計

(千円)

22,091,730

83.7

 

(注) 1.金額は仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(c) 受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 

(d) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2020年4月1日
 至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

日   本

(千円)

18,940,273

82.7

米   州

(千円)

6,237,127

84.2

中   国

(千円)

4,568,403

103.9

アセアン

(千円)

2,035,271

71.3

欧   州

(千円)

846,958

65.3

台   湾

(千円)

708,803

74.4

(千円)

33,336,837

83.8

セグメント間取引消去

(千円)

△3,554,561

91.3

合計

(千円)

29,782,276

82.9

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日野自動車株式会社

4,087,131

11.4

3,112,074

10.5

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

・経営成績

(売上高)

当連結会計年度の売上高は29,782百万円(前連結会計年度比17.1%減)となりました。新型コロナウィルス感染症拡大に伴う主要得意先の生産台数減少の影響につきましては、国内では、第2四半期までの生産台数減少の影響が大きく、売上高は16,221百万円(同19.3%減)となりました。海外では、中国での生産台数の急回復が見られたものの、その他の地域では、第2四半期までの日系自動車メーカーの生産台数減少の影響が大きく、米州は6,235百万円(同15.8%減)、中国は4,476百万円(同4.0%増)、アセアンは2,003百万円(同28.5%減)、欧州は846百万円(同34.8%減)となりました。

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は、主に国内、海外における売上高の減少により、6,974百万円(同19.4%減)、売上総利益率は23.4%(同0.7%減)となりました。

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は主に人件費と物流費、旅費交通費等で減少し、4,868百万円(同9.5%減)となりました。また、売上高販管費比率は売上高の減少に伴い16.3%(同1.4%増)となりました。

(営業利益)

国内では主要得意先の生産台数減少の影響による売上高の減少により、営業利益は減少しました。また、海外では、米州と欧州、アセアンでの売上高の減少に伴う営業利益の減少により、当連結会計年度の営業利益は2,105百万円(前連結会計年度比35.5%減)、営業利益率は7.1%(同2.0%減)となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は、主に営業利益の減少及び雇用調整助成金等の補助金収入により2,281百万円(同32.9%減)、経常利益率は7.7%(同1.8%減)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における当期純利益は1,548百万円(同37.6%減)となりました。主な減少要因は営業利益の減少によるものです。

親会社株主に帰属する当期純利益は1,540百万円(同37.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益率は5.2%(同1.7%減)となりました。

 

なお、報告セグメント別の業績は「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

・財政状態

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比222百万円減少し、42,138百万円となりました。これは主に受取手形及び売掛金と投資有価証券は増加した一方、現金及び預金が減少したことによるものです。

セグメント別では、国内では売掛金と投資有価証券は増加した一方、現金及び預金の減少により、前連結会計年度末比216百万円減少し、33,001百万円となりました。海外では、米州で前連結会計年度末比131百万円減少7,929百万円、中国で前連結会計年度末比518百万円増加5,936百万円、アセアンで前連結会計年度末比229百万円減少3,419百万円、欧州で前連結会計年度末比187百万円減少968百万円、台湾で前連結会計年度末比15百万円減少し、371百万円となりました。

(負債)

負債の合計は、前連結会計年度末比30百万円増加し、10,465百万円となりました。主な増加要因は、支払手形及び買掛金、電子記録債務の増加によるものであります。

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末比252百万円減少し、31,672百万円となりました。これは主にその他有価証券評価差額金が増加した一方、利益剰余金が減少したことによるものであります。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。

当社グループの主要な資金需要は、販売のための商品仕入、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備、改修等に係る投資であります。

当社グループの持続的な成長・企業価値の向上を図るためには、グローバル事業体制の拡充、強みのある製造基盤の構築を実現するための資本投下、製造設備の強化、M&Aを含めた投資等の検討が不可欠と考えております。

中長期的な経営戦略に沿った開発・製造機能の強化、特にグループ製造拠点の生産能力拡大のための設備投資と主要調達先との戦略的資本提携に資金の投入を行う方針です。また、安定的な還元と積極的な資本政策についても引続き取り組んでまいります。

これらの資金需要につきましては、自己資金を中心に対応していくこととしております。

 

③ 新型コロナウイルス感染症による当社グループ事業への今後の影響

翌連結会計年度における新型コロナウイルス感染症は、地域によってその影響や程度は異なるものの、ワクチン接種の普及には時間を要するため、引き続き売上高と収益に影響を与える可能性があると考えております。

このような状況下、今後の対処方針は、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。当社グループとしましては、早期に業績を回復し、拡大基調に戻すべく、対処すべき課題に記載した基本戦略を強力に推進してまいります。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

この連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行っておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。見積り及びその基礎となる仮定は、継続して見直され、会計上の見積りの変更による影響は、その見積りが変更された会計期間及び影響を受ける将来の会計期間において認識されます。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」、個別財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものは「第5 経理の状況 2.財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、独自技術である圧入プロジェクション接合技術に加え、子会社の保有する精密冷間鍛造技術をはじめとする各種技術、さらには調達先企業との協業により、当社独自の強みの創造を目指して研究開発活動に取り組んでおります。

当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費の金額は、日本国内を中心に、総額52百万円となっております。