第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、経営理念として「新たな価値を創造し、世界のお客様に信頼される会社を実現する」ことを掲げ、真に市場から必要とされ、お客様にとって無くてはならないサプライヤーになることを目指し、以下の経営方針を定めて事業活動を進めてまいりました。

① グローバル企業としてさらなる発展をめざす

② ファクトリー&ファブレス機能を強化し卓越した強みを創造する

③ 企業の成長を通し、社員の幸福と社会貢献を実現する

 

2021年4月に創業70周年を迎え、これを機に当社は、お客様に対して果たすべき使命を改めて定義し、当社グループの目指すべき姿を「ミッション・ステートメント」として以下のとおり制定しました。

 

もっといい車を作ろうとしている人に

 もっといい部品をお届けします

車づくりに欠かせない会社を目指して

 

当社グループはこのミッション・ステートメントを追求する事業活動を推進するため、今般、4か年の「中期経営計画~Mission2025~」(2022年度から2025年度まで)を策定しました。この中期経営計画では、自動車業界の発展と当社の業績拡大に資する「経済的価値の追求」と、社会や環境課題への積極的な取組みによる「社会的価値の創造」を両立することにより、「ミッション・ステートメント」の実現を目指すことを基本方針としております。

 

(2) 目標とする経営指標及びその推移

当社グループが目標とする経営指標(連結)につきましては、以下を掲げております。

① 売上高、売上高総利益率、営業利益、営業利益率

② ROE(自己資本当期純利益率)について8%以上を目標としております。

③ ROA(総資産経常利益率)について10%以上を目標としております。

④ DOE(純資産配当率)について2.5%以上を目標としております。

⑤ 配当性向について35%以上を目標としております。

 

なお、各経営指標の達成状況は以下のとおりです。

 

 

68期
2020年3月)(注)1

69期
2021年3月)(注)2

70期
2022年3月)(注)3

 

 

目標
(期首予想)

実績

目標
(期首予想)

実績

目標
(期首予想)

実績

売上高

(百万円)

40,000

35,905

27,000

29,782

36,000

32,545

売上高総利益率

(%)

25.0

24.1

23.4

23.4

23.7

23.6

営業利益

(百万円)

4,100

3,265

1,300

2,105

2,700

2,272

営業利益率

(%)

10.3

9.1

4.8

7.1

7.5

7.0

ROE
(自己資本当期純利益率)

(%)

8.0

8.0

8.0

4.9

6.4

5.6

ROA
(総資産経常利益率)

(%)

10.0

8.1

10.0

5.4

6.9

5.9

DOE
(純資産配当率)

(%)

2.3

2.5

2.3

2.4

2.6

2.5

配当性向

(%)

30.0

31.2

30.0

49.0

40.4

44.8

 

(注)1.68期(2020年3月)の目標(期首予想)は、2019年5月に公表した数値を記載(2019年11月に売上高36,000百万円、営業利益3,300百万円に下方修正)

2.69期(2021年3月)の目標(期首予想)は、2020年8月に公表した数値を記載(2021年2月に売上高29,000百万円、営業利益1,900百万円に上方修正)

3.70期(2022年3月)の目標(期首予想)は、2021年5月に公表した数値を記載(2022年2月に売上高32,500百万円、営業利益2,150百万円に下方修正)

 

(3) 経営環境

当社グループの事業分野であります自動車業界におきましては、電動化・情報化・自動化といった技術革新を伴う大変革期を迎えており、ユーザーニーズの変化や業界再編等、事業環境の変化が急速に進んでいます。特に、CO2排出削減(カーボンニュートラル)等に向けた取り組みは世界各国で加速しており、これまで以上に環境への対応が重要視されています。一方、新型コロナウイルス感染症が再拡大するなど収束の兆しが見られず、世界的な半導体不足による得意先自動車メーカーの減産、原材料費の値上がり、海上物流の混乱による物流費の高騰等が長期化しており、更に、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化に起因する資源価格の急騰や世界情勢の不安定化も加わり、自動車業界を取り巻く環境は益々不透明感を増しています。

このような経営環境の中、当社グループは、市場の変化を的確に捕捉し、お客様にとって無くてはならないサプライヤーとして新たな時代への飛躍を遂げるため、2022年4月より「中期経営計画~Mission 2025~」をスタートしました。

 

(4) 中長期的な経営戦略

当社グループは、今後4年間の事業活動を、2022年3月に公表した「中期経営計画~Mission 2025~」に基づいて推進してまいります。そして、その最終年度には目標であるグループ連結売上高450億円、連結営業利益41億5千万円の達成を目指します。併せて環境問題、社会的課題、ガバナンス強化に積極的に取り組むESG経営を推進し、社会に貢献する事業活動を実行してまいります。


 

また、これらの戦略を遂行するための投資については、4年間で設備投資60億円、研究開発費10億円、ESG関連投資10億円を計画しています。

 

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 経済的価値の追求のため、当社の「四つの基本機能」を強化し、更なる事業拡大を図る

(a) 開発機能の強化

幅広いマーケティング活動に基づき、新たな加工技術を開発し、市場創造型ビジネスを展開することと共に、既存の当社独自技術の進化により、市場地位の向上を図ることを目指します。

そのための専門部署として、2022年4月に「開発企画部」を新設し、減速機ユニット、モーターユニット、HV用エンジンユニット等、次世代自動車への採用が見込まれる部品を中心に、精密塑性加工技術や接合技術等の高度化を目指します。これらの取組みは当社の強みを増していくだけではなく、各自動車メーカーがCO2削減目標を掲げて開発・投入を進めているHVやEV等に、当社の独自加工技術を用いた部品が採用されることにより、結果的に環境問題への対応として貢献できると考えており、今後、更に加速してまいります。

また、当社独自の加工技術である「圧入プロジェクション接合技術」は、「高強度化・大口径対応」「高精度化」「軽量・コンパクト化」を実現するものであり、今後の拡大が期待される自動運転関連部品や電動化部品として既に大手自動車メーカー数社に採用されております。今後は、本接合技術を幅広い部品の製造に活用する等の開発活動に更に注力してまいります。

(b) 製造機能の強化

積極的な設備投資による生産対応力の拡大により競争力の強化を図ると共に、技術力の向上を図り、高い生産性の実現を目指します。

長期的には世界の自動車生産台数の増加が見込まれており、お客様が求めるニーズも更に多様化、高度化していくものと考えています。こうした需要をカバーし、多種多様な品揃えで差別化を図っていくため、各製造拠点の生産対応能力を拡大し、当社グループ内製率拡大のための設備投資計画を推進するとともに、調達先の生産能力拡大にも協業して生産体制の強化を図ります。

また、競争力強化のための生産技術の向上と自動化・省人化を追求すること、さらに生産体制整備のための人的資産への積極的な投資を実行してまいります。

具体的な施策の一例としては、当社国内製造子会社のオーハシ技研工業株式会社の鈴鹿工場の第2工場建設計画等があり、これらを積極的に推進し、中期的な目処として、売上高に占めるグループ製造部門の比率を現状の25%から40%に引き上げることを目指します。

(c) 調達機能の強化

主要調達先との関係強化により、新たなファブレス機能を創造することと共に、戦略的な関係を構築できる新たな調達先の開拓も推進してまいります。

お客様のニーズは多様化しており、そのニーズに対応するためには、自社の開発・製造機能の強化と併せ、高い技術力を有する調達先企業との連携を更に強化し、事業活動を行うことが不可欠と考えております。具体的には、新たな資本提携・M&Aの検討とその実現に向けた協議・条件整備を進めるとともに、主要調達先との設備投資の協業、共同特許出願を念頭に置いた独自加工技術の共同開発を目指します。また、新たな強みの構築と弱みの補完に資する調達先の発掘活動にも取り組んでまいります。

(d) グローバル機能の強化

グローバルファクトリー機能を強化することと、当社グループのネットワーク(14拠点)を活かしたグローバル部品供給活動を推進するものです。具体的には、日本、北米、中国、タイの4極において、圧造・プレス・切削の3つの加工技術に対応できる生産体制を確立すること、及びお客様のグローバル生産に対応した世界ベストQCD(品質・コスト・納期)体制を確立することを目指します。

 

② 社会的価値創造のため、ESG経営を推進し、企業価値向上とサステナブル社会の実現に貢献する

当社グループが持続的成長を遂げるためには、経済的価値を追求すると共に、企業としての社会的責任を積極的に果たし、事業を通じた社会課題の解決に取組み、社会に利益を還元していくことが不可欠であると考えております。この考えのもと、多様な角度から社内外の課題を改めて整理し、ステークホルダーにとって、また当社グループにとっての重要性の2軸で優先順位を付け、地球環境課題・社会的課題・ガバナンス強化の3つの側面から社会と共に持続的な成長を遂げるための重要課題(マテリアリティ)を特定しました。また、ステークホルダーへの皆様への還元についても、重要な経営課題の一つとして更に積極的に検討してまいります。

 

当社グループは、ESG経営を推進し、これらの課題解決に向けた取り組みを実践してまいります。そしてSDGsの達成、すなわち持続可能な社会の実現に貢献し、すべてのステークホルダーの皆さまから信頼され、評価される企業グループの実現を目指してまいります。




 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループでは、各部門ごとのリスク管理の状況につき、月次で開催する主管業務報告会で、主要部門からの報告を行い、取締役による監督を受けております。また、内部監査部門による監査結果報告も受け、内部統制委員会において、各種リスクに関する現状認識とその低減策について協議する体制としております。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 内外経済動向に係るリスク

当社グループが事業を展開する日本国内並びに海外各地域における景気、金融などの経済動向の変動や、これらの影響を受ける自動車メーカーの生産動向、個人消費動向の変動は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替相場の変動に伴う円貨換算リスク

当社グループは、現在、海外では米州、中国、アセアン、欧州及び台湾において生産、販売活動を展開しているため、為替の変動によって当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。海外子会社の資産・負債については円高が進行すると、それらの子会社に係る為替換算差額が生じ、純資産が減少するリスクがあります。また、海外子会社の収益は主に現地通貨をはじめとする外貨建であり、円高が進むと当社グループの連結純利益にマイナスの影響が生じます。

 

(3) 特定の産業への依存リスク

当社グループは、国内外において、自社の生産拠点で行う「ファクトリー機能」と、部品製造を国内で調達先企業と共同して行う「ファブレス機能」を併せ持つ部品サプライヤーであります。

事業の内容は、「自動車関連部品事業」「その他関連部品事業」の2つに区分しておりますが、「自動車関連部品事業」の比重が圧倒的に高くなっており、自動車産業の生産動向が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 価格競争リスク

得意先からの値下げ要請、海外市場での現地競合先の価格・品質面での競争力向上等により、価格競争が激化し、結果として、販売単価値下げによる収益率低下、失注等をもたらし、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、製造部門及び調達先との協業による原価改善を通じ、価格面での競争力維持向上のための施策を推進しておりますが、加えて、品質、デリバリー、加工技術開発力等も含めた総合力での優位性・競争力の維持向上を図ることにより、価格競争の影響を最小限とするよう努めております。

 

(5) 原材料価格又は為替、物流費等の市場変動により調達価格又は調達に係るコストが上昇するリスク

原材料価格の高騰、又は輸入品における為替変動等により当社グループにおける材料・部品等の調達価格が上昇する場合において、価格上昇分を販売価格に転嫁できない場合に、収益率低下等をもたらし当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、原材料価格の変動については、得意先及び調達先と極力同期化を図ることで、その変動リスクを最小化するよう努めております。また、本社・子会社間における外貨建債務の支払いについては原則として為替予約を行い、為替相場の変動リスクを一定とする対応を行っております。

また、世界的な物流の逼迫に伴う海上物流費用等の高騰が長期化する場合には、当社グループ各社間における輸入品の調達コスト上昇により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、海上物流費用等の高騰の影響を最小限に抑えるため、グループ各社における現地調達品や内製品の取扱比率の拡大を図るべく、取組みを進めております。

 

(6) 在庫リスク

当社グループは、得意先からの注文・内示・生産計画等の情報を受けて、製造又は調達先への部品等の手配を行いますが、得意先の急激な減産や生産終了等の情報に適時に対応できなかった場合に、過剰在庫を抱えるリスクがあります。かかる場合に、得意先による在庫の買取り、補償等が得られない場合は、商品廃棄損の計上を余儀なくされ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、逆に得意先からの増産の要請に対しても適時に対応しなければ、得意先に欠品を生じさせてしまうリスクがあります。

当社グループでは得意先からの増減産、生産終了、設計変更等の情報をタイムリーに入手し、製造部門や調達先にも展開した上で、適正な在庫を維持できるよう、手配及び在庫の管理体制を整備しております。

 

(7) 与信リスク

当社グループでは、得意先に対する取引金額の上限である与信枠の設定を行い、不良債権発生の未然防止に努めております。しかしながら、得意先の急激な業績悪化等により、債権が回収不能となった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、取引金額が与信限度額の一定比率(アラームポイント)に達した時点で、営業と出荷担当部門に注意喚起(アラーム)を発信し、与信限度内での取引への調整及び対策を促しております。また、毎年一回、与信限度額の見直し時に取引状況、業績、財務内容の定期的チェックを行うとともに、業績が悪化している得意先については随時業績と支払状況の確認を行い、債権回収に滞りが発生しないよう管理しております。

 

(8) 海外事業における規制等リスク

当社グループが事業を展開している各国において、関税、輸入規制、労働を含む法令・制度等に変化があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、事業に係る各国の法律・規制変更の情報をタイムリーに入手し、本社と変更内容及び対応方針を共有することで、法令・規制等の変更リスクに的確に対処するようグループ内で徹底しております。

 

(9) 災害等、サプライチェーンのリスク

当社グループは、大規模な自然災害の発生時に事業への影響を最小化するため、事業継続計画(BCP)の構築を行っています。しかしながら、想定を超える災害等の発生により、自社の事業所又は調達先における事業活動の遅延・停止等、サプライチェーンの寸断が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、まず社員の人命安全確保を最優先とした災害時安否確認システム、基幹システムのバックアップ体制を整備している他、重要業務の早期復旧のための対策を進めております。特定調達先に依存している調達部品への対応も含め、サプライチェーン情報を常にアップデートすると共に主要部品に関する代替調達先の検討を進め、サプライチェーンの寸断によるリスクを最小限とするよう努めております。

 

(10) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループでは、事業活動を通じ取引先や当社グループの機密情報・重要情報等を保有しており、これらの情報管理体制を整備しておりますが、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルス感染等により、情報システム障害及び情報の漏洩等につながる場合、当社グループの信用低下を通じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、これらのリスクを回避するため、情報システムの可用性の向上を図るとともに、ハード・ソフト両面のセキュリティ対策を実施しています。

 

(11) 品質管理におけるリスク

当社グループでは、「私たち、オーハシテクニカの社員は優れた品質で世界のお客様に最高の満足を提供します」とする品質理念を掲げ、厳格な品質保証体制を整備しております。しかしながら、万一、当社グループの製品の欠陥・不良等が原因となって得意先における製品の欠陥等を生じさせた場合に補償を求められる可能性があります。

当社グループでは、品質管理に影響を与える過去事例を分析し、未然防止を徹底することで、製造部門・調達先における品質管理体制の維持向上を図るとともに、重大なトラブルの発生時に備えて製造物賠償責任保険に加入し、これらのリスクを最小限とするよう努めております。

 

(12) 環境に関するリスク

当社グループでは、環境関連法令・諸規制を遵守し、環境管理体制の整備、継続的改善と汚染の予防に努めております。また、グリーン調達を推進するガイドラインを制定し、調達先にも展開することにより、環境活動を推進しております。

今後、当社グループが事業を展開する地域における規制・法令の変更がある場合に、対応が求められる可能性がありますが、これら諸規制の動向を注視し、変更時に的確に対処するよう徹底しております。

 

(13) 人材確保におけるリスク

当社グループは日本の他、世界6か国で操業しており、ビジネスモデルとしての商社機能の他、グループ内で製造機能、物流機能を有しており、相応の人員を確保する必要があります。そのため各部門にて業務の効率化、機械化、IT化等を積極的に進めるものの、国内では今後更に進行する労働人口の減少に伴い、有能な人材を十分確保できないリスクがあります。

当社グループでは、人材獲得については大学等の学校との関係強化、人材紹介会社の活用強化、同業種企業からの採用情報ルートの拡充に努める等、積極的に取り組んでおります。また、国内では再雇用制度を活用し、シニア層の活躍の場の拡充に努めております。

 

(14) 感染症に関するリスク

当社グループでは、日本を含め世界7か国で操業しており、グローバル化が進展した今日、各国、及び全世界の拠点にて役職員の感染リスク、或いは感染拡大により事業継続が困難となるリスクがあります。

当社グループでは、役職員及びその家族の安全と健康維持を最優先事項と捉え、事業を展開する各国の保健・衛生当局の指針に沿った防疫対策を行うことを徹底し、マスク、消毒液等の衛生用品の備蓄を行っております。また社員が出社できない状況となった場合にも業務継続が可能となるよう、不可欠な業務についてテレワークを可能とする体制を構築しています。

今回の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に際しては、グループ共通の「感染症ガイドライン」を制定し、各国で保健・衛生当局の指導内容に準拠した各職場での感染症対策を徹底するとともに、感染状況に応じて出社抑制、在宅勤務、一時休業等の勤務対応を実施し、感染による業務への影響を最小限に抑制する対応を行っております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、前期の新型コロナウイルス感染症の急拡大による大幅な落込みに対し回復基調で始まったものの、相次ぐ変異株による感染再拡大や半導体及びその他部品の供給不足が顕在化し、様々な製造業において生産調整の動きが本格化しました。また経済再開に伴う原材料価格の値上がりや海上輸送費の高騰等が、企業業績改善の大きな足かせとなり、その影響は現在も継続しております。世界経済の見通しは、より感染力の強い新型コロナウイルス変異株の拡大やウクライナをめぐる国際情勢の緊迫化も加わって、依然として不透明で予断を許さない状況にあります。

当社グループの事業分野であります自動車業界におきましては、半導体不足を主因とした部品供給不足による生産調整が断続的に継続され、日系自動車メーカーのグローバル生産台数はコロナ禍前の状態まで回復せず、結果として前年とほぼ同水準の実績となりました。

このような状況下、当社グループでは事業基盤の強化と経費削減等による経営効率化に取り組んでまいりました結果、連結売上高は前年同期比では各拠点における新規受注品の寄与等により増収となりました。連結営業利益についても、特に下半期において原材料費や海外物流費の高騰等の影響を大きく受けたものの、前年同期比増益となりました。

当連結会計年度の売上高は32,545百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益は2,272百万円(同7.9%増)、経常利益は2,536百万円(同11.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,791百万円(同16.3%増)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高及び売上原価が同額の100百万円減少しております。これによる各利益金額への影響はございません。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。(セグメント売上高は、外部顧客に対するものであり、セグメント利益は、当期連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)

 

〔日本〕

半導体不足と東南アジアからの部品供給の停滞による生産調整の影響で乗用車メーカーの生産台数は減少に転ずるも、主要得意先である商用車メーカーの生産回復と新規受注品の寄与により、売上高は17,827百万円(前年同期比9.9%増)となりました。セグメント利益は、売上増加及び製造原価の改善により、1,313百万円(前年同期比29.8%増)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は100百万円減少しております。これによるセグメント利益額への影響はございません。

〔米州〕

世界的な半導体の供給不足や海上物流の停滞が主要得意先メーカーの生産に影響を与えてはいるものの、新規受注品の寄与により、売上高は6,618百万円(前年同期比6.1%増)となりました。セグメント利益は、海上物流の混乱による輸送費の高騰や代替輸送手段の利用により、302百万円(前年同期比29.5%減)となりました。

〔中国〕

世界的な半導体の供給不足が主要得意先メーカーの生産に影響を与えてはいるものの、新規受注品の寄与により、売上高は4,807百万円(前年同期比7.4%増)となりました。セグメント利益は、前年の各種企業支援策の解消や大型設備の償却費負担により、554百万円(前年同期比2.6%減)となりました。

〔アセアン〕

前年の新型コロナウイルス感染症拡大による主要得意先メーカーの生産落込みからの回復と新規受注品の寄与により、売上高は2,420百万円(前年同期比20.8%増)となりました。セグメント利益は、売上増加及び製造原価の改善により、398百万円(前年同期比119.9%増)となりました。

〔欧州〕

世界的な半導体の供給不足が主要得意先メーカーの生産に影響を与えてはいるものの、新規受注品の寄与により売上高は872百万円(前年同期比3.1%増)となりました。セグメント損失は、海上物流費用と原材料高騰による売上原価の上昇により、120百万円(前年同期はセグメント損失82百万円)となりました。なお、半導体の供給不足に伴う先行きの販売回復の遅れ及び海上物流費用と原材料高騰の更なる顕在化を見込んだことにより、事業用資産の回収可能価額が帳簿価額を下回ったため、当連結会計年度において有形固定資産の減損損失(特別損失)を56百万円認識しております。

 

〔台湾〕

台灣大橋精密股份有限公司は、グループ間取引のみのため、外部顧客への売上高はありません。

グループ会社向けの輸出は増加しましたが、セグメント損失は、海上物流費用の大幅上昇により42百万円(前年同期はセグメント利益20百万円)となりました。

 

当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末比1,214百万円増加し、43,352百万円となりました。これは主として、商品及び製品、有形固定資産が増加したことによるものであります。

負債の残高は、前連結会計年度末比561百万円減少し、9,903百万円となりました。これは主として、支払手形及び買掛金、電子記録債務の減少及び米国での新型コロナウイルス感染症対策に係わる雇用保護目的の借入金が返済不要と認定され、減少したことによるものであります

純資産の残高は、前連結会計年度末比1,776百万円増加し、33,448百万円となりました。これは主として、利益剰余金、為替換算調整勘定の増加及び自己株式の減少によるものであります。なお、自己株式は、既存保有分の消却により890百万円減少しましたが、新たな取得により646百万円増加し、567百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,152百万円減少し、20,209百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、567百万円の資金の増加(前連結会計年度は2,122百万円の増加)となりました。

 これは主に、棚卸資産の増加1,975百万円や法人税等の支払額が759百万円ありましたが、税金等調整前当期純利益を2,589百万円計上したことや、売上債権の減少766百万円があったことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、992百万円の資金の減少(前連結会計年度は794百万円の減少)となりました。

 これは主に、有形固定資産の取得974百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、1,664百万円の資金の減少(前連結会計年度は1,469百万円の減少)となりました。

 これは主に、配当金の支払824百万円及び自己株式の取得645百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

日   本

(千円)

1,670,976

103.3

米   州

(千円)

970,549

126.2

中   国

(千円)

963,844

121.2

アセアン

(千円)

853,753

129.3

欧   州

(千円)

台   湾

(千円)

合計

(千円)

4,459,123

116.0

 

(注) 金額は実際原価によっております。

 

 

(b) 仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

日   本

(千円)

15,163,255

113.8

米   州

(千円)

4,887,928

122.2

中   国

(千円)

2,962,172

106.4

アセアン

(千円)

1,064,307

133.9

欧   州

(千円)

1,057,877

180.8

台   湾

(千円)

1,072,296

176.8

合計

(千円)

26,207,838

118.6

 

(注) 1.金額は仕入価格によっております。

 

(c) 受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(d) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

日   本

(千円)

20,712,662

109.4

米   州

(千円)

6,621,278

106.2

中   国

(千円)

4,936,268

108.1

アセアン

(千円)

2,499,528

122.8

欧   州

(千円)

872,037

103.0

台   湾

(千円)

1,158,641

163.5

(千円)

36,800,416

110.4

セグメント間取引消去

(千円)

△4,255,038

119.7

合計

(千円)

32,545,378

109.3

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日野自動車株式会社

3,112,074

10.5

3,645,736

11.2

 

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

・経営成績

(売上高)

当連結会計年度の売上高は32,545百万円(前連結会計年度比9.3%増)となりました。国内では、半導体不足や部品供給の停滞による生産調整により乗用車メーカーの生産台数は減少したものの、主要得意先である商用車メーカーの生産回復と新規受注品の寄与により、売上高は17,827百万円(同9.9%増)となりました。海外では、半導体の供給不足や海上物流の停滞が主要得意先メーカーの生産に影響を与えてはいるものの、アセアンでの生産回復と各拠点における新規受注品の寄与及び為替換算の影響により、米州は6,618百万円(同6.1%増)、中国は4,807百万円(同7.4%増)、アセアンは2,420百万円(同20.8%増)、欧州は872百万円(同3.1%増)となりました。

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は、主に国内、海外における売上高の増加と製造原価の改善により、7,678百万円(同10.1%増)、売上総利益率は23.6%(同0.2%増)となりました。

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は主に人件費と物流費等で増加し、5,406百万円(同11.0%増)となりました。また、売上高販管費比率は売上高の増加に伴い16.6%(同0.3%増)となりました。

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は、主に国内、海外における売上高の増加と製造原価の改善により、2,272百万円(前連結会計年度比7.9%増)、営業利益率は7.0%(同0.1%減)となりました。

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は、主に営業利益の増加及び雇用調整助成金等の補助金収入により2,536百万円(同11.2%増)、経常利益率は7.8%(同0.1%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における当期純利益は1,807百万円(同16.7%増)となりました。主な増加要因は営業利益の増加によるものです。

親会社株主に帰属する当期純利益は1,791百万円(同16.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益率は5.5%(同0.3%増)となりました。

 

なお、報告セグメント別の業績は「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

・財政状態

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比1,214百万円増加し、43,352百万円となりました。これは主に半導体不足を主因とした部品供給不足による日系自動車メーカーの生産調整による商品及び製品の増加、設備投資により有形固定資産が増加したことによるものです。

セグメント別では、国内では商品及び製品が増加した一方、現金及び預金の減少により、前連結会計年度末693百万円減少し、32,308百万円となりました。海外では、米州で前連結会計年度末比889百万円増加8,818百万円、中国で前連結会計年度末比845百万円増加6,782百万円、アセアンで前連結会計年度末比288百万円増加3,707百万円、欧州で前連結会計年度末比281百万円増加1,249百万円、台湾で前連結会計年度末比104百万円増加し、476百万円となりました。

(負債)

負債は、前連結会計年度末比561百万円減少し、9,903百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金、電子記録債務の減少及び米国での新型コロナウイルス感染症対策に係わる雇用保護目的の借入金が返済不要と認定され、減少したことによるものであります

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末比1,776百万円増加し、33,448百万円となりました。これは主に、利益剰余金、為替換算調整勘定の増加及び自己株式の減少によるものであります。なお、自己株式は、既存保有分の消却により890百万円減少しましたが、新たな取得により646百万円増加し、567百万円となりました

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。

当社グループの主要な資金需要は、販売のための商品仕入、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備、改修等に係る投資であります。

当社グループの持続的な成長・企業価値の向上を図るためには、グローバル事業体制の拡充、強みのある製造基盤の構築を実現するための資本投下、製造設備の強化、M&Aを含めた投資等の検討が不可欠と考えております。

中長期的な経営戦略に沿った開発・製造機能の強化、特にグループ製造拠点の生産能力拡大のための設備投資と主要調達先との戦略的資本提携に資金の投入を行う方針です。また、安定的な還元と積極的な資本政策についても引続き取り組んでまいります。

これらの資金需要につきましては、自己資金を中心に対応していくこととしております。

 

③ 新型コロナウイルス感染症による当社グループ事業への今後の影響

翌連結会計年度における新型コロナウイルス感染症は、地域によってその影響や程度は異なるものの、引き続き売上高と収益に影響を与える可能性があると考えております。

このような状況下、今後の対処方針は、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。当社グループとしましては、早期に業績を回復し、拡大基調に戻すべく、対処すべき課題に記載した基本戦略を強力に推進してまいります。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

この連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行っておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。見積り及びその基礎となる仮定は、継続して見直され、会計上の見積りの変更による影響は、その見積りが変更された会計期間及び影響を受ける将来の会計期間において認識されます。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」、個別財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものは「第5 経理の状況 2.財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、独自技術である圧入プロジェクション接合技術に加え、子会社の保有する精密冷間鍛造技術をはじめとする各種技術、さらには調達先企業との協業により、当社独自の強みの創造を目指して研究開発活動に取り組んでおります。

当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費の金額は、日本国内を中心に、総額51百万円となっております。