第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当期におけるわが国経済は、政府による経済対策や日銀の金融緩和政策を背景として、企業収益や雇用・所得環境に改善が見られたものの、消費税率引き上げに伴う個人消費の停滞が長期化して実体経済の持ち直しは鈍く、加えて円安進行による輸入原材料の調達コストの増加や、海外経済の減速懸念など、景気の先行きに対する不透明感は、依然として払拭できない状況の下で推移いたしました。

 当社の関連する住宅市場におきましては、低水準にある住宅ローン金利や被災地着工の増加に加え、すまい給付金など政府による税負担軽減策をも背景として、底堅い推移を示すと見られたものの、消費増税の影響は想定外に大きく、かつ長引き、併せて労務費及び建設資材の高騰、人手不足による工期や着工の遅延なども顕現して、新設住宅着工戸数は総じて低水準のまま推移いたしました。

 このような環境の下、当社は今期を最終年度とする「第8次中期経営計画(第59期~第61期)」において掲げた「次世代に向けた企画開発力の向上」との基本方針を貫徹すべく、住宅関連産業における企画開発型企業として、より現場主義に徹した商品開発を目指して、市場のニーズに応えるものづくりを推進するとともに、全方位のお客様に対する積極的な営業活動に最大の努力を傾け、併せて販売費及び一般管理費の圧縮など、調整かつ管理可能な諸施策を講じつつ、困難な市場環境に対応し得る営業体制とこれを支える管理体制の強化を図り、更には商品戦略、市場戦略及び情報システム戦略に一層の前進を果たすべく、鋭意、当面する各々の課題に取り組んで参りました。

 商品戦略につきましては、日々嵩じるお客様のご要望に即応し、より現場主義に徹した柔軟で機動力のある商品開発を目指して、営業本部直轄の「営業設計グループ」を主軸に据え、機能性と利便性の向上を実現しつつ、ソフトクローズのトップメーカーとして、開時・閉時の双方にクローズ機能が働く「2wayソフトクローズFCXシリーズ」を追加投入するなど、商品群の拡充と市場への浸透に注力いたしました。

 一方、市場戦略につきましては、営業本部直轄として立ち上げた「販売促進グループ」において、当社商品の認知度向上と販路開拓を含む積極的な営業支援活動を展開しつつ、新規開拓先への提案を重ねて具体的な成果を継続して挙げております。また、アトムCSタワーにおきましては、「秋の内覧会」及び「春の新作発表会」の定期開催はもとより、金物のみならず広くインテリアに関わる商品を常設展示して高い評価をいただき、更には「ATOM+東海大」産学協同の商品開発プロジェクトによる発表会を開催したほか、東北復興支援を始め、当社主催及び各団体・企業との共催による各種セミナー・イベントに加えて、金物知識の普及を図る各種勉強会を恒常的に催行するなど、同所開設の本旨に則り、積極的に新分野・異分野の開拓を図って参りました。

 更に情報システム戦略につきましては、当社の経営管理体制を支える「統合型業務ソフトウェア」の大幅なバージョンアップに取り組み、本年3月冒頭から運用を開始しつつ実用化を完了し、営業・業務・現業の各部門とも、あまねく同システムを最大限に活用して、業務効率ならびに経営効率の一層の向上を図りました。

 このような経営全般にわたる諸施策を期中における内外況の変化に即応して推進して参りました結果、当期の売上高は9,301百万円(前期比 4.2%減)、営業利益は443百万円(前期比 34.6%減)、経常利益は488百万円(前期比 31.7%減)、当期純利益は307百万円(前期比 26.1%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ72百万円減少し、当事業年度末では2,119百万円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は290百万円(前年同期は382百万円の増加)となりました。

 主な資金増加要因は、税引前当期純利益486百万円、資金流出ではない減価償却費194百万円等によるものです。また主な資金減少要因は、売上債権の増加額73百万円、法人税等の支払額298百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は242百万円(前年同期は32百万円の減少)となりました。

 これは主に商品開発の金型など有形固定資産の取得による支出130百万円、情報システムの更新に伴う無形固定資産の取得による支出116百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は119百万円(前年同期は119百万円の減少)となりました。

 これは配当金の支払額119百万円によるものです。

 

2【仕入及び販売の状況】

(1)仕入実績

 当事業年度の仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

当事業年度

(自 平成26年7月1日

至 平成27年6月30日)

前期比(%)

折戸・引戸金物(千円)

4,508,317

△2.1

開戸金物(千円)

710,542

△6.4

引出・収納金物(千円)

614,939

△16.0

取手・引手(千円)

369,066

△10.0

附帯金物(千円)

547,456

△1.4

合計(千円)

6,750,323

△4.4

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当社は、単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

 

(2)販売実績

 当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

当事業年度

(自 平成26年7月1日

至 平成27年6月30日)

前期比(%)

折戸・引戸金物(千円)

6,441,913

△2.5

開戸金物(千円)

912,303

△7.4

引出・収納金物(千円)

767,645

△14.0

取手・引手(千円)

464,772

△7.7

附帯金物(千円)

714,564

△0.5

合計(千円)

9,301,198

△4.2

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当社は、単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

 

3【対処すべき課題】

 当社は、事業環境に左右されない経営基盤の確立をキーワードに、変動する経営環境下においても安定成長を可能とする市場優位性の維持と収益力の強化に向けて<商品戦略><市場戦略><情報システム戦略>を策定し、これらを実行することで既存事業と新規事業の有機的結合による21世紀型ビジネスモデル、すなわち「住空間創造企業」の構築を目指しております。なお、上記3つの戦略における主な重点施策は以下の通りです。

 

① <商品戦略>におきましては、数多あるアトムオリジナル商品の再構成に着手し、シリーズ商品の集約化を図るなど顧客利便性の向上に努め、併せて居住空間のトータルデザイン化を目指して、更なる販路拡大ならびに新たな戦略的商品開発(裾野の広い商品群の開発)を全社一丸となり推進して参ります。更にリフォーム市場への対応強化をはじめ、高齢化社会及び価値観の多様化などの社会的要請に対応する「バリアフリー・快適性・安全性・利便性」等々を有する快適提案品シリーズやソフトクローズ関連商品、すなわちユニバーサルデザイン金物の更なる拡充を図るとともに、「繊細なものづくりの精神」を反映させた商品開発を実現すべく、手間をはぶく省施工から取付けやすい簡易施工へとシフトする取り組みを強化して参ります。

 

② <市場戦略>におきましては、ATOMダイレクトショップの情報発信機能を活用するとともに、更に加えて設計事務所・工務店など、実際に製品を使うエンドユーザーのニーズや声を反映させるマーケティング機能をも有効に活用し、住まいに関わる新たな商材を開拓・投入して一層の充実を図るとともに、ISO9001及びISO14001の認証取得企業として、品質と環境に配慮した商品開発を継続しつつ、「アトムCSタワー」を主軸とした新分野・異分野への展開を積極的かつ持続的に推進して参ります。

 また、市場ニーズに応える機能商品の構造が複雑になる中、その商品情報をあまねく市場に浸透させるために、これまでに培ってきたお客様との信頼関係を守りつつ、部門の垣根を超えた新たな営業展開を推進して参ります。更に今後の成長が期待される東南アジアにベトナム駐在員事務所(ホーチミン市)を開設し、市場情報の収集とネットワークの構築に努め、現地販売を目論むとともに日本国内への供給をも目指します。

 

③ <情報システム戦略>におきましては、金物業界のIT化における企業モデルの構築を目指して、大幅にバージョンアップした戦略的経営統合システムの活用を推進するとともに、前項の市場戦略に基づき、ATOMダイレクトショップにおける商品アイテムの充実を始めとして、インターネットを最大限に活用した事業展開を強化して参ります。

 

 また、当面する住宅関連市場の不透明な事業環境の下ながらも、当社は、時代の変化に即応し得る柔軟かつ機動的な新しいフレームワークの構築が必須であるとの判断に基づき、商品開発と販売・購買体制の拡充強化はもとより、経営体制の高度化による業務運用全般の品質向上を目指しており、すべからく企業活動の更なる活性化を図り、内装金物分野におけるリーディングカンパニーとしてのポジションをより確固たるものにすることこそが、当社の果たすべき責務と考え、引き続き安定的な収益体質を維持向上させて行くことと併せて、ユーザビリティーが高い商品の提供を通じて、社会の発展に貢献して参る所存です。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(住宅投資動向が当社の業績に及ぼす影響について)

 当社は、家具金物・建築金物・陳列金物など、住宅用内装金物全般の企画・開発・販売を行っており、主として当社が企画開発した商品をメーカーに製造委託し、「ATOM」ブランドで国内全域の家具メーカー、建築金物店、ハウスメーカー、住宅設備機器メーカー等に販売しております。

 住宅用内装金物は主として住宅新設時に使用されるため、当社の業績は新設住宅着工戸数の増減に影響されます。

 また、新設住宅着工戸数は、一般景気動向、金利動向、雇用情勢、地価動向、税制等の影響を受けるため、当社の業績もこれら外部要因に左右される可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当事業年度における研究開発活動は、日々嵩じるお客様のご要望に即応し、より現場主義に徹した柔軟で機動力のある商品開発を目指して、営業本部直轄の「営業設計グループ」を主軸に据え、機能性と利便性の向上を実現しつつ、ソフトクローズのトップメーカーとして、開時・閉時の双方にクローズ機能が働く「2wayソフトクローズFCXシリーズ」を追加投入するなど、商品群の拡充と市場への浸透に注力いたしました。

 当事業年度における研究開発費は114百万円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

 当事業年度末の資産総額は、8,905百万円となり、前事業年度末に比べ10百万円の減少となりました。主な内容は、売掛金が101百万円増加しましたが、現金及び預金が72百万円、受取手形が36百万円それぞれ減少したこと等によるものです。

 負債につきましては、1,051百万円となり、前事業年度末に比べ201百万円の減少となりました。主な内容は、未払法人税等が160百万円、製品補償引当金が39百万円それぞれ減少したこと等によるものです。

 純資産につきましては、7,853百万円となり、前事業年度末に比べ190百万円増加となりました。主な内容は、配当金支払で119百万円減少しましたが、当期純利益で307百万円増加したこと等によるものです。

 

(2)キャッシュ・フローの分析

 「1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載してありますので、そちらを参照して下さい。

 

(3)経営成績の分析

 当社の関連する住宅市場におきましては、新設住宅着工戸数が総じて低水準のまま推移いたしましたが、住宅関連産業における企画開発型企業として、市場ニーズに応えるものづくりを推進するとともに、全方位のお客様に対する積極的な営業活動を展開し、業績の確保に努めてまいりました結果、売上高は9,301百万円(前年同期に比べ406百万円の減少)となりました。

 利益面につきましては、売上総利益の減少に加え、設備投資による減価償却費の増加、情報システムの更新に伴う費用の発生などにより、営業利益は443百万円(前年同期に比べ234百万円の減少)、経常利益は488百万円(前年同期に比べ226百万円の減少)、当期純利益は307百万円(前年同期に比べ108百万円の減少)となりました。