第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当期におけるわが国経済は、政府による経済対策や日銀の継続的な金融緩和政策の下、好調な企業業績を反映して雇用が改善するとともに、所得環境は緩やかな回復傾向を示したものの、保護主義に向かうかの米国新大統領の政策運営に対する不安や、EU離脱を目指す英国による欧州の政治情勢への影響、並びに中国を始めとする新興国経済への警戒感などに加え、安全保障問題も大きく浮上して、不確実な世界情勢に伴う経済の下振れ懸念は更に拡大する中、国内政治にも停滞感が窺われるなど、景気の先行きに対する不透明感は依然として払拭できない状況の下で推移いたしました。

 当社の関連する住宅市場におきましては、贈与税非課税枠の利用による貸家着工が増加するとともに、低水準にある住宅ローン金利や被災地着工の進展に加え、省エネ住宅補助金制度など、政府による各種住宅取得支援政策を背景として、新設住宅着工戸数は緩やかな持ち直しの動きを示したものの、人工不足や建築資材の値上がりを背景に住宅価格は高止まりとなり、更には工事の遅延、マンション着工の調整等も重石となり、本格的な市場の回復には未だ至らない水準で推移いたしました。

 このような状況ながらも、当社は今期を中間年度とする「第9次中期経営計画(第62期~第64期)」において掲げた「自己改革に基づく新たなステージでの飛躍」とのスローガンの下、内装金物全般に目を向けた「裾野の広い商品開発と新たな営業戦略の推進」を基本方針に掲げ、住宅関連産業における企画開発型企業として、より現場主義に徹した商品開発を目指して、機能性と利便性を向上しつつ市場のニーズに応える「ものづくり」を推進するとともに、活動を本格化した「セールスプロモーションチーム」を軸として、変革期を迎えた金物業界に一石を投じ、従来の販売チャネルとの信頼関係を守りながらも中小需要家への対応強化を図り、全方位のお客様に対する積極的な営業活動に最大の努力を傾注するとともに、販売費及び一般管理費の圧縮など調整かつ管理可能な諸施策を講じつつ、困難な市場環境に対応し得る営業体制とこれを支える管理体制の強化を図り、更には商品戦略、市場戦略及び情報システム戦略に一層の前進を果たすべく、鋭意、当面する各々の課題に取り組んで参りました。

 商品戦略につきましては、日々嵩じるお客様のご要望に即応し、より現場主義に徹した柔軟で機動力のある商品開発を目指して、営業本部直轄の「営業設計グループ」を主軸に据え、機能性と利便性の向上を実現しつつ、ソフトクローズのトップメーカーとして、これら商品群の拡充と市場への浸透に注力いたしました。

 一方、市場戦略につきましては、営業本部直轄として立ち上げた「販売促進グループ」において、当社商品の認知度向上と販路開拓を含む積極的な営業支援活動を展開しておりますとともに、アトムCSタワーにおきましては、「秋の内覧会」及び「春の新作発表会」の定期開催はもとより、同2階には「空間提案」として新たに「LIVIN’ZONE」の区画を設け、多数の当社商品を組み入れたモデルルームにて、これら商品群の効用を実体験いただく場とするとともに、引き続き金物のみならず広くインテリアに関わる商品を常設展示して高い評価をいただいたほか、「KANAGUつなぐ 地域」伝統工芸支援プロジェクトを始め、当社主催及び各団体・企業との共催による各種セミナー・イベントに加えて、金物知識の普及を図る勉強会を恒常的に催行するなど、同所開設の本旨に則り、積極的に新分野・異分野の開拓を図って参りました。

 また情報システム戦略につきましては、当社の経営管理体制を支える「統合型業務ソフトウェア」の大幅なバージョンアップを完了し、営業・業務・現業の各部門とも、あまねく同システムを最大限に活用しつつ利便性の向上に努め、常に業務効率ならびに経営効率の一層の向上を図っております。

 このような経営全般にわたる諸施策を期中における内外況の変化に即応して推進して参りました結果、当期の売上高は10,532百万円(前期比6.2%増)、営業利益は571百万円(前期比78.2%増)、経常利益は592百万円(前期比60.4%増)、当期純利益は382百万円(前期比56.5%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,700百万円増加し、当事業年度末では4,335百万円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は2,261百万円(前年同期は571百万円の増加)となりました。

 主な資金増加要因は、税引前当期純利益560百万円、資金流出ではない減価償却費203百万円、仕入債務の増加額1,580百万円等によるものです。また主な資金減少要因は、法人税等の支払額160百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は451百万円(前年同期は33百万円の増加)となりました。

 主な資金増加要因は、投資有価証券の償還による収入100百万円等によるものです。また主な資金減少要因は、商品開発の金型など有形固定資産の取得による支出119百万円、投資有価証券の取得による支出403百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は109百万円(前年同期は90百万円の減少)となりました。

 これは配当金の支払額109百万円によるものです。

 

2【仕入及び販売の状況】

(1)仕入実績

 当事業年度の仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

当事業年度

(自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日)

前期比(%)

折戸・引戸金物(千円)

5,336,065

5.9

開戸金物(千円)

660,101

△2.2

引出・収納金物(千円)

767,168

3.8

取手・引手(千円)

335,113

△4.5

附帯金物(千円)

558,870

0.7

合計(千円)

7,657,319

4.0

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当社は、単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

 

(2)販売実績

 当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

当事業年度

(自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日)

前期比(%)

折戸・引戸金物(千円)

7,600,870

7.4

開戸金物(千円)

850,616

△0.1

引出・収納金物(千円)

911,605

5.9

取手・引手(千円)

438,616

2.7

附帯金物(千円)

730,381

4.8

合計(千円)

10,532,090

6.2

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当社は、単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、明治36年に創業し、昭和29年10月、その前身(有)高橋製作所を改組設立して以来、江戸指物金具の職人

  カザリ

( 錺 職)であった創業者の言「独り歩きのできる商品を提供すべき」との教えに基づく企業理念「より良い金物を

自ら考え、自ら普及させて行く」を掲げ、併せて「創意・誠実・進取」の精神を社是として、企画・開発・販売を兼ねるファブレス(工場を持たない)メーカーを標榜しつつ企業規模の拡充強化を図り、新しい時代に即した事業展開を積極的に進めております。

 この間、伝統的に別分野として区別されていた「家具金物」と「建具金物」とを融合させた「内装金物(住まいの金物)」の分野を新たに創造しつつ、順次、家具業界から建具業界・住宅設備機器業界・住宅業界へと販路を拡大するとともに、つねに先駆的な商品の企画開発に努め、今日では取扱商品の80%以上を自社商品で占めるという独自の業態を形成するに至っております。

 また、東京「アトムCSタワー」を始め大阪・札幌に常設ショールームを開設し、更には個展「春の新作発表会」及び「秋の内覧会」を連続して開催するとともに、総合カタログを定期刊行するなど、幅広くステークホルダーとの情報交換に努める一方、つねに物流の近代化・合理化に力を注ぎ、独自のコンピューターネットワークを構築して商品の安定供給に努力して参りました。

 当社といたしましては、今後とも時代の要請に応えつつ、永続的に「より良い金物を自ら考え、自ら普及させて行く」との理念を全うし、住まいの金物の進化と発展に寄与するとともに、住生活を通して、広く社会に貢献して参りたいと考えております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社では、売上高と営業利益・経常利益を当社の成長を示す経営指標として位置付けています。また、財務基盤強化の観点から自己資本比率を重視しています。

 

(3)経営環境

 今後の見通しにつきましては、現下、海外経済に牽引されて国内景気は総じて緩やかな回復基調にあるものの、金融市場ならびに株式市場の不安定化によりリスクが生じる可能性もあり、予断を許さない不透明な状況が続くものと考えられます。

 当社の関連する住宅市場におきましては、政府による住宅関連税制の改正や、地価の先高観を背景とした住宅投資マインドの改善、更には工事価格の上昇には一服感も出始めているなど、これらを要因とした市場の活性化が期待されるものの、消費性向及び所得環境の実質的な改善が伴わなければ、明確な回復には至らない状況にあるものと思われます。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略ならびに対処すべき課題

 当社は、事業環境に左右されない経営基盤の確立をキーワードに、変動する経営環境下においても安定成長を可能とする市場優位性の維持と収益力の強化に向けて<商品戦略><市場戦略><情報システム戦略>を策定し、これらを実行することで既存事業と新規事業の有機的結合による21世紀型ビジネスモデル、すなわち「住空間創造企業」の構築を目指しております。なお、上記3つの戦略における主な重点施策は以下の通りです。

 

① <商品戦略>におきましては、数多あるアトムオリジナル商品の再構成に着手し、シリーズ商品の集約化を図るなど顧客利便性の向上に努め、併せて居住空間のトータルデザイン化を目指して、更なる販路拡大ならびに新たな戦略的商品開発(裾野の広い商品群の開発)を全社一丸となり推進して参ります。更にリフォーム市場への対応強化をはじめ、高齢化社会及び価値観の多様化などの社会的要請に対応する「バリアフリー・快適性・安全性・利便性」等々を有する快適提案品シリーズやソフトクローズ関連商品、すなわちユニバーサルデザイン金物の更なる拡充を図るとともに、「繊細なものづくりの精神」を反映させた商品開発を実現すべく、手間をはぶく省施工から取付けやすい簡易施工へとシフトする取り組みを強化して参ります。

 

② <市場戦略>におきましては、ATOMダイレクトショップの情報発信機能を活用するとともに、設計事務所・工務店など、実際に製品をお使いいただくエンドユーザーのニーズや声を反映させるマーケティング機能をも有効に活用し、住まいに関わる新たな商材を開拓・投入して一層の充実を図るとともに、ISO9001及びISO14001の認証取得企業として、品質と環境に配慮した商品開発を継続しつつ、「アトムCSタワー」を主軸とした新分野・異分野への展開を積極的かつ持続的に推進して参ります。

 また、市場のニーズに応える機能商品の構造が複雑化する中、その商品情報をあまねく市場に浸透させるために立ち上げた「セールスプロモーションチーム」により、これまでに培ってきたお客様との信頼関係を守りつつも、部門の垣根を超えた新たな営業展開を推進して参ります。更に今後の成長が期待される東南アジアに設立した、当社全額出資の子会社「ATOM LIVIN TECH VIETNAM COMPANY LIMITED(ホーチミン市)」においては、海外協力工場の開拓、現地販売ならびに日本国内への商品供給の拡大に注力し、所期の目的を果たして参る所存であります。

 

③ <情報システム戦略>におきましては、金物業界のIT化における企業モデルの構築を目指して、大幅にバージョンアップした戦略的経営統合システムの活用を推進するとともに、前項の市場戦略に基づき、ATOMダイレクトショップにおける商品アイテムの充実を始めとして、インターネットを最大限に活用した事業展開を強化して参ります。

 

 また、当面する住宅関連市場の不透明な事業環境の下ながらも、当社は、時代の変化に即応し得る柔軟かつ機動的な新しいフレームワークの構築が必須であるとの判断に基づき、商品開発と販売・購買体制の拡充強化はもとより、経営体制の高度化による業務運用全般の品質向上を目指しており、すべからく企業活動の更なる活性化を図り、内装金物分野におけるリーディングカンパニーとしてのポジションをより確固たるものにすることこそが、当社の果たすべき責務と考え、引き続き安定的な収益体質を維持向上させて行くことと併せて、ユーザビリティーが高い商品の提供を通じて、社会の発展に貢献して参る所存です。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(住宅投資動向が当社の業績に及ぼす影響について)

 当社は、家具金物・建築金物・陳列金物など、住宅用内装金物全般の企画・開発・販売を行っており、主として当社が企画開発した商品をメーカーに製造委託し、「ATOM」ブランドで国内全域の家具メーカー、建築金物店、ハウスメーカー、住宅設備機器メーカー等に販売しております。

 住宅用内装金物は主として住宅新設時に使用されるため、当社の業績は新設住宅着工戸数の増減に影響されます。

 また、新設住宅着工戸数は、一般景気動向、金利動向、雇用情勢、地価動向、税制等の影響を受けるため、当社の業績もこれら外部要因に左右される可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当事業年度における研究開発活動は、日々嵩じるお客様のご要望に即応し、より現場主義に徹した柔軟で機動力のある商品開発を目指して、営業本部直轄の「営業設計グループ」を主軸に据え、機能性と利便性の向上を実現しつつ、ソフトクローズのトップメーカーとして、これら商品群の拡充と市場への浸透に注力いたしました。

 当事業年度における研究開発費は85百万円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

 当事業年度末の資産総額は、11,250百万円となり、前事業年度末に比べ1,919百万円の増加となりました。主な内容は、現金及び預金が1,700百万円、有価証券及び投資有価証券が312百万円それぞれ増加したこと等によるものです。

 負債につきましては、2,966百万円となり、前事業年度末に比べ1,642百万円の増加となりました。主な内容は、支払手形が113百万円、電子記録債務が1,577百万円それぞれ増加したこと等によるものです。

 純資産につきましては、8,283百万円となり、前事業年度末に比べ277百万円の増加となりました。主な内容は、配当金支払で109百万円減少しましたが、当期純利益で382百万円増加したこと等によるものです。

 

(2)キャッシュ・フローの分析

 「1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載してありますので、そちらを参照して下さい。

 

(3)経営成績の分析

 当社の関連する住宅市場におきましては、新設住宅着工戸数は緩やかな持ち直しの動きを示したものの、本格的な市場の回復には未だ至らない水準で推移いたしました。

 こうした状況のもと、住宅関連産業における企画開発型企業として、市場ニーズに応える「ものづくり」を推進するとともに、全方位のお客様に対する積極的な営業活動に最大の努力を傾注してまいりました結果、売上高は10,532百万円(前年同期に比べ618百万円の増加)となりました。

 利益面につきましては、売上高の増嵩に伴い売上総利益が増加したことに加え、販売費及び一般管理費の圧縮により、営業利益は571百万円(前年同期に比べ251百万円の増加)、経常利益は592百万円(前年同期に比べ223百万円の増加)、当期純利益は382百万円(前年同期に比べ138百万円の増加)となりました。