文中の将来に関する事項は、本提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、1984年の創立以来、社名に表す「イメージ(画像)」に強いこだわりを持ちながら、各々の時代において最先端の製品やサービスを社会に提供してまいりましたが、抜本的な経営改革を目指すミッションとして、「人の健康と地球環境」の分野において、IT 医療と再生可能エネルギー及び環境事業を通じ、お客様の迅速かつ的確な「意思決定」「意志伝達」を支援することで、健康的な長寿社会とクリーンなエネルギー社会の創造に貢献してまいります。そして我々は、お客様及び国内外のパートナーにとって当社が目的を達成するための「存在価値」は何かを常に問い続けてまいります。
当社は、常にパートナーとともに顧客本位の観点から何が最適かを考え、お客様からの多種多様な要望に対してクオリティの高いサービスを提供し、顧客満足度を最大化すること、そして強固な信頼関係を構築してまいります。
当社は、公明正大な事業運営を基本理念とし、胸を張って正しいと思える仕事を全うします。IT医療の発展及び持続可能な社会の実現のため、DX(デジタルトランスフォーメーション)等によるIT医療の推進及び地球環境事業の推進を通じて、超高齢化社会における医療業務の効率化とクリーンなエネルギー社会の創造に貢献してまいります。そして我々は、真心を込めて相手に接し、迅速かつ的確なコミュニケーションを通じて、組織全体でリスクを未然に防ぎ、すべての出来事を「必要」「必然」「最高」と捉え、一喜一憂せずに前向きな行動を起こしてまいります。
当社は、株主様をはじめ全てのステークホルダーの皆様のご期待に応えられる企業を目指し、信頼と企業価値の向上に努めてまいります。
当社は、健康的な長寿社会とクリーンなエネルギー社会の創造に貢献することを「経営の基本方針」としてあげており、「ヘルスケアソリューション事業」「地球環境ソリューション事業」の2つの事業を主たる業務として推進しております。それぞれの事業における経営環境は、以下のとおりであります。
ヘルスケアソリューション事業
政府・総務省が推進する医療ICT政策にて「ネットワーク化による情報の共有・活用」「医療等データの利活用」が挙げられております。また、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを踏まえた非常時に備えたサイバーセキュリティ対策の整備医療機関の対象範囲が広がり、医療情報システムのオフライン体制の確保、「医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに基づく業務継続計画(BCP)」に対応可能な電子カルテ及び医療情報管理システムの重要性も高まっております。一方、新型コロナウイルス感染症の改善と感染対策の緩和に伴い、抗原検査キットやPCR検出試薬等の従来商材の受注活動は縮小傾向が更に進んでいくことが予想されます。
地球環境ソリューション事業
GEOソリューション分野では、当社が販売するPix4D社製の三次元画像処理ソフトウェア及びクラウド方式の三次元画像処理サービス、スマートフォンやタブレット端末を用いた計測ツールの受注が堅調に推移し、一定の利益も確保できている状況にあります。また、測量・建築業界のみならず、土地家屋調査、文化財発掘調査といった新たな市場の開拓が進んでおります。
エネルギー分野では、2021年11月時点で、154カ国・1地域が、2050年等の期限を区切ったカーボンニュートラルの実現を表明しており、日本国内でも2050年までに温暖化ガスの排出量を全体として実質ゼロにする政府目標が示されております。こうした環境下において、当社が手掛けるエネルギー分野への重要性は増しております。
原子力産業関連分野においては、国際原子力機関(以下、「IAEA」)からの提言を受けて、日本政府は福島第一原子力発電所で貯蔵されているALPS処理水の海洋放出を2023年夏に開始しましたが、廃炉作業は事故から30~40年の長期にわたる見通しとされております。そのため、当社が提供する原子力関連の最先端技術を擁する製品群のニーズも引き続き高まってくるものと思われます。
当社におきましては、売上高と営業利益の継続的な拡大及びROEの向上を目標としております。
当社を取り巻く環境が刻々と変化していく状況の中、上記ミッションを達成するために、以下の5つを経営改革の柱として推進してまいります。
① 長期にわたる業績低迷に決別し「攻めの経営」を敢行する
変化し続ける医療分野及び地球環境分野に常にアンテナを張り巡らせ、業績低迷した状況を打破し将来を考えた経営戦略を策定し構築してまいります。
② 新規事業の創出による収益基盤の早期確立を目指す
新たな関連事業を発掘、創出することで、事業領域拡大に向けた取組みを強化してまいります。
③ M&A・業務提携により外部リソースを積極的に取り込む
関連事業のM&Aを積極的に活用して、企業経営の拡大を模索してまいります。
④ 既存事業の再構築及び新たな付加価値の創出を図る
時代の変化にアンテナを張り巡らせ、当社の形骸化されつつあるサービスの定期的な見直し、それに替わる新たなサービスの創出、付加価値向上に向けた取り組みを常に取り組んでまいります。
⑤ 結果にこだわる経営姿勢で定量目標を達成する
新たな取組みに対しては、短期的な経営目標数値を策定し、常に結果にこだわった経営指標を検討してまいります。長期的な計画となる取組みに対しては、効率性を重視した経営姿勢を基準とした経営指標を検討してまいります。
安定的な収益力の向上
① 新規事業の安定的な収益基盤の構築
ヘルスケアソリューション事業において、競合他社との価格競争による売上総利益の減少を課題としております。これまでの主軸である電子カルテ、周辺システム等を医療機関の幅広い部門に導入し、導入後も保守サービス等による安定的な収益を確保していくビジネスモデルは、競争激化により既に変革期にあることを踏まえ、これからの事業拡大に向けた取り組みとして、医療機関のニーズが高いシステム領域に絞り、採算重視の効率的な営業活動により販路拡大していくことを目指してまいります。そのひとつとして、医療経営管理システム「ONE Viewer」と支払代行サービス「ONE Payment」の販売を新規事業として開始いたしました。「ONE Viewer」は、経営データを一元化し、レセプト請求ファイルや財務情報の収集・分析を行い、結果の可視化を可能とする医療機関経営者の迅速かつ的確な意思決定を支援するシステムであり、これまでのシステムでは珍しい医療経営のための「セキュアクラウドシステム」です。このシステムにより医療機関への導入が見込まれ、当社の安定収益の確保に寄与するものと考えております。また、「ONE Payment」は、医療機関を顧客とする卸売企業に対しては売掛債権の早期回収と未回収リスクのゼロ化が図れ、医療機関に対しては資金の確保を提供する支払代行サービスとなり、医療機関がこのサービスを利用することにより医療機関を顧客とする卸売企業と医療機関の双方にとって経営の安定化が期待されるとともに当社の収益力向上にも寄与する事業であります。これらの新規事業を早期に収益基盤とするべく営業活動に取り組んでおります。
また、地球環境ソリューション事業では、当社と販売代理店契約を締結しているマッハコーポレーション株式会社製の耐放射線カメラをIAEAに対して販売しておりますが、IAEAから耐久テストの合格が得られれば、販売台数を大幅に増大させることが期待されるため売上拡大に向けて取り組んでおります。一方で当社と独占販売代理店契約を締結している一般社団法人新生福島先端技術振興機構のトリチウム連続計測器の実証化に向けて、放射線管理や環境保護のニーズに応え持続可能な社会の実現に取り組んでおります。
② 既存事業の収益力の向上
当社の地球環境ソリューション事業のGEOソリューション分野において、既存取引先と親和性の高い新たな商材として、株式会社マップフォーが開発した、低コストで高精度な地図作成を行うことが可能な3次元データ計測システム「SEAMS」の販売を開始し、売上拡大を図り営業利益の拡大に取り組んでおります。
③ 不採算事業の選別、事業性の判断
当社の既存事業のうち、将来の事業進捗等を鑑みて、手元資金も考慮した検証と見直しを行っており、現在の経営資源の選択と集中を図るため、収益を生み出すまでの事業に至っていないと判断されるものについては、撤退や事業売却も視野に入れて検討を進めてまいります。
健全な財務基盤の構築
① 積極的な資金調達
当社において保有している在庫商品の販売により一定の資金確保を見込んでいるものの、更なる事業の発展を実施すべくエクイティファイナンスによる資金調達及びデッドファイナンスにおいても視野に入れて、幅広い資金調達の検討、協議を進めて参ります。
② 販売費及び一般管理費の見直しによる経費削減
当社では顧問契約、業務委託契約及びその他の各種契約や経費の見直しを行い、翌事業年度における販売費及び一般管理費について一定規模の経費削減を予定しております。これらの実現により固定費の削減が進み、利益率の改善による営業利益の確保しやすい体制にしてまいります。
③ 管理体制の確固たる強化
当社は、当社の元代表取締役と元取締役氏の2名が在任中に、当社子会社における新規事業参入にあたって第三者に不正に金品を供与したと疑われる行為があったこと及びこれに関連する不正な行為を行った疑いがあることから、事実関係の正確な把握のために外部専門家から構成される第三者委員会を設置し、調査を実施しました。その調査期間中に当社取引先から通知された内容を踏まえ委嘱業務を追加し、更なる調査を進めました。その追加調査の結果、当社の元代表取締役が在任中に不適切な金銭授受および利益相反取引規制を潜脱するような行為や、売上の計上に関する不適切な会計処理等の事実が判明し2024年1月31日に過年度の有価証券報告書を訂正しております。そのような背景から当社は、コンプライアンスを含めた上場企業としての社会的な責任を果たすため管理体制の大幅な見直し、強化を推進しております。2024年10月に株式会社東京証券取引所へ改善状況報告書を提出しており、今後も管理体制の強化を推進してまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本届出書提出日現在において当社が判断したものであります。
基本方針
当社は、地域に存在するエネルギー資源の普及への投資を通じて地域経済の活性化及び発展に貢献するとともに、科学技術の飛躍的進歩や社会構造の変化によるヘルスケア産業を取り巻く環境変化に順応し、高品質な医療機器や医療サービスの安定的な供給を実現させることで、中長期的な安定収益の達成と企業価値の最大化を目指しています。また、企業の経済活動において環境・社会・ガバナンス(ESG)の各課題に取り組むことが重要であると考え、「サステナビリティ基本方針」を策定し、日々の業務において実践しております。
環境に対する取り組み:当社は、再生可能エネルギー及びヘルスケア産業が地球環境及び周辺の自然生態系に与える正負の影響について認識し、エネルギー設備の運営及び医療機器や医療サービスにおいてのその影響を常に考慮し、地球環境への貢献及び環境負荷低減のための施策に取り組んでいきます。
社会に対する取り組み:当社は、事業活動を通じ、エネルギー事業及びヘルスケア事業に関わる様々なステークホルダーに配慮し、求められる社会的責任を果たしていきます。本方針の実践に向けて、それぞれのステークホルダーとの間に良好な関係を構築し、積極的に連携・協力していくことに努めます。
詳細はこちらをご覧ください。
ガバナンス
社会課題の顕在化やステークホルダーの価値観の変容を背景に、サステナビリティ経営の重要性が増しています。当社においても、持続可能な社会の実現に向けた責任を強く意識し、サステナビリティを事業戦略の中心に据え、関連するリスクと機会の適切な監視・管理を推進しています。サステナビリティに関する情報は管理部が収集・分析し、取締役会に報告しています。取締役会は、市場の動向やリスクを踏まえてこれらの情報を基に現行目標の評価を行い、修正や調整が必要な場合、適切な対策を行うこととしております。
当社のリスク管理は、取締役会の監督の下、管理部が統括部署としてその運営を担い、リスク管理会議及びリスク・コンプライアンス委員会を通じて実施されています。これらの会議体は、事業活動におけるリスクだけでなく、機会の観点も含めて継続的に識別・評価し、必要な対応策を協議・推進する役割を果たしています。
具体的には、年1回の定期的なリスク調査を基本としつつ、必要に応じて適宜見直しを行いながら各部門がリスクの洗い出しと評価を行い、管理部がその情報を集約し、横断的な観点から優先順位付けと対応の検討を行います。リスク管理会議にて全社的な影響を持つ事項について協議を行った上で、必要に応じてリスク・コンプライアンス委員会へ諮問を行い、最終的には取締役会へ報告されます。リスク・コンプライアンス委員会は、社外取締役や外部有識者を含むメンバーで構成され、経営陣に対する牽制機能を担う諮問機関で、月に1回開催されております。主にリスク及びコンプライアンス体制の検証、是正措置の提言、新規事業や関連当事者取引に係る事項の調査・審議を行っており、取締役会に対して必要な提言や報告を実施しています。
現在、当社では、サステナビリティに関連するリスクおよび機会について、全社的なリスク管理の枠組みの中で識別・評価を行っておりますが、これらに対する個別の戦略、指標および目標については、現時点では策定しておりません。今後は、サステナビリティを巡る外部環境の変化やステークホルダーからの要請を踏まえ、当社の中長期的な企業価値向上の観点から、重要なサステナビリティ関連課題(マテリアリティ)の特定およびそれに基づく戦略・目標の策定に取り組んでまいります。具体的には、既存のリスク管理体制を活用しつつ、サステナビリティをテーマとした社内横断的な検討を進めることで、重要課題の明確化および、目標の設定・進捗管理の枠組み構築を目指します。なお、現時点において認識している主なサステナビリティ関連のリスク・機会は以下のとおりです。
● 主なリスク:気象・災害リスク、感染症の拡大による事業継続リスク、サプライチェーンの寸断等
● 主な機会:再生可能エネルギーの活用、DX・AIによる業務効率化、地域医療への貢献を通じた新たな需要創出等
戦略(人的資本について)
当社の人的資本戦略では、性別、国籍、採用形態を問わず、個々の適性や能力に応じた人材活用を最重要視しています。これに基づき、女性や外国人、中途採用者といった多様な人材の獲得を積極的に推進するとともに、年齢に関係なく能力と経験を重視した人物本位の人材登用を進めております。また、取締役会の構成についても、多様性を考慮したメンバーの選任を通じて、その構成と役割の改善に取り組んでまいります。加えて、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる職場環境の整備にも注力しており、さらなる女性の採用・登用を進め、育成を強化することで、一層活躍の機会を拡大する予定です。さらに、個々人が能力を最大限に発揮できるよう、キャリアアップ推進のための人事及び研修制度も充実させていく方針です。
指標及び目標
戦略(人的資本について)においてに記載した、人材の多様性を尊重した採用及び登用、社内環境整備に関する取り組みについて、当社では、採用目標の設定や登用に対する達成度の把握といった具体的な取り組みが行われているものの、当届出書提出日の最近日現在においては、指標による目標管理を行っていません。これら指標による目標管理は、今後の課題の特定及び抽出、方針の策定を基に行ってまいります。
当社の事業展開、経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクを以下に記載しております。なお、文中における将来に関する事項は、本届出書提出日現在において当社が判断したものであります。
医療機関向けのシステムを提供するヘルスケアソリューション事業では、医療関連法規や診療報酬改定等の政策変更で、診療報酬制度の変更により医療機関のIT投資意欲が低下した場合や、新型感染症の流行や景気後退による医療機関の収益悪化によりIT投資の抑制があった場合、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。
国や地方自治体または公共事業に関わる企業が主なお客様である地球環境ソリューション事業では、公共事業予算の縮小、規制基準の変更等が当社の経営成績に影響を与える可能性があります。
このような事態を回避するため、新商品のアイディア、新商品の開発、販売戦略の検討、新たな市場開発等の販売拡大の環境づくり等を行うことでリスク分散を図っております。
ヘルスケアソリューション事業のうち、メディカルシステム分野は、情報技術の影響を強く受ける分野であるため、当社の想定を超える新技術の開発、新方式の採用、新製品の出現、もしくは競合会社の台頭等により、当社取扱商品の陳腐化や市場価値が低下した場合、当社の医療情報システムの安全管理に関するガイドラインへの対応が不十分な場合、顧客離れを招き、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。
影響の回避または、影響を最小限に抑えるため、新商品のアイディア、新商品の開発、販売戦略の検討、バージョンアップ等を行うことでリスク分散を図っております。
また、同事業のメディカルサプライ分野は、抗原検査キット等は大小さまざまなメーカー、商社が激しい競争を行っております。当社が即応できないサービスを提供する競合先が現れ、当社の提供するサービスの価値が極端に魅力を失った場合に業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような事態を回避するため、品揃えの拡充や即納体制をはじめとして競合他社との差別化に努めております。
地球環境ソリューション事業のうち、GEOソリューション分野においては、日本国内代理店として三次元画像処理ソフトウェアや計測機器販売と長年培った独自の知見による補正とコンサルティングサービスを付加し、大型設備の保守メンテナンス及び各種ソリューションをサービスとして提供しておりますが、類似したサービスを提供する競合他社が存在するため、価格競争やサービスレベルの要求等が激化し当社が対応できない場合は、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。
このような事態を回避するため、主要仕入先及び主要販売先との情報共有を強化し、協力体制を構築することにより、既存商品に限らず、新たな商品とサービスの開発、新たな市場開拓を進めるなどし、競合他社からの脅威回避に努めております。
当社が開発・販売を行うソフトウェア、システム及び商品については、欠陥等の不具合を回避し、早期発見するための管理体制をとっております。しかしながら、万が一不具合などの問題を回避できずユーザー等に損害を与えた場合は、損害賠償請求等の解決にあたり多大な費用と時間を要し、当社の信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような事態を回避するため、顧客からの問合せに対する対応状況や履歴を管理台帳で共有しており、早期に解決し問題を回避出来るよう努めております。
当社は販売、導入及び保守業務等の事業活動において、お客様の機密情報に触れる機会や、お客様が保有する個人情報を一時的にお預かりすることがあります。当社は、2010年にISO/IEC27001の情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得し、情報管理体制の維持向上を継続的、組織的に進めております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの侵入や従業員の過誤等による重要データの漏洩やコンピュータープログラムの不正改ざん、もしくはシステム・ネットワーク障害や自然災害によるサービス提供の中断等が発生した場合には、損害賠償請求により、当社の信用や事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような事態を回避するため、システムの定期的な保守、バックアップシステムの構築、外部からの不正アクセス防止対策等により、システムへの障害発生・情報漏洩などのリスクを低減し、事業継続性の向上を図っております。なお、万一の場合に備え、サイバー保険を付保しております。
当社は自社製品及びその技術に関する知的財産権の重要性を認識し、その保護を図る方針です。また、他者の知的財産権を侵害しないよう十分に注意を払っておりますが、万が一他者の知的財産権を侵害したと認定され、損害賠償を求められた場合には、法的紛争解決に多大な費用を要する可能性があり、当社の信用や事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような事態を回避するため、外部専門家の活用など、知的財産権の権利取得または権利侵害の防止に努めております。
(6) 調達・物流に関するリスク
当社では、事業活動に必要なコンピューター・サーバー・その他半導体を搭載する機器と医療用サプライ品等を国内外から調達しております。半導体需要の高まりや感染症の拡大や戦争・紛争の勃発、その他不測の事態の発生により、それら仕入コスト及び調達に係る配送コストが著しく上昇し、さらには、仕入や配送そのものが不可能となって当社製品出荷が停滞・停止することにより、当社の経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
このような事態を回避するため、仕入先の分散化、安定的な調達体制の構築を進めております。
(7)取扱製品の使用期限管理について
医療機器や医薬品をはじめとして、当社で取扱う製品の一部には、製造元により使用期限が設定されています。万が一、当社の人為的要因やトラブルにより使用期限を経過した製品が流通し重大な健康被害が生じた場合には、医療機器販売業等に係る許認可等の取り消し、当社への信頼低下などにより販売活動へ影響が生じる可能性や、患者様・医療機関等への補償、使用期限管理体制の改善・強化等のために多額の費用が生じる可能性があり、これにより当社の販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。
このような事態を回避するため、定期的な実地棚卸の実施その他運用の徹底・検証により使用期限管理体制の改善・強化に取り組んでおります。
(8)訴訟について
当社は、再生 EV バッテリーを事業用ポータルバッテリーとしてリユースレンタルする環境配慮型の事業に関する取引において、株式会社ワンダーランド他6社から下記のとおり訴訟を提起されており、訴訟の動向によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
株式会社ワンダーランド
請求の内容:損害賠償等請求
請求金額:20,680千円
株式会社プロスパーアセット
請求の内容:動産引渡等請求
請求金額:16,229千円
株式会社ケイ・アイ・シー
請求の内容:損害賠償等請求
請求金額:49,852千円
株式会社WEBLA
請求の内容:損害賠償等請求
請求金額:294,671千円
日本粉末薬品株式会社
請求の内容:損害賠償請求
請求金額:53,900千円
城北ヤクルト販売株式会社
請求の内容:損害賠償請求
請求金額:182,704千円
株式会社Y・Aホールディングス
請求の内容:損害賠償請求
請求金額:62,315千円
当社としては、いずれの訴訟についても相手方の主張及びその根拠を精査した上で当社の責任が否定されるよう法的正当性を主張・立証していくとともに、当社の取り得る法的な手段等を検討し、対処してまいる所存です。
(9)証券取引等監視委員会による検査について
当社は、2024年1月31日付「過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出に関するお知らせ」、2025年1月31日付「過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出に関するお知らせ」及び2025年2月21日付「過年度の四半期報告書の訂正報告書の提出に関するお知らせ」にて開示しましたとおり、同日付で過年度の有価証券報告書及び四半期報告書の訂正報告書を提出いたしました。
また、当社は、証券取引等監視委員会より、金融商品取引法に基づく開示検査を受けておりましたが、2025年3月28日付「証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告及び特別損失の計上見込みに関するお知らせ」で開示しましたとおり、有価証券報告書等に関し、証券取引等監視委員会から内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、当社に対する6,507万円の課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った旨の公表がなされております。そして2025年5月21日付で金融庁より、納付期限2025年7月22日とする課徴金納付命令決定書の謄本および納付告知書を受領したことを、2025年5月22日付「金融庁による課徴金納付命令の決定についてのお知らせ」にて開示しております。今後、当社は、金融庁から発出された課徴金納付命令及び納付告知に従い、当該課徴金を国庫に納付いたします。
当社は、今回の勧告により、当社のコンプライアンス体制やガバナンスに対する市場の信頼性が損なわれる可能性があり、今後の資金調達や事業運営に影響を及ぼすリスクが考えられます。当社の経営環境に与える影響について慎重に検討してまいります。
なお、課徴金納付命令の対象となった有価証券報告書等は下記のとおりです。
ⅰ.有価証券報告書
第37期(2020年9月期)(自2019年10月1日 至 2020年9月30日)
第39期(2022年9月期)(自2021年10月1日 至 2022年9月30日)
ⅲ.有価証券届出書
2021年2月18日提出の有価証券届出書
(10)内部管理体制について
当社は、2024年10月に株式会社東京証券取引所へ改善状況報告書を提出しており、その報告書に記載の改善計画に基づいて、リスク管理体制の強化、ガバナンスの強化、事業の属人化の防止等を実施するなど、内部管理体制の強化に努めている状況にありますが、改善計画が十分に実施できなかった場合には、適切な業務運営に支障を来し、当社の事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような事態を回避するために、改善計画の確実な遂行と内部管理体制の定期的な見直しに努めております。
(9)継続企業の前提に関する重要事象等
当社は、2019年9月期以降、継続して営業損失を計上しております。ヘルスケアソリューション事業においては、当社が以前より手掛けている医療IT商材について、新規需要が減少傾向にある中で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による販売減少も重なり、業績に影響を及ぼしました。地球環境ソリューション事業では、ドローン関連製品等の拡販については堅調であるものの、太陽光発電所の売買等の再生可能エネルギー関連の案件は個別性が高く、案件の発生タイミングを見通しづらいことから、事業全体として安定的な収益確保には至っておりません。また、一部の新規事業では想定通りの成果が得られず、不採算事業の見直し等にも取り組んでおりますが、一定の費用負担を伴っております。こうした要因が重なった結果、営業損失の計上が継続する状況となっております。
前事業年度には、営業損失661,782千円、当期純損失659,130千円を計上し、当期においても引き続き営業損失844,815千円、当事象や状況が存在していると認識しております。当該状況を解消又は改善するべく、当社は、以下の対応策を実行することにより、安定的な収益力の向上及び健全な財務基盤を構築に取り組んでおります。
1.安定的な収益力の向上
① 新規事業の安定的な収益基盤の構築
当社のヘルスケアソリューション事業では、2024年10月より新規事業として、医療経営管理システム「ONE Viewer」と支払代行サービス「ONE Payment」の販売を開始しました。「ONE Viewer」は、経営データを一元化し、レセプト請求ファイルや財務情報の収集・分析を行い、結果を可視化により、医療機関経営者の迅速かつ的確な意思決定を支援するシステムで、これまでのシステムでは珍しい医療経営のための「セキュアクラウドシステム」です。このシステムにより医療機関への導入が見込まれ、当社の安定収益の確保に寄与するものと考えております。「ONE Payment」は、医療機関を顧客とする卸売企業に対しては売掛債権の早期回収と未回収リスクのゼロ化が図れ、医療機関に対しては資金の確保を提供する支払代行サービスとなり、医療機関がこのサービスを利用することにより医療機関を顧客とする卸売企業と医療機関の双方にとって経営の安定化が期待されるとともに当社の収益力向上にも寄与する事業であります。これらの新規事業を早期に収益基盤とするべく営業活動に取り組んでおります。
また、地球環境ソリューション事業では、当社と販売代理店契約を締結しているマッハコーポレーション株式会社製の耐放射線カメラをIAEAに対して販売しておりますが、IAEAから耐久テストの合格が得られれば、販売台数を大幅に増大させることが期待されるため、売上拡大に向けて取り組んでおります。一方で当社と独占販売代理店契約を締結している一般社団法人新生福島先端技術振興機構のトリチウム連続計測器の実証化に向けて、放射線管理や環境保護のニーズに応え持続可能な社会の実現に取り組んでおります。
② 既存事業の収益力の向上
当社の地球環境ソリューション事業のGEOソリューション分野において、既存取引先と親和性の高い新たな商材として、株式会社マップフォーが開発した、低コストで高精度な地図作成を行うことが可能な3次元データ計測システム「SEAMS」の販売を開始し、販売量の拡大を計り営業利益の拡大に取り組んでおります。
③ 不採算事業の選別、事業性の判断
当社の既存事業のうち、将来の事業進捗等を鑑みて、手元資金も考慮した検証と見直しを行っており、現在の経営資源の選択と集中を図るため、収益を生み出すまでの事業に至っていないと判断されるものについては、撤退や事業売却も視野に入れて検討を進めて参ります。
2.健全な財務基盤の構築
① 積極的な資金調達
当社において保有している在庫商品の販売により一定の資金確保を見込んでいるものの、更なる事業の発展を実施すべくエクイティファイナンスによる資金調達及びデッドファイナンスにおいても視野に入れて、幅広い資金調達の検討、協議を進めて参ります。
② 販売費及び一般管理費の見直しによる経費削減
当社では顧問契約、業務委託契約及びその他の各種契約や経費の見直しを行い、翌事業年度における販売費及び一般管理費について一定規模の経費削減を予定しております。これらの実現により固定費の削減が進み、利益率の改善による営業利益の確保しやすい体制にしてまいります。
③ 管理体制の確固たる強化
当社は、当社の元代表取締役と元取締役氏の2名が在任中に、当社子会社における新規事業参入にあたって第三者に不正に金品を供与したと疑われる行為があったこと及びこれに関連する不正な行為を行った疑いがあることから、事実関係の正確な把握のために外部専門家から構成される第三者委員会を設置し、調査を実施しました。その調査期間中に当社取引先から通知された内容を踏まえ委嘱業務を追加し、更なる調査を進めました。その追加調査の結果、当社の元代表取締役が在任中に不適切な金銭授受および利益相反取引規制を潜脱するような行為や、売上の計上に関する不適切な会計処理等の事実が判明し2024年1月31日に過年度の有価証券報告書を訂正しております。そのような背景から当社は、コンプライアンスを含めた上場企業としての社会的な責任を果たすため管理体制の大幅な見直し、強化を推進しております。2024年10月に株式会社東京証券取引所へ改善状況報告書を提出しており、今後も管理体制の強化を推進してまいります。
これらの対応を踏まえ、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(経営成績等の状況の概要)
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度における我が国経済は、社会活動の正常化が進む中、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大などで景気は緩やかに回復しております。一方、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクもあり、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
当社を取り巻く事業環境といたしましては、主要分野であるヘルスケアソリューション事業において、政府・総務省が推進する医療ICT政策にて「ネットワーク化による情報の共有・活用」「医療等データの利活用」が挙げられております。また、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを踏まえた非常時に備えたサイバーセキュリティ対策の整備医療機関の対象範囲が広がり、医療情報システムのオフライン体制の確保、「医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに基づく業務継続計画(BCP)」に対応可能な電子カルテ及び医療情報管理システムの重要性も高まっております。
地球環境ソリューション事業においては、COP26が終了した2021年11月時点で、154カ国・1地域が、2050年等の年限を区切ったカーボンニュートラルの実現を表明しており、日本国内でも2050年までに温暖化ガスの排出量を全体として実質ゼロにする政府目標が示されております。また、2023年11月に開催されたCOP28において、パリ協定の目標達成に向け、「化石燃料からの脱却」という文言及び「原子力3倍宣言」がCOP史上初めて成果文書に記載されており、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、脱炭素エネルギー源の一つとして原子力エネルギーが重要な役割を担うという認識も高まっております。こうした環境下において、当社が手掛けるエネルギー分野への重要性は増しており、当社では、地域及び地球に優しい持続可能な環境配慮型事業創出に注力しております。原子力産業関連分野においては、2023年5月30日付「(開示事項の経過)東京電力ホールディングス株式会社の公募「多核種除去設備等で浄化処理した水からトリチウムを分離する技術」に対しての進捗状況について」にて公表しましたとおり、現在は、「フィージビリティスタディ」を、創イノベーション株式会社及び慶應義塾大学理工学部大村研究室と共同で進めております。IAEAからの提言を受けて、日本政府は福島第一原子力発電所で貯蔵されているALPS処理水の海洋放出を昨夏に開始しましたが、廃炉作業は事故から30~40年の長期にわたる見通しとされております。そのため、当社も東京電力ホールディングス株式会社が進めている本技術公募に引き続き参画してまいります。ESG分野においては、2024年1月16日付「(開示事項の経過)第三者委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」にて開示いたしましたとおり、第三者委員会から受領した調査報告書において、再生EVバッテリーを事業用ポータルバッテリーとしてリユースレンタルする環境配慮型の事業に関する取引(以下、「本蓄電池取引」)の実在性に関する指摘を踏まえ、本蓄電池取引を行わない方針のもと各社との契約の見直しを行っており、一部の顧客との間で締結した契約について解除を進めております
当事業年度における当社の業績は、売上高1,563,081千円(前年同期比47.4%減)、営業損失844,815千円(前年同期は661,782千円の損失)、経常損失865,765千円(前年同期は689,685千円の損失)、当期純損失889,625千円(前年同期は659,130千円の損失)となりました。
セグメント別の概況は以下のとおりです。
ヘルスケアソリューション事業
ヘルスケアソリューション事業の当事業年度業績は、売上高481,803千円(前期比64.1%減)、セグメント損失444,236千円(前期はセグメント損失265,072千円)となりました。
当セグメントの業況といたしましては、メディカルシステム分野、メディカルサプライ分野を中心とした展開を行っておりますが、両分野ともに前事業年度と比べ、売上高と利益が大幅な減収・減益となりました。一方、新規の売上高及び利益の増加を目指し、革新的な医療経営管理システム「ONE Viewer」及び支払代行サービス「ONE Payment」の販売を開始いたしました。
「ONE Viewer」は、少子高齢化の進行や社会的なニーズの変化に伴い、医療経営が直面する多岐にわたる課題に対応するために販売を開始いたしました。「ONE Viewer」は、様々なデータを一元管理し、容易な財務分析や正確なレセプト請求ファイルの分析を行うことで、効率的な医療経営管理を支援します。また、レセプト請求ファイルや財務情報の集計・分析を可視化し、医療機関経営者の迅速かつ的確な意思決定を支援する、医療経営のための「セキュアクラウドシステム」です。「ONE Payment」は、医療機関の仕入先と医療機関双方にメリットがある支払代行サービスです。医療機関の仕入先は売掛債権の早期回収と未回収リスクのゼロ化が図れ、医療機関は資金の確保によりキャッシュ・フローが改善された経営を実現します。また、「ONE Viewer」とのシームレスな統合により、経営管理と財務管理が一元管理され、効率的な医療機関経営が可能になります。
メディカルシステム分野においては、PACS(医療用画像管理システム)、電子カルテ、RIS(放射線科情報システム)、統合viewer・医用文書スキャンシステム等を継続販売しております。医療機関のDX化が注目を集める中、統合viewerは一画面で患者様の情報が俯瞰できるため情報を探す手間が省け、業務の効率が上がり、医療従事者の働き方改革にも役立つシステムになります。院内に紙媒体で散見する医用文書をファイリングできる医用文書スキャンシステムは、患者様の同意書や各種検査の検査結果用紙等の医用文書にタイムスタンプを付与し原本としてデジタル保存することで膨大な紙文書の保管からの解放(ペーパーレス化)を実現いたします。当事業年度では、前年度に獲得したような大型案件が発生せず、また、各種システムに係る保守の売上も減少したことから、売上高と利益ともに前年同期を大幅に下回る結果となりました。
メディカルサプライ分野では、新型コロナウイルス感染症の症状が軽減傾向にあるため、抗原検査キットの需要は前期に比べ減少し、売上高と利益ともに前期を大幅に下回りました。
地球環境ソリューション事業
地球環境ソリューション事業の当事業年度業績は、売上高1,081,278千円(前期比33.8%減)、セグメント損失18,839千円(前期はセグメント利益6,567千円)となりました。
当セグメントの業況といたしましては、GEOソリューション分野、エネルギー分野、原子力産業関連分野を中心とした展開を行っておりますが、売上高と利益において、GEOソリューション分野が引き続き大きく貢献しました。
GEOソリューション分野においては、当社が販売するPix4D社製の三次元画像処理ソフトウェア「PIX4Dmapper」「PIX4Dmatic」、クラウド方式の三次元画像処理サービス「PIX4Dcloud」、スマートフォンやタブレット端末を用いた計測ツール「viDoc RTK rover」の受注が引き続き堅調に推移し、一定の利益も確保できている状況にあります。また、従来の取引先である測量・建築業界のみならず、土地家屋調査、文化財発掘調査といった新たな市場の開拓が進んでいます。
エネルギー分野においては、再生可能エネルギー市場の動向に注視しつつ、太陽光発電所等のセカンダリーマーケットにおいて売買活動を行っております。
原子力産業関連分野のトリチウム分離技術においては、東京電力が進めている「ALPS処理水等からトリチウムを分離する技術の公募に係る第1回募集の二次評価と第2回募集の一次評価について」(p.3)に関して、創イノベーション株式会社及び慶應義塾大学理工学部大村研究室と共同で「フィージビリティスタディ」を継続して進めており、来期に予定している最終報告書の前段階として、中間報告書を提出いたしました。IAEAからは、高い耐放射線性能と小型・軽量・省エネの特長を持つマッハコーポレーション株式会社製の耐放射線CMOSセンサーカメラ2台の発注を受け、1台は耐久テストサンプルとして納品を完了しておりましたが、改良を加えた2台目もカラー版として完成し、出荷いたしました。また、短時間で微量のトリチウムを測定することが可能な連続計測器は、一般社団法人新生福島先端技術振興機構(以下、「新生福島先端技術振興機構」)との共同事業において、実用設計が完成し、予備試験まで終了いたしましたが、国際的な需要も見据えて、さらに精度の高い計測技術の確立に取り組んでいるところであります。
(資産)
当事業年度末における流動資産は、1,288,419千円(前事業年度末比43.0%減)となりました。これは、仮払金が97,386千円、未収消費税等が119,515千円が増加したものの、現金及び預金が319,239千円、売掛金が70,025千円、仕掛販売用不動産が578,000千円、前渡金が229,268千円減少したこと等によります。
固定資産は、280,813千円(同31.0%減)となりました。これは、投資有価証券が211,719千円増加したものの、土地が103,944千円、長期預け金が216,470千円減少したこと等によります。
この結果、当事業計年度末における総資産は、1,569,233千円(同41.2%減)となりました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は、825,228千円(前事業年度末比17.4%減)となりました。これは、仮受金が173,084千円増加したものの、未払金が208,312千円、その他が103,363千円減少したこと等によります。
固定負債は、8,468千円(同58.2%減)となりました。これは、長期借入金が10,080千円減少したこと等によります。
この結果、当事業年度末における負債合計は、833,696千円(同18.2%減)となりました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、735,537千円(前事業年度末比55.4%減)となりました。これは、当期純損失889,625円を計上したこと等によります。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、553,823千円となりました。
なお、前事業年度は連結財務諸表を作成しておりましたが、当事業年度は個別財務諸表のみを作成しております。そのため、前事業年度の記載はしておりません。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、営業活動の結果使用した資金は、207,224千円となりました。これは、税引前当期純損失の計上885,149千円、仕掛販売用不動産の減少578,000千円、前渡金の減少229,268千円、契約解除益140,619千円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、投資活動の結果使用した資金は、25,164千円となりました。これは、有形固定資産の売却による収入170,050千円、投資有価証券の取得による支出222,814千円、無形固定資産の取得による支出17,763千円、定期預金の払戻による収入50,000千円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、財務活動の結果使用した資金は、36,850千円となりました。これは、長期借入金の返済による支出13,075千円、自己新株予約権の取得による支出23,775千円等があったことによるものです。
ヘルスケアソリューション事業は、メディカルシステム分野を主軸に今後も展開してまいります。また、新規で販売を開始した、「ONE Viewer」及び「ONE Payment」の拡販も推進していきます。
メディカルシステム分野では、引き続き既存顧客の保守・販売展開を進めてまいります。主力である「PACS」(医療用画像管理システム)及び電子カルテなどのメディカルシステム開発及び販売に加えて、RIS(放射線科情報システム)、統合viewer・医用文書スキャンシステムの継続販売もしてまいります。昨今ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)等による医療機関へのサイバー攻撃の脅威が増す中、電子カルテ情報や医療用画像のバックアップをクラウドVNAでお預かりすることで、サイバー攻撃等があった時に早期に医療再開が可能になるなど、益々、医療情報クラウドサービスの需要は高まっております。このような環境の中で、当社は、これまでに医療業界で培った経験をもとに、医療機関の業務全体の効率化が図れるような医療情報システム全般の提案から選定、導入、そして安定稼働まで、トータルサポートの推進を今後も継続してまいります。また、セキュリティ対策への取り組みとして、当社PACSに対して定期的にアクセスログの監視・分析を行い、不正な動作を検知するシステムの提供を開始いたしました。
「ONE Viewer」は、当社ホームページに特設サイトを開設するほか、既存顧客のみならず新規顧客にも積極的に提案活動を行っております。サブスクリプション形式にすることや3ヶ月の無料トライアルを提供することで、導入のハードルを下げ、顧客がシステムを実際に使用してみることで、手軽に効果を実感できる環境を整えております。特設サイトでは詳細な製品情報や導入事例も紹介し、問い合わせには迅速かつ柔軟に対応できる体制を構築しております。
地球環境ソリューション事業につきましては、GEOソリューション分野、エネルギー分野、原子力産業関連分野を主軸に今後も展開してまいります。
GEOソリューション分野については、建設・土木・測量分野で多くの導入実績のあるPix4D社製ソフトウェア「PIX4Dmapper」は堅調な販売実績となっております。また、同社の次世代の画像処理ソフトウェア「PIX4Dmatic」と、スマートフォンやタブレット端末を用いたモバイル計測ソリューション「PIX4Dcatch RTK」が、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録されており、導入実績が増加をしていることや、建築・土木以外にも幅広い分野のDX化にて活用事例が増えていることから、今後も更なる導入が期待されます。既存製品のみならず就労人口の減少に向けた業務の省力化・DX化に関連した独創的で新規性のある商材やサービス事業の取り扱いなどを含め、引き続き事業を拡大してまいります。
エネルギー分野は、再生可能エネルギーに対する太陽光発電所等のセカンダリーマーケットでの売買活動を今期も推進してまいります。
原子力産業関連分野のトリチウム分離技術においては、日本国内における東京電力ホールディングス株式会社が公募しているALPS処理水等からトリチウムを分離する技術に応募し、二次評価を通過し、現在、「フィージビリティスタディ」に取り組んでおりますが、この技術の普及により、福島原発のALPS処理水だけでなく、世界の重水炉等で大量に発生するトリチウムの回収と再利用を目指してまいります。また、IAEAからテストサンプルとして受注された高い耐放射線性能と小型・軽量・省エネの特長を持つマッハコーポレーション株式会社製の耐放射線カメラと、新生福島先端技術振興機構が開発に成功したトリチウム等の連続計測器も、国内外に提供してまいります。トリチウム分離技術、耐放射線カメラ、トリチウム連続計測器等の原子力産業関連技術製品の販売を推進し、原子力関連及び海外事業の拡大を今後も進めてまいります。
(3) 仕入、受注及び販売の状況
当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 金額は実際仕入額によっております。
2 当社はシステム インテグレータであり、生産設備を保有していないため、生産実績等の記載は行っておりません。
3 セグメント間取引については、相殺消去しております。
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注)当事業年度のRBソーラーアーク合同会社及びRBソーラーディタ合同会社及に対する販売実績は、当該販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況]1[財務諸表等](1)[財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載しております。
・財政状態及び経営成績の分析
財政状態及び経営成績の分析については、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](経営成績等の状況の概要)(1)財政状態及び経営成績の状況」の項目をご参照ください。
・経営指標の分析
経営指標の分析について、当社では売上高と営業利益、自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標としております。当事業年度業績は、売上高1,563,081千円(前年同期比47.4%減)、営業損失844,815千円(前年同期は661,782千円の損失)、自己資本利益率(ROE)△75.4%となりました。
売上高及び自己資本利益率については、メディカルシステム分野における「PACS」等のシステム販売や保守の減少、エネルギー分野における太陽光発電所販売の減少、メディカルサプライ分野におけるPCR検査試薬、抗原検査キット等の販売数量の大幅減少に加え、移動型医療ソリューション「Medical-ConneX」の販売先の確約が得られないことから商品低価評価損を計上したことにより、売上は大幅に減少し売上原価は増加となりました。販売費及び一般管理費は、営業コストの削減、販売管理コストの削減等により費用の削減は出来ていたものの、営業損失を計上することとなりました。
・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況については、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](経営成績等の状況の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照ください。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)1 各指標の算出は以下の算式を使用しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
2 2022年9月期及び2023年9月期の指標につきましては、それぞれ連結ベースの財務数値により、2024年9月期につきましては、単体ベースの財務数値により算出しております。
3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)で計算しております。
4 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
5 有利子負債は、(連結)貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
6 利払いについては、(連結)キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
7 2022年9月期及び2024年9月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
・セグメント別の状況
セグメント別の状況については、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](経営成績等の状況の概要)(1)財政状態及び経営成績の状況」の項目をご参照ください。
・資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社における資金需要の主なものは、仕入代金、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金及び新規事業の立ち上げやM&A費用等であります。当社の資金の源泉は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び増資による資金調達と金融機関からの借入による資金調達となります。
また、手元流動性資金(現預金残高)については、一定額の維持を基本方針とし、今後の運転資金需要も踏まえつつ、流動性の確保に引き続き努めてまいります。
今後の重要な支出の計画につきましては、地球環境ソリューション事業においては新規案件の取得に加え、研究や開発、人材の確保にかかる費用、投資が想定されており、これらの必要資金についても、自己資金で賄いきれない部分については、長期安定的な方法により調達を行い、事業化を推進することが望ましいものと考えております。
当社は前中間会計期間については中間財務諸表を作成していないため、前中間会計期間に係る比較情報は記載しておりません。
当中間会計期間(2024年10月1日~2025年3月31日)におけるわが国経済は、物価上昇の影響が続く中にあっても、雇用・所得環境の改善や訪日外国人需要の増加を背景としたインバウンド消費の拡大などにより、緩やかな回復基調を維持しております。一方で、欧米における高金利水準の継続に加え、中国経済の減速傾向や中東地域における地政学リスクの高まりなどが海外経済の先行き不透明感を強めており、金融資本市場の変動や国内金利の上昇など、経済全体への影響に引き続き注意が必要な状況が続いております。
当社を取り巻く事業環境といたしましては、主要事業であるヘルスケアソリューション事業において、政府・総務省が推進する医療ICT政策にて「ネットワーク化による情報の共有・活用」「医療等データの利活用」が挙げられております。また、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを踏まえた非常時に備えたサイバーセキュリティ対策の整備医療機関の対象範囲が広がり、医療情報システムのオフライン体制の確保、「医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに基づく業務継続計画(BCP)」に対応可能な電子カルテ及び医療情報管理システムの重要性も高まっております。
地球環境ソリューション事業においては、COP26が終了した2021年11月時点で、154カ国・1地域が、2050年等の年限を区切ったカーボンニュートラルの実現を表明しており、日本国内でも2050年までに温暖化ガスの排出量を全体として実質ゼロにする政府目標が示されております。また、2023年11月に開催されたCOP28において、パリ協定の目標達成に向け、「化石燃料からの脱却」という文言及び「原子力3倍宣言」がCOP史上初めて成果文書に記載されており、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、脱炭素エネルギー源の一つとして原子力エネルギーが重要な役割を担うという認識も高まっております。こうした環境下において、当社が手掛けるエネルギー分野への重要性は増しており、当社では、地域及び地球に優しい持続可能な環境配慮型事業創出に注力しております。原子力産業関連分野においては、日本政府はIAEAからの提言を受けて福島第一原子力発電所で貯蔵されているALPS処理水をこれまで11回にわたって海洋放出しておりますが、廃炉作業は事故から30~40年の長期にわたる見通しとされております。そのため、当社も創イノベーション株式会社及び慶應義塾大学理工学部大村研究室と共同で研究しておりますトリチウム分離除去技術を、関係団体と共に実用化に向けて引き続き進めてまいります。ESG分野においては、2024年1月16日付「(開示事項の経過)第三者委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」にて開示いたしましたとおり、第三者委員会から受領した調査報告書において、再生EVバッテリーを事業用ポータルバッテリーとしてリユースレンタルする環境配慮型の事業に関する取引の実在性に関する指摘を踏まえ、今後本蓄電池取引を行わない方針のもと各社との契約の見直しを行っており、一部の顧客との間で締結した契約について解除を進めております。
当中間会計期間における当社の業績は、売上高590,687千円、営業損失160,132千円、経常損失162,141千円、中間純損失249,017千円となりました。
セグメント別の概況は以下のとおりです。
ヘルスケアソリューション事業
ヘルスケアソリューション事業の当中間会計期間は、売上高479,464千円(前年同期比78.6%増)、セグメント利益5,416千円(前年同期は56,624千円の損失)となりました。
当セグメントの業況といたしましては、メディカルシステム分野を中心とした展開を行っておりますが、電子カルテシステムに付随する部門システムの大型案件の納品が完了したことや保守案件の増加、人員配置の見直しや外注費の削減に努めたことにより前中間会計期間と比べ、売上高は増収し、利益については損失から黒字転換となりました。
メディカルシステム分野においては、PACS(医療用画像管理システム)、電子カルテ、RIS(放射線科情報システム)、統合viewer・医用文書スキャンシステム等を継続販売しております。医療機関のDX化が注目を集める中、統合viewerは一画面で患者様の情報が俯瞰できるため情報を探す手間が省け、業務の効率が上がり、医療従事者の働き方改革にも役立つシステムになります。院内に紙媒体で散見する医用文書をファイリングできる医用文書スキャンシステムは、患者様の同意書や各種検査の検査結果用紙等の医用文書にタイムスタンプを付与し原本としてデジタル保存することで膨大な紙文書の保管から解放(ペーパーレス化)を実現いたします。また、セキュリティ対策としてアクセスログ管理システムを提供しています。当中間会計期間では、電子カルテシステムに付随する部門システムの大型案件の納品が完了したことなどにより、前中間会計期間と比べ売上高は増収し、利益については損失から黒字転換となりました。
一方、医療経営管理システム「ONE Viewer」と支払代行サービス「ONE Payment」の販売を新規事業として開始いたしました。「ONE Viewer」は、経営データを一元化し、レセプト請求ファイルや財務情報の収集・分析を行い、結果の可視化を可能とする医療機関経営者の迅速かつ的確な意思決定を支援するシステムで、これまでのシステムでは珍しい医療経営のための「セキュアクラウドシステム」です。このシステムにより医療機関への導入が見込まれ、当社の安定収益の確保に寄与するものと考えております。また、「ONE Payment」は、医療機関を顧客とする卸売企業に対しては売掛債権の早期回収と未回収リスクのゼロ化が図れ、医療機関に対しては資金の確保を提供する支払代行サービスとなり、医療機関がこのサービスを利用することにより医療機関を顧客とする卸売企業と医療機関の双方にとって経営の安定化が期待されるとともに当社の収益力向上にも寄与する事業であります。これらの新規事業を早期に収益基盤とするべく営業活動に取り組んでおります。
メディカルサプライ分野では、新型コロナウイルス感染症の症状軽減傾向にあり、抗原検査キットの需要は前期に比べ減少しているため、売上高と利益共に前年同期を大幅に下回りました。
地球環境ソリューション事業
地球環境ソリューション事業の当中間会計期間は、売上高111,223千円(前年同期比88.6%減)、セグメント利益213千円(前年同期は1,949千円の損失)となりました。
当セグメントの業況といたしましては、GEOソリューション分野、エネルギー分野、原子力産業関連分野を中心とした展開を行っておりますが、前中間会計期間と比べ、太陽光発電所の大型売却案件を獲得出来なかったことにより売上高が大幅な減収となり、利益については販売手数料や外注費の削減に努めた結果、損失から黒字転換となりました。
GEOソリューション分野においては、当社が販売するPix4D社製の三次元画像処理ソフトウェア「PIX4Dmapper」「PIX4Dmatic」、クラウド方式の三次元画像処理サービス「PIX4Dcloud」、スマートフォンやタブレット端末を用いた計測ツールアプリ「PIX4Dcatch」、並びにGNSS受信機「viDoc RTK rover」「EMLID Reach RX」の受注が引き続き堅調に推移し、一定の利益も確保できております。また、従来の取引先である測量・建築業界のみならず、土地家屋調査士、文化財発掘調査等の新たな市場の開拓が進んでおります。また、車載や手持ちで簡単に三次元計測が可能な「マップフォー社」製品の新規取り扱いを開始しており、今後インフラ管理分野への導入を進めてまいります。
エネルギー分野においては、再生可能エネルギー市場の動向に注視しつつ、太陽光発電所等のセカンダリーマーケットにおいて売買活動を継続してまいりましたが、当中間会計期間においては、太陽光発電所の大型売却案件を獲得するには至らず、売上高と利益共に前中間会計期間を下回る結果となりました。
原子力産業関連分野のトリチウム分離除去においては、創イノベーション株式会社及び慶應義塾大学理工学部大村研究室との共同研究で得られた内容を電力会社との間で質疑応答を重ねながら、実証に向けて進めております。IAEAにテストサンプルとして納入いたしました、高い耐放射線性能と小型・軽量・省エネの特長を持つマッハコーポレーション株式会社製の耐放射線CMOSセンサーカメラ2台は、既に、IAEAにおいて試験が行われており、引き続きIAEAと協議を重ね、IAEAの意向に沿った製品への改良を進めてまいります。また、一般社団法人新生福島先端技術振興機構(以下、「新生福島先端技術振興機構」)との間で締結した独占販売代理店契約に基づき、同一事象同時検出法を利用して、GAGG(※1)シンチレータを使用した2個の検出器による測定を行うことでトリチウムの信号とノイズを分離し、短時間で微量のトリチウム等が測定可能な連続計測器は視察いただいたIAEA各国代表からの高い評価を受け、IAEA及び国内電力会社とも実装のための環境整備等について、協議を継続してまいります。
※1 GAGGは近年新しく開発されたシンチレータ結晶で、シンチレータ結晶の中では最も発光量が高いとされている。
(資産)
当中間会計期間末における流動資産は、928,158千円(前事業年度末比27.9%減)となりました。これは、売掛金が86,396千円増加したものの、現金及び預金が262,229千円、未収消費税が119,515千円減少したこと等によります。
固定資産は、327,344千円(同16.5%増)となりました。これは、投資有価証券が74,481千円増加し、長期預け金が22,414千円減少したこと等によります。
この結果、当中間会計期間末における総資産は、1,255,503千円(同19.9%減)となりました。
(負債)
当中間会計期間末における流動負債は、757,145千円(前事業年度末比8.2%減)となりました。これは、未払金が10,776千円増加したものの、買掛金が20,208千円、仮受金が42,512千円減少したこと等によります。
固定負債は、5,803千円(同31.4%減)となりました。これは、その他が2,662千円増加し、長期借入金が5,040千円減少したこと等によります。
この結果、当中間会計期間末における負債合計は、762,949千円(同8.4%減)となりました。
(純資産)
当中間会計期間末における純資産合計は、492,554千円(前事業年度末比33.0%減)となりました。これは、その他有価証券評価差額金が6,033千円増加したものの、中間純損失249,017千円を計上したこと等によります。
当中間会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、291,593千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において、営業活動の結果使用した資金は180,892千円となりました。これは、税金等調整前中間純損失の計上246,779千円、契約解約益42,504千円、売上債権の増加90,344千円、棚卸資産の減少40,014千円、未収消費税の減少119,515千円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において、投資活動の結果使用した資金は76,297千円となりました。これは、投資有価証券の取得による支出64,121千円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において、財務活動の結果使用した資金は5,040千円となりました。これは、長期借入金返済による支出5,040千円があったことによるものです。
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
当中間会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
当中間会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
当中間会計期間の研究開発活動は、主に地球環境ソリューション事業における原子力関連分野のトリチウムの分離技術におけるプレパイロット装置を使った実験であり、当中間会計期間における当該研究開発活動に関わる費用の総額は3,776千円であります。
当中間会計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。
当中間会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。
(注)1 創イノベーション株式会社との間で締結した、クリーンなエネルギー社会の創造及び地方創生への取組みを加速することを目的とした経営統合に関する基本合意書に関し、株式交換契約の承認取締役会及び締結を2022年3月と予定していましたが、株式交換の諸条件について引き続き両社で協議するため、株式交換契約の承認取締役会及び締結予定を2026年3月(2025年3月28日取締役会の決議事項)に変更しております。
2 慶応義塾大学及び創イノベーション株式会社との3者間によるハイドレート生成原理を利用した水同位体分離の研究の契約は、研究の精度を高めるため、契約終了期間を2026年3月31日まで延長とする契約を2024年4月1日に締結しております。
当事業年度の研究開発活動は、主に地球環境ソリューション事業における原子力関連分野のトリチウム分離技術におけるプレパイロット装置を使った実験であり、当事業年度における当該研究開発活動に関わる費用の総額は3,500千円であります。
当中間会計期間の研究開発活動は、主に地球環境ソリューション事業における原子力関連分野のトリチウムの分離技術におけるプレパイロット装置を使った実験であり、当中間会計期間における当該研究開発活動に関わる費用の総額は3,776千円であります。