第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、創業以来「世界共通の品質を世界共通の価格で」を企業理念に掲げ、品質の良いファッショントレンドアイテムをリーズナブルな価格でお客様へお届けするために、「ライフスタイル創造企業」として、お客様にご満足いただき感動を与えられるような世界共通のサービスを提供することで、人々の幸せを実現していくことを基本方針としております。

 

 そのために、世界のシューズストア「ABC-MART」を展開し、以下を実行してまいります。

 ①「ABC-MART」の出店を拡大し、世界に通用するストアブランドに確立することを目指します。

 ②「ABC-MART」では、ブランドを基調としたトレンドアイテムの充実を図ります。

 ③「ABC-MART」のマーチャンダイジングを強化するためにブランドポートフォリオを充実します。

 ④「ABC-MART」のリアル店舗とオンラインをつなぐデジタルコマースを強化します。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループの経営指標としては、連結営業利益率を二桁水準で維持することを目標とします。

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、今後の中長期的な経営戦略として、①マーケットシェアの拡大、②積極的な店舗展開とデジタルコマースの推進、③世界マーケットへの発信、④既存ブランドの拡充と新規ブランドの取得・育成を掲げております。

① マーケットシェアの拡大

 国内のシューズマーケットは1兆4,000億円程といわれておりますが、当社はその1割超のシェアを誇るシューズカンパニーであり、国内においてはトップ企業であります。現在置かれているシューズ業界のみならず、スポーツ市場、スポーツアパレル市場、レディース市場など、シューズを取り巻く環境下において成長市場は多数あります。これらのマーケットを取り込んでいくことで、シューズ関連事業の拡大を模索してまいります。企業買収や異業種との業務提携、新商品の共同開発やコラボレーションなど、新たなビジネスチャンスも獲得してまいります。

 

②積極的な店舗展開とデジタルコマースの推進

イ.出店拡大

 成長への一番の原動力は新規出店であります。既存店のリニューアル出店や業態変更による新規出店を含め、年間50店舗程の出店を続けてまいります。

ロ.業態の開発・展開

 「ABC-MART」を中核に据えて、

 第一に、大型旗艦店「ABC-MART Grand Stage」の出店を都心部や大型商業施設へ拡大します。

 第二に、カテゴリー戦略に寄与する業態店舗の出店を進めてまいります。アスレジャー向けスポーツファッション専門店「ABC-MART SPORTS」、レディース専門店「Charlotte」、レザーブーツ専門店「Danner」など。

 第三に、面積規模が100坪以上の地方郊外のショッピングセンターおいては、2つ以上の屋号を併設して展開する複合業態店舗の出店を進めてまいります。

ハ.デジタルコマースの拡大

 デジタル事業においては、自社オンラインサイトの利用促進と他社サイトでの販売を拡大し、デジタル売上を年率で20%以上成長させることを目指します。

 オンライン販売における店舗受取サービスの提供やリアル店舗におけるネットを活用した取り組みを促進し、リアル店舗とオンラインの垣根を越えたサービスを提供し、顧客サービスの向上に努めてまいります。

 

 

③ 世界マーケットへの発信

 当社は、世界各地の展示会や海外市場でのリサーチにより、世界の流行を商品企画に活かし、このようにしてつくられた商品を「ABC-MART」で販売することで、海外のトレンドを日本に定着させる役割を担っております。

 一方で、日本の流行を海外へ送り込む手段として「ABC-MART」の海外展開を拡大しております。現在、海外子会社によって、韓国、台湾に「ABC-MART」の店舗網を拡充し、北米においてはレザーブーツ専門店「DANNER」を展開しております。今後は、東南アジアなど他の海外市場への販路拡大も具現化してまいります。

 

④ 既存ブランドの拡充と新規ブランドの取得・育成

 当社グループは、商品の企画開発・製造から販売までを一貫して行う自社ブランドを保有しております。1995年に商標権を取得し主にレザーカジュアルシューズを中心に展開する「HAWKINS」ブランド、レディース商品のPBブランドとして自社開発した「NUOVO Collection」等があります。2012年には米国の高品質ブーツブランド「Danner」「LaCrosse」を、2014年には「White's Boots」の商標権を取得いたしました。また「VANS」ブランドやライセンス契約を締結し販売している「saucony」ブランド等があります。

 このようにして、ブランドの取得、PBブランドの開発育成、認知度の高いブランドとのライセンス契約等を行うことで高い収益性を実現し、またシューズ業界における競合他社との差別化を図っております。

 今後も、様々なライフスタイルに応じた商品の開発、提供を行うとともに新規ブランドの取得も視野に入れ業容の拡大に努めてまいります。

 

(4) 経営環境

 今後の当社グループを取り巻く経営環境を展望しますと、新型コロナウイルス感染症の収束時期は長期化する可能性があり、収束までは社会経済活動を一定程度抑制せざるを得ない状況になると予想します。半面、感染症対策がデジタル化の流れを推し進め、企業活動においても変革が求められるようになりました。消費環境においては、コロナ禍において、幅広い年齢層にキャッシュレス化が浸透しはじめ、また在宅勤務やリモートワークの導入により働き方にも変化がみられ、ライフスタイルそのものを大きく変える要因となりました。また頻発する地震や台風等の自然災害が発端となり、リスク管理体制の整備や自然環境(eco)へ配慮した取り組みを行うことが企業の社会的な責務となりました。

 このような状況下、当社グループは、シューズ業界におけるトップ企業として、停滞している国内需要を喚起させる取り組みを実施しております。お客様の購買意欲を高めるための様々な販売戦略を実施し、新たなマーケットを開拓するべく諸施策の遂行に取り組んでおります。またどのような状況下においても、より良い商品をお客様にご提案できる接客サービスの向上に努めております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが対処すべき課題といたしましては、『店舗・商品・人材・IT』という重要な戦略要素を強化していくことであると認識しております。

① 店舗戦略

 多店舗展開を推進するにあたり、多様な商圏、顧客層に応じた店舗形態を築いていく必要があります。特に、自店競合を起こさないよう地域の特性等も考慮に入れながら新業態の開発に取り組みます。また、商品の企画から構成(マーチャンダイジング)を店舗設計等の計画に組み入れ、収益重視の店舗開発を行うことが重要と考えます。これらを踏まえ、個別店舗の収益を最重要視し、全ての店舗が収益に貢献することを目指します。

 また、国内に留まらず、「ABC-MART」のグローバルな店舗展開を推進してまいります。

 

② 商品戦略

 顧客ニーズの多様化とライフスタイルの変化に即応していくために、商品カテゴリー毎の戦略をより明確にし、店舗とオンラインへの商品供給を適時適切に行ってまいります。売れ筋商品の見極めと滞留在庫の取り扱いの早期判断・対処により、単品ごとの在庫回転率の改善を図り、収益力を高めてまいります。

 売上総利益率の向上を図るためには、売上高に占める自社企画商品の構成比率を上げる取り組みが必要となります。またメーカー各社との取引において、ナショナルブランドの共同企画による限定商品を展開していくことが、他社との差別化につながります。これらの取り組みを行うことで、売上原価の低減と利益率の向上に努めてまいります。

 デジタル広告の積極的な利用を推進し、テレビなどの媒体活用を戦略的に使い分けて、ターゲット層に響く広告宣伝と販売促進活動を行ってまいります。

 

 

③ 販売力(人)の強化

 当社グループは、対面販売による営業活動を主軸に事業を展開しております。

お客様にとって魅力のある店づくり、商品づくりを心がけ、提供していくためには、スタッフ一人ひとりの販売力が重要であると考えます。『人の力』が最も大切であるということを充分理解し、小売業の基本といえる接客サービスを身に付け向上させる取り組みを進め、今後とも適切な指導を行ってまいります。また海外子会社の店舗とも人材交流を進め、グループ企業としての「接客の均一化」を図ってまいります。

また少子高齢化による採用難に対応し、スタッフの様々なライフスタイルに応じた「働き方改革」を推進してまいります。ショートタイム社員や地域限定社員など雇用形態の多様化を図り、中長期的な労働力の確保を目指します。またスタッフの潜在能力を引き出し、最大限に活かせる場所への人材のアロケーションを含めたマネジメントを強化してまいります。

 

④ ITへの継続的投資

 当社グループは、対面販売を基調とした直営店(リアル店舗)のほか、インターネットオンラインサイトを運営しております。当社グループの事業拡大には、デジタルコマースの成長は不可欠となってきております。

 リアルとネットを繋ぐためのオムニチャネル戦略を推進していくため、ITへの積極的かつ継続的な投資を進めてまいります。リアル店舗とネットを繋ぐ媒体として、スマートフォンを活用した様々な取り組みを実現してまいります。ABCマートアプリによる新規会員の獲得、リアルとネットの相互利用が可能な電子ポイントシステム、会員向け情報発信サービスの提供や、キャッシュレス決済への対応など多岐にわたります。IT活用による顧客満足度の最大化とさらなる業務の効率化を目指してまいります。

 

⑤ 内部管理体制の強化

 企業規模が拡大していくなか、国内外へのグローバルな活動が活発化しており、その社会的責任も一層増していることを強く認識しております。

 2015年5月、取締役会における経営判断の適正性を監視する機能をさらに高めていくため、また取締役会の監督機能の強化によるコーポレート・ガバナンスの充実という観点から、監査等委員会設置会社へ移行しました。

 取締役の職務執行状況や経営活動全般における法令遵守についての内部監査を強化していくと共に、お客様の安心・信頼に繋がる店舗運営を実現するため、店舗監査を定期的に実施し、必要に応じて是正勧告等を行い、店舗運営の適正化に努めてまいります。また法令遵守はもとより、役職員の健康管理の観点から、より一層働きやすい労働環境の整備に向けた取り組みを積極的に行ってまいります。会計監査につきましては、監査等委員との相互連携により監査体制を充実させてまいります。その他法令・税務についての判断を要する案件につきましては、顧問弁護士、顧問税理士に依頼または相談し、適宜、指導や助言を受けてまいります

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 感染症の拡大

①主なリスクの内容

・感染拡大防止のため、営業店舗の休業等を含めた営業制限

・当社グループ及び取引先企業の従業員等の感染

・取引先メーカーからの仕入商品の入荷遅延、海外生産工場の操業停止、物流遅延

②当社グループへの影響と主な取り組み

 当社グループの各社は、米国を除き、小売事業として多店舗展開を行っております。既存の感染症については、ワクチン、予防薬や治療薬の開発等により、感染拡大による営業制限のリスクは小さくなると予想しますが、新たな感染症が発出し感染拡大により緊急事態宣言が発表される状況となった場合、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。具体的には売上高の著しい減少が想定されます。特に、世界的に感染拡大となった場合、インバウンド需要が見込めなくなります。2020年2月期決算における国内のインバウンド需要は、国内売上のおよそ1割程でした。店舗が一定期間一斉休業した場合を除き、特に大都市圏での移動制限や外出自粛により消費が1割から2割程減退すると予想します。特に、東京を含めた関東圏は全店舗の4割を占めるため、これらが一斉休業となった場合、国内売上高の過半に影響を与えると想定されます。利益については、減収に応じて経費のうち人件費や地代家賃などの固定費に当たる部分が負担増となり減益の可能性があります。

 当社グループは、延べ人数で1万人を超える雇用をしております。感染症に限らず、これら不可抗力な事象の発生により、長期的に店舗運営が困難な状況となった場合、雇用の維持ができなくなる可能性があります。

 当社グループの主な取り組みといたしましては、感染防止策の徹底(マスク・消毒・密を避ける)、オンライン販売の拡充、経費関係の支出抑制、関東以外の地域への出店強化、都心部のみならず生活圏への出店拡充を行ってまいります。

 

(2) 大規模災害等

①主なリスクの内容

・大地震や台風・豪雨などの自然災害

・火災、停電

②当社グループへの影響と主な取り組み

 当社グループの国内店舗は、全国各都道府県に1,000店舗以上あり、海外については、韓国に280店舗以上、台湾に50店舗以上あります。各社は、商品等を保管する倉庫を所有しております。また日本及び米国においては工場を所有しております。大規模な自然災害等により店舗・倉庫・工場が被災した場合、固定資産や商品等に損害が発生する可能性があります。日本における本社機能は、東京、韓国においてはソウル特別市、台湾においては台北エリア(新北市)、米国においてはオレゴン州にあります。自然災害等、不可抗力な事象の発生により本社機能が麻痺した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。中長期的には首都圏直下型地震や南海トラフ地震が予測されており、相当程度のリスクがあります。具体的な発生時期や影響の程度は不明です。

 当社グループの主な取り組みといたしましては、予防的な措置として基幹業務を中心にクラウド運用を強化すること、事後対応としてSNS等を活用した緊急連絡網の整備、大型店にサテライトオフィスを設置するなど本社機能の一部分散等の対応をしてまいります。

 

 

(3) 海外情勢

①主なリスクの内容

・政治・経済情勢の変動

・テロ・紛争等による治安状態の悪化や社会的な混乱

②当社グループへの影響と主な取り組み

 当社グループの売上高のうちおよそ3割が海外売上高であり、そのうち韓国で2割を占めます。韓国においては、ソウル特別市内及び京畿道にドミナント出店しており、全体の過半の売上を占めております。過去にSARSやMARSといった感染症の流行、日本製品の不買運動等により業績が悪化することがありましたが、政治・経済情勢の変動等により同様のことが起こる可能性があります。

 当社グループの国内事業は売上の約3割を自社ブランド及びライセンスブランドで占めておりますが、これらの商品は海外の委託工場で生産し、日本に輸入しております。主な生産地域は、東南アジア(約5割)、中国(約4割)であります。これらの地域において政治・経済情勢が著しく悪化した場合、商品供給が滞る可能性があります。

 当社グループの主な取り組みといたしましては、海外拠点を増やすこと、海外の他地域への進出を検討しております。海外生産においては生産国を分散することでリスク回避を行っております。

 

(4) 為替相場の変動

 海外セグメントは、韓国、台湾、米国で構成されております。それぞれの現地通貨に対し円高になった場合、売上や利益が減少します。在外子会社の資産、負債は、当該子会社の決算日の直物為替相場により円貨に換算し、収益及び費用は、期中平均為替相場により円貨に換算しております。当社グループの売上のおよそ3割が海外売上のため、決算期末日時点の為替相場が大きく変動した場合、財務諸表に影響を与える可能性があります。

 当社グループの国内売上のおよそ3割が自社企画商品であり、その9割を海外から輸入しております。これら輸入商品の大半が米ドル決済であり、年間2億ドル程の外貨需要があります。米ドルが1円円安になった場合、仕入原価がおよそ2億円増加します。輸入為替につきましては、仕入コストの安定化を図ることを目的として為替予約等を締結する場合がありますが、為替相場が大きく変動した場合、売上総利益に影響を与える可能性があります。

 

(5) 事業環境

①主なリスクの内容

・シューズマーケットの縮小

・ファッショントレンドの変化

②当社グループへの影響と主な取り組み

 中長期的には、国内においては、人口減少と超高齢化社会によりシューズマーケットは縮小の可能性があります。シューズの需要が低下する場合、出店戦略や業績に影響を与える可能性があります。

 世界的なカジュアル志向により、スニーカー需要が増し、レザーシューズやビジネスシューズの販売が低迷しております。トレンドの変化により、商品の需要と供給が変わることから、業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループの主な取り組みといたしましては、シューズマーケットにおける国内シェアの拡大、またシューズ以外の分野、スポーツアパレル市場においてもシェア拡大を狙ってまいります。トレンドの変化への対応につきましては、商品カテゴリー毎の戦略を適宜見直してまいります。

 

(6) 季節変動

①主なリスクの内容

・販売動向の変化

②当社グループへの影響と主な取り組み

 当社グループが置かれているシューズ業界は、ファッション業界と同様、売上高に季節変動があります。3月から5月(第一四半期)は就職・就学需要と春休みやGW等の春商戦があり、12月と1月は年末年始商戦があるため、売上が最も大きくなります。また出店が多くなる第一四半期と第三四半期に経費が多く計上されることから、営業利益は四半期会計期間毎に変動する傾向にあります。キャッシュ・フローにつきましては、納税時期である4月と10月、配当支払い時期である5月と11月は、現預金の支出が多く、また新規出店や改装によるリニューアル出店が多い時期でもあることから、第一四半期と第三四半期の財務活動と投資活動によるキャッシュ・フローは支出が増加します。

 当社グループの主な取り組みといたしましては、シーズン毎に販売戦略を構築し、季節感のある店舗運営、商材設定を行っていくことで、お客様にご満足いただける商品・サービスの提案を行ってまいります。

 

 

(7) 人材の確保と育成

①主なリスクの内容

・採用状況の悪化

②当社グループへの影響と主な取り組み

 当社グループの国内においては、毎年200名以上の新規採用を行っております。採用難の状況となった場合、出店戦略や店舗運営に影響を与える可能性があります。

 当社グループの主な取り組みといたしましては、雇用形態の多様化(短時間労働正社員ほか)、地域密着型の人材登用を行い、人材の確保に努めております。また採用研修制度の充実を図り、人材の育成と能力開発を進めていくことで、将来を担う若手社員の離職を防ぐ取り組みを行っております。

 

(8) 契約ブランド

 当社グループは、取引先とディストリビューター契約及びライセンス契約を締結し、ブランド商品の製造販売、又はライセンス生産を行っております。取引先企業との関係は良好でありますが、契約条件の変更や契約が解除された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 情報セキュリティ

 当社グループは、デジタル事業を展開するうえで、顧客情報(個人情報を含む)や営業秘密等の機密情報を取り扱っております。万が一、機密情報の流出・消失が発生した場合、当該情報の回収や損害賠償の支払等の対処を要し、業績への悪影響や顧客の信用低下を招く可能性があります。

 

(10) 減損損失

 当社グループは、原則として各店舗を独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位と捉え、減損会計を適用し、投資の回収可能性を適時に判断しております。事業環境の変化等により収益性が低下した場合、有形固定資産およびのれんや商標権などの無形固定資産について減損損失を計上する可能性があります。

 

(11) 金融商品評価損

 当社グループは、現在、純投資目的である投資株式を保有しております。これらは市場価格(時価)により価格が変動するため、時価が下落した場合は、損失を被る可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営者の視点による財政状態、経営成績の状況に関する分析・検討内容

① 当連結会計年度の経営成績の概況及び分析

 当連結会計年度(2020年3月1日から2021年2月28日まで)における事業環境は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、社会・経済活動が大きく制限されるなか、企業収益や景況感の悪化、個人消費の減退やインバウンド需要の急減など極めて厳しい状況で推移しました。政府の緊急事態宣言の解除後も、経済活動の回復に向けた動きは鈍く、依然として先行き不透明な状況が続いております。一方で在宅時間が増えたことでオンライン販売が増加し、また非接触へのニーズが高まったことでキャッシュレス決済が普及しました。

 シューズ業界におきましては、外出自粛の長期化による需要の先送りが懸念されるなか、オンライン販売は伸長しました。商品動向としては、コロナ禍においてもスニーカー需要は高く在宅勤務やリモートワークの広がり、冠婚葬祭の縮小等によりフォーマル・ビジネス需要が低下しました。

 これらのことから、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 このような状況下、当社グループは、IT戦略の強化、オンライン販売の強化、スポーツシューズやスポーツアパレルを含めたライフスタイルカジュアルの拡充に対応してまいりました。出店につきましては、国内外合わせて103店舗の新規出店を行い、当社グループの店舗数は、1,379店舗となりました。

 以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、新型コロナウイルス感染症の影響により売上高は前期比19.1%減の2,202億67百万円と、上場以来初めての減収となりました。利益面につきましては、滞留在庫の評価減を28億61百万円計上しましたが、営業利益は前期比55.0%減の195億13百万円、連結営業利益率は8.9%となりました。経常利益は前期比52.0%減の212億83百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、特別利益に投資有価証券売却益を92億21百万円計上したため、前期比35.3%減の192億26百万円となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

イ.国内

販売戦略につきましては、感染再拡大による消費低迷が続くなか、国内需要を喚起させる取り組みとして、ABCマート公式アプリのリニューアルセール、レディース・キッズ全品割引セール、ブラックフライデーセール等の企画を行いました。また商品展開においては、著名アーティストとのコラボレーションやナショナルブランドの限定商品の販売に注力し単品訴求を行いました。販売促進活動においては、ブランド戦略にはデジタル広告を積極的に採用し、オンラインと店舗の双方の顧客に向けたアプローチを強化しました。

IT戦略といたしましては、当連結会計年度は店舗におけるキャッシュレス決済の対応を進めました。3月以降、電子マネー(交通系ほか)とスマートフォン向けQRコード決済(PayPay・楽天ペイ・メルペイ)の導入を進め、6割強の店舗で取り扱いをしております。

店舗展開におきましては、関東や関西、九州沖縄エリアへ出店し、主に郊外のショッピングセンターを中心に50店舗の新規出店をいたしました。これらの結果、期末の国内店舗数は1,032店舗(閉店 国内34店舗)となりました。既存店におきましては、都心部旗艦店の改装を進め、増床を含めた改装、好立地への移転改装を35店舗実施いたしました。このうち増床は16店舗となりました。当連結会計年度においては、「GRAND STAGE」への業態変更や「ABC-MART」と「GRAND STAGE」、「ABC-MART」と「ABC-MART SPORTS」や「Charlotte」といった複数のバナー(屋号)を持つ複合業態店舗への変更を含めた増床改装を中心に改装を進めました。複合業態店舗のメリットは、異なるターゲット層をもつ店舗同士を一区画に併設することで来店客の買い回り率の向上を図り、また運営面においてはバックヤード等が共用であることから商品在庫や販売スタッフを一元管理して効率の良い店舗運営が可能になります。

国内店舗の売上高増収率につきましては、全店で前期比21.8%減、既存店で前期比15.3%減となりました。新型コロナウイルスの影響により昨年の春以降インバウンド需要がなくなり、また感染拡大防止のための外出自粛や営業時間の短縮等が響き、都心部を中心に集客が大きく落ち込みました。

これらの結果、国内における売上高は前期比21.9%減の1,519億8百万円、セグメント利益は前期比55.7%減の171億7百万円となりました。

ロ.海外

 海外の店舗展開につきましては、韓国で43店舗、台湾で10店舗の新規出店を行いました。期末店舗数(2020年12月31日現在)は、韓国283店舗、台湾58店舗、米国6店舗で、347店舗(閉店 韓国19店舗、台湾4店舗)となりました。

 海外の業績につきましては、いずれの国においても新型コロナウイルスの影響がありました。為替はやや円高水準となりました。韓国につきましては、日本と同様に都市部への往来の回避や外出の自粛が続いたため、売上高は前期比20.4%減の409億95百万円となりました。台湾につきましては、感染拡大を早くから抑制できたことから売上高は前期比4.1%増の76億円となりました。米国につきましては、オンライン販売が伸びたことから、売上高は前期比2.7%増の205億87百万円となりました。海外連結子会社はいずれも12月決算であります。

 これらの結果、海外における売上高は前期比12.3%減の691億91百万円、セグメント利益は前期比50.3%減の23億41百万円となりました。

 

 

(販売実績)

品目別販売実績

 品目別

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比(%)

スポーツ

161,023

129,117

△19.8

レザーカジュアル

37,413

33,268

△11.1

キッズ

18,271

16,208

△11.3

レディース

17,695

11,435

△35.4

サンダル

10,974

9,259

△15.6

ビジネス

9,973

6,503

△34.8

その他

17,010

14,473

△14.9

合計

272,361

220,267

△19.1

(注)1 上記金額には消費税等は含まれておりません。

   2 上記金額は、国内及び海外の合計で表示しております。

 

 

地域別店舗売上実績

地域別

売上高

店舗数

金額(百万円)

構成比(%)

開店(店)

閉店(店)

期末(店)

北海道

4,940

3.7

2

-

38

東北

5,534

4.2

1

1

51

東京

21,265

16.0

7

4

146

関東(除く東京)

35,402

26.7

12

7

275

中部

18,329

13.8

7

8

153

関西

23,580

17.9

9

5

164

中国四国

7,856

5.9

3

4

71

九州沖縄

15,633

11.8

9

5

134

国内店舗売上高合計

132,543

100.0

50

34

1,032

 その他 (注)2

18,705

 

 

 

 

国内合計

151,248

 

 

 

 

海外

69,018

 

 

 

 

売上高合計

220,267

 

 

 

 

 (注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2 「その他」の売上高の主なものは、通信販売及び卸売上等によるものであります。

 

3 単位当たり国内店舗売上実績は以下のとおりであります。

項目

前連結会計年度

(自 2019年3月1日

  至 2020年2月29日)

当連結会計年度

(自 2020年3月1日

  至 2021年2月28日)

国内店舗売上高(百万円)

178,867

132,543

1㎡当たり売上高

平均売場面積(㎡)

259,061.30

255,947.11

1㎡当たり年間売上高(千円)

690

517

1人当たり売上高

平均従業員数(人)

5,262

5,063

1人当たり年間売上高(千円)

33,992

26,178

(注)1 平均売場面積は、店舗の稼働日数を基礎として算出しております。

2 平均従業員数は、アルバイト・契約社員を含み、役員を除いております。なお、アルバイト・契約社員は期中加重平均(1日8時間換算)で算出し、加算しております。

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(仕入実績)

 

 区分

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比(%)

仕入高

132,400

105,858

△20.0

(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

   2 上記金額は、国内及び海外の合計で表示しております。

 

 

② 当連結会計年度の財政状態の概況及び分析

 流動資産合計は、前連結会計年度末に比べ85億81百万円減少し、2,252億22百万円となりました。主な要因は、投資有価証券の取得による支出と店舗売上の減収等による現金及び預金の減少106億74百万円、たな卸資産の減少46億55百万円等によるものであります。

 固定資産合計は、前連結会計年度末と比べ153億29百万円増加し、926億10百万円となりました。主な要因は、投資有価証券の取得等によるものであります。

 負債合計は、前連結会計年度末に比べ3億86百万円減少し、388億88百万円となりました。

 純資産合計は、前連結会計年度末に比べ71億34百万円増加し、2,789億43百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加51億95百万円及びその他有価証券評価差額金の増加22億25百万円等によるものであります

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ27億19百万円減少し、1,464億54百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金収支は、234億87百万円の収入(前期比110億60百万円収入減)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益291億15百万円、減価償却費54億6百万円、たな卸資産の減少額42億53百万円、投資有価証券売却益92億21百万円、及び法人税等の支払額82億51百万円等を反映したものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金収支は、113億16百万円の支出(前期比22億87百万円支出増)となりました。この主な要因は、新規出店及び店舗改装等に伴う有形固定資産の取得による支出53億67百万円、無形固定資産の取得による支出12億37百万円、投資有価証券の取得による支出935億86百万円及び投資有価証券の売却による収入889億44百万円等を反映したものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金収支は、150億16百万円の支出(前期比6億36百万円支出減)となりました。この主な要因は、配当金の支払による支出140億32百万円等を反映したものであります

 

② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの運転資金及び設備投資は、主に自己資金により充当しております。当連結会計年度末現在、1,464億54百万円現金及び現金同等物の残高を保有しており、将来資金に対して十分な財源及び流動性を確保しております。

 今後の資金使途については、新型コロナウイルスの収束までは感染対策が必要となるため、減収による固定費の利益圧迫が懸念されることから、経費の徹底的な削減など運転資金の著しい減少を避ける取り組みを行うとともに、将来の企業買収や販売体制を強化するためのITを含めた設備投資、自社株の取得等を検討してまいります。また株主様への利益還元として安定的な配当政策の実施は基より、配当性向を意識した増配が毎期実現できるよう努めてまいります。

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に際しては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。