文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループでは、会社の経営の基本方針として「社員憲章」を定めています。この「社員憲章」は、①事業のあり方、②組織のあり方、③メンバーのあり方、の3項目から構成され、当社グループのメンバーがよって立つべき企業理念を体現したものにもなっています。
また、国連の採択したSDGs(持続可能な開発目標)はこうした当社の経営方針と非常に親和性が高いため、その17項目のうち、「3. すべての人に健康と福祉を」「5.ジェンダー平等を実現しよう」「8.働きがいも経済成長も」「9. 産業と技術革新の基盤をつくろう」「13.気候変動に具体的な対策を」「17. パートナーシップで目標を達成しよう」の6つを実現するように努めています。
当社グループは、絶えずサービスのイノベーションを図り、グループ会社間でのノウハウ共有とインフラ統合を進めていくとともに、新技術や独自のノウハウを持つ企業と幅広く連携・提携を進めていきます。
(2)目標とする経営指標
当社は、企業集団の成長、並びに業務プロセスの効率性を測定するうえで、売上高と営業利益を重視しています。2022年6月期を初年度とする中期経営計画においては、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の業績への影響が見通しにくいなか、2024年6月期の連結売上高1,100億円、連結営業利益19億円を目標としておりました。
しかしながら、国民のワクチン接種が進むと同時に、医療機関においてもコロナ対応の知見が蓄積されたことから手術件数は回復の一途をたどっており、2022年6月期において早々と連結営業利益19億円を超える結果を出すことができました。そこで今回、2023年6月期を初年度とした中期経営計画の策定にあたっては目標を大きく引上げ、2025年6月期に目指す経営指標を、連結売上高1,200億円、連結営業利益25億円としました。
また、中期経営計画を達成するためには、人的資本への投資やICTをはじめとするDX(Digital transformation:デジタル化によるビジネスモデル等の再構築)への投資が欠かせません。こうした収益性の向上を図るための投資余力を保持するためには、ROEを現状水準程度に保ちながらも自己資本を充実させることが重要と考えています。(過去5年のROEの単純平均実績:13.1%)
(3)中長期的な会社の経営戦略
厚生労働省が示した「地域医療構想」においては、団塊の世代が75歳以上となる2025年を念頭においた新たな医療提供体制の構築が提唱されています。コロナの影響によってその動きは多少緩むことも想定されますが、急性期医療を提供する医療機関の集約は不可避であろうと思われます。その一方で、ロボットを使用した手術や、がんゲノム等の遺伝子解析による個別化医療が一部で実現されるなど医療技術は目覚ましく進歩しています。もちろん、従前より当社グループが得意としてきた整形外科領域や循環器領域(循環器内科・心臓血管外科)といった大市場、またその他手術関連領域においても、引き続き様々なサービス提供が医療現場より求められています。
こうした環境に対応すべく、当社グループでは2025年6月期を最終年度とする中期経営計画のポイントを以下の図のようにまとめました。なお、中期経営計画は毎年見直し、常に最新の中期計画による目標管理を行ってまいります。

①OLBA-DX:DXによって、あらゆる業務のあり方を見直します。非生産業務をできるだけ効率化して顧客へのサービス提供時間の最大化を図ると同時に、ICTツールを用いて営業活動の質を向上させ、顧客満足度を高めていきます。
②現業強化・生産性向上:仕入交渉力の強化、業務合理化・効率化などをさらに進めるほか、医療機器の安定供給に向けたロジスティクス基盤の充実により、顧客提供価値の最大化を目指します。
③SDGs推進・ESG経営:地球環境に配慮した取り組みを推進するほか、社員一人ひとりが健康で生き生きと働けるように働き方改革と健康経営に取り組みます。
④新規事業探索:収益源の多角化を図るべく、ASEAN諸国への進出の機会をうかがうほか、カワニシバークメドによるクリニック向けビジネスの拡大や、ものづくり企業との医工連携などを進めていきます。
⑤今回の中期経営計画を「次の100年に向けた基盤づくり」と位置づけ、社員憲章の共有によって組織の一体感を高め、目標達成に向けて歩んでいきます。
(4)会社の対処すべき課題
当社は、「会社の経営の基本方針」に基づき、グループ各社に対する資金・人材・インフラ事業政策等をサポートすることで企業価値の向上に努めていきます。
また、コンプライアンスの徹底、適切なリスク管理並びに適正な情報の開示を行い、グループの社会的価値を高めていきます。
(5)その他、会社の経営上重要な事項
該当事項はありません。
投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
なお、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全てを網羅するものではありません。
健康保険法第76条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が告示する診療報酬点数表の中に特定保険医療材料及びその材料価格基準(償還価格)が示されています。
医療制度改革の一環として、償還価格はおよそ2年ごとに見直しが行われていますが、実勢販売価格をもとに引き下げられる傾向にあります。これに連動して、当社グループの主な顧客である医療機関への販売単価も下落傾向にあり、収益性を圧迫する要因となっています。これに対処するため当社グループでは、仕入先との価格交渉力を高めたり、より付加価値の高い製品の取扱いを拡大したりなど収益改善に努めています。
当社グループは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」)をはじめとして、関連法規に基づく許可等を得て事業を継続しています。しかし、法令違反等により当該許可等が取り消された場合、当社グループの業績及び事業継続について重大な影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは統括部門を設置し、法令の遵守、適切な運用が行われるよう管理体制を整えています。また、定期的に役職員に対する教育研修を行うことで遵法意識の向上を図っています。
当社グループが取得している主な許可等とその内容は以下のとおりです。
当社グループは医療機器や医薬品の販売業として医薬品医療機器等法の規制を受けており、所在地都道府県知事の許可等が必要となります。
当社グループ各社の取扱商品には高度管理医療機器が含まれていますので、医薬品医療機器等法に定められた要件に準拠して管理者の設置やシステムの整備を進め、高度管理医療機器を取り扱っている全ての事業所で各都道府県知事より許可を取得しました。
当該許可は6年ごとに更新をする必要があります。また医療の安全は国民国家にとって重要な課題であるため、今後、医療機器に対する新たな法規制や許認可制度が制定される可能性もあります。
(注)高度管理医療機器
多種多様な医療機器につき人体に与えるリスクに対応した安全対策を講ずるため、国際分類を踏まえ、医療機器は3つの類型(高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器)に分類されています。このうち、高度管理医療機器を取り扱う販売業者については、都道府県知事の許可を得ることが必要です。なお高度管理医療機器とは、適正な使用目的にしたがって適正に使用したにもかかわらず、副作用又は機能障害が生じた場合に、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある医療機器と定義されており、当社グループの取扱商品においては、人工呼吸器、人工関節、ステント、ペースメーカー等がこれに該当します。
当社グループは医療機器の製造販売業者として「医薬品医療機器等法」の規制を受けており、所在地都道府県知事の許可が必要となります。
当社グループでは管理医療機器の製造・販売を行うため「医薬品医療機器等法」に定められた要件に準拠して管理者の設置や品質管理ならびに製造販売後安全管理について体制を整備し、第二種医療機器製造販売業許可を受けています。
当該許可は5年ごとに更新をする必要があります。また医療の安全は国民や国家にとって重要な課題であるため、今後、医療機器に対する新たな法規制や許認可制度が制定される可能性もあります。
(注)管理医療機器
多種多様な医療機器につき人体に与えるリスクに対応した安全対策を講ずるため、国際分類を踏まえ、医療機器は3つの類型(高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器)に分類されています。このうち、管理医療機器を取り扱う製造販売業者については、都道府県知事の許可を得ることが必要です。なお管理医療機器とは、高度管理医療機器以外の医療機器で、副作用又は機能の障害が生じた場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医療機器と定義されています。
当社グループは医療機器に付帯する薬品、試薬、体外診断用検査薬等(以下、医薬品等)を卸売販売しています。当社グループにおいては、医薬品医療機器等法に基づき卸売販売業の管理者を設置し、保管設備等の整備を行い、医薬品等を取り扱っている全ての事業所で各都道府県知事より許可を取得しています。今後、何らかの理由により医薬品医療機器等法の基準に適合しなくなった場合は、その事業所は医薬品の卸売販売業の許可を取り消される可能性があります。
当社グループが販売している医薬品等の一部には、毒物及び劇物取締法に基づき毒物又は劇物の指定を受けている製品があります。当社グループにおいては、毒物及び劇物取締法に基づく取扱責任者の設置、保管場所等の整備を行い、毒物又は劇物を取り扱っている全ての事業所で各都道府県知事の登録を受けています。今後、何らかの理由により毒物及び劇物取締法の基準に適合しなくなった場合、その事業所は登録を取り消される可能性があります。
建設工事及び内装仕上工事と管工事等に係る工事を受注するため、建設業法第3条に基づき福島県知事より特定・一般建設業の許可を受けています。今後、法的規制の新設や適用基準の変更等があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
介護保険法では、居宅介護福祉用具購入費の支給対象となる特定福祉用具(注1)は、都道府県知事より指定を受けた特定福祉用具販売事業者(注2)又は特定介護予防福祉用具販売事業者(注3)から購入されたものであると定められています。株式会社ライフケアでは、特定福祉用具の販売に当たり、全営業拠点に管理者及び福祉用具専門相談員を設置し安全管理体制を整備して、各都道府県知事より特定福祉用具販売事業者及び特定介護予防福祉用具販売事業者の指定を受けています。今後、何らかの理由により当該要件が満たせなくなった場合、その事業所に対し指定取り消し処分等が下されることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(注1)居宅介護福祉用具購入費の支給対象となる特定福祉用具とは、腰掛便座、特殊尿器、入浴補助具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分の5種目をいいます。
(注2)特定福祉用具販売事業者とは、介護保険法の要介護度1~5の要介護者を対象に特定福祉用具を販売する事業者をいいます。
(注3)特定介護予防福祉用具販売事業者とは、介護保険法の要支援度1~2の要支援者を対象に特定福祉用具を販売する事業者をいいます。
介護保険法では、介護保険法の支給対象となる福祉用具を貸与する事業者は、都道府県知事より福祉用具貸与事業者(注1)又は介護予防福祉用具貸与事業者(注2)の指定を受けることが義務付けられています。株式会社ライフケアでは、福祉用具の貸与に当たり、全営業拠点に管理者及び福祉用具専門相談員を設置し安全管理体制を整備して、各都道府県知事より福祉用具貸与事業者及び介護予防福祉用具貸与事業者の指定を受けています。今後、何らかの理由により当該要件が満たせなくなった場合、指定取り消し処分等が下されることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(注1)福祉用具貸与事業者とは、介護保険法の要介護度1~5の要介護者を対象に福祉用具を貸与する事業者をいいます。
(注2)介護予防福祉用具貸与事業者とは、介護保険法の要支援度1~2の要支援者を対象に福祉用具を貸与する事業者をいいます。
当社グループでは、医薬品医療機器等法の規制を受ける商品の取り扱いが高い割合を占めているため、当該法規制に違反するなどして当社グループの商品の供給体制が機能しなくなった場合、業績及び事業継続について重大な影響を及ぼす可能性があります。想定される内容は以下のとおりです。
当社グループの販売する医療機器及び医薬品の一部は、使用期限が設定されています。これは医療機器等が保健衛生上の危険を生じないように安全に使用出来る期限を定めたものです。
この使用期限を経過した医療機器等を販売することは医薬品医療機器等法に違反することとなり、この場合には、保健所等により医療機器販売業等の業務の停止などの処分を受ける可能性があります。
そのため当社グループでは、統括部門を設置し、使用期限を経過した医療機器等が流通しないよう手順を定め、適切な運用が行われるよう管理体制を整えています。また、定期的に役職員に対する教育研修を行うことで使用期限管理の徹底を図っています。
医薬品医療機器等法により、生物由来製品の販売業者は、生物由来製品を販売した際、販売先の住所・氏名その他厚生労働省令で定める事項に関する情報を、当該生物由来製品の製造承認取得者等に提供することが義務付けられています。そのため、上記法令に従って、生物由来製品の販売情報を製造承認取得者等に通知しています。
(注)生物由来製品
人その他の生物(植物を除く)に由来するものを原料又は材料として製造(小分けも含む)される医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器のうち、保健衛生上特別の注意を要するものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものを言います。当社グループの取扱商品の中には、生物由来成分を使用しているものがあるため、当該製品は生物由来製品に指定されています。
医療機器及び医薬品は、医薬品医療機器等法の定めにより、その使用において保健衛生上の危害が発生し、又は拡大する恐れがあることを知った場合は、これを防止するために廃棄、回収、販売の停止、情報の提供等の措置を講じなければならないとされています。
当社グループは、グループ外部の医療機器製造販売業者より仕入れた商品を販売するため、直接的にはこれらの義務を負うことはありませんが、間接的には、販売する商品が不具合等により回収、販売の停止等の事態になった場合には、販売業者である当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループでは、特定の商品が販売不能になった場合でも代替可能な商品を供給できるよう、多様な仕入先との取引関係を維持することに努めています。
医療機器業公正競争規約は、1998年11月に公正取引委員会の認定を受け、1999年4月に施行された、景品類提供の制限に関する公正競争規約です。事業者団体(医療機器業公正取引協議会)の自主規制ルールではありますが、不当景品類及び不当表示防止法(以下、景品表示法)に基づいて制定されており、医療機器業公正競争規約に違反することは、そのまま景品表示法違反となります。
当社グループでは、営業活動において医療機器業公正競争規約を遵守し、社員への教育啓発にも努めていますが、今後当局との間で認識の違いが生じ、医療機器業公正競争規約に違反した場合は、景品表示法違反に問われ、違約金が課される等の罰則を受ける場合があります。
当社グループでは、個人情報の管理の徹底を図っており、現在まで個人情報の流出による問題は発生していませんが、今後個人情報の流出により問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用低下等により、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(6)情報セキュリティについて
当社グループは、外部からのサイバー攻撃やウィルス感染の侵入における対策としてIT環境の整備を行っていますが、想定外のリスクは、完全になくならないと考えています。その為、以下の3つのポイントでリスク軽減を図っています。
・情報取扱規程及び情報システム規程並びにコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)の見直し
・従業員のセキュリティ教育や標的型攻撃メール訓練といった、セキュリティーリテラシーの向上
・感染被害拡大を防ぐため、24時間PCのモニタリングと感染時の迅速な検知と駆除、及び従業員向けの24時間セキュリティ問い合わせ窓口の設置
当社グループは今後も事業の拡大や統廃合に際して、関係会社の設立や売却、合併・分割・買収・提携の手法を用いる可能性があります。そのため、これらにかかる費用等が、一時的に当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性もあります。
また、当該事業が当初の計画通りに進捗しない場合、投資価値の減損損失を行う必要が生じるなど、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有する、土地・建物等の事業用資産や投資有価証券等について、価格下落等による資産価値の低下、外部環境の変化による事業収益・キャッシュ・フローの悪化等によって減損損失が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは国内の数多くの仕入先から医療機器等の商品を仕入れ、各地域の医療機関等へ販売をしています。大規模な地震、風水害等の自然災害が発生した場合、国内各地の物流網に影響が生じることで当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症の拡大に対し、医療機関において当該感染症への対応のため、緊急性の低い治療、手術の見送り、延期などの対策が取られた場合、当該治療、手術において使用が見込まれていた医療機器などの販売機会が失われ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは事業継続計画(BCP計画)の策定・見直しを進め、これらの自然災害等が発生した際に速やかに行動が出来るように対策をとっています。
なお、新型コロナウイルス感染症により当連結会計年度に発生した影響につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 財政状態及び経営成績の分析」に記載のとおりであり、これらの影響は今後医療機関の手術件数抑制の解消に伴い、徐々に緩和されることを前提に目標を設定して取り組んでまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の分析
①経営成績の分析
新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)は、社会構造に様々な変化をもたらしました。また、変異株による感染拡大も未だ継続しています。こうした状況において当社グループでは、「ビジネスを通じて、医学・医療・介護の発展に貢献し、国民の健康長寿に寄与する」という企業理念に基づき、感染拡大防止と医療機関や介護施設の支援に全力を尽くしてまいりました。特に感染防止製品の提案や安定供給についてはこれまで以上に気を配るとともに、社員の安全確保に気を配るために多様な働き方に対応できる環境整備も進めてまいりました。
主力事業である医療器材事業の業績に影響を与える手術件数は、コロナ前の水準に徐々に回復しつつあります。これは医療機関や研究機関のたゆまない努力によって、新型コロナウイルスの実態が徐々に明らかになってきたことと、その対策が確実に実施されてきたことによるものです。当社グループもこうした動きに対応すべく、医療機関への感染防止製品の提案や、ICTを活用した新サービスの開発に挑戦し続けました。こうした活動は、成長の軸である消耗品のシェア拡大という形で、一定の顧客評価を得ていると考えています。また、医療機関の建て替えに伴う設備備品の需要が想定以上だったことも、当期の業績に影響を与えています。
当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しています。また、収益認識に関する会計基準等の適用につきましては、収益認識に関する会計基準第84項に定める原則的な取扱いに従って、前連結会計年度の連結経営成績を遡及適用しています。
ただし、以下の〈医療器材事業〉における商品分類別売上高については、適時性を重視し収益認識会計基準適用前かつ管理会計に基づく集計値を元に分析を行っています。そのため、商品分類別売上高の合計は医療器材事業の売上高と一致していませんが、これによる分析の正確性への影響は軽微であると判断しています。
医療器材事業の商品分類別売上高は下記の通りです。
<医療器材事業 商品分類別売上高> 単位:百万円
当初、医療機関ではコロナに関する十分な知見が無かったため、コロナへの対応を最優先に考えて慢性期疾患等の手術件数を抑制してきました。しかし、医療機関の役割分担や連携体制が進んできたこと、ワクチン接種率が向上したこと、医療機関内の感染対策が進んだことなどにより、手術件数は2021年秋ごろから増加傾向に転じています。当社はこうした医療機関の動きをサポートすべく、グループの総力を挙げてサービス提供活動に取り組んでまいりました。その結果、医療器材事業の消耗品の売上高は前期比4.9%増となりました。その内訳は以下のとおりです。
手術関連消耗品の売上高は、一部顧客における失注の影響で眼科領域が前期比11.9%減となりました。また、コロナ関連で需要が急増していたPPE(※1)を含む感染対策製品は、価格の高騰が落ち着きを見せたことにより同5.6%減となりました。しかし、主力の外科製品が同11.0%増と第1四半期からの増加傾向を維持していることに加え、重点領域として取り組んでいる糖尿病製品を含む内科製品が同15.7%増、麻酔・手術室消耗品が同3.9%増と堅調に推移しました。その結果、手術関連消耗品は同2.9%増となりました。
(※1)マスクや手袋などの個人用感染防護具
整形外科消耗品の売上高は、コロナによる影響を強く受けた主力の人工関節関連製品が、前期比3.7%増と増加に転じました。これは、2021年秋ごろより手術件数が徐々に回復していること、ロボットを用いた手術が急速に普及していることなどが要因です。また、比較的緊急性が高い脊椎関連製品は同11.3%増、外傷・スポーツ・関節鏡(※2)関連製品は同3.7%増となりました。その結果、整形外科消耗品は同5.0%増となりました。
(※2)膝や肩の関節内にカメラを挿入して行われる低侵襲手術
循環器消耗品の売上高は、新規顧客開拓の進んだカテーテルアブレーション(※3)関連製品が前期比20.6%増と業績を大きく牽引しました。また、心臓ペースメーカなどの不整脈治療用インプラント関連製品も同6.3%増、コロナの影響を大きく受けていた心臓虚血治療関連製品も8.8%増と堅調に推移しています。その結果、循環器消耗品は同9.4%増となりました。
(※3)頻脈の原因となる心筋組織を焼灼もしくは凝固する治療
設備備品の売上高は、医療機関の建て替えに伴う設備備品が想定を超えて獲得できたこと、コロナ対策の補正予算などによって陰圧装置(※4)や空気清浄機など少額備品の販売が引き続き好調であったことなどにより、前期比21.2%増と今期の業績を大きく牽引しました。
(※4)感染が疑われる患者の周囲を陰圧状態にすることでウイルスの拡散を防止する感染防護機器
その結果、医療器材事業は、売上高1,022億14百万円(前期比5.9%増)、営業利益18億88百万円(前期比33.8%増)となりました。
<SPD事業>
SPD事業は、コロナの影響により新規受託につながる営業活動が捗りませんでしたが、既存受託施設における感染対策製品のニーズは引き続き高い水準を維持しています。その結果、売上の増加が販管費の伸びを大きく上回ったことから、売上高は47億32百万円(前期比5.4%増)、営業利益は1億70百万円(前期比27.8%増)となりました。
介護用品事業は、コロナの影響により在宅医療・居宅介護に対する関心が高まるなかで、当社のきめ細やかな営業活動が評価され、主力の介護用品レンタル売上高は前期比5.0%増と順調に推移しました。その結果、売上高は23億71百万円(前期比2.4%増)となりました。また、レンタルの利益率改善を引き続き推し進めたことにより、営業利益は1億71百万円(前期比18.0%増)となりました。
以上の結果、当期の連結売上高は1,079億59百万円(前期比5.8%増)、連結営業利益20億73百万円(前期比34.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15億35百万円(前期比55.2%増)となりました。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
2 セグメント間の取引については相殺消去しています。
当連結会計年度末の総資産は399億68百万円となり、前連結会計年度末と比べ34億6百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が10億30百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が23億3百万円、電子記録債権が3億11百万円、無形固定資産が1億16百万円それぞれ増加した一方で、有形固定資産が3億49百万円減少したことによるものです。
また、負債は308億75百万円となり、前連結会計年度末と比べ24億44百万円増加しました。主な要因は、支払手形及び買掛金が18億66百万円、電子記録債務が10億32百万円、未払法人税等が77百万円、役員株式給付引当金が57百万円それぞれ増加した一方で、短期借入金が3億円、長期借入金が2億20百万円それぞれ減少したことによるものです。
純資産は90億93百万円となり、前連結会計年度末と比べ9億61百万円増加しました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益により15億35百万円増加した一方で、自己株式の取得により1億29百万円、その他有価証券評価差額金が13百万円、退職給付に係る調整累計額が89百万円、配当金により3億9百万円それぞれ減少したことによるものです。
この結果、自己資本比率は、0.6ポイント増加し、22.8%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は前連結会計年度末に比べ10億38百万円増加し、31億49百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。
営業活動による資金の増加は、24億20百万円(前期は31億26百万円の増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益により21億36百万円、減価償却費により4億3百万円、仕入債務の増加により28億86万円それぞれ増加した一方で、売上債権の増加により25億95百万円、棚卸資産の増加により1億58百万円それぞれ減少したことによるものです。
投資活動による資金の減少は、2億11百万円(前期は6億30百万円の減少)となりました。主な要因は、定期預金払戻による収入により8百万円、有形固定資産の売却による収入により2億27百万円、連結範囲変更を伴う子会社株式の取得による収入により35百万円それぞれ増加した一方で、有形固定資産の取得による支出により2億98百万円、無形固定資産の取得による支出により1億55百万円、投資有価証券の取得による支出により30百万円それぞれ減少したことによるものです。
財務活動による資金の減少は、11億69百万円(前期は22億62百万円の減少)となりました。主な要因は、短期借入の返済による支出により3億円、長期借入金の返済による支出により2億20百万円、リース債務の返済による支出により1億74百万円、自己株式の取得による支出により1億35百万円、当社の配当金の支払により3億10百万円それぞれ減少したことによるものです。
また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。
当社グループの事業活動における運転資金需要は、商品仕入代金並びに販売費及び一般管理費の支払など、日常の運転資金が主なものです。これに対する資金は、顧客への販売代金の回収及び金融機関からの短期借入金で賄います。また運転資金に加えて、設備・システム・M&A等の投資資金需要が随時発生します。これに対する資金は、上記の方法に加えて、金融機関からの長期借入金により賄います。これらの資金調達方法により、毎月末のグループ全体の現預金残高は、概ね20億円程度確保することを方針としています。
(3) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りを合理的な基準に基づいて実施していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があることから、これらの見積りと異なる場合があります。なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものはありません。
また、新型コロナウイルス感染症による影響は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しています。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しています。
これらのリスクに対して継続的にモニタリングを行って現状把握に努めるとともに、平時から対応策を検討し、リスクの最小化・分散化を図っていきます。
該当事項はありません。
該当事項はありません。