第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループでは、会社の経営の基本方針として「社員憲章」を定めています。この「社員憲章」は、①事業のあり方、②組織のあり方、③メンバーのあり方、の3項目から構成され、当社グループのメンバーがよって立つべき企業理念を体現したものにもなっています。

また、国連の採択したSDGs(持続可能な開発目標)はこうした当社の経営方針と非常に親和性が高いため、その17項目のうち、「3. すべての人に健康と福祉を」「5.ジェンダー平等を実現しよう」「8.働きがいも経済成長も」「9. 産業と技術革新の基盤をつくろう」「13.気候変動に具体的な対策を」「17. パートナーシップで目標を達成しよう」の6つを実現するように努めています。

当社グループは、絶えずサービスのイノベーションを図り、グループ会社間でのノウハウ共有とインフラ統合を進めていくとともに、新技術や独自のノウハウを持つ企業と幅広く連携・提携を進めていきます。

 

 

オルバグループ社員憲章

 

 

事業のあり方

○ ビジネスを通じて、医学・医療・介護の発展に貢献し、国民の健康長寿に寄与する

○ 革新的な新機能・新技術の恩恵を、患者と医療機関に速やかに適切に提供する

○ ステークホルダー(顧客、取引先、社員、地域社会、株主)の皆様に、誠実かつ継続的に価値を

  提供し、持続可能な経営を追求する

○ 業界の内外を問わず積極的に交わり、創造性を育み、グローバルな視点でフロンティアを探求する

 

組織のあり方

○ 人材育成を尊び、「マネジメント(人を通じて事を成す)」に重きをおく

○ ダイバーシティを重視し、多様な意見や価値観、働き方を認め合う

○ いかなるときも、フェアーな競争と取引を心掛ける

○ 競争によってもたらされた成果は、新たな価値を創造するために再投資する

○ メンバーが心身ともに健康で、貢献意欲を持つことのできる環境を整備する

 

メンバーのあり方

○ 自発的かつ主体的な成長意志を持つ

○ 過去の成果に安住せず、謙虚に学び続ける

○ 自身の貢献や努力なしに便益を得ようとするフリーライディングを善しとしない

○ 社内外のビジネス上のパートナーを尊重し、高い倫理観と誇りをもって業務に臨む

 

 

 

 

 

(2) 目標とする経営指標

当社は、企業集団の成長、並びに業務プロセスの効率性を測定するうえで、売上高と営業利益を重視しています。2024年6月期を初年度とする中期経営計画においては、医療機関が新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の影響から脱し、手術症例数がコロナ前の水準まで回復・安定化していることを踏まえ、2026年6月期の連結売上高1,270億円、連結営業利益26億円を目標としていました。中期計画の初年度とした2024年6月期の連結売上高、連結営業利益は、いずれも予算を達成しました。

一方で、事業を取り巻く環境を俯瞰したとき、デジタル技術の加速度的な進歩は、あらゆるものに変化をもたらしはじめました。また、国内における労働力不足も深刻化の一途をたどっています。こうした変化に適応し持続可能な経営を実現していくためには、DX(Digital transformation:デジタル化によるビジネスモデル等の再構築)と人的資本への積極的な投資が欠かせません。そこで、引き続きDXへの投資をさらに拡大するとともに、給与ベースアップ等の人的資本への投資を大幅に増やすことを決定し、2025年6月期を初年度とする中期経営計画をあらためて策定しました。これらの投資が及ぼす効果を踏まえ、2027年6月期に目指す経営指標を、連結売上高1,350億円、連結営業利益27億円としました。

また、上記のような投資余力を保持するためには、ROEを現状水準程度に保ちながらも自己資本を充実させることが重要と考えています。(過去5年のROEの単純平均実績:12.7%)

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

厚生労働省が示した「地域医療構想」においては、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けてさまざまな取り組みが進められてきました。現在、その後継策として、高齢者人口がピークから減少に転じる2040年も視野に入れた「新たな地域医療構想」の検討が進められています。そこでは、医療と介護のより一層の連携や医療・介護人材の確保など、限られた資源をいかに効率的に活用して持続可能な医療提供体制を構築していくかという議論が進んでいます。その一方で、ロボットを使用した手術や、がんゲノム等の遺伝子解析による個別化医療が一部で実現されるなど医療技術は目覚ましく進歩しています。もちろん、従前より当社グループが得意としてきた整形外科領域や循環器領域(循環器内科・心臓血管外科)、手術関連領域、またその他の領域においても、引き続き様々なサービス提供が医療現場より求められています。

こうした環境に対応すべく、当社グループでは2027年6月期を最終年度とする中期経営計画のポイントを以下の図のようにまとめました。なお、中期経営計画は毎年見直し、常に最新の中期計画による目標管理を行ってまいります。


 

①OLBA-DX:DXによって、あらゆる業務のあり方を見直します。非生産業務をできるだけ効率化して顧客へのサービス提供時間の最大化を図ると同時に、ICTツールを用いて営業活動の質を向上させ、顧客満足度を高めていきます。社員のITスキルを向上させる取り組みにも注力します。

②生産性向上:現業の強化・効率化とロジスティクスの革新がポイントです。仕入交渉力の強化、業務合理化などをさらに進めるほか、医療機器の安定供給に向けたロジスティクス基盤の充実により、顧客提供価値の最大化を目指します。

③未来への投資:新規事業育成・外部連携促進・サステナビリティ確保がポイントです。タイ王国でのビジネス基盤の確立、カワニシバークメドによるクリニック向けビジネスの拡大や、業界内外を問わない業務連携、人的資本への投資や地球環境に配慮した取り組みを推進していきます。

 

なお、2030年に向けて当社グループが目指す姿として、このたび「VISION2030」を設定しました。その内容は以下のとおりです。

1)国内最高の医療機器商社を目指す

2)営業利益の20%は、海外から獲得する

3)30以上の新製品・サービスを上市する

 

(4) 会社の対処すべき課題

当社は、「会社の経営の基本方針」に基づき、グループ各社に対する資金・人材・インフラ事業政策等をサポートすることで企業価値の向上に努めていきます。

また、コンプライアンスの徹底、適切なリスク管理並びに適正な情報の開示を行い、グループの社会的価値を高めていきます。

 

(5) その他、会社の経営上重要な事項

該当事項はありません。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) サステナビリティ全般

①ガバナンス

当社は企業理念である社員憲章において、「ステークホルダー(顧客、取引先、社員、地域社会、株主)の皆様に、誠実かつ継続的に価値を提供し、持続可能な経営を追求する」と謳っております。この精神を忘れることなく、以下のとおり明文化した「ESGに関する基本的な考え方」も踏まえながら、引き続き企業価値向上に向けた取り組みを進めてまいります。また、人的資本を含むサステナビリティ関連課題への具体的な対応方針はグループ各社の中期経営計画、年間計画、年度予算に反映されており、取締役会で承認・決定されます。また、グループ全体のサステナビリティの実現に向けた課題を含む重要な課題が発生した場合は、当社のコンプライアンス委員会に報告・審議され、取締役会に報告されます。コンプライアンス委員会には、業務執行取締役、主要事業部門責任者、内部監査室長、常勤監査役が参加しています。

 

『ESG経営の基本的な考え方』

当社は企業理念である社員憲章において、「ステークホルダー(顧客、取引先、社員、地域社会、株主)の皆様に、誠実かつ継続的に価値を提供し、持続可能な経営を追求する」と謳っており、これに基づき、ESG経営の基本的な考え方を次のように定めています。

 

E(環境)

環境問題への取り組みは、社会や企業が持続可能な社会活動を行っていくうえで必要不可欠であると認識しています。

当社グループは企業理念として定めた社員憲章を踏まえて、環境関連法令等の遵守はもとより、様々なステークホルダーの方々とともに環境負荷の低減と環境保全に配慮し、持続可能な社会の実現を目指していきます。

 

S(社会)

医療・介護をサポートするヘルスケア企業として、地域の医療・介護を止めないことが社会への一番の貢献であると考えています。また、社員憲章で「ダイバーシティを重視し、多様な意見や価値観、働き方を認め合う」「メンバーが心身ともに健康で、貢献意欲を持つことのできる環境を整備する」と定めているとおり、人材ならびに働き方の多様性を目指すとともに、社員が健康でいきいきと働き続けられるよう、働き方改革を進めています。

 

G(ガバナンス)

株式会社は株主から資本を委託され、事業活動を通じて利益を生み、企業価値を高め、株主利益の増大をはかることを期待されています。よって、株主の負託に応えることが株式会社の基本的使命であり、そのためには、広く公益にかない、社員、顧客、取引先、地域住民に対する責任を果たすことが必須だと考えています。

当社は、継続的かつ広範なご支持を頂ける企業として、経営の透明性、効率性、健全性を確保し、外部からの監査や提言を積極的に受け入れる努力を続け、そのための仕組みも整えてきました。

引き続き株主の期待に沿うべく、当社グループの中心に位置する持株会社として、人材、教育、資金、技術、情報システムなどのインフラをグループ各社に提供し、

1.法令遵守

2.社会的支持の獲得

3.経営の効率化と収益力の向上

4.グループとしての総合力の発揮

について実現を図っていきます。

 

②リスク管理

当社グループは「リスク管理規程」に基づき、定期的に「リスク管理委員会」を開催し、当社グループのリスク管理体制の整備、発生しうるリスクの防止に係る啓発活動などを行っています。リスク管理委員会には、業務執行取締役、主要事業部門責任者、内部監査室長、常勤監査役が参加しています。

リスク管理委員会では、想定されるリスクをその原因ごとに分類し、想定される発生確率と最大被害、判定時点での各リスクへの対策状況などを加味し算出した各リスクの判定値をもとに、リスク対策の優先度の評価、具体的なリスク対策の検討を行っています。また、リスク判定の状況や対策の状況などは、半期ごとに取締役会へ報告しています。取締役会では、その内容の分析及び事業活動の分析を基に機会の識別、評価を行い、サステナビリティに関連する取り組みについて議論し決定しています。さらに、リスク管理委員会は、コンプライアンス委員会と常に情報を共有し、グループ全体のサステナビリティの実現に向けた課題を含む重要な課題の発生、対応状況などについても常に情報共有され、コンプライアンス委員会での議論の内容は当社取締役会にて報告されています。

 

(2) 人的資本

① 戦略:人材育成及び社内環境整備に関する方針

当社グループでは、人材の価値を最大限に引き出し、企業の中長期的な成長につなげるため、社員憲章の「組織のあり方」と「メンバーのあり方」によって、人的資本への基本的スタンスを表現しています。

(ア)人材育成

社員憲章では、当社グループの教育環境および従業員のあり方を以下のように定めています。

<組織のあり方>

 ■ 人材育成を尊び、「マネジメント(人を通じて事を成す)」に重きを置く

<メンバーのあり方>

 ■ 自発的かつ主体的な成長意志を持つ

 ■ 過去の成果に安住せず、謙虚に学び続ける

 

従業員が「メンバーのあり方」に共感し、自律的に成長を続ける組織を目指し、社内スクールであるOLBA Academyを中心とした教育制度を以下のとおり整備しています。

 


 

(イ)社内環境整備

当社グループでは、一人ひとりの従業員が生き生きと働くために、社員憲章の「組織のあり方」において、「健康」と「多様性」を重要なテーマに挙げており、これに基づいて社内環境整備に努めています。

<組織のあり方>

 ■ メンバーが心身ともに健康で、貢献意欲を持つことのできる環境を整備する

 ■ ダイバーシティを重視し、多様な意見や価値観、働き方を認め合う

 

社内環境整備の代表的な施策は以下の3つです。

『健康経営』

当社グループでは、従業員の健康管理と健康増進に積極的に取り組んでいます。2023年に「健康経営推進会議」を設置し、2024年には「健康経営ビジョン」を策定しました。これまでの活動が評価され、2020年から現在まで5年連続で経営優良法人(大規模法人部門)に認定されています。

<健康健経営ビジョン>

■ わたしたちは、社員一人ひとりが心身ともに健やかに働きつづけることができる環境を整備することで、持てる力を充分に発揮できる会社を目指します。

 

『働き方改革2.0』

多様な働き方を選択できる組織を目指すべく「働き方改革2.0」と銘打って、在宅勤務制度、フレックスタイム制、シフト勤務制度、副業制度等を導入しており、制度利用者の拡充に努めています。また、従業員間のコミュニケーションの向上や業務効率化のため、スマートコミュニケーション運動(“さん”づけ、文書簡素化、コミュニケーションツール活用、会議効率化)を推進するなど、従業員一人ひとりが健康でいきいきと活躍できる社内環境の整備に努めています。

 

『エンゲージメントサーベイ』

従業員のやりがい・社内環境の現状を把握し、社員憲章にある「組織のあり方」で謳う姿を実現するために、当社グループでは2024年3月から「エンゲージメントサーベイ」を導入しました。現在は初回のサーベイを実施し、課題の分析・改善施策の立案を行っている段階であり、今後はグループ全体でエンゲージメント向上に向けた取り組みを進めていきます。

 

 

② 指標及び目標

少子高齢化によって日本の総人口は2008年をピークに減少の一途をたどっており、生産年齢人口は今後大幅に減少すると見込まれています。こうした状況においても経営の持続可能性を追求するには、老若男女を問わず誰もが企業活動に参加できる環境づくりが欠かせません。「女性管理職比率」及び「男性労働者の育児休業取得率」は、こうした環境整備の進展状況を端的に表す指標だと考えています。

女性管理職比率については、日本の平均女性管理職比率(注1)が12.7%であることや2030年の政府目標が30%であることなどを念頭に、当社グループにおいては、2030年6月期に女性管理職比率19%を目指す中期目標を設定しました。今後、育成プランの作成や教育研修の推進など、具体的な施策に取り組んでいきます。

男性労働者の育児休業取得率については、引き続き制度の周知徹底と環境整備に取り組むことで、さらに引き上げることが可能と考えています。政府が掲げる目標(2030年までに85%)(注2)をひとつの目安にしながら、当社グループにおける目標を検討しています。

なお、管理職に占める女性労働者の割合及び男性労働者の育児休業取得率についての実績は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しています。

(注)1 厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査」より課長相当職以上の管理職に占める女性の割合

   2 厚生労働省「子ども未来戦略会議(令和5年6月13日)」で閣議決定された政府目標

 

3 【事業等のリスク】

投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

なお、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全てを網羅するものではありません。

 

(1)償還価格制度について

健康保険法第76条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が告示する診療報酬点数表の中に特定保険医療材料及びその材料価格基準(償還価格)が示されています。

医療制度改革の一環として、償還価格はおよそ2年ごとに見直しが行われていますが、実勢販売価格をもとに引き下げられる傾向にあります。これに連動して、当社グループの主な顧客である医療機関への販売単価も下落傾向にあり、収益性を圧迫する要因となっています。これに対処するため当社グループでは、仕入先との価格交渉力を高めたり、より付加価値の高い製品の取扱いを拡大したりなど収益改善に努めています。

 

(2)事業を継続するための法規制について

当社グループは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」)をはじめとして、関連法規に基づく許可等を得て事業を継続しています。しかし、法令違反等により当該許可等が取り消された場合、当社グループの業績及び事業継続について重大な影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは統括部門を設置し、法令の遵守、適切な運用が行われるよう管理体制を整えています。また、定期的に役職員に対する教育研修を行うことで遵法意識の向上を図っています。

当社グループが取得している主な許可等とその内容は以下のとおりです。

 

①医療機器販売に係る届出及び許可について

当社グループは医療機器や医薬品の販売業として医薬品医療機器等法の規制を受けており、所在地都道府県知事の許可等が必要となります。

当社グループ各社の取扱商品には高度管理医療機器が含まれていますので、医薬品医療機器等法に定められた要件に準拠して管理者の設置やシステムの整備を進め、高度管理医療機器を取り扱っている全ての事業所で各都道府県知事より許可を取得しました。

当該許可は6年ごとに更新をする必要があります。また医療の安全は国民国家にとって重要な課題であるため、今後、医療機器に対する新たな法規制や許認可制度が制定される可能性もあります。

 

   (注)高度管理医療機器

多種多様な医療機器につき人体に与えるリスクに対応した安全対策を講ずるため、国際分類を踏まえ、医療機器は3つの類型(高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器)に分類されています。このうち、高度管理医療機器を取り扱う販売業者については、都道府県知事の許可を得ることが必要です。なお高度管理医療機器とは、適正な使用目的にしたがって適正に使用したにもかかわらず、副作用又は機能障害が生じた場合に、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある医療機器と定義されており、当社グループの取扱商品においては、人工呼吸器、人工関節、ステント、ペースメーカー等がこれに該当します。

 

②医療機器製造販売に係る許可について

当社グループは医療機器の製造販売業者として「医薬品医療機器等法」の規制を受けており、所在地都道府県知事の許可が必要となります。

当社グループでは管理医療機器の製造・販売を行うため「医薬品医療機器等法」に定められた要件に準拠して管理者の設置や品質管理ならびに製造販売後安全管理について体制を整備し、第二種医療機器製造販売業許可を受けています。

当該許可は5年ごとに更新をする必要があります。また医療の安全は国民や国家にとって重要な課題であるため、今後、医療機器に対する新たな法規制や許認可制度が制定される可能性もあります。

 

   (注)管理医療機器

多種多様な医療機器につき人体に与えるリスクに対応した安全対策を講ずるため、国際分類を踏まえ、医療機器は3つの類型(高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器)に分類されています。このうち、管理医療機器を取り扱う製造販売業者については、都道府県知事の許可を得ることが必要です。なお管理医療機器とは、高度管理医療機器以外の医療機器で、副作用又は機能の障害が生じた場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医療機器と定義されています。

 

③医薬品の販売に係る法的規制について

当社グループは医療機器に付帯する薬品、試薬、体外診断用検査薬等(以下、医薬品等)を卸売販売しています。当社グループにおいては、医薬品医療機器等法に基づき卸売販売業の管理者を設置し、保管設備等の整備を行い、医薬品等を取り扱っている全ての事業所で各都道府県知事より許可を取得しています。今後、何らかの理由により医薬品医療機器等法の基準に適合しなくなった場合は、その事業所は医薬品の卸売販売業の許可を取り消される可能性があります。

 

④毒物及び劇物取締法について

当社グループが販売している医薬品等の一部には、毒物及び劇物取締法に基づき毒物又は劇物の指定を受けている製品があります。当社グループにおいては、毒物及び劇物取締法に基づく取扱責任者の設置、保管場所等の整備を行い、毒物又は劇物を取り扱っている全ての事業所で各都道府県知事の登録を受けています。今後、何らかの理由により毒物及び劇物取締法の基準に適合しなくなった場合、その事業所は登録を取り消される可能性があります。

 
⑤特定・一般建設業に係る法的規制について

建設工事及び内装仕上工事と管工事等に係る工事を受注するため、建設業法第3条に基づき福島県知事より特定・一般建設業の許可を受けています。今後、法的規制の新設や適用基準の変更等があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥福祉用具販売事業に係る介護保険法について

介護保険法では、居宅介護福祉用具購入費の支給対象となる特定福祉用具(注1)は、都道府県知事より指定を受けた特定福祉用具販売事業者(注2)又は特定介護予防福祉用具販売事業者(注3)から購入されたものであると定められています。株式会社ライフケアでは、特定福祉用具の販売に当たり、全営業拠点に管理者及び福祉用具専門相談員を設置し安全管理体制を整備して、各都道府県知事より特定福祉用具販売事業者及び特定介護予防福祉用具販売事業者の指定を受けています。今後、何らかの理由により当該要件が満たせなくなった場合、その事業所に対し指定取り消し処分等が下されることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (注) 1 居宅介護福祉用具購入費の支給対象となる特定福祉用具とは、腰掛便座、特殊尿器、入浴補助具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分の5種目をいいます。

  2 特定福祉用具販売事業者とは、介護保険法の要介護度1~5の要介護者を対象に特定福祉用具を販売する事業者をいいます。

  3 特定介護予防福祉用具販売事業者とは、介護保険法の要支援度1~2の要支援者を対象に特定福祉用具を販売する事業者をいいます。

 

⑦福祉用具貸与事業に係る介護保険法について

介護保険法では、介護保険法の支給対象となる福祉用具を貸与する事業者は、都道府県知事より福祉用具貸与事業者(注1)又は介護予防福祉用具貸与事業者(注2)の指定を受けることが義務付けられています。株式会社ライフケアでは、福祉用具の貸与に当たり、全営業拠点に管理者及び福祉用具専門相談員を設置し安全管理体制を整備して、各都道府県知事より福祉用具貸与事業者及び介護予防福祉用具貸与事業者の指定を受けています。今後、何らかの理由により当該要件が満たせなくなった場合、指定取り消し処分等が下されることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(注1)福祉用具貸与事業者とは、介護保険法の要介護度1~5の要介護者を対象に福祉用具を貸与する事業者をいいます。

(注2)介護予防福祉用具貸与事業者とは、介護保険法の要支援度1~2の要支援者を対象に福祉用具を貸与する事業者をいいます。

 

(3)商品に関する法規制について

当社グループでは、医薬品医療機器等法の規制を受ける商品の取り扱いが高い割合を占めているため、当該法規制に違反するなどして当社グループの商品の供給体制が機能しなくなった場合、業績及び事業継続について重大な影響を及ぼす可能性があります。想定される内容は以下のとおりです。

 

①医療機器及び医薬品の使用期限に係る法的規制について

当社グループの販売する医療機器及び医薬品の一部は、使用期限が設定されています。これは医療機器等が保健衛生上の危険を生じないように安全に使用出来る期限を定めたものです。

この使用期限を経過した医療機器等を販売することは医薬品医療機器等法に違反することとなり、この場合には、保健所等により医療機器販売業等の業務の停止などの処分を受ける可能性があります。

そのため当社グループでは、統括部門を設置し、使用期限を経過した医療機器等が流通しないよう手順を定め、適切な運用が行われるよう管理体制を整えています。また、定期的に役職員に対する教育研修を行うことで使用期限管理の徹底を図っています。

 

②生物由来製品の販売に係る法的規制について

医薬品医療機器等法により、生物由来製品の販売業者は、生物由来製品を販売した際、販売先の住所・氏名その他厚生労働省令で定める事項に関する情報を、当該生物由来製品の製造承認取得者等に提供することが義務付けられています。そのため、上記法令に従って、生物由来製品の販売情報を製造承認取得者等に通知しています。

 

(注)生物由来製品

人その他の生物(植物を除く)に由来するものを原料又は材料として製造(小分けも含む)される医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器のうち、保健衛生上特別の注意を要するものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものを言います。当社グループの取扱商品の中には、生物由来成分を使用しているものがあるため、当該製品は生物由来製品に指定されています。

 

③商品の回収、販売の停止等について

医療機器及び医薬品は、医薬品医療機器等法の定めにより、その使用において保健衛生上の危害が発生し、又は拡大する恐れがあることを知った場合は、これを防止するために廃棄、回収、販売の停止、情報の提供等の措置を講じなければならないとされています。

当社グループは、グループ外部の医療機器製造販売業者より仕入れた商品を販売するため、直接的にはこれらの義務を負うことはありませんが、間接的には、販売する商品が不具合等により回収、販売の停止等の事態になった場合には、販売業者である当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは、特定の商品が販売不能になった場合でも代替可能な商品を供給できるよう、多様な仕入先との取引関係を維持することに努めています。

  

(4)医療機器業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約(以下、医療機器業公正競争規約)について

医療機器業公正競争規約は、1998年11月に公正取引委員会の認定を受け、1999年4月に施行された、景品類提供の制限に関する公正競争規約です。事業者団体(医療機器業公正取引協議会)の自主規制ルールではありますが、不当景品類及び不当表示防止法(以下、景品表示法)に基づいて制定されており、医療機器業公正競争規約に違反することは、そのまま景品表示法違反となります。

当社グループでは、営業活動において医療機器業公正競争規約を遵守し、社員への教育啓発にも努めていますが、今後当局との間で認識の違いが生じ、医療機器業公正競争規約に違反した場合は、景品表示法違反に問われ、違約金が課される等の罰則を受ける場合があります。

 

(5)個人情報の管理について

当社グループでは、個人情報の管理の徹底を図っており、現在まで個人情報の流出による問題は発生していませんが、今後個人情報の流出により問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用低下等により、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)情報セキュリティについて

当社グループは、外部からのサイバー攻撃やウィルス感染の侵入における対策としてIT環境の整備を行っていますが、想定外のリスクは、完全になくならないと考えています。その為、以下の3つのポイントでリスク軽減を図っています。

・情報セキュリティ基本方針及び情報セキュリティ管理規程を定め、コンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)を整備

・従業員のセキュリティ教育や標的型攻撃メール訓練といった、セキュリティーリテラシーの向上

・感染被害拡大を防ぐため、24時間PCのモニタリングと感染時の迅速な検知と駆除、及び従業員向けの24時間セキュリティ問い合わせ窓口の設置

 

(7)企業再編、企業買収、合併等について

当社グループは今後も事業の拡大や統廃合に際して、関係会社の設立や売却、合併・分割・買収・提携の手法を用いる可能性があります。そのため、これらにかかる費用等が、一時的に当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性もあります。

また、当該事業が当初の計画とおりに進捗しない場合、投資価値の減損損失を行う必要が生じるなど、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)固定資産の減損について

当社グループが保有する、土地・建物等の事業用資産や投資有価証券等について、価格下落等による資産価値の低下、外部環境の変化による事業収益・キャッシュ・フローの悪化等によって減損損失が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)自然災害、感染症の拡大について

当社グループは国内の数多くの仕入先から医療機器等の商品を仕入れ、各地域の医療機関等へ販売をしています。大規模な地震、風水害等の自然災害が発生した場合、国内各地の物流網に影響が生じることで当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、感染症の拡大に対し、医療機関において当該感染症への対応のため、緊急性の低い治療、手術の見送り、延期などの対策が取られた場合、当該治療、手術において使用が見込まれていた医療機器などの販売機会が失われ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは事業継続計画(BCP計画)の策定・見直しを進め、これらの自然災害等が発生した際に速やかに行動が出来るように対策をとっています。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 財政状態及び経営成績の分析

①経営成績の分析

我々の顧客である医療機関は、人員不足や物価高騰といった日本全体の問題はもちろんのこと、補助金など財政支援の減少、ロボット手術や不整脈治療の高度化といった医療業界特有の事象に至るまで、様々な課題に直面しています。また、仕入先である医療機器メーカーは、我々に高いレベルのコンプライアンスや、災害時にも事業継続のできる能力を求めています。

このような市場環境において我々は、営業体制や教育制度の充実を図るとともに、営業活動から管理業務に至るまで、生産性向上を目的としたICT投資を進め、地域の医療を支える代理店としての機能を高めてまいりました。

こうした背景から、当社グループ成長の軸である医療器材事業の消耗品売上高は順調に伸長しました。なお、世界的なインフレによる仕入価格の上昇は当連結会計年度においても継続しています。市場環境の厳しさから医療機関との交渉は厳しいものになりましたが、一定の利益水準は確保することができました。

 

<医療器材事業>

医療器材事業の商品分類別売上高は下記のとおりです。ただし、当該商品分類別売上高については、管理会計に基づく集計値を元に分析を行っています。そのため、商品分類別売上高の合計は医療器材事業の売上高と一致していませんが、これによる分析の正確性への影響は軽微であると判断しています。

 <医療器材事業 商品分類別売上高>                              単位:百万円

 

前期

当期

増減

 

金額

構成比(%)

金額

構成比(%)

金額

増減率(%)

手術関連消耗品

46,092

43.6

48,567

42.5

2,474

5.4

整形外科消耗品

24,739

23.4

26,122

22.9

1,383

5.6

循環器消耗品

20,554

19.4

22,460

19.6

1,905

9.3

消耗品 小計

91,386

86.4

97,150

85.0

5,763

6.3

設備備品

14,338

13.6

17,172

15.0

2,834

19.8

商品分類別売上高 合計

105,725

100.0

114,322

100.0

8,597

8.1

調整額

△1,512

△2,158

△645

医療器材事業 合計

104,212

112,164

7,952

7.6

 

 

医療器材事業の成長の軸は消耗品の売上高です。この強化策として、数年前から関西地方を重点エリアと設定し、営業活動を展開してきました。循環器消耗品は播磨・姫路エリア、整形外科消耗品は大阪エリアでの活動が成果につながっています。また、手術関連消耗品では、福島県で消化器内視鏡に注力したことが成果をあげています。世界的な物価高騰に伴い医療機器の仕入価格は上昇を続けていますが、仕入価格上昇分を販売価格に転嫁するための交渉を引き続き粘り強く行っています。その結果、医療器材事業の消耗品の売上高は前期比6.3%増となりました。その内訳は以下のとおりです。

 

手術関連消耗品の売上高は、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の落ち着きとともに検査関連製品や感染対策製品の需要が減少し、それぞれ前期比6.6%減、同9.2%減となりました。一方、主力の外科関連製品は同10.2%増、外科手術で用いられる麻酔関連製品も同11.3%増、また、福島県におけるオリンパスマーケティング社との取り組みで消化器内視鏡関連製品も同23.0%増となりました。その結果、手術関連消耗品は同5.4%増となりました。

 

整形外科消耗品の売上高は、大阪エリアにおける前期の新規顧客獲得効果により、脊椎関連製品が前期比6.3%増、外傷・スポーツ・関節鏡(※1)関連製品が同4.9%増となりました。人工関節の分野において急速に普及しているロボット手術については前期に引き続きその導入支援を行っており、その影響を受ける人工関節関連製品は同3.7%増と安定的な成長を続けています。また、再生医療関連製品なども順調に拡大し、整形外科消耗品は同5.6%増となりました。

(※1)膝や肩などの関節内にカメラを挿入して行われる低侵襲手術

 

循環器消耗品の売上高は、前期比9.3%増と医療器材事業の業績を牽引しました。前期に新規顧客開拓が進んだカテーテルアブレーション(※2)関連製品は同14.3%増と引き続き高い成長を維持しています。また、心臓血管外科関連製品は、TAVI(※3)やステントグラフト(※4)などの低侵襲手術が引き続き増加し、同10.8%増となりました。

(※2)頻脈の原因となる心筋組織を焼灼もしくは凝固する治療

(※3)心臓の大動脈弁を低侵襲に人工弁へ置換する治療

(※4)大動脈を低侵襲に人工血管へ置換する治療

 

設備備品の売上高は、新築・移転や開業などは少なかったものの、手術室などの急性期医療の領域で医療画像を管理・活用するシステムの更新や、血管撮影装置、CT装置など大型の設備備品の獲得が例年以上にあり、前期から継続している超音波診断装置などの小型備品の案件発掘強化も順調に成果を出すことができました。また、クリニック向け自動精算機の販売も、営業体制の充実とプロモーション活動の強化が奏功し、同80.0%増と大きく伸長した結果、設備備品の売上高は前期比19.8%増となりました。

 

その結果、医療器材事業は、売上高1,121億64百万円(前期比7.6%増)となりました。一方、販売費及び一般管理費は、人的資本への投資としての給与ベースアップ、組織体制の強化に向けた人員補強、OLBA-DX推進のための積極的なシステム投資などで前年より増加しましたが、好調な業績により、営業利益は20億37百万円(前期比7.4%増)となりました。

 

<SPD事業>

SPD事業は、前期に発生した一部顧客の失注、ならびに新規受注施設の導入遅延の影響を受けましたが、既存受託施設における管理料の見直しなどにより、売上高は52億23百万円(前期比1.0%減)とほぼ前年の水準を維持することが出来ました。しかし、前期の失注やコロナ収束によるPPE(※5)の需要減から来る利益減少に加え、人件費上昇の影響によって、営業利益は1億4百万円(前期比39.1%減)となりました。

(※5)Personal Protective Equipment:マスクや手袋などの個人用感染防護具

 

<介護用品事業>

介護用品事業は、在宅医療・居宅介護の需要が引き続き高く、主力の介護用品レンタル売上高は前期比4.7%増と堅調に推移しました。また、レンタルに付随する物品販売や住宅改修なども、それぞれ同14.8%増、同12.7%増と業績を牽引しました。その結果、売上高は26億39百万円(前期比4.6%増)、営業利益は2億9百万円(前期比3.9%増)となりました。

 

以上の結果、当期の連結売上高は1,185億64百万円(前期比7.3%増)、連結営業利益22億26百万円(前期比3.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15億円(前期比6.1%増)となりました。

なお、当連結会計年度の連結売上高及び連結営業利益は、過去最高となりました。

 

 

(仕入及び販売の状況)

(1) 仕入実績

区分

金額(千円)

前期比(%)

医療器材事業

100,628,113

106.8

SPD事業

2,556,956

104.3

介護用品事業

1,431,083

104.6

合計

104,616,153

106.7

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

(2) 販売実績

区分

金額(千円)

前期比(%)

医療器材事業

110,837,572

107.8

SPD事業

5,089,377

98.9

介護用品事業

2,637,975

104.5

合計

118,564,924

107.3

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

エム・シー・ヘルスケア株式会社

12,886,541

10.9

 

  前連結会計年度の総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。

2 セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

 ②財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は432億37百万円となり、前連結会計年度末と比べ23億59百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が3億31百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が7億26百万円、電子記録債権が8億67百万円、工具、器具及び備品が1億93百万円、投資有価証券が73百万円、退職給付に係る資産が2億80百万円それぞれ増加した一方で、商品が2億17百万円減少したことによるものです。

 また、負債は318億63百万円となり、前連結会計年度末と比べ13億12百万円増加しました。主な要因は、電子記録債務が8億99百万円、未払法人税等が1億40百万円、繰延税金負債が98百万円、退職給付に係る負債が38百万円それぞれ増加した一方で、短期借入金が3億円減少したことによるものです。

 純資産は113億73百万円となり、前連結会計年度末と比べ10億46百万円増加しました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益により15億円、退職給付に係る調整累計額が1億71百万円それぞれ増加した一方で、自己株式の取得等により2億15百万円、配当金により4億36百万円それぞれ減少したことによるものです。

 この結果、自己資本比率は、1.0ポイント増加し、26.3%となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は前連結会計年度末に比べ3億21百万円増加し、26億81百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。

営業活動による資金の増加は、20億84百万円(前期は6億59百万円の減少)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益により22億43百万円、減価償却費により5億57百万円、棚卸資産の減少により2億17百万円、仕入債務の増加により8億27百万円それぞれ増加した一方で、売上債権の増加により15億93百万円、法人税等の支払額により6億34百万円それぞれ減少したことによるものです。

投資活動による資金の減少は、6億73百万円(前期は3億6百万円の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出により3億51百万円、無形固定資産の取得による支出により1億25百万円、投資有価証券の取得による支出により40百万円、関係会社貸付けによる支出により1億60百万円それぞれ減少したことによるものです。

財務活動による資金の減少は、10億89百万円(前期は1億75百万円の増加)となりました。主な要因は、短期借入金の返済による支出により3億円、長期借入金の返済による支出により55百万円、リース債務の返済による支出により1億64百万円、自己株式の取得による支出により2億21百万円、当社の配当金の支払により4億35百万円それぞれ減少したことによるものです。
 また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。
 当社グループの事業活動における運転資金需要は、商品仕入代金並びに販売費及び一般管理費の支払など、日常の運転資金が主なものです。これに対する資金は、顧客への販売代金の回収及び金融機関からの短期借入金で賄います。また運転資金に加えて、設備・システム・M&A等の投資資金需要が随時発生します。これに対する資金は、上記の方法に加えて、金融機関からの長期借入金により賄います。これらの資金調達方法により、毎月末のグループ全体の現預金残高は、概ね20億円程度確保することを方針としています。

 

(3) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りを合理的な基準に基づいて実施していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があることから、これらの見積りと異なる場合があります。なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものはありません。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。

これらのリスクに対して継続的にモニタリングを行って現状把握に努めるとともに、平時から対応策を検討し、リスクの最小化・分散化を図っていきます。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。