文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.経営方針
企業価値
・私たちは、お客さまのニーズに応えます。
・私たちは、お客さま、お取引先、株主、従業員、地域社会など、あらゆるステークホルダーとの信頼関係を大切にします。
・私たちは、社業の発展を通じて社会に貢献します。
企業理念
・誠意と感謝の気持ちを持つ企業であり続けます。
・より高いクオリティを追求する企業であり続けます。
・新しい価値を創造する企業であり続けます。
経営理念
「コメビジネスを軸に世界中の消費者にコメとコメ関連食品の素晴らしさを発信し、健康で楽しいライフスタイルの実現をサポートします。」
当社グループは、「誠意と感謝」、「クオリティの追求」、「価値創造」の企業理念のもと、お客さまに価値ある商品をタイムリーにお届けすることを通じて「豊かなライフスタイル」を提供していくとともに、「コメをコアとした食と暮らしの提案」を積極的に行う、創造力と活気にあふれた企業を目指します。
そのために、お客さまのニーズを起点としたマーケティング戦略を実践し、お客さまに喜ばれる新しいサービスや商品の開発に果敢にチャレンジしていくことでこれらを実現してまいります。
2.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、最重点戦略分野への資本投下に対して会社の経営状態(投資状態)を判断する指標として総資本経常利益率を活用しております。当面、5%以上の目標を設定しております。加えて、売掛金の低減・在庫の削減を通して総資本回転率の向上を進めるとともに、売上高経常利益率1%以上を目標に置いております。
3.中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和で各国経済に緩やかな持ち直しの動きが見られる反面、長期化するロシアによるウクライナ侵攻の影響で原材料やエネルギー価格が高止まり、食品業界に大きく影響を与えていることに加え、国内における人口減少と少子高齢化の進行による市場規模の縮小や実質賃金の減少による個人消費の弱さが続いていることから、依然として厳しい状況にあります。
このような環境のなか、当社グループは収益基盤の強化と持続的な企業価値の向上を実現するため、2023年より2025年までの3年間を「事業規模と事業領域の拡大に向けた体制再構築の期間」と定義する中期3カ年経営計画を策定し、「コメビジネスの拡大」「コメ関連ビジネスの成長」「企業成長の土台作り」を基本方針とした取り組みを進めております。
(1) コメビジネスの拡大
当社グループのコアである米穀事業においては、少子高齢化や食の多様化を要因に米の消費減少が続く一方、猛暑や豪雨をはじめとする異常気象が頻発しているなか、生産者の高齢化や農業資材価格の高騰による離農の拡大等、生産の担い手不足が深刻になっていくことが想定されます。足元の令和5年産米は猛暑を要因とした品質低下による精米歩留りの悪化や収量減少による原料調達難が予見されることから、仕入数量の確保、調達コストの低減を図るため、安定的な原料の確保に加えて各産地から機動的な調達を行う仕入ルートの複線化を深化させるほか、高温に強く食味の良い品種の普及を今まで以上に進め、より生産者に近づく調達と消費ニーズにマッチした提案型の営業を進めてまいります。
また、物流の2024年問題への対策の一つとして進めてきた精米工場の統廃合や委託先の活用に加え、事業連携や資本参加等による米穀事業グループの拡大を推進し、仕入を行う産地、精米を行う工場、販売先の消費地をつなぐ輸送と保管の効率化を進めながら、精米技術や工場運営のレベルアップを図りコストダウンを実現してまいります。
米粉販売については、業務用向け販売の収益改善と製粉工場の運営効率化を進めております。また、新たな需要層に対応する商品として、家庭用向け米粉商品の開発を進め、ラインナップの拡充と販売先の開拓に努めてまいります。
海外展開においては、当社グループの海外法人の体制強化と環境整備を着実に進め、各国の国内及び近隣国マーケットへの拡販に注力するとともに、人口の増加するアジア諸国や和食の評価が高いヨーロッパ・北米の市場に向けたジャポニカ米の販売と日本産米の輸出を拡大してまいります。
さらに、社会的な課題解決のため環境に配慮した取り組みが求められるなか、無洗米加工における水と化石燃料の使用量を大幅に抑えることができるUMBP製法による無洗米の拡大と、石油由来プラスチックの使用量を削減した環境配慮型包装資材の使用を推進し、事業と環境の持続的な調和を目指してまいります。
(2) コメ関連ビジネスの成長
国内畜産業界においても生産コストの上昇による離農が拡大しているなか、コストの多くを占める飼料費の抑制ニーズの高まりや輸入飼料原料価格の変動リスクがあることから、当社の存在意義が再認識されております。精米時に発生する米ぬかや水田を活用して生産する飼料用米等、商材が米穀事業と密接に関連しているため、飼料事業において米穀事業のネットワークを活用して仕入先を開拓するとともに、飼育頭数が増加傾向にある北海道・九州エリアでの拡販を進めてまいります。
また、鶏卵事業については、生産者との関係づくりを強化し仕入ルートの多様化を図りながら、米穀事業との協働によるシナジーを発揮し、既存得意先への深耕と新規開拓に向けた提案営業を推進し、事業規模の拡大を目指してまいります。
さらに、新商品開発においては、米穀を中心とした事業活動で発生する副産物等の様々な資源の潜在的な価値を改めて検討するとともに、ギフトニーズへの対応や米油を使用した無添加石鹸等、既存のビジネス領域にとどまらず新たなジャンルに挑戦し、お米の周辺ビジネス拡大に注力していきます。
(3) 企業成長の土台作り
木徳神糧グループが成長していくための基盤は人材(人財)であり、優秀な人材の確保が重要課題だと認識しております。そのため、教育研修や福利厚生の充実による従業員エンゲージメントの向上、従業員一人ひとりが能力を発揮し活躍できる環境の整備等、人的資本への投資についても積極的に行い、企業と従業員が共に成長できる体制を目指します。
加えて、コーポレート・ガバナンスの強化と経営全般の効率化を図りながら経営資源を最大限に活用し、資本収益性の向上を意識した収益力強化とサステナビリティを重視する企業の成長に全力で取り組んでまいります。
木徳神糧グループは、米穀・飼料・鶏卵・食品全ての事業セグメントのビジネスが自然と密接にかかわっていることから、以下の環境理念と環境方針を定めています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
木徳神糧グループは、お米をはじめとした自然の恵みを取扱う企業として、私たちの事業が豊かな自然環境の上に成り立っている事を認識し、自然に感謝するとともに、企業活動が環境に与える影響を考え、事業と環境の持続的な調和を目指します。
① 精米加工をはじめとする全ての企業活動に係る資源およびエネルギーを節減します。
② 取扱う商品における、原料の調達からお客様が消費するまでの過程で発生する廃棄物および食品ロスを低減します。
③ 環境への負荷が少ない包装資材や設備、再生可能エネルギーの使用に努めます。
④ 全ての従業員への周知徹底と環境意識向上に向けた教育研修を行います。
⑤ 環境に関する法令等を遵守します。
⑥ 当該環境理念および環境方針を会社ホームページにて開示します。
当社は、環境への配慮をはじめとしたサステナビリティへの対応は重要な経営課題であると考えており、重要な課題や施策については取締役会または経営会議に上程し決定する体制を取っております。
また、省エネルギーと温室効果ガスの排出量削減に関する取組みについて全社的な対応を検討して推進を図っていくため、省エネ管理委員会を組織しております。
委員会では役職員一人ひとりの意識啓蒙による省エネ活動の推進を図るほか、定期的に会議を開催し各拠点における施策の進捗確認と情報共有を行っております。
当社グループは、主力事業における商品が米という農作物であることから、日本をはじめ調達を行う各国における天候、作付及び作況、経済情勢や市場の変化を重要なリスクと認識し、加えて、米穀・飼料・鶏卵・食品全ての事業セグメントのビジネスにおける商材が農産物であることから、持続的な原材料の調達全般において気候変動をリスクと認識しております。
取締役及び各事業の責任者は当社グループを取り巻く環境の変化について情報収集を行い、取締役会及び経営会議において事業におけるリスクについて検討し、リスクの軽減を図る施策を実行するとともに、新たなリスクを認識した際に対応できる体制づくりを図っております。
当社グループは、「市場や顧客のニーズの変化に対応するだけでなく、変化を自ら創造し、市場や顧客に対して新しい商品やサービスを提供していきます」という企業理念のもと、お米をはじめとした自然の恵みを取扱う企業として、持続可能な社会への転換を見据え、新たなことに積極的に挑戦する人材の育成を目指しております。
「個人と組織の相乗効果を高めるため、一人ひとりが自ら考え行動し、果敢に挑戦する人材を育成します。」という人材育成方針を掲げ、社員の自発的な成長を支援する自己啓発援助制度の拡充、環境変化に対応するための継続的なスキル研修、変化の大きい状況においてもリーダーシップを発揮できるよう、従業員に対するリーダーシップトレーニングの実施などに取組んでまいります。
「当社は、従業員の安全と心身の健康を第一に、良好なコミュニケーションと継続的な教育研修を推進するとともに、積極的な挑戦を評価し、個人と組織が共に成長できる環境を目指していきます。」という社内環境整備方針を定め、多様な人材が安心して活躍できる環境づくりを行います。具体的には健康診断受診、ストレスチェック受検及び労働時間とプライベート時間調和の促進、評価項目の見直しなどに取組んでまいります。
当社グループは、上記において記載した、人材育成方針及び社内環境整備方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年3月28日)現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの米穀事業においては、原料調達の大部分を国内産にて行っております。現在、減反による生産調整の廃止、農地集積や担い手の育成、飼料用米等主食用米以外への転作等による影響等、農業の生産や流通に係る多くの課題を抱えておりますが、今後の米の生産や流通基盤の変化と、通商政策による外国産米の輸入取り扱いについての政府方針変更によって、原料調達価格の変動等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、契約手法の多様化によって原料調達価格や数量の変動リスクの低減を図るとともに、海外における収益基盤の拡充、新規事業や新商品開発に取り組んでまいります。
当社グループの米穀事業においては、国内外の天候、災害等の影響を受ける作況動向、各国政府の備蓄に係わる方針及び数量、社会全体の景気に影響される消費動向等により仕入・販売価格が変動し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは高温耐性や耐倒伏性といった温暖化等の気候変動に対応した特性を持つ品種の普及を推進するとともに、原料調達におけるエリアの広域化とルートの複線化によって安定的な原料調達を図ってまいります。
(3) 「特定の得意先への依存度」
当社グループの売上高のうち約37%が得意先5社への米穀販売で占められています。これらの得意先は官公庁をはじめ、量販店及びスーパーマーケット、生協、米飯加工の業界等において、それぞれ安定的な収益状況にある大手企業であり、当社グループでは長年に亘り良好なお取引を継続させていただいております。しかしながら、今後も同様の取引を続けられる保証はなく、取引の停止、大幅な縮小となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。長年に亘る取引において得意先のニーズに対し迅速に対応できる体制を構築し、得意先から高い満足度が得られる商品やサービスの提供を強化して安定的な取引の継続に努めるとともに、新たな分野における新規開拓にも注力してまいります。
当社グループの仕入高のおよそ39%は全農からの米穀仕入であり、長年に亘り良好な取引関係にありますが、全農の販売方針の変更により、全農からの仕入数量、仕入価格に大きな変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は全農と資本業務提携の関係にあり、水田営農の持続的発展と国産米の需要拡大及び輸出強化、ならびにごはん食を通じた食生活の維持・向上を実現するため、互いの経営資源を有効活用して事業の発展及び企業価値の向上に資する体制を構築し実需者への精米販売に連携して取り組むとともに、消費者ニーズに応える作付推進を協力して行っております。今後も全農との関係を強化していくとともに、様々な形で協力できるよう、機動的な調達が可能な体制構築を進めてまいります。
2. 食品の安全管理について
国内外において、鳥インフルエンザ、CSF(豚熱)、口蹄疫、BSE(牛海綿状脳症)、農産品の残留農薬、遺伝子組換食品の使用、食品表示義務違反等食品の安全性に係る事例が数多く発生しており、消費者の食品の安全性に対する関心が高まっています。当社グループの管理体制でカバーしきれない国内外の食品に関する安全、衛生問題の発生により、商品の調達、販売に支障をきたした場合、大規模な商品回収が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは日本国内をはじめ世界各国の消費者に安全・安心でおいしいおコメを提供するため国際規格に基づく認証の取得を進め、食品の提供に伴い発生するリスクの軽減と管理体制の構築に取り組んでおります。
当社グループの米穀事業においては、「食料・農業・農村基本法」、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」(改正食糧法)、「農産物検査法」、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)、「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律」(米トレーサビリティ法)、「食品衛生法」、「食品表示法」、「健康増進法」、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)、「製造物責任法」(PL法)、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(容器包装リサイクル法)、「農業競争力強化支援法」、「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)等の法規制の適用を受けております。これらの規制を遵守できなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。社会の要請や法規制の変更等により、多くの新しい対応が求められておりますが、社内における各種情報の収集に努めるとともに、各分野の専門家、関係省庁及び業界団体の情報提供等から法改正等の趣旨や内容をいち早く把握し、法規制を遵守するとともに、当社グループとしての最適な対応を取れるよう努めてまいります。
当社グループは、原材料等の受発注、工場の運営管理、従業員の勤怠管理等については、必要なシステムを整備し、万全の体制を整えておりますが、万が一、大規模な自然災害、停電や機器の欠陥、コンピューターウイルスやハッキング等といったサイバー攻撃等によりシステム障害が発生した場合には、業務全般に支障をきたすことになり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このため、基幹システムにおいては、データのバックアップ、ソフトウェアベンダーとの緊密な協力体制の確立等、可能な限り多面的な安全対策をとっております。
5. 自然災害や感染症について
当社グループの事務所や工場所在地を含む地域で想定を超える大規模な地震や台風等による風水害、感染症の蔓延が発生した場合、設備の損壊や往来・外出の制限等によって事業活動の継続が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループの社会的な役割の一つは、お米という人々の生活に深く根付いた食品を安全かつ安定的に供給することであると認識しております。生産体制については、今後予想される大地震に備え可能な限りの対策をマニュアル化し、地震・ウイルス感染症の蔓延に対応したBCP(事業継続計画)を作成するとともに、災害時の対策行動指針を策定し全従業員に配布し、随時訓練を実施しております。また、新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症に対しては、手洗い及び消毒の励行とともに、感染症の拡大状況に応じてグループ役職員の健康管理の強化、工場を含む事業所間の往来制限、出張や会食の制限等、感染拡大防止を徹底し適切な事業運営ができるよう必要な措置を講じております。
当社グループは、当社グループにおいて開発した技術については、必要に応じて、特許権、実用新案権、商標権等の工業所有権を取得しており、重要な経営資源であると考えております。しかし、他社が類似したものやより優れたものを開発した場合、当社グループの優位性が損なわれることとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。現在、当社グループ独自の技術等で製造する商品の販売が当社グループの業績に占める割合は僅少ですが、今後も当社グループの競争力の一つである知的財産を守りつつ積極的な活用を行ってまいります。
7. 海外事業に伴うリスク
当社グループは海外市場での事業拡大を戦略の一つとしておりますが、各国の予期せぬ法規制の変更、急激な為替相場の変動、その他の経済的・政治的な諸情勢の変化による事業活動上の障害が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループが進出している各国の現地法人との定期的なミーティングをはじめ、現地のパートナー企業、関連取引先、在外公館や公的出先機関、各国の監査法人や会計事務所及び弁護士事務所等との情報交換等を通じて情勢変化の事前察知に努め、迅速且つ適切な対応ができるよう努めております。
当社グループは、将来の収益力に基づく課税所得及びタックスプランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断をしております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、経営環境等の変化により課税所得の見積りの変更が必要になった場合には、繰延税金資産の計上額が変動し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した上で繰延税金資産を計上することに努めております。
当社の米穀事業部で計上する売上割戻の条件は多様であることに加え、その取引量は膨大でありかつ計上金額の重要性は高いと認識しております。また、計上金額は顧客との商談により決定した情報に基づき、営業担当者が算定の上、支払依頼書に入力し承認申請を行っておりますが、売上割戻の網羅性が確保されないリスク及び計上処理が適時に行われないことにより期間帰属の適切性が損なわれるリスクが存在します。当社の米穀事業部は、売上割戻計上担当者以外の第三者が、売上割戻計上記録と管理台帳を照合し、漏れなく処理することで売上割戻の網羅性及び期間帰属の適切性の確保に努めております。
当社グループは商品・原材料・製品・仕掛品は主として先入先出法、貯蔵品は主として最終仕入法による原価法(収益性の低下による簿価切り下げの方法)を採用しております。
棚卸資産の評価を行うに当たっては、正味売却価額(一部の棚卸資産について再調達原価)に基づき収益性の低下を検討しております。
市場環境の悪化により正味売却価額が著しく下落した場合には、棚卸資産の金額から損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、各産地からの機動的な調達及び販売計画の精度向上による棚卸資産の削減を通じて損失の軽減に努めております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国の経済は、コロナ禍からの経済活動正常化が進む一方で、長期化するロシアによるウクライナ侵攻に伴う資源・穀物価格の世界的な高騰や為替相場の変動等もあり、依然として経済環境の先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループが属する食品流通業界におきましては、人流の増加による業務用需要の回復が見られたものの、エネルギーコストの高騰や相次ぐ食品価格の値上げ等による先行きへの不安から、消費者の節約志向が根強く残る状況が続いております。
このような状況のなか、当社グループの中期3ヵ年計画(2023年~2025年)で掲げる事業拡大に向けた体制再構築の施策として、主力である米穀事業において、安定調達を重視しつつ、機動的且つ独自の調達を推進し競争優位性を高めたこと、事業の構造改革を強力に推進しコスト削減に努めたことに加え、取引先のニーズに対応した販売ができたことで令和4年産米の採算性が高かったこと等から、売上高は114,835百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益は2,061百万円(前年同期比56.6%増)、経常利益は2,153百万円(前年同期比57.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,478百万円(前年同期比42.4%増)となりました。
米穀事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大による消費減の影響が残るなか、肥料等の農業資材やエネルギーコストの上昇を受け米穀の取引価格は緩やかな上昇傾向にありましたが、行動制限が緩和されたことで中食・外食の需要が回復し需給バランスが改善傾向となり、令和5年産米の価格は令和4年産米を大きく上回る水準となっています。そのような状況のなか、物価の高騰により家計の節約志向が強まったことで家庭用向けの販売は伸び悩んだものの、業務用向けの販売が伸長したこと、卸業者間の玄米販売の数量が増加したこと等から、売上高は91,817百万円(前年同期比8.1%増)となりました。また、精米工場の集約を含む構造改革を進めコスト全般の見直しを徹底したことに加え、需要に応じた仕入の徹底や仕入ルートの複線化、用途別の仕入戦略等の施策を実施したこと等から、営業利益は2,382百万円(前年同期比43.9%増)となりました。
② 飼料事業
飼料事業におきましては、鳥インフルエンザによる飼育羽数の減少、猛暑による飼料消費量の減少、酪農家の離農等により国産飼料原料の需給が緩むなか穀類及び糟糠類の拡販に努めたこと等から、売上高は10,007百万円(前年同期比6.9%増)となりました。しかしながら、トウモロコシの国際価格の下落に伴い利益率の高い国産原料の販売が伸び悩んだこと等から、営業利益は493百万円(前年同期比4.3%減)となりました。
③ 鶏卵事業
鶏卵事業におきましては、鳥インフルエンザの感染拡大により鶏卵の供給不足から需給バランスがタイトとなり、鶏卵相場は高止まりの状況となりましたが、鶏卵商品の引き合いが強まったことから価格転嫁が進んだこと、加えて新規得意先への販売に努めたこと等から、売上高は9,815百万円(前年同期比44.0%増)、営業利益は109百万円(前年同期比406.0%増)となりました。
食品事業におきましては、米菓メーカー向けの加工用原料米及びヘルスケア商品の販売に苦戦したこと等から、売上高は3,194百万円(前年同期比11.6%減)となりました。一方、コンビニスイーツの原料としての穀粉販売が好調に推移したことに加え、各取引先への継続的な値上げ交渉が結実したこと等から、営業利益は124百万円(前年同期比174.0%増)となりました。
当連結会計年度末における総資産は32,106百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,724百万円の増加となりました。これは主に受取手形及び売掛金の増加額1,032百万円、前渡金の増加額2,123百万円、投資有価証券の増加額673百万円等に対し、棚卸資産の減少額695百万円、未収入金の減少額246百万円等があったためであります。
負債につきましては負債合計が18,715百万円となり、前連結会計年度末と比べ670百万円の増加となりました。これは主に支払手形及び買掛金の増加額549百万円、短期借入金の増加額383百万円、繰延税金負債の増加額231百万円等に対し、前受金の減少額510百万円等があったためであります。
純資産につきましては純資産合計が13,390百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,053百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加額1,373百万円、その他有価証券評価差額金の増加額396百万円、繰延ヘッジ損益の増加額207百万円、為替換算調整勘定の増加額21百万円等があったためであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,546百万円となり、前連結会計年度末に比べ203百万円増加(前年同期比8.7%増)しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度の営業活動の結果獲得した資金は、464百万円(前年同期比89.3%減)となりました。これは主に売上債権の増加1,027百万円、その他の流動資産の増加1,984百万円等に対し、税金等調整前当期純利益2,107百万円、減価償却費525百万円、棚卸資産の減少719百万円、仕入債務の増加549百万円等があったためであります。
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は、421百万円(前年同期比26.0%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出298百万円、投資有価証券の取得による支出111百万円等があったためであります。
当連結会計年度の財務活動の結果獲得した資金は、149百万円(前年同期は3,290百万円の使用)となりました。これは主に配当金の支払額105百万円等に対し、短期借入金の増加344百万円等があったためであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は製造原価によっております。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は仕入価額によっております。
該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3 米穀事業の内容は次のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、当社グループにおける重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
経営成績の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)経営成績の状況」に記載しております。
キャッシュ・フローの分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入及び製品製造費用ほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は生産ラインの増設及びその他機械装置の更新等にかかる設備投資等によるものであります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を資金調達の基本としております。
当社グループは、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。
当社グループは、最重点戦略分野への資本投下に対して会社の経営状態(投資状態)を判断する指標として総資本経常利益率を活用しております。当面、5%以上の目標を設定しております。加えて、売掛金の低減・在庫の削減を通して総資本回転率の向上を進めるとともに、売上高経常利益率1%以上を目標に置いております。
当連結会計年度の総資本経常利益率は6.7%(前年同期比2.0ポイント増加)、売上高経常利益率は1.9%(前年同期比0.6ポイント増加)となりました。引き続きこの指標を達成するよう取り組んでまいります。
(連結子会社の吸収合併)
当社は、2023年7月21日開催の取締役会において、当社を吸収合併存続会社、当社の完全子会社であるキトクフーズ株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併をすることを決議し、同日付で合併契約を締結し、2024年1月1日付で吸収合併いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。