## 目次 **鎌田慶彦氏:** みなさま、こんにちは。木徳神糧株式会社代表取締役社長の鎌田です。このたびは、当社の2026年12月期中間決算説明動画をご視聴いただき、誠にありがとうございます。本日は、上期の業績とその背景にある米穀市場の変化をご説明した上で、足元の課題への対応と中期経営計画の取り組みについてご説明します。 本日の説明は2部構成です。前半では2026年12月期上期の連結業績と財務状況を、後半では足元の事業環境と課題認識を踏まえた中期経営計画の具体的な取り組みをご説明します。後半に重点を置き、当社が将来の成長に向けて事業基盤をどのように変えていくのかをお伝えします。 ## 2026年12月期 業績ハイライト それでは、2026年12月期第2四半期連結業績の概況についてご説明します。 上期の業績は、売上高が884億2,800万円で前年同期比5.3パーセント増加し、中間期として過去最高を更新しました。一方、売上総利益は42億5,100万円で前年同期比51.5パーセント減少、営業利益は8億8,000万円で前年同期比83.3パーセント減少、親会社株主に帰属する中間純利益は7億3,200万円で前年同期比80.2パーセント減少しました。売上高が増加する一方、利益が大幅に減少するという非常に厳しい決算となりました。 主な要因は、米穀事業において仕入価格の高い令和7年産米の在庫を抱える中、在庫圧縮を最優先として販促や価格対応を進めたことです。令和8年産米の本格的な取引が始まる前に、令和7年産米の在庫を適正な水準まで圧縮し、将来の損失リスクを抑えることを優先しています。 飼料事業と鶏卵事業は増収増益となり全社業績を下支えしましたが、米穀事業の減益を補うには至りませんでした。 ## 連結損益計算書(P/L)の概要 損益計算書の概要です。販売費及び一般管理費は33億7,100万円で前年同期を下回りましたが、売上総利益の減少幅が大きく、営業利益率は前年同期の6.3パーセントから1.0パーセントへ低下しました。経常利益も8億5,100万円と大幅な減益となっています。 ## セグメント別 売上高・営業利益の構成 セグメント別の業績です。米穀事業は売上高が775億5,200万円と増収となりましたが、営業利益は10億4,300万円と前年同期から44億8,300万円減少しました。 一方、飼料事業と鶏卵事業はいずれも増収増益となりました。これらの事業が全社業績を下支えしたものの、連結業績に占める米穀事業の比重が大きいため、全社では大幅な減益となりました。 ## 米穀事業セグメントの概況 米穀事業では、販売価格の上昇が販売数量の減少を上回り、売上高が増加しました。しかし、米価高騰による消費停滞、流通在庫の増加、販売競争の激化を受け、在庫圧縮を優先した価格対応により粗利率が大きく低下しました。海外事業では、ミニマム・アクセス米の取り扱いと日本産米の輸出が堅調でしたが、米穀事業全体では大幅な減益となりました。 ## 市場環境の変動 6月末民間在庫と需要量の推移 ここで、今回の業績を理解していただく上で重要となる、米穀市場の需給環境をご説明します。 スライド上段のグラフは、農林水産省が公表している6月末の民間在庫です。令和6年・令和7年にかけては流通在庫が不足し、米の供給不足が強く意識されていました。しかし、令和8年6月末の民間在庫は243万トンとなり、令和7年6月末の155万トンから1年間で88万トン増加しています。このように、需給環境は供給不足から供給過多へと、短期間で大きく反転しました。 背景の1つは、令和7年産の主食用米などの生産量が747万トンまで増加したことです。米価上昇により生産者の作付意欲が高まったことに加え、作柄の改善も生産量の増加につながりました。さらに、需給逼迫への緊急対応として政府備蓄米が市場へ放出され、国産米不足を背景に契約された輸入米も時間差を伴って流通しました。こうした国内生産量の増加、政府備蓄米の放出、輸入米の増加が重なり、市場への供給量が大幅に拡大しています。 一方、需要量は683万トンまで減少しました。高い販売価格が続いたことで消費者の節約志向が強まり、パンや麺類、輸入米などへの代替が進みました。また、流通の各段階では高値で仕入れた在庫の消化が優先され、新たな買付需要が弱まっています。 このように、供給量の増加と需要の弱含みが同時に進行し、民間在庫が急速に積み上がりました。この需給環境の急変が、当社の販売価格と収益性に大きな影響を及ぼしています。 ## 市場環境の変動 コメの相対取引価格等の推移 次に、価格の動向です。令和7年産米の相対取引価格は、前年産を大きく上回る水準で推移しています。6月時点の全銘柄平均の相対取引価格は、60キログラム当たり3万1,305円となっています。一方、参考指標として掲載しているスポット取引価格の銘柄平均は1万9,111円であり、両者には大きな乖離が見られます。 相対取引価格とスポット取引価格は、取引条件、数量、銘柄構成などが異なるため、単純に同一のものとして比較することはできません。ただし、足元の販売競争を考慮する上で、この価格差は非常に重要です。 当社は、量販店、外食、中食などのお客さまに、年間を通じて安定供給する責任を負っています。そのため、全農や集荷業者などを通じて、相対取引を中心に必要量を早い段階で確保しており、令和7年産米については高値で調達した在庫を保有しています。 一方、全農などからの年間調達の割合が比較的小さく、市場から機動的に仕入れる一部の事業者は、下落したスポット価格で調達し、価格に反映しやすい構造となっています。こうした事業者が、下落したスポット価格で仕入れた米を量販店や業務用市場などで低価格で販売することで、販売価格の引き下げ圧力が強まっています。 当社は、安定供給のために高値で確保した在庫を抱えながら、足元ではスポット価格の低下を背景とした安値攻勢に対応しなければなりません。仕入価格と販売可能価格の間に大きな差が生じているため、在庫を販売するほど利益率が低下しやすく、業績は非常に厳しい状況にあります。このような状況を受け、当社は在庫の早期圧縮、仕入と販売の連動性向上、販売条件の見直しを進め、令和8年産米の取引に向けて収益構造の正常化を目指します。 ## 市場環境の変動と販売実績 こうした市場環境を受け、米穀事業の販売数量は18万9,000トンとなり、前年同期比で2万4,700トン、11.5パーセント減少しました。国内産精米は、家庭用および一部の中食向けを中心に需要が弱まりました。また、国内産玄米も卸売業者間の取引が停滞したことで減少しました。外国産精米についても、ミニマム・アクセス米の落札数量が減少するなどして、前年同期を下回りました。 ## 飼料事業セグメントの概況 飼料事業は、糟糠類、輸入乾牧草、きのこ培地原料、食品副産物などの販売が拡大し、増収増益となりました。円安によるコスト上昇があったものの、販売拡大と適正在庫管理が収益改善に寄与しました。 ## 鶏卵事業セグメントの概況 鶏卵事業も増収増益となりました。鶏卵相場が高水準で推移する中、販売価格の改定や仕入条件の見直しを進め、量販店や外食産業向けの販売拡大が利益に寄与しました。 ## 連結貸借対照表(B/S)の状況 次に、財政状況です。2026年6月末の総資産は481億8,000万円となり、前期末から84億3,200万円減少しました。主な要因は、たな卸資産が61億5,000万円、売掛金などが19億9,600万円減少したことです。在庫圧縮と売上債権の回収が、総資産の減少につながっています。 負債については、買掛金などの減少を中心に流動負債が前期末比77億2,300万円減少し、長期借入金の返済などにより固定負債も前期末比8億5,800万円減少しました。 自己資本は205億4,000万円で、概ね前期末の水準を維持しました。自己資本比率は36.1パーセントから42.6パーセントへ上昇しています。収益面は厳しい状況ですが、在庫と負債の圧縮を進め、財務の健全性を確保しています。 ## 連結キャッシュ・フロー(C/F)の状況 営業利益は大幅に減少しましたが、在庫圧縮と売上債権の回収により営業キャッシュ・フローはプラスを維持しました。一方、仕入債務の減少や法人税等の支払いにより、前年同期と比較すると減少しています。投資キャッシュ・フローでは、中期経営計画の重点施策の1つである日本精米センターへの出資などにより支出が増加しました。 この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前年同期の6億3,700万円のプラスから、当中間期は6億3,800万円のマイナスとなりましたが、今後も財務健全性に配慮しつつ、企業価値向上に必要な投資を選別して実行していきます。 ## 上期業績の総括と今後の事業方針 上期は米穀市場の急激な変化を受け、在庫圧縮を優先した結果、収益性が大幅に低下しました。厳しい結果ではありますが、高値で仕入れた在庫の処理を先送りせず、令和8年産米の取引開始後の損失リスクを抑えるために必要な対応であると判断しています。 短期的には、市場環境に機動的に対応し、在庫、販売、調達、物流、資金の各面から正常化を進めます。同時に、中長期的には、市況変動に左右されにくい収益構造への転換に向け、中期経営計画を着実に実行していきます。 ## 木徳神糧のポジショニングと競争優位性 ここからは、足元の課題と中期経営計画の具体的な取り組みについてご説明します。当社は米を仕入れて販売するだけの企業ではありません。生産者からの調達、精米加工、品質管理、物流、量販店・外食・中食などへの販売までを一貫して担い、食の安定供給を支える社会インフラとしての役割を果たしています。 このサプライチェーン機能に加え、長年蓄積してきた業界知見と顧客ネットワーク、国内外の事業拠点、飼料・鶏卵などの事業ポートフォリオが当社の強みです。 需給変動が大きい局面においてこそ、安定供給を継続する能力と変化に対応できる経営基盤がより重要になります。これらの強みにさらに磨きをかけ、持続的な企業価値向上につなげていきます。 ## 市場環境の変化を踏まえた課題認識と重点取り組み 足元の環境変化を踏まえ、当社は収益構造、市場環境、基幹事業、経営戦略、人材・組織の5つの課題を認識しています。市況変動に左右されにくい収益基盤への転換や、成熟市場における競争力の向上を目指すためには、迅速な経営判断と実行力、そして変化に即応できる組織体制のさらなる強化が必要です。 これを踏まえ、中期経営計画では、コメ関連事業の規模拡大、調達力の確保、コメの消費拡大を中核戦略として掲げ、その実行に努めています。同時に、中核戦略の実行を下支えする人的資本、DX、財務・資本政策などの経営基盤も強化します。将来的な企業価値向上の基盤を発展させる取り組みを着実に進めていくことが重要であると考えています。 次のスライド以降で、当社が実行している取り組みの一部をご紹介します。 ## 中期経営計画の重点施策の実行トピックス 1つ目は、事業部間のシナジーによるコメ関連事業の規模拡大です。各事業部が個別に培ってきた販売先、商品開発力、技術やノウハウを事業部を越えて活用します。 たとえば、米穀事業の商品を鶏卵事業の販売ネットワークで提案する、自社商品を使用したメニューやレシピを開発する、自社開発商品を各事業部の得意先へ横断的に提案するといった取り組みです。 スライドのガレットや卵のサンドは、その具体例です。単に商品を納入する営業から、「価値を提案する営業」へ発展させ、お客さまの売場づくりやメニュー開発、商品企画まで支援を広げることで、既存取引先の深耕および新規開拓を図ります。 ## 中期経営計画の重点施策の実行トピックス 2つ目は、精米工程で発生する未利用資源の価値化です。自社の精米工場で発生する高濃度のとぎ汁である洗米副生水や米糠を、農業資材など新たな価値へ転換する取り組みを進めています。 具体的には、洗米副生水、米糠、バイオ炭、有用微生物を組み合わせた商品「UMBPヌカボカシー」を開発し、全国20ヶ所以上の生産法人などで農作物の生育への効果を検証しています。廃棄コストの削減に加え、新たな収益機会の創出を通じて、米の生産・加工・副産物の再利用をつなぐ循環型ビジネスの構築を目指しています。 ## 中期経営計画の重点施策の実行トピックス 3つ目は、生産者の収益性向上と当社の中長期的な調達力の確保を両立する取り組みです。国内の稲作は、農業従事者の高齢化、担い手不足、生産コストの上昇、気候変動による品質や収量の不安定化など、多くの課題を抱えています。生産基盤が弱くなれば当社の安定調達も難しくなるため、単に米を調達するだけでなく、当社自身も生産者が持続的に営農できる仕組みづくりに関与します。 そのためのアプローチの1つが、多収穫米の新品種の開発と導入です。同じ面積と労力で収量を増やし、高温耐性と良食味を兼ね備えた品種を普及することで、生産者の所得向上と安定生産に貢献します。 アプローチの2つ目は、乾田直播の実証です。乾田直播は、苗づくりや田植えの工程を省略し、労働時間と生産コストを削減することで、限られた人員でも経営規模の維持・拡大を可能にする技術です。生産者の課題解決や安定調達につながることを目的に、当社も一体となってその普及に協力しています。 ## 中期経営計画の重点施策の実行トピックス こうした取り組みの一環として、2026年4月に次世代アグリビジネス協議会へ参画しました。本協議会では、シンクタンク、金融・投資、農業・生産、米穀流通、デジタル技術といった業界を横断し、一体となって食料安全保障と農業の持続可能性につながる新たなビジネスモデルを検討しています。 当社は米穀流通の知見を活かし、生産者と実需者をつなぎ、実証を実際の流通や販売へつなげる役割を担うことで、業界課題の解決と持続可能な食農産業の実現に貢献していきます。また、JAや生産法人との直接的な関係構築を強化することで、調達力の確保を進めています。 将来的な供給力の低下が懸念される中で、当社では高温耐性と多収性を持つ「にじのきらめき」などの種子提供や栽培支援を起点とし、生産者の収益向上と持続的な調達基盤の構築に取り組んでいます。生産者との継続的なパートナーシップを構築することが、中長期的な調達力の確保につながると考えています。 ## 中期経営計画の重点施策の実行トピックス 4つ目は成長投資です。当社は米穀業界最大手の株式会社神明との合弁により、2026年4月1日に佐賀県鳥栖市で日本精米センター株式会社を設立しました。 米穀業界では、国内需要の縮小、人手不足、物流費や設備維持費の上昇など、構造的な課題が強まっています。各社が個別に設備と物流網を保有する従来型の事業モデルだけでは、持続的な競争力を確保することが難しくなっています。 日本精米センターでは、九州エリアにおける精米機能を共同で運営し、生産性の向上、省力化、高品質商品の安定供給を目指します。この合弁は、単なるコスト削減ではなく、企業の枠を超えて経営資源を活用し、持続可能な精米事業のモデルを構築する取り組みです。その成果を、中長期的な競争力と企業価値の向上につなげていきます。 ## 中期経営計画の重点施策の実行トピックス 5つ目は、海外販売数量の拡大です。国内の米需要が長期的に減少する一方、世界の米需要は拡大し、食べ方も多様化しています。当社は日本産米の輸出、海外拠点を活用した現地販売、三国間取引、特徴ある外国産米の輸入販売を組み合わせ、国内外をつなぐ米ビジネスを拡大します。 海外市場では、現地法人を活用して日本産米の輸出・販売を拡大するとともに、タイ香り米やバスマティライスなど、特徴ある外国産米を国内市場へ提案します。これにより、日本産米の価値を海外へ発信するだけでなく、国内でも多様なコメ食文化と需要を取り込んでいきます。 2026年12月期の海外販売数量目標は3万4,500トンです。海外事業を成長させ、国内市場の変動を補完する収益基盤を構築します。 ## 配当政策 最後に、株主還元です。当社は成長投資と財務健全性のバランスを踏まえ、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としています。中期経営計画では、連結ベースの株主資本配当率(DOE)2パーセント以上を配当水準の目安としています。 2026年12月期の1株当たり年間配当額は50円を予定しています。当社は、短期的な利益の変動だけで配当を大きく上下させるのではなく、成長投資、財務状況、将来の事業環境を総合的に勘案し、企業価値向上と株主還元の両立を目指します。 ## 注意事項 将来の見通しに関する注意事項は、スライドに記載のとおりです。米穀市場は、供給不足から供給過多の環境へと短期間で大きく変化したことで、足元の業績は非常に厳しい状況にあります。 当社は、この環境変化と課題を正面から受け止め、収益構造の改善を速やかに進めます。同時に、中期経営計画の施策を着実に実行することで、将来的な企業価値向上につながる事業基盤の構築を進めていきます。 株主・投資家のみなさまには、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願いします。本日はご視聴いただき、誠にありがとうございました。