当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは「美と健康、清潔で快適な生活を創造する」を経営ビジョンとし、みなさまの暮らしを快適にする身近な商品を、全国の小売業様の店頭にお届けする、日用品・化粧品等の卸商社として、社会的インフラの一翼を担っております。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2026年3月期を最終年度とする中期経営計画において、売上高・経常利益・ROE・配当性向を目標として掲げております。
(3) 経営戦略及び定量目標
2026年3月期を最終年度とする中期経営計画の目標数値及びその結果
当社グループはこれまで以上の成長を果たすべく、各小売業様の「店頭」を常に意識しながら、当社の強みである情報分析機能を活かし、消費者の生活様式や購買意識の変化を捉えたカテゴリー戦略を図ってまいりました。
その結果、2025年3月期の売上高は前期比104.5%となり、10期連続で最高を更新し、各段階利益についても過去最高を更新いたしました。売上総利益につきましては、一時的要因による一部マイナスがあったものの、メイクアップやスキンケア商品を中心とした化粧品の売上好調と商品単価の向上により、前期比104.1%と順調に拡大しました。販管費につきましては、将来に向けた人員計画による社員数の増加、正社員およびパート社員の待遇改善など人的資本投資による人件費の増加がありました。また、2024年問題の影響による想定以上の物流費増加や一時的要因による経費の増加により、販管費は前期比104.3%に増加したものの、売上高の伸びが販管費の伸びを吸収し、販管費率は0.01ポイント改善となりました。
(4) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは生活必需品を取扱う社会インフラとしての使命を担い、暮らしを支え、快適な生活を創造する企業として、「世の中のお役に立ち続ける」という経営理念のもと、どのような状況においても消費者の皆様および地域社会のために企業活動を持続させ、「強く」「正しく」そしてその先には「楽しく」というあらたESG基本方針に沿い、経済や社会に対して価値を提供し続けてまいりました。
近年、社会環境や経済環境は大きく変化しており、当社グループを取り巻く環境につきましても例外ではなく大きな転換期を迎えております。当社グループは「長期経営ビジョン2030」の目標達成に向け、第2フェーズに位置づける「中期経営計画2026」において「成長の加速」をテーマに「成長事業」・「基盤」・「人材」における成長戦略を実施してまいりました。そのような中、一段と進む物価上昇によって生活費の負担が増加し、消費者の節約志向は一層高まっており依然として先行き不透明な環境下ではありましたが、2025年3月期の売上高および各段階利益は過去最高を更新いたしました。しかしながら、一時的な要因に加え、人的資本への先行投資や、円滑な物流体制を維持するために「物流2024問題」への対応として物流事業者との対話を実施し、運賃への対応を行ったことなどの影響により、利益獲得に遅れ当初の予想を下回る結果となりました。このため、「中期経営計画2026」最終年度である2026年3月期の経常利益目標については、当初の200億円から180億円へ修正いたしました。
「中期経営計画2026」数値目標の修正 (単位:億円)
|
|
2026年3月期 修正前 |
2026年3月期 修正後 |
|
売上高 |
10,000 |
10,000 |
|
経常利益 |
200 |
180 |
|
ROE |
10%台 |
10%台 |
|
配当性向 |
30% |
30% |
2027年3月期は、次期中期経営計画の初年度にあたります。売上高1兆500億円の達成を目指し、さらなる売上拡大に取り組んでまいります。経常利益については、生産性向上を目的としたIT中計の本格実装、メーカー機能のブランド集約効果等により、1年遅れでの200億円達成を目指してまいります。また、環境・社会・ガバナンスへの取組や情報開示にも引き続き注力し、強固な経営基盤を確立し、持続可能な社会の実現に貢献することで企業価値向上を図ってまいります。
サステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)サステナビリティ共通
当社グループは、「世の中のお役に立ち続ける」という経営理念に基づき、社会とともに持続的な成長・発展をめざしています。
すべてのステークホルダーとの信頼関係により強い基盤を構築し、サプライチェーン全体の環境・効率化を正しい姿勢で進め、皆様の暮らしをより豊かに、楽しくする事業戦略を実現することで私たち社員も働く楽しみを享受する。このような事業活動を通じて持続的な企業価値向上に繋げてまいります。
①ガバナンス
ESGを推進する専門部門としてサステナビリティ推進室と、社外役員全員を委員に含むESG委員会を設置しております。ESG委員会は、代表取締役社長執行役員を委員長とし、年6回開催しており、サステナビリティに関するリスク及び機会の検討・審議を行っております。また取締役会は、ESG委員会で重要と判断された案件について報告を受け、必要に応じて審議・決定を行うことを通じて全体を監督しております。
|
[サステナビリティ推進体制]
|
[2025年3月期 ESG委員会 主な議題]
|
②戦略
当社は、事業活動が環境、社会、経済に及ぼす影響とステークホルダー(顧客、従業員、株主、地域社会、サプライヤーなど)の期待を分析し、以下の4つの重要課題を特定しました。これらの課題への取り組みは、当社の持続可能な成長に不可欠です。ステークホルダーとの継続的な対話を通じて課題認識を深め、戦略を定期的に見直し、改善していくことで、持続可能な社会への貢献を目指します。
○サプライチェーンの好循環を生み環境に貢献する
○社員にとって働き甲斐のある会社となる
○すべての人に快適な生活を届ける
○持続的な成長を支える強固なガバナンス体制を構築する
③リスク管理
サステナビリティに関する全社的なリスク及び機会について、下記に記載のプロセスで特定しております。ESG委員会及び取締役会においてリスクが経営に及ぼすインパクトの大きさを総合的に評価し、対応策を検討しております。
また、リスク管理の窓口をコーポレートガバナンス統括本部が担い、各本部と連携の上で対応策を推進し、リスクの低減を図っております。
<リスク及び機会の特定プロセス>
ステップ1:ESG基本方針を基にサステナビリティ全般のリスク及び機会をコーポレートガバナンス統括本部が抽出
ステップ2:抽出したリスク及び機会について、ESG委員会にて影響度の評価及び対応策を検討
ステップ3:ESG委員会の評価を基に重要なリスク及び機会を特定、重要な対応策の実施状況をモニタリング
④指標と目標
当社は特定した重要課題に対し、指標・目標を設定しております。それぞれの進捗状況については、取締役会及びESG委員会において定期的にモニタリングされ、取り組みの調整・強化などを図っています。
|
重要課題 |
指標目標・実施事項 |
|
サプライチェーンの好循環を生み環境に貢献する |
GHG排出量:2026年3月期 30%削減(2014年3月期比) 2030年3月期 50%削減(2014年3月期比) 2050年 カーボンニュートラル ※あらた単体 Scope1・2対象 ・TCFD提言に基づく情報開示 ・CDP回答(2025年3月期:Bスコア) ・GHG排出削減に向けた省エネ施策 ・廃棄物削減に向けた取り組み(3Rキャンペーン) |
|
社員にとって働き甲斐のある会社となる |
女性管理職比率:2026年3月期 4.5% 男性育休取得率:2026年3月期 100% ・人権尊重への取り組み ・DEI推進に向けた取り組み →(2024年3月えるぼし2つ星、2025年1月くるみん取得) ・健康経営に関する取り組み →(健康経営優良法人2025認定) ・研修制度の拡充 |
|
すべての人に快適な生活を届ける |
・BCP活動 ・大学生とのコラボ企画 ・「こどもフードアライアンス」への参画 |
|
持続的な成長を支える強固なガバナンス体制を 構築する |
・取締役会スキルマトリクスの開示 ・取締役会実効性評価を基にした改善 ・社員のコンプライアンス意識向上施策 ・情報漏洩対策 |
(2)気候変動
当社は、気候変動に関するリスクを重要な課題と捉え、CO2排出量の削減や、サプライチェーン全体の好循環を生む活動により地球環境の保全と経済活動の両立を図り、持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指しております。気候変動に関するリスク・機会の特定及び対応が経営上の重要課題であるという認識のもと、TCFDに賛同し、気候変動に関する情報を積極的に開示しております。
①ガバナンス
「
②戦略
異なるシナリオ下(下表参照)における、将来の気候関連リスク・機会の財務影響及び事業インパクトを把握するとともに、当社戦略のレジリエンスを評価することを目的としてシナリオ分析を実施しております。
■参照シナリオ
|
区分 |
シナリオの概要 |
|
1.5℃/2℃ 未満シナリオ |
脱炭素社会の実現へ向けた政策・規制が実施され、世界全体の産業革命前からの気温上昇幅を1.5℃/2℃未満に抑えられるシナリオ。移行リスクは高いが、物理リスクは4℃シナリオと比較すると低く抑えられる。 |
|
4℃シナリオ |
パリ協定における国別目標など、公表済み目標が達成されることを前提としたシナリオ。新たな政策・規制は導入されず、世界のエネルギー起源CO2排出量は継続的に増加する。移行リスクは低いが、物理リスクは高くなる。 |
■リスク及び機会
気候変動の影響は、当社グループにとって事業・戦略・財務への大きなリスクとなる一方で、消費者ニーズの変化によるメーカー様・小売業様含めたサプライチェーン全体の課題に対し、卸商社としての機能を活用することで「機会」にもなり得ます。下記は、現時点での当社グループの事業に影響を及ぼす気候関連リスク・機会を特定し、それらの財務インパクトを定性的に評価しました。今後も定期的にシナリオ分析を実施し、リスク・機会の見直しを行う予定であります。
|
区分 |
タイプ |
影響度 |
内容 |
発現時期 |
対応策 |
|
|
1.5℃ /2℃ |
4℃ |
|||||
|
移行 リスク |
政策・規制 |
中 |
小 |
炭素税、排出量取引等によるコスト増加 |
短~中期 |
・省エネルギー設備の導入、再生可能エネルギーの利用促進による炭素排出量削減 |
|
技術 |
大 |
中 |
脱炭素に対応した設備導入に伴う投資コスト増加 |
短~中期 |
・長期的な視点での脱炭素化に向けた設備投資計画の策定と実行 |
|
|
評判 |
中 |
小 |
気候変動対策が不十分な場合のレピュテーション低下による売上減少 |
中~長期 |
・気候変動対策に関する情報開示の強化 |
|
|
物理 リスク |
急性 |
中 |
大 |
台風や高潮のリスクの高い物流センターの操業停止、物流遮断による損害 |
短~中期 |
・物流拠点の分散化 ・BCP代替物流網の構築 |
|
慢性 |
小 |
中 |
気温上昇によるエネルギーコスト増加、再生可能エネルギーの調達コスト増加 |
短~中期 |
・再生可能エネルギーの導入 ・エネルギー効率の高い設備の導入 |
|
|
機会 |
資源効率 |
中 |
小 |
省エネルギー施策の推進による配送効率上昇、及びそれに伴うコスト減少 |
短~中期 |
・配送ルートの最適化 ・共同配送の推進 |
|
製品及び サービス |
中 |
小 |
環境配慮型商品の取扱量増加による売上増加 |
中~長期 |
・環境配慮型製品の品揃え強化 |
|
|
中 |
小 |
サプライチェーンにおけるCO2排出削減推進による生産性向上、及びそれに伴うコスト減少 |
中~長期 |
・サプライヤーとの連携による排出量削減の取組の推進 |
||
|
市場 |
小 |
中 |
積極的な気候変動対策の推進によるレピュテーション向上、新規取引獲得 |
中~長期 |
・環境配慮型製品の品ぞろえ強化 |
|
|
レジリエンス |
小 |
中 |
災害時における物流のレジリエンス強化による取引拡大 |
中~長期 |
・BCP代替物流網の構築 |
|
[影響度] [発現時期]
大:事業/財務に対し、重要な影響をもたらす 短期:~2026年
中:事業/財務に対し、影響をもたらす 中期:~2030年
小:事業/財務に対し、影響をもたらすが軽微である 長期:2050年
③リスク管理
「
④指標と目標
当社は、気候変動の緩和のため以下のGHG排出量削減目標を設定しております。
■2026年3月期 30%削減(あらた単体Scope1,2対象 2014年3月期比)
■2030年3月期 50%削減(あらた単体Scope1,2対象 2014年3月期比)
■2050年3月期 カーボンニュートラル(あらた単体Scope1,2対象)
[GHG排出量 Scope1・2 あらた単体] (単位:t-CO2)
|
|
2014年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
|
Scope1(あらた単体) |
5,319 |
3,249 |
2,521 |
|
Scope2(あらた単体) |
19,118 |
14,637 |
13,544 |
|
合計(あらた単体) |
24,437 |
17,886 |
16,065 |
[GHG排出量 Scope1・2 ジャペル] (単位:t-CO2)
|
|
2014年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
|
Scope1(ジャペル) |
- |
469 |
447 |
|
Scope2(ジャペル) |
- |
1,011 |
149 |
|
合計(ジャペル) |
- |
1,480 |
596 |
[GHG排出量 Scope1・2 あらた+ジャペル] (単位:t-CO2)
|
|
2014年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
|
Scope1(あらた+ジャペル) |
|
|
|
|
Scope2(あらた+ジャペル) |
|
|
|
|
合計(あらた+ジャペル) |
|
|
|
※2024年3月期より、主要子会社であり、当社の事業活動において重要な位置を占めるジャベル株式会社のGHG排出量の把握を開始いたしました。今後、連結ベースでの目標設定を検討してまいります。
[GHG排出量 Scope3内訳 あらた単体] (単位:t-CO2)
|
Scope3カテゴリー |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
|
|
合計 |
|
|
|
|
カテゴリー1 |
購入した製品・サービス |
2,707,967 |
2,805,197 |
|
カテゴリー2 |
資本財 |
7,747 |
11,628 |
|
カテゴリー3 |
燃料・エネルギー関連 |
2,907 |
2,909 |
|
カテゴリー4 |
輸送・配送(上流) |
24,913 |
23,103 |
|
カテゴリー5 |
事業から出る廃棄物 |
663 |
1,368 |
|
カテゴリー6 |
出張 |
260 |
255 |
|
カテゴリー7 |
雇用者の通勤 |
2,423 |
2,370 |
|
カテゴリー11 |
販売した製品の使用 |
212,010 |
193,248 |
|
カテゴリー12 |
販売した製品の廃棄 |
538,318 |
525,819 |
※2023年3月期よりScope3の対象カテゴリーを拡大し、上記9カテゴリーを対象としております。
なお、カテゴリー8、9、10、13、14、15については該当する排出はありません。
2025年3月期のScope3は現在算定中であり、2025年9月発刊予定の「統合報告書2025」に算定結果を掲載予定であります。
https://www.arata-gr.jp/ir/library/annual_report/
今後も海外子会社を含めたグループ連結におけるGHG排出量の算出を進めると同時に、目標の達成に向けて長期的な視点での省エネ施策(物流センターや拠点における高効率設備への更新 他)や、再生可能エネルギー利用によるCO2削減計画を策定し、取り組みを進めてまいります。
(3)人的資本
当社は社員を、同じ目的に繋がるパートナーと考え、社員の個々の成長なくして会社としての成長はないという考え方のもと、様々な考えや価値観、それぞれの立場を尊重し、相互に意見を交わしてより良い環境をつくることを重要視しています。社員が働き甲斐をもって長く働き続けられる企業となるべく、「人材」への投資を進め、人事制度の拡充や多様な働き方を実現する仕組みづくりを推進してまいります。
①ガバナンス
「
②戦略
〈新人事制度の運用〉
人事戦略スローガン『未来の人と組織づくり~2030年に向けて強い組織を作る~』
長期経営ビジョン2030「夢をかなえる。暮らしを変える。」に向けた基盤事業や成長戦略を担う多様な人材が協働することで、より高い付加価値を生み出す組織となり、全社員が働き甲斐を持ち長く働き続けられる会社となることを目的として、2023年4月より人事制度を改定しました。評価制度や昇格要件の改定、エリア管理職の新設、シニア活躍に向けた制度改定など、老若男女問わず一人ひとりの能力が最大限発揮できる体制を整えております。2030年のさらにその先を見据えた人事戦略により、強い組織を構築してまいります。
多様性の確保:DEI方針
人口減少による人手不足が進む環境下においては、多様な人材が長期間活躍できる環境を整えることが重要なテーマであると捉えています。「十人十色の成長をチカラに~すべての社員が夢を描ける会社を目指して~」をDEI方針として掲げ、取り組みを加速させております。
〈女性活躍推進〉
DEI推進における重点項目として、「女性活躍推進」を掲げており、中期経営計画2026の最終年度である2026年3月期までに女性管理職(課長級以上)比率を4.5%とする目標を設定し、意欲的に働き続けるための制度や環境構築に向けて、継続的かつ積極的に取組を進めております。課長級管理職の候補世代である係長級の女性社員が増加しており、女性総合職の新卒採用比率は継続して40%以上を維持しております。
2023年7月より当社とグループ会社のジャペル㈱の女性社員の交流を通して「全社員が働きやすく活躍できる会社」を目指し、具体的な施策の提案、経営層への提言を行う「A&Jプロジェクト」を発足しました。育休交流会やアンコンシャスバイアス講習の実施、ロールモデルの発見に繋げられるようなキャリアブックの作成など、具体的な施策に繋げております。また、拠点や部署を跨いで様々なバックグラウンドを持つ社員同士が議論することで、参画した社員自身の主体的なキャリア形成のきっかけにもなっております。
なお、女性の活躍に関する取り組みの実施状況が優良であるとして、2024年3月に女性活躍推進に基づく厚生労働大臣認定の「えるぼし(2段階目)」認定を取得いたしました。
|
女性社員比率 (あらた単体) |
2022年 3月期 |
2023年 3月期 |
2024年 3月期 |
2025年 3月期 |
えるぼし(2段階目) 認定マーク |
|
管理職 (課長級以上) |
2.2% |
2.8% |
2.9% |
3.2% |
|
|
管理職 (係長級) |
6.2% |
6.6% |
8.5% |
11.8% |
|
|
新卒採用 (総合職) |
40.5% |
44.0% |
48.5% |
56.6% |
人材強化:人材育成方針
全社員が働き甲斐を持ち、長く働き続けられる会社となることを目指し、社員一人一人がチャレンジングで意欲的に目標に向かって活動してもらえるよう、公正な人事評価の実施や、年齢に捉われず成果を上げている社員が早期に上位等級で活躍できる環境を構築しております。
また、新入社員から管理職まで、キャリアごとのスキルアップを支援する多種多様な研修制度を設けています。
〈研修制度〉
対面での研修だけでなく、全社員向けのEラーニングとして「Ael E研修ナビ」を提供しております。「Ael E研修ナビ」とは、部署や等級を問わず全社員が必要なときに良質な学びが受けられる場として社内イントラネットを通じて配信しているものであり、現在189のコンテンツ数を有しております。
職場環境の整備:社内環境整備方針
社員のライフステージの変化を支え、ワークライフバランスの向上を図るため、多様な働き方の実現や、長く働き続けられる環境づくりを進めております。2020年より社員意識調査を実施しており、評価と別にメッセージ欄を設けることで社員の声が直接経営層に届く仕組みとなっております。定期的に社員のエンゲージメントの状況を把握し、信頼関係構築や制度などの改善に繋げることで、意欲的に働ける環境を整備してまいります。
|
〈育休取得推進〉 法定基準を上回る内容の「育児短時間勤務」「子の看護・介護休暇」などの制度を導入しております。育休への社内の理解浸透を図るべく、2024年より育休交流会を実施し、全社員向けに制度説明、上司や同僚の対応、ハラスメントにつながる発言例などを紹介しております。2025年3月には職場復帰への不安払しょくを図るべく、育休取得中社員を対象とした交流会を開催しました。また、社内報で育休を取得した男性社員のインタビューを掲載するなど、男性の育休取得も推進しております。 なお、次世代育成支援対策推進法に基づく「子育てサポート企業」として、2025年1月に厚生労働大臣より「くるみん認定」を初めて取得しました。 |
くるみん 認定マーク |
|
〈健康経営〉 従業員が長く意欲的に働き続けられるよう、健康を維持・増進することが重要な経営課題であると認識しており、従業員の健康を企業としてサポートし、活力に満ちた職場環境の実現に努めることを社内外に公表し宣言しております。がん検診受診やインフルエンザ予防接種の無料制度、3大疾病治療中の特別休暇制度などの環境整備の他、各種セミナーの実施、喫煙率低下に向けた取り組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において、「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」の認定を初めて取得しました。今後も社員のヘルスリテラシー向上に資するセミナー開催など、健康経営への取り組みをより一層強化・推進してまいります。 |
健康経営優良法人2025 (大規模法人部門) 認定マーク |
③リスク管理
「
④指標と目標
上記「戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
|
各戦略 |
人事KPI |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
目標 ( |
|
多様性の確保 |
|
2.9% |
(2025年4月時点4.9%) |
|
|
|
84.6% |
|
|
|
|
|
2.7% |
|
|
|
|
人材育成 |
|
延べ28,172人 |
延べ |
延べ |
|
職場環境の整備 |
|
100.0% |
|
|
|
|
12.1日 |
|
|
|
|
|
98.9% |
|
|
|
|
※継続勤務意識 |
3.7 (1~5段階評価) |
(1~5段階評価) |
(1~5段階評価) |
上記目標及び実績は、当社単体に関する数値を記載しております。連結グループ会社において具体的な取り組みが各社個別に行われているものの、現時点で統一では行われておらず、人事制度や運用等も異なるため、連結としての目標設定及び実績算定について検討中であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 競争激化による投資コストの増加について
当社グループが属する日用品・化粧品の卸売業界におきましては、取扱い商品における業界の垣根を越えた再編の可能性があり、主要顧客である小売業界においても同様の動きが起こる可能性があります。また、外資系小売業の進出などにより、物流機能の取り込みが起こり、卸売業の物流機能の評価が低下する可能性もあります。
このような業界再編やそれにともなう物流形態の変化等の環境変化に対応するために、新しい事業分野への進出や、物流機能の充実のための大型物流センター等の設備投資が必要となってくると考えられます。その場合には、減価償却費や物流に関連する各種経費の一時的増加により業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、今後も積極的な売上拡大に対応する為、全国に亘る物流ネットワークの整備を継続してまいりますので、初期投資に関わる費用、減価償却費の増加は見込まれますが、従来通りに既存センターの統合、廃止などにより、在庫の削減、センター内の業務費用、配送費用の圧縮により投資コストの早期回収を進めます。
② 業績変動について
当社グループの業績は、第4四半期において他の四半期に比べて売上高及び利益は低下する傾向にあります。
これは主に、12月に日用品をまとめて購入する消費需要の反動や、2月は営業日数が少ない等の影響によるものであります。このため、第3四半期までの業績の傾向が、年間の業績の傾向を示さない可能性があります。
また、上記傾向が継続していることに加え、自然災害の発生や消費税増税など大きな環境変化が起こった際には四半期毎の傾向が大きく変わることが想定され、過去の傾向どおりには推移しない可能性もあります。
この様な各種環境変化への対応としては過去において売上高、利益に対して影響を及ぼした要因を分析し、消費の需要変化を予測し、執行役員等が出席する経営会議や取締役会において商品政策、販売政策を検討し実施しております。
なお、2024年3月期及び2025年3月期の四半期毎の業績は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
|
|
2024年3月期 |
||||
|
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
年度計 |
|
売上高 |
235,239 |
236,148 |
247,730 |
225,029 |
944,149 |
|
(構成比 %) |
(24.9) |
(25.0) |
(26.3) |
(23.8) |
(100.0) |
|
営業利益 |
4,347 |
3,626 |
4,454 |
2,079 |
14,508 |
|
(構成比 %) |
(30.0) |
(25.0) |
(30.7) |
(14.3) |
(100.0) |
|
経常利益 |
4,669 |
3,754 |
4,575 |
2,342 |
15,341 |
|
(構成比 %) |
(30.4) |
(24.5) |
(29.8) |
(15.3) |
(100.0) |
(単位:百万円)
|
|
2025年3月期 |
||||
|
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
年度計 |
|
売上高 |
245,604 |
245,918 |
262,978 |
231,712 |
986,212 |
|
(構成比 %) |
(24.9) |
(24.9) |
(26.7) |
(23.5) |
(100.0) |
|
営業利益 |
4,710 |
3,463 |
4,925 |
1,888 |
14,989 |
|
(構成比 %) |
(31.4) |
(23.1) |
(32.9) |
(12.6) |
(100.0) |
|
経常利益 |
5,057 |
3,512 |
5,207 |
1,839 |
15,617 |
|
(構成比 %) |
(32.4) |
(22.5) |
(33.3) |
(11.8) |
(100.0) |
③ ペット生体の需給動向について
犬猫生体については、繁殖者の減少から生体が供給不足になる可能性があります。また、犬猫の平均寿命は延びているものの、高齢生体の比率が上昇しており、高齢生体の死亡により飼育頭数が減少する可能性があります。生体全般としては人獣共通感染症が発生した場合に生体が減少する可能性があります。ペットフード・用品の売上高については、ペット生体の数の増減によって業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、近年において犬の飼育頭数の減少が見られるなどの状況が発生しておりますが、高齢生体の上昇や飼い主とペットとの関係性の変化等によるペットフード・用品の高機能化などの変化に迅速に対応する等、生体数減少による売上高の減少をカバーする対応を行っております。
④ 商慣習によるリスクについて
当社グループが所属する日用品・化粧品・ペット卸売業界は、商品の販売数量や支払条件等に応じて、メーカーから販売奨励金等が支払われます。これは、メーカーと当社グループの間で取り決められた条件を達成することによって支払われますが、メーカーの営業戦略の変更により制度変更された場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの商品在庫におきましては、ほぼメーカーへの返品が可能となっております。しかしながら、メーカーの民事再生等により債務不履行が発生した場合は、在庫評価損の計上や返品が不能となる場合があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、近年ではメーカーの債務不履行により業績に大きな影響を与える事例は発生しておりませんが、買掛金、在庫管理を中心として仕入先与信管理を強化し、リスク軽減の対応を行っております。
⑤ ペットフードの安全性について
「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」の施行により、安全基準値を超えた商品が発見された場合にはペットフードの生産、流通に支障が生じる可能性があります。また、ペットフードの主原料になることが多いトウモロコシ等の穀物について、世界的な異常気象等による不作から、ペットフードの調達不足が発生した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、現時点では当該リスクが顕在化する可能性については認識しておりません。しかし今後発生する可能性を考慮し、仕入先との連携によるペットフードに関する情報収集の強化や仕入先を複数もつことでのリスク軽減などの対応を行っております。
⑥ カントリーリスクについて
当社グループは、海外事業の拡大を図っており、海外現地における政情不安、貿易制裁、文化や法制度の相違、特殊な労使関係等によるカントリーリスクにより、円滑な業務運営が妨げられ、当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社仕入先の製造工場が海外にある場合にも、同様のリスクが考えられ、商品供給が滞る可能性があります。
⑦ 信用リスクについて
当社グループでは取引先の信用悪化や経営破綻による損失が発生する信用リスクを管理するため、信用調査会社による資料に基づき要注意先を設定し与信限度額を定め、与信先の信用状態に応じて必要な担保・保証などを取り付けるとともに、会計上充分な貸倒引当金を計上しております。
しかしながら、得意先の業績悪化により、債権等が回収不能となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、これまでにも債権回収不能の事態は発生しておりますが、多くが軽微であり経営に大きく影響を与える状況にはありません。しかし社会、経済環境の変化により景気が減退し、発生する可能性を考慮し、不安のある得意先に対しては取引限度額の再設定や保証の取り付け、与信保険の設定などによりリスク軽減を図っております。
⑧ 減損会計について
当社グループは、事業用資産として多くの土地及び建物等を所有しております。事業用資産の簿価に対して時価が著しく下落した場合や各支社の収益性が悪化した場合等には、固定資産の減損処理が必要となる場合があります。その場合、特別損失が計上され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当該リスクへの対応といたしましては、各支社の収益悪化に対して本社と連携して得意先への対応を協議・実践するなど収益改善に向けた取り組みを強化することでリスク軽減を図っております。
⑨ 投資有価証券保有にかかる株価変動リスクについて
当社グループは主として営業上の取引関係の維持、強化のため取引先を中心に政策保有株式を保有しております。
このため、株式相場の動向もしくは株式を保有している企業の業績次第では、それぞれの株価に大きな変動が発生し、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当該リスクへの対応といたしましては、政策保有株式全銘柄につき個別に保有の妥当性を判断し、取締役会等で継続して保有する経済合理性が乏しいと判断した場合には、その時の経済情勢や譲渡損益等を考慮したうえで、当該保有先との対話を経て、適切な時期に保有株式の売却を行うなどの対応を行っております。
⑩ 大規模災害について
当社グループは全国に多くの拠点があり、大規模災害が発生した場合にはその地域における物流機能の麻痺及びシステム障害が発生し、商品の供給が滞る可能性があります。
なお、東日本大震災や近年の大型台風、集中豪雨などにより当該リスクは発生しておりますが、BCP対策強化の一環として、一部の物流センターが被災した場合でも、他のエリアの物流センターから商品供給できる体制を持ち、また全国に分散したバックアップセンターによりシステム障害を防ぐ体制を構築しております。
⑪ システムトラブルについて
当社グループは、営業活動、商品管理等の多くをコンピューターネットシステムに依拠しております。自然災害や事故の発生、コンピューターウイルスの侵入等により機能が停止した場合、リカバリーシステムによる復旧までに時間を要し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、有事においても安定的に商品供給するために日次の業務データを複数のバックアップセンターにより分散管理し、一つのセンターが被災した場合においても迅速にシステムを復旧させ、事業継続できる体制を構築しております。
⑫ 感染症等の流行発生にかかるリスク
感染症等の流行により、当社グループの多くの従業員が感染するなど、人的資源の喪失で事業継続が困難になり、業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応といたしましては、BCPの観点からあらゆる事態を想定し、事業への影響及びその対策について、取締役会、経営会議において議論し、本社、支社においてそれぞれの環境に応じた具体的な施策を立案し、このような事象が発生した場合においても最小限の影響にとどめる対策を実施することでリスク軽減を図っております。
⑬ 気候変動によるリスク
当社グループは、生活必需品を取り扱う卸商社として皆様の生活を支える社会インフラの一部であることから、気候変動に関するリスクを重要な課題と捉え、長期経営ビジョン2030においても対応策や目標を定めております。
気候変動に伴う異常気象による当社物流網やサプライチェーン全体への損害や、脱炭素社会への移行に伴うコスト
の上昇などにより当社業績に影響が及ぶ可能性があります。
⑭ 人的資本にかかるリスク
当社グループが持続的な成長を実現していくためには、多様で優秀な人材を確保・育成し、その能力を最大限に発揮することが重要であります。国内は人口減少による人手不足が進み、雇用情勢の変化や人材の流動化等の影響により、必要な人材の確保・育成が行えなかった場合、当社グループの事業に影響を与える可能性があります。
なお、当該リスクへの対応といたしましては、人権尊重を根底に「多様性の確保」「人材強化」「職場環境の整備」を3つの柱として人事戦略を推進しております。全社的なリスクについては、コーポレートガバナンス統括本部が特定し、ESG委員会及び取締役会においてリスクが経営に及ぼすインパクトの大きさを総合的に評価し、各本部と連携の上、対応策を推進することでリスク軽減を図っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業業績の持ち直しによる雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加などにより緩やかな回復傾向にあります。一方、一段と進む物価上昇によって生活費の負担が増加し、消費者の節約志向は一層高まっており依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境において、当社グループはこれまで以上の成長を果たすべく、「中期経営計画2026」(2024年3月期~2026年3月期)で掲げた各重点施策を着実に推進してまいりました。当社は設立時より各小売業様の「店頭」を常に意識しながら、当社の強みである情報分析機能を活かし、消費者の生活様式や購買意識の変化を捉えたカテゴリー戦略を継続的に実施しております。ヘルス&ビューティーカテゴリーにおいては、専売・優先流通品の拡大により独自性を強化しております。ペット関連商品については、あらたグループのペット専門卸商社であるジャペル株式会社において、ペットの体調、ライフステージに合わせたフードや、ペットと飼い主の生活をより楽しくするペット用おやつの提案等、専門性を活かした戦略を進めております。このような戦略的営業活動の積み上げによってインストアシェアを拡大し、新たにコンビニエンスストア業態を含めた新規取引を獲得しております。また、基盤強化の観点として長期的視点に立った人的資本投資として積極的な採用と制度の見直しを進めた他、物流2024年問題への対応として、物流事業者との対話を実施してまいりました。
このような活動の結果、2025年3月期の売上高および各段階利益は過去最高を更新いたしました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は311,728百万円となり、前連結会計年度末と比較して5,248百万円の減少となりました。
負債合計は195,171百万円となり、前連結会計年度末と比較して12,085百万円の減少となりました。
純資産の部は116,557百万円となり、前連結会計年度末と比較して6,837百万円の増加となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は986,212百万円(前年同期比4.5%増)、営業利益は14,989百万円(前年同期比3.3%増)、経常利益は15,617百万円(前年同期比1.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,358百万円(前年同期比0.4%増)となりました。
なお、セグメントの業績につきましては、当社グループは日用品・化粧品等の卸売業を主たる事業とする単一セグメントであるため記載を省略しておりますので、カテゴリー別及び業態別の売上実績につきまして記載しております。
カテゴリー別売上実績
|
当連結会計年度におけるカテゴリー別売上実績は、次のとおりであります。 (単位:百万円) |
|
カテゴリー |
主要商品 |
当連結会計年度 |
|
|
(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比 |
||
|
|
|
|
% |
|
ヘルス&ビューティー (Health & Beauty) |
化粧品、装粧品、入浴剤、身体洗浄剤、ヘアカラー、オーラルケア、医薬品、健康食品 |
306,722 |
105.8 |
|
紙製品 |
ベビー用品、ベビー用おむつ、介護用品、大人用おむつ、生理用品、ティッシュペーパー、トイレットペーパー |
190,963 |
104.1 |
|
ペット |
ペット用品 |
186,980 |
105.9 |
|
ハウスホールド |
衣料用洗剤類、台所・食器用洗剤類、住居用洗剤類 |
138,960 |
103.6 |
|
ホームケア |
芳香・消臭剤、防虫剤、殺虫剤、薫香ローソク、乾電池/乾電池応用品、記録メディア、照明用品、電気応用品、OA用品、写真関連品 |
78,986 |
104.0 |
|
家庭用品 |
台所消耗品、洗面用品、清掃用品、収納用品、季節品、保存用品、調理用品、卓上用品、行楽用品 |
62,886 |
98.9 |
|
その他 |
文具、玩具、カー用品 |
20,712 |
100.9 |
|
合計 |
986,212 |
104.5 |
|
(注)当連結会計年度より、カテゴリーの商品分類を一部変更しております。なお、前年同期比につきましては、前連結会計年度の数値を組み替えて算定しております。
カテゴリー別については、ペットが前年同期比5.9%増、ヘルス&ビューティー(Health & Beauty)は同5.8%増、紙製品は同4.1%増、ホームケアは同4.0%増、ハウスホールドは同3.6%増、その他は同0.9%増と好調に推移しております。カテゴリー構成比が大きいヘルス&ビューティー(Health & Beauty)については、メイクアップやスキンケア商品を中心とした化粧品の売上が伸びております。ペットについては、グループ会社であるジャペル㈱の専門性の高い提案による高付加価値フードやペット用おやつ等の伸長により、好調に推移しております。
業態別売上実績
|
当連結会計年度における業態別売上実績は、次のとおりであります。 (単位:百万円) |
|
業態 |
当連結会計年度 |
|
|
(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比 |
|
|
|
|
% |
|
ドラッグストア |
511,201 |
103.4 |
|
ホームセンター |
140,479 |
106.2 |
|
スーパーマーケット (SM) |
110,088 |
101.0 |
|
ディスカウントストア |
77,128 |
109.3 |
|
GMS |
38,099 |
95.5 |
|
その他 |
109,215 |
111.7 |
|
合計 |
986,212 |
104.5 |
業態別については、Eコマースやバラエティ業態、コンビニエンスストアが含まれるその他が前年同期比11.7%増、ディスカウントストアは同9.3%増、ホームセンターは同6.2%増、ドラッグストアは同3.4%増、スーパーマーケット(SM)は同1.0%増と好調に推移しております。
多くの小売業様においてインストアシェアの拡大が順調に進んでおり、インバウンド需要によりドラッグストアやディスカウントストアも好調に推移しております。また、新規取引開始が売上拡大に大きく寄与しております。
社会の環境変化が激化する中でも独自の分析機能等を駆使し消費者動向を把握することで、各小売業様の特長に合った提案を行い、引き続き小売業様に貢献してまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,518百万円減少し、22,497百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は9,775百万円(前年は14,059百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が15,626百万円、売上債権の減少額9,365百万円等の収入に対し、仕入債務の減少額9,460百万円、法人税等の支払額5,148百万円等の支出があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は6,363百万円(前年は5,305百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出4,481百万円、無形固定資産の取得による支出1,526百万円等の支出があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は7,977百万円(前年は4,556百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入5,180百万円等の収入に対して、長期借入金の返済による支出6,016百万円、配当金の支払額3,489百万円、自己株式の取得による支出3,255百万円等の支出があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産の実績及び受注実績
当社グループの事業内容は、日用品・化粧品等の卸売業であり、生産の実績は記載ができないため、当該記載を省略しております。
また、受注実績は販売実績と近似しているため、下記の販売実績を参照ください。
b.販売実績
当社グループの事業内容は、日用品・化粧品等の卸売業を主たる事業とする単一セグメントであります。
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
株式会社ツルハホールディングス |
127,452 |
13.5 |
132,162 |
13.4 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは過去の実績値や分析値、状況等を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果とは見積り特有の不確実性があるため、異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
なお、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
a.固定資産の減損
固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しています。資産計上した建物や構築物等について、事業環境の悪化により、減損会計におけるグルーピング単位で当初想定した投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、固定資産の減損処理を実施する可能性があります。
b.繰延税金資産
繰延税金資産は、毎期、過去の課税所得の推移や将来の課税所得の見込み等を勘案し、回収可能性を慎重に検討し計上しております。回収の実現性が低いと判断した場合には適正と考えられる金額へ減額する可能性があります。
c.貸倒引当金
当社は売掛金等債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。なお、取引先の財政状態が予測を大幅に超えて悪化し、さらにその支払能力が著しく低下した場合には追加引当処理が必要となる可能性があります。
d.投資有価証券
当社が保有する市場価格のない投資有価証券については、原価法を採用しその評価は1株当たり純資産と取得価額とを比較して、1株当たり純資産が著しく低下した場合に減損処理の要否を検討することとしております。
このため将来において投資先の業績動向が著しく低下した場合、投資有価証券の減損処理が必要となる可能性があります。
なお、将来の超過収益力等を反映した価額を実質価額とすることが合理的と判断される場合には、当該金額を純資産額に代えて減損処理の要否を検討しております。減損処理の要否を検討するに当たっては、投資先から事業計画等を入手し、これまでの実績等を勘案して、超過収益力等の毀損が生じていないかにより判断しております。
このため投資先の事業計画等が達成されない場合、投資有価証券の減損処理が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は311,728百万円となり、前連結会計年度末と比較して5,248百万円の減少となりました。
資産の部では、流動資産が233,705百万円となり、前連結会計年度末と比較して9,040百万円の減少となりました。
これは主に商品が2,435百万円増加した一方で、受取手形及び売掛金が9,371百万円、現金及び預金が4,493百万円減少したことによるものであります。
固定資産は78,022百万円となり、前連結会計年度末と比較して3,791百万円の増加となりました。
これは主に建設仮勘定が3,174百万円、ソフトウエアが838百万円増加したことによるものであります。
負債の部では、流動負債が158,961百万円となり、前連結会計年度末と比較して11,685百万円の減少となりました。
これは主に支払手形及び買掛金が9,799百万円、短期借入金が1,721百万円減少したことによるものであります。
固定負債は36,209百万円となり、前連結会計年度末と比較して400百万円の減少となりました。
これは主に、長期借入金が1,101百万円、退職給付に係る負債が1,067百万円減少した一方で、資産除去債務が805百万円、繰延税金負債が760百万円、社債が700百万円増加したことによるものであります。
純資産の部は116,557百万円となり、前連結会計年度末と比較して6,837百万円の増加となりました。
これは主に利益剰余金が6,868百万円増加したことによるものであります。
このような結果、自己資本比率は37.4%となりました。
b.経営成績の分析
イ.経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業業績の持ち直しによる雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加などにより緩やかな回復傾向にあります。一方、一段と進む物価上昇によって生活費の負担が増加し、消費者の節約志向は一層高まっており依然として先行き不透明な状況が続いております。このような環境において、当社グループはこれまで以上の成長を果たすべく、「中期経営計画2026」(2024年3月期~2026年3月期)で掲げた各重点施策を着実に推進してまいりました。
ロ.事業戦略 ヘルス&ビューティーとペットカテゴリーへ注力
当社は設立時より各小売業様の「店頭」を常に意識しながら、当社の強みである情報分析機能を活かし、消費者の生活様式や購買意識の変化を捉えたカテゴリー戦略を継続的に実施しております。ヘルス&ビューティーカテゴリーにおいては、専売・優先流通品の拡大により独自性を強化しております。ペット関連商品については、あらたグループのペット専門卸商社であるジャペル株式会社において、ペットの体調、ライフステージに合わせたフードや、ペットと飼い主の生活をより楽しくするペット用おやつの提案等、専門性を活かした戦略を進めております。
このような戦略的営業活動の積み上げによってインストアシェアを拡大し、新たにコンビニエンスストア業態を含めた新規取引を獲得しております。
また、基盤強化の観点として長期的視点に立った人的資本投資として積極的な採用と制度の見直しを進めた他、物流2024年問題への対応として、物流事業者との対話を実施してまいりました。
ハ.業績 前年同期比増収増益 利益面は一時的要因及び将来に向けた投資により計画未達
当連結会計年度における売上高は986,212百万円(前年同期比4.5%増)、営業利益は14,989百万円(前年同期比3.3%増)、経常利益は15,617百万円(前年同期比1.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,358百万円(前年同期比0.4%増)となり増収増益、売上高・利益ともに過去最高となりました。
一方、計画に対しては、営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益において予想を下回る結果となりました。
メーカー機能における構造改革を実施し成長戦略の見直しとして資本を集中投資するため、ブランドの集約を図ったことで一部ブランドの在庫評価減を実施しております。これは利益面にマイナスの影響が及びましたが一時的な要因であります。
販売費及び一般管理費は、物流費と人件費の増加が大きく影響しており、物流費につきましては、2024年問題への対応として物流事業者との対話により協調関係を強化し、より安定的な物流体制を構築するために早期に運賃を改定したことで当初の計画以上に物流費が増加しております。また、従来から進めていたIT中計施策の導入・実装が当初の計画から遅れていることも物流費抑制の遅延につながっております。
人件費につきましても、人的資本投資の強化施策として社員の給与水準向上の早期化を図り、パート人件費についても積極的に給与引き上げを実施したことにより計画以上の伸びとなりました。しかし、このような人的資本への投資が離職率の低下や積極的な採用につながり、将来に向けた人事戦略として順調に進捗しております。
一時的要因や先行投資によって利益獲得に遅れが生じたことから、中期経営計画最終年度である2026年3月期の経常利益目標を180億円へ修正いたしました。さらなる売上拡大や生産性向上を目的としたIT中計の本格実装、メーカー事業のブランド集約効果等により、2027年3月期経常利益200億円達成を目指してまいります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入であります。投資を目的とした主な資金需要は、物流センターに関する設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金、金融機関からの短期借入及び債権流動化を基本としており、設備投資や長期運転資金は、金融機関からの長期借入及び社債の発行を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は36,033百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は22,497百万円となっております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。