第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループはコーヒー等の飲料及び食品の専門商社として主に業務用の分野で事業を行っております。経営理念「ともに考え、ともに働き、ともに栄えよう」のもと、事業活動のミッションとして「世界の食の幸せに貢献する」ことを掲げております。当社グループは1906年創業とわが国にあって比較的長い業歴を有しておりますが、更に業歴を伸ばし「永く続く会社となること」に重点を置いております。その必要条件として以下を規定しております。

・ 社会に必要とされ続ける会社であること

社会と同じ方向を向いて事業を行うこと、利益とともに社会貢献にもしっかり取り組むこと

・ 顧客・取引先に必要とされ続ける会社であること

価値を共有するパートナーから信頼され、頼りにされ、よい顧客、よい取引先であり続けること

・ 株主に必要とされ続ける会社であること

ガバナンスを強化し、適切な還元と発信により株主に愛され、満足し続けていただくこと

・ 従業員に必要とされ続ける会社であること

従業員に適切に報いるだけでなく、働きやすさ、働きがいを追求し、従業員に愛され希望が宿る職場であり続けること

・ 変化に対応し続ける会社であること

変化に対する感度を高め、変化に対し常にしなやかに対応できる会社であり続けること

・ 利益を安定継続して出し続ける会社であること

社会や環境に配慮しながら事業や取扱商品の新陳代謝をすすめ、労働生産性・資本生産性を追求し続けること、適切な事業ポートフォリオを追求し続けること

そしてこれらの必要条件の充足を着実に進めていくため、目下、新たな「商売の仕組み」「経営の仕組み」「人事の仕組み」「働く仕組み」の確立や改革改善等、さまざまな「仕組み化」に取り組んでおります。

当社グループは当連結会計年度より新たな中期経営計画「SHINE2024」をスタートさせ、GHG(温室効果ガス)を削減しながらの企業成長や、社会的課題解決のビジネス化に積極的に取り組んでおります。

当社の事業はコーヒー・飲料事業、食品事業、海外事業の3つに分類され、それぞれの取り組みは以下のとおりであります。

① コーヒー・飲料事業

コーヒーや紅茶の輸入、加工、販売を通じて「1杯の幸せ」をつくり、消費者の皆様にお届けしていきます。原料となる作物の特性上、発展途上国との関わりが深く、長期間のパートナーシップの構築により、安定した雇用や技術の向上、生活の改善に貢献していきます。

② 食品事業

日本国内外で開発する業務用や中食等の食材の販売により「食の豊かさ」を支えていきます。さまざまな分野でのこだわり食材に加え、共働き世帯に役立つ食材、歳を重ねてもいつまでもおいしく食べられる食材、自然災害等による価格高騰から食卓を守るための食材等の提供により、世の中に貢献していきます。

③ 海外事業

多様化する消費者のニーズにお応えし、「食」を通じて日本の誇るべき文化と技術で世界の食卓に喜びと満足を届けます。また、海外グループ会社を拠点に最適なソリューションで世界の食文化の発展に貢献していきます。

 

(2) 経営環境

① 企業構造

当社の企業構造については第1 企業の概況、3 事業の内容の事業系統図のとおりであります。

② 市場環境

コーヒー・飲料事業、食品事業、海外事業それぞれの市場環境・顧客動向は以下のとおりであります。

1)コーヒー・飲料事業

ここ数年、わが国の1人当たりコーヒー消費量は大きくは変わっておりませんが、世界においてコーヒー消費量は毎年増加を続けています。特に、アジアにおけるコーヒー消費量は伸びております。わが国のレギュラーコーヒー市場は新型コロナウイルスにより家庭用市場が伸びましたが、2022年におきましてはアフターコロナ浸透により外食産業などの業務用市場も盛りかえしてきております。わが国の一時もてはやされたサードウェーブやシングルオリジンといったブームが落ち着いてまいりましたが、健康志向や環境意識の高まりもあり、こだわりの原料や飲み方に対する消費者の関心は高く、依然、話題に事欠かない状況が続いております。それはコーヒーの製品についても言え、簡便性も備えた1杯抽出(コーヒーバッグ)、嗜好性の高い原料使用、エシカル商品等、既存にとらわれない多様化へと進んできております。

紅茶市場につきましては2018年終わり頃、インフルエンザ予防効果が報道されたことを契機に一時の低迷から回復基調にあり、市場別ではRTD(Ready-to-Drink)のペットボトル飲料が大半を占めております。2022年におきましては「ヌン活(ホテルなどでアフタヌーンティーを楽しむトレンド)」や和紅茶など紅茶自体の注目度があがっております。家庭用商品ではティーバッグが日常的な商品として確立されており、価格帯や付加価値等で差別化された幅広い商品展開があります。

2)食品事業

新型コロナウイルスの影響により食の市場は2020年以降、外食から中食、内食へと一気にシフトいたしました。その後、経済活動の正常化が進み、外食市場は徐々に回復し、海外からの観光客の増加も後押しし、今後暫くは回復傾向が続くものと思われます。

国内市場におきましては人口の減少に加え、高齢化の進展に伴い1人当たりの飲食量が減少することが見込まれる一方、女性の社会進出、共働き世帯、単身世帯の増加による中食需要の高まりにより、中長期的には外食産業市場規模は今後も減少することが予想されております。

日常の食生活で健康の維持・向上を図り、健康寿命延伸やアンチエイジングにつなげたいという意識が広まっており、小売等でも健康訴求商品の取扱い意欲を高め、供給側からは減塩化や健康ニーズに対応した商品の投入が進んでいくとみられております。またそうした健康面からのこだわり食材に加え、1人あるいは2人世帯の増加や家族バラバラの食事が増えることにより、小容量タイプや食べ切りタイプといった個食対応の需要が今後一層、増加すると考えられ、さらには、より調理が簡便な商品を求める傾向は強まっていき、現に容器ごと電子レンジで調理できるような商品が増えたりしております。そうした動向に対するきめ細かな対応、観察力と先回りした対応が求められております。

分野別には、冷凍食品の分野で、近年、外食産業、給食業者、スーパー惣菜での人手不足により調理場、バックヤードの労働軽減のため調理のいらない自然解凍食品の需要が増えております。水産の分野では、わが国の漁船漁業が2010年代後半以降、地球温暖化や乱獲の影響で減少している一方、養殖量は中国やインドネシアやベトナムを中心に急速に伸びております。農産に関しては、近年天候による豊作・不作の振れが顕著なこと、または人手不足を解消化する効率化の観点から、安定的でオペレーションに優れた原料供給が求められているため、カット野菜や保存が出来る加工野菜の需要が、スーパーやコンビニ、食品メーカーを中心に広がっております。

 

3)海外事業

新型コロナウイルス感染拡大の影響で外食が落ち込む一方で、デリバリーやEC販売など新たなニーズも生まれました。2022年後半から海外の外食市場は徐々に回復し、多くの国でコロナ禍前の状況に戻りつつあります。

世界各国における輸入食品への規制強化、物流費や原料の高騰、世界情勢等の影響は今後も懸念されますが、「日本食」の人気は世界中で高まっており、経済の回復とともにさらに好ましい環境に向かっていくものと考えております。農林水産省が発表している2022年の農林水産物・食品の輸出額は、過去最高の1兆4,148億円となり、2021年比では14.3%増と10年連続で過去最高を更新しております。

なお当社輸出事業における主要顧客は日本食品の販売を手がける卸売業者となり、その内容は特定の商品を専門的に取扱う企業から広範に商品を取扱う企業まで幅広くあり、それぞれの事業規模もさまざまです。

そうした顧客に対し、当社グループの専門性を活かすとともに、国内のメーカー=パートナーと緊密に協働し、求められる商品を安定的に供給し、信頼に応えております。また顧客と連携し、現地の食品管理に係る諸規制や流通制度にも対応しております。

③ 競合の状況

当社グループの事業について、グループ会社のコーヒー・飲料関連の加工工場資本設備を除き総じて比較的少額の資本により新規参入、あるいは川上・川下からの参入が可能であると目され、事実、相応の競合は存在しております。しかしながら事業遂行にあたっては、かなり高度な専門知識や経験に基づくノウハウ、顧客・取引先との相互の信頼関係が伴わなければならず、当社グループはそうしたソフト面の知見や基盤をもとに競争優位を図っております。コーヒー・飲料事業、食品事業、海外事業それぞれの競争優位のポイントは以下のとおりであります。

1)コーヒー・飲料事業

・ コーヒー、紅茶ともに原料、加工技術、品質管理等に関する広範で深い知見(特にコーヒーに関して業界をリードする諸資格を有する人材の豊富さ)とこだわりの原料から加工、包装までお客様のニーズに合わせた商品価値を提案できること

・ 原料の生産者・輸出業者と長年かけて構築したパートナーシップとそれからもたらされる最新の情報や付加価値の創造力と提案力

・ グループ会社が有する東西の焙煎工場機能

・ コーヒーや紅茶の商品特性からGHG(温室効果ガス)削減や多様性、生産国とともに生きるための社会課題解決型商品の提案とサステナブルな取組とその価値の提供

2)食品事業

・ 食品原料、製品、それらの加工技術、品質管理等に関する広範で深い知見

・ 国内外の多数の食品原料供給者、製品の製造者とのつながり、他方、ニーズ先との接点とそれらの情報の結合

3)海外事業

・ 食品に関する深く広範な知識と国内メーカーとの厚い信頼関係

・ 輸出先国の輸入食品管理に係る諸規制や流通制度に関する情報、輸出に係る貿易知識

④ 法改正その他

当社グループは、事業の遂行にあたって、品質・衛生・表示面についてわが国の食品衛生法、JAS法及び食品表示法等を遵守しております。加えて海外との取引が盛んな当社は、輸出入を行う商品に関し対象国の法的規制も受けており、各国で法令の変更や新たな法令の施行等があった場合には、それを適切に受け入れ遵守していく必要があります。その上、わが国と輸出入の先の国とで食品衛生等に関する基準が異なる場合には、そのどちらをも充足するように対応していくことが求められております。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

① 利益の絶対金額(最終利益及び営業利益)

当社グループは、ステークホルダーとの良好な関係の充実・発展、すなわち[a]顧客に提供する商品についてご満足いただき収入を得る、[b]取引先に仕入れた商品や受けたサービスの対価を支払う、[c]従業員に適切に報い安心して働いてもらう、[d]金融機関等に対しサービスに応じた金利、手数料を支払う、[e]国・地方政府にきちんと税金を納める、[f]株主に配当等により適切に報いる、の関係の均衡の取れた拡大を経営の根幹に置き、それに基づくさまざまな事業活動と直接的にリンクする最終利益(親会社株主に帰属する当期純利益)の絶対額確保を最も重視しております。また事業面でその最終利益を特に大きく左右するものとして営業利益をキーとして捉え、その絶対金額及びその従業員1人当たり金額も注視しております。なお、ステークホルダーの満足度という点では従業員満足度等も考慮しております。

 

② 自己資本当期純利益率(ROE)

当社グループは、株主視線での効率化指標として自己資本当期純利益率(ROE)を重視しております。

自己資本当期純利益率の最近の状況は次のとおりであります。

回次

第69期

第70期

第71期

第72期

第73期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

自己資本当期純利益率(%)

5.04

1.19

5.27

5.45

7.70

 

(注)自己資本 = 純資産合計-新株予約権-非支配株主持分、期首・期末の平均により計算

わが国では広く自己資本当期純利益率8%が一つの基準とされておりますが、当社グループはその水準に達しておらず、それを目指し鋭意、努力を進めております。

なお近時わが国において株価純資産倍率(PBR)が1を割れている会社が多く存在し、改善への取り組みの必要性が指摘されております。当社グループも残念ながら1を割れております。PBRは本項のROEと株価収益率(PER)の積によって表され、当社グループのPBRとPERの最近の状況は次のとおりであります。

回次

第69期

第70期

第71期

第72期

第73期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

株価純資産倍率(倍)

0.42

0.36

0.40

0.42

0.56

株価収益率(倍)

8.40

29.92

7.51

7.72

7.28

 

(注)純資産は上記の自己資本で、発行済株式数を8,000千株として計算

すなわちROEの改善はPBR引き上げのための重要なファクターであると認識され、当社グループは2025年3月期を最終年度とする中期経営計画「SHINE2024」のなかで、業績向上の取り組み、IR活動の強化と適切な株主還元等により、ROEとPBRの両方の漸次引上げを図るよう努めております。

またROEが「売上高当期純利益率」と「売上高に対する総資産の回転率」と「自己資本比率の逆数」の積に分解されることはよく知られているところです。「売上高に対する総資産の回転率」の改善を構造的な課題として中長期的に取り組み、短期的には売上高に対する各利益の比率に焦点を当て、なかんずく次項の売上高営業利益率の引き上げを図るべく、事業の見直しや刷新を進めております。

 

③ 売上高営業利益率

売上高営業利益率の最近の状況は次のとおりであります。

回次

第69期

第70期

第71期

第72期

第73期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高営業利益率(%)

1.49

0.97

2.25

1.49

2.23

 

当社グループは、自己資本当期純利益率の構成要素である総資産回転率や自己資本比率の過去の実績と実効税率等をもとに自己資本当期純利益率8%を達成するために必要な売上高営業利益率を概ね2%以上と算定し、事業全体としてこの2%を平均的・安定的にクリアすることを目標にしております。当連結会計年度は為替相場が急激なドル高円安で進んだことに加え、昨年度より続くコーヒー相場高騰の影響により、仕入価格が上昇し、販売価格への転嫁を余儀なくされました。それにより売上高は増加いたしましたが、仕入価格の上昇を十分に販売価格へ転嫁できず売上総利益率は低下いたしました。しかし、販売費及び一般管理費は適切なコントロールにより抑制に努め、営業利益率は増加いたしました。その結果、当社グループ全体としては2%をクリアいたしましたが、それぞれの事業においては課題を残しております。今後はROIC経営導入による投資効率管理の向上により安定的な売上高営業利益率の確保に努めてまいります。

④ 投下資本利益率(ROIC)

 当社グループでは、投資効率と価値創出の程度を理解するための指標として、ROICを用いております。ROICの重要性は以下2点にあります。

・投資効率の評価: ROICは、全ての投資資本(短期・長期の負債と自己資本)がどの程度効果的に使用されているかを評価するのに役立ちます。つまり、企業が投資した資本に対してどの程度のリターンを生み出しているかを示します。これは企業の資本配分の効率性を評価する上で非常に重要な指標となります。

・資本コストとの比較: ROICと資本コスト(WACC:加重平均資本コスト)を比較することで、企業が投資家から調達した資本のコストを上回るリターンを生み出しているかどうかを評価することができます。ROICが資本コストを上回っている場合、それは企業が投資家の期待を上回るリターンを生み出し、企業価値を創出していると解釈できます。

ROICは、全ての資本(負債と自己資本)をどの程度効率的に利益に変換できているかを示します。当社はこれらの数値を向上させることで、投資家に対するリターンを最大化し、企業価値を向上させることを目指しています。

事業によって使用する資本は異なり、前項の売上高営業利益率をそれぞれの事業の目標として一律に適用するのは必ずしも適切でないため、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画「SHINE2024」のなかで、全社及び各事業の投下資本利益率を算定し、主要経営指標として注視することにしております。これをもとに事業ポートフォリオマネジメントを行い、投資及び経営資源配分の最適化に繋げてまいります。

なお、全社の投下資本利益率の最近の状況は次のとおりであります。

回次

第69期

第70期

第71期

第72期

第73期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

投下資本利益率(%)

簿価ベース

2.54

1.60

3.77

2.67

4.40

WACC(%)

簿価ベース

4.60

4.61

4.66

4.72

4.39

投下資本利益率(%)

時価ベース

3.64

2.42

5.56

3.89

5.61

WACC(%)

時価ベース

3.13

2.87

3.08

3.23

3.39

 

(注)投下資本利益率の分子は営業利益×(1-実効税率)で、実効税率は30.5%として計算

   分母は期首・期末の平均で、時価ベースの自己資本は発行済株式数を8,000千株とする時価総額

   WACCの計算に当たり、暫定的に負債コスト=1.25%、株主資本コスト=8.0%を想定

 以上のように、当社グループは簿価と時価の2つの切り口で資本コストと関連させながら投下資本利益率をウォッチし、経営効率の向上を目指しております。

 

⑤ 運転資本関連項目の回転期間

当社グループは、グループ会社にコーヒー・飲料関連の加工工場を有しておりますが、主たる事業は商社として卸売業であり、健全にキャッシュフローを回していくとの観点で棚卸資産、売上債権等、運転資本関連項目の回転期間を重視しております。これは前項の投下資本利益率にも影響を与えるものであります。

 

(4) 中期経営計画について

当社グループは、長期経営計画実現のための橋渡しとして、中期経営計画をローリング方式により定め、実行しており、2023年3月期より中期経営計画「SHINE2024」(3か年計画)をスタートさせました。それはミッションに「世界の食の幸せに貢献する」を掲げ、永く続く会社=200年企業を目指し、「少しでも多くの、少しでも大きな食の幸せを創る」を目標にGHG(温室効果ガス)を削減しながらの企業成長や、社会的課題解決のビジネス化に取り組み、投資の効率性を追求しながら、事業の持続的成長を目指そうとするものであります。

当連結会計年度は、その初年度にあたりましたが、期初からの著しいドル高円安が進み、当社グループは取扱商品の多くを輸入しているため、2021年から顕著となっていたコーヒー相場の上昇分と合わせ、お客様に販売価格への転嫁の協力をお願いしていくことになりました。それにより売上高は増加いたしましたが、転嫁は仕入価格上昇を十分にカバーしきれず利益率は低下を余儀なくされました。しかし、販売費及び一般管理費は適切なコントロールにより抑制に努め、売上高に対する比率は低下いたしました。その結果、当連結会計年度における売上高は58,972百万円(当初計画値52,497百万円に対し12.3%プラス)、売上総利益は7,623百万円(当初計画値6,914百万円に対し10.3%プラス)、営業利益は1,317百万円(当初計画値885百万円に対し48.8%プラス)、親会社株主に帰属する当期純利益は792百万円(当初計画値519百万円に対し52.5%プラス)となりました。

一方で当社グループを取り巻く事業環境は、特に為替相場を中心に当初計画策定時から著しく変化しており、足元の事業環境を踏まえ、中期経営計画の数値目標について見直しを行うことといたしました。今後は、重点施策を継続しつつ、引き続き中期経営計画で掲げる財務指標の達成を目指して、経営基盤の強化のもとさらなる企業価値の向上に努めてまいります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、課題認識として、2010年代まで長きにわたり売上高及び利益が大きく成長しない状況が続いておりました。それは食品というわが国国内においては成熟した商品を取扱っていることに由来するものと考えられます。とは言え、わが国の食品業界において急成長を遂げている会社は存在しており、当社グループといたしましても、「永く続く」とともに成長の必要性を十二分に認識しております。その成長に関しましては、次の3点をテーマに取り組んでまいります。

・ 既存事業の枠組みのもとでヒット商品を生み出し、それを核に新規事業を発展させること

・ 成長余地のある海外事業を拡大させていくこと

・ 取扱商品に関し、GHG(温室効果ガス)削減等、プロセスやストーリーを含めた付加価値を創っていくこと

上記以外にも、ブルーオーシャンの新規事業分野に進出していくこと、M&Aを積極的に行うことが考えられないではありません。しかしながら前者は、果たしてブルーオーシャンかの見極めが難しく、また既存の当社グループの知見や強みを活かせる分野でないと著しくリスクが高いものと思料しております。また後者は、いわゆるPMI(M&A後の事業統合)が障害となることが多く、わが国では過去のM&Aの多くが失敗であったという事実も考慮し、あくまでも目的でなく手段の一つであるとの認識のもとに選別的に展開することとしております。

そうしたことから当社グループの今後の成長路線のためのテーマとして、上記の3つをまずは優先させております。

このような企業成長と歩調を合わせる形で、当社グループは収益体質の強化、企業としてのより一層の健全化にも取り組んでまいります。今後の経営環境につきましては、景気の緩やかな回復への期待感があるものの、海外における地政学リスクとそれをめぐる巨大国家間の対立、急速な利上げのあおりを受けた金融市場の動揺等の影響により消費マインドの低下が懸念され、先行き不透明な状況が続くことが予想されております。

そうしたなか、当社グループは、2022年度から新たに中期経営計画「SHINE2024」(3ヶ年計画)をスタートさせ、「少しでも多くの、少しでも大きな食の幸せを創る」ことを目標にGHG(温室効果ガス)を削減しながらの企業成長や、社会的課題解決のビジネス化に積極的に取り組んでおります。その計画のもとに、以下を課題として挙げ、対処してまいります。

① サステナビリティと事業成長

・GXを軸とした商品開発、ビジネスモデル変革、収益追求

・社会課題、環境課題への対策推進

・パートナー企業との高度な事業連携

② 事業管理高度化

・投資効率管理の向上(ROIC経営導入の推進)

・2年後の目標数字として投下資本利益率(ROIC)、自己資本当期純利益率(ROE)、株価純資産倍率(PBR)等

の定量目標の達成

・非財務情報の定量化、積極的開示による信頼度向上

③ DX推進・AI活用

・業務の抜本的見直し

・社員のリスキリングによる育成

④ 人財力強化・エンゲージメント向上

・多様な人財の活躍推進(女性管理職比率、障がい者雇用率等の定量目標の達成)

・社員一人ひとりが新たな挑戦を生む土壌と個々の機会

⑤ グループ力強化

・本社機能の専門化とグループ各社との連携強化、一体的発展

・新たなフィールドへの挑戦(欧州拠点等)

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

当社グループでは、2023年統合報告書において3つのマテリアリティとして「事業の成長とサステナビリティ」「人財の成長とサステナビリティ」「社会・環境の調和とサステナビリティ」を開示します。この中で社会・環境対策商品の販売による事業成長を基盤に、人財の成長、社会・環境の調和の3点が補完的関係を形成していきます。当社グループの全ての活動は「環境方針」(注1)に則り、取締役会において承認のISO(ISO14001)(注2)に基づきリスク・機会を抽出します。リスクに関しては社長を委員長とした「リスク管理委員会」により管理体制を構築しサステナビリティ保持を構築しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティに関する重要事項を主に経営戦略室で立案し、取締役会で審議・決議します。取締役会は気候関連課題をはじめサステナビリティに関する重要事項の監督を行い、経営戦略室によるリスク、機会、課題の報告に対し審議、精査も行います。なお経営戦略室による報告は、年に1回以上設けられます。

取締役には当社グループのサステナビリティを高いレベルで達成するための経験と専門性を求め、統合報告書に開示しています。各取締役は責任範囲を明確にし、四半期もしくは半期ごとに進捗を確認、評価することで業績連動型報酬制度に対応します。この業績連動型報酬は譲渡制限付株式報酬を取り入れ、市場評価と同じベクトルで判断するようにしております。

(2) 戦略

 (2)-1.「事業の成長とサステナビリティ」

環境・社会的価値を付加した商品販売を事業の成長戦略として検討し、2030年度の金額に占める社会性商品の販売割合を40%として設定します。新たなポジショニング戦略として社会並びに収益性に貢献する戦略を進めます。ここでは電力消費、ゴミ削減、人権対策など環境・社会に対する法令の改正に対応した時事的原料並びに商品の開発が主体であり、事業成長と社会課題をトレードオンの状態にすることで解決を加速する仕組みを持っています。またグループ間で同じ方向性を示すことで原料の供給体制にシナジー効果が生まれ、市場でより競争力が増すことが可能となります。

 (2)-2.「人財の成長とサステナビリティ」

当社グループでは、人材の多様性確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を次のようにしております。

当社グループの経営理念として「ともに考え、ともに働き、ともに栄えよう」を掲げ、「人」を中心に据えた経営をおこなってきました。グループ経営の中心となる当社では先行して社員の「働きやすさ」の向上に取り組み、2016年にスタートさせた中期経営計画Sプロジェクト以降、フレックスタイム制、テレワーク制の導入などを進めました。そしてその成果を踏まえ、当社グループでもそれぞれの業態に合わせて働きやすさ向上に取り組みました。

人を資本として捉え、その価値を高めていくことで企業を中長期的に成長させていくことが求められるようになった今、新中期経営計画SHINE2024では人的資本経営の土台づくりを主要テーマの1つとして設定し、「働きがい」の向上に取り組み始めました。当社グループは、VUCAの時代の成長ドライバーは社員一人ひとりの成長であると考えております。当社では人事ポリシーを変更し、年功序列型の「安心の提供」から年齢、性別、国籍などの属性に一切とらわれない、学び続け、挑み続けるための「機会の提供」へシフトする人事制度改革に取り組みます。当社グループでも同様社員一人ひとりにフォーカスし、個性や才能を伸ばすための施策を講じていきます。成長し続けるグループ社員一人ひとりがともに考え、ともに働くことで、ともに栄え続けるこれからの当社グループを創ります。

 

 (2)-3.「社会・環境の調和とサステナビリティ」

当社グループの事業特性として、コーヒー、紅茶、農産品、水産資源、養鶏、エビ養殖など自然資本の依存度が高い点が挙げられ、脱炭素対策を含む環境問題と、人権、コミュニティなど社会的課題の大きく2つに分かれます。

環境問題の適合として、当社グループは2030年にScope1及びScope2のネットゼロ、Scope3 30%削減(2022年対比)、長期目標として2050年バリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロを掲げています。農産品、飼料における最大の脱炭素対策課題は窒素成分の投入減量で、品質、収穫量維持をしながら窒素肥料の減量を行う策を構築することになります。当社グループではコーヒーが基幹商品であるため、コーヒーによる脱炭素対策の試験投入を2022年度より開始し、この結果を基に紅茶、農作物、養鶏、養殖への展開を予定しています。2022年度よりブラジルでコーヒーの脱炭素試験栽培は、2025年の大型農園の移行テストにより、コスト削減を加味した脱炭素商品開発へと進める予定で、同時に他の農作物の効果試験を並行して進めます。

社会的課題の対応では、多様性の尊重を1つのキーワードとし、障がい者をはじめ社会弱者との協創による価値創造に取り組んでいます。個々の集団が持つ強み、独創性、個性を商品ごとに価値変換することで高額な買付け金額に耐えるようにするものです。ボランティア的要素を排除した価値創造を基盤としており、現在コーヒーをはじめ野菜類で製品化し、商品数は増加傾向にあります。

一方地域社会のサステナビリティも重要視しており、産地の地域社会、国内の地域社会ともに醸成を協創しています。SNSなどを媒体に地域文化を価値として発信し、歴史的価値に加えて、楽しさなどを工夫して新たな市場の創造をしています。こうした活動により、地域社会、地域産業の維持につながり、当社グループへの収益面の持続性を確保していきます。

(3) リスク管理

当社グループでは、事業を取り巻くさまざまなリスクに対し的確な管理・実践が可能となることを目的とした「リスク管理規程」を設け、リスク抽出から管理までの規程を行っています。

 (3)-1.「リスク管理規程」管理概要

・当社グループ各事業に相当程度の影響を与えうる全てのリスクを早期に発見・特定し経営レベルで掌握する。

・各リスクが当社の経営に与える影響やシナリオを検討・予測し、対応の優先順位を想定する。

・リスク管理を統括する組織を明確にし、主要リスクの対応組織を、業務分掌をもとに想定する。

・主要なリスクについて、各リスク要因の現状を把握し、必要に応じ対応策を整備する。

・危機、緊急時、責任者(対応組織)と権限・責任を検討し、指揮命令系統が適切に維持されるよう努める。

・定期的な啓蒙活動、トレーニング等を通じ、全役職員がリスク管理の適切な理解と有事の役割を認識する。

 (3)-2.「リスク管理規程」管理体制

全社的なリスク管理推進に関わる対応策を協議、承認する組織として、社長を委員長とする「リスク管理委員会」を設置しています(社長が委員長の任に就くことができない場合は副社長が代位者)。事務局を担う管理部門長が招集し、原則として年2回以上開催し、緊急時や重大リスクが顕在化した際は、社長が随時招集します。

委員会構成メンバー

委員長:社長

副委員長:管理部門長

委員:常勤取締役もしくは経営役、常勤監査役、委員長・副委員長から指名された者、テーマに応じ関係部署の者

主な役割と権限

・リスク管理の取組全体の方針・方向性の検討、協議、承認

・各リスクテーマ共通の仕組みの検討、協議、承認

・リスク管理に関する年次計画、予算措置、是正措置の検討、協議、承認

・必要に応じ社内外から必要なノウハウや協力の取付け検討、協議、承認

・ワーキンググループの組成指示、そのリスク管理推進の進捗管理

・各現場でのリスク状況の把握とリスク管理推進の指示、進捗管理

・情報の収集と社内外開示の実施策検討、協議、承認

 

 (3)-3.リスク抽出に関して

現在当社グループのリスクは、生産国側にある環境問題(脱炭素対策・水資源問題)、人権問題(IUU・少数民族対策・児童労働・ジェンダー問題・強制労働)、生物多様性、遵法などで、国内では労働問題(残業・男女格差問題・ジェンダー問題)、環境問題(廃棄物・脱炭素対策・排煙対策)、法規など多岐にわたり、専門的な人材による適切なリスク抽出が「リスク管理」の上で重要になると考えています。ISOで管理する各部門から提出された事業リスクの影響度を判断し、リスクの回避・低減化を目指します。

(4) 指標及び目標

 (4)-1.「事業の成長とサステナビリティ」

当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、事業の成長とサステナビリティに係る指標については、2030年度までの目標として売上金額に占める社会性商品の販売割合を40%として設定し、一部において具体的な取組みが行われているものの、当社グループに属する全ての会社では行われてはいないため、記載が困難であります。

 (4)-2.「人財の成長とサステナビリティ」

当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、当社グループに属する全ての会社では行われてはいないため、当社グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、当社グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

目標

実績(当事業年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2030年3月までに30%

21.8%

男性労働者の育児休業取得率

取得率100%継続

100%

労働者の男女の賃金の格差

2030年3月までに90%

70.6%

障がい者雇用比率

2030年3月までに3.0%

2.11%

年次有給休暇取得率

2030年3月までに70%

57.7%

 

 (4)-3.「社会・環境の調和とサステナビリティ」

環境の調和として、当社グループは2030年にScope1及びScope2のネットゼロ、Scope3 30%削減(2022年対比)、長期目標として2050年バリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロの目標を掲げ、IPCC 第6次報告書(以下IPCCAR6)の科学的見地に基づき、GHGプロトコルに準じて実績の開示を進めます。また社会の調和に関しては、2025年度をめどに社会インパクト指数を用いた定量化目標の設定を目指します。

 

(注1)2023年5月「サステナビリティ方針」に改定しております。

(注2)2024年3月期に承認予定となっております。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また各事項の発生可能性や影響度について、以下の分類を目安に考察を行っております。

 [A] 発生の可能性:(イ)高(2~3年の期間に1度以上程度)、(ロ)中(3年~10年の期間に1度以上程度)、(ハ)低(10年以上の期間に1度以上程度)

 [B] 影響度:(イ)大(売上高換算10%以上又は利益換算30%以上)、(ロ)中(売上高換算5%~10%又は利益換算15%~30%)、(ハ)小(売上高換算5%未満又は利益換算15%未満)、なお影響が表れる様相は売上高、利益といった業績のみならず、財産損失、事業遂行力低下、企業イメージダウン等が考えられますが、すべて業績に引き直して考察しております。

(1) 輸入商品の価格変動が業績に与える影響について

当社グループでは輸入商品を取扱っており、その仕入価格は産地国・調達先国の気候・作柄状況、地場通貨の相場、政情等によって変動する国際商品相場及び為替レートの影響を受けます。このような相場リスクを回避する目的で為替予約取引及びコーヒー先物取引を行い、また、調達先国を複数持つとともに、販売価格への転嫁を行っております。しかしながら、相場の変動が著しく急激あるいは変則的で、リスク回避を含めたコスト上昇分を販売価格に転嫁しきれない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、リスク回避目的の為替予約取引やコーヒー先物取引の未実現分の評価については繰延ヘッジ損益に計上され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループのこれまでの業績推移を振り返り、発生の可能性は中位、影響度は中と認識しております。近時はロシアのウクライナ侵攻を発端とするエネルギー・商品価格高騰により、世界的なインフレに拍車が掛かっている状況ですが、緩みのない高感度の情報収集と注意深い状況観察をもとにマネジメント主導で適切に判断し、迅速な対応を図っております。

(2) ITリスクについて

当社グループは、ITを活用し事業活動を効率的に進めるために、多くのITシステムを運用しています。これらを安全に運用するために権限責任の明確化、チェック体制、外部からの侵入対策、社員教育等情報セキュリティ体制の強化に努めております。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為により、情報の漏洩、消失、各種障害等の影響を受け、信用低下や事業活動が一時的に中断することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに大事に至る当該リスクの発生の可能性は中位、影響度は中と認識しております。引き続ききめ細かく管理し、不測の事態が起きないよう努めてまいります。

(3) 感染症(パンデミック)のリスクについて

2020年に発生した新型コロナウイルスは世界中に拡散し、人々の社会生活や経済活動を一変させ、当社グループの主力マーケットである食品業界では、特に外食関連において深刻な打撃を与えてきました。

当社グループについて、感染症(パンデミック)に関して想定されている主要なリスクは次の通りであります。

① 国内外にて需要減少により販売が低下するリスク

② 販売ルートのいずれかで信用面の悪化が生じ連鎖するリスク

③ 生産拠点あるいは物流、サプライチェーンにおいて何らかの支障が生じ、販売用の仕入れ商品の調達が滞るリスク

④ 顧客・取引先と対面商談ができないことによるリスク

⑤ 当社グループのいずれかのユニットで社内感染により業務が停止するリスク

⑥ リモートワークに伴う業務機能の低下、あるいは社員の精神的な不安、ストレス等のリスク

⑦ 金融市場の混乱、あるいは当社グループの不測の業績悪化により資金調達に支障が生じるリスク

 例年、インフルエンザ等はありますが、今回の新型コロナウイルスほどのパンデミックは1920年代のスペイン風邪以来と言われており、発生の可能性は低位であると認識しております。しかしながら、感染症(パンデミック)が当社グループ商品の需要先の一つである国内外の外食関連に対し厳しい打撃を与える場合の影響度は大と考えられ、中食等影響を受けない分野の営業強化や新しい販売チャンネルの開拓等の必要性を認識し、継続して検討してまいります。

 

(4) サプライチェーンリスクについて

当社グループは、需給バランス、作柄、国際相場等さまざまな調達リスクや市場の変化に素早く対応できるよう、取扱商品により産地を分散化し安定的に調達できるよう努めております。さらに、サプライチェーン全体においてどこで人権リスクが発生しやすいかを分析・確認することが重要であり予防・低減に努めております。しかしながら、世界的な需給バランスの変化や不作、調達国における法律等の変更や政治的混乱、国際紛争等により商品の大幅な価格上昇や調達量不足が生じた場合やサプライチェーンにおける児童労働、強制労働、外国人労働者の差別等による当社グループの社会的な信用低下により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。途上国・新興国等における人権状況等に鑑み発生の可能性は中位、影響度は、当社グループの一部の商品において代替が難しいものが含まれるため中と認識しております。それらの対策として、サプライチェーンにおけるリスクの該否及び対応について確認と継続的な対応改善を図ってまいります。

(5) 食の安全について

当社グループは、取扱商品の多くを海外から調達しており、その衛生管理に関し、専門部署による品質チェック、海外製造元に対する監査・指導等を通じ、万全な品質管理体制を敷き、十分な注意を払っておりますが、偶発的な事象等による商品事故や当社グループの取り組み範囲を超えるトラブルが発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。不断の管理により未然防止に努めているため、過去においてリスクは最小限に抑えてまいりましたが、食の安全安心の観点から慎重を期し発生の可能性は高位、影響度は、当社グループの取扱商品が多岐にわたることから個々の商品としては小と認識しております。引き続き事故に繋がるいかなる兆候も見逃さず、油断なく管理を行ってまいります。

(6) 取引先の信用リスクについて

当社グループでは、国内外の取引先との商取引に伴い発生する売掛債権等の信用リスクが存在します。債権の回収不能という事態を未然に防ぐため、情報収集や与信管理等を徹底し、取引信用保険を付保して、債権の保全策を講じております。また、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を見積り、回収不能見込額を貸倒引当金に計上しております。しかしながら、取引先の予期せぬ事態により信用状況等が大きく悪化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。ここ約10年来、管理強化に取り組んできた結果、本件リスクが顕在化したことはほとんどありませんが、実際の貸倒引当金の計上事案等を鑑み、発生の可能性は高位、影響度は、与信先の分散により小と認識しております。引き続き緻密に管理を行ってまいります。

(7) 物流等のインフラ機能不全の影響について

当社グループは、輸出入取引に係る貿易業務、常温もしくは冷蔵・冷凍保管、運送をそれぞれに強みのある取引先業者に委託し、それらを通じ様々な物流関連のインフラを利用しております。後述する自然災害のケースのみならず、突発的な電力等の供給不足、大規模ネット障害等によりインフラ機能に支障が生じ、その対応のため、一時的に、関連コストの増加を余儀なくされる場合があります。一方で、物流業界の慢性的な人手不足は、将来的に物流コストの上昇を招くものであり、現に当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼしておりますが、物流を担当する専門部署を設置し、物流の最適化を進めており、それをもとに発生の可能性は低位、影響度は中と認識しております。

(8) 競合について

当社グループは、専門商社として取扱商品をコーヒー焙煎業者、飲料メーカー、業務用食品問屋、量販店、外食チェーン等へ販売しており、競合他社に対する差別化を図るため主に商品の魅力、特性を訴求しております。今後、消費者の嗜好変化に伴う需要変動、新規参入、販売先の系列化等の影響により競争がさらに激化するような場合には収益性が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。流行商品は変遷し、販売先の事業見直しや合従連衡は起きていますが、大規模なものの発生の可能性は中位、影響度は小と認識しております。当社グループの商品開発力、営業力に磨きをかけ、一層の競争優位を図ってまいります。

 

 

(9) 人材リスクについて

当社グループにあっては人材が最重要の経営資源であり、新卒及び中途採用を通じて優秀な人材の獲得及び育成に力を入れております。しかしながら、これら優秀な人材の退職や日本国内における少子高齢化に伴う労働人口の減少、産業構造の変化等により人材の確保が計画どおりに遂行できなかった場合、あるいは予見し得なかった突発的な事情により相応に知見・技能を有した人材の手当てが相当期間できなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに当該リスクの発生の可能性は中位、影響度は小と認識しております。社員エンゲージメントを高めるために、各社員がモチベーションを持ってそれぞれの能力を伸ばしながら安心して働ける環境作り、ニューノーマルな働き方の採用、適切な待遇、加えて緻密で整合性のある事業計画と要員計画の実践、これらを通じ安定した要員体制を保持してまいります。

(10) 海外事業展開について

当社グループは、中長期的な視点で今後の国内需要の伸びに大きな期待をすることは難しいため、漸次、輸出事業の他、販売・製造拠点展開等の海外事業を拡大させております。それぞれの案件の採算を慎重に検証し、分散を図り、進捗ペースは既存の事業収益と適度なバランスが保たれるようコントロールしておりますが、対象国・地域に関して政治・経済情勢の変化、政策変更の他、自然災害、テロ、争乱等の予期し得ないリスクも存在しております。そうしたリスクの顕在化の程度が著しい場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに当該リスクの発生の可能性は中位、影響度は海外事業のボリュームが依然小さいため小と認識しております。きめ細かな情報収集と管理により、不測の事態が起きないよう努めてまいります。

(11) 保有資産の減損等のリスクについて

当社グループは、グループ会社にてコーヒー・飲料関連の加工工場を有し、対象事業の維持と拡大を図るため、漸次、機械設備等の増強、保守・更新を行っております。そうした投資案件に関し、金額・内容の妥当性や損益・資金収支の見通し等を慎重に検討の上、金額に応じ取締役会等で決定し、適切に進めております。しかしながら予期せぬ事態の発生により需要が当初予測を大幅に下回った場合、対象資産に係る損益・資金収支に影響を与え、それが高じた際には減損を余儀なくされ、それらにより当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに当該リスクの発生の可能性は低位、影響度は中と認識しております。引き続き投資判断を厳正に行うとともに、投資後案件をマネジメントレベルで定期的にレビューすること、保有資産の稼働状況、需要及び損益の先行き見通しを適切に管理することにより、不測の事態が起きないよう努めてまいります。

(12) 有利子負債の依存度について

当社グループは、運転資金及び設備投資資金等を主に金融機関からの借入れにより調達しており、総資産に占める有利子負債の割合が2023年3月決算期で33.5%(有利子負債残高(リース債務を含む)12,132百万円/総資産36,174百万円)といった水準にあります。収益力向上とキャッシュ・フロー重視の経営によりこの水準を引き下げ、金融機関とは円滑、安定的な関係維持を図っておりますが、金融環境の変化により金利が大きく上昇した場合、あるいは金融市場の動揺、当社信用力に係る評価の著しい悪化等で資金調達が制約を受けた場合、調達コストの増加等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまで本件リスクが顕在化したことはなく、発生の可能性は低位、影響度は小と認識しております。引き続き当社グループのバランスシートに万全の注意を払い、金融市場の状況を見ながら、円滑、安定した金融機関取引を継続してまいります。

 

 

(13) 気候変動リスクによる影響について

気候変動や地球温暖化の原因とされるGHG(温室効果ガス)削減が世界的に叫ばれるなか、当社グループの主要取扱商品であるコーヒーに関しては、コーヒー豆の生産地が2050年まで半減するという「2050年問題」が注目され、当社グループとしても検討すべきリスクファクターに含めております。また、他の商品についても少なからず気候変動の影響を受けるものと考えられます。本件は長期的に取り組むべきテーマであり、現時点では発生の可能性は低位、影響度は小と認識しておりますが、目下、グループ全体としてGHG(温室効果ガス)排出量の合理的な算出に取り組んでおり、さらにScope1・2とScope3に分けそれぞれの具体的な削減に向けた活動を推進しております。同様の観点で、当社グループはSDGsへの取り組みをグループ挙げての方針に掲げており、その一環として、近畿大学との共同で開発を行いましたコーヒーグラウンズ(コーヒー残渣)由来のバイオ燃料により焙煎したコーヒーの製造が進んでおります。また、兵庫県小野市に建設予定の新工場ではサーキュラーエコノミーシステムを用いた「グリーン焙煎」構想に着手いたします。

(14) 自然災害等による影響について

当社グループでは、自然災害等により事業所や設備の損壊による事業活動の低下や停止等、不測の事態が発生する可能性があるため、リスク管理委員会において対応の整備を図っております。しかしながら、予期せぬ自然災害等により想定を著しく超える事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験や統計的な判断をもとに大事に至る当該リスクの発生の可能性は低位、影響度は小と認識しております。BCP(事業継続計画)の強化を図りながら、想定外に対応するような事前検討・準備を怠りなく行い、きめ細かな状況分析に基づく的確な判断により、著しい影響の回避を図ってまいります。

(15) 需要期の季節集中について

当社グループは、取扱商品の多くの需要期が冬場で、特にその一部は年末・年初に繁忙期を迎えるため、売上高・利益の計上が下半期、なかんずく第3四半期に偏っております。従前より夏場商品の開発等により平準化を試みておりますが、これまでのところ成果は捗々しくなく、もし需要期・繁忙期に突発的な自然災害、事変等が発生し、充分な需要を確保できないような事態が発生した場合、年度を通じた業績への影響等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに大事に至る当該リスクの発生の可能性は低位、影響度は小と認識しております。引き続き夏場商品の開発を進めるとともに、きめ細かな状況分析に基づく的確な判断により、著しい影響の回避を図ってまいります。

(16) 法的規制等について

当社グループは、事業の遂行にあたって、品質・衛生・表示面について食品衛生法、JAS法及び食品表示法等を遵守しております。しかしながら、海外との取引が盛んな当社は、日本のみならず海外各国の法的規制も受けており、各国で法令の変更や新たな法令の施行等があった場合には、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。またこれらにより、各種規制事項を遵守するためのコストが増加し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに大事に至る当該リスクの発生の可能性は低位、影響度は小と認識しております。引き続き、きめ細かな状況分析に基づく的確な判断により、不測の事態が起きないよう努めてまいります。

 

(17) 投資有価証券について

当社グループは、良好な取引関係を維持する目的で一部の取引先企業の株式を保有しております。これらの保有 株式に関し定期的に取引関係、保有メリットが資本コストに見合っているかを精査し、保有の適否を見直すことと しておりますが、景気や市場動向、発行体の信用状況等の急激な変化により保有している有価証券の価格が著しく下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに大事に至る当該リスクの発生の可能性は低位、影響度は小と認識しております。引き続き、きめ細かな精査と見直しにより、著しい影響の回避を図ってまいります。

(18) 繰延税金資産について

当社グループは、わが国において一般的に通用する会計規則に則り、将来の課税所得を合理的に見積もり、回収可能性を検討した上で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得の見積もり等に大きな変動が生じた場合には、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が計上され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに大事に至る当該リスクの発生の可能性は低位、影響度は小と認識しております。引き続ききめ細かく管理し、不測の事態が起きないよう努めてまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、引き続き新型コロナウイルスの影響が続くなか、WITHコロナのもとで各種政策の効果もあって徐々に経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。その一方、ウクライナ問題等に起因する世界的な資源価格高騰、さらには急激な円安の影響も相まって物価上昇圧力が高まるなか、今後の金融政策についてさまざまな思惑が広がり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

海外に関しては、米国は利上げによる景気下振れリスクはあるものの、安定した雇用環境のもと個人消費は底堅く推移し、景気は緩やかな持ち直しの動きが見られました。一方欧州は、高インフレ及び利上げの影響により、景気はこのところ足踏みが続いております。中国は、ロックダウンの影響等から経済活動に停滞が見られましたが、ゼロコロナ政策の解除を機に回復基調を示しております。

当社グループの主力マーケットである食品業界におきましては、外食産業では行動制限の解除により売上高は回復傾向にあるものの、エネルギー価格や原材料の高騰等により厳しい経営環境が続いております。

当社グループの業績に影響を与える為替相場におきましては、期初1ドルあたり122円台で始まり、日米の金融政策の違いに関する思惑からドル高円安基調が強まり、一時151円台まで円安が進みました。その後米国の利上げペース減速の思惑等に加えて、日銀による政策修正観測の高まりを受けて一時127円台までドルが下落した後、再び130円台に戻りその半ばで推移し、期末では133円台となりました。

コーヒー業界におきましては、コーヒー相場は期初1ポンドあたり228.40セントからスタートし、最大生産国であるブラジルの収穫量予測等を背景に乱高下を繰り返し、8月に最大240セント付近まで上昇しましたが、その後徐々に下落し、一時143セント台まで下落した後3月末では170.50セントとなりました。

このような状況のなか、当社グループは、当連結会計年度より新たな中期経営計画「SHINE2024」をスタートさせました。これは、「少しでも多くの、少しでも大きな食の幸せを創る」を目標にGHG(温室効果ガス)を削減しながらの企業成長や、社会的課題解決のビジネス化に積極的に取り組むものです。当連結会計年度は、その初年度として新中期経営計画実践に向け意欲的に取り組もうとしましたが、期初からの上記した著しいドル高円安が進み、当社グループは取扱商品の多くを輸入しているため、2021年から顕著となっていたコーヒー相場の上昇分と合わせ、お客様に販売価格への転嫁の協力をお願いしていくことになりました。それにより売上高は増加いたしましたが、転嫁は仕入価格上昇を十分にカバーしきれず利益率は低下を余儀なくされました。しかし、販売費及び一般管理費は適切なコントロールにより抑制に努め、売上高に対する比率は低下いたしました。

そうしたことにより当連結会計年度においては、売上高は58,972百万円(前年同期比26.2%増加)、売上総利益は7,623百万円(前年同期比14.9%増加)、営業利益は1,317百万円(前年同期比89.4%増加)、経常利益は1,295百万円(前年同期比63.2%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は792百万円(前年同期比48.7%増加)となりました。

 

各事業別の状況は次のとおりであります。なお、ここ数年の海外子会社の事業拡大に伴い、当連結会計年度より国内外の販売市場に主眼を置く管理区分に変更いたしました。そのため当連結会計年度の比較・分析は変更後の区分に基づいております。

コーヒー・飲料事業

1)コーヒー飲料原料

コーヒー生豆は、コーヒー相場の高騰及び円安により販売価格が上昇し、売上高が大幅に増加いたしました。

また、自家焙煎店、量販店などの家庭用ルートや、一部の輸出が好調で販売量が増加し、新型コロナウイルスが落ち着いてきたことで業務用卸への販売も回復傾向にあることも売上高の増加を支えました。

飲料原料は、円安により販売価格が上がっていることに加え、飲料メーカー向けの販売が好調だったことにより売上高が増加いたしました。

その結果、コーヒー飲料原料の売上高は前年同期比39.7%増加いたしました。

2) コーヒー飲料製品

工業用製品の販売はコーヒー相場の高騰及び円安に伴う販売価格上昇により増加し、またWITHコロナが浸透したことにより外食需要が回復し、業務用は増加する一方、コーヒーバッグに関しては、値上げの影響により一部の量販店向けの販売が苦戦を強いられる結果となりました。

その結果、コーヒー飲料製品の売上高は前年同期比26.2%増加いたしました。

 

これらの理由により、コーヒー・飲料事業の売上高は22,932百万円と前年同期比31.0%の増加となり、売上総利益は3,236百万円と前年同期比13.1%の増加となりました。

 

食品事業

1)加工食品

ドライ商品は、量販店向けの野菜缶詰、メーカー原料・給食業態向けへのフルーツ缶詰等の販売が増加し、各商品群の価格改定も進み、売上高は前年同期比21.2%増加いたしました。

フローズン商品は、中国産ポテトの取り扱いが本格化し、既存の量販惣菜業態、小売業態・外食業態への販売が増加傾向で推移し、外食向け大型商品の価格改定・市場の復調もあり、売上高は前年同期比47.4%増加いたしました。

メーカー商品は、ドライ・フローズンともに、昨年落ち込んだ外食向けの販売が回復に向かい、売上高は前年同期比15.6%増加いたしました。

その結果、加工食品全体の売上高は前年同期比23.7%増加いたしました。

2)水産

水産は、新型コロナウイルスの規制緩和による外食業界の復調、及び観光地宿泊施設等の需要回復の影響によりエビ商品の販売が増加したことに加え、円安による販売単価上昇により売上高が増加いたしました。

その結果、水産の売上高は前年同期比17.4%増加いたしました。

3)調理冷食

調理冷食は、顧客需要の変化に伴い工場にて使用される鶏肉原料等の売上が伸びております。その一方、量販店を中心に販売しております合鴨製品の需要鈍化の影響を受け厳しい状況にて推移いたしました。

その結果、調理冷食の売上高は前年同期比7.3%増加いたしました。

4)農産

生鮮野菜は、台湾向けの国産玉葱の輸出が本格化し大幅に増加いたしました。また中国産玉葱の輸入販売におきましては、既存得意先の販売シェアが拡大したことに加え、円安による販売単価上昇により売上高が大きく増加いたしました。

農産加工品は、既存得意先の販売シェア拡大及び新規得意先開拓が進み、れんこん加工品、唐辛子、トマト加工品の販売が増加いたしました。

その結果、農産の売上高は前年同期比29.8%増加いたしました。

 

これらの理由により食品事業の売上高は26,989百万円と前年同期比20.7%の増加となり、売上総利益は3,189百万円と前年同期比13.4%の増加となりました。

 

海外事業

WITHコロナの生活様式が定着した海外市場では、料飲店での外食機会が大幅に増加しました。それに伴い、日本食を提供するレストラン向け業務用食材の需要も増加し、日本から食材の輸出が増加しました。その一方、コロナ禍で急拡大した小売店での巣ごもり需要は縮小へと転じ、小売用日本食材の輸出は減少しました。当社の主たる販売ルートは、小売店向けであるため、日本からの輸出売上高は前年に比べ減少する結果となりました。 中国の現地法人においては現地のコロナ対応の影響がありましたが、一年を通して、中国国内向けの出荷量を伸ばしました。

その結果、海外事業の売上高は9,050百万円と前年同期比31.7%の増加となり、売上総利益は1,197百万円と前年同期比24.3%の増加となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ945百万円増加し、5,100百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は1,290百万円(前連結会計年度に比べ使用した資金は559百万円増加)となりました。その主な内容は、棚卸資産の増加2,683百万円に対し、仕入債務の増加1,779百万円です。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は713百万円(前連結会計年度に比べ使用した資金は52百万円増加)となりました。その主な内容は、有形固定資産の取得による支出793百万円です。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により得られた資金は2,944百万円(前連結会計年度に比べ得られた資金は2,145百万円増加)となりました。その主な内容は、借入金及び社債収支による収入3,210百万円です。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は単一セグメントに該当するため、事業別に生産、受注及び販売の状況を記載しております。

a. 生産実績及び受注状況

当社グループのうち連結子会社において飲料製品(レギュラーコーヒー・インスタントコーヒー)の生産を行っておりますが、グループ事業全体における重要性が低いため、生産実績及び受注状況については記載しておりません。

 

b. 商品仕入実績

 

事業別

金額(千円)

前年同期比(%)

コーヒー・飲料事業

17,655,497

47.5

食品事業

23,955,704

19.1

海外事業

8,738,007

40.1

合計

50,349,209

31.4

 

 

c. 販売実績

 

事業別

金額(千円)

前年同期比(%)

コーヒー・飲料事業

22,932,238

31.0

食品事業

26,989,970

20.7

海外事業

9,050,036

31.7

合計

58,972,245

26.2

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高58,972百万円(前年同期比26.2%増加)、売上総利益7,623百万円(前年同期比14.9%増加)、営業利益1,317百万円(前年同期比89.4%増加)、経常利益1,295百万円(前年同期比63.2%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益792百万円(前年同期比48.7%増加)となりました。年度初めより、新型コロナウイルスの感染者数が減少し、その後、一時急激な感染再拡大は見られたものの経済活動が徐々に正常化に向かう一方、ウクライナ問題の長期化、世界的な資源価格高騰、さらには円安に伴う物価上昇圧力も相まって、依然として先行きは不透明な状況が続いておりました。また、食品業界の特に外食産業におきましては、外出機会が徐々に増え、家族客を中心に客足が回復傾向にありました。これに伴い外食産業向けの販売が回復に向かいました。当連結会計年度におきましては、期初からの円安及び2021年度から顕著となっていたコーヒー相場の上昇分を販売価格の引き上げに繋げたことに加え、グループ挙げてのこれまでの取り組みが成果にあらわれ順調に業績を伸ばし、期中には当初計画の上方修正を行い、着地としては利益面で未達ながら、概ね修正計画に沿った結果となりました。

また、当連結会計年度からは新たに中期経営計画「SHINE2024」をスタートさせ、GHG(温室効果ガス)を削減しながらの企業成長や、社会的課題解決のビジネス化に積極的に取り組んでおります。

今後は、将来の目標とする姿からのバックキャストによって描かれるルートにしたがってビジネスモデルの変革や事業ポートフォリオの改革を進め、社会的課題・環境課題に対する高度な取り組みや新たなフィールドへのチャレンジ等を行うことにより事業の持続的成長を目指してまいります。

                                         (単位:百万円)

 

2022年3月期

2023年3月期

実績

 業績予想 (2022年5月)

 業績予想修正

 (2022年11月)

実績

連結

売上高

46,729

52,497

58,400

58,972

営業利益

695

885

1,540

1,317

経常利益

793

861

1,600

1,295

親会社株主に帰属する当期純利益

532

519

895

792

個別

売上高

40,974

43,884

51,600

51,124

売上総利益

4,843

 

 

5,338

営業利益

215

 

 

531

経常利益

331

401

760

712

当期純利益

175

279

520

538

 

 

連結会計年度の財政状態に関しては、売上債権・仕入債務が期末近くの取引活発により概ね並行する形で増えており(売上債権は1,698百万円増加、仕入債務は1,779百万円増加)、加えて、コーヒー相場の高騰及び円安により、棚卸資産が増加(2,683百万円増加)、それに伴い借入金も大きく増加(3,266百万円増加)しております。当連結会計年度末の現預金の残高は月商の1.06ヶ月と当社グループとしては特に問題ない水準ですが(前連結会計年度末は1.09ヶ月)、引き続き財務の効率化と健全化を意識して取り組んでまいります。

事業別の経営成績の状況は次のとおりであります。

コーヒー・飲料事業 ・・・ 売上高:  22,932百万円 (前年同期比31.0%増加)

              売上総利益: 3,236百万円 (前年同期比13.1%増加)

食品事業      ・・・ 売上高:  26,989百万円 (前年同期比20.7%増加)

              売上総利益: 3,189百万円 (前年同期比13.4%増加)

海外事業      ・・・ 売上高:   9,050百万円 (前年同期比31.7%増加)

              売上総利益: 1,197百万円 (前年同期比24.3%増加)

各事業で増収増益となっておりますが、コーヒー・飲料事業は、コーヒー相場の高騰及び円安により販売価格が上昇、また自家焙煎店、量販店などの家庭用ルートへの販売が好調だったこと、加えて一部の輸出において販売拡大、業務用卸への販売回復が前年同期比増加の主な要因であります。食品事業は、主に昨年落ち込んだ外食向けの販売が回復したことによるものであります。海外事業は、輸出先国でのWITHコロナの生活様式が定着し、それに伴い、日本食を提供するレストラン向け業務用食材の輸出が増加し、加えて中国現地法人の業績好調が後押ししたものであります。

今後はGHG(温室効果ガス)削減を図りながら、さらなる事業の持続的成長を目指してまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、現金及び現金同等物において期末残高は、前連結会計年度末に比べ945百万円増加し、5,100百万円となりました。また営業活動によるキャッシュ・フローは営業活動の結果使用した資金は1,290百万円となり、これは、主に棚卸資産の増加(2,683百万円)に対し、仕入債務の増加(1,779百万円)が大きく影響しております。当社が特に重視している運転資本関連項目の回転期間の推移は以下のとおりです。業態を勘案すれば特に問題ない水準と考えており、引き続きキャッシュ・コンバージョン・サイクルを注視しながら適切な運営を行ってまいります。

 

連結

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上債権

 

 

 

四半期末毎の平均残高(百万円)

8,832

9,748

12,342

回転期間(ヶ月)

2.62

2.50

2.51

棚卸資産

 

 

 

四半期末毎の平均残高(百万円)

5,994

6,810

9,666

回転期間(ヶ月)

1.78

1.75

1.97

買入債務

 

 

 

四半期末毎の平均残高(百万円)

4,191

5,184

6,775

回転期間(ヶ月)

1.24

1.33

1.38

運転資本

 

 

 

四半期末毎の平均残高(百万円)

10,636

11,375

15,233

回転期間(ヶ月)

3.15

2.92

3.10

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは適切な自己資本比率を維持しつつ、外部からの資金調達の制約を考慮しながら、円滑、安定的な資金繰り運営と手許流動性の維持を行っております。2002年の株式店頭登録以降、資本(エクイティ)による資金調達の実績はなく、調達の源泉は基本的に金融機関からの借入金に依存しております。その最近の推移は以下のとおりであります。当社グループは、前項の適切なキャッシュ・コンバージョン・サイクル、金融機関との密接な取引関係、不測の事態へのクッションとしての相応の自己資本の3つを資金流動性維持の根幹に据え、運営を行っております。自己資本比率に関して、当社グループはこれまで30%以上を目安とし、ここ数年その水準を維持しておりましたが、当連結会計年度において、当社グループは取扱商品の多くを輸入しているため、期初からの著しい円安の影響により、運転資金の増加を余儀なくされました。その結果、金融機関からの借入金が大きく増加し、自己資本比率は30%を下回っております。今後改めて適切な自己資本比率を見定めつつ、安定・効率的な資金調達と資本コストを意識した事業運営により、健全な財政状態が維持されるよう努めてまいります。

(単位:百万円)

連結

2021年3月

2022年3月

2023年3月

短期借入金

2,700

4,120

7,512

長期借入金

4,033

3,748

3,622

内1年内返済予定

1,396

1,323

1,301

社債(私募債)

316

260

204

内1年内返済予定

56

56

56

リース債務

618

816

793

有利子負債 計

7,667

8,945

12,132

 

 

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。ただし見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果がこれらの見積りと異なる場合があります。それに関連する主な項目は以下のとおりであります。

a 貸倒引当金について

当社グループは、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒が懸念される特定の債権については個別に回収可能性を検討し、債権の回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。

b 繰延税金資産について

繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を検討し計上しております。

c 保有資産の減損リスクについて

当社グループは、投資案件に関し、金額・内容の妥当性や損益・資金収支の見通し等を慎重に検討の上、金額に応じ取締役会等で決定し、適切に進めております。

d 投資有価証券について

当社グループは、保有株式に関し定期的に資本コストに見合っているか等を精査し、保有の適否を見直すこととしております。

e 賞与引当金について

当社グループは、従業員に対する賞与支給に充てるため、業績を鑑み、支給見込額を見積り計上しております。

f 棚卸資産の評価について

当社グループは、棚卸資産を主として移動平均法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法)で評価しておりますが、収益性の低下による簿価の切り下げは、一定の仮定及び販売可能性の判断に基づいております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき研究開発活動はありません。