第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、以下の「企業理念」を掲げ、企業価値の向上に取り組んでおります。

 

(企業理念)
双日グループは、誠実な心で世界を結び、
新たな価値と豊かな未来を創造します。
 
(双日グループスローガン)

New way, New value

 

(2) 今後の見通し及び対処すべき課題

「中期経営計画2017」について

当社グループは、2015年4月よりスタートした3ヵ年計画「中期経営計画2017」~Challenge for Growth~において、将来の成長を見据えた挑戦を続け安定的な収益基盤を拡大し、企業価値を向上させていくことを目指してまいりました。「中期経営計画2017」では、トレードと投融資の両輪での成長を標榜し、3ヵ年で計画通りの3,000億円程度の投融資を実行、安定的に500億円以上を稼ぎ出す収益基盤を構築しました。目標で掲げた経営指標については、ROA2%以上、ROE8%以上を達成し、ネットDER1.5倍以下の財務規律を維持しました。当期純利益(当社株主帰属)については、最終年度600億円以上には届かなかったものの、2017年度の期初計画を超過達成する568億円となりました。

 

新中期経営計画「中期経営計画2020」について

当社グループは、2018年4月よりスタートする3ヵ年計画「中期経営計画2020」~Commitment to Growth~を策定いたしました。「中期経営計画2020」では、「中期経営計画2017」における成長路線下での取り組みを継続し、獲得した資産を確実に収益基盤として拡大させることにより、着実な成長を実現いたします。加えて、更なる成長を見据え、持続的な成長に向けたサイクルを構築するための機能強化などにも取り組んでいくことで、挑戦により成長し続ける会社を目指し、企業価値の向上に努めてまいります。

  「中期経営計画2020」で目標とする経営指標は次のとおりです。

 

 

 経営指標

目標

 

 

ROA

3%超

 

 

ROE

10%超

 

 

ネット DER

1.5倍以下

 

 

連結配当性向

30%程度

 

 

 

当社グループは、保有資産の価値拡大と共に、キャッシュフローをマネージした規律ある投融資(中期経営計画3ヵ年で合計3,000億円程度)の実行を継続することにより、着実な成長の実現を図ります。連結当期純利益(当社株主帰属)につきましては、中期経営計画期間中において前期比10%程度の成長を図り、最終年度に750億円以上とすることを目標といたします。また、2018年度の連結当期純利益につきましては、630億円を見込んでおります。

 

(3) 利益配分に関する基本方針

当社の利益配分に関する基本方針につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照下さい。

 

※将来情報に関するご注意

上記の文中における将来に関する事項は、現在入手可能な情報から当社が当期末現在において合理的であるとした判断及び仮定に基づいて記載しております。「2 事業等のリスク」に記載の要因及びその他の要因により、実際の連結業績は見通しとは異なる可能性があります。

 

 

「中期経営計画2020」の概念図

 


 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載しております、事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、将来事項に関する記述につきましては、当期末現在において入手可能な情報に基づく当社の判断、目標、一定の前提又は仮定のもとでの予測などであります。

 

(1)事業上のリスク

当社グループは、総合商社としてグローバルかつ多角的に事業を行っており、展開する事業の性質上、様々なリスクに晒されております。そのため、「リスク管理基本規程」に則り、リスクを分類・定義した上で各々のリスク項目ごとに任命されたリスク管理責任者が年度初めに「リスク管理運営方針・運営計画」を策定し、四半期ごとに進捗、改善状況をモニタリングしたうえで年度末に総括を行っております。分類したリスクのうち、計測が可能なリスク(市場リスク・信用リスク・事業投資リスク・カントリーリスク)に関しては、リスクを計測し、算出したリスクアセットの数値に基づいて管理しております。また、計測を行わないリスク項目(法務リスク、コンプライアンスリスク、環境・社会(人権)リスク、資金調達リスク、災害リスク、システムリスク)については、四半期のモニタリングの対象として管理しております。当社グループは、こうした様々なリスクに対処するため、必要なリスク管理体制を整備し、リスク管理にあたっておりますが、これらのすべてのリスクを完全に回避できるものではありません。

 

当社グループの事業に関しては、以下のようなリスクがあります。

 

① マクロ経済環境の変化によるリスク

当社グループは、グローバルにビジネスを展開し、事業活動は多岐にわたっており、当社グループの業績は、日本及び関係各国の政治経済状況や世界経済全体の影響を受けます。そのため、世界的或いは特定地域における経済動向は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 市場リスク

当社グループは、貿易業や事業投資を通じた外貨建の取引などに伴う為替変動リスク、資金の調達や運用などに伴う金利変動リスク、営業活動における売買契約・在庫商品などに伴う商品価格変動リスク、並びに上場有価証券の保有などに伴う価格変動リスクなどの市場リスクにさらされております。当社グループは、これらの市場リスクを商品の売買残高などの資産・負債のマッチングや、先物為替予約取引、商品先物・先渡取引、金利スワップ取引などのヘッジ取引によって極小化することを基本方針としております。

 

(a)為替リスク

当社グループは、外貨建の輸出入取引・外国間取引を主要な事業活動として行っており、その収益・費用などは主に外国通貨による受払いとして発生する一方、当社グループの連結決算上の報告通貨が日本円であることから、外国通貨の対日本円での為替変動リスクにさらされております。この為替変動リスクに伴う損失の発生又は拡大を未然に防ぐために、先物為替予約などのヘッジ策を講じておりますが、これらの対応を行っても為替変動リスクを完全に回避できる保証はなく、予期せぬ市場の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外の事業会社からの受取配当金、海外連結子会社・持分法適用関連会社の損益の多くが外貨建であり、日本円に換算する際の為替変動リスクを負っています。さらに、当社グループは、海外に多くの現地法人・事業会社などを保有しており、財務諸表を日本円に換算する際の為替変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(b)金利リスク

当社グループは、営業債権などによる信用供与・有価証券投資・固定資産取得などのため金融機関からの借入又は社債発行などを通じて資金調達を行っております。資産・負債を勘定科目毎に金利感応度の有無により分類し、金利感応度のある資産と負債との差額を金利ミスマッチ金額と捉え、固定・変動調達比率を調整することで金利変動リスクを管理しておりますが、金利変動リスクを完全に回避できるものではなく、金利水準の急上昇による調達コスト増大が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(c)商品価格リスク

当社グループは、総合商社として様々な業務分野において多岐にわたる商品を取扱っており、相場変動などによる商品価格変動リスクにさらされております。市況商品については、社内組織単位ごとにポジション(ロング・ショート)限度額とロスカットポイントを設定の上、ポジション・損失管理を行うと共に、損切りルール(評価額を含む損失額がロスカットポイントに抵触した場合、速やかにポジションを解消し、以降の当該年度中の新規取引を禁止するルール)を制定し運用しておりますが、これらの対応を行ってもリスクを完全に回避できる保証はなく、予期せぬ市場の変動などにより当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。在庫商品に関しては適正水準にコントロールするために事業別に月次でモニタリングを行うなどの施策を行っております。

 

(d)上場有価証券の価格リスク

当社グループは、市場性のある有価証券を保有しており、特に上場株式に関しては保有意義を定期的に確認しておりますが、大幅な株価下落によって当社グループの投資ポートフォリオを毀損し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 信用リスク

当社グループは、多様な商取引により国内外の多数の取引先に対して信用供与を行っており、信用リスクを負っております。こうしたリスクに対処するために、当社グループは、信用供与を行っている取引先ごとに客観的な手法に基づく11段階の信用格付けを付与すると共に、信用格付けを参考に取引先ごとの取引限度を設定し、信用供与額を取引限度に収めることにより信用リスクをコントロールしております。また、取引先の信用状態に応じて必要な担保・保証などの保全措置を講じております。さらに、債権査定制度により、当社グループが営業債権を有する取引先の中から一定の基準により査定先を抽出したうえで、その信用状態と当社グループの債権、保全などの状況を点検することで、信用リスクの状況把握と個別貸倒引当金算定の厳格化に努めております。延払・融資・保証行為に伴う信用リスクは、別途、収益性が信用リスクに見合ったものかを定期的に評価し、リスクに見合う収益を生まない取引については、収益性改善又は信用リスク抑制の措置を講じることとしております。
 しかしながら、こうした与信管理を行った場合でもリスクを完全に回避できる保証はなく、取引先の破綻などにより債権の回収不能などの事象が発生した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 事業投資リスク

当社グループは、主要な事業活動のひとつとして様々な事業に対して投資活動を行っておりますが、事業投資や権益投資などにおいて投資価値が変動するリスクを負っております。さらに、事業投資の多くがもつ流動性の低さなどの理由により、当初意図していた採算で投資を回収できないリスクがあります。
 事業投資から発生する損失の予防・抑制を目的として、当社グループは事業投資案件の審議における厳格なスクリーニング、事後管理、並びに撤退について各々基準を設け、管理を行っております。
 新規事業投資案件のスクリーニングでは、キャッシュ・フロー計画を含めた事業計画を精査し事業性を厳格に評価すると共に、キャッシュ・フロー内部収益率(IRR)のハードルを設定し、リスクに見合った収益が得られる案件を選別できる仕組みを整えております。
 既に実行済みの事業投資案件については、問題事業を早期に発見し適切な措置を講じることで損失を極小化するために、定期的に事業性を評価するなどプロセス管理を徹底しております。また、事業投資案件の問題点を早期・事前に把握し、撤退・整理損を極小化する目的で、撤退条件を設定し、リスクに見合った収益を生まない投資から適時適切に撤退するための意思決定に活用しております。
 このように、新規事業投資実行時のスクリーニングの仕組み及び案件の事後管理に係る手続きを整備してはおりますが、期待通りの収益が上がらないリスクや事業活動そのものを計画通りに行えないリスクを完全に回避することは困難であります。当該事業からの撤退などに伴い損失が発生する可能性や、当該事業のパートナーとの関係など個別の事由により当社が意図したとおりの撤退ができない可能性があり、これらの場合において、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ カントリーリスク

当社グループは、カントリーリスク発現時の損失の発生を最小化するためには、特定の国・地域に対するエクスポージャーの集中を避ける必要があると考えております。また、カントリーリスクが大きい国との取組みでは、貿易保険などを活用し案件ごとにカントリーリスクヘッジ策を講じることを原則としております。
 カントリーリスクの管理にあたっては、各国・地域ごとにカントリーリスクの大きさに応じて客観的な手法に基づく9段階の国格付けを付与すると共に、国格付けと国の規模に応じてネットエクスポージャー(エクスポージャーの総額から貿易保険などのカントリーリスクヘッジを差引いたもの)の上限枠を設定し、各々の国のネットエクスポージャーを上限枠内に抑制しております。
 しかしながら、これらのリスク管理やヘッジを行っていても、当社グループの取引先所在国や当社グループが事業活動を行う国の政治・経済・法制度・社会情勢の変化によって計画通りの事業活動を行えない可能性や、損失発生の可能性を完全に排除することはできません。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 固定資産に係る減損リスク

当社グループが保有する不動産、機械装置・運搬具、のれん、鉱業権などの固定資産及びリース資産については、減損リスクにさらされております。当社グループでは、対象資産に対し当期末時点において必要な減損処理を行っております。しかしながら、今後価格下落などによりこれらの対象資産の価値が著しく減少した場合、必要な減損処理を行う結果として当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 資金調達に関するリスク

当社グループは、事業資金を金融機関からの借入金又は社債発行などにより調達しております。金融機関との取引関係の維持、一定の長期調達比率の確保などによる安定的な資金調達を行っておりますが、金融システム・金融資本市場の混乱や、格付会社による当社グループの信用格付けの大幅な引下げなどの事態が生じた場合には、資金調達が制約されると共に、調達コストが増加するなどにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 環境・社会(人権)に関するリスク

当社グループは、サステナビリティに関わる重要課題(人権、環境、資源、地域社会、人材、ガバナンス)を特定すると共に、環境方針、CSRサプライチェーン行動指針、人権方針などを定め、グループ内での遵守・徹底、サプライヤーへの当社方針の周知などを通じ、事業活動に伴い生ずる環境、社会(人権)リスクの軽減に努めています。また、パリ協定など国内外の低炭素・脱炭素に向けた規制動向にも注視しています。しかしながら、当社グループの事業活動及びサプライチェーンにおいて、環境や労働安全衛生、人権などにかかわる問題が発生した場合、又は地域住民や環境・人権保護団体などからそれら問題に関与していると批判を受けた場合に、事業活動の停止・中止、汚染除去・浄化への対応、訴訟の発生や損害賠償の負担、当社グループの社会的評価の低下などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑨ コンプライアンスリスク

当社グループは、様々な事業領域で活動を行っており、事業活動に関連する法令・規制は、会社法、税法、汚職など腐敗行為防止のための諸法令、独占禁止法、外為法を含む貿易関連諸法令や化学品規制などを含む各種業界法など広範囲にわたっております。これらの国内外の法令・規制を遵守するため、当社グループではコンプライアンスプログラムを制定し、コンプライアンス委員会を設け、グループ全役職員にコンプライアンスマインドを浸透・定着させるための取り組みを、全社をあげて実施しております。しかしながら、このような取組みによっても事業活動におけるコンプライアンスリスクを完全に排除することはできるものではなく、関係する法律や規制の大幅な変更、予期しない解釈の適用などが当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 訴訟などに関するリスク

営業活動に関連して、当社グループが国内又は海外において訴訟、仲裁などの法的手続きの被告又は当事者となることがあります。訴訟などには不確実性が伴い、その結果を現時点で予測することはできませんが、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 情報システム・情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、情報資産を適切に保護・管理するため、各種規程を整備し、情報セキュリティ分科会などを中心とした管理体制を構築しております。また、重要な情報システムやネットワーク設備については、これらの機器設備を二重化するなど障害対策を施すと共に、ファイヤーウォールによる外部からの不正アクセスの防止、ウイルス対策、暗号化技術の採用などによる情報漏洩対策の強化にも努めております。
 このように総合的な情報セキュリティの強化と事故防止に努めておりますが、近年急増しているサイバー攻撃や、コンピュータへの不正アクセスなどにより、個人情報を含めた重要な情報資産が漏洩又は毀損、予期できない自然災害や障害を原因として情報通信システムが不稼働の状態に陥る可能性は排除できません。その場合に被害の規模によっては当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 災害等リスク

地震、風水害などの自然災害により事務所・設備・社員とその家族などに被害が発生し、当社グループに直接的又は間接的な影響を与える可能性があります。災害対策マニュアルの作成、防災訓練、社員安否確認システムの整備、事業継続計画(BCP)の策定などの対策を講じておりますが、被害を完全に回避できるものではなく、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)「中期経営計画2020」に関するリスク

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループは、2020年度を最終年度とする「中期経営計画2020」を策定しております。策定時において適正と考えられる経済状況、産業動向、その他様々な情報、見通しなどに基づき策定しておりますが、事業環境の急激な変化などの様々な要因により、目標に向けた諸施策が計画したとおり進まない可能性や、期待される成果の実現に至らない可能性があります。

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社における重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 3 重要な会計方針」をご参照下さい。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度(以下、当期という)は、消費拡大による先進国経済の成長及びそれに牽引された新興国経済の成長により、世界経済は堅調に推移しました。また、旺盛な需要を背景に資源価格も堅調となりました。
 米国は、設備投資や個人消費の伸びを背景に安定的な経済成長が継続し、再度の政策金利の引上げが実施されました。また、好調な企業業績や税制改革法案の成立を背景に株価は最高値圏にありましたが、年度末にかけて金利上昇や通商交渉、特に鉄鋼輸入制限措置のもたらす影響への不安感から、やや軟調な動きとなりました。
 欧州は、輸出や個人消費が底堅く推移したことで、ドイツをはじめとして景気回復の堅調さが増しており、10月には欧州中央銀行が金融緩和縮小を発表しました。一方で、英国のEU離脱交渉など、引き続き不透明な要素も見られます。
 中国は、消費は伸び悩んだものの、インフラ、不動産などの投資、並びに輸出が再び堅調となり、経済は底堅く推移しました。一方で、米国の鉄鋼輸入制限措置を発端とする通商摩擦、過剰生産設備、環境や地方政府債務問題への対応など、今後の見通しに不透明な要素が増大しています。
 アジアは、米国の利上げによる資金流出などの懸念はあるものの、先進国経済の景気回復と中国の経済成長を受けた輸出の増加、好調な国内消費により、概ね安定的な経済成長を維持しました。
 日本は、個人消費の堅調な推移や、好調な企業業績と設備投資の増加傾向もあり、やや高めの経済成長となりました。

 

当期の経営成績を分析しますと、次のとおりであります。

 

収益は、欧州化学品商社の新規取得や合成樹脂取引の増加による化学での増収や、石炭などの資源価格の上昇や取扱数量増加による石炭・金属での増収などにより、1兆8,164億59百万円と前期比16.79%の増収となりました。
 売上総利益は、海外自動車卸売事業の販売台数増加などによる自動車での増益のほか、海外石炭事業の販売価格上昇などによる石炭・金属での増益、インフラ関連の収益貢献による環境・産業インフラでの増益などにより、前期比316億95百万円増加の2,323億80百万円となりました。
 営業活動に係る利益は、売上総利益の増益などにより、前期比82億20百万円増加の598億38百万円となりました。
 税引前利益は、営業活動に係る利益の増益に加え、持分法による投資損益の増加などにより、前期比223億88百万円増加の803億43百万円となりました。
 当期純利益は、税引前利益803億43百万円から、法人所得税費用186億48百万円を控除した結果、当期純利益は前期比176億19百万円増加の616億94百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期純利益(以下、当期純利益という)は前期比160億82百万円増加し、568億42百万円となりました。
 為替の影響に伴い在外営業活動体の換算差額の減少がありましたが、当期純利益の増益などにより、当期包括利益は前期比71億93百万円増加し、513億26百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期包括利益は前期比71億41百万円増加し、474億30百万円となりました。

 

次に、これをセグメント別に分析しますと、以下のとおりであります。

 

なお、2017年4月1日付にて「生活資材」と「リテール事業」を再編し、それぞれ「リテール・生活産業」と「産業基盤・都市開発」へ変更しております。また、従来「化学」に含まれていたメディカル・ヘルスケア事業は、組織再編に伴い、「環境・産業インフラ」へ区分を変更しております。前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。

 

 

<自動車>

収益は、北米自動車部品品質検査事業の新規取得や海外自動車卸売事業における販売台数増加などにより、1,881億18百万円と前期比30.4%の増加となりました。当期純利益は、売上総利益の増益などにより、前期比29億29百万円増加し、65億15百万円となりました。

中核事業である組立・卸売事業において新興国を中心とした自動車需要の増加を受け、販売台数が増加し、堅調な推移となりました。また、更なる収益の塊の構築を目指し、米国やロシアにおける自動車ディーラー事業の拡大、参入を果たすと共に、北米自動車部品品質検査事業への参画により、自動車関連事業領域での新たな機能を獲得しました。

 

<航空産業・情報>

収益は、航空機関連取引の減少などにより、754億14百万円と前期比14.84%の減少となりました。当期純利益は、売上総利益の減益に加え、前期における情報産業子会社の一部売却による関連会社化の影響などにより、前期比53億91百万円減少し、45億14百万円となりました。

前期の一過性損益の影響もあり、前期比では減益となりましたが、当社が強みを持つ民間航空機分野は堅調に推移しました。当期は、ビジネスジェット事業の拡大展開、パラオ国際空港の運営事業への参画など事業領域を拡大し、今後の収益力強化を目指した施策を実行しました。また、子会社の日商エレクトロニクスと双日システムズを合併し、ICTインフラ系製品とその構築力に、基幹システム開発、運用力とを組み合わせることで、お客様の多様なニーズに対応します。

 

<環境・産業インフラ>

収益は、産業機械取引の増加などにより、1,347億37百万円と前期比17.82%の増加となりました。当期純利益は、インフラ関連の収益貢献などにより、前期比28億48百万円増加し、70億10百万円となりました。

当期までに取り組んできたインフラ関連ビジネスが着実に収益に貢献すると共に、世界経済の堅調な推移に伴い、産業機械取引が増加しました。また、米国でのガス火力発電事業、日本・米州・欧州での再生可能エネルギー事業といった、安定的な収益を生み出す事業へ参入すると共に、トルコで病院施設運営事業に参画するなど新たな事業基盤を構築しました。

 

<エネルギー>

収益は、LNG取引の増加などにより、566億4百万円と前期比19.26%の増加となりました。当期純利益は、石油ガス権益関連損失などにより、前期比79億13百万円悪化し、84億72百万円の損失となりました。

世界経済の堅調な拡大によるエネルギー需要の増加や産油国の減産継続など、石油・ガスの需給環境は改善傾向にあり、価格は安定的に推移したものの、本部方針である上流から中下流への事業ポートフォリオ入れ替えに伴う一過性損益の影響がありました。中下流分野の事業拡充について、当期は、日系商社で初めて、欧州でのLNG受入基地事業に資本参画しました。ガス/LNGを中心とするクリーンなエネルギーのバリューチェーン展開により、市況の影響を受けにくい収益基盤の確立を進めてまいります。

 

<石炭・金属>

収益は、石炭などの資源価格の上昇や取扱数量増加などにより、3,240億81百万円と前期比24.3%の増加となりました。当期純利益は、海外石炭事業の販売価格上昇などによる売上総利益の増益に加え、鉄鋼事業会社などの持分法による投資損益の増加などにより、前期比118億52百万円増加し、218億82百万円となりました。

金属資源商品の市況価格の回復及び取扱数量増加に加え、国内外の鉄鋼マーケット上昇に支えられた鉄鋼製品事業が好調に推移したことにより、期初の見通しを大幅に上回る業績となりました。一方で、市況の影響を受けにくい安定的な収益基盤の構築が引き続き課題であり、既存事業の更なる競争力の強化と共に、環境、リサイクル、EV化等新たな社会ニーズに対応した新規事業領域へ進出してまいります。

 

<化学>

収益は、欧州化学品商社の新規取得に加え、合成樹脂取引の増加などにより、5,156億1百万円と前期比28.97%の増加となりました。当期純利益は、売上総利益の増益などにより、前期比3億66百万円増加し、87億2百万円となりました。

 

当社主力商品であるメタノールの市況が安定的に推移したことや、アジア地域での液体ケミカル・合成樹脂の取引量増加、レアアースの販売が好調であったことに加え、前期買収した欧州化学品商社が当期より着実に収益に貢献したことにより、概ね堅調に推移しました。当社が強みを持つ分野において、グローバルトレードを拡大すると共に、当社がこれまでに培ってきたバリューチェーンの更なる付加価値向上を通じて、良質な資産の積上げと安定的な収益基盤を拡大しております。

 

<食料・アグリビジネス>

収益は、飼料原料取引の増加などにより、1,432億83百万円と前期比3.74%の増加となりました。当期純利益は、海外肥料事業での減益がありましたが、前期における穀物集荷事業での業績低迷や減損損失の影響などにより、前期比109億28百万円改善し、40億29百万円となりました。

収益基盤であるタイ、フィリピン、ベトナムでの肥料事業は、安定的に推移しており、前期新設したミャンマーの販売会社において倉庫オペレーションを開始するなど、更なる強化を進めております。また、フィリピンでの小麦粉製造・原料卸・製パンの事業参入や中国でのマグロ加工の新工場稼働など、安心・安全な食料の供給・販売に向けた事業展開に取り組んでおります。

 

<リテール・生活産業>

収益は、食肉取引の増加などにより、2,924億62百万円と前期比2.33%の増加となりました。当期純利益は、加熱式煙草や食肉取引の増加による増益などがありましたが、前期における国内商業施設の売却の影響などにより、前期比15億95百万円減少し、56億98百万円となりました。

前期に行った国内商業施設の売却益の反動により減益となりましたが、食品流通事業、繊維事業、消費財流通事業などの主要事業は堅調に推移しました。当期は、タイで業務用食品卸事業へ参入するなど、アセアン食品バリューチェーンを強化すると共に、安定的な収益基盤であるトレード事業においても、日系畜肉関連企業とマーケティング会社「株式会社ミートワン」を設立し、顧客・消費者へ提供する機能を強化しました。

 

<産業基盤・都市開発>

収益は、不動産取引の増加などにより、458億84百万円と前期比59.44%の増加となりました。当期純利益は、前期比8億7百万円増加し、21億39百万円となりました。

海外工業団地事業、並びに国内不動産開発事業といった主要事業において、引き渡しが順調に推移しました。当期は、インドネシアではジャパンタウンやスマートタウン開発計画をスタートし、複合的な都市インフラ機能を高め、更に、フィリピンでは新規工業団地の代理販売を開始しました。また、国内では、アセットマネジメント・不動産管理・保育所運営事業の着実な成長など、安定的な収益を実現するポートフォリオ構築に向けた施策を実行しております。

 

(3) 資本の財源と資金の流動性及び調達状況について

① 財政状態

当期末の資産合計は、棚卸資産が煙草、自動車で増加したことや、航空機関連取引に伴うその他の流動資産の増加などにより、前期末比2,118億85百万円増加の2兆3,503億51百万円となりました。

負債合計は、営業債務及びその他の債務(流動)が煙草関連で増加したことなどにより、前期末比1,647億32百万円増加の1兆7,252億27百万円となりました。

資本のうち当社株主に帰属する持分合計は、為替の変動によるその他の資本の構成要素の減少がありましたが、当期純利益の積み上がりにより、前期末比359億51百万円増加の5,864億64百万円となりました。
 この結果、自己資本比率(※)は25.0%となりました。また、有利子負債総額から現金及び現金同等物、及び定期預金を差し引いたネット有利子負債は前期末比75億57百万円減少の6,034億50百万円となり、ネット有利子負債倍率(※)は1.03倍となりました。

 

 ※自己資本比率及びネット有利子負債倍率の算出には、親会社の所有者に帰属する持分を使用しております。

 

 

次に、これをセグメント別に分析しますと、以下のとおりであります。

 

<自動車>

当期末のセグメント資産は、北米自動車部品品質検査事業の新規取得などにより、前期末比396億57百万円増加の1,822億22百万円となりました。

 

<航空産業・情報>

当期末のセグメント資産は、航空機関連取引の増加などにより、前期末比350億71百万円増加の1,973億2百万円となりました。

 

<環境・産業インフラ>

当期末のセグメント資産は、インフラ関連への新規投融資などにより、前期末比531億8百万円増加の2,501億66百万円となりました。

 

<エネルギー>

当期末のセグメント資産は、石油ガス権益関連での損失処理などにより、前期末比233億34百万円減少の1,139億64百万円となりました。

 

<石炭・金属>

当期末のセグメント資産は、持分法で会計処理されている投資の増加などにより、前期末比132億42百万円増加の4,119億20百万円となりました。

 

<化学>

当期末のセグメント資産は、合成樹脂取引の増加による営業債権及びその他の債権の増加などにより、前期末比122億43百万円増加の3,048億75百万円となりました。

 

<食料・アグリビジネス>

当期末のセグメント資産は、前期末比13百万円減少の1,304億77百万円となりました。

 

<リテール・生活産業>

当期末のセグメント資産は、煙草関連取引の増加による棚卸資産の増加などにより、前期末比905億25百万円増加の4,223億3百万円となりました。

 

<産業基盤・都市開発>

当期末のセグメント資産は、前期末比31億17百万円増加の725億8百万円となりました。

 

② キャッシュ・フロー

当期のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは988億12百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは864億7百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは130億52百万円の支出となりました。これに現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は3,052億41百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当期の営業活動による資金は、煙草関連取引における棚卸資産の増加に伴う支出があったものの、営業収入や営業債務及びその他の債務の増加による収入により、988億12百万円の収入となりました。前期比では979億55百万円の収入増加となりました。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当期の投資活動による資金は、投資の売却などによる収入があったものの、インフラ、自動車関連事業への投融資などによる支出により864億7百万円の支出となりました。前期比では542億28百万円の支出増加となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当期の財務活動による資金は、借入金の返済などによる支出により130億52百万円の支出となりました。前期比では90億23百万円の支出増加となりました。

 

③ 資金の流動性と資金調達について

当社グループは、当期を最終年度とする「中期経営計画2017」におきまして、従来と同様に、資金調達構造の安定性維持・向上を財務戦略の基本方針とし長期調達比率の維持、また経済・金融環境の変化に備えた十分な手元流動性の確保により、安定した財務基盤の維持に努めており、当期末の流動比率は162.7%、長期調達比率は87.5%となりました。
 長期資金調達手段のひとつである普通社債につきましては、2017年6月、2018年3月にそれぞれ100億円を発行いたしました。引き続き金利や市場動向を注視し、適切なタイミング、コストでの起債を検討してまいります。また、資金調達の機動性及び流動性確保の補完機能を高めるため、円貨1,000億円(未使用)及び19億米ドル(7.6億米ドル使用)の長期コミットメントライン契約を有しております。

 

(目標とする経営指標の達成状況等)

「2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 今後の見通し及び対処すべき課題」をご参照下さい。

 

(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)

  日本基準により作成した場合の連結財務諸表との差異

IFRSにより作成した連結財務諸表と日本基準により作成した場合の連結財務諸表との差異の主な内容及び概算額は、以下のとおりであります。

 

(収益の表示方法)

日本基準では、当社グループが当事者として行った取引額及び当社グループが代理人として関与した取引額を総額で売上高として表示しますが、IFRSでは、代理人として関与したと判定される取引については純額で収益を表示します。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当期の商品の販売に係る収益及び原価がそれぞれ約2兆3,926億円減少しております。

 

(のれんの償却に関する事項)

のれんについて、日本基準では一定の期間で償却しますが、IFRSでは償却を行いません。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当期の販売費及び一般管理費が約50億円減少しております。

 

 

(販売の状況)

当期における報告セグメントごとの販売実績(売上高)は以下のとおりであります。

 

セグメントの名称

前期

(自 2016年4月1日

至 2017年3月31日)

当期

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

前期比
(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

自動車

283,155

7.6

339,487

8.1

19.9

航空産業・情報

574,670

15.3

491,482

11.7

△14.5

環境・産業インフラ

220,509

5.9

221,087

5.3

0.3

エネルギー

80,396

2.1

118,358

2.8

47.2

石炭・金属

451,994

12.1

561,371

13.3

24.2

化学

596,561

15.9

736,601

17.5

23.5

食料・アグリビジネス

302,070

8.1

321,563

7.6

6.5

リテール・生活産業

1,156,507

30.9

1,327,580

31.5

14.8

産業基盤・都市開発

28,654

0.8

45,674

1.1

59.4

その他

51,028

1.3

45,869

1.1

△10.1

合計

3,745,549

100.0

4,209,077

100.0

12.4

 

(注) 1 成約高と売上高の差額は僅少なため、成約高の記載を省略しております。

2 売上高は、日本の会計慣行に従い、当社グループが当事者として行った取引額及び当社グループが代理人として関与した取引額の合計であります。当該売上高はIFRSに基づく収益と同義ではなく、代替されるものでもありません。

3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

相手先

前期

当期

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

TSネットワーク㈱

639,321

17.1

794,967

18.9

 

4 記載金額には、消費税等は含まれておりません。

 

※将来情報に関するご注意

上記の文中における将来に関する事項は、現在入手可能な情報から当社が当期末現在において合理的であるとした判断及び仮定に基づいて記載しております。「2 事業等のリスク」に記載の要因及びその他の要因により、実際の連結業績は見通しとは異なる可能性があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

特記事項はありません。