第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、双日グループ企業理念、双日グループスローガンを掲げ、当社グループの事業基盤拡充や持続的成長などの「双日が得る価値」と、国、地域経済の発展や人権・環境配慮などの「社会が得る価値」の2つの価値の実現と最大化に取り組んでおります。

 

(双日グループ企業理念)
双日グループは、誠実な心で世界を結び、
新たな価値と豊かな未来を創造します。
 
(双日グループスローガン)

New way, New value

 

(双日の価値創造モデル)


 

(2) 今後の見通し及び対処すべき課題

中期経営計画「中期経営計画2020」について

当社グループは、2018年4月からの3ヵ年計画である「中期経営計画2020」~Commitment to Growth~を策定し、計画の実現に向けた取り組みを推進しております。
 本計画において、当社グループは、保有資産の価値拡大と共に、キャッシュ・フローをマネージした規律ある投融資(中期経営計画3ヵ年で合計3,000億円程度)の実行を継続することにより、着実な成長の実現を図ります。親会社の所有者に帰属する当期純利益(以下、当期純利益という)につきましては、中期経営計画期間中において前期比10%程度の成長を図り、最終年度に750億円以上とすることを目標といたします。「中期経営計画2020」の詳細は、当社ウェブサイト(https://www.sojitz.com)をご参照ください。

 

 


 

「中期経営計画2020」で目標とする経営指標は次のとおりです。

 

経営指標

ROA

ROE

ネットDER

連結配当性向

目標

3%超

10%超

1.5倍以下

30%程度

 

 

当社の株主資本コスト7~8%を踏まえ、経営指標としてROE目標を設定しております。また、ROE目標を達成する為に、全社でのROA目標を定めると共に、各セグメントにおいても中期経営計画最終年度のROA目標を掲げております。

 

「中期経営計画2020」の初年度である2018年度は、中国経済の景気減速と米中貿易摩擦などによって、これまで堅調な消費により支えられてきた世界経済が、減速の兆しを見せ始めました。このような経済環境において、当社グループの業績は、石炭などの資源価格の上昇や取扱数量増加による金属・資源での増益に加え、前中期経営計画及び本中期経営計画において実行した新規投融資の収益化、LNG事業会社の増益などによる持分法による投資損益の増益などにより、当期純利益は704億円となりました。また、ROAは3.0%、ROEは11.7%となりました。

 

また、「中期経営計画2020」に掲げる持続的な成長に向けて、3,000億円程度の投融資計画に基づき、2020年度収益貢献の公表値である当期純利益100億円以上を目指して、優良案件を確実に積み増しております。2018年度は、投資実績のある自動車のほか、電力をはじめとするインフラ系、原料炭の権益投資、当社が強みのあるベトナムでの製紙・段ボール事業などの投資を約900億円実行いたしました。

なお、更なる成長に向けた取り組みとして、世界各国のスタートアップ企業を投資対象としたコーポレートベンチャーキャピタルを設立し、イノベーションの創出、機能の獲得・強化を進めております。

 

さらに、「中期経営計画2020」では、企業理念の実現と双日の持続的な成長のため、サステナビリティの考え方を従前以上に経営に取り込み、環境・社会に関わる課題解決と双日の事業の更なる融合促進を図るとの方針のもと、6つのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)に沿って、基盤、体制の整備を進めております。また、気候変動、人権などのグローバル課題への双日グループの長期的な取り組み姿勢として、長期ビジョン「サステナビリティ チャレンジ」を設定しております。(サステナビリティの取り組みにつきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください) 
 

2019年度においても、「中期経営計画2020」で掲げた戦略の実行スピードを加速させ、市況などのボラティリティが高い経済環境においても、着実な成長を実現すべく、投資実行済の事業・資産のバリューアップを図り、CFマネジメントを前提として、持続的成長に向けた投融資の実行、優良資産の積み上げを積極的に進めていきます。

 

2020年3月期の当期純利益につきましては720億円を見込んでおります。

 

(3) 利益配分に関する基本方針

当社の利益配分に関する基本方針につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照下さい。

 

※将来情報に関するご注意

上記の文中における将来に関する事項は、現在入手可能な情報から当社が当期末現在において合理的であるとした判断及び仮定に基づいて記載しております。「2 事業等のリスク」に記載の要因及びその他の要因により、実際の連結業績は見通しとは異なる可能性があります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載しております、事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、将来事項に関する記述につきましては、当期末現在において入手可能な情報に基づく当社の判断、目標、一定の前提又は仮定のもとでの予測などであります。

 

(1)事業上のリスク

当社グループは、総合商社としてグローバルかつ多角的に事業を行っており、展開する事業の性質上、様々なリスクに晒されております。そのため、「リスク管理基本規程」に則り、リスクを分類・定義した上で各々のリスク項目ごとに任命されたリスク管理責任者が年度初めに「リスク管理運営方針・運営計画」を策定し、四半期ごとに進捗、改善状況をモニタリングした上で年度末に総括を行っております。分類したリスクのうち、定量化が可能なリスク(市場リスク・信用リスク・事業投資リスク・カントリーリスク)に関しては、リスクを計測し、算出したリスクアセットの数値に基づいて管理しております。また、定量化が困難なリスク(法務リスク、コンプライアンスリスク、環境・社会(人権)リスク、資金調達リスク、災害等リスク、システムリスク等)については、四半期のモニタリングの対象として管理しております。当社グループは、こうした様々なリスクに対処するため、必要なリスク管理体制を整備し、リスク管理にあたっておりますが、これらのすべてのリスクを完全に回避できるものではありません。

 

当社グループの事業に関しては、以下のようなリスクがあります。

 

① マクロ経済環境の変化によるリスク

当社グループは、グローバルにビジネスを展開し、事業活動は多岐にわたっており、当社グループの業績は、日本及び関係各国の政治経済状況や世界経済全体の影響を受けます。そのため、世界的あるいは特定地域における経済動向は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 市場リスク

当社グループは、貿易業や事業投資を通じた外貨建の取引などに伴う為替変動リスク、資金の調達や運用などに伴う金利変動リスク、営業活動における売買契約・在庫商品などに伴う商品価格変動リスク、並びに上場有価証券の保有などに伴う価格変動リスクなどの市場リスクにさらされております。当社グループは、これらの市場リスクを商品の売買残高などの資産・負債のマッチングや、先物為替予約取引、商品先物・先渡取引、金利スワップ取引などのヘッジ取引によって極小化することを基本方針としております。

 

(a)為替リスク

当社グループは、外貨建の輸出入取引・外国間取引を主要な事業活動として行っており、その収益・費用などは主に外国通貨による受払いとして発生する一方、当社グループの連結決算上の報告通貨が日本円であることから、外国通貨の対日本円での為替変動リスクにさらされております。この為替変動リスクに伴う損失の発生又は拡大を未然に防ぐために、先物為替予約などのヘッジ策を講じておりますが、これらの対応を行っても為替変動リスクを完全に回避できる保証はなく、予期せぬ市場の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外の事業会社からの受取配当金、海外連結子会社・持分法適用関連会社の損益の多くが外貨建であり、日本円に換算する際の為替変動リスクを負っています。さらに、当社グループは、海外に多くの現地法人・事業会社などを保有しており、財務諸表を日本円に換算する際の為替変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(b)金利リスク

当社グループは、営業債権などによる信用供与・有価証券投資・固定資産取得などのため金融機関からの借入又は社債発行などを通じて資金調達を行っております。資産・負債を勘定科目毎に金利感応度の有無により分類し、金利感応度のある資産と負債との差額を金利ミスマッチ金額と捉え、固定・変動調達比率を調整することで金利変動リスクを管理しておりますが、金利変動リスクを完全に回避できるものではなく、金利水準の急上昇による調達コスト増大が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(c)商品価格リスク

当社グループは、総合商社として様々な業務分野において多岐にわたる商品を取扱っており、相場変動などによる商品価格変動リスクにさらされております。市況商品については、社内組織単位ごとにポジション(ロング・ショート)限度額とロスカットポイントを設定の上、ポジション・損失管理を行うと共に、損切りルール(評価額を含む損失額がロスカットポイントに抵触した場合、速やかにポジションを解消し、以降の当該年度中の新規取引を禁止するルール)を制定し運用しておりますが、これらの対応を行ってもリスクを完全に回避できる保証はなく、予期せぬ市場の変動などにより当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。在庫商品に関しては適正水準にコントロールするために事業別に月次でモニタリングを行うなどの施策を行っております。

 

(d)上場有価証券の価格リスク

当社グループは、市場性のある有価証券を保有しております。保有する上場株式に関しては、毎年、個別の銘柄毎に保有意義の見直しを行っておりますが、大幅な株価下落によって当社グループの投資ポートフォリオを毀損し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 信用リスク

当社グループは、多様な商取引により国内外の多数の取引先に対して信用供与を行っており、信用リスクを負っております。こうしたリスクに対処するために、当社グループは、信用供与を行っている取引先ごとに客観的な手法に基づく11段階の信用格付けを付与すると共に、信用格付けを参考に取引先ごとの取引限度を設定し、信用供与額を取引限度に収めることにより信用リスクをコントロールしております。また、取引先の信用状態に応じて必要な担保・保証などの保全措置を講じております。さらに、債権査定制度により、当社グループが営業債権を有する取引先の中から一定の基準により査定先を抽出した上で、その信用状態と当社グループの債権、保全などの状況を点検することで、信用リスクの状況把握と個別貸倒引当金算定の厳格化に努めております。延払・融資・保証行為に伴う信用リスクは、別途、収益性が信用リスクに見合ったものかを定期的に評価し、リスクに見合う収益を生まない取引については、収益性改善又は信用リスク抑制の措置を講じることとしております。
 しかしながら、こうした与信管理を行った場合でもリスクを完全に回避できる保証はなく、取引先の破綻などにより債権の回収不能などの事象が発生した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 事業投資リスク

当社グループは、主要な事業活動のひとつとして様々な事業に対して投資活動を行っておりますが、事業投資や権益投資などにおいて投資価値が変動するリスクを負っております。さらに、事業投資の多くがもつ流動性の低さなどの理由により、当初意図していた採算で投資を回収できないリスクがあります。
 事業投資から発生する損失の予防・抑制を目的として、当社グループは事業投資案件の審議における厳格なスクリーニング、事後管理、並びに撤退について各々基準を設け、管理を行っております。
 新規事業投資案件のスクリーニングでは、キャッシュ・フロー計画を含めた事業計画を精査し事業性を厳格に評価すると共に、キャッシュ・フロー内部収益率(IRR)のハードルを設定し、リスクに見合った収益が得られる案件を選別できる仕組みを整えております。
 既に実行済みの事業投資案件については、問題事業を早期に発見し適切な措置を講じることで損失を極小化するために、定期的に事業性を評価するなどプロセス管理を徹底しております。また、事業投資案件の問題点を早期・事前に把握し、撤退・整理損を極小化する目的で、撤退条件を設定し、リスクに見合った収益を生まない投資から適時適切に撤退するための意思決定に活用しております。
 このように、新規事業投資実行時のスクリーニングの仕組み及び案件の事後管理に係る手続きを整備してはおりますが、期待通りの収益が上がらないリスクや事業活動そのものを計画通りに行えないリスクを完全に回避することは困難であります。当該事業からの撤退などに伴い損失が発生する可能性や、当該事業のパートナーとの関係など個別の事由により当社が意図したとおりの撤退ができない可能性があり、これらの場合において、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ カントリーリスク

当社グループは、カントリーリスク発現時の損失の発生を最小化するためには、特定の国・地域に対するエクスポージャーの集中を避ける必要があると考えております。また、カントリーリスクが大きい国との取組みでは、貿易保険などを活用し案件ごとにカントリーリスクヘッジ策を講じることを原則としております。
 カントリーリスクの管理にあたっては、各国・地域ごとにカントリーリスクの大きさに応じて客観的な手法に基づく9段階の国格付けを付与すると共に、国格付けと国の規模に応じてネットエクスポージャー(エクスポージャーの総額から貿易保険などのカントリーリスクヘッジを差引いたもの)の上限枠を設定し、各々の国のネットエクスポージャーを上限枠内に抑制しております。
 しかしながら、これらのリスク管理やヘッジを行っていても、当社グループの取引先所在国や当社グループが事業活動を行う国の政治・経済・法制度・社会情勢の変化によって計画通りの事業活動を行えない可能性や、損失発生の可能性を完全に排除することはできません。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 固定資産に係る減損リスク

当社グループが保有する不動産、機械装置・運搬具、のれん、鉱業権などの固定資産及びリース資産については、減損リスクにさらされております。当社グループでは、対象資産に対し当期末時点において必要な減損処理を行っております。しかしながら、今後価格下落などによりこれらの対象資産の価値が著しく減少した場合、必要な減損処理を行う結果として当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 資金調達に関するリスク

当社グループは、事業資金を金融機関からの借入金又は社債発行などにより調達しております。金融機関との取引関係の維持、一定の長期調達比率の確保などによる安定的な資金調達を行っておりますが、金融システム・金融資本市場の混乱や、格付会社による当社グループの信用格付けの大幅な引下げなどの事態が生じた場合には、資金調達が制約されると共に、調達コストが増加するなどにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 環境・社会(人権)に関するリスク

当社グループは、サステナビリティ重要課題(人権、環境、資源、地域社会、人材、ガバナンス)を特定すると共に、環境方針、サプライチェーンCSR行動指針、人権方針などを定め、グループ内での遵守・徹底、サプライヤーへの当社方針の周知やリスク評価・改善の取り組みなどを通じ、事業活動に伴い生ずる環境・社会(人権)リスクの低減に努めています。また、地球環境や生態系、ひいては社会システムや企業活動に大きな影響を及ぼす気候変動に伴うリスクについては、パリ協定を受けた国内外の低炭素・脱炭素に向けた政策や規制等の動向に注視すると共に、当社グループの関連する事業における影響を分析しております。

しかしながら、当社グループの事業活動及びサプライチェーンにおいて、環境や労働安全衛生、人権などに係る問題が発生した場合、又は地域住民や環境・人権保護団体などからそれら問題に関与していると批判を受けた場合に、事業活動の停止・中止、汚染除去・浄化への対応、訴訟の発生や損害賠償の負担、当社グループの社会的評価の低下などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑨ コンプライアンスリスク

当社グループは、様々な事業領域で活動を行っており、事業活動に関連する法令・規制は、会社法、税法、汚職など腐敗行為防止のための諸法令、独占禁止法、外為法を含む貿易関連諸法令や化学品規制などを含む各種業界法など広範囲にわたっております。これらの国内外の法令・規制を遵守するため、当社グループではコンプライアンスプログラムを制定し、コンプライアンス委員会を設け、グループ全役職員にコンプライアンスマインドを浸透・定着させるための取り組みを、全社をあげて実施しております。しかしながら、このような取組みによっても事業活動におけるコンプライアンスリスクを完全に排除することはできるものではなく、関係する法律や規制の大幅な変更、予期しない解釈の適用などが当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 訴訟などに関するリスク

営業活動に関連して、当社グループが国内又は海外において訴訟、仲裁などの法的手続きの被告又は当事者となることがあります。訴訟などには不確実性が伴い、その結果を現時点で予測することはできませんが、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 情報システム・情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、情報資産を適切に保護・管理するため、各種規程を整備し、情報セキュリティ分科会などを中心とした管理体制を構築しております。また、重要な情報システムやネットワーク設備については、これらの機器設備を二重化するなど障害対策を施すと共に、ファイアウォールによる外部からの不正アクセスの防止、ウイルス対策、暗号化技術の採用などによる情報漏洩対策の強化にも努めております。
 このように総合的な情報セキュリティの強化と事故防止に努めておりますが、近年急増しているサイバー攻撃や、コンピュータへの不正アクセスなどにより、個人情報を含めた重要な情報資産が漏洩又は毀損、予期できない自然災害や障害を原因として情報通信システムが不稼働の状態に陥る可能性は排除できません。その場合に被害の規模によっては当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 災害等リスク

地震、風水害などの自然災害により事務所・設備・社員とその家族などに被害が発生し、当社グループに直接的又は間接的な影響を与える可能性があります。災害対策マニュアルの作成、防災訓練、社員安否確認システムの整備、事業継続計画(BCP)の策定などの対策を講じておりますが、被害を完全に回避できるものではなく、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ ウェブサイト・SNSを介した企業情報発信に関するリスク

当社グループのウェブサイト・SNSは、システムの脆弱性に起因する掲載情報の改ざんや収集した個人情報の流出リスク、及び、運用に起因する批判・非難の集中や著作権・商標権・肖像権の侵害リスクにさらされております。システムの脆弱性に関しては、上記⑪にて記載の通り、合理的な範囲内で可能な限りの安全対策に努めております。運用に関しては、投稿に関する事前承認やウェブサイトの定期見直し等のルール化を義務付け、ウェブサイト・SNSを保有する組織ごとに明文化し運用しておりますが、リスクを完全に排除できるものではなく、当社グループの信用やブランド価値に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ 品質に関するリスク

当社グループは、事業投資の実行により、事業領域を拡大・多様化しています。製造業やサービス業への進出も増加しており、製造・提供する製品・サービスの品質を管理する体制を整えております。しかしながら、予期し得ない品質問題が発生した場合には、当該問題により生じた損害について、当社グループが責任を負う可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑮ イノベーションに関するリスク

当社グループは、総合商社として多岐にわたる事業領域でビジネスを行っております。デジタル革命・新技術によるビジネスモデル変革への対応、並びに、全社の業務効率向上を促進するため、ビジネスイノベーション推進室を設置しました。しかしながら、急速な技術革新等による産業構造の急激な変化が起きた場合は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)「中期経営計画2020」に関するリスク

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループは、2020年度を最終年度とする「中期経営計画2020」を策定しております。策定時において適正と考えられる経済状況、産業動向、その他様々な情報、見通しなどに基づき策定しておりますが、事業環境の急激な変化などの様々な要因により、目標に向けた諸施策が計画したとおり進まない可能性や、期待される成果の実現に至らない可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社における重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 3 重要な会計方針」をご参照下さい。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度(以下、当期という)は、中国経済の減速と米中貿易摩擦などによって、これまで堅調な消費により支えられてきた世界経済が、減速の兆しを見せ始めました。
 米国は、米中貿易摩擦のもたらす影響の不透明感や、上下院のねじれ構造を背景とした債務問題などから、一時株価が軟調に推移したこともありましたが、緩和を含めた柔軟な金融政策への方針転換、税制改革などに起因する底堅い個人投資や設備投資、及び、概ね安定した企業業績を背景に、経済は堅調に推移しました。一方で、米中貿易摩擦、イラン制裁強化などの米国の対外政策が、世界経済やコモディティ価格に影響を与える結果となりました。
 欧州は、米国の中国やEUに対する貿易摩擦、中国経済の減速を主因とした輸出の伸び悩みによりドイツを中心として経済成長が鈍化しました。米国、ドイツ間の貿易交渉の影響や、英国の合意なきEU離脱に対する懸念など、不透明感が増しています。
 中国は、インフラ投資や減税などの景気対策が打ち出されていますが、更なる経済の減速が懸念されます。米国との貿易摩擦の悪化・中長期の影響については、注視する必要があります。
 アジアは、米国の利上げ観測の後退から各国通貨が買い戻されたことに加え、中国経済の減速の影響を受けるものの比較的堅調な内需により経済は底堅く推移しました。
 日本は、中国経済の減速や米中貿易摩擦の影響を受けましたが、個人消費や設備投資が底堅く推移し、概ね安定的な経済成長となりました。

 

当期の経営成績を分析しますと、次のとおりであります。

 

収益は、石炭などの資源価格の上昇や取扱数量増加による金属・資源での増収や、国内外自動車ディーラー事業などの新規取得による自動車での増収などにより、1兆8,561億90百万円と前期比2.19%の増収となりました。
 売上総利益は、収益の増加などにより、前期比85億76百万円増加の2,409億56百万円となりました。
 税引前利益は、売上総利益の増益に加え、LNG事業会社の増益などによる持分法による投資損益の増益などにより、前期比145億39百万円増加の948億82百万円となりました。
 当期純利益は、税引前利益948億82百万円から、法人所得税費用196億62百万円を控除した結果、前期比135億25百万円増加の752億19百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期純利益(以下、当期純利益という)は前期比135億77百万円増加し、704億19百万円となりました。
 在外営業活動体の換算差額やその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の減少がありましたが、当期純利益の増益などにより、当期包括利益は前期比36億22百万円増加し、549億48百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期包括利益は前期比35億8百万円増加し、509億38百万円となりました。

 

次に、これをセグメント別に分析しますと、以下のとおりであります。

 

なお、2018年4月1日付にて「航空産業・情報」、「環境・産業インフラ」、「エネルギー」を再編し、「航空産業・交通プロジェクト」、「機械・医療インフラ」、「エネルギー・社会インフラ」へ変更しております。また、「石炭・金属」の名称を「金属・資源」へ変更しております。

 

 

<自動車>

収益は、国内外自動車ディーラー事業などの新規取得などにより、2,424億99百万円と前期比28.9%の増収となりました。当期純利益は、自動車関連会社の売却によるその他の収益・費用の増益などがありましたが、持分法による投資損益の減益などにより、前期比1億6百万円減少し、64億9百万円となりました。

ロシア卸売事業での通貨安の影響などがあったものの、新興国を中心とした自動車需要の増加に加え、国内外自動車ディーラー事業や北米部品品質検査事業などの取り組みが着実に収益に貢献したことなどより、計画を上回りました。また、新規自動車組立・卸売事業、Fintechサービス事業の推進など、将来の成長に向けた機能強化の取り組みを実行しました。

 

<航空産業・交通プロジェクト>

収益は、前期における新造船引渡しの影響などにより、278億11百万円と前期比19.0%の減収となりました。当期純利益は、航空機機体売却によるその他の収益・費用の増益などにより、前期比6億84百万円増加し、39億62百万円となりました。

当社が強みを持つ航空機関連ビジネスが堅調に推移したことに加え、インド貨物鉄道敷設案件の着実な進捗などにより、概ね計画通りに推移しました。当期は、ビジネスジェット事業の拡大、下地島空港(沖縄県宮古島市)運営事業への参入など、航空産業分野での事業領域の拡大、国内外での空港関連ビジネスの追求により、新たな収益基盤の構築に向けた施策を実行しました。

 

<機械・医療インフラ>

収益は、産業機械取引の減少などにより、1,070億10百万円と前期比8.0%の減収となりました。当期純利益は、前期におけるインフラ関連の収益貢献の影響などにより、前期比29億8百万円減少し、27億63百万円となりました。

産業機械、医療インフラ事業といった主要事業が堅調に推移し、全体としては計画通りに推移しました。トルコ・イスタンブールでのPPP(官民連携)型病院運営事業の建設は順調に進捗し、医療関連ビジネスの拡大に向けた取り組みを着実に進めると共に、タイのエンジニアリング会社に出資するなど、新たなビジネスモデルの確立に向けた施策を実行しました。

 

<エネルギー・社会インフラ>

収益は、石油製品取引の減少などにより、747億91百万円と前期比35.6%の減収となりました。当期純利益は、海外太陽光発電事業会社の売却によるその他の収益・費用の増益や、LNG事業会社の増益などによる持分法による投資損益の増益などにより、前期比116億8百万円改善し、57億86百万円となりました。

当期は国内外太陽光発電事業の新規運転開始及び安定的な稼働、資源価格の好調な推移などにより、計画を上回りました。米国で2件目となるガス火力発電事業やインドネシアにおけるGas-to-Powerプロジェクトの着工など、エネルギー供給や発電事業などのサービス提供の拡大を推進しました。国内・海外におけるクリーンなエネルギーのバリューチェーン展開により、市況の影響を受けにくい収益基盤の確立を進めてまいります。

 

<金属・資源>

収益は、石炭などの資源価格の上昇や取扱数量増加などにより、3,831億70百万円と前期比18.2%の増収となりました。当期純利益は、売上総利益の増益に加え、持分法による投資損益の増益などにより、前期比85億81百万円増加し、304億63百万円となりました。

石炭をはじめとした資源価格の上昇と取扱数量の増加などにより、期初計画を大幅に上回りました。当期は、豪州原料炭炭鉱の権益取得やインドネシア一般炭炭鉱一部売却に向けた合意など、上流権益の資産入れ替えによる資産ポートフォリオの最適化に加え、次世代EV電池材料の共同開発契約の締結など、社会要請・変化に対応した新規事業開発を推進し、安定収益基盤の構築に向けた取り組みを実行しました。

 

<化学>

収益は、低採算取引からの撤退などにより、5,051億1百万円と前期比2.0%の減収となりました。当期純利益は、メタノール価格の上昇などによる売上総利益の増益などにより、前期比2億82百万円増加し、89億84百万円となりました。

主要事業であるメタノール事業は市況価格の上昇などにより好調な推移となりましたが、合成樹脂事業などにおける米中貿易摩擦による景気減速などの影響により、計画を下回りました。当期は、低採算事業からの撤退や、グローバルトレードの拡大を行うなどの事業基盤を強化する取り組みを推進しました。

 

<食料・アグリビジネス>

収益は、飼料原料取引の減少などにより、1,282億93百万円と前期比10.5%の減収となりました。当期純利益は、海外肥料事業での減益などにより、前期比17億49百万円減少し、22億80百万円となりました。

海外肥料事業における原料コストの上昇や販売数量の減少などにより計画を下回る推移となりました。当期は、優良な事業資産の拡充に向け、中国でのマグロ加工事業の買い増しやフィリピン肥料事業での大型改修への着手、ベトナムの食料・アグリビジネス大手への出資及び戦略的業務提携を締結するなどの取り組みを実行しました。

 

<リテール・生活産業>

収益は、ベトナムの大手製紙会社の新規取得や牛肉取引の増加などにより、3,173億73百万円と前期比8.5%の増収となりました。当期純利益は、前期比85百万円増加し、57億24百万円となりました。

消費財流通事業などの主要事業が堅調に推移し、食肉取引が増加するなど、概ね計画通りの結果となりました。当期は、ベトナムの大手製紙会社を買収するなど、将来的な需要拡大が見込まれるアセアンにおいて、リテール事業のさらなる拡大と多様化に向けた取り組みを実行しました。

 

<産業基盤・都市開発>

収益は、不動産取引の減少などにより、332億67百万円と前期比27.5%の減収となりました。当期純利益は、前期比10億52百万円減少し、10億87百万円となりました。

海外工業団地事業での販売は順調に推移しましたが、国内不動産事業での販売減などにより計画を下回る推移となりました。当期は、国内ではリート事業や建物管理事業、保育所運営事業による収益力強化、海外ではベトナムで新たに工業団地の販売代理を開始した事に加え、スマートシティ化を含めた複合都市インフラ開発を推進すると共に、地方自治体等との相互協力による地元企業の海外進出支援を積極的に進めました。

 

(3) 資本の財源と資金の流動性及び調達状況について

① 財政状態

当期末の資産合計は、航空機関連の回収に伴うその他の流動資産の減少などにより、前期末比532億92百万円減少の2兆2,970億59百万円となりました。
 負債合計は、営業債務及びその他の債務(流動)が煙草関連で減少したことなどにより、前期末比897億76百万円減少の1兆6,354億51百万円となりました。
 資本のうち当社株主に帰属する持分合計は、為替や株価の変動によるその他の資本の構成要素の減少がありましたが、当期純利益の積み上がりにより、前期末比318億31百万円増加の6,182億95百万円となりました。
 この結果、自己資本比率(※)は26.9%となりました。また、有利子負債総額から現金及び現金同等物、及び定期預金を差し引いたネット有利子負債は前期末比187億39百万円減少の5,847億11百万円となり、ネット有利子負債倍率(※)は0.95倍となりました。
 
※ 自己資本比率及びネット有利子負債倍率の算出には、親会社の所有者に帰属する持分を使用しております。

 

次に、これをセグメント別に分析しますと、以下のとおりであります。

 

<自動車>

当期末のセグメント資産は、関連会社の売却などによる持分法で会計処理されている投資の減少などにより、前期末比144億45百万円減少の1,677億77百万円となりました。

 

<航空産業・交通プロジェクト>

当期末のセグメント資産は、航空機関連の回収に伴うその他の流動資産の減少などにより、前期末比349億27百万円減少の1,301億81百万円となりました。

<機械・医療インフラ>

当期末のセグメント資産は、産業機械取引における一時的な棚卸資産およびその他の流動資産の増加などにより、前期末比45億27百万円増加の1,214億96百万円となりました。

 

<エネルギー・社会インフラ>

当期末のセグメント資産は、関連会社の取得による持分法で会計処理されている投資の増加などにより、前期末比56億74百万円増加の2,844億73百万円となりました。

 

<金属・資源>

当期末のセグメント資産は、取扱数量増加による営業債権及びその他の債権の増加や、持分法で会計処理されている投資の増加などにより、前期末比526億45百万円増加の4,645億65百万円となりました。

 

<化学>

当期末のセグメント資産は、海外地域における化学品、合成樹脂取引の減少による営業債権及びその他の債権の減少などにより、前期末比63億1百万円減少の2,985億74百万円となりました。

 

<食料・アグリビジネス>

当期末のセグメント資産は、飼料原料取引の減少による営業債権及びその他の債権の減少などにより、前期末比53億61百万円減少の1,251億16百万円となりました。

 

<リテール・生活産業>

当期末のセグメント資産は、煙草関連取引の減少による棚卸資産の減少などにより、前期末比280億85百万円減少の3,957億38百万円となりました。

 

<産業基盤・都市開発>

当期末のセグメント資産は、前期末比35百万円増加の725億43百万円となりました。

 

② キャッシュ・フロー

当期のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは964億76百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは422億円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは749億7百万円の支出となりました。これに現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は2,856億87百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当期の営業活動による資金は、営業収入及び配当収入などにより964億76百万円の収入となりました。前期比では23億36百万円の収入減少となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当期の投資活動による資金は、投資の売却などによる収入がありましたが、米国ガス火力発電事業への投資及び豪州原料炭炭鉱権益の取得などによる支出により422億円の支出となりました。前期比では442億7百万円の支出減少となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当期の財務活動による資金は、借入金の返済による支出などにより749億7百万円の支出となりました。前期比では618億55百万円の支出増加となりました。

 

③ 資金の流動性と資金調達について

当社グループは、当期を初年度とする「中期経営計画2020」におきまして、従来と同様に、資金調達構造の安定性維持・向上を財務戦略の基本方針とし長期調達比率の維持、また経済・金融環境の変化に備えた十分な手元流動性の確保により、安定した財務基盤の維持に努めており、当期末の流動比率は157.1%、長期調達比率は82.9%となりました。
 長期資金調達手段のひとつである普通社債につきましては、当期は発行しておりませんが、引き続き金利や市場動向を注視し、適切なタイミング、コストでの起債を検討してまいります。
 また、資金調達の機動性及び流動性確保の補完機能を高めるため、円貨1,000億円(未使用)及び19億米ドル(3.1億米ドル使用)の長期コミットメントライン契約を有しております。

 

(目標とする経営指標の達成状況等)

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 今後の見通し及び対処すべき課題」をご参照下さい。

 

(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)

  日本基準により作成した場合の連結財務諸表との差異

IFRSにより作成した連結財務諸表と日本基準により作成した場合の連結財務諸表との差異の主な内容及び概算額は、以下のとおりであります。

 

(収益の表示方法)

日本基準では、当社グループが当事者として行った取引額及び当社グループが代理人として関与した取引額を総額で売上高として表示しますが、IFRSでは、代理人として関与したと判定される取引については純額で収益を表示します。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当期の商品の販売に係る収益及び原価がそれぞれ約2兆2,626億円減少しております。

 

(のれんの償却に関する事項)

のれんについて、日本基準では一定の期間で償却しますが、IFRSでは償却を行いません。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当期の販売費及び一般管理費が約57億円減少しております。

 

(販売、仕入及び成約の状況)

 ① 販売の状況

「(2) 当連結会計年度の経営成績の分析」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 5 セグメント情報」をご参照下さい。

 

 ② 仕入の状況

仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。

 

 ③ 成約の状況

成約は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。

 

※将来情報に関するご注意

上記の文中における将来に関する事項は、現在入手可能な情報から当社が当期末現在において合理的であるとした判断及び仮定に基づいて記載しております。「2 事業等のリスク」に記載の要因及びその他の要因により、実際の連結業績は見通しとは異なる可能性があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

特記事項はありません。