第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の国内景気は、海外経済や金融資本市場の変動のリスクはあるものの、雇用情勢・所得環境等の改善が続くなか、緩やかな回復基調が続いています。

当社グループは平成28年5月に「16-18中期経営計画 明日への躍進」を発表し、グループ経営方針(Challenge 3)として掲げた「グループ一体となった事業強化」「健康・医療関連領域の拡充」「環境変化に先駆けた事業モデルの変革」に取り組み、企業価値の持続的な成長に注力してまいりました。

当連結会計年度の業績は、売上高2兆5,518億1百万円(前期比1.0%減)、営業利益332億28百万円(同26.6%減)、経常利益436億28百万円(同21.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益308億93百万円(同11.7%減)となりました。

 

セグメントの業績は、以下のとおりであります。

 

① 医療用医薬品等卸売事業

当連結会計年度の医療用医薬品市場は、平成28年4月の市場拡大再算定の特例を含む薬価引き下げ、後発医薬品への切り替えに伴う長期収載品の減少、およびC型肝炎治療薬の需要の一巡等の影響を受け、全体としては前年比3.8%減と、マイナス成長になりました(クレコンリサーチ&コンサルティング株式会社推定)。このようななか、当社グループの医療用医薬品等卸売事業におきましては、16-18中期経営計画のセグメント別重点施策として掲げた「営業改革・物流改革の推進」「グループ全体最適の追求」および業界共通の最重要課題である「流通改革の推進」に取り組み、医療用医薬品No.1卸として今後の環境変化に先駆けた事業基盤のさらなる強化を進めました。

当社連結子会社であるアルフレッサ株式会社(本社:東京都千代田区)は、平成28年7月に当社連結子会社であるティーエスアルフレッサ株式会社(本社:広島市西区)の九州エリアにおける医療用医薬品等卸売事業を統合し、平成28年10月には東海地方を営業エリアとする当社連結子会社のシーエス薬品株式会社(本社:名古屋市中区)を合併いたしました。経営資源を有効かつ効率的に活用することにより、地域に密着した営業基盤のさらなる強化を図ってまいります。 

物流面では、アルフレッサ株式会社が平成27年に稼働した大阪物流センター(所在地:大阪市北区)に続いて、平成28年5月に京都医薬品センター(所在地:京都市伏見区)を稼動しました。両センターは多くの医療機関が集まる大阪、京都の中心部に位置し、地域に密着した安心・安全な医薬品流通の中核拠点として地域医療へ貢献してまいります。

成長分野においては、医療機器・診断薬等の医療関連商品への取り組みを強化したほか、希少疾病用医薬品・希少疾病用医療機器等の流通事業を行うために設立したエス・エム・ディ株式会社(本社:東京都千代田区)を起点として、国内最大の医療用医薬品流通ネットワークを有するアルフレッサグループと富田薬品株式会社(本社:熊本市中央区)ならびに株式会社モロオ(本社:札幌市中央区)の連携を強化することによって、スペシャリティ医薬品流通において全国有数のカバー率を実現し、スペシャリティ医薬品を必要としている全国の患者様や医療機関、医薬品メーカー等への対応力を強化いたしました。

当連結会計年度の業績は、売上高2兆2,514億34百万円(前期比1.7%減)、営業利益279億28百万円(同31.9%減)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高119億40百万円(同0.7%増)を含んでおります。

 

② セルフメディケーション卸売事業

セルフメディケーション卸売事業におきましては、16-18中期経営計画のセグメント別重点施策として掲げた「さらなる事業基盤の強化」「付加価値営業の強化」に取り組みました。全社で推進している物流改革によるコスト削減を徹底したほか、お得意様に新たな付加価値を提案するソリューション型商談会を開催し、また利益率の高い専売商品の品ぞろえを拡充しました。当社グループのシェアの上昇等もあり、当連結会計年度は安定的な利益を確保することができました。

当連結会計年度の業績は、売上高2,513億55百万円(前期比2.6%増)、営業利益21億27百万円(同66.0%増)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高14億7百万円(同80.9%増)を含んでおります。

 

 

③ 医薬品等製造事業

医薬品等製造事業におきましては、16-18中期経営計画のセグメント別重点施策として掲げた「製造受託・医薬品原薬事業の推進」「製品ラインナップの拡充と販売力強化」「海外事業の拡充」に取り組みました。

平成28年4月、製造受託事業を行うサンノーバ株式会社(本社:群馬県太田市)を当社の連結子会社としました。当社グループ全体で製造受託の新規契約獲得への取り組みを強化し、製造受託の原価低減を推進しました。医薬品原薬事業では新規の生産設備の導入や新製品の開発に努めました。

当社連結子会社であるアルフレッサ ファーマ株式会社(本社:大阪市中央区)は、平成28年7月にサノフィ株式会社(本社:東京都新宿区)と共同開発した抗てんかん薬「サブリル®散分包500mg」を発売したほか、平成29年2月にアークレイ株式会社(本社:京都市中京区)と共同開発した全自動便尿分析装置「AA01」を発売いたしました。

さらに、中国市場における手術用縫合糸等の需要の拡大に応えるため、アルフレッサ ファーマ株式会社は、平成28年11月、同社子会社である青島耐絲克医材有限公司(本社:中国・山東省青島市)の敷地内に新工場棟を竣工いたしました。

当連結会計年度の業績は、売上高414億19百万円(前期比31.3%増)、営業利益25億95百万円(同44.0%増)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高93億28百万円(同1.6%減)を含んでおります。

 

④ 医療関連事業

医療関連事業の調剤薬局事業子会社におきましては、平成28年4月の薬価改定および調剤報酬改定による影響等があり、厳しい状況となりました。こうしたなか、16-18中期経営計画のセグメント別重点施策として掲げた「業態変化への取り組み」として、かかりつけ薬局対応を進めたほか、付加価値の向上や業務効率の改善を目的として、グループ内の連携を推進いたしました。

当連結会計年度の業績は、売上高302億67百万円(前期比3.4%減)、営業利益5億33百万円(同52.1%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、90億92百万円増加し、1,675億54百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、前連結会計年度と比較して以下のとおりであります。 

 

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果、増加した資金は343億42百万円(前期は378億36百万円の増加)となりました。これは主として、「税金等調整前当期純利益」446億84百万円ならびに「減価償却費」91億51百万円の計上に加えて、「売上債権の減少」129億85百万円「たな卸資産の減少」27億85百万円、ならびに「利息及び配当金の受取額」25億85百万円があった一方で、「仕入債務の減少」109億97百万円ならびに「法人税等の支払額」212億円があったことによるものです。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果、減少した資金は134億9百万円(前期は152億45百万円の減少)となりました。これは主として、物流拠点の整備を中心とした「有形固定資産の取得による支出」106億48百万円ならびに事業拡大投資としての「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出」64億59百万円があった一方で、「有形固定資産の売却による収入」61億50百万円によるものです。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果、減少した資金は118億7百万円(前期は259億96百万円の減少)となりました。これは主として「リース債務の返済による支出」19億8百万円「配当金の支払額」73億67百万円、ならびに「連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出」23億58百万円があったことによるものです。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当連結会計年度の生産、受注、仕入、および販売の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(1) 生産実績

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品等製造事業

31,201

188.4

 

 

(注)1.医療用医薬品等卸売事業、セルフメディケーション卸売事業、および医療関連事業については、該当ありません。

2.金額は販売見込価格によっており、消費税抜きで表示しております。

3.当連結会計年度においてサンノーバ株式会社を連結の範囲に含めたことにより、生産高が増加しております。

 

(2) 受注状況

医薬品等製造事業における一部の製品は受注生産でありますが、納入までの期間が短く、かつ納入計画に基づいて生産計画を策定し、これに基づき生産を行っていることから、受注残高に重要性はないため記載を省略しております。

 

(3) 仕入実績

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医療用医薬品等卸売事業

2,114,960

98.8

セルフメディケーション卸売事業

227,264

102.2

医薬品等製造事業

11,915

121.4

医療関連事業

20,240

98.5

合計

2,374,380

99.2

 

 

(注)1.金額は実際の仕入額によっており、消費税抜きで表示しております。

2.セグメント間の内部仕入高は225億55百万円(前期比102.1%)であり、上記金額に含めております。

 

(4) 販売実績

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医療用医薬品等卸売事業

2,251,434

98.3

セルフメディケーション卸売事業

251,355

102.6

医薬品等製造事業

41,419

131.3

医療関連事業

30,267

96.6

合計

2,574,476

99.1

 

 

(注)1.金額は、消費税抜きで表示しております。

2.セグメント間の内部売上高は226億76百万円(前期比102.5%)であり、上記金額に含めております。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

アルフレッサグループは、グループ理念体系として「私たちの思い」「私たちのめざす姿」「私たちの約束」を定めております。グループ理念体系の具現化に向けて、平成31年3月期を最終年度とする「16-18中期経営計画 明日への躍進」を策定し、グループ経営方針(Challenge 3)として、①グループ一体となった事業強化、②健康・医療関連領域の拡充、③環境変化に先駆けた事業モデルの変革を掲げております。本計画における諸政策を着実に遂行し、企業価値の向上を目指します。

 

<グループ経営方針(Challenge 3)>

1.グループ一体となった事業強化

医療機関・調剤薬局やメーカー等への総合的な取り組みのなかで、各事業セグメントが持つ強みを束ねてグループシナジーを発揮することにより、アルフレッサグループブランドの浸透を図ってまいります。

 

2.健康・医療関連領域の拡充

医療用医薬品サプライチェーンを中心とする当社の特色ある事業モデルを強化するため、健康・医療関連領域を中心に経営資源を投入してまいります。

 

3.環境変化に先駆けた事業モデルの変革

事業環境の変化に先駆けて各事業セグメントの変革を進め、収益基盤の強化や事業拡大に向けた取り組みを進めてまいります。さらに国内の強い事業モデルで培ったノウハウを梃子にして、アジアを中心とした海外事業の展開も進めてまいります。

 

(2) 経営戦略等

アルフレッサグループは、平成31年3月期を最終年度とする「16-18中期経営計画 明日への躍進」の中で、経営戦略としてセグメント別の重点施策を次のように策定しております。

 

<医療用医薬品等卸売事業>

医療用医薬品No.1卸として、変化に先駆けた収益構造の強化を図る。

1.営業改革・物流改革

(1) お得意様特性に応じた営業機能の改革

(2) 地域包括ケアシステムへの取り組み

(3) さらなる営業物流の効率化

(4) スペシャリティ医薬品流通の対応強化

2.グループ全体最適の追求

(1) 全国物流を視野に入れた物流拠点の最適化

(2) カスタマーサポートの全国展開の推進

3.流通改革の推進

 

<セルフメディケーション卸売事業>

事業基盤の強化を行うとともに、商品力、販売力の強化による他社との差別化を図る。

1.さらなる事業基盤の強化

(1) 物流を起点とした全社改革

(2) 利益管理のさらなる強化

2.付加価値営業の強化

(1) 専売商品の発掘、育成

(2) 調剤薬局への販売強化(グループ医療用医薬品卸売会社との連携)

(3) ネット販売拡大への対応強化

 

 

<医薬品等製造事業>

事業拡大に向けた生産体制の強化と戦略投資を実行する。

1.安心・安全・誠実なモノづくりの推進

(1) 医薬品医療機器等法、PIC/S GMP基準への対応

(2) 生産能力、品質管理のさらなる強化

2.製造受託・医薬品原薬事業の推進

(1) アルフレッサ ファーマ㈱とサンノーバ㈱との営業連携・技術交流の推進

(2) 新規医薬品原薬製品の開発・販売強化

(3) 戦略投資の拡大

3.製品ラインナップの拡充と販売力強化

(1) 成長領域におけるアルフレッサ ファーマ㈱製品のラインナップ拡充

(2) グループ医療用医薬品卸売会社との販売連携

4.海外事業の拡充

アルフレッサ ファーマ㈱製品の海外販売の強化

 

<医療関連事業(調剤薬局事業)>

事業拡大と収益力の向上を行うとともに、調剤薬局の機能強化に向けた展開を図る。

1.収益力の向上

(1) 新規出店等の事業拡大の推進

(2) 効率化・機能強化(薬剤師教育、リスク対応強化など)

2.業態変化への取り組み

立地から機能への転換

 

また、投資計画として、平成29年3月期から平成31年3月期までの3カ年累計で1,000億円規模の投資を予定しております。投資計画の主な内訳と調達原資は以下のとおりです。

 

<投資計画(累計)> 主な内訳

1.成長投資

(1) 医療用医薬品等卸売事業 : 約420億円

(2) 医薬品等製造事業        : 約120億円

2.事業拡大投資            : 約400億円

  

<調達原資(累計)>

1.当期純利益        : 約930億円

2.償却費等         : 約350億円

 

(3) 目標とする経営指標

「16-18中期経営計画 明日への躍進」で目標とする経営指標は次のとおりです。

目標とする経営指標

平成31年3月期

売上高(連結)

2兆7,000億円

営業利益率(連結)

1.5%以上

親会社株主に帰属する当期純利益率

1.2%以上

ROE

8%水準

株主還元

DOE(注) 2.0%以上

 

(注)DOE:連結純資産配当率

 

 

(4) 経営環境

当連結会計年度の医療用医薬品市場は全体としては3.8%減と、マイナス成長になりました(クレコンリサーチ&コンサルティング株式会社推定)。今後の医療用医薬品市場は、中間年の薬価改定の影響や、後発医薬品の拡大および長期収載品の縮小などが予想されていますが、高齢化の進展や新薬の寄与等により、緩やかながら伸長するものと予想しております。

また、2025年の医療・介護サービスの将来像に向けた地域医療構想がまとめられるなか、地域包括ケアシステムの進展により、各自治体の医療・介護機能の供給体制が中長期的に変化していくことが予想されています。こうした医療・介護制度の変化は、お得意様である医療機関や調剤薬局との関係や、仕入先である医薬品メーカーとの関係に影響する可能性があります。

医療用医薬品No.1卸である当社グループは、16-18中期経営計画に掲げた施策を着実に実行することで経営環境の変化に先駆けて自らを変革し、生産性の向上や経営効率のさらなる改善により、企業価値の継続的な向上を図ってまいります。

 

(5) 対処すべき課題

アルフレッサグループは、日本の社会インフラである医薬品サプライチェーンを製造、卸売、調剤薬局等の各事業領域で支えており、必要な時に、必要な医薬品を、必要な場所へ、安定的に供給することに貢献しております。アルフレッサグループ理念体系の「私たちの思い」に掲げた「すべての人に、いきいきとした生活を創造しお届けします」というスローガンは企業としての社会的責任を認識したものであり、それを実現する手段として、同じ理念体系のなかで、「健康に関するあらゆる分野の商品・サービスを提供できるヘルスケアコンソーシアムをめざします」という「私たちのめざす姿」を定めています。

当社グループでは、アルフレッサグループ理念体系の具現化に向けて、「グループ一体となった事業強化」「健康・医療関連領域の拡充」「環境変化に先駆けた事業モデルの変革」をグループ経営方針(Challenge 3)とする16-18中期経営計画に取り組み、企業価値の持続的な成長に注力しています。

 

医療用医薬品等卸売事業におきましては、重点施策として「営業改革・物流改革」「グループ全体最適の追求」「流通改革の推進」に取り組んでおります。

セルフメディケーション卸売事業におきましては、「さらなる事業基盤の強化」「付加価値営業の強化」を重点施策としています。

医薬品等製造事業におきましては、重点施策として「安心・安全・誠実なモノづくりの推進」「製造受託・医薬品原薬事業の推進」「製品ラインナップの拡充と販売力強化」「海外事業の拡充」に取り組んでいます。

医療関連事業におきましては、調剤薬局事業の事業基盤を強化する取り組みとして、16-18中期経営計画の重点施策である「収益力の向上」「業態変化への取り組み」をさらに徹底してまいります。

 

なお、各事業セグメントの重点施策の詳細は、「3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略等」に記載しております。

 

 

4 【事業等のリスク】

投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境について

当社グループが主に事業を展開する医療用医薬品業界は、健康保険制度ならびに医療行政の影響を強く受けます。そのため、薬価改定に代表される告示等は当社グループの業績に直接的な影響を与え、また、制度の大幅な変更が行われた場合は業績に重大な影響を与える可能性があります。

現在、高齢化の進展、生活習慣病の拡大により国民医療費は増加傾向にあります。しかし、医療保険財源の支払能力は低下しているため、診療報酬の包括払いの導入、自己負担の見直し、後発医薬品の普及促進策や薬価基準制度の見直しなどの医療費抑制を目的とした様々な医療制度改革が実施されております。また、医薬分業の進展により販売先の構成が変わりつつあり、病院・診療所に代わり調剤薬局の売上構成比が高くなっております。さらに、国立病院の独立行政法人化や医療機関の購入形態の変化に伴い販売価格の低下が懸念されております。当社グループは、仕入から売上債権回収までの一連の営業活動のこれらの状況への適合を進めておりますが、当該取り組みの状況によっては当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 薬価の改定について

当社グループの主要取扱商品である医療用医薬品の価格は、厚生労働大臣の告示によって公定されています。この公定価格が「薬価」(正式には「使用薬剤の公定価格」)であります。実質的に販売価格の上限として機能している薬価については、市場における実勢価格や需要動向に応じて、概ね2年に一度引き下げ改定が行われており、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 法的規制について

当社グループは、医療用医薬品の卸・製造販売を主な事業としております。したがって、事業活動を行うにあたり、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」および関連法規等の規制により、免許・許可の登録および指定や、開発、製造、輸入に関し様々な承認許可が必要となります。監督官庁の許認可の状況により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 特有の取引慣行について

当社グループが主に事業展開する医療用医薬品卸売業界においては、医薬品が生命関連商品であり、納入停滞が許されないという性質上、価格未決定のまま医療機関等に納品し、その後卸売業者と医療機関との間で価格交渉を行うという特有の慣行が旧来より続いております。お得意様である医療機関、保険薬局との価格交渉の早期妥結をはじめとした流通改革には継続して取り組んでおりますが、交渉が難航した場合、当社グループでは合理的な見積もりにより決定予想価格を算出して売上計上しております。価格交渉が長期化する可能性や当初予想と異なる価格での決定となる可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 製造事業に係るリスクについて

当社グループの医薬品等製造事業においては、医薬品原薬の開発、製造、販売、医薬品等の開発、製造、販売を行っております。製品開発については全ての品目が発売できるとは限らず、途中で開発を断念しなければならない場合や他社からの導入等も行えない場合があります。また、製品および原材料の一部には特定の取引先にその供給、販売を依存している品目があります。何らかの理由により調達・製造・販売活動に遅延または停止するような事態が発生する可能性があります。

さらに、製品の開発から製造の段階において安全性、信頼性には万全を期しておりますが、予期しない副作用や異物混入などによる製品回収や販売中止等が発生し、訴訟を提起されるリスクがあります。このような場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6) 調剤薬局に係るリスクについて

当社グループの医療関連事業における調剤業務は薬剤師(人)に負うところが大きく、調剤過誤が発生する可能性があります。医療用医薬品の場合、用法・用量に厳格な制限があり、他の薬剤との相互作用や中毒症状の発症など、医療トラブルが発生する可能性があります。発生した場合、損害賠償に加え、既存顧客の信用および社会的信用を失うこととなり、当社グループの売上高および業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、薬剤師法第19条において薬剤師以外の調剤を禁じていることや、医薬品医療機器等法および厚生労働省令等によって、薬局への薬剤師の配置および配置人数を厳しく規制しております。従って、営業時間を通じて薬剤師の必要人員数が確保されない場合には、当社グループの薬局の維持、新規開設、および業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) システムトラブルについて

当社グループの事業活動においては、コンピュータネットワークシステムに大きく依拠しており、災害や事故等によりシステムが機能停止した場合、リカバリーシステムによる復旧までに時間を要し、販売物流を中心とした営業活動の一部に支障をきたし、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 海外との取引について

当社グループは、中華人民共和国に医薬品等製造事業の生産拠点の一部や事業拠点を設けております。また、ベトナム社会主義共和国にも事業拠点を置いております。こうした海外における事業活動や日本と海外との間の製品・商品の輸出入取引において、政治的摩擦や為替の急激な変動等が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 資金調達に係る財務制限条項について

当社グループは安定的な資金調達を図るため、株式会社三菱東京UFJ銀行を主幹事とするシンジケートローン契約およびコミットメントライン契約を締結しております。本契約には一定の財務制限条項が付されており、これらに抵触した場合、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる等、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 情報流出について

当社グループは、重要な機密情報、顧客情報、および各種の個人情報等を保有しており、これらの情報の外部への流出を防止するため、法令等に基づいた社内規程の整備と運用の徹底を図っております。不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜や損害賠償や取引停止処分、流出の影響を受けた顧客その他関係者への補償等により、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 自然災害について

当社グループは医薬品等卸売事業において、物流機能が大きな役割を果たしております。震災等の自然災害により物流機能が毀損した場合、販売物流活動に大きな支障をきたし、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術援助等を受けている契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

対価

契約期間

アルフレッサ
ファーマ㈱

(連結子会社)

ファイザー㈱

日本

医療用医薬品(グアナベ
ンツ)の製造に関する技

一定料率のロ
イヤリティの
支払

昭和60年8月22日から
10年間(以降1年毎自
動更新)

 

 

(2) 販売提携契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

対価

契約期間

アルフレッサ
ファーマ㈱

(連結子会社)

大日本住友製薬㈱

日本

「マイスタン®」販売提携

一定料率のロ
イヤリティの
支払

平成12年5月25日から
10年間(以降1年毎自
動更新)

田辺三菱製薬㈱

日本

「モディオダール®」共
同販売および適応症拡大
に関する共同開発

開発費の按分
負担

平成18年3月27日から
一定期間

 

 

(3) 共同開発契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

対価

契約期間

アルフレッサ
ファーマ㈱

(連結子会社)

サノフィ㈱

日本

抗てんかん薬「ビガバト
リン」の共同開発

なし

平成23年9月30日から
一定期間

 

 

(4) 業務提携契約

契約会社名

相手先の名称

契約内容

契約締結日

アルフレッサ
ホールディングス
㈱ (当社)

アルフレッサ
ヘルスケア㈱

(連結子会社)

㈱あらた

㈱日本アクセス

 

食品、日用品、および一般用医薬品等の卸売事業に関連する営業、物流、事業開発等の分野に於いて、それぞれの企業グループが保有する経営資源を有効に活用し連携する体制を構築し、総合生活提案卸連携として、以下の対象分野について業務提携

(1) 営業機能におけるクロスマーチャンダイジグを含む共同売場提案、店頭販促提案、情報析・提供等による得意先満足度の向上

(2) 物流機能における共同物流、一括物流、共同配送等経営資源の有効活用による物流の効率化

(3) マーケティング機能における各社リテールサポート機能の共同活用による得意先の店頭活性化

(4) 生活消費関連分野での共同商品開発

(5) 中国を中心とする海外での共同事業展開の検討

(6) その他合意する分野

 

平成22年3月26日

アルフレッサ
ホールディングス㈱ (当社)

遼寧成大股份有限公司
(中華人民共和国)

伊藤忠商事㈱

 

中国におけるヘルスケア事業領域において、各社事業シナジーの向上による事業拡大ならびに本当事者の発展・創造を図ることを目的とする以下の項目についての包括的業務提携

(1) 遼寧成大傘下の薬局チェーンである遼寧成大方円医薬連鎖有限公司の競争力強化

(2) 中国における医薬品物流・卸事業展開の検討

(3) 中国政府における「新医療改革」の及ぼす影響の研究ならびにその対応策の検討

(4) 人事交流

 

平成23年3月10日

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループにおきましては、製品の開発管理体制、評価体制を強化・整備して領域を絞り込んだ自社開発を行うとともに、他社からの導入開発および他社との共同開発に積極的に取り組んでおります。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は11億37百万円であり、主な研究開発活動は次のとおりであります。

 

<医薬品等製造事業>

アルフレッサ ファーマ株式会社は、医療用医薬品分野、診断薬分野、医療機器分野において研究開発を進めております。医療用医薬品分野では中枢神経系疾患を主要領域とする研究開発を進めております。平成26年9月に「てんかん重積状態」の新規治療薬としてミダゾラム注射剤「ミダフレッサ静注0.1%」の製造販売承認を取得し、同年12月に発売いたしております。平成24年4月よりサノフィ株式会社と共同開発を進めてきた小児点頭てんかん治療薬「サブリル®酸分包500㎎(一般名:ビガバトリン)」については平成28年3月28日に製造販売が承認され、同年7月に発売しております。また、睡眠障害治療薬「モディオダール®錠(一般名:モダフィニル)」の追加適応症として平成26年1月より特発性過眠症の開発を進め、平成29年1月に製造販売承認申請を行いました。

診断薬分野においては、大腸がん検診等に使用する便潜血機器試薬システムや呼吸器感染症を主領域とした迅速診断キット(POCT)の開発を進めております。平成24年度に便潜血自動分析装置「ヘモテクトNS-Prime」(1月)、平成25年度に「プライムチェック®Flu(インフルエンザ)」(9月)、「プライムチェック®HSV(単純ヘルペス)」(12月)、平成26年度に「プライムチェック®hMPV(ヒトメタニューモウイルス)」(8月)、および平成27年度に「アルソニック®シリーズ3項目Flu、RSV、アデノ」(9月)を発売いたしております。また、アークレイ株式会社と共同開発を進めてきた全自動便尿分析装置「AA01」を平成29年2月に発売しております。

医療機器分野においては、主として外科領域における製品の研究開発を進めており、平成27年7月に鏡視下手術関連製品である「アルノート®」の製造販売認証を取得し、平成27年11月に発売いたしております。また、経済産業省による課題解決型医療機器等開発事業支援のもと、世界初の「がん粒子線治療用の体内吸収性スペーサー」の開発を行っております。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されており、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に関する以下の分析を行っております。

連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値および報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える事項について、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りおよび判断を行い、それらについて継続して評価を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当企業集団の連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

 

① 収益の認識

当社グループは、原則、出荷基準に基づき、売上高を計上しております。出荷時点において販売価格が未決定の商品が一部含まれており、これらについては合理的な決定予想価格を算出して計上しております。したがって、医療機関等との間での価格交渉が長期化する場合や、決定価格が当初予想と異なる可能性があります。

 

② 貸倒引当金

当社グループは、売上債権、貸付金等の債権の貸倒れの損失に備えるため、一般債権については過去の貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を考慮した所要額を計上しております。取引先の財務状況が悪化し、支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

 

③ 投資の減損

当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の取引先、金融機関、ならびに業務提携先企業の株式を所有しております。これらの株式には価格変動性が高い上場会社の株式と、株価の決定が困難である非上場会社の株式が含まれます。当社グループは投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、投資の減損処理を行っております。上場会社の株式への投資の場合、決算期末日における時価が取得原価の50%以上下落した場合、減損処理を行っております。また、時価が取得原価の30%以上50%未満下落した場合、回復可能性等を勘案して減損処理を行っております。非上場会社への投資の場合、1株当たり簿価純資産価額が1株当たり取得価額を50%以上下回った場合に回復可能性等を勘案して減損処理を行っております。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、追加の損失計上が必要となる可能性があります。

 

④ 繰延税金資産等

当社グループは、繰延税金資産等について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するに当たっては、将来の課税所得および実現可能性の高い継続的なタックスプランニングにより検討しますが、繰延税金資産等の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産等の調整額を費用として計上いたします。同様に、計上額を上回る繰延税金資産等を将来回収できると判断した場合は、繰延税金資産等の調整額を利益として計上いたします。

 

⑤ 退職給付に係る負債

従業員に対する退職給付債務および退職給付費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の給与水準、退職率、死亡率、および年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響額は未認識数理計算上の差異としてその他の包括利益累計額に計上され、純資産に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 減損会計

当社グループは、減損会計を適用しておりますが、実質的価値が下落した当社グループの保有資産や収益性の低い事業所等について減損処理がさらに必要となった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 財政状態の分析

① 資産の部

資産は、24億27百万円増加し、1兆2,559億22百万円となりました。

流動資産は、22億62百万円減少し、9,628億72百万円となりました。これは主として、「受取手形及び売掛金」が102億19百万円減少ならびに「有価証券」が380億円減少した一方で、「現金及び預金」が462億55百万円増加したことによるものです。

固定資産は、46億90百万円増加し、2,930億49百万円となりました。これは主として、「建物及び構築物(純額)」が12億26百万円増加「機械装置及び運搬具(純額)」が21億37百万円増加、ならびに「投資有価証券」が33億10百万円増加した一方で、「のれん」が10億29百万円減少したことによるものです。

 

② 負債の部

負債は、223億94百万円減少し、8,623億72百万円となりました。

流動負債は、209億35百万円減少し、8,145億76百万円となりました。これは主として、「支払手形及び買掛金」が104億67百万円減少ならびに「未払法人税等」が79億74百万円減少したことによるものです。

固定負債は、14億58百万円減少し、477億95百万円となりました。これは主として、「退職給付に係る負債」が30億30百万円減少した一方で、「繰延税金負債」が19億94百万円増加したことによるものです。

 

③ 純資産の部

純資産は、248億22百万円増加し、3,935億50百万円となりました。

これは主として、「利益剰余金」が233億31百万円増加、ならびに保有株式の時価の上昇等による「その他有価証券評価差額金」が29億32百万円増加したことによるものです。

 

(3) 経営成績の分析

① 連結売上高

薬価改定の影響や後発医薬品への切り替えに伴う長期収載品の減少、C型肝炎治療薬の需要の一巡、および調剤報酬改定の影響等を背景として、当連結会計年度の売上高は2兆5,518億1百万円(前期比1.0%減)となりました。

 

② 連結営業利益

当連結会計年度の売上総利益は1,825億65百万円(前期比7.4%減)、売上総利益率は7.2%(前期比0.5ポイント減)となりました。費用抑制に努めたことにより販売費及び一般管理費は1,493億36百万円(前期比1.7%減)となりましたが、減収影響が大きく営業利益は332億28百万円(前期比26.6%減)、売上高営業利益率は1.3%(前期比0.5ポイント減)となりました。

 

③ 連結経常利益

当連結会計年度は、「受取配当金」24億61百万円ならびに「受取情報料」59億47百万円をはじめとする営業外収益を109億12百万円計上した一方で、営業外費用を5億12百万円計上して、経常利益は436億28百万円(前期比21.4%減)となりました。

 

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度は、固定資産売却益等で特別利益を36億27百万円計上する一方、「減損損失」15億75百万円を中心に特別損失25億71百万円が発生しております。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は308億93百万円(前期比11.7%減)となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況の分析

営業活動の結果、増加した資金は343億42百万円(前期は378億36百万円の増加)、投資活動の結果、減少した資金は134億9百万円(前期は152億45百万円の減少)、財務活動の結果、減少した資金は118億7百万円(前期は259億96百万円の減少)となりました。

これらのキャッシュ・フローに関する詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。