第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは創業以来の経営理念「顧客第一主義」、「人間尊重」、「一流へのチャレンジ」、「創造的革新」、「企業の社会的貢献」のもと、社名の「ミタチ」の由来であるお客様、仕入先様、当社が「三つで成り立ち」、また「産業」は特定の事業に限定をせず、あらゆる分野に対応、挑戦をしていくことを精神とし、常に新しい視点で物事を見つめ創造し続けることで、さらなる成長を目指してまいります。グローバルかつ中長期的には当社グループのコアとなるエレクトロニクス関連製品やソリューションサービスの需要はさらに高まることが想定される中、エレクトロニクス商社を取り巻く環境は、お客様に必要とされる機能の変化や、技術革新を活かした付加価値商品やサービスの創出、社会・環境課題への貢献など、企業間での競争は一層厳しさを増しております。このような大きな変化を勝ち抜くため、お客様から魅力を感じていただけるよう、商材とサービスのさらなる拡充を追求し、企業価値の持続的な向上を目指してまいります。

 当社グループは、このような環境のもと、変化する時代を勝ち抜く企業であることを目指し、2025年5月期から2027年5月期までの3ヶ年の新中期経営計画「中期経営計画2026」を策定し、この経営計画のもと、グループのさらなる発展に向け重点施策の推進に努めております。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

<基盤ビジネスの強化・拡大>

 当社グループの基盤である事業分野において、営業・生産活動と機能・拠点の強化を行い、売上と利益の規模・事業領域を拡大し、収益基盤の強化を図ってまいります。

①モビリティ分野での取組強化

②産業機器分野をはじめとした、自動化・省人化・効率化領域での取組強化

③民生・アミューズメント分野での、市場環境の変化に適応した取組

④EMS+周辺領域の対応による、統合型ものづくりプロバイダーへの進化

⑤仕入先と一体となった営業活動

⑥グローバルネットワークの強化による対応力の強化

⑦協業、M&Aの活用による成長の加速

 

<新たな収益基盤の創出>

 “MONOもKOTOも”のスローガンのもと、エレクトロニクスとデジタル技術をコアとした新たな価値提供によるビジネスモデルの構築と、収益基盤の創出を進めてまいります。

①お客様への複合的なサービス提供によるビジネス領域の拡大

②お客様課題の解決を実現するための技術力・開発力の強化

③お客様満足を目的とした、新しい商社機能の探求と確立

④社会的価値と経済的価値が両立する新規事業の創出と展開

⑤協業、共創、M&Aによる成長の加速

⑥グローバルレベルでの取扱い商材の拡充

⑦リアル、デジタルを活用した新規顧客の獲得

 

<健全な経営基盤の維持・強化>

 経営理念の実践により培ってきた経営資本の強化と、従業員・組織がより一層やりがいを持ち活躍できる環境をつくり、経営基盤を維持・強化し、経営の品質を高めてまいります。

①財務健全性の継続的な向上

②グループ視点での人的資本への投資、学びたがる組織への仕組づくり

③経営理念をもとにした、文化・精神・ナレッジ・ノウハウの確かな人的、組織的継承

④健康経営の推進

⑤デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進

⑥品質の維持、向上と問題の未然予防

⑦ガバナンスの維持・強化

⑧経営リスクの管理とレジリエンス強化

 

(3)経営環境

 当社グループを取り巻く環境は、自動車産業の大きな変化や、製品の性能向上や省エネルギーなどの技術革新、生成AIの普及にみられるデジタル技術を活用したビジネスモデルの革新などもあり、変化が目覚ましい環境となっております。また、地政学的リスクや各国政策に伴う金融環境への影響など、世界並びに日本経済の先行きは引き続き不透明な状況となっております。このような環境のもと、自動車のさらなる電動化や電子制御の進化、情報通信技術を活用した電子機器やシステムなどの進化や普及において、当社グループが取り扱う半導体・電子部品・EMSなどの商品やサービスへのニーズは引き続き伸長していくものと予想され、付加価値の向上や、新しい価値の提供が求められる環境となっております。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの2025年5月期から2027年5月期までの3ヶ年の新中期経営計画「中期経営計画2026」における、当社グループの経営上の目標を判断するための指標は、連結売上高、営業利益、ROE(自己資本利益率)であります。「中期経営計画2026」の2027年5月期の目標は、売上高1,000億円、営業利益30億円、ROE10%以上の維持・向上としております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティに関する具体的な取組みについて、リスク管理委員会及びサステナビリティ委員会において、サステナビリティに係るリスク及び機会について特定、分析、評価を行い、施策の立案と実施管理を行っております。同委員会は、代表取締役社長の指示のもと、担当取締役を委員長とし、取締役及び関係する部門長、事務局により構成されており、活動状況については定期的に取締役会及び倫理・コンプライアンス委員会に報告を行っております。

 

(2)戦略

①サステナビリティ方針

 当社グループの経営理念を根底に置き、中長期的な視点から、当社グループの持続的な成長、経営基盤の強化、企業価値の向上に資する取組みを推進していきます。

 

②取組み

a.地球環境の保全に係る取組みについて

 当社グループは、経営理念である「顧客第一主義」(満足を得た顧客こそビジネス最大の源泉。お客様の満足が自社の繁栄につながっている経営を行う)のもと、お客様の満足に繋がる、低消費電力、高効率の半導体・電子部品や関連製品の販売を通じて、地球環境に配慮したビジネスの展開を行っていきます。

 また、気候変動が事業環境にあたえる影響を分析していくとともに、環境保全への取組みとして、事業活動や生産活動、工場設備などの省エネルギー化により、温室効果ガス排出量の削減に向けた取組みを行っていきます。

 

指標及び目標と活動・実績

重点テーマ

取組み課題

指標

目標

当期の活動・実績

地球環境の保全

省資源、省エネルギー

温室効果ガスの排出量削減

GHG排出量の削減(Scope1+2)

基準年:2018年度

目標年:2030年度

目標水準:30%削減

Scope1+2の温室効果ガス排出量の把握と削減

 

<2024年度排出量>連結

1,249トン

(2018年度比45.1%削減)

(注)1.Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出

2.Scope2:他社から供給された電気、熱、蒸気などの使用に伴う間接排出

(マーケット基準に基づき算定)

 

b.人材の活躍推進に係る取組みについて

 当社グループは、経営理念である「人間尊重」(従業員が会社の宝であり財産。お互いに自己を尊重すると同時にあらゆる他人をも尊重する)及び「一流へのチャレンジ」(開かれた近代経営を行い、永遠の企業発展を目指す)のもと、当社グループの従業員がお互いに尊重し、自立的に学び、やりがいを持って挑戦し、活躍できる環境を維持・構築することで、持続的な発展を目指していきます。

 

人材の活躍推進に関連した取組みは次のものがあります。

・健康経営の推進

・従業員への定期的なアンケートによる課題の把握と改善

・定期的なローテーションの検討と実施

・資格取得支援制度の運用

・ハラスメント及びコンプライアンス教育の実施と理解度向上

・テレワーク制度の恒常的な運用

・組織全体のパフォーマンス向上を目的としたタレントマネジメント環境の構築と運用

 

 尚、従業員の持続的な能力の発揮の前提として、心と身体の健康が重要であるとの認識のもと、戦略的な健康経営への取組みを継続していきます。

 

指標及び目標と活動・実績

重点テーマ

取組み課題

指標

目標

当期の活動・実績

人材の活躍推進

健康経営の推進

健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定取得

認定の継続取得

健康経営優良法人(大規模法人部門)2025の認定取得

(5年連続の認定取得)

 

 

(3)リスク管理

 当社グループのリスクについて管理を行うリスク管理委員会及びサステナビリティ委員会にて管理を行っております。リスク管理委員会は、1年に一度リスクの網羅的な抽出を行い、「リスクの発生可能性」、「経営への影響度」の2つの評価基準に基づき、複合的かつ総合的な評価とリスクの重要度・優先順位付を行い、年4回・四半期ごとに開催される両委員会において、施策の立案及び実施に関する管理を行っています。

 

(4)指標及び目標

 (2)戦略における記載を参照。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)業績の変動要因及び特定の販売先への依存度についてのリスク

 当社グループは半導体、電子部品、EMSを主として販売・提供をしており、経営成績は市場の需給変動の影響を受ける可能性があります。

 当社グループの主要な販売先として、株式会社デンソー等がありますが、これらの販売先への依存度が高いため、当社グループの経営成績及び財政状態は、その販売先の業績動向、また購買方針の変化において影響を受ける可能性があります。特に、自動車部品メーカーである株式会社デンソーをはじめとする自動車分野向けの業績については、自動車関連市場の動向の影響を受ける可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)特定の仕入先への依存度についてのリスク

 当社グループの主要な仕入先として、株式会社東芝グループがあります。当社は東芝デバイス&ストレージ株式会社と東芝ビジネスパートナー特約店基本契約を締結しており、取引開始以降、長年にわたり緊密な関係を維持しております。ただし、株式会社東芝の事業戦略、製品開発動向並びに代理店への政策変更などにより、当社グループの得意先ニーズとの乖離が発生した場合、また当社グループに係る商流に変化が発生した場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)自然災害によるリスク

 当社の本社及び物流拠点は東海地区に集中しております。そのため同地区での大規模地震や台風などの自然災害により、これらの施設に甚だしい被害が発生した場合は、当社グループの営業活動や物流活動等に支障を与え、事業運営に障害や遅延をきたす可能性があります。また、当社グループのその他の事業拠点(海外拠点を含む)におきましても、自然災害により甚大な被害が発生した場合には、営業活動や物流活動等に支障を与え、事業運営への障害や遅延、生産工場などの操業に影響をきたす可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)在庫保有によるリスク

 当社グループは、半導体や電子部品メーカーの生産品目の変化などによる生産終了品の顧客への供給や、災害時などの有事における事業継続在庫など、販売先、仕入先の協力を得ながら随時適切な在庫保有を図っておりますが、販売先の急激な生産活動の縮小や、受注が需要の予測を大幅に下回った場合、また、仕入先の取扱製品の生産終了などに伴い、在庫が増加、滞留をする可能性があり、滞留在庫となり在庫評価損を計上した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)経済状況や通商環境についてのリスク

 当社グループの業績において半導体、電子部品、EMSなどの商品とサービスは、当社グループが販売している地域や各国の経済状況や通商環境、市場動向の影響を受ける可能性があります。また、資源、原材料価格の大きな変動、景気の変動に伴う需要の急激な増減や、通商構造などの変化は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)技術・価格競争及び競合についてのリスク

 当社グループが取り扱う半導体、電子部品、EMSなどの市場は競争が激しく、技術革新や顧客ニーズの変化にあわせ、国内外の多くの商社、製造業者と競合しております。将来当社グループとして市場ニーズに適した商材や技術の提供、また新規参入業者の増加や価格競争に対し対抗ができない場合は、売上高や利益の低下を引き起こすリスクがあり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)債権の貸倒れについてのリスク

 当社グループは債権の貸倒れによる損失に備え、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等、特定の債権については個別の回収可能性の検討により、回収不能見込額を設定し貸倒引当金として計上しております。債務者の状況の変化によって、貸倒引当金の積み増しをした場合は、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)為替相場、金利変動についてのリスク

 当社グループの事業には、海外における商材の販売や生産が含まれております。各地域における売上、費用、資産を含めた現地通貨建ての項目は、連結財務諸表上日本円に換算されておりますが、米ドル及び各現地通貨の為替相場の変動により、日本円換算後の数値に影響を受ける可能性があります。また、国内においても海外生産された商品及び海外生産の工程を含む一部の商品の仕入と販売は、為替相場の変動による価格の見直しがあり、影響を受ける可能性があります。当社グループは為替相場の変動によるリスクを資金調達手段の多様化等により最小限に止める努力をしておりますが、影響をすべて排除することは不可能であり、急激な為替相場の変動などが、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業運営を目的とした資金を主に金融機関からの借入により調達しており、資金調達の安定化や有利子負債の抑制を行っておりますが、大幅な金利上昇となった場合、支払利息の増加による利益圧迫などが、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)保有資産の価値下落リスク

 当社グループの保有資産について実質的価値の低下等が発生した場合、減損損失を計上する可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報システムと情報管理に関するリスク

 当社グループは、基幹事業の業務において、事業運営の効率化などを目的とし、システム化を推進しております。これらのシステムは適宜、改修や変更を行っており、運用管理には万全を期しておりますが、甚大な災害での予期しないトラブルや、サイバー攻撃等においてシステム復旧に時間を要する場合、また不正なアクセス等により情報が漏洩し、当社グループの社会的な信用低下が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)商品の品質等に関するリスク

 当社グループが取り扱う商品について、仕入先などとの連携により、品質や信頼性の維持、向上に努めておりますが、不測の事態により商品の品質に重大な瑕疵や不備が発生し、補償、訴訟、法的請求、損害責任、罰金などを求められ、当社グループにおいてこれらの問題解決に対する多額の費用が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)契約管理などに関するリスク

 当社グループは、国内外の取引先との間で各種の契約書などの取り交わし行っております。これらにおいて、契約内容の解釈齟齬などにより補償等を求められることとなり、当社グループにおいて問題解決に要する費用が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)海外活動に潜在するリスク

 当社グループは国内だけでなくアジア地域をはじめとした海外にも事業を展開しております。そのため海外各国における政治的、社会的、経済的な情勢並びに法律や規制などの変化により、当社グループの流通、販売、操業活動に支障をきたす影響が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)人材確保に関するリスク

 当社グループは、事業の継続と発展において、優秀な従業員の雇用確保が重要であると認識しております。経営理念において、従業員を会社の宝であり財産としており、人材の採用及び育成を図っておりますが、必要な人材が確保できない場合、想定を超え人材が流出した場合には、事業遂行及び計画の実施に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

 

(15)コーポレート・ガバナンスに関するリスク

 当社グループは、各種社内規程を設けるとともに、従業員に対しコンプライアンスの周知徹底を図っておりますが、不正や機密情報の漏洩などにより、当社グループの社会的信用が低下、棄損した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 尚、当社のリスク管理の体制は、倫理・コンプライアンス委員会のもとに、リスク管理委員会、サステナビリティ委員会、情報管理・セキュリティ委員会、SOX委員会を設置、系統化しており、委員会にてリスク管理の基本方針の確立、またリスクと機会の網羅的な抽出、特定、分析、評価を行い、経営会議及び取締役会での報告を通じ認識の共有を適宜図るとともに、課題と対応策について検討を行い、適切に管理・統制を行い、リスクの顕在化を可能な限り防止し、影響を最小限にとどめるなど、リスクマネジメント体制の強化に努めております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における世界の経済情勢は、中東地区での情勢不安やウクライナ情勢の長期化、中国における不動産市場の低迷継続に伴う影響、米国の通商政策の影響などにより、先行きの不透明な状況が継続しております。

 このような経済状況のもと、当社グループの主要取引先である自動車分野につきましては、中間期より開始しました東芝デバイス&ストレージ株式会社から販売商流の移管を受けた株式会社デンソーへの半導体販売により、売上は増加しました。産業機器分野につきましては、工作機械関連におけるEMSの受注が増加しました。民生分野につきましては、顧客の生産回復もあり売上は増加しました。アミューズメント分野につきましては、遊技機関連の受注は横ばいに推移しました。

 その結果、当連結会計年度の業績は、売上高は981億76百万円(前期比152.4%増)、営業利益は21億48百万円(前期比35.0%増)、経常利益は23億77百万円(前期比39.3%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は16億96百万円(前期比38.8%増)となりました。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

 

 国内事業部門

 自動車分野の半導体は、株式会社デンソーへの販売により売上は増加しました。また、産業機器分野は、工作機械関連におけるEMSの受注が増加したこともあり、連結売上高は822億72百万円(前期比236.0%増)、セグメント利益は21億64百万円(前期比27.4%増)となりました。

 

 海外事業部門

 民生分野のEMSが堅調に推移したこともあり、連結売上高は159億3百万円(前期比10.3%増)となりました。セグメント利益は5億99百万円(前期比33.5%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

 (資産)

 当連結会計年度における資産の合計は、400億28百万円となり、前連結会計年度と比較して198億99百万円の増加となりました。これは現金及び預金12億64百万円の増加、受取手形及び売掛金70億3百万円の増加、棚卸資産104億97百万円の増加等が反映されたことによるものであります。

 (負債)

 当連結会計年度における負債の合計は、243億21百万円となり、前連結会計年度と比較して186億79百万円の増加となりました。これは支払手形及び買掛金76億8百万円の増加、短期借入金114億2百万円の増加等が反映されたことによるものであります。

 (純資産)

 当連結会計年度における純資産の合計は、157億6百万円となり、前連結会計年度と比較して12億19百万円の増加となりました。これは利益剰余金12億98百万円の増加等が反映されたことによるものであります。

 

 なお、受取手形及び売掛金、棚卸資産、支払手形及び買掛金、短期借入金の主な変動理由は、東芝デバイス&ストレージ株式会社からの株式会社デンソーに係る販売商流の移管などに伴うものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、43億57百万円となり、前連結会計年度末と比較して12億64百万円の増加となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 なお、営業活動によるキャッシュ・フローの売上債権の増加額、棚卸資産の増加額、仕入債務の増加額及び財務活動によるキャッシュ・フローの短期借入金の純増額の主な変動理由は、東芝デバイス&ストレージ株式会社からの株式会社デンソーに係る販売商流の移管などに伴うものです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は、92億17百万円(前期は9億51百万円の獲得)となりました。これは主に売上債権の増加額71億12百万円、棚卸資産の増加額105億7百万円、仕入債務の増加額77億40百万円等が反映されたことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、2億14百万円(前期は2億72百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1億66百万円、無形固定資産の取得による支出51百万円等が反映されたことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、107億65百万円(前期は16億37百万円の使用)となりました。これは主に配当金の支払額3億98百万円、支払手数料の支払額1億70百万円等があったものの、短期借入金の純増減額の増加114億2百万円等が反映されたことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年6月1日

至 2025年5月31日)

前期比(%)

海外事業部門

4,645,445

153.6

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.生産実績は、海外事業部門のうち当社連結子会社M.A.TECHNOLOGY,INC.にて生産販売した金額を表しております。

 

b.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

    (単位:千円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年6月1日

至 2025年5月31日)

前期比(%)

国内事業部門

89,434,511

394.9

海外事業部門

13,011,925

118.2

合      計

102,446,437

304.4

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

    2.金額は仕入実績から支給品及び社内への振替分を控除しております。

 

 当連結会計年度における仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

品 目 別

当連結会計年度

(自 2024年6月1日

至 2025年5月31日)

前期比(%)

半導体

85,742,422

441.7

電子部品

7,328,932

101.1

ユニット・アセンブリ

4,980,732

128.3

その他

4,394,350

140.9

合      計

102,446,437

304.4

 (注)金額は仕入実績から支給品及び社内への振替分の仕入実績を控除しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年6月1日

至 2025年5月31日)

前期比(%)

国内事業部門

82,272,608

336.0

海外事業部門

15,903,781

110.3

合      計

98,176,390

252.4

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先グループ(相手先とその連結子会社)別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。

(単位:千円)

相 手 先

前連結会計年度

(自 2023年6月1日

至 2024年5月31日)

当連結会計年度

(自 2024年6月1日

至 2025年5月31日)

金 額

割合(%)

金 額

割合(%)

㈱デンソーグループ

58,848,585

59.9

㈱アイシングループ

11,246,084

28.9

ブラザー工業㈱グループ

5,841,488

15.0

小     計

17,087,573

43.9

58,848,585

59.9

合     計

38,899,784

100.0

98,176,390

100.0

3.前連結会計年度の㈱デンソーグループの販売実績及び当連結会計年度の㈱アイシングループ並びにブラザー工業㈱グループの販売実績は、総販売実績の10%未満であるため記載を省略しております。

 

 当連結会計年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

品 目 別

当連結会計年度

(自 2024年6月1日

至 2025年5月31日)

前期比(%)

半導体

74,818,888

394.3

電子部品

8,611,449

106.7

ユニット・アセンブリ

10,282,358

132.7

その他

4,463,693

108.7

合      計

98,176,390

252.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高、売上総利益)

 売上高は、前連結会計年度に比べ592億76百万円増加し、981億76百万円(前期比152.4%増)となりました。分野別では、自動車分野は株式会社デンソーへの半導体販売を開始したことにより売上は増加しました。民生分野は顧客の生産回復もあり売上は増加、産業機器分野は工作機械関連におけるEMSの受注が増加、アミューズメント分野は横ばいに推移しました。セグメント別では、国内事業部門の売上高は前連結会計年度に比べ577億85百万円増加し、822億72百万円(前期比236.0%増)となり、海外事業部門の売上高は前連結会計年度に比べ14億90百万円増加し、159億3百万円(前期比10.3%増)となりました。売上総利益は、売上高の増加などに伴い、前連結会計年度に比べ9億84百万円増加し、52億86百万円(前期比22.9%増)となりました。また、売上総利益率は5.4%となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ4億27百万円増加し、31億38百万円(前期比15.8%増)となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は3.2%となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ5億56百万円増加し、21億48百万円(前期比35.0%増)となりました。売上高に対する営業利益の比率は2.2%となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 営業外損益は、前連結会計年度1億14百万円の利益(純額)から2億29百万円の利益(純額)に増加しました。経常利益は、前連結会計年度に比べ6億71百万円増加し、23億77百万円(前期比39.3%増)となりました。売上高に対する経常利益の比率は2.4%となりました。

 

(特別損益、税金等調整前当期純利益)

 特別損益は、投資有価証券評価損(30百万円)があり、税金等調整前当期純利益は、23億47百万円(前期比37.2%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益については、法人税、住民税及び事業税6億29百万円などがあり、親会社株主に帰属する当期純利益は、16億96百万円(前期比38.8%増)となりました。

 

b.財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の財政状態の認識及び分析・検討内容につきましては、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.流動性及び資金の源泉

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.資金需要

 当社グループの運転資金需要の主要なものは、売上の増加によるもの、仕入債務の支払いと売上債権の回収のサイト差から発生するもの、棚卸資産の増加によるものであります。その他、業務提携先への貸付けによるもの、業容の拡大及び管理体制の充実による人件費の増加をはじめとした販売費及び一般管理費も資金需要増加要因の一つであります。

c.財務政策

 当社グループにおける増加運転資金につきましては、自己資金及び金融機関からの借入金により資金調達することとしております。短期運転資金の調達に関しましては、取引銀行6行と総額291億2百万円の当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、安定的且つ機動的な資金調達を行える体制を整えております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に与える見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しております。
 当社グループは、特に次の重要な会計方針が財務諸表作成における重要な見積りの判断に多くの影響を及ぼすと考えております。

a.収益の認識

 売上高は、顧客からの注文書に基づき商品を出荷した時点で計上しております。なお、一部機械装置等においては顧客の検収時に売上を計上しております。

b.貸倒引当金

 将来発生する顧客の支払不能額に備えるため一般債権に対しては過去の貸倒実績率を使用し、貸倒懸念のある顧客に対しては個別に回収不能額について見積り、貸倒引当金を計上しております。ただし、顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。

c.繰延税金資産

 繰延税金資産の計上は、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できること、また繰延税金資産の資産性があることを慎重に判断したうえで計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積り額が減少した場合は繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標である中期経営計画の目標値の達成状況は以下の通りです。

指標

2024年5月期

2025年5月期

(初年度)

2026年5月期

(次年度)

2027年5月期

(最終年度)

実績値

実績値

予想値

目標値

連結売上高(千円)

38,899,784

98,176,390

100,000,000

100,000,000

連結営業利益(千円)

1,591,688

2,148,296

2,000,000

3,000,000

ROE(%)

8.9

11.3

10.0

 各指標の2025年5月期の実績につきましては、自動車分野の半導体販売増加、民生分野、産業機器分野における受注増加により、前期比で連結売上高、連結営業利益ともに増加しました。2025年5月期を初年度とする中期経営計画につきましては、2027年5月期において売上高1,000億円、営業利益30億円、ROE10%以上の維持・向上を目標として掲げております。

5【重要な契約等】

(1)仕入の提携

取引先

契約の概要

契約の種類

契約の期間

東芝デバイス&ストレージ㈱

㈱東芝製の電子部品の販売を促進・拡大し、相互の利益をはかるための特約に関する事項

東芝ビジネスパートナー特約店基本契約

2014年2月1日から2015年3月31日まで

 (注)1.上記契約は期間満了日の3カ月前までに、各当事者いずれかから文書による変更または解約の申し出がない限り、更に同一条件で1カ年継続され、以後も同様となっております。

  2.東芝デバイス&ストレージ㈱は㈱東芝ストレージ&デバイスソリューション社から分社したものであります。

 

(2)コミットメントライン契約等の締結

当社は、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、その概要は以下のとおりであります。

相手先

契約締結日

契約期間

内容

㈱三菱UFJ銀行

2024年9月18日

自 2024年9月30日

至 2025年9月29日

安定的かつ機動的な資金調達を行うため、140億円のコミットメントライン契約を締結

㈱みずほ銀行

2024年9月18日

自 2024年9月25日

至 2025年9月25日

安定的かつ機動的な資金調達を行うため、60億円のコミットメントライン契約を締結

 (注)財務制限条項の内容は以下のとおりです。

㈱三菱UFJ銀行及び㈱みずほ銀行のコミットメントライン契約について、各連結会計年度の末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の金額を、直前の連結会計年度の末日における連結貸借対照表上に記載される純資産の部の金額の75%以上を維持すること。

㈱三菱UFJ銀行のコミットメントライン契約について、各連結会計年度の末日における連結損益計算書上の経常損益を2期連続して損失としないこと。

㈱みずほ銀行のコミットメントライン契約について、各連結会計年度の末日における連結損益計算書上の経常損益を損失としないこと。

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度において、特記すべき研究開発活動はありません。