第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは約85年の歴史で培った技術と信頼を基に、「顧客の信頼をもとに、たゆまなく発展する会社」の経営理念と以下のグループ基本方針の実践によって、株主、顧客、地域社会、全従業員との良好な信頼関係を築き、環境、安全のコンセプトを守りながら社会的貢献に努めてまいります。

<クリヤマグループ基本方針>

 1. 多様な人財の価値を活かし、地域に根差したグローバル経営を推進する

 2.KURIYAMA VALUEのもと業界をリードする創造性を発揮する

 3.環境問題とステークホルダー全体に配慮した企業行動

 北米におきましては、ホースメーカーとして、研究、開発、製造、販売を含めた一体型の経営を推進してまいりました。また、北米全土の物流拠点の拡充により、供給機能の改善を通じた顧客満足度の更なる向上に挑戦しております。欧州及び南米におきましては、ゴム製レイフラットホースの製造販売を行っており、北米事業や新設するオセアニア事業との融合を図りながらグローバル展開を加速させてまいります。一方、日本国内では、建機・農機のTier1サプライヤー、スポーツ施設、鉄道・文教・商業施設向け床材の販売及び施工、スポーツアパレルの販売と多角的に事業を展開しており、高い品質と迅速な顧客対応力を強化し、事業ポートフォリオの最適化を図り、安定した収益確保を実現してまいります。

 加えて、グループの中核として再編する研究・開発機関において、当社グループの競争力の源泉である研究・開発機能を強化してまいります。

 また、当社グループは、地域社会に身近な幅広い分野の製品を取り扱っているため、持続可能な社会の実現を目指し、地球環境や人々の安全・安心を追求した製品の開発と拡販、ダイバーシティの推進、コーポレートガバナンス改革やSDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」及びESG「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(ガバナンス)」に関わる取組みを進めてまいります。グローバル企業として経営成績を高め、経営を安定させるためにも、海外グループと連携を深め、自然体でSDGs及びESGを推進できるグローバルカンパニーを目指してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 目標とする経営指標につきましては、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を掲げております。通期(2024年12月期)の連結経営目標は、対米ドル為替レートを140円と想定し、売上高730億円、営業利益44億円、経常利益49億円及び親会社株主に帰属する当期純利益33億円としております。

 なお、当連結会計年度の経営成績におきましては、売上目標710億円に対し0.9%増の716億72百万円となり、営業利益は目標42億円に対し5.5%減の39億71百万円、経常利益は目標46億円に対し1.7%減の45億20百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は目標33億円に対し14.9%増の37億93百万円となりました。

 

(3)経営環境

 世界経済の成長は、金融引き締めによる需要押し下げの効果が顕在化する等、減速が予想されます。加えて、地政学リスクの拡大、急激な為替変動、中国経済の低迷長期化等、内在する様々な不確定要素により状況が変化することが懸念されます。

 このような環境下において、当社グループは100年企業を見据えた持続的な企業価値向上を目指し、グループを横断した研究開発機能の集約、DX推進、次世代を担うグローバル人財の育成と従業員エンゲージメント向上のための人的資本投資を強化してまいります。

 アジア事業の産業資材事業では、建機・農機のグローバルTier1サプライヤーの地位を確立するため、当該市場における尿素SCR用モジュール・タンク等の更なるシェア拡大に取り組んでまいります。また、北米地域の未開拓市場へ参入するための事業基盤を整備することで産業資材事業のグローバル展開を加速してまいります。

 スポーツ・建設資材事業では、競技性に加えて保温性やクッション性に優れた「タラフレックス」(弾性スポーツシート)の拡販に注力し、防災拠点となる体育館等の文教施設への採用件数増加に努めてまいります。また、循環型社会に貢献する商品開発を推進し、鉄道施設の安全対策強化や商業施設等の再開発事業での需要を的確に捉え、スポーツ・商業施設等の総合床材No.1ブランドを目指してまいります。

 その他事業のイタリアのスポーツアパレルブランド「MONTURA」では、トップアスリートとのスポンサー契約による市場認知度向上を図りながら、国内固有のニーズに沿った商品ラインナップを拡充することで市場への波及効果を高めてまいります。

 グローバルホース事業では、産業用総合ホースメーカーとして品質と信頼のNo.1ブランドを目指した取り組みを推進してまいります。

 北米事業では、本社物流倉庫の移転・拡張等による物流機能の最適化を図り、顧客満足度向上と機会損失回避のための事業環境を整備してまいります。また、米国インディアナ州にて消防用ホースの内製化に着手することで、米国消防機関における商圏拡大を推進してまいります。

 欧州・南米・オセアニア事業では、地産地消による市場優位性を活用し、スペイン、ポルトガルをはじめとした欧州域内及びアルゼンチンの消防機関向けや灌漑を含む農業分野のシェア拡大に取り組んでまいります。また、欧州から北中米・南米、中近東、アフリカへの輸出に加え、オーストラリアに新設した子会社を起点にオセアニア地域における固有ニーズを満たす供給体制を構築し、収益基盤の拡大と生産稼働率の向上に努めてまいります。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは「100年企業」を見据え、以下のグローバル戦略を掲げ、更なる成長と発展を目指しております。

 <グローバル戦略>

 1.建機・農機のグローバルTier1サプライヤーとしての地位を確立する

 2.産業用総合ホースメーカーとして品質と信頼のNO.1ブランドを目指す

 3.現地生産・現地販売を推進し、各国の経済発展に貢献する

 また、当社の社是に「企業の生命は、社員の成長と発展によって支えられる」を掲げており、人的資本投資を経営戦略の1つとして捉え、人財育成、ダイバーシティ及び職場環境整備を推進しております。

 加えて、営業面、製造・物流面の自動化、効率化による収益力強化を通じた企業価値向上を目指し、DX推進に積極的に取組んでおります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループがさらに収益力向上、また企業体質の強化を図るためにも、下記の重点課題に対し、全力をあげて取り組んでまいります。

 

◆アジア事業

[産業資材事業]

① 建設機械、農業機械、トラック市場向けに排ガス規制関連商品(尿素水識別センサー及び尿素SCR用モジュ ール・タンク等)の開発及び販売強化

② 脱炭素化により広がる電動化案件の受注強化

③ メーカーとしての品質向上及び顧客対応能力強化

④ 各種センサーにおける次世代新商品の研究・開発強化

[スポーツ・建設資材事業]

① ユニバーサルデザインと融合した床材の新規開発と販売強化

② 体育館等の文教施設向けインドア施設用床材「タラフレックス」の新規及び改修物件受注強化

③ 鉄道施設等の安全対策に伴う設備投資需要の取り込み

④ 商業施設向け、都市開発案件における大判セラミックタイル「スーパー・マテリアルズ」等の受注強化

⑤ 中国の関連会社及び協力会社との連携強化を図り、高品質且つ安定した供給体制の確保

[その他事業]

① 広告宣伝活動によるイタリアのスポーツアパレル「MONTURA」の市場認知度向上と販売強化

② グループ会社連携によるダストコントロール関連事業の商品販売、提案強化

 

◆北米事業

① 物流体制の再構築による顧客満足度及び収益性の向上

② 製販一体による迅速なサービスと変化する需要に対応した適切な在庫保有によるホース市場でのシェア拡大

③ 地産地消に基づく消防用ホースの内製化促進

④ 欧州・南米事業とのシナジー効果によるグローバル展開の加速

⑤ 廃材リサイクルの推進

 

◆欧州・南米・オセアニア事業

① グループ会社連携による欧州、南米、オセアニア地域における販売網拡大

② 生産効率の更なる向上による収益力強化

③ 中近東、アフリカ地域等の未開拓市場への深耕

 

 また、グローバルベースで付加価値ある技術・製品・人財を生み出す研究・開発機関を再編し、グループ横断で情報・技術・知財を集約することで、上記取組みの実効性を高めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

A.サステナビリティ全般

(1)サステナビリティについての考え方

 クリヤマグループは「顧客のニーズをつかみ、持続可能な社会づくりに貢献する会社」を経営ビジョンに掲げ、誰もが輝き、共に成長する豊かな未来を目指し、地球環境や社会に貢献するビジネス展開を通じて持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。

 クリヤマグループは現在、持続可能な開発目標(SDGs)に関連した取り組みを行っています。今後もさまざまな社会課題の解決に事業活動を通じて取り組むことで、経済的価値を創出しながら成長を続けてまいります。

 

(2)マテリアリティ(重要課題)とSDGsについて

 当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けるために、「全社的に取り組みを強化する課題」と「事業を通じて積極的に取り組む課題」に整理し、特に優先して取り組むべき6つのマテリアリティを特定し、特定したマテリアリティとSDGs(持続可能な開発目標)との関連付けをしています。

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(3)サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)への取り組み

 各マテリアリティにおける取り組みの詳細につきましては、当社ホームページをご覧ください。

1.全社的に取り組みを強化する課題

 多様な人材の価値を活かし、個々の能力を発揮できる組織づくりを目指します。

・KURIYAMAの働き方改革(ダイバーシティ、女性活躍推進)

・従業員を支援するための福利厚生制度と、ダイバーシティの推進

・健康経営の推進

・海外拠点の執行役員は現地で採用、育成を図る取組

https://www.kuriyama-holdings.com/sustainability/business/06/

2.事業を通じて積極的に取り組む課題

① 気候変動と大気汚染による影響軽減に向け、事業を通じて地球温暖化や脱炭素の課題に取り組みます。

・廃棄ガスを浄化し大気汚染対策に貢献する「尿素SCRシステム」

https://www.kuriyama-holdings.com/sustainability/business/01/

 

② 廃棄物を資源として再利用、または適正に処分することで循環型社会に貢献します。

・セラミックタイルの廃材をリサイクル、都市型洪水やヒートアイランド現象にも貢献する「アクアスルー」

・製造工程で発生するスクラップの削減と再利用により産業廃棄物量を削減

・工場での水の使用量を削減するため、テストで毎回使用される水は循環型回路を採用

・工場での排水は浄化システムを採用し、外部機関でシステムの性能を監視

・環境に配慮したマテリアルでの高機能なMONTURAウェアの販売

・環境と身体の安全に配慮した人工芝「モンドターフ」・「リモンタターフ」

https://www.kuriyama-holdings.com/sustainability/business/02/

③ 人々のニーズに配慮し,公共交通機関への安全なアクセスを実現するサステナブルな商品を開発,提供します。

・視覚障がい者の歩行を助ける点字タイル、公共交通機関での転倒事故やけがを防ぐノンスリップタイル

・駅ホームでの転落事故防止のため、電鉄会社と共同開発した段差・隙間対策商品「スキマモール」

https://www.kuriyama-holdings.com/sustainability/business/03/

④ スポーツ振興を通して人々を支え、健康社会への発展に貢献します。

・競技施設から防災拠点まで多目的機能をもつ弾性スポーツシート「タラフレックス」

・国内のスポーツ振興に貢献する「日本トップリーグ連携機構(JTL)」をサポート

・高機能で快適な「MONTURA」の販売やスポーツ教室の開催等による健康社会への貢献

https://www.kuriyama-holdings.com/sustainability/business/04/

⑤ 新素材の活用や生産技術向上により、環境負荷低減商品の開発を強化します。

・NSF(USA)に認定された人体に適した飲料用ホース、吸引・排出ホースの製造販売

https://www.kuriyama-holdings.com/sustainability/business/05/

 

(4)ガバナンス、リスク管理

 当社グループでは、代表取締役CEOを委員長とするリスクマネジメント委員会を定期的に開催しており、この中でサステナビリティに関するリスクと機会を認識の上、サステナビリティ重要課題を特定しつつ、持続可能な社会を実現する上でサステナビリティを考慮した経営方針及び中長期的な経営戦略並びに対処すべき事業上及び財務上の課題を協議・立案し、最終的に取締役会で決議することとしております。なお、当社グループの経営方針及び中長期的な経営戦略並びに対処すべき事業上及び財務上の課題は、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」へそれぞれ記載しております。

 

(5)指標及び目標

 指標及び目標の公表は行っていませんが、上記「(3)サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)への取り組み」に記載の通り、環境への配慮から気候変動問題に関する様々な課題解決に向け、大気汚染対策に貢献する製品供給や廃棄物の再利用等を通じて温室効果ガス排出削減等、積極的に取り組んでまいります。

 

B.人的資本

(1)戦略

 当社グループは、社是として「企業の生命は、社員の成長と発展によって支えられる」を掲げており、人材の「材」は「財」であるという認識の下、サステナビリティの重要課題の内「多様な人材の価値を活かし、個々の能力を発揮できる組織作りを目指す」ことを全社的に取り組み強化する課題として位置づけ、人材育成とダイバーシティ及び職場環境整備を推進しております。人材育成については、経営ビジョンである「顧客のニーズをつかみ、持続可能な社会づくりに貢献する会社」に基づき、社会変化や顧客のニーズに応えられるように、社員一人ひとりが主体的に考え行動し、グローバルで活躍できることを目指しております。その取り組みとしてキャリアアップと動機付けを目的とした社員個別面談やキャリア・特性に応じた研修制度を実施している他、海外派遣制度の導入等を推進しております。人材の多様性の確保につきまして、当社グループは、国籍に捉われることなく外国人を含めた社員の採用を行っており、海外子会社においては、社員の現地採用・育成、取締役登用を進めて、現地生産、現地販売を推進しています。また、職場環境整備においては、社員一人ひとりがその能力を最大限発揮できるようにお互い尊重し、自由に意見を交え、明るい環境を整えることが重要であることから安全で衛生的で、働きやすい職場環境を確保することを基本方針としております。また、少子高齢化が進む中、「安心して子供を産める、育てられる環境作り」の実現のため、育児短時間勤務の取得対象範囲拡大や時差出勤等を一部の国内連結子会社は導入しており、働きやすい職場環境の整備に努めております。人的資本に関する取り組みについては、当社ホームページをご覧ください。
https://www.kuriyama-holdings.com/sustainability/business/06/

 

(2)人的資本に関する指標及び目標

 当社グループは、国内のみならず海外に子会社が複数存在しております。それぞれ会社規模や構成人員など多岐に亘っておりますが、多くの子会社は人的資本にかかる指標や目標に捉われず、各国文化や慣習を尊重しながら人財を大切にし、組織運営を図っております。

 国内法である「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)と国内でのグローバル人材育成の重要性を鑑み、先ずはクリヤマジャパン㈱(中核事業会社)を公表することとしました。指標及び目標を以下の通りであります。

指標

会社名

2023年12月期実績

2026年目標

女性管理職比率

クリヤマジャパン㈱

8.1%

15.0%

男性育児休業取得率

クリヤマジャパン㈱

25.0%

25.0%

女性育児休業取得率

クリヤマジャパン㈱

100.0%

100.0%

日本からの海外派遣人数

クリヤマジャパン㈱

9人

15人

日本での外国人雇用者数

クリヤマジャパン㈱

6人

10人

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

1 販売価格

 当社グループが取り扱う製品及び商品は多岐に亘りますが、世界的インフレによる物価上昇の影響に伴い全般的に価格転嫁の必要性が生じてきております。

 当該リスクの対応策につきましては、この上で製造子会社と販売子会社連携の下、製品の付加価値と品質の向上、納期短縮に加え、販売先とのコミュニケーションを強化することで、当社製品の優位性を市場に周知することにより、販売先からの信頼を高めるように努めております。

2 公共投資の動向

 当社グループは、スポーツ・建設資材事業において、道路橋梁用資材、港湾土木用資材、建築用資材、都市景観用資材、室内用スポーツ施設資材、屋外用スポーツ施設資材等を取り扱っております。これらの商品を用途別にみると道路・土木等の公共投資向け販売が約5割を占めるため、公共投資の動向が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクの対応策につきましては、「スーパー・マテリアルズ」(大判セラミックタイル)等のオリジナル商品の民間商業施設向け販売の拡大に努め、公共投資の受注減少リスクに備えております。

3 原材料価格

 当社グループが製造する樹脂ホースの主要原材料であるレジンの価格は、原油価格の変動により影響を受けます。当社グループは原材料の調達にあたり、安定調達に十分配慮したうえで、経済環境や市況等を検討しながら仕入先との価格交渉を行い、また、年間ベースでの大量・一括契約を行うことでコスト削減に努めております。しかしながら、レジン等の原材料の価格変動が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、生産性の改善や販売先への価格転嫁等により、原材料コストの上昇による経営成績への影響低減を図りますが、かかる対策が期待どおりの効果を生む保証はありません。

4 在庫の必要性

 当社グループは、品揃えを充実させ、適時に供給を果たすために顧客からの注文に先行して製造又は仕入を行い、一定の在庫水準を維持する必要があります。このため、当社グループが商品の需要予測を誤った場合、在庫不足による販売機会の喪失、過剰在庫の処分のための値引き販売、場合によっては商品評価損又は商品廃棄損の計上を余儀なくされ、当社グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 当該リスクの対応策につきましては、当社グループでは顧客からの購買情報、増減産、生産終了、設計変更等の情報を適時に入手し、製造子会社や協力会社にも展開した上で、適正な在庫を維持できるよう、手配及び在庫管理体制の強化に努めております。

5 物流体制

 連結子会社のクリヤマジャパン㈱は、物流サービスにおいて外部物流会社との3PL契約を結んでおり、在庫・物流機能を集約することで配送を効率化していますが、当該物流センターが災害その他の理由により操業不能に陥った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。また、海外拠点において、当社グループは、迅速な出荷を目指し、契約している配送会社を通じて商品を直送するほか、荷姿や物量により最適な運送手段を利用することで、きめ細かな配送サービスを実施しております。かかる配送体制は競合企業との差別化要因となる一方、海外拠点の物流コストを増加させる可能性があります。

 当該リスクの対応策につきましては、国内の外部物流会社はその危機管理として「事業継続計画(BCP)」を策定し、自然災害等のリスクの最小化に努めております。また、海外拠点においては、配送会社との間で価格交渉を行い、物流コストの適正化に努めております。

6 海外事業の重要性

 当社グループでは、北米、欧州及び中南米地域で製造したゴム・樹脂・金属製の産業用ホース等の殆どを同地域で販売しております。当連結会計年度の連結売上高の内、海外売上高は63.5%を占めております。当社グループでは今後も海外展開を積極的に行う方針であり、為替変動のほか、進出先各地域の景気・消費等経済動向、政治・社会情勢の変化及び法的規制や慣習等に起因する予測不能な事態の発生が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

7 販売経路

 当社海外グループの多くの製品及び商品は、現地の販売代理店を経由して顧客に販売されています。当社グループは特定の販売代理店に対する著しい依存はありませんが、販売代理店は競合商品も取り扱っているため、購買政策の変更が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクの対応策として当社グループは現地生産、現地販売を基本方針とし価格競争力向上に努めております。製造子会社と販売子会社連携の下、販売価格の妥当性検証、製品の付加価値及び品質向上、更に納期短縮に努め、市場優位性を確保することで販売代理店からの信頼を高めるようにしております。

8 為替変動の影響

 連結財務諸表作成のために、現地通貨建ての財務諸表は円換算されます。このため、為替相場の変動は、現地通貨における価値に変動がなかったとしても、連結財務諸表ベースでは経営成績と財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループが原材料及び商品を調達している国外との外貨建て取引は、為替変動の影響を受ける可能性があることから中長期的な為替変動は、経営成績と財政状態に影響を与える可能性があります。

9 法的規制

 連結子会社のクリヤマジャパン㈱は、商品によっては販売にとどまらず設置・施工まで実施しているため、建築基準法及び建設業法等の規制を受けております。グループ各社が、万が一、何らかの事由により国土交通省その他の監督官庁から行政処分等を受けた場合、当社グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。主な許認可、免許及び登録の状況は下表の通りであります。

 当該リスクの対応策につきましては、各種業界団体から必要な情報を的確に収集するとともに、グループ経営会議を通じて、当社グループ内で定期的に想定される経営上のリスクの洗い出しとその評価・対応について協議しております。

取得年月

許認可等の名称

取得・登録者名

許認可等の内容

有効期限

2022年7月

特定建設業

(許可)

クリヤマジャパン㈱

国土交通大臣許可(特-4)

第24558号

建築工事業

土木工事業

2022年6月19日から

2027年6月18日迄。

以後5年ごとに更新

同上

一般建設業

(許可)

同上

国土交通大臣許可(般-4)

第24558号

左官工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、防水工事業、大工工事業、石工事業、舗装工事業、内装仕上工事業、とび・土工工事業、鋼構造物工事業、塗装工事業、屋根工事業、板金工事業、電気工事業

同上

2022年12月

同上

同上

国土交通大臣許可(般-4)

第24558号

管工事業

造園工事業

2022年12月13日から

2027年12月12日迄。

以後5年ごとに更新

10 会計制度・税制等の変更

 当社グループが予期しない会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの経営成績や財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、税務申告における各国税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。

 当該リスクの対応策につきましては、外部機関が主催するセミナーへの参加や専門書の定期購読などによる情報収集を行うとともに、社外専門家の助言を受けております。

11 自然災害・疫病等について

 当社グループはグローバルで事業活動を推進しております。この結果、想定外の自然災害、政治経済状況の変化、

感染症・伝染病等の流行、法律・規制の変更、テロ・戦争・その他社会情勢の混乱などが、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

 当該リスクの対応策につきましては、その危機管理として「事業継続計画(BCP)」の策定を進めており、そのリスクの最小化に努めております。

 

12 サイバーリスクについて

 標的型メールやマルウェアによるウイルス感染、不正アクセス等のサイバー攻撃の被害にあった場合、事業活動や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクの対応策につきましては、グループ全体の従業員を対象としたセキュリティ教育訓練、インシデント発生時の連絡体制強化、セキュリティ標準化の推進、一部のグループ会社は24時間365日のセキュリティ監視体制、サイバーリスク保険に包括加入してグループとしてのリスクの最小化に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済はインフレに対する金融政策の反動により、実体経済への先行き懸念が強まりつつも総じて底堅く推移しました。一方、中国経済はゼロコロナ政策解除後の景気回復に力強さを欠く状況が続きました。

 このような経済状況の中、当社グループは、収益性確保のための適切な価格転嫁や市場競争力向上のための物流最適化の推進により、事業基盤の強化に努めました。

 この結果、当社グループの連結売上高は、716億72百万円(前年同期比0.3%増)、営業利益は39億71百万円(前年同期比12.9%減)、経常利益は45億20百万円(前年同期比9.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は37億93百万円(前年同期比4.3%増)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の主たる増加要因は、米国子会社が物流倉庫拡張のために本社及び物流倉庫を売却したことによる利益を計上したためです。

 また、自己資本利益率(ROE)は10.3%となりました。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

◆アジア事業

[産業資材事業]

 日系建機・農機メーカー向けにゴム・樹脂商材の新規採用品目が増加した他、日系自動車・船舶メーカー向け関連商材の販売が好調に推移しました。一方、尿素SCR等の商材については、建機・農機及び欧州乗用車の在庫調整が続いたため販売が減少しました。また、中国経済の失速を受け、同国の建機生産台数が想定を下回ったことから関連商材の販売が減少しました。これらの結果、売上高は177億47百万円(前年同期比3.0%減)となり、損益面では価格転嫁を上回る調達コストの増加が利益を押し下げたため、営業利益は24億8百万円(前年同期比11.8%減)となりました。

[スポーツ・建設資材事業]

 スタジアム、体育館等の文教施設における改修、新設物件への営業強化が奏功し、「モンドトラック」(陸上競技用全天候舗装材)及び体育館用床材「タラフレックス」(弾性スポーツシート)の販売が増加しました。また、安全対策をはじめとした鉄道の駅舎工事案件の受注に伴い、「TALE-TILE」(ホーム先端タイル)、「エンシン階段」(高密度コンクリート階段材)の販売が増加しました。一方、国内商業施設で使用される「スーパー・マテリアルズ」(大判セラミックタイル)は民間の大型設備投資案件が一巡したことから販売が減少しました。これらの結果、売上高は90億45百万円(前年同期比14.9%減)となり、損益面では売上高の減少に加え、工事材料費や人件費高騰の影響により、営業利益は2億51百万円(前年同期比59.2%減)となりました。

[その他事業]

 イタリアのスポーツアパレルブランド「MONTURA」は、名古屋への直営店出店が通期で寄与したこともあり、店舗販売及びオンライン販売が増加したものの、量販店への販売が減少しました。また、ダストコントロール事業は市場規模が緩やかな縮小傾向にあるものの、大手顧客向けにマット等の新規採用品目が増加したため、前期並みの販売を確保しました。これらの結果、その他事業における売上高が7億7百万円(前年同期比4.3%減)となりました。損益面では広告宣伝やマーケティング活動、新規出店に伴う費用の増加により、営業損失は3億11百万円(前年同期は営業損失1億91百万円)となりました。

 

 以上のことから、アジア事業全体では、売上高は275億1百万円(前年同期比7.3%減)となり、営業利益は23億48百万円(前年同期比25.5%減)となりました。

 

◆北米事業

 景気後退懸念を背景に一部の市場で在庫調整の傾向が見られましたが、各種ホース・継手の販売は幅広い分野で底堅く推移しました。また、米国子会社へのサイバー攻撃による一時的なシステム障害が生じつつも、供給機能の改善に向けた取り組みが機会損失の最小化に貢献しました。これらの結果に円安の影響が加わり、売上高は389億75百万円(前年同期比5.2%増)となりました。損益面では支店倉庫の新設や、本社及び物流倉庫の移転・拡張に伴う費用が発生したものの、物流機能の最適化(在庫の適正化・配送の効率化)を促進したことから、営業利益は21億56百万円(前年同期比6.0%増)となりました。カテゴリ別の概況は以下のとおりです。

 

 

 

 

▽産業用樹脂ホース「Tigerflex」

インフラ公共投資に関連する建設業をはじめ、製造業、鉱業等、幅広い分野の需要を捉えたことで総じて販売が好調に推移しました。

 

▽高機能/汎用樹脂ホース・飲料用ホース「Kuri Tec・Accuflex」

 飲料用ホースは大手飲料メーカーやコンビニエンスストア向けへの販売が高水準を維持しました。その一方で、汎用樹脂ホースは年末にかけて代理店の在庫消化速度が鈍化した影響を受けて販売が減少しました。

 

▽ペイントスプレーホース・下水配管洗浄用ホース「Piranha」

 外壁塗装用ペイントスプレーホースは価格転嫁の進展により収益性が改善したものの、市場の在庫調整により販売が軟調に推移しました。一方、下水配管洗浄用ホースの販売は活況なインフラ整備の影響を受け、好調に推移しました。

 

▽ゴムホース・その他

 製造業、一般産業等における新規顧客獲得に加えて建設業の活況を受け、低圧用、高圧用共にゴムホースの販売が増加しました。また、消防用ホースは旺盛な需要を見越した営業体制強化が奏功したことで米国市場におけるシェア獲得が進展し、販売が好調に推移しました。

 

◆欧州・南米事業

 欧州域内及び南米地域における地産地消の優位性を活かした営業活動により、消防機関向け「消防用ホース・ノズル」及び、農業・一般産業分野向け「レイフラットホース」の販売がスペイン・ポルトガルを中心に堅調に推移しました。また、アルゼンチンにおけるオイル・ガス生産量の増加に牽引され、長距離送水用「大口径レイフラットホース」の販売が好調だったことから、売上高は51億95百万円(前年同期比9.2%増)となりました。一方、損益面ではアルゼンチンの子会社に対する超インフレ会計適用がマイナス要因となり、営業利益は3億40百万円(前年同期比6.0%減)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べて2.6%増加し、645億37百万円となりました。これは主に商品及び製品が12億70百万円増加したことによるものです。

(負債)

 負債合計は前連結会計年度末と比べて13.0%減少し、248億77百万円となりました。これは主に短期借入金が32億3百万円減少したことによるものです。

(純資産)

 純資産合計は前連結会計年度末に比べて15.6%増加し、396億60百万円となりました。これは利益剰余金が28億58百万円増加した他、為替換算調整勘定が21億45百万円増加したことによるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ8百万円減少し、74億38百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、44億98百万円の増加(前年同期は21億18百万円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益58億94百万円、売上債権の減少額14億17百万円等が主な要因であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、6億46百万円の増加(前年同期は10億10百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入22億63百万円と有形固定資産の取得による支出14億91百万円等が要因であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、52億9百万円の減少(前年同期は28億37百万円の増加)となりました。これは主に短期借入金の純減少額35億30百万円、長期借入金の返済による支出20億11百万円等が要因であります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

アジア事業

産業資材事業

3,115,041

84.0

北米事業

11,011,038

85.7

欧州・南米事業

3,064,021

86.2

合計

17,190,100

85.5

(注)1 上記金額は製造原価によっております。

2 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

アジア事業

産業資材事業

15,980,354

98.1

スポーツ・建設資材事業

4,311,928

76.4

その他事業

530,714

133.8

北米事業

25,662,968

98.2

欧州・南米事業

3,039,326

77.8

合計

49,525,290

94.6

(注)1 上記金額は実際仕入価格によっております。

2 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

c.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

アジア事業

産業資材事業

1,017,904

129.9

324,039

134.2

スポーツ・建設資材事業

4,466,077

107.2

1,617,666

148.5

合計

5,483,982

110.8

1,941,705

145.9

(注)1 上記金額は連結子会社であるクリヤマジャパン㈱の工事完成高(工事進行基準を適用しているものを含む)に係るものを表示しております。

2 製造子会社は、販売計画に基づく生産計画によって生産しており、受注生産は行っておりません。

 

d.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

アジア事業

産業資材事業

17,747,603

97.0

スポーツ・建設資材事業

9,045,851

85.1

その他

707,861

95.7

北米事業

38,975,772

105.2

欧州・南米事業

5,195,901

109.2

合計

71,672,990

100.3

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 販売実績の内、工事完成高(工事進行基準を適用しているものを含む)は以下のとおりであります。

 

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

金額(千円)

アジア事業

産業資材事業

838,857

935,410

スポーツ・建設資材事業

4,525,109

3,937,891

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)経営成績

① 売上高

 当連結会計年度における売上高は、716億72百万円(前年同期比0.3%増)となりました。売上高の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照下さい。

② 売上総利益

 当連結会計年度における売上総利益は、212億円(前年同期比2.9%増)となりました。主な増加要因としましては、売上高の増加によるものであります。

③ 販売費及び一般管理費

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、172億29百万円(前年同期比7.5%増)となりました。主な

増加要因としましては、給与手当等の増加によるものであります。

④ 営業利益

 当連結会計年度における営業利益は、39億71百万円(前年同期比12.9%減)となりました。主な減少要因としましては、アジア事業の売上高が減少したことによるものであります。

⑤ 経常利益

 当連結会計年度における経常利益は、45億20百万円(前年同期比9.1%減)となりました。主な減少要因としましては営業利益が減少したことによるものであります。

⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、58億94百万円(前年同期比17.0%増)となりました。主な増加要因としましては、固定資産売却益を計上したことによるものであります。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、37億93百万円(前年同期比4.3%増)となりました。

 

2)財政状態

 当連結会計年度における財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

3)流動性及び資金の源泉

① キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

② 資金需要

 当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。

 運転資金需要のうち主なものは商社として機能するための商品の仕入、製造子会社では製品を製造するための材料仕入、製造費、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、主に工場設立などによる建物や機械装置等固定資産購入によるものであります。

③ 財務政策

 当社グループは現在、運転資金につきましては、内部資金より充当し、不足が生じた場合は短期借入金で調達を行っております。また、設備資金につきましては、設備資金計画に基づき調達計画を作成し、内部資金で不足する場合は、長期借入金等により調達を行っております。

 なお、海外子会社につきましては、運転資金、設備資金とも、直接邦銀現地法人等より調達を行っております。

 

4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されており、その作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値及び収益、費用の報告数値について影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は過去の実績や状況に応じた合理的な見積り、判断及び仮定により継続的に検証し意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。なお、重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 当社はグループ全体の発展に寄与する商品開発・技術開発のために、製造技術・製造機械のレベル向上、解析業務・評価試験の拡充等、日々研究を積み重ねております。

 研究開発体制は、国内においては主に㈱クリヤマ技術研究所、㈱サンエーが行い、海外においては、Accuflex Industrial Hose, Ltd.(カナダ)、Kuriyama Canada, Inc.(カナダ)、Piranha Hose Products, Inc.(米国)、Kuri Tec Manufacturing, Inc.(米国)、Técnicas e Ingeniería de Protección, S.A.U.(スペイン)及びIndustrias Quilmes S.A.U.(アルゼンチン)の製造子会社5社が主に行っております。

 当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は492百万円であります。

 各セグメント別の研究開発活動を示すと次のとおりであります。なお、その他事業にかかる研究開発費の記載は省略しております。

◆アジア事業

[産業資材事業]

 ゴム、プラスチック、新素材について材料の試験・研究及び新しい製品の開発、さらに製造技術の研究等新素材、新商品の開発及び既存製法の改良等を行っております。当連結会計年度においては、尿素SCRシステムの小型化を目的としたモジュール製品の開発に努めた他、薄膜技術を応用することで新分野のセンサー開発に引き続き取り組んでまいりました。当連結会計年度における研究開発費の金額は288百万円であります。

[スポーツ・建設資材事業]

 鉄道施設等で落下防止するために使用されるスキマモールの製品改良を行った他、耐侯性の高い陸上競技場用トラックの開発を行ってまいりました。当連結会計年度における研究開発費の金額は41百万円であります。

◆北米事業

 北米市場の種々のホースに関して、独自性を持った競争力のある製品の開発を行うために、米国製造子会社(2社)とカナダ製造子会社(2社)がそれぞれの製造技術の融合を図りながら、環境の変化や用途の変更に対応した新製品の開発を推進しております。当連結会計年度においては、原価低減と地球環境保護に貢献すべく、製造途中で出たスクラップ材をリサイクルできるようにその開発に引き続き注力した他、従来調達していた一部の樹脂ホースについて内製化に成功しました。また中圧のエアゴムホースを軽量且つフレキシブルなものに改良すべく、中圧の樹脂製ホースの開発に努めました。当連結会計年度における研究開発費の金額は125百万円であります。

◆欧州・南米事業

 スペイン製造子会社では、長尺ホース(最大500m)の開発に努めた他、耐圧性や発光性、反射性の向上を目的にホースの製品改良に努めてきました。当連結会計年度における研究開発費の金額は37百万円であります。