文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、次に定める経営理念に基づき、ビジョンの実現を通じた持続的な成長と社会的な存在意義の創出および中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
<経営理念>
常に成長を求める事 共に成長を喜べる事
お客様の笑顔を追求する事
社会の発展に寄与する事 未来への文化を創造する事
そして常に夢を持ち続け愛される企業を実現します
(2)経営戦略等
当社は、「まだ世界にない、感動をつくる。」をコーポレートミッションに掲げ、ビジョンである「バイクライフの生涯パートナー」の実現に向けて、事業を推進しております。
<コーポレートミッション>
当社は、「まだ世界にない、感動をつくる。」を持続的な成長に向けた新たなコーポレートミッションとして掲げております。これは50年後も100年後も活躍し続ける企業となることを目指し、バイクライフを超えたライフデザイン企業を目指すものです。
<ビジョン>
当社は、「バイクライフの生涯パートナー」をビジョンとして掲げております。
当社が掲げる「バイクライフの生涯パートナー」とは、従来のバイク買取専門店としての「バイクを売るならバイク王」から、バイクに係る全てのサービスを総合的に提供する「バイクのことならバイク王」と言われるブランドへの進化を目指すものです。
そして、一人ひとりのお客様満足度のさらなる充実とともに長期にわたって多くのお客様に支持していただける企業になること、さらに、お客様とともにより豊かなバイクライフを創り上げていく企業となることを実現したいと考えております。
<基本戦略>
当社は、上記のビジョンを踏まえ従来のバイク買取専門店としての「バイクを売るならバイク王」から、お客様に「バイクのことならバイク王」と認識され選ばれることを目指しております。そのうえで、UX(顧客体験)グロースモデルを確立し、①店舗開発によるお客様接点の増加、②CRMシステムの構築によるデータに立脚したマーケティング活動、③サービス拡充・整備事業のネットワーク化を図っております。
(3)目標とする経営指標
当社は、企業価値の向上を図るため、持続的な成長を目標に掲げ、成長性と収益性を重要な経営上の指標としております。これに基づき、売上高と経常利益を具体的な指標と捉えております。
(4)経営環境および対処すべき課題
当社が属するバイク業界におきましては、コロナ禍による人々の行動の変化としてリターンライダーや新規ライダーの増加に表れるバイク志向の高まりがみられました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う行動制限緩和や経済活動の正常化などの環境の変化が生じています。具体的には、消費の選択肢が増えたことによるバイク需要に向かった消費の分散化をはじめ、新車供給の回復による新車と中古車の販売価格の差異が縮小、物価高騰に伴う趣味嗜好性への消費が抑制されたままと推察しております。ただし、当社が主力商材とする高市場価値車輌の保有台数は年々増加傾向かつ中古流通台数が不足しているため、オークション相場は未だ高い水準を維持し堅調な需要は続くものと判断しております。
国内におけるバイクの保有台数は約1,031万台(前年比0.2%増)と前年を上回り、当社の主力仕入とする高市場価値車輌である原付二種以上も約582万台(前年比3.3%増)と前年を上回っております※1。新車販売台数においては、約36万台(前年比4.4%減)と前年を下回り、高市場価値車輌も同様に約23万台(前年比8.1%減)と前年を下回っておりますが、依然として高い推移を維持しております※2。
※1.出典:一般社団法人日本自動車工業会(2022年3月末現在)
※2.出典:一般社団法人日本自動車工業会(2022年実績)
このような経営環境下にあって、当社は持続的な成長に向けて新たにコーポレートミッションとして「まだ世界にない、感動をつくる。」を掲げ、ビジョンである「バイクライフの生涯パートナー」の実現に向けて確実に経営戦略を遂行していくため、上記を踏まえ、以下の課題について対処してまいります。
当社は、経営の健全性を保つと共に、キャッシュ・フローを重視した経営を実現するため、在庫管理の徹底による在庫高の適正化を図ってまいります。また、投資基準の厳格化や事業および店舗単位での新たな損益管理体制を構築することにより、より強固な財務基盤を構築してまいります。
② 収益力の強化、バイク事業の再成長
当社は、お客様一人ひとりのライフサイクルに合わせた最適なサービス・商品を提供することにより、顧客満足度を高めるためのCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)戦略を推進してまいりました。しかし、バイク事業においては、営業管理、マーケティング、サービス開発の側面で、収益力をさらに高めることができると考えております。これらの課題に対処するため、新たな仕入プロセス管理手法の導入と運用、OJT実施体制の強化に努めてまいります。同時に、マーケティング戦略の実行により、ブランド力の向上を図ると共に、新規のお客様、乗換層のお客様、手放層のお客様のニーズを的確に捉えたうえで、効果的なアプローチ手法を確立してまいります。また、広告に頼らない仕入チャネルの開発・強化に取り組んでまいります。そして、それらの戦略を通じて、収益力の強化を図り、バイク事業の立て直しに努めてまいります。
当社は、持続的な成長を目指したHRM(ヒューマンリソースマネジメント)を実施することに加え、国籍、性別、性的指向、年齢等をはじめとした様々な人財の多様性を尊重し、社員一人ひとりの能力が最大限発揮する環境を構築してまいります。その上で、バイク事業の立て直しを図るにあたり、営業人財の採用、育成による組織力の向上を図り、企業価値向上に資する人財基盤の強化に努めてまいります。
④ 労働生産性の向上
当社は、バイク事業の立て直しを図るにあたり、間接部門の労働生産性向上により、営業業務支援を拡充することで、営業基盤の更なる強化に努めてまいります。その実現に向け、定型・既存業務における外部資源の活用、システム化による効率改善に努めると共に、間接部門によるサポートの継続と充実を図ってまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在における状況を基に当社が判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般
① ガバナンス
当社は、バイクをはじめとするリユース事業を通じた循環型社会の実現および中長期的な企業価値向上のため、サステナビリティへの対応を重要な課題と認識しており、代表取締役社長を委員長とする諮問委員会およびリスク管理委員会が各担当部門と連携し、サステナビリティに関連する事項についての状況確認、対応策の協議、取り組み内容の検証などを行い、取締役会に報告を行っております。取締役会は、各会議体での検証・協議内容の報告を受け、課題への取り組みについて決議・監督を行っています。

② 戦略
1990年代、中古バイク市場の環境は整っておらず、バイクの不法投棄や路上放置が社会問題となっていた中、そのような問題を解決することを目指し、当社は1994年に創業いたしました。以来、当社は、「社会の発展に寄与する事 未来への文化を創造する事」をはじめとした経営理念のもとに成長を続け、社会問題を解決するとともに、バイクリユース市場のリーディングカンパニーとして廃棄の低減、新たな価値の提供に努めてまいりました。
そして、当社はコーポレートミッションとして「まだ世界にない、感動をつくる。」を掲げ、50年後も100年後も活躍し続ける企業、バイクライフを超えた「ライフデザイン」企業を目指しており、気候変動、資源などに関する地球環境問題やワークライフバランス、人権などの社会問題を解決し、持続可能な社会を実現するための責任を果たすことこそが最重要課題であると捉えています。
このような中、2024年11月期に創業30周年を迎える当社は持続可能な社会の実現に貢献し、持続的な企業価値向上を図るため、以下をサステナビリティ基本方針として新たに定めております。
■社会課題の解決
・バイクをはじめとするリユース業を軸にサステナビリティを巡る課題解決への取り組み強化、持続可能な社会の実現
・ESG経営の推進
■持続的な経営基盤の構築
・株主、お客様、社員、お取引先、地域社会、業界などにおけるステークホルダーの皆様との建設的な対話を推進
・経営の公正性および透明性を確保し、コーポレート・ガバナンスの充実、社員成長の支援、循環型社会の実現などに向けた取り組みを一層強化
また、当社は、気候変動などの地球環境問題およびサステナビリティを巡る課題に積極的に取り組み、持続可能な低炭素社会の実現を目指します。そのため、気候変動に係る戦略の策定に先駆け、国際エネルギー機関(IEA)等の科学的根拠等に基づき1.5℃未満シナリオの気温上昇時の状況を特定した上で分析を行い、短期、中期および長期的な視点で気候変動に関する移行・物理的リスクを把握し、事業への影響度を評価しております。
<リスク>
<機会>
発生時期:短期(~3年)、中期(3~5年)、長期(10年)
財務インパクト:小(~1億円)、中(1~7億円)、大(7億円~)
当社事業は二輪車の買取・販売および輸送を主としており、温室効果ガス(GHG)排出量の削減は移行・物理リスクおよび機会に中長期的に影響を与えると想定されます。そのため、当社は以下の取り組みにより温室効果ガス排出量削減に努めてまいります。
a. 二輪車とその周辺製品の平均使用年数を延ばすことによるCO2排出量の削減
バイクが製造されてから廃棄されるまでの年数を延ばすと同時に、バイクに関連するパーツ、用品のリサイクル事業を今後拡大し、CO2排出量の削減に努めてまいります。
b. 電動モビリティの普及によるCO2排出量の削減
四輪車と比較してCO2排出量が少ない二輪車の普及に努め、環境負荷の低減を推進してまいります。また、未だ電動モビリティは少数となっておりますが、今後、需要は高まっていくと想定されることから、よりサステナブルな車輌の普及ならびに脱炭素化に貢献し、新たな収益機会を創出いたします。
c. インフラ整備による温室効果ガス排出量の削減
温室効果ガス排出量の削減に向け、以下の施策を強化してまいります。
・ペーパーレス化の推進
・建物照明器具のLED化の推進
・働き方改革の推進によるリモートワークなど、ITを活用したオフィス規模の縮小
当社は、今後TCFDの枠組みに沿った情報開示の質と量を充実するとともに、気候変動に係る中長期のリスク・機会を重大な経営課題の一つとして認識し、課題解決に向けて取り組んでまいります。
③ リスク管理
当社では、気候変動に係る全般の課題について、リスクと機会の抽出・シナリオ分析などの対応を推進しています。リスク管理委員会では、気候変動以外のリスクも含めて認識されるリスク全般について、重要性を評価し、その対応方針や戦略を策定しております。
④ 指標と目標
当社事業は二輪車のリユースを中心としたものであるため、温室効果ガスの排出に関する情報の集積が比較的難しい点があります。しかし、当社の気候変動に係る課題認識からすると、温室効果ガス排出量の削減は前述の通り重要な課題であるため、今後、Scope別温室効果ガス排出量の開示を目指すとともに、各段階における削減目標の設定、目標達成に向けた戦略の策定を進め、温室効果ガス排出量の削減に努めてまいります。
(2) 人的資本関係
① 人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針
当社の経営理念には、「常に成長を求める事 共に成長を喜べる事」を掲げており、基本的人権の尊重、差別の禁止など人の尊厳が守られる社会を実現するとともに、人事理念である「社員の成長を応援する」をもとに多様な人財を採用し一人ひとりの人格と個性を尊重し、職場環境の改善や教育研修の機会の創出について、次の項目を掲げて推進してまいります。
a. ダイバーシティ&インクルージョンの実現
・女性活躍推進に関する取組
・仕事と家庭の両立支援に関する取組
・外国人従業員の受け入れ強化に関する取組
・障がい者の活躍に関する取組
b. 自律的なキャリア構築の支援
・社員一人ひとりの能力・役割に合わせて、階層別・職種別・自己啓発支援に関する効果的な研修実施
・自らの成長と事業への貢献を実感できるキャリア形成の実現
c. 健康経営
・働き方改革に関する取組
・安全衛生・健康推進に関する取組
② 指標と目標
当社では、上記において記載した人財の多様性の確保を含む人的資本に関する目標および方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標および実績は、次のとおりです。
当社の経営成績、財政状態および株価等に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) バイク市場について
当社は、バイクを商材として事業を展開しております。このため、国内における新車販売台数の著しい減少、メーカーの経営悪化、業務停止および事業方針の変更等の発生によりバイク市場における需給バランスの変化が起こった場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 広告宣伝活動およびブランド展開について
当社のバイク買取は、広告宣伝活動によって査定および買取の需要を喚起し、バイクの仕入を行うものです。このため、広告宣伝活動の効果が著しく低下した場合、仕入台数の減少や売上高に占める広告宣伝費比率の上昇を招き、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、「バイク王」をコアブランドとして位置づけ、認知度の向上および広告宣伝活動の効率化を図っております。このため、想定外の事象によるブランド価値の毀損等による当社の信用の著しい低下や、当社に係わる事件・事故等の発生によりお客様との信頼関係が損なわれた場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) リテールの拡大について
当社は、お客様から仕入れたバイクのうち、リテールに適したものに整備を施しておりますが、販売車輌における整備不良等に起因する事故や損害賠償訴訟等が発生した場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、リテールの拡大を図ることにより従来のビジネスモデル(ホールセール)に比べ一定の在庫保有期間が生じるため、在庫のモニタリング機能を強化しておりますが、保有期間の長い在庫が大量に発生した場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 固定資産の減損会計について
当社は、店舗設備等の固定資産を保有しており、定期的に店舗ごとに減損兆候の判定を行うことで、経営効率の向上に努めております。しかしながら、経営環境の変化等により、今後著しく収益性が低下し減損損失を計上することになった場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) システムについて
当社は、バイクの買取から販売までの業務を独自の基幹システムを活用することで、業務の効率化や情報収集力の強化、データ分析に努めているほか、事業活動に関わる情報を財産と考え、継続的に情報セキュリティ体制の構築・強化を図っております。
しかしながら、不測の事態による情報セキュリティ事故、地震等の自然災害の発生による情報システムの停止またはお客様との接点であるWEBサイトの不具合・遅延が発生した場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 人財の育成および確保について
当社にとって人財は経営の基盤となるため、人事理念である「社員の成長を応援する」をもとに人財採用・確保に取り組んでおります。競争力を維持・向上し続けるためには、特性や能力を最大限に活かせる職場環境の構築やマネジメント層の教育のほか、女性、外国人、そして様々な職歴をもつ中途採用者など、多様な人財を採用し一人ひとりの違いを尊重し価値を見つけることが、重要であると考えております。ただし、当社が人財育成、適切な人員配置を計画どおり進められなかった場合、長期的視点から当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は職場環境の充実や改善、適正な労働時間の管理や時間外労働の抑制等に継続的に取り組んでおりますが、万一、過重労働や不適切な労務管理による法令違反や働き方改革関連法令等の新たな法令の制定・改正等で対応が遅れて事業活動に制約を受けた場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 法的規制について
当社は、販売における広告宣伝や販売促進活動の実施にあたり景品表示法の適用を受けますが、当社の過失により不適切な表示がなされ、その影響が多岐にわたる場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、バイクの買取およびバイクの通信販売において特定商取引法の適用を受けますが、不招請勧誘・クーリングオフ等の各種規制に抵触することで行政罰や社名公表等の措置を受けた場合、社会的信用の低下等により、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社は、事業を展開する地域における環境に関する法規制、二輪車の販売・安全性に関する法規制、企業取引に関する法規制、税法等様々な規制のもとに事業を行っております。予期せぬ法規制の変更等により当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 新型コロナウイルスをはじめとした感染症の影響について
新型コロナウイルス感染症は2023年5月8日付で感染症法上、季節性インフルエンザと同様、分類が5類に変更となり、今後社会経済活動への影響は徐々に緩和されていくと考えております。
しかし、新型コロナウイルスのような感染症のパンデミックが今後発生した場合、コンタクトセンター受付業務、店舗業務、物流業務の一部が停止し、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、7-9月期の実質GDP成長率が年率換算-2.9%と3四半期ぶりのマイナス成長となり景気回復に一服感がみられました。また、11月の内閣府の景気ウォッチャー調査では、「景気は緩やかな回復基調が続いているものの、一服感が見られる。先行きについては、物価上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続く」との見方が示されています。懸念されている物価上昇には、依然強さがみられるものの、9月、10月のコアCPIは2か月連続で3%を割り込んでおり、落ち着きもみられます。このように、個人消費回復の大きな足かせとなっている実質賃金の低下要因が解消されるような兆しが見受けられることも、今後の緩やかな景気回復の見方を支えています。一方、地政学リスクには、長引くウクライナ紛争に、イスラエル・パレスチナ紛争も加わり、我が国の景気への新たな不安材料となるなど、警戒感は持続しています。
当社が属するバイク業界におきましては、コロナ禍による人々の行動の変化としてリターンライダーや新規ライダーの増加に表れるバイク志向の高まりがみられました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う行動制限緩和や経済活動の正常化などの環境の変化が生じています。具体的には、消費の選択肢が増えたことによるバイク需要に向かった消費の分散化をはじめ、新車供給の回復による新車と中古車の販売価格の差異が縮小、物価高騰に伴う趣味嗜好性への消費が抑制されたままと推察しております。ただし、当社が主力商材とする高市場価値車輌の保有台数は年々増加傾向かつ中古流通台数が不足しているため、オークション相場は未だ高い水準を維持し堅調な需要は続くものと判断しております。
国内におけるバイクの保有台数は約1,031万台(前年比0.2%増)と前年を上回り、当社の主力仕入とする高市場価値車輌である原付二種以上も約582万台(前年比3.3%増)と前年を上回っております※1。新車販売台数においては、約36万台(前年比4.4%減)と前年を下回り、高市場価値車輌も同様に約23万台(前年比8.1%減)と前年を下回っておりますが、依然として高い推移を維持しております※2。
※1.出典:一般社団法人日本自動車工業会(2022年3月末現在)
※2.出典:一般社団法人日本自動車工業会(2022年実績)
このような状況のもと、当社は持続的な成長に向けてコーポレートミッションとして「まだ世界にない、感動をつくる。」を掲げ、ビジョンである「バイクライフの生涯パートナー」の実現を目指しております。
そのうえで、2023年11月期の中期経営計画においてUX(顧客体験)グロースモデルを確立し、①店舗開発によるお客様接点の増加、②CRMシステムの構築によるデータに立脚したマーケティング活動、③サービス拡充・整備事業のネットワーク化を図ってまいりました。その結果、①新規・移転増床合わせて10店舗を開発、②CRMシステムを活用した新規会員獲得と利用促進を図ることで会員数増加、③整備を希望する様々なニーズを持つユーザーと、それらのニーズを満たすバイクショップをマッチングさせるサービス「BOCS(ボックス)」の運用を開始いたしました。
また、前事業年度は関連会社からの臨時的な受取配当金を営業外収益として計上しておりましたが、当事業年度においては発生いたしませんでした。
加えて、当社の非連結子会社である株式会社ライフ&カンパニーと株式会社バイク王ダイレクトの吸収合併を踏まえ、保有株式の評価減90,000千円および当社から子会社への貸倒引当金81,363千円に加え、不採算となっている店舗の減損処理45,603千円を実施した結果、合計219,911千円の特別損失を計上いたしました。
以上の結果、売上高33,068,034千円(前期比1.2%減)、営業損失166,081千円(前期は1,653,702千円の営業利益)、経常利益150,387千円(前期比93.3%減)、当期純損失110,760千円(前期は、1,550,042千円の当期純利益)となりました。
(バイク事業)
仕入面において仕入台数が減少した理由は、仕入台数不足を改善させるために広告宣伝費を積極的に投下したものの、買取サービスの訴求力不足により投下した費用に見合うお客様からのお問い合わせ数が得られませんでした。また、中古四輪車業界のネガティブな報道が2023年7月から取り上げられた影響により、業界に対する不信感等がみられ二輪車業界に属する当社にも一時的に波及した可能性があり、お客様からのお問い合わせに影響を与えました。加えて、仕入価格の適正化を図るため、厳格な原価管理を徹底したことにより査定時の成約率がやや低下いたしました。なお、仕入価格の上振れは、仕入プロセスにおける管理指標の変更、査定の精度向上を目的とした指導を実施し、厳格な原価管理を徹底したことにより改善いたしました。
販売面においてホールセールは、仕入台数の減少およびリテール在庫を強化したことにより販売台数が前期より大幅に減少いたしました。なお、高市場価値車輌の中でもより需要が高い車輌を販売するとともに、販売価格水準を維持する販売に努めたことにより、車輌売上単価(一台当たりの売上高)は前期より大幅に上回りました。
リテールにおいては、今後のさらなる成長のエンジンとするため、店舗の新規出店を拡大いたしましたが、店舗人員の採用や教育が手薄となったことから店舗毎の営業力が低下し販売台数が前期より減少し、車輌売上単価(一台当たりの売上高)においては、排気量構成の変化により前期よりやや下回りました。
これらの結果、車輌売上単価(一台当たりの売上高)は前期を上回りましたが、販売台数は前期より大幅に減少ならびに平均粗利額(一台当たりの粗利額)は前期よりやや下回ったことにより売上高は減収、売上総利益は減益となりました。
また、店舗の開発状況につきましては、10店舗がオープンし、翌事業年度12月に1店舗のオープンとなりましたが、計画11店舗は達成いたしました。(店舗数:78店舗 2024年2月27日現在)
(その他)
当社の完全子会社である株式会社ライフ&カンパニー、株式会社バイク王ダイレクトが行う各事業を親会社に取り込み直接行うことで、オペレーションの合理化や経営資源の最適化によるシナジー効果の創出およびコスト削減を図るとともに、強固かつ効率的な経営管理体制を構築することを目的に、吸収合併することを10月に決議し12月に吸収合併が完了いたしました。
(流動資産)
流動資産は、前事業年度末に比べ868,704千円減少し、8,234,130千円となりました。これは主に、現金及び預金781,534千円、商品512,906千円、売掛金85,052千円、前渡金10,858千円が減少し、未収還付法人税等268,194千円、未収還付消費税等46,469千円、前払費用23,076千円、貸付金の増加等により「その他」180,238千円が増加したためであります。
(固定資産)
固定資産は、前事業年度末に比べ906,174千円増加し、3,820,679千円となりました。これは、建物の増加等により「有形固定資産」が329,297千円、関係会社株式、敷金及び保証金の増加等により「投資その他の資産」が601,421千円増加し、ソフトウエア償却費の計上等により「無形固定資産」が24,544千円減少したためであります。
(流動負債)
流動負債は、前事業年度末に比べ282,917千円増加し、4,610,831千円となりました。これは主に、短期借入金1,100,000千円、1年内返済予定の長期借入金288,455千円、未払金40,432千円が増加し、未払法人税等438,900千円、未払消費税等358,212千円、前受金229,624千円、賞与引当金93,871千円が減少したためであります。
(固定負債)
固定負債は、前事業年度末に比べ285,896千円増加し、1,049,805千円となりました。これは、資産除去債務92,854千円、株式給付信託引当金86,259千円、長期リース債務66,710千円、長期借入金57,363千円が増加し、長期未払金の減少等により「その他」が17,290千円減少したためであります。
(純資産)
純資産は、前事業年度末に比べて531,343千円減少し、6,394,172千円となりました。これは主に、当期純損失110,760千円の計上と株主配当による利益剰余金の減少421,068千円があったためであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前事業年度末に比べ、781,534千円減少し、1,987,184千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は123,109千円(前期は2,102,978千円の増加)となりました。これは主に、税引前当期純損失51,503千円に、減価償却費524,749千円、関係会社評価損90,000千円、減損損失45,603千円の計上に加え、法人税の支払額677,443千円、賞与引当金の減少93,871千円により資金が減少したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は1,595,537千円(前期は647,544千円の減少)となりました。これは主に、関係会社株式の取得による支出591,936千円、有形固定資産の取得による支出460,939千円、無形固定資産の取得による支出210,608千円、関係会社貸付による支出204,419千円、敷金及び保証金の差入による支出128,468千円により資金が減少したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は937,112千円(前期は369,068千円の増加)となりました。これは主に、短期借入の純増1,100,000千円、長期借入による収入692,638千円により資金が増加し、配当金の支払額419,554千円、長期借入金の返済による支出346,820千円、リース債務の返済による支出89,380千円により資金が減少したためであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当事業年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 当社の事業区分は「バイク事業」の単一セグメントであります。
当社は業者向けオークション販売および小売販売を行うことを主としておりますので、受注状況に該当するものはありません。
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当社の事業区分は「バイク事業」の単一セグメントであります。
2.当事業年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
財政状態及び経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
バイク業界におきましては、新型コロナウイルス感染症が5類になったことによる行動制限が緩和され、環境の変化によってバイクへの関心は落ち着きはじめております。これにより、消費の選択肢が増えバイク需要に向かった消費の分散化をはじめ、新車供給の回復による新車と中古車の販売価格の差異は縮小、物価高騰に伴う趣味嗜好性への消費が抑制されたままと推察しております。ただし、当社が主力商材とする高市場価値車輌の保有台数は年々増加傾向かつ中古流通台数が不足しているため、オークション相場は未だ高い水準を維持し堅調な需要は続くものと判断しております。
このような状況のもと、当社は持続的な成長に向けてコーポレートミッションとして「まだ世界にない、感動をつくる。」を掲げ、ビジョンである「バイクライフの生涯パートナー」の実現を目指しております。そのうえで、UX(顧客体験)グロースモデルを確立し、①店舗開発によるお客様接点の増加、②CRMシステムの構築によるデータに立脚したマーケティング活動、③サービス拡充・整備事業のネットワーク化を図っております。
なお、翌事業年度は、主力事業であるバイク事業をあらためて成長軌道に乗せるための活動および利益体質の改善に専念してまいります。具体的には、当事業年度に課題となった広告効率の改善や、査定成約率の向上を図り仕入台数を増加させるとともに、営業力の強化やお客様のニーズに合った新たなサービスを展開し販売台数の増加に努めてまいります。
また、2025年11月期を最終年度とする中期経営計画(2023年1月10日公表)の初年度の目標が大幅未達となったことを踏まえ、本中期経営計画における数値計画を一旦取り下げ、リテールを成長させながらバイク事業の立て直しに注力してまいります。詳細は、2024年1月10日付で公表いたしました「中期経営計画上の定量目標の取り下げに関するお知らせ」をご参照ください。
当社の資金状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資金需要のうち主なものは、運転資金および設備投資資金であり、その調達は主として自己資金および金融機関からの借入により行っております。
当社は不測の事態・リスクに備えた安定的な運転資金を確保するため、また、当社事業のさらなる拡大のための成長資金を機動的かつ安定的に調達するため、取引銀行3行と貸越限度額6,200百万円の当座貸越契約およびコミットメントライン契約を締結しております。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたって、当社が採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
なお、財務諸表の作成にあたって、資産・負債や収益・費用に影響を与える見積りは、経営者が過去の実績や現在の取引状況ならびに入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積りや仮定を継続的に使用しておりますが、見積りおよび仮定には不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があります。
(完全子会社の吸収合併について)
当社は、2023年10月4日開催の取締役会において、当社の完全子会社である株式会社バイク王ダイレクト、株式会社ライフ&カンパニーを吸収合併することを決議し、2023年12月1日付で実施いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。
(株式取得による子会社化について)
当社は、2023年6月30日開催の取締役会において、株式会社東洋モーターインターナショナルの全株式を取得し子会社化することについて決議いたしました。当該決議に基づき、2023年7月12日に株式譲渡契約を締結し、2023年7月31日に当該株式を取得し子会社化いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。
該当事項はありません。