第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社は、次に定める経営理念に基づき、ビジョンの実現を通じた持続的な成長と社会的な存在意義の創出および中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。

 

<経営理念>

常に成長を求める事 共に成長を喜べる事
お客様の笑顔を追求する事
社会の発展に寄与する事 未来への文化を創造する事
そして常に夢を持ち続け愛される企業を実現します

 

(2)経営戦略等

当社は、「まだ世界にない、感動をつくる。」をコーポレートミッションに掲げ、ビジョンである「バイクライフの生涯パートナー」の実現に向けて、事業を推進しております。

 

<コーポレートミッション>

当社は、「まだ世界にない、感動をつくる。」をコーポレートミッションとして掲げております。

これは50年後も100年後も活躍し続ける企業となることを目指し、バイクライフを超えたライフデザイン企業を目指すものです。

 

<ビジョン>

当社は、「バイクライフの生涯パートナー」をビジョンとして掲げております。
 当社が掲げる「バイクライフの生涯パートナー」とは、従来のバイク買取専門店としての「バイクを売るならバイク王」から、バイクに係る全てのサービスを総合的に提供する「バイクのことならバイク王」と言われるブランドへの進化を目指すものです。
 そして、一人ひとりのお客様満足度のさらなる充実とともに長期にわたって多くのお客様に支持していただける企業になること、さらに、お客様とともにより豊かなバイクライフを創り上げていく企業となることを実現したいと考えております。
 

<基本戦略>

当社は、UX(顧客体験)グロースモデルを確立すべく、①店舗開発によるお客様接点の増加、②CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)システムの構築によるデータに立脚したマーケティング活動、③サービス拡充・整備事業のネットワーク化を図っております。

 

(3)目標とする経営指標

当社は、企業価値の向上を図るため、持続的な成長を目標に掲げ、成長性と収益性を重要な経営上の指標としております。また資本コストを意識した経営を実践すべく、ROE(自己資本利益率)を重視しております。これらに基づき、連結売上高と連結当期純利益を具体的な指標と定めるとともに、取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬制度(業績連動報酬)との整合を図っております。

 

(4)経営環境および対処すべき課題

当社グループが属するバイク業界におきましては、環境規制、技術革新、社会的価値観の変化、経済情勢などの影響を大きく受けています。加えて、人口動態の変化による少子高齢化の進行やライフスタイルの多様化にともない、お客様のニーズは複雑化し、商品やサービスの提供に対してより柔軟な対応が求められていると考えております。

そのような中、当社グループが主力商材とする高市場価値車輌の保有台数は年々増加傾向にあり、この背景は趣味やライフスタイルとしてバイクを選ぶ層が増加していることと考えており、当面の間、リテール市場ならびにオークション市場の需要は堅調に推移していくものと判断しております。

国内におけるバイクの保有台数は約1,030万台(前年比0.1%減)と前年とほぼ横ばいになっておりますが、当社グループの主力仕入とする高市場価値車輌である原付二種以上は約597万台(前年比2.6%増)と前年を上回っております※1。新車販売台数においては、約38万台(前年比4.0%増)と前年を上回り、高市場価値車輌も同様に約28万台(前年比23.0%増)と前年を上回っており、依然として高い推移を維持しております※2

※1.出典:一般社団法人日本自動車工業会(2023年3月末現在)

※2.出典:一般社団法人日本自動車工業会(2023年実績)

 

このような経営環境を踏まえ、確実に経営戦略を遂行していくため、以下の課題について対処してまいります。

 

① 人財基盤の強化

 当社グループは、国籍、性別、性的指向、年齢等をはじめとした様々な人財の多様性を尊重し、社員一人ひとりの能力が最大限発揮する環境を構築してまいります。その上で、バイク事業における整備職人財の確保、人財育成および活性化、採用力の強化、人財配置の最適化を図り、企業価値向上に資する人財基盤の強化に努めてまいります。

 

財務基盤、経営管理の強化

 当社グループは、経営の健全性を保つと共に、キャッシュ・フローの最適化、投資管理体制の強化を図るなど資本コスト経営を実践し、より強固な財務基盤を構築してまいります。また、予実管理体制の強化、資源配分の最適化を図り、経営管理体制を強化してまいります。

 

③ 収益力の強化

 当社グループは、お客様一人ひとりのライフサイクルに合わせた最適なサービス・商品を提供するため、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の強化、ニーズに基づくサービス・チャネルの開発を進めてまいります。また、より多くのお客様に当社グループのサービスを選択頂けるよう、ブランディングやエリアマーケティングの強化、店舗の開発と付加価値の高いサービスの拡充、接客力の向上に努めてまいります。そして、更なるサービスの成長・改善に向けて、広告および在庫効率の最適化、広告に依存しない仕入の強化を通じて、収益力の向上を目指します。

 

④ 労働生産性の向上

 当社グループは、リテールオペレーションの強化による販売効率の向上、自動化技術を含むDXの推進などによる非労働集約型オペレーションの構築を図ると共に、各種外部リソースの活用により、労働生産性の向上を図ってまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における状況を基に当社グループが判断したものであります。

 

 (1) サステナビリティ全般

 

① ガバナンス

当社グループは、バイクをはじめとするリユース事業を通じた循環型社会の実現および中長期的な企業価値向上のため、サステナビリティへの対応を重要な課題と認識しており、取締役CVOを委員長とする当社諮問委員会および代表取締役を最高責任者とし、取締役COOを委員長とする当社リスク管理委員会が各担当部門等と連携し、サステナビリティに関連する事項についての状況確認、対応策の協議、取り組み内容の検証などを行い、当社取締役会に報告を行っております。取締役会は、各会議体での検証・協議内容の報告を受け、課題への取り組みについて決議・監督を行っております。

 


 

② 戦略

1990年代、中古バイク市場の環境は整っておらず、バイクの不法投棄や路上放置が社会問題となっていた中、そのような問題を解決することを目指し、当社は1994年に創業いたしました。以来、当社は、「社会の発展に寄与する事 未来への文化を創造する事」をはじめとした経営理念のもとに成長を続け、社会問題を解決するとともに、バイクリユース市場のリーディングカンパニーとして廃棄の低減、新たな価値の提供に努めてまいりました。

そして、当社グループはコーポレートミッションとして「まだ世界にない、感動をつくる。」を掲げ、50年後も100年後も活躍し続ける企業、バイクライフを超えた「ライフデザイン」企業を目指しており、気候変動、資源などに関する地球環境問題やワークライフバランス、人権などの社会問題を解決し、持続可能な社会を実現するための責任を果たすことこそが最重要課題であると捉えています。

このような中、持続可能な社会の実現に貢献し、持続的な企業価値向上を図るため、以下をサステナビリティ基本方針および重要課題(マテリアリティ)として定めております。

 

■社会課題の解決

・バイクをはじめとするリユース業を軸にサステナビリティを巡る課題解決への取り組み強化、持続可能な社会の実現

・ESG経営の推進

 

■持続的な経営基盤の構築

・株主、お客様、社員、お取引先、地域社会、業界などにおけるステークホルダーの皆様との建設的な対話を推進

・経営の公正性および透明性を確保し、コーポレート・ガバナンスの充実、社員成長の支援、循環型社会の実現などに向けた取り組みを一層強化

 

■重要課題(マテリアリティ)

・安心、安全、快適なモビリティの提供

・環境負荷の低減

・人財マネジメント

・ガバナンスの推進

 

また、当社グループは、気候変動などの地球環境問題およびサステナビリティを巡る課題に積極的に取り組み、持続可能な低炭素社会の実現を目指します。そのため、気候変動に係る戦略の策定に先駆け、国際エネルギー機関(IEA)等の科学的根拠等に基づき1.5℃未満シナリオの気温上昇時の状況を特定した上で分析を行い、短期、中期および長期的な視点で気候変動に関する移行・物理的リスクを把握し、事業への影響度を評価しております。

 

    <リスク>

分類

項目

No.

中項目

詳細

発生時期

財務インパクト

移行リスク

政策/

規制

No.1

・炭素税(カーボンプライシング)の導入

・エネルギーコストの増加

・ガソリン車への規制

・炭素税導入が、各物流センター、事業所における操業や配送などのサプライチェーン全体に影響

・法規制違反によるペナルティの発生

中期

:現状の事業に係るCO2排出量では、炭素税導入やエネルギー価格の高騰などにより、コストが若干増加する可能性がある

市場

No.2

・電動モビリティの普及

・電動モビリティの普及により、ガソリン車の需要が減少

・電動モビリティに関連する新たな整備技術への対応

中~

長期

:ガソリン車の販売が大幅に減少し、技術対応に関連するコストが増加する可能性がある

 

評判

No.3

・資金調達への影響

・環境への配慮が不足しており、サステナビリティに欠けると判断された場合、関連する資金調達が困難

中期

:ステークホルダーから環境への取組みに対する評価が低下し、株式を含む取引などに若干の影響を及ぼす可能性がある

 

物理リスク

急性

No.4

洪水・海面上昇等の災害への対応強化

・店舗およびAC会場の被災

・異常気象による買取機会の損失

・サプライチェーンの被災による納期の遅延

中~

長期

:店舗の休業、復旧および在庫の損失、その他の拠点の被災などにより売上高が減少、コストが増加する可能性がある

 

  <機会>

分類

項目

No.

中項目

詳細

発生時期

財務インパクト

移行機会

市場

No.1

電動モビリティの普及による新たな顧客層の開拓

・電動モビリティの需要拡大

中~

長期

:電動モビリティの買取、販売が大幅に増加する可能性がある

製品/

サービス

No.2

電動モビリティの普及による新たな顧客層の開拓

・電動モビリティの整備需要の拡大

中~

長期

:電動モビリティの整備売上が増加する可能性がある

資源の効率化

No.3

ガソリン車および付属パーツの希少化に伴う需要の増加

・ガソリン車の希少価値が増加

中~

長期

:ガソリン車の単価が大幅に増加する可能性がある

 

発生時期:短期(~3年)、中期(3~5年)、長期(10年)

財務インパクト:小(~1億円)、中(1~7億円)、大(7億円~)

 
  当社グループの事業はバイクの買取・販売および輸送を主としており、温室効果ガス(GHG)排出量の削減は移行・物理リスクおよび機会に中長期的に影響を与えると想定されます。そのため、当社グループは以下の取り組みにより温室効果ガス排出量削減に努めてまいります。

 

a. バイクとその周辺製品の平均使用年数を延ばすことによるCO2排出量の削減

バイクが製造されてから廃棄されるまでの年数を延ばすと同時に、バイクに関連するパーツ、用品のリサイクル事業を今後拡大し、CO2排出量の削減に努めてまいります。

 

b. 電動モビリティの普及によるCO2排出量の削減

四輪自動車と比較してCO2排出量が少ないバイクの普及に努め、環境負荷の低減を推進してまいります。また、未だ電動モビリティは少数となっておりますが、今後、需要は高まっていくと想定されることから、よりサステナブルな車輌の普及ならびに脱炭素化に貢献し、新たな収益機会を創出いたします。

 

c. インフラ整備による温室効果ガス排出量の削減

温室効果ガス排出量の削減に向け、以下の施策を強化してまいります。

・ペーパーレス化の推進

・建物照明器具のLED化の推進

・働き方改革の推進によるリモートワークなど、ITを活用したオフィス規模の縮小

 

当社グループは、今後TCFDの枠組みに沿った情報開示の質と量を充実するとともに、気候変動に係る中長期のリスク・機会を重大な経営課題の一つとして認識し、課題解決に向けて取り組んでまいります。

 

③ リスク管理

当社グループでは、気候変動に係る全般の課題について、リスクと機会の抽出・シナリオ分析などの対応を推進しています。当社のリスク管理委員会では、気候変動以外のリスクも含めて認識されるリスク全般について、重要性を評価し、その対応方針や戦略を策定しております。

 

④ 指標と目標

当社グループの事業はバイクのリユースを中心としたものであるため、温室効果ガスの排出に関する情報の集積が比較的難しい点があります。しかし、当社グループの気候変動に係る課題認識からすると、温室効果ガス排出量の削減は前述の通り重要な課題であるため、今後、Scope別温室効果ガス排出量の開示を目指すとともに、各段階における削減目標の設定、目標達成に向けた戦略の策定を進め、温室効果ガス排出量の削減に努めてまいります。

 

 (2) 人的資本関係

 

① 人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針

当社グループは、基本的人権の尊重、差別の禁止など人の尊厳が守られる社会を実現するとともに、多様な人財を採用し一人ひとりの人格と個性を尊重し、職場環境の改善や教育研修の機会の創出について、次の項目を掲げて推進してまいります。

 

a. ダイバーシティ&インクルージョンの実現

 ・女性活躍推進に関する取組

 ・仕事と家庭の両立支援に関する取組

 ・外国人従業員の受け入れ強化に関する取組

 ・障がい者の活躍に関する取組

 

b. 自律的なキャリア構築の支援

 ・社員一人ひとりの能力・役割に合わせて、階層別・職種別・自己啓発支援に関する効果的な研修実施

 ・自らの成長と事業への貢献を実感できるキャリア形成の実現

 

c. 健康経営

 ・働き方改革に関する取組

 ・安全衛生・健康推進に関する取組

 

② 指標と目標

当社グループでは、上記において記載した人財の多様性の確保を含む人的資本に関する目標および方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、当社グループに属する会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標および実績は、当社グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

2022年(25期)

2023年(26期)

2024年(27期)

目標

女性社員割合

18.7%

18.4%

20.0

20%以上

管理職に占める女性の割合

5.4%

(係長級含む8.6%)

5.2%

(係長級含む9.2%)

5.6%

(係長級含む9.3%)

8%以上

男性育児休業等取得率※

28.6%

84.6%

100.0

50%以上

 

※育児に係る特別休暇を取得した従業員も含む

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財政状態および株価等に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) バイク市場について

当社は、バイクを商材として事業を展開しております。このため、国内における新車販売台数の著しい減少、メーカーの経営悪化、業務停止および事業方針の変更等の発生によりバイク市場における需給バランスの変化が起こった場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (2) 広告宣伝活動およびブランド展開について

当社のバイク買取は、広告宣伝活動によって査定および買取の需要を喚起し、バイクの仕入を行うものです。このため、広告宣伝活動の効果が著しく低下した場合、仕入台数の減少や売上高に占める広告宣伝費比率の上昇を招き、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は、「バイク王」をコアブランドとして位置づけ、認知度の向上および広告宣伝活動の効率化を図っております。このため、想定外の事象によるブランド価値の毀損等による当社の信用の著しい低下や、当社に係わる事件・事故等の発生によりお客様との信頼関係が損なわれた場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (3) リテールの拡大について

当社は、お客様から仕入れたバイクのうち、リテールに適したものに整備を施しておりますが、販売車輌における整備不良等に起因する事故や損害賠償訴訟等が発生した場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 また、当社は、リテールの拡大を図ることにより従来のビジネスモデル(ホールセール)に比べ一定の在庫保有期間が生じるため、在庫のモニタリング機能を強化しておりますが、保有期間の長い在庫が大量に発生した場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (4) 固定資産の減損会計について

当社は、店舗設備等の固定資産を保有しており、定期的に店舗ごとに減損兆候の判定を行うことで、経営効率の向上に努めております。しかしながら、経営環境の変化等により、今後著しく収益性が低下し減損損失を計上することになった場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (5) システムについて

当社は、バイクの買取から販売までの業務を独自の基幹システムを活用することで、業務の効率化や情報収集力の強化、データ分析に努めているほか、事業活動に関わる情報を財産と考え、継続的に情報セキュリティ体制の構築・強化を図っております。

しかしながら、不測の事態による情報セキュリティ事故、地震等の自然災害の発生による情報システムの停止またはお客様との接点であるWEBサイトの不具合・遅延が発生した場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 (6) 人財の育成および確保について

当社にとって人財は経営の基盤となるため、人事理念である「社員の成長を応援する」をもとに人財採用・確保に取り組んでおります。競争力を維持・向上し続けるためには、特性や能力を最大限に活かせる職場環境の構築やマネジメント層の教育のほか、女性、外国人、そして様々な職歴をもつ中途採用者など、多様な人財を採用し一人ひとりの違いを尊重し価値を見つけることが、重要であると考えております。ただし、当社が人財育成、適切な人員配置を計画どおり進められなかった場合、長期的視点から当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は職場環境の充実や改善、適正な労働時間の管理や時間外労働の抑制等に継続的に取り組んでおりますが、万一、過重労働や不適切な労務管理による法令違反や働き方改革関連法令等の新たな法令の制定・改正等で対応が遅れて事業活動に制約を受けた場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (7) 法的規制について

当社は、販売における広告宣伝や販売促進活動の実施にあたり景品表示法の適用を受けますが、当社の過失により不適切な表示がなされ、その影響が多岐にわたる場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は、バイクの買取およびバイクの通信販売において特定商取引法の適用を受けますが、不招請勧誘・クーリングオフ等の各種規制に抵触することで行政罰や社名公表等の措置を受けた場合、社会的信用の低下等により、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、当社は、事業を展開する地域における環境に関する法規制、二輪車の販売・安全性に関する法規制、企業取引に関する法規制、税法等様々な規制のもとに事業を行っております。予期せぬ法規制の変更等により当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度および前連結会計年度末との比較分析は行っておりません。また文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、7-9月期の実質GDP成長率が年率換算1.2%と個人消費が成長の牽引役となって2四半期連続のプラス成長となりました。内閣府の11月の月例経済報告では、「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」、また、先行きについては、「雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される」との見方が引き続き示されています。さらに、物価に関しては、10月のコアコアCPIが2.3%、コアCPIは2.3%と14か月連続で2%台となり落ち着きが継続していることが確認されました。一方、トランプ氏の次期大統領返り咲きにより、関税など通商政策に加え、ウクライナ戦争やイスラエル・ガザ戦争への影響が見通せないほか、長引く中国の経済不振の懸念もあり、我が国の景気の先行きへの不安材料となっています。

当社グループが属するバイク業界におきましては、アフターコロナにおける社会・経済活動の正常化により、ユーザーのバイクへの関心はコロナ前の水準に落ち着きました。具体的には、中古車販売価格は安定推移しているものの、消費の選択肢の回復にともなうバイク需要に向かった消費の分散化や物価高騰の影響もあり、新規(リターン含む)ユーザー層の流入やバイク購買需要は落ち着いて推移しているものと見ております。また、流通やサービスにおける競争においては、コロナ禍における活動制限の影響などもあり身近な店舗が支持されるなど新たな変化が生じており、お客様との新たな関わり方や新たなサービスの必要性を認識することとなりました。一方、当社グループが主力商材とする高市場価値車輌の保有台数は引き続き増加傾向である中、円安にともなう旺盛な輸出需要が継続しており、国内中古流通市場の需給はひっ迫した状況にあると認識しております。この結果オークション相場は高い水準で推移し、当社グループにおけるホールセールの車輌売上単価(一台当たりの売上高)に寄与しました。

国内におけるバイクの保有台数は約1,030万台(前年比0.1%減)と前年とほぼ横ばいになっておりますが、当社グループの主力仕入とする高市場価値車輌である原付二種以上は約597万台(前年比2.6%増)と前年を上回っております※1。新車販売台数においては、約38万台(前年比4.0%増)と前年を上回り、高市場価値車輌も同様に約28万台(前年比23.0%増)と前年を上回っており、依然として高い推移を維持しております※2

※1.出典:一般社団法人日本自動車工業会(2023年3月末現在)

※2.出典:一般社団法人日本自動車工業会(2023年実績)

このような状況のもと、当社は持続的な成長に向けてコーポレートミッションとして「まだ世界にない、感動をつくる。」を掲げ、ビジョンである「バイクライフの生涯パートナー」の実現を目指しております。

そのうえで、UX(顧客体験)グロースモデルの確立に向けて邁進し、①店舗開発によるお客様接点の増加、②CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)システムの構築によるデータに立脚したマーケティング活動、③サービス拡充・整備事業のネットワーク化を図ってまいりました。

また、当連結会計年度においては、主力事業であるバイク事業をあらためて成長軌道に乗せるための活動および利益体質への改善に専念いたしました。具体的には、課題としている広告効率の改善や、査定成約率の向上による仕入台数の増加に加え、買取主体の事業モデルから小売主体の事業モデルへの転換を図り、広告に依存しない店頭仕入(持込・下取)やオークション仕入を強化いたしました。また、全社的な収益構造の改善を実現させるため、間接部門を対象とする組織再編に加え、広告宣伝費の削減ならびに支出基準の厳格化による経費の圧縮を実施いたしました。

これにより、リテールは好転し、さらに全社一丸となって経営体質・事業構造の抜本的改革に取り組んだことで収益構造は大幅に改善いたしました。

 

  (バイク事業)

仕入面においては、第2四半期連結会計期間以降、収益力の改善のために広告宣伝費を大幅に抑制したため、広告効率は順調に改善いたしました。また、広告抑制による仕入台数の減少を補うとともに、リテール販売用在庫を確保するため、店頭仕入(持込・下取)ならびにオークション仕入の強化に取り組んだことが奏功し、このチャネルからの仕入台数は増加いたしました。

販売面において、ホールセールでは、仕入台数の減少およびリテール販売用在庫確保により販売台数が前期比で大幅に減少いたしました。一方、車輌売上単価(一台当たりの売上高)は、販売価格水準を維持する販売に努めるとともに、オークション相場が好調に推移したことにより前期比でやや上回りました。

リテールでは、既存店、新店ともに順調に推移し販売台数は前期比で大幅に増加いたしました。また、車輌売上単価(一台当たりの売上高)は、高品質の在庫確保に注力したものの前期比でやや下回りました。

これらの結果、平均粗利額(一台当たりの粗利額)は継続的な仕入価格の適正化ならびにオークション相場の好調、付帯収益の伸張により前期比で上回りましたが、広告抑制による仕入台数の減少とリテール販売用在庫の確保により販売台数が前期比で大幅に減少したため、売上高は減収、売上総利益は前期並みとなりました。

 

  (その他)

当社の完全子会社である株式会社ライフ&カンパニー、株式会社バイク王ダイレクトが行う各事業を親会社に取り込み直接行うことでオペレーションの合理化や経営資源の最適化によるシナジー効果の創出およびコスト削減を図るとともに、強固かつ効率的な経営管理体制を構築することを目的に、吸収合併することを2023年10月に決議し12月に吸収合併が完了いたしました。また、第2四半期連結会計期間より、当社の子会社である株式会社東洋モーターインターナショナルを連結の範囲に含め、従来の単体決算から連結決算に移行いたしました。

 

 

以上の結果、売上高33,965,971千円、営業利益286,470千円、経常利益584,231千円、親会社株主に帰属する当期純利益187,339千円となりました。第1四半期累計期間までは厳しい状況ではありましたが、第2四半期連結会計期間以降の収益構造の改善のための施策が奏功し通期での黒字化を達成いたしました。

なお、当社グループはバイク事業を主要な事業としており、他のセグメントは重要性が乏しいため、セグメント毎の経営成績に関する記載は省略しております。

 

   (資産)

当連結会計年度末の資産合計は、12,457,854千円となりました。主な内訳は現金及び預金が2,071,250千円、売掛金が327,027千円、商品が5,930,352千円、有形固定資産が1,578,489千円、無形固定資産が516,539千円、投資その他の資産が1,620,052千円であります。

  (負債)

当連結会計年度末の負債合計は、5,966,629千円となりました。主な内訳は短期借入金が1,200,000千円、未払金が533,911千円、前受金が870,013千円、長期借入金が332,307千円、資産除去債務が543,531千円であります。

  (純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、6,491,225千円となりました。主な内訳は資本剰余金が1,100,229千円、利益剰余金が5,646,646千円であります。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,071,250千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動の結果、増加した資金は、1,769,882千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益459,620千円、減価償却費626,511千円、賞与引当金の増加126,770千円、法人税等の支払額又は還付額264,107千円、前受金等の増加による「その他」の増加586,024千円により資金が増加し、棚卸資産の増加341,703千円、売上債権の増加163,529千円により資金が減少したためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動の結果、減少した資金は、279,412千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出118,528千円、無形固定資産の取得による支出114,553千円、資産除去債務の履行による支出58,060千円により資金が減少したためであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動の結果、減少した資金は、1,578,772千円となりました。これは主に、短期借入金の純増減額1,000,000千円、長期借入金の返済による支出699,676千円、配当金の支払額297,526千円により資金が減少し、長期借入による収入504,562千円により資金が増加したためであります。

 

 ③ 生産、受注及び販売の状況

(a) 仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前期比(%)

バイク事業

19,094,753

合計

19,094,753

 

(注) 1.当社グループの報告セグメントは、「バイク事業」のみであります。

2.当社は当連結会計年度から連結財務諸表を作成しておりますので、前期比(%)は記載しておりません。

 

(b) 受注状況

当社は業者向けオークション販売および小売販売を行うことを主としておりますので、受注状況に該当するものはありません。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(千円)

前期比(%)

バイク事業

33,105,067

合計

33,105,067

 

(注) 1.当社グループの報告セグメントは、「バイク事業」のみであります。

2.当社は当連結会計年度から連結財務諸表を作成しておりますので、前期比(%)は記載しておりません。

3.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

当連結会計年度

(自  2023年12月1日

至  2024年11月30日)

関連するセグメント名

金額(千円)

割合(%)

㈱ジャパンバイク
オークション

13,749,321

40.6

バイク事業

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

財政状態及び経営成績の分析につきましては、「第2  事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループが属するバイク業界におきましては、環境規制、技術革新、社会的価値観の変化、経済情勢などの影響を大きく受けています。加えて、人口動態の変化による少子高齢化の進行やライフスタイルの多様化にともない、お客様のニーズは複雑化し、商品やサービスの提供に対してより柔軟な対応が求められていると考えております。

そのような中、当社グループが主力商材とする高市場価値車輌の保有台数は年々増加傾向にあり、この背景は趣味やライフスタイルとしてバイクを選ぶ層が増加していることと考えており、当面の間、リテール市場ならびにオークション市場の需要は堅調に推移していくものと判断しております。

 

このような状況のもと、当社は持続的な成長に向けてコーポレートミッションとして「まだ世界にない、感動をつくる。」を掲げ、ビジョンである「バイクライフの生涯パートナー」の実現を目指しております。そのうえで、UX(顧客体験)グロースモデルの確立に向けて邁進し、①店舗開発によるお客様接点の増加、②CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)システムの構築によるデータに立脚したマーケティング活動、③サービス拡充・整備事業のネットワーク化を図っております。

なお、翌連結会計年度は、競合の動向をはじめ外部環境の変化に注意をはらい、利益体質の改善活動を継続するとともに、バイク事業の持続的成長のための基盤づくりを行う重要な期間と位置づけ、継続的な収益力向上を目指してまいります。具体的には、引き続きリテール販売の拡大に注力し、新たな仕入チャネルと手法の開発、ブランディングやマーケティング、付加価値の高いサービスの拡充、CRM強化などに取り組んでまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の資金状況については、「第2  事業の状況  4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の資金需要のうち主なものは、運転資金および設備投資資金であり、その調達は主として自己資金および金融機関からの借入により行っております。
 当社は不測の事態・リスクに備えた安定的な運転資金を確保するため、また、当社事業のさらなる拡大のための成長資金を機動的かつ安定的に調達するため、取引銀行3行と貸越限度額5,800百万円の当座貸越契約およびコミットメントライン契約を締結しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社が採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

なお、連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債や収益・費用に影響を与える見積りは、経営者が過去の実績や現在の取引状況ならびに入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積りや仮定を継続的に使用しておりますが、見積りおよび仮定には不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。