第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

私たちは、当社グループの事業の目的を「生命科学の進歩に資する」ことと位置付け、生命科学に携わるすべての人々から信頼される機能的なパートナーとして、生命科学の進歩に資する事業を推し進めてまいります。

当社グループでは、経営基盤と収益力を高めるため、売上高と経常利益を重要な経営指標と考えております。将来への投資のための的確な内部留保を行うと同時に、安定配当を念頭に置き配当性向を重視した利益還元方針を基本として、売上高経常利益率や当期純利益を意識した経営を行い、資本効率をはかる指標としてROEやROAについてもより高める努力をしてまいります。

また、昨年より監査等委員会設置会社へ移行したことに伴い、取締役会の監督機能をこれまで以上に高め、コーポレートガバナンス体制の更なる強化を図っております。

 

新型コロナウイルス感染症の影響については感染予防の進展や行動制限の緩和により段階的に経済活動が再開しつつあるものの、ロシア・ウクライナ情勢の悪化に起因するエネルギー価格の高騰、また大幅な円安環境に直面し、当社グループの事業環境が大きく変化しました。

当社グループの主力市場である日本国内のライフサイエンスの基礎研究の動向は、大学・公的研究機関においては堅調に予算執行がなされているものの、国際的な競争激化の下にあり、依然として市場環境は厳しいものと捉えております。また、同業他社との競争は販売価格面で厳しい状況が続いております。

今後、国内の人口減少などに伴う市場縮小の可能性、海外との取引における為替変動、気候変動や災害、エネルギー問題を含む地政学的な事業リスクなど、多岐にわたる事業環境要因を勘案しながら、10年先を見据えた成長戦略を進めてまいります。

 

2023年度から新しい3ケ年の経営計画が始まっております。これまでの基本的な方針を引き継ぎ、更にコロナ禍での活動抑制と自粛によって遅滞・見送られた海外展開を見直した上で輸出事業の強化を図り、中長期的な重要課題として将来を見据えた以下の活動に取り組んでまいります。

 

1.新たな事業基盤の創出

 (1)既存事業の発展に加え、シーズ探索強化、産学官連携への積極参画などにより、次世代の収益の柱となり得

   る新規事業を開拓していきます。

 (2)市場での競争力を維持・強化、あるいは事業拡大やコスト削減の効果を客観的に評価し、他企業との協働の

   機会を損なうことのないように備え、資本提携に取り組み、また業務提携により事業を拡大していきます。

 (3)生命科学の基礎はもとより、直接的に健康にかかわる広い分野での生命科学の可能性を見据え、研究用試薬

   以外の市場への進出も目指していきたいと考えます。

 

2.既存事業基盤の強化

 (1)技術トレーニング、製品知識向上、部門間の協働などにより、提案力、情報力、商品力を更に強化し、顧客

   ニーズの把握・ユーザーの満足度向上を目指し、研究活動の促進・サポートがスムーズにできるよう最良の

   サービスを提供してまいります。

 (2)創出したペプチド合成・抗体作製受託サービス事業の成長は、販促の強化やサービスの拡充により収益性を

   高めつつあり、鶏卵バイオリアクター受託事業も投資のステージではなく収益のステージにあります。今後

   も、更に製造機能を強化し、より一層自社製品とサービスの拡充を行い、収益性の更なる向上と投資回収を

   目指します。また、原料供給事業を積極的に進めていき、食品や化粧品の原料の提供など広範な市場への事

   業拡大を考えます。そのため、新たなビジネスモデルの構築やビジネスパートナーの探索を推し進めてまい

   ります。

 (3)輸出事業の強化により、販売拡大と為替影響を受けにくい収益構造の体制を整えてまいります。

 

3.企業価値の向上

 (1)企業グループとしての業務効率化を図り、シナジーを生み出す工夫をします。営業活動における問い合わせ

   対応や受注関連業務のキメ細かなサービス、有効な販促ツールの制作、ブランドごとの収益向上の検討、精

   緻な法令対応など、基本となる業務をしっかりと継続することで営業活動を支え、業務流通部門ではコスト

   削減と作業ミスの低減に努め、財務経理部門では先取的な経営判断資料の提供など、効率的に進めていきま

   す。また、業務環境整備による業務の効率化を促進し、ビーエム機器株式会社、COSMO BIO USA, INC.、

   株式会社プロテインテック・ジャパンとの協働事業による生産性の向上を図ってまいります。

 (2)人事評価制度を見直し従業員の向上心を高め、事業成長に必要な人材を積極的に採用し、育成してまいりま

   す。

 (3)テレワーク制度につきましては、業務効率と生産性の向上のため、地震・洪水等の災害時や感染症等の拡大

   防止などオフィスへの通勤が困難な場合の事業継続の目的にも対応させています。今後も働きやすい環境を

   整えてまいります。

 (4)2021年度より役員に対しては「譲渡制限付株式報酬」を、従業員に対しては「譲渡制限付株式付与制度」を

   設けました。役員には中長期のインセンティブとして位置づけ、また、従業員には自身が株主様と同じ目線

   で当社の事業経営を支えることにつながり、就業の付加価値を高めていけると考えております。

 (5)事業活動を通じて社会の課題解決を図り、お客様はもとより広く社会に信頼される企業ブランド価値向上の

   ため、サステナビリティの取り組みを推進してまいります。

 

私たちは、どのような環境の中でも、生命科学の進歩発展のすべての場面において求められる責任ある事業者として、最前線で活躍される研究者を支えるパートナーであり続けたいと考えております。

 

2【事業等のリスク】

 以下におきましては、当社グループの事業展開上における現在及び将来の事業等に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループでは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は本株式の投資に関連するリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意ください。

 なお、本項中の記載内容につきましては、特に断りがない限り、本有価証券報告書提出日現在の事項であり、将来に関する事項は同報告書提出日現在におきまして当社が判断したものであります。

 

(1) ライフサイエンス研究関連費用の支出動向にかかわるリスク(特に重要なリスク)

 当社グループの既存事業のエンドユーザーは、大学・公的研究機関及び企業における研究者が大きな比重を占めております。そのため、既存事業の発展に加え、新たな事業の育成・拡大に取り組んでおりますが、公的研究費や企業の収益・研究開発支出の減少は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 仕入先M&Aリスク(特に重要なリスク)

 当社グループの仕入先の多くは海外の企業であり、海外仕入先のM&Aやこれに伴う日本における販売体制の改編等により、仕入価格や国内販売権に影響を受けます。商品の安定確保のため、仕入先との関係には、単なる販売者と購入者の関係にとどまらない良好な信頼関係の構築・維持、あるいは資本提携・業務提携等の特別な業務提携関係の構築に取り組んでおります。しかしながら、主要な仕入先のM&Aにより商権が喪失・縮小した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 為替リスク(特に重要なリスク)

 当社グループの商品の多くは外貨で決済される輸入品であり、為替変動によって売上原価が変動します。そのため、為替変動の影響をヘッジするために、当社では社内方針に基づき実需の一定の範囲内で為替予約を実施しております。しかしながら、急激な為替相場の変動や会計基準の大幅な変更が生じる場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 業界における競合リスク(特に重要なリスク)
 ライフサイエンス研究関連商品の国内市場においては、業界内の競合激化から価格競争に陥り、結果として当社グループは、競合他社の活動状況の影響を受けます。マーケティング力の強化、タイムリーな新商品の導入、顧客に対する提案営業活動の強化に努める等の差別化を図っておりますが、他社との更なる競合の激化が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 法規制リスク

 当社グループの商品の中には、薬機法、毒物及び劇物取締法や他の関連法規等に該当するものも含まれております。当社グループでは、専門部署を設け法令遵守の徹底に努めておりますが、事故等により法規制に違反する事由が生じた場合には、当社グループの事業活動が一部制限される可能性があります。また、これらの法規制が改正された場合、又は予期し得ない法令、規制等が新たに導入された場合には、その対応のための投資が必要になるなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) グループ会社リスク

 当社グループは、複数の関係会社から成っており、グループとしてライフサイエンス研究関連の幅広い商品・サービスの提供を進めシナジー効果を上げグループ企業価値を向上すべく、グループのコーポレート・ガバナンスの充実を図る施策を実施しております。今後、事業の急速な拡大等により、関係会社の統治ガバナンスに不足が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 会計基準・税制等の変更によるリスク
 当社グループは安定的な業績を目的として、社内方針に基づき事業投資や資金運用投資等を行っておりますが、金融動向や市場動向が急変して、保有資産価格に想定外の変動が生じる場合、或いは会計基準や税制等の大幅な変更が生じる場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。

 

①財政状態及び経営成績の状況

1)財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は7,136百万円となり、前連結会計年度末に比べ174百万円減少いたしました。これは主に有価証券が300百万円減少、商品及び製品が249百万円増加したことによるものです。固定資産は3,176百万円となり、前連結会計年度末に比べ415百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が436百万円増加したことによるものです。

 この結果、総資産は前連結会計年度末の10,072百万円から240百万円増加して10,313百万円となりました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は1,038百万円となり、前連結会計年度末に比べ55百万円減少いたしました。これは主に未払法人税等が48百万円減少したことによるものです。固定負債は656百万円となり、1百万円減少いたしました。

 この結果、負債合計は1,695百万円となり、前連結会計年度末に比べ57百万円減少いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は8,617百万円となり、前連結会計年度末に比べ298百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益517百万円及び剰余金の配当232百万円の増減によるものであります。

 この結果、自己資本比率は78.1%(前連結会計年度末は77.3%)となりました。

 

2)経営成績

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の普及や行動制限の緩和により段階的に経済活動が再開されていますが、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した原油や天然ガス、食糧等の世界的な流通の不均衡に伴う価格上昇等により、回復基調に水を差す結果となって、先行きに一段と不透明感が増しております。当社グループ関連の、ライフサイエンスの基礎研究分野市場の動向は、大学・公的研究機関において堅調に予算執行がなされているものの、依然として市場環境は厳しいものと捉えております。また、同業他社との競争は販売価格面で厳しい状況が続いております。

 このような状況下、当社グループにおきましては、3ケ年計画の最終年度として、「生命科学の研究者に信頼される事業価値を高める」というビジョンのもと、新型コロナウイルス感染症対策をとるとともに、ライフサイエンス領域の研究開発に資する多様な自社製品・商品・サービスの提供と、在庫の適正化及び迅速出荷に取り組んでまいりました。当連結会計年度の連結売上高は9,553百万円(前年同期比3.5%増)となり、連結売上総利益は3,440百万円(前年同期比6.0%減)、連結売上総利益率は36.0%(前年実績39.6%)となりました。為替レートは、当連結会計年度平均128円/ドル(前連結会計年度108円/ドル)で推移しました。

 連結営業利益は816百万円(前年同期比22.2%減)、連結経常利益は790百万円(前年同期比28.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は517百万円(前年同期比29.8%減)となりました。

 

 品目別の経営成績は次のとおりであります。

 研究用試薬

 研究用試薬につきましては、公的予算を中心に厳しい状況が続く中、先端的な新規の商品及び仕入先の開拓と各種の販売キャンペーン等を開催して販売促進に努めました。その結果、当連結会計年度の研究用試薬の販売実績は対前年同期比4.7%増の7,365百万円となりました。


 機器

 機器につきましては、販売実績は対前年同期比0.5%増の2,086百万円となりました。

 

 臨床検査薬

 臨床検査薬につきましては、販売実績は対前年同期比15.9%減の101百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ218百万円減少し、当連結会計年度末には3,036百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は284百万円(同56.2%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益790百万円、棚卸資産の増減額△267百万円及び法人税等の支払額△279百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は291百万円(前年同期は145百万円の使用)となりました。これは主に、資金運用等のための有価証券の償還による収入300百万円、投資有価証券の取得による支出△502百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は236百万円(同43.8%減)となりました。これは主に配当金の支払△232百万円によるものであります。

 

③仕入、受注及び販売の実績

 当社グループは単一セグメントであるため、仕入、受注及び販売の実績については、セグメント別にかえて品目別に示しております。

a.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入及び製品製造原価の実績を商品の品目別に示すと次のとおりであります。

品目別

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

対前期比増減率
(%)

金額(百万円)

構成比(%)

 研究用試薬

4,693

73.2

12.6

 機器

1,655

25.8

2.6

 臨床検査薬

62

1.0

△9.1

合計

6,411

100.0

9.6

 (注)金額は仕入価格及び製品製造原価によっております。

 

b.受注実績

 当社グループでは受注から納品までの期間が短いこと、かつ受注残高が僅少であることから記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を商品の品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

対前期比増減率
(%)

金額(百万円)

構成比(%)

 研究用試薬

7,365

77.1

4.7

 機器

2,086

21.8

0.5

 臨床検査薬

101

1.1

△15.9

合計

9,553

100.0

3.5

 (注)1.輸出につきましては、売上に占める比率が微小であるため省略しております。

2.前連結会計年度及び当連結会計年度において、売上総額の100分の10を超える販売先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ③仕入、受注及び販売の実績」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入及び販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資及び投資有価証券の取得等によるものであります。

 資金調達については、自己資金によって充当することを基本としております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積りが必要とされております。これらの見積りにつきましては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が伴うため、実際の結果はこれらとは異なることがあります。

 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕(1)〔連結財務諸表〕の「重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、82百万円であります。
なお、当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。