第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社は設立以来、「Supporting Industry Company」を標榜し、日本の《ものづくり》に対するお役立ち企業となるべく、事業展開してまいりました。

 「信頼 すべては人から始まる お客様と共に 従業員と共に 社会と共に」を経営理念として掲げ、商社機能を持ったFAエンジニアリング企業として必要な技術力を磨き、顧客満足度と顧客期待度を向上させるよう努めております。

 

(2) 経営戦略等

 当社グループでは、2024年度より新たに第11次中期経営計画(2024年度~2026年度)をスタートさせ、「エリアNo.1の存在価値のあるパートナーになる」をスローガンに、環境変化に応じた新たな価値創造、価値提供により、社会課題や顧客課題への解決に貢献してまいります。

 

(3) 目標とする経営指標

 当社グループは、事業活動の成果を示す売上高、営業利益等を重要な経営指標と位置づけ、2026年3月期の目標を次のように設定しております。

 

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

2026年3月期

82,500

3,730

3,990

2,800

 また、自己資本利益率(ROE)につきましては、2027年3月期までに10%以上を確保することを目標としております。

 

(4) 経営環境

 今後の景気見通しにつきましては、世界的なインフレの鎮静化や欧米における金融政策の転換、米国の通商政策、ならびに地政学的リスクの動向について引き続き注視する必要がありますが、経済活動の正常化は徐々に進んでいくものと想定しております。国内におきましても、消費の持ち直しや企業の設備投資意欲の回復が見られ、経済活動の回復が着実に進んでいくと見込んでおります。当社グループの主要ユーザーである自動車関連企業におきましては、電動化関連技術の需要拡大による投資により、引き続き安定した業績が期待され、堅調に推移していくものと見込んでおります。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 第11次中期経営計画における主要な戦略課題につきましては以下のとおりであります。

① 事業品質向上

  各地域における事業品質の向上

② 成長投資と収益力強化

  成長領域への人的投資、コアビジネスの強化と全エリアへの展開

③ サステナビリティ推進

  事業を通じた社会課題への貢献、サステナビリティ経営推進

④ 資本コスト経営

  株主還元の充実、IR活動の強化

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは経営理念の実践である「サステナビリティ基本方針」に基づいて、その時々のサステナビリティを巡る重要課題を特定し、中長期の経営計画に反映させ、全役員・従業員が、積極的・能動的にその実現に取り組んでおります。

サステナビリティ基本方針:https://www.meijidenki.co.jp/ja/sustainability/concept.html

 当社グループでは、図表1のとおり気候変動を含むサステナビリティ課題に対応するための適切なガバナンス体制を構築しております。

 取締役会では、サステナビリティ委員会(年1回以上開催)にてサステナビリティに関する検討・審議された取り組み方針や計画・目標、各施策の進捗状況などの管理監督を実施して、必要に応じて指示いたします。

 代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会では、各取締役、執行役員のメンバーで構成され、サステナビリティ課題について具体的な目標や方針、施策を検討しており重要事項については取締役会にて報告するプロセスを構築しております。

 また各事業部門と連携をしましてそれぞれの取り組みに関するPDCA管理を行い、その達成に向けた活動を推進してまいります。

 

図表1 サステナビリティ推進体制図

0102010_001.png

 

(2)戦略

① 気候変動

 サステナビリティを巡る課題の中でも、特に気候変動に係るリスク及び機会が自社の事業活動や収益などに与える影響への対処は当社グループが持続的に成長し、中長期的に企業価値の向上を図る上で極めて重要なものと考えております。

 「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づき、1.5℃シナリオと4℃シナリオのそれぞれにおいてシナリオ分析を実施いたしました。

■参照したシナリオ

 1.5℃シナリオ:IPCC(SSP1-1.9)、IEA(SDS/NZE)

 4℃シナリオ:IPCC(SSP5-8.5)、IEA(Pre-Paris/STEPS)

 

■影響度

 大:当社グループの営業利益(単年度)への影響が50百万円以上(2025年3月期営業利益に対する影響度約1.5%)

 中:当社グループの営業利益(単年度)への影響が10百万円以上50百万円未満

 小:当社グループの営業利益(単年度)への影響が10百万円未満(2025年3月期営業利益に対する影響度約0.3%)

■時間軸

 短・中期:2030年まで

 長期:2050年まで

 

図表2 リスクと機会一覧

0102010_002.png

 シナリオ分析の結果、1.5℃シナリオでは特に炭素税導入による操業コスト増加の影響が大きくなる可能性が高いことが確認できており、当社グループのリスクに関してはGHG排出削減に向けて、再生エネルギーの導入や営業車のHEV化を進めてまいります。一方、次世代モビリティ需要の拡大に伴う関連商品を積極的に取り扱うことは事業拡大・企業価値向上につながる大きな機会として捉えております。

 

 また4℃シナリオでは自然災害の激甚化に伴う物理リスクの影響が大きく、災害によるサプライチェーンの寸断の可能性もあることから、サプライヤーとの連携をより強化しつつ調達先の分散化を図るなどによるリスクマネジメントの強化を実施いたします。

 シナリオ分析の結果を踏まえ、当社グループは次年度以降も継続的にシナリオ分析を実施し、シナリオ分析の精度を高めてまいります。

 

② 人的資本(多様性の確保)

 当社グループにおける多様性確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針は次のとおりであります。

 当社グループは、従業員一人ひとりがその有する能力を高め、それを最大限発揮するためには、会社がその成長をサポートしながら、従業員自らキャリアを形成できる制度や仕組みが重要と考えております。特に、女性、外国人、中途採用者においては、その能力を発揮するにあたり、職場環境や業界における知識・経験・能力等においてハンディとならないように、その人材の育成及び環境整備に努めております。

 イ.女性

  ・キャリア形成のための教育、研修支援

  ・次世代の女性管理職の計画的な育成やその前提となる準管理職への登用の推進

  ・出産、育児との両立支援

  ・女性が活躍するための組織風土の醸成

 ロ.外国人

  ・社内外における教育、研修支援

  ・事業戦略に基づく外国人の計画的採用

  ・海外子会社との人材交流

 ハ.中途採用者

  ・社内外における教育、研修支援

  ・事業戦略に基づく中途採用者の計画的採用

 

(3)リスク管理

 サステナビリティに関するリスク管理については、発生したリスクをレベルに応じて3段階に分類し、それぞれに対応して代表取締役社長又は代表取締役専務を対策本部長とする対策本部並びに担当部署・責任者の役割を定め、適切かつ効果的な対処を行うことにより、リスクの顕在化に伴う損失を防止して当社グループの持続的成長と企業価値の向上を図っております。

 

(4)指標及び目標

① 気候変動

 当社グループはGHG排出量の削減に向けて、図表3のとおり事業活動に伴うGHG排出量(Scope1、2、3)を算定いたしました。算定に当たっては現時点では当社単体のみでありますが、今後対象範囲を広げて連結ベースでの開示を目指してまいります。また、Scope3はCategory1~8まで算定しており、引き続きCategory9以降の算定を進めてまいります 。

 

図表3 CO2排出量実績

0102010_003.png

※1:対象範囲は当社単体、※2:対象範囲はCategory1~8

 

 図表4のとおり事業活動で排出するGHG排出量を実質ゼロにすべく、2030年度には2018年度を基準として50%削減の目標を掲げております。当社グループが掲げた目標を達成するために、2030年を目途に全ての営業車をHEV化するとともに、空調機の更新により効率化を実施いたします。

 

図表4 CO2削減目標

0102010_004.png

 

図表5 排出量削減イメージ及び移行計画(ロードマップ)

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※FC発電機とは純水素型定置式燃料電池発電機の略称で、水素を活用したクリーンな発電システム

詳細は以下ウェブサイトをご参照:https://www.meijidenki.co.jp/ja/index/main/07/teaserItems2/0/file/fchatsudenki_blueclover.pdf

 

② 人的資本(多様性の確保)

 イ.女性

 女性の活躍する環境・制度の構築は重要な経営課題と位置づけており、2030年度管理職比率10%を目指しております。

 2024年度 女性管理職比率 11.0% <参考>2023年度 8.5%

 ロ.外国人

 当社グループの事業が国内中心であること、また海外事業についても取引先の多くが日系企業であることから、特に管理職登用について目標値を設定しておりません。しかしながら、当社グループのお客様のグローバル化に伴い、事業を発展させる上で、外国の風習や考え方に対応できる人材の必要性は年々高まっており、国内外を問わず、能力のある者を管理職に登用してまいります。

 2024年度 外国人管理職比率 13.6% <参考>2023年度 12.8%

 

 ハ.中途採用者

 中途採用にあたっては、当社グループの事業・経営課題に取り組む上で、既存の人材の知識・経験・能力を強化及び補完できる人材を採用することが重要と考えており、特に管理職登用について目標値を設定しておりません。

 2024年度 中途採用者管理職比率 30.5% <参考>2023年度 29.1%

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 特定の取引先への依存度について

① 特定の販売先について

 当社グループは制御機器、産業機器、計測機器等の販売の他、検査装置、生産支援システムなど自社開発製品の設計、製造等を主な事業としております。当社グループでは、これらの商・製品等の販売において自動車関連産業及びトヨタグループへの依存度が高くなっております。

 したがいまして、当社グループの経営成績は自動車関連産業及びトヨタグループの設備投資動向に影響を受ける可能性があります。

 こうした中、持続的な成長に向けて、エンジニアリング力の強化や新商材開発に注力することで、自動車関連産業における販売領域の拡大を図るとともに、電気・電子・半導体、工作機械・産業機械関連産業への販売拡大及びグローバルビジネスの拡大に取り組んでおります。

 なお、最近5年間の当社の売上高における自動車関連産業並びにトヨタグループに対する売上高及び売上構成比は以下のとおりであります。

 

 

(単位:千円)

 

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

売上高

58,286,812

60,701,376

64,141,610

65,708,805

70,378,518

自動車関連産業に対する売上高

27,695,593

30,020,958

29,372,676

33,363,950

37,722,191

自動車関連産業に対する売上構成比

47.5%

49.5%

45.8%

50.8%

53.6%

トヨタグループに対する売上高

27,199,469

29,160,947

29,936,629

31,796,159

34,994,788

トヨタグループに対する売上構成比

46.7%

48.0%

46.7%

48.4%

49.7%

(注) 上記トヨタグループに対する売上高には、トヨタ自動車株式会社及びトヨタ自動車株式会社が定めるトヨタグループ17社への売上高に加え、トヨタ自動車株式会社及び当該グループ各社が出資している企業への売上高を含んでおります。

 

② 特定の仕入先への依存度について

 当社グループは前述のとおり制御機器、産業機器、計測機器等の販売の他、検査装置、生産支援システムなど自社開発製品の設計、製造等を主な事業とする、エンジニアリング機能を持った商社であります。現在、当社グループの仕入先は多岐にわたっておりますが、主要な仕入先であるオムロン株式会社からの仕入高の割合は比較的高くなっております。

 したがいまして、当社グループの経営成績は、オムロン株式会社の経営方針及び販売政策、並びに販売政策変更による契約内容の変更等があった場合に影響を受ける可能性があります。

 オムロン株式会社とは友好的かつ継続的な関係を維持する目的等により、代理店基本契約を締結しております。代理店基本契約には、契約商品、代理店表示、価格、返品、支払、商標、機密保持などの重要な項目が規定されております。代理店基本契約は原則1年毎の更新となっておりますが、契約上は当該契約の各条項に著しく違背した場合や、当該契約の円滑な履行が困難となった場合等に、何らの催告を要せず契約を全部又は一部を解除することができることとなっております。

 

 

(単位:千円)

 

 

仕入品目

2024年3月期

2025年3月期

金額

割合

金額

割合

オムロン株式会社

制御機器、各種電子部品等

11,108,773

17.7%

10,092,602

15.5%

 

(2) 海外進出に潜在するリスクについて

 当社グループの経営成績は、自動車関連産業の動向に影響を受ける傾向にありますが、その自動車関連産業は、グローバル化を積極的に推進しており、その対応が求められております。

 当社ではこのような環境を踏まえ、取引先の海外生産の立ち上げや現地でのニーズに迅速に対応するため、米国、英国、中国、タイ王国に、子会社を設立しております。

 当社における海外取引のほとんどはこれらの海外子会社への輸出取引であり、為替リスクを最小限にとどめるため原則として為替予約でカバーする努力を行っております。

 また当社では取引先の海外進出が増加する中、海外子会社における取引拡大に止まらず、将来的には新たな拠点展開を含めて検討していく所存であります。

 海外市場への進出には、為替リスクや国際金融など経済的リスク、戦争、テロ、疫病など政治的、社会的リスクなど、現時点では予測不可能なリスクが内在している可能性があり、これらの事象が発生した場合には経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループとしては、現地での動向について、海外拠点における情報網に加え、日本国内からの支援及び必要に応じて外部コンサルタントを活用した情報収集を図り、適切な対応を行うよう努めております。

 

(3) 物流業務の集約化におけるリスクについて

 当社は、トータルロジスティックコスト及び在庫の削減、物流業務の改善に向けたインフラ整備等を目的に1996年から全社物流業務を物流センター(名古屋市)1拠点に集約化しておりますが、物流センター所在地域又は全国配送ネットワークに大規模な地震、風水害等の災害や事故が発生した場合、代替手段を持っていないため、顧客に

対する商品供給にリスクが生じ、一時的に当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 法的規制について

 当社グループは主要事業である制御機器、産業機器、計測機器等の販売について、法的規制や行政指導は特にありませんが、産業機器及び計測機器の設置等については、建設業法に基づき、一般建設業許可及び特定建設業許可を受けております。一般建設業許可及び特定建設業許可については、5年毎にその更新を受けることとされており、現時点におきまして、これら免許の取消事由に該当する事実はないと認識しておりますが、今後何らかの要因により許可が取り消された場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 この対策として、関係法令の改正情報を常に入手し対策を行うことで、法令遵守を徹底しております。

 

(5) 業績の変動について

 当社グループの事業における大型設備案件は、年度末に完成、納入となる場合が比較的多く、また、主要顧客の多くが3月期決算の会社であり、その設備投資は期初には慎重に推移し、期末にかけて活発になる傾向があることから、当社グループの業績は上半期と比較し下半期の比重が高くなる傾向があります。

 こうした傾向に対し当社グループでは、大型設備案件の納期管理を徹底し、計画どおりに完成、納入ができるよう努めております。

 なお、最近2連結会計年度における四半期別の売上高及び営業利益の推移は下表のとおりであります。

 

2024年3月期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

合計

売上高(千円)

15,768,583

18,200,553

18,406,806

22,204,734

74,580,678

構成比(%)

21.1

24.4

24.7

29.8

100.0

営業利益(千円)

329,646

771,222

692,273

1,121,116

2,914,258

 

 

 

2025年3月期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

合計

売上高(千円)

15,148,374

19,024,821

18,882,924

25,616,686

78,672,806

構成比(%)

19.2

24.2

24.0

32.6

100.0

営業利益(千円)

45,417

783,508

731,044

1,734,992

3,294,963

 

(6) 地震や自然災害、感染症に関するリスク

 当社は日本国内に主要な拠点を有しており、地震や台風、豪雨などの自然災害による設備損壊や生産停止のリスクがあります。また当社の事業は感染症の流行による影響も受けるリスクがあります。これらに対しては、仕入れ先や主要顧客との情報連携を強化し、その影響を軽減していくよう努力してまいりますが、想定を超えるような事態が発生する場合には、当社グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、好調なインバウンド需要や雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費の持ち直しが見られ、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、世界経済におきましては、地政学的リスクの高まりにともなう商品価格の変動、欧米諸国における高金利の影響や中国の不動産市場の停滞、さらに米国におけるトランプ政権の関税政策などの影響により、依然として不透明な状況が続いております。

 当社グループの主要ユーザーである自動車関連企業におきましては、認証不正にともなう生産停止による影響が緩和されたものの、生産・出荷停止の影響は大きく、自動車の生産台数及び販売台数が減少いたしました。これに対し、次世代モビリティ開発は高い水準を維持し、投資は堅調に推移いたしました。電気・電子・半導体関連企業におきましては、AI関連投資の増加や自動運転技術関連、データセンター建設への投資は拡大しましたが、スマートフォンやパソコンの需要は回復基調が見られたものの弱含みであり、全体として投資に対する持ち直しの動きは慎重で、低調な推移となりました。工作機械・産業機械関連企業におきましては、環境負荷の低減や電動車などの新技術向けの投資の継続を背景に、特にデジタル化、自動化、省力化、低・脱炭素化に向けた投資が拡大し、生産効率向上を目的とした取り組みが進展いたしました。しかしながら、欧米のインフレの影響は緩和が進む中、中国の景気減速や先行き不透明感が払拭されず、年間を通じて全体として生産動向は鈍化傾向で推移いたしました。

 こうした中、当社グループにおきましては、「エリアNo.1の存在価値のあるパートナーになる」をスローガンとした第11次中期経営計画(2024年度~2026年度)に基づき、事業品質向上、成長投資と収益力強化、サステナビリティ推進、資本コスト経営などの主要施策に取り組みました。

 

a.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は43,673百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,261百万円増加いたしました。これは主に棚卸資産が106百万円減少したものの、現金及び預金が572百万円増加したこと及び営業債権が1,456百万円増加したことによるものであります。固定資産は10,535百万円となり、前連結会計年度末に比べ200百万円減少いたしました。これは主に土地が179百万円増加したこと及びリース資産が161百万円増加したものの、建物及び構築物が132百万円減少したこと、無形固定資産が177百万円減少したこと、投資有価証券が156百万円減少したこと及び退職給付に係る資産が135百万円減少したことによるものであります。

 この結果、総資産は、54,208百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,060百万円増加いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は18,355百万円となり、前連結会計年度末に比べ381百万円増加いたしました。これは主に未払消費税等が464百万円減少したものの、営業債務が834百万円増加したことによるものであります。固定負債は1,083百万円となり、前連結会計年度末に比べ28百万円減少いたしました。これは主にリース債務が156百万円増加したものの、繰延税金負債が181百万円減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は、19,438百万円となり、前連結会計年度末に比べ353百万円増加いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は34,770百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,706百万円増加いたしました。これは主に為替換算調整勘定が423百万円増加したこと、親会社株主に帰属する当期純利益2,435百万円及び剰余金の配当865百万円によるものであります。

 この結果、自己資本比率は63.4%(前連結会計年度末は62.9%)となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の売上高は78,672百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益は3,294百万円(前年同期比13.1%増)、経常利益は3,596百万円(前年同期比7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,435百万円(前年同期比0.4%増)となりました。

 

 売上高の品目別内訳につきましては、次のとおりであります。なお、当社グループは主として制御機器、産業機器、計測機器等の販売を営んでおり、事業区分としては単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

 制御機器

 制御機器は、当社グループの主力取扱商品で、主に自動車及びセラミック関連企業向けの販売が減少したことから、売上高は20,921百万円(前期比3.2%減)となりました。

 産業機器

 産業機器は、自動車関連企業向けの大型設備案件が増加し、売上高は30,736百万円(前年同期比6.6%増)となりました。

 計測機器

 計測機器は、自動車関連企業向けの大型設備案件が増加し、売上高は7,587百万円(前年同期比6.3%増)となりました。

 電源機器

 電源機器は、自動車関連企業向けの販売が増加し、売上高は6,216百万円(前年同期比33.0%増)となりました。

 実装機器

 実装機器は、自動車関連企業向けの大型設備案件が減少し、売上高は3,687百万円(前年同期比15.8%減)となりました。

 その他

 上記5品目以外においては、売上高は9,522百万円(前年同期比20.1%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ572百万円増加し、7,905百万円(前年同期比7.8%増)となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は1,609百万円(前年同期比71.9%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益3,601百万円、棚卸資産の減少額159百万円、仕入債務の増加額736百万円及び減価償却費336百万円があったこと等による資金増と、売上債権の増加額1,283百万円、未払消費税等の減少額513百万円、前渡金の増加額119百万円及び法人税等の支払額1,086百万円があったこと等による資金減によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は475百万円(前年同期比45.8%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出265百万円があったこと等による資金減によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は892百万円(前年同期比71.5%減)となりました。これは主に、配当金の支払額864百万円があったこと等による資金減によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループは主として制御機器、産業機器、計測機器等の販売を営んでおり、事業区分としては単一セグメントであるためセグメント情報は記載しておりませんので、当連結会計年度における品目別実績を記載しております。

 

a.生産実績

 産業機器のうち、一部において生産活動を行っております。当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。

 

 

品目別

生産高(千円)

前年同期比(%)

産業機器

6,026,628

123.4

合計

6,026,628

123.4

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

b.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績を示すと、次のとおりであります。

 

品目別

仕入高(千円)

前年同期比(%)

制御機器

17,566,866

98.1

産業機器

23,151,157

106.8

計測機器

7,054,328

106.3

電源機器

5,160,547

122.0

実装機器

3,319,174

84.6

その他

8,961,452

108.6

合計

65,213,527

104.1

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。

品目別

販売高(千円)

前年同期比(%)

制御機器

20,921,681

96.8

産業機器

30,736,392

106.6

計測機器

7,587,349

106.3

電源機器

6,216,835

133.0

実装機器

3,687,996

84.2

その他

9,522,552

120.1

合計

78,672,806

105.5

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

 販売高(千円)

 割合(%)

 販売高(千円)

 割合(%)

 株式会社デンソー

12,965,618

17.4

11,950,393

15.2

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度における売上高は78,672百万円(前年同期比5.5%増)、売上原価は66,878百万円(同5.2%増)、販売費及び一般管理費は8,499百万円(同5.2%増)、営業利益は3,294百万円(同13.1%増)、経常利益は3,596百万円(同7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,435百万円(同0.4%増)となりました。

 売上高は、電気・電子・半導体及び工作機械・産業機械関連企業向けの販売については、全体的な投資への持ち直しの動きが慎重になり、中国の景気減速などの影響を受け生産動向に鈍化傾向が見られましたが、当社グループの主要ユーザーである自動車関連企業におきましては、次世代モビリティ開発は高い水準を維持し、投資が堅調に推移したことから、78,672百万円(同5.5%増)となりました。

 売上原価は、設備案件における利益率の改善や、円安の影響により海外子会社の売上原価が減少したことなどから、66,878百万円(同5.2%増)となりました。

 販売費及び一般管理費は、ベースアップにともなう人件費や荷造運賃及び基幹システム更新にともなう関連費用の増加により、8,499百万円(同5.2%増)となりました。

 上記により、営業利益は3,294百万円(同13.1%増)となりました。

 経常利益は、主に営業外収益として受取配当金が増加した結果、3,596百万円(同7.9%増)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、2,435百万円(同0.4%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上債権の回収サイクルと仕入債務の支払サイクルのギャップ及び営業活動上において必要な棚卸資産に対する支出のほか、人件費等の営業費用であります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。これらの必要な資金に関しては、自己資金又は金融機関からの短期借入により調達することを基本としております。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7,905百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債の報告金額及び資産・負債の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測を必要としておりますが、結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については「第一部 企業情報 第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

(退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産)

 従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

(繰延税金資産)

 当社グループは、繰延税金資産について、その回収可能性を考慮して、評価性引当額を計上しております。評価性引当額を計上する際には、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

④経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは売上高、営業利益等及び自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標としており、2024年度(2025年3月期)の達成状況は以下のとおりです。

指標

2024年度(計画)

2024年度(実績)

2024年度(計画比)

売上高

77,500百万円

78,672百万円

1,172百万円増(1.5%増)

営業利益

3,010百万円

3,294百万円

284百万円増(9.5%増)

経常利益

3,220百万円

3,596百万円

376百万円増(11.7%増)

親会社株主に帰属する当期純利益

2,240百万円

2,435百万円

195百万円増(8.7%増)

(注)計画値は、2024年10月31日付「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」にて公表した数値であります。

 

 売上高は計画比1,172百万円増(1.5%増)となりました。これは自動車関連企業の次世代モビリティ開発向けの投資が活発だったことが増加に寄与しました。営業利益は、ベースアップにともなう人件費の増加や、荷造運賃及び基幹システム更新にともなう関連費用の増加はあったものの、大型案件による利益額増加により、計画比284百万円増(9.5%増)となりました。

 営業外収益として受取配当金や仕入割引などが発生したことから、経常利益は計画比376百万円増(11.7%増)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、計画比195百万円増(8.7%増)となりました。

 自己資本利益率(ROE)は、2024年度は主に親会社株主に帰属する当期純利益が2,435百万円となったことから、7.3%となりました。

 

5【重要な契約等】

(1) 販売店・代理店契約

契約締結先

契約締結日

主な取扱品目

契約期間

オムロン株式会社

2024年4月1日

制御機器

自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

横河電機株式会社

横河ソリューションサービス株式会社

2024年7月1日

計測機器

自 2024年7月1日

至 2025年3月31日

(注)1.オムロン株式会社との間で、2025年4月1日付で新たに1年間の契約を締結しております。

2.横河電機株式会社・横河ソリューションサービス株式会社との間で、新たに契約を締結するため、3ヶ月を限度として上記契約期間を延長しております。

 

(2) 業務委託契約

契約締結先

契約締結日

契約内容

契約期間

株式会社KYOTSU

2007年4月1日

当社の物流業務及びこれに付随する業務を委託

自 2007年4月1日

至 2008年3月31日

以後1年毎に自動更新

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発活動費は、1,129千円です。

 主に、エンジニアリング事業本部において検査装置の研究開発活動を行っております。