当連結会計年度におけるわが国経済は、企業の景況感が好転し、雇用が改善する等緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、中国や新興国の景気減速や英国のEU離脱、米国の大統領交代といった海外経済の不確実性に加え、国内では企業の設備投資や個人消費の伸びは勢いを欠く等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
青果物流通業界におきましては、夏場の相次ぐ台風の上陸によって、一大産地である北海道を中心に全国の生産地が甚大な被害を受けたことで、根菜類を中心に品薄が続き相場が高騰いたしました。また、30年に1度といわれる記録的な日照不足に見舞われたことにより、青果物収穫量の大幅な減少、品質の著しい悪化等、1年間を通じて非常に厳しい経営環境が続きました。
このような経営環境の中、当社グループは当連結会計年度が中期経営計画「THE SECOND FOUNDING STAGE 2017」の最終年度に該当することから、「拠点拡大政策の継続」、「食の安全・安心の追求」、「新規事業・新規マーケットへの参入」等を中心に業績向上のための施策を進めてまいりました。
具体的施策のうち、まず「拠点拡大政策の継続」については、平成28年6月に竣工した連結子会社東京デリカフーズ株式会社の西東京FSセンター(東京都昭島市)を中心に展開いたしました。最新の生産設備もさることながら、西東京FSセンター開設により、これまで地理的な条件で進出が遅れていた関東西部地区への出荷が可能となったほか、既存の事業所(東京FSセンター:東京都足立区、神奈川事業所:神奈川県大和市)との相互補完体制が確立いたしました。
「食の安全・安心の追求」につきましては、当連結会計年度中に新たに連結子会社名古屋デリカフーズ株式会社子宝工場(愛知県弥富市)で食品安全の国際規格であるISO22000認証を取得したほか、連結子会社大阪デリカフーズ株式会社茨木工場(大阪府茨木市)や新設の西東京FSセンターでも同認証の取得を進めております。また、このほかにも全国の工場に専任の「衛生品質トレーナー」を配置し、日々工場内の生産環境の確認や、作業者の教育訓練に従事させる等、ハード・ソフトの両面から食の安全・安心を追求し、同業他社との差別化を図っております。
「新規事業・新規マーケットへの参入」につきましては、当社グループがカット野菜・ホール野菜に次ぐ新たな事業の柱と位置づける真空加熱野菜の製造・販売を西東京FSセンターにて本格的に開始いたしました。真空加熱野菜は、野菜のおいしさと鮮度を重視した加熱調理済み野菜のことで、食材と調味液をフィルム袋に入れて真空密閉の上、加温調理した商品です。当社グループの主な販売先である外食産業では、人手不足が慢性化する中にあって、調理時間の短縮と一定の品質維持は喫緊の課題であり、この真空加熱野菜は既に多くの外食産業から高い評価をいただいております。名古屋かの里工場、奈良FSセンターにおいても製造・販売を開始しており、今後、積極的に販路拡大を進めてまいります。
この結果、当連結会計年度における売上高は34,559百万円(前期比9.5%増)となりました。利益につきましては、8月以降の相次ぐ台風上陸、記録的な日照不足・低温等の影響による野菜価格の高騰・品質悪化の影響が長期化したことに加え、西東京FSセンターにおいて、業界初となる真空加熱野菜の量産ライン等、最新の生産設備・衛生設備を導入したことにより、当初発表の予測値を下回り、営業利益557百万円(前期比18.4%減)、経常利益605百万円(前期比14.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は329百万円(前期比17.7%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、以下のとおりであります。
① 関東地区
当セグメントの売上高は、6月に西東京FSセンターが新規稼動したことに伴い、お客様に対し積極的なメニュー提案及び産地提案を実施する等の営業活動を強化したことに加え、最新の生産設備、食品安全確保の取り組み等をお客様に高くご評価いただけたことにより、新規顧客の獲得及び既存取引の深耕が順調に進展し、22,538百万円と前期と比べ2,065百万円(10.1%)の増収となりました。セグメント利益(経常利益)は、8月以降の相次ぐ台風の上陸、記録的な日照不足・低温等の影響で、多くの野菜が不足し調達価額が高騰するとともに、品質悪化に伴う作業効率の低下及び廃棄ロスの発生、また、西東京FSセンター開設に伴う人件費・消耗品費等の立ち上げ費用の発生及び減価償却費の増加により、144百万円と前期と比べ281百万円(66.0%)の減益となりました。
② 東海地区
当セグメントの売上高は、大手外食チェーンの購買比率の見直しやキャンペーンの縮小、与信管理の強化等に伴い既存取引先への販売が減少したものの、お客様への情報提供や本部・店舗巡回の強化等の積極的な営業活動を実施したことによる新規顧客の獲得が順調に進展したこと等により、5,077百万円と前期と比べ4百万円(0.1%)の増収となりました。セグメント利益(経常利益)は、天候不順等による野菜の調達価額高騰等の影響はあったものの、在庫管理の徹底による廃棄ロスの削減、物流体制の整備による物流コストの削減、人件費管理の強化等により192百万円と前期と比べ42百万円(28.2%)の増益となりました。
③ 近畿地区
当セグメントの売上高は、平成27年4月に開設した奈良FSセンターにおいて、最新の生産設備、食品安全確保の取り組み等をお客様に高くご評価いただき、順調に稼働率が上昇していることに加え、積極的な営業活動を実施したことによる新規顧客の獲得により、6,940百万円と前期と比べ978百万円(16.4%)の増収となりました。セグメント利益(経常利益)は、天候不順等による野菜の調達価額高騰等、ISO22000認証取得のための設備投資に伴う減価償却費の増加があったものの、前期においては奈良FSセンター開設に伴う人件費・消耗品費等の立ち上げ費用が発生していたこと等により、214百万円と前期と比べ136百万円(175.9%)の増益となりました。
④ 持株会社
当セグメントの売上高は、655百万円と前期と比べ0.4百万円(0.1%)の減収となりました。セグメント利益(経常利益)は、145百万円と前期と比べ4百万円(2.9%)の減益となりました。
⑤ その他
当セグメントの売上高は、159百万円と前期と比べ79百万円(33.4%)の減収となりました。セグメント利益(経常利益)は、19百万円と前期と比べ11百万円(35.8%)の減益となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、4,462百万円となり、前連結会計年度末に比べ101百万円減少しました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの内容は概ね次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費644百万円、税金等調整前当期純利益536百万円、補助金の受取額182百万円が主要な収入であります。また、法人税等の支払額215百万円、売上債権の増加126百万円が主要な支出であります。以上の結果、1,254百万円の収入(前期は666百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入111百万円、保険積立金の払戻による収入84百万円が主要な収入であります。また、有形固定資産の取得による支出1,175百万円、貸付けによる支出261百万円、定期預金の預入による支出116百万円が主要な支出であります。以上の結果、1,471百万円の支出(前期は1,466百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入3,280百万円が主要な収入であります。また、長期借入金の返済による支出2,855百万円、配当金の支払額110百万円、短期借入金の減少による支出98百万円が主要な支出であります。以上の結果、114百万円の収入(前期は13百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
関東地区 |
6,306,516 |
21.2 |
|
東海地区 |
1,503,031 |
△3.0 |
|
近畿地区 |
2,521,017 |
14.9 |
|
その他 |
― |
― |
|
合計 |
10,330,564 |
15.5 |
(注) 1.金額は、製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.「その他」は報告セグメントに含まれない事業セグメントである研究開発会社であります。
また、当連結会計年度における生産実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
|
事業部門の名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
カット野菜部門 |
10,330,564 |
15.5 |
|
ホール野菜部門 |
― |
― |
|
その他 |
― |
― |
|
合計 |
10,330,564 |
15.5 |
(注) 1.金額は、製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
仕入高(千円) |
前年同期比(%) |
|
関東地区 |
14,857,922 |
10.5 |
|
東海地区 |
2,963,965 |
△1.4 |
|
近畿地区 |
4,134,872 |
15.4 |
|
その他 |
1,130 |
△82.1 |
|
合計 |
21,957,891 |
9.6 |
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.セグメント間取引については、相殺消去しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.「その他」は報告セグメントに含まれない事業セグメントである研究開発会社であります。
また、当連結会計年度における仕入実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
|
事業部門の名称 |
仕入高(千円) |
前年同期比(%) |
|
カット野菜部門 |
5,882,798 |
13.2 |
|
ホール野菜部門 |
12,401,560 |
6.6 |
|
その他 |
3,673,531 |
14.4 |
|
合計 |
21,957,891 |
9.6 |
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.「その他」は野菜外商品(卵、豆腐、冷凍食品等)の仕入高、委託販売先を通じた仕入高等であります。
当社グループは、出荷日の前日ないし前々日に受注をすることが多く、受注から売上計上までの期間が極めて短いことから受注規模を金額で示すことはしておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
関東地区 |
22,538,971 |
10.1 |
|
東海地区 |
5,077,991 |
0.1 |
|
近畿地区 |
6,940,067 |
16.4 |
|
持株会社 |
655,800 |
△0.1 |
|
その他 |
159,611 |
△33.4 |
|
調整額 |
△813,101 |
|
|
合計 |
34,559,341 |
9.5 |
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.「調整額」は、セグメント間の内部売上高又は振替高であります。
3.「その他」は報告セグメントに含まれない事業セグメントである研究開発会社であります。
また、当連結会計年度における販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
|
事業部門の名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
カット野菜部門 |
12,944,235 |
13.0 |
|
ホール野菜部門 |
17,412,573 |
6.8 |
|
その他 |
4,202,532 |
10.2 |
|
合計 |
34,559,341 |
9.5 |
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.「その他」は野菜外商品(卵、豆腐、冷凍食品等)の販売高、委託販売先を通じた販売高、コンサルティング業務による売上高等であります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「徳・体・智」という経営理念を持ち、体を動かし汗水を流すことが自分のためになり人のためになるという思いで業務を遂行し、人々に尽くす経営をするという経営理念のもと、野菜を食したときの健康への影響を常に考え、安全で安心な野菜を供給することに取り組んでおります。
また、カット野菜のリーディングカンパニーとしてお客様の多大なニーズに応え、新たな野菜需要の創造と野菜を使用したメニューの提案を通じて市場の拡大に努めております。
事業活動にあたっては、お客様、そして株主の皆様の信頼と期待にお応えするように努め、企業価値の一層の向上を目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、売上高経常利益率を重視しております。生鮮食料品を扱う会社の性質上、日々の買付け、品質管理及び製造・流通におけるコスト管理に注力することが経営体質の強化につながると考えております。当連結会計年度における売上高経常利益率は、1.8%となっております。新工場の稼動等の影響により、一時的な低下はあるものの、事業会社の統合によるグループシナジーの追求、調達価格の低減や天候不順による調達難時のリスクヘッジを目的とした国内及び海外産地の開拓、工場のオートメーション化、グループインフラの構築等のコスト削減による収益構造の強化に努めることにより、今後の売上高経常利益率の上昇を確信しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、昭和54年の創業より「日本農業の発展」、「国民の健康増進」への貢献を目的に事業を展開してまいりました。
青果物流通事業のリーディングカンパニーとして、安全・安心な青果物の加工・流通はもちろん、研究・開発・分析など独自のノウハウを基に新たな野菜の価値向上と市場の拡大に努めております。
当社グループでは、今後更なる成長を遂げるため、第三次中期経営計画「Next Change 2020」(2017年4月~2020年3月)を策定し、平成29年2月に公表いたしました。
本計画では、「経営基盤の改革」、「成長基盤の構築」、「研究開発部門の強化」を基本方針に掲げ、下記の事業戦略を骨子とした施策を実践してまいります。
<販売・成長戦略>
① カット野菜・加熱野菜・個食商品を柱に外食および外食以外への分野へ積極展開
② 当社が推進する「デポ化」を関東圏から全国圏へ事業展開
③ メニュー・食材・産地提案から、物流・CSR支援など提案力・対応力による売上拡大
④ 幹線便・エリア配送網などグループインフラを活用した物流事業の拡大
<調達戦略>
① 購買部門を統括する「商品統括本部」の新設により調達量を価格の安定を目指す
② 調達難時のリスクヘッジを目的とした国内および海外産地の開拓と育成
③ グループインフラを活用した調達網を構築し多種多様な調達を展開
④ 農業への参入(種苗・栽培・農業経営ノウハウ取得)
<各子会社の戦略>
・デザイナーフーズ㈱
① ビッグデータを活用した抗酸化研究の強化および外部研究機関との連携推進
② 次世代に向けた「農・食・健康」を繋ぐ新規研究分野の開拓
・エフエスロジスティックス㈱
① 名古屋・大阪・神奈川での営業所開設および幹線便によるグループインフラの構築
② 物流事業への参入(当社グループ外商品・当社グループ外配送業務受託)
<企業力・組織力向上戦略>
① 事業会社の統合による全体最適化およびグループシナジーの追求
② ノウハウ・技術・経験値の共有による現場改革・経営改革の推進
③ 経営人財・部門長クラスの育成による人財基盤・育成基盤の強化
④ 働き方改革・労働環境改革による能率の向上および従業員満足度の向上
<資本・財務戦略>
① 財務健全性を維持しつつ成長への積極投資を実施
② ROEを重要な経営指標と位置づけ目標を8.0%以上に設定
③ 継続的かつ安定的な配当を実現(配当性向20%以上を目安)
今後は、2020年3月期の連結売上高400億円、連結経常利益11億円を業績目標として更なる経営成績の向上に取り組んでまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループを取り巻く経営環境は、消費者の「食の安全・安心意識の高まり」や、人手不足による人員確保リスクの増大やそれに伴う労働コストの上昇なども加わり、引続き厳しい状況が継続するものと懸念されることから、下記に当社グループの対処すべき課題を掲げ、それに取り組んでいく所存であります。
①食の安全・安心の確保
当社グループでは、食品事業者の責務として常に高い安全衛生管理水準を維持し続けることが重要な経営課題であると認識しております。当連結会計年度においては、連結子会社名古屋デリカフーズ株式会社の子宝工場が食品安全の国際標準規格であるISO22000認証を取得しており、今後もグループ内への展開を進めてまいります。
②コーポレートガバナンスの充実
平成27年6月に適用が開始されたコーポレートガバナンス・コードについて、当社グループではコードの精神を尊重し、各原則を実施するための各種施策を実行してまいりました。平成28年6月にはコーポレートガバナンス・コードの実施状況に関するコーポレートガバナンス報告書を提出・公開いたしましたが、求められる73項目の原則のうち5項目(前期比△1項目)については原則を実施していないものとして、その理由を説明(エクスプレイン)しており、当該事項の遵守が今後の課題であると認識しております。
③新規事業を含めた収益構造の強化
当社グループでは、成長戦略を推し進めるにあたり、当社グループの強みを活かした提案営業力の強化による新規顧客獲得と既存顧客の深耕に注力するとともに、契約産地の拡充による調達価格の低減や工場のオートメーション化による労働コスト削減を実現させ、収益構造を強化することが当社グループ全体の継続的な課題であると認識しております。新規事業につきましては、当連結会計年度から本格的に生産・販売を開始した「真空加熱野菜」をカット野菜・ホール野菜に続く第三の基軸商品とするため販路拡大を進めてまいります。
④リスクマネジメント
当社グループがさらされるリスクは単に災害、訴訟、金融、風評等にとどまらず、多岐にわたり、しかも複雑化・複合化しております。こうしたリスクに対応するため、当社グループでは取締役を中心メンバーとした「危機管理委員会」を設置しております。当連結会計年度におきましては、危機管理委員会を中心に外部専門家によるリスク診断や危機管理研修を実施する等、リスクマネジメントにあたっております。
⑤経済社会情勢への柔軟な対応
当社グループをめぐる経済社会情勢のうち、米国の政権交代によるTPP脱退や農協改革については具体的な影響が未だ詳細が不透明なため、引続き情報収集を怠らず、時宜に応じて柔軟に対応すべき課題であると認識しております。
これらの課題に対する施策を実践し、野菜を中心に生産地から消費者までの食をコーディネートし、「日本農業の発展」及び「国民の健康増進」という社会的責任を担う企業として、企業品質と企業価値の向上に邁進努力いたします。
以下において、当社グループの事業及びその他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいりますが、本株式に対する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があります。また、本項に記載した予想、見通し、方針等、将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来実現する実際の結果とは異なる可能性がありますのでご留意ください。
①青果物の生産・収穫に影響を及ぼす天候や気象、自然災害について
当社グループは、主に、国内産青果物を生産地取引や各地の市場で買い付け、お客様に販売しております。青果物の生産・収穫は天候や気象、自然災害に左右されます。特に近年は、異常気象に見舞われ世界的に農産物の収穫に悪影響を与えているほか、平成23年3月11日に発生した東日本大震災により広大な農地が冠水や流出、放射能汚染などの被害を受けております。過去に経験した大きな異常気象や自然災害を教訓として、そのような状況が発生した場合、輸入青果物の仕入や代替商品による納品をお客様の同意の下に行う体制を持っていることや、同じ天候や気象、自然災害の影響を受けない複数の国内産地を持つことで、リスクを分散した生産地取引も行っております。
こうした対応にもかかわらず、青果物の生産・収穫が天候や気象、自然災害により著しく減少する状況に陥った場合には、仕入価格が高騰し、あるいは販売機会を逃すなど、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
②食品の安全性について
食品の安全性と品質保証に関する消費者の関心は、残留農薬、偽装表示問題や異物混入事件等により高まっております。当社グループは、製・商品の品質、安全性を経営の最重要課題のひとつと考えており、安全で高品質の食品を供給するため、徹底した衛生管理と品質の向上に努めております。具体的には、当社グループの全ての工場において食品安全マネジメントシステムの国際規格ISO22000認証の取得を進めることにより、当該システムの継続的改善に取り組みながら、衛生管理・品質管理の改善に努め、食品安全確保ならびに品質保証・危機管理などのリスク管理体制の充実を目指すとともに、ISO22000による食品安全の内部監査を実施し、製品クレームや事故の発生防止活動、製品表示の適正化に取り組んでおります。加えて東京デリカフーズ株式会社東京FSセンターにおいては、昨今のフードテロリズム等への世間一般の関心の高まりに鑑み、より厳密な衛生管理基準やフードディフェンスの要求が求められるFSSC22000認証を取得しております。また仕入業者と連携して品質向上のための情報交換を積極的に行っております。そのような結果、過去に食中毒事件等の問題が発生した事例はありません。
しかしながら、異物混入、健康被害を与える可能性のある欠陥製・商品、表示違反など、当社グループで生産する製品、あるいは仕入商品に万一事故が発生した場合には、当社グループの製・商品の販売に支障を来たし、この結果、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループに起因する食品の安全性問題だけでなく、無認可添加物の使用等による食品製造工程における消費者の不信、あるいは外食企業に起因する衛生管理問題による連鎖的風評など、社会全体的な食品の安全・衛生上の問題が発生した場合につきましても、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③設備投資について
当社グループは、これまで主要取引先であった外食産業向けに加え、需要が増加している中食産業及び小売業向けの青果物卸売、カット野菜製造のために新工場(FSセンター)の建設を計画しております。また、継続的に事業を拡大していくうえで、新製品対応や技術革新、あるいは生産能力の増強等のため、新規または更新のための設備投資が必要となります。
当社グループでは市場環境、競合他社動向、事業戦略及び当該投資の収益性等を総合的に勘案し、適時・適切に設備投資を実施していくように努めております。しかしながら、新工場建設に伴う人件費・消耗品費増加等による立ち上げ費用、減価償却費等により過去の事業年度で生じたように一時的に当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、経営環境の急激な変化等により、売上が大きく減少し、使用設備の除却や減損が生じた場合、更なる悪影響を及ぼす可能性があります。
④有利子負債依存度について
当社グループは、工場・物流センター等の設備投資資金を主に金融機関からの借入れにより調達しているため、総資産に占める有利子負債の割合が平成29年3月決算期で41.5%(有利子負債残高(リース債務を含む)7,495百万円/総資産18,062百万円)と比較的高い水準にあります。したがって、今後有利子負債依存度が高い状態で金利が上昇した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤法的規制について
当社グループが営んでいる青果物事業に関する主たる法的規制には、食品の規格・衛生監視・営業許可等を定めた「食品衛生法」、食品循環資源の再生利用等を促進するために再生利用等の量に関する目標を定めた「食品リサイクル法」、工場・事業場の排水規制を定めた「水質汚濁禁止法」、「水道法」、欠陥製造物からの消費者保護を目的とした「製造物責任法(PL法)」等があります。
当社グループは、「食品衛生法」をはじめとした法令の遵守を徹底するとともに、「食品リサイクル法」における食品廃棄物の再処理にも充分な取り組みを実施しております。しかしながら、今後「食品衛生法」、「食品リサイクル法」等の法的規制が強化された場合、新たな費用負担が発生する可能性があり、その場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥業務委託について
当社グループでは、各子会社が直接配送できない地域につきましては、各子会社が業務委託先に製品の製造及び製・商品の配送を依頼しております。
委託先につきましては、納品する製・商品の品質には十分に気をつけるよう指導管理しておりますが、納品する製・商品の品質が悪い等の不測の事態が生じた場合等に、投資者及びその他一般の方々が当社グループにも同様の問題が生じていると誤解する可能性があります。また、業務委託先が当社グループの意に背いて、食品の安全性に欠けるものを納品した場合、当社グループにも影響があり、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(連結子会社間の合併契約)
当社は、平成29年5月10日開催の取締役会において、平成29年10月1日を効力発生日として、東京デリカフーズ株式会社(出資比率100%)を吸収合併存続会社、名古屋デリカフーズ株式会社(出資比率100%)、大阪デリカフーズ株式会社(出資比率100%)を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、当該3社は、同日付で合併契約を締結いたしました。
なお、詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
急速な高齢化社会を迎え、医療費の高騰が大きな社会問題となる中、国民一人一人が日々の食生活に基づき自己責任において健康を維持増進すること、すなわち「食によるセルフメディケーション」が強く求められております。国の施策として平成12年(2000年)にスタートした「21 世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」では、循環器疾患(高血圧、高脂血症、虚血性心疾患、脳卒中等)や糖尿病、がん、骨粗しょう症などの、いわゆる生活習慣病と関連の深い「栄養・食生活」の内、カリウム、カルシウム、抗酸化ビタミン(ビタミンC)、食物繊維等の摂取量を国民栄養調査データから解析したところ、野菜の摂取が寄与する割合が高かったことから、これら栄養素の適量摂取のためとして、野菜摂取量目標値350グラム以上(内、緑黄色野菜120グラム以上)が設定されました。平成25年(2013年)からスタートした「健康日本21(第2次)」でも同様の目標値ですが、日本人平均で70グラムの野菜摂取が不足している状況です。さらに、特定保健用食品や栄養機能食品に続いて、平成27年4月より「機能性表示食品」が消費者庁の下、新たに届け出制度として始まりました。すでに300品目を超える食品が届け出され、その中には生鮮食品(野菜、果物等)も含まれております。
このような状況の中、当社グループでは過去17年間、野菜・果物等の成分分析(ビタミンC、抗酸化力、Brix糖度、硝酸イオン等)に積極的に取組み、その分析数は25,000検体を超え、ビッグデータと言える規模になってまいりました。これらの分析データベースをもとに、野菜の品質と栽培方法との関連性を明らかにするとともに、非破壊で野菜の品質を選果できる装置開発、野菜の抗酸化成分を摂取することによるヒト体中への影響を明らかにする研究、野菜の抗酸化力を自動的に測定できる装置開発、野菜の抗酸化力等「野菜が持つチカラ」に関する情報を一般消費者に届ける手法開発等、野菜と健康に関する研究開発を進めてまいりました。
主な成果として、前期開発した「トマトの非破壊大量迅速測定・選果装置」を利用してトマトのリコペン量と糖度で選別した物を量販店で一般消費者向けに試食販売の実証を継続しています。高付加価値トマトならば高単価でも受容性があることがわかりました。また、トマトの次世代植物工場に選果装置を導入し、高付加価値トマトの効率的生産方法の構築に努めております。
一方、前期開発した「野菜の抗酸化力自動測定装置」を活用し、新たな分析データベースの構築を目指しております。「野菜が持つチカラ」をデリカスコア(野菜品質評価指標)としてウエブ情報で提供し、一般消費者から良い評価を得ることも出来ました。抗酸化力などの受託分析に係る売上も2年連続で前年対比125%を達成いたしました。これら研究の成果を「野菜が持つチカラ」として、生産者と実需者、一般消費者をつなぐことで、野菜の需給と消費を拡大し、サプライチェーンの最適化・効率化を目指すとともに、消費者ニーズに基づいた新たなバリューチェーンの構築を目指しております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は114百万円であります。
なお、当社グループでの研究開発活動は、事業全般にわたり行っており、概ね報告セグメントに含まれない事業セグメントである研究開発会社で行っております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成29年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループの連結財務諸表の作成において、損益または資産及び負債の状況に影響を与える見積り、判断及び仮定は、過去の実績や入手可能な情報に基づいておりますが、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
その他重要な会計方針は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は34,559百万円となり、前連結会計年度の31,573百万円に対し、2,985百万円の増収(前期比9.5%増)となりました。当社グループを取り巻く経営環境は、夏場の相次ぐ台風の上陸によって、一大産地である北海道を中心に全国の生産地が甚大な被害を受けたことで、根菜類を中心に品薄が続き相場が高騰いたしました。また、30年に1度といわれる記録的な日照不足に見舞われたことにより、青果物収穫量の大幅な減少、品質の著しい悪化等、1年間を通じて非常に厳しい経営環境が続きました。
このような経営環境の中、当社グループは当連結会計年度が中期経営計画「THE SECOND FOUNDING STAGE 2017」の最終年度に該当することから、「拠点拡大政策の継続」、「食の安全・安心の追及」、「新規事業・新規マーケットへの参入」等を中心に業績向上のための施策を進めた結果、新規顧客の獲得及び既存取引の深耕が順調に進展しました。この結果、当社グループは当初計画(平成29年3月期 業績予想33,500百万円 平成28年5月10日発表)を上回る売上高を確保いたしました。
売上原価は、前連結会計年度の23,890百万円に対し、2,687百万円増加(同11.2%増)の26,578百万円となりました。これは主として、売上高の増加、天候不順や台風・豪雨の影響による調達価格の高騰、西東京FSセンター開設に伴う減価償却費等の増加、商品仕入高・製造原価の増加によります。その結果、売上総利益は前連結会計年度の7,682百万円に対し、298百万円増加(同3.9%増)の7,981百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の6,999百万円に対し、423百万円増加(同6.1%増)の7,423百万円となりました。これは主として、人手不足による人件費の増加、西東京FSセンター開設に伴う消耗品費等の立ち上げ費用の発生、減価償却費の増加等によります。その結果、営業利益は前連結会計年度の683百万円に対し、125百万円減少(同18.4%減)の557百万円となりました。
営業外収益は、前連結会計年度の80百万円に対し、8百万円増加(同11.2%増)の89百万円となりました。これは主として、ダンボール売却等の物品売却益が増加したこと等によります。営業外費用は、前連結会計年度の55百万円に対し、13百万円減少(同24.7%減)の41百万円となりました。これは主として、低金利の借入金への借り換えを積極的に実施したことによる支払利息の減少によります。その結果、経常利益は前連結会計年度の708百万円に対し、102百万円減少(同14.5%減)の605百万円となりました。
特別利益は、補助金収入100百万円を計上したこと等により128百万円となり、特別損失は、固定資産圧縮損99百万円、借入金繰上返済精算金46百万円、固定資産除却損39百万円を計上したこと等により198百万円となりました。その結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の643百万円に対し、107百万円減少(同16.7%減)の536百万円となりました。
税効果会計適用後の法人税等の負担額は、前連結会計年度の242百万円に対し、36百万円減少(同14.9%減)の206百万円となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の400百万円に対し、71百万円減少(同17.7%減)の329百万円となりました。
次期以降におきましては、中期経営計画を軸に、中長期的な成長を見据えた活動として以下のような取組みを進めてまいります。
<事業会社の統合による全体最適化>
当社グループはまず昭和54年に愛知県名古屋市で創業し(現・名古屋デリカフーズ株式会社)、昭和59年に東京デリカフーズ株式会社設立、平成2年に大阪デリカフーズ株式会社設立と大都市圏を中心に拠点を展開してまいりました。以来、これらの各事業会社が互いに切磋琢磨を繰り返すことで今日の当社グループを築いてまいりましたが、近年は主な顧客である外食企業のナショナルチェーン化が進み、従来の地域密着型営業のメリットが薄まりつつあることに加え、人手不足の顕在化が雇用難に繋がり、人材の効率的な配置が必要不可欠になる等、当社グループを取り巻く経営環境は大きく変わりつつあります。このような経営環境の変化に対応するため、現在の東京・名古屋・大阪にある事業会社を一つに統合し、全体最適による経営基盤の強化を実現してまいります。
<拠点増設政策の継続>
新中期経営計画では、平成32年3月期の売上高400億円を目標に掲げており、更なる売上獲得が急務であります。そのための施策として、拠点の増設を進めてまいります。現在は、中京地区で新拠点設置計画が進んでいるほか、中期経営計画に基づき、関東地区・北海道・中四国地区等での拠点設置に向けて検討を重ねております。また連結子会社エフエスロジスティックス株式会社は中京地区で営業所を開設する予定であり、当該地域における物流の内製化を推し進めるとともに、東京―名古屋間で定期幹線便の運航を開始することで、グループインフラを構築いたします。
<研究開発部門の再編と強化>
これまで当社グループの研究開発は主に連結子会社であるデザイナーフーズ株式会社を中心に行われてまいりました。グループの経営資源を適切に配分し、当社グループの強みである研究開発を更に強化するため、平成29年6月を目途に研究開発部門をデザイナーフーズ株式会社と連結子会社株式会社メディカル青果物研究所に分割・再編いたします。デザイナーフーズでは抗酸化研究や次世代に向けた新規研究分野の開拓を、メディカル青果物研究所では青果物の鮮度保持技術の開発や受託分析業務を行う等、役割を明確化した上で研究開発部門の規模を拡大してまいります。
以上を踏まえ、平成30年3月期の業績につきましては、売上高35,500百万円、営業利益750百万円、経常利益800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益498百万円を予定しております。
(3) 財政状態の分析
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ0.2%減少し、8,926百万円となりました。これは、主として、売掛金が131百万円増加した一方、現金及び預金が97百万円、未収入金が92百万円減少したことなどによります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度末に比べ10.9%増加し、9,136百万円となりました。これは、主として、建物及び構築物が771百万円、機械装置及び運搬具が330百万円、長期貸付金が241百万円増加した一方、建設仮勘定が611百万円減少したことなどによります。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ6.3%増加し、4,764百万円となりました。これは、主として、買掛金が99百万円、1年内返済予定の長期借入金が230百万円増加した一方、短期借入金が98百万円減少したことなどによります。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度末に比べ6.2%増加し、6,201百万円となりました。これは、主として、長期借入金が193百万円、資産除去債務が95百万円増加したことなどによります。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3.4%増加し、7,096百万円となりました。これは、主として、利益剰余金が219百万円増加したことなどによります。
(4) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、4,462百万円となり、前連結会計年度末に比べ101百万円減少しました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの内容については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。