第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

   文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針
  当社グループは、社是である「和を以て尊しと為す」を創業以来大切に想い、グループ理念として『安全安心で快適な「環境」と「信頼」をお届けする』を掲げています。

 暮らしや産業、公共の社会基盤を支えることを使命と考え、管工機材と住宅設備資材等を販売することを通して、安全かつ快適な暮らしができる社会づくりに貢献することを経営の基本方針としています。

  この基本方針のもと、持続的な企業価値の向上を図り、全てのステークホルダーの「信頼と期待」に応えていく企業活動を実践してまいります 。

 

(2)目標とする経営指標

主な経営指標としては、売上高の安定的な拡大及び収益力を示す営業利益、経常利益の向上を目標としております。一方で収益性だけでなく資本コストを意識し、資本効率指標となるROE(自己資本利益率)を重視しております。財務の健全性は、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の適正化、バランスシートのコントロールにより資産効率指標である自己資本比率の向上に、取り組んでいます。

 

(3)経営環境
  国内経済は、インバウンドが牽引する個人消費の持ち直しや半導体工場関連の投資に加えて、自動化・省力化や脱炭素に向けた関連投資の設備投資が活発になり、景気は内需を中心に回復基調が続いています。

一方で、物価高、人手不足、実質賃金のマイナス、金利の動向、行き過ぎた円安、世界経済の減速リスク等今後の見通しは不確実性が高く、注視する必要があります。特に住宅業界においては、人口と世帯数の減少や住宅の長寿命化により新設住宅着工戸数が大きく減少することが予測されており、当社グループにとって厳しい事業環境が予想されます。

また、気候変動による環境問題及び人権問題、高齢化社会の進行等の社会問題もますます深刻化しており、サステナビリティ意識の高まりやデジタル化等、企業を取り巻く環境は急激に変化しています。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略

上記のような経営環境のもと、当社グループは、2024年4月から2027年3月までの3か年を対象期間とする中期経営計画「 Vision 110 」を策定し、3月に開示しました。

中計ビジョンである以下を実現するための戦略をスピーディに実行し、着実に成果につなげていくことが、当社グループの対処すべき最大課題と認識しています。

 

<中計ビジョン>

1)2026年1月に創業110周年を迎え、節目となる中計最終年度の2026年度に初の営業利益10億円をグループをあげて達成する。

2)企業価値の向上、持続的な成長に向けて、次の成長ステージのための基盤づくりをする。

今回、中計を策定するにあたり、グループとして統一感をもった新たな“ グループ理念 ”と ”グループビジョン”に修正しました。

 

<グループ理念>

“安全安心で快適な「環境」と「信頼」をお届けする ”

「環境」はクリエイトグループの製造・卸・加工・施工・運送全てのビジネス、提供する機能に該当します。また、「信頼」は、お客様から評価される全ての商品・サービスの原点であり、グループ全役職員が責任をもってつくりあげるものであり、この理念を常に拠り所とします。

 

 

<グループビジョン>

“ レガシーと変革スピリットを常に持ち続ける ”

今までの2つのビジョン「100年の誇りとDNAを絶やすことなく、誠実な経営をつないでいく」と「変化に果敢に挑戦し、持続的に企業価値を向上させる」を「レガシー=過去を受け継ぐこと」と「変革スピリット=変革への挑戦心」でひとつに表現し、グループのありたい姿=ビジョンとして追求してまいります。

 

<連結経営目標>

 

2024年3月期

実績

2027年3月期

中期経営計画

売上高

35,860百万円

44,000百万円

営業利益

413百万円

1,000百万円

ROE

2.9%

10%水準

自己資本比率

28.9%

30%以上

配当性向

70.7%

30%を基準とする

基本方針

 

グループ各社の戦略とグループシナジーの発揮により、最終年度連結売上高440億円、営業利益10億円を目標とします。財務目標は、現状の資本コスト(3%レベル)を踏まえ資本効率を意識し、ROE10%水準を目指して、PBR1倍割れ解消へ向けた改善を実現します。

また、財務の健全性は、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の縮小、売上債権の流動化、調達資金の長短バランスの適正化等バランスシートのコントロールにより、及第点である自己資本比率30%以上を目標とします。株主還元については、連結配当性向30%を基準として、業績動向等を総合的に勘案し配当金額を決定する方針としました。

 

<Vision 110の基本戦略>

1 財務・資本戦略

中計期間中のキャッシュフローを「戦略投資」「次世代に向けた成長投資」「株主還元」を明確化して、キャッシュ・アロケーションを設定します。戦略の実行と投資計画のモニタリングを通して、計画的な実行を進めます。

 


2 営業・製販戦略

既存ビジネスに加え、次の成長ステージに向け、市場拡大とニーズが高まる分野への販売基盤を確立します。脱炭素の動きが加速するなか太陽光・蓄電池、断熱材、水素関連製品等のサステナブル商材を重点拡販商品として施策を展開します。また、建設業許可を取得したことから工事を付与した受注促進にも取り組んでいきます。

さらに製造部門である子会社ダイドレは、新商品開発を積極推進し、強みとなるモノづくり機能を進化させていきます。

 

 

3 物流戦略

物流を“強み”とする差別化戦略で、「管材業界No.1物流」を目指します。営業所の拡張移転は、ターゲットエリアに対して、候補とする営業所の出店を中計期間内に段階的に実施します。併せて、メーカーの運送ニーズに対応する首都圏以外の展開は、運送子会社ハネイシを軸としてM&Aを含め物流拠点を拡大、流通網を充実させます。

戦略的投資となるセンター構想(東名阪エリアの増設・新設等)は、事業戦略を策定し、投資リターンを見極めたうえで実行を判断します。

 

4 人的資本経営・人事戦略

人財を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すために、人財育成・能力開発と環境整備を確立させます。グループ全体で企業価値向上を目指す必要があることから、グループで統一した教育プログラム、人事評価制度に整備していくことに注力していきます。

教育体制は、リスキリングを進めるこれまでの階層ごとの研修に加えて、意欲の高い人が志願する研修の制度設計やエグゼクティブ人財を育成する制度を創設しました。

評価制度は、目標設定(社内KPI)、総合評価の整備、期待される行動要件の統一化等を刷新できるよう取り組んでいきます。

人事制度は、キャリアプラン作成によりキャリアパスの明示、ジョブローテーションの実施を進め、タレントマネジメントシステムを活用して「人財ポートフォリオ」を把握して、経営戦略と連動させることを目指します。前年、有価証券報告書に開示した人財育成方針・環境整備方針指標である「1on1ミーティングの実施率100%」「男性育休取得率100%」「女性管理職10%達成(8名)」も達成できるよう、PDCAサイクルを回していきます。

 

5 コーポレートガバナンスの強化

持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために東証が進めるコーポレートガバナンス・コード83の原則の実行を受け身で捉えず、自律的に実効性高く運用することで、企業としての“強み”とします。今般、役員報酬制度に中長期のインセンティブを付与した業績連動型株式報酬(パフォーマンス・シェア・ユニット(PSU))を導入することで、さらに株主目線での経営を促進します。

コーポレートガバナンス・コードのなかでは、特に「後継者計画」「内部統制・リスクマネジメント」「取締役会の実効性評価」の3つを重点課題としています。

「後継者計画」は、従来からサクセッションプランによる経営スキル保有人財を育成していますが、より少人数に絞り込んだ能力開発、育成プランの実行と次世代の階層まで広げた整備を進めています。「内部統制・リスクマネジメント」は、役員と部門長でのリスク管理会議を通じて知識・スキルの向上とツールを活用した課題解決を進めるPDCAを実行しており、さらに体制の整備と運用の実効性向上を目指します。「取締役会の実効性評価」は、アンケートや議論から出た課題を取締役会の年間を通したアジェンダセッティングで、継続的にチェック&フォローすることで解決を図っています。

 

6 サステナビリティ経営の推進

クリエイトグループは、「SDGs」への取り組みを通じて、サステナビリティに貢献することを基本方針として取り組んでいます。この4月から推進のリーダー部署となる「サステナビリティ推進室」を新設、全体の旗振りを担います。気候変動リスクへの対応としては、大きな自然災害が発生した場合、被災後のサプライチェーン体制を維持するための復興体制や手順となるBCPを充実すべく整備を進めます。

脱炭素の取り組みに関しては、サステナブル商材の拡販、自社の車両・トラックのハイブリッド化、フォークリフトの電動化、照明設備のLED化、ペーパーレス化を進めながら、近い時期にCO2排出量のスコープ2レベルまでは把握していく方針です。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのCSR(社会的責任)とESG(環境・社会・ガバナンス)の考え方は、誠実かつ公正な事業活動を通じて、グループの企業理念である「安全安心で快適な「環境」と「信頼」をお届けする」を実践することにより、社会のサステナビリティな発展に貢献し、企業価値の向上を目指すことです。

当社グループは、持続可能な社会へ世界的な開発目標である「SDGs」への取り組みを通じて、サステナビリティに貢献することを基本方針としています。

サステナビリティを重視した経営の実現に向けて、事業活動と融合させるべく体制の構築や具体的な取り組みを推進しています。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ経営を全社的に推進する体制としてプラスとマイナスの両面を踏まえ、気候変動・環境課題を含めた「全社的なリスク全体」についてはリスク管理会議において主要な方針と対応策を策定・実行し、「事業機会の拡大」については経営戦略会議において協議、対応策を策定・実行し、それぞれ進捗のモニタリングを行っています。

取締役会は、リスク管理会議及び経営戦略会議で協議された内容の報告を受け、課題への対応状況の論議、監督を行っています。

 

(2) 戦略

当社グループにおける、人財の多様性確保を含む人財育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

<人財育成方針>

当社グループの競争力の源泉は「人材」であり、人材の「材」は「財」であるという認識のもと、経営戦略と人事戦略を連携し、イノベーションを起こす組織、人財の変革を推進するための人財育成を行ってまいります。

具体的には、獲得した人財に必要なスキルを身につけさせ能力を最大化させるため、各年次、職位、職能ごとに求められる要件や能カ、専門知識の習得を目的とした研修制度だけでなく、従業員一人ひとりの自律的なキャリア構築を支援する教育研修を実施しています。すでにスキルを持っている人財でも、さまざまな状況変化にも対応できるさらなる高みを目指すことや、能力が低下することのないよう、リスキリング、学び直し等を行い、継続的な育成にも取り組んでいきます。

また、変革を起こす人財づくりの育成は、上記の教育プログラムに加え、組織に不足するスキル・専門性の獲得を社員に促すに当たって、挑戦する姿勢そのものを称える企業文化の醸成の観点から、その成果に応じ、キャリアプランや報酬等の処遇に反映できるよう人事制度を構築していきます。

 

<社内環境整備方針>

中長期的な企業価値向上のためには、イノベーションを起こす組織であることが重要であり、その原動力となるのは、多様な従業員が自身のキャリア自律を行い、モチベーションを向上させ、組織のベクトルを一致させることで人財価値が最大化されると考えています。

 

人財価値の最大化=「多様な従業員のキャリア自律×「モチベーション向上」×「ベクトルの一致」

=人財価値の最大化により中長期的な企業価値向上が実現する

 

そのため専門性や経験、感性、価値観といった知と経験のダイバーシティを積極的に取り込むとともに、自らのキャリアビジョン実現のための主体的なチャレンジのサポート、モチベーション向上施策を展開し、トップメッセージを通じて、従業員への周知・浸透を図ってまいります。

また、労働者不足への対応、生産性向上の観点から、性別や年齢等に関係なく様々な人財が活躍できる環境や仕組みを整備し、多様な人財が意欲をもって活躍する活力ある組織の構築を推進しています。さらに優秀な人財を確保するため、新卒を対象とした定期採用に加え、即戦力として期待できる中途採用も積極的に行っております。具体的には以下の環境を整備しております。

 

① 多様な人財の活躍支援

当社グループは、従業員の多様性を活かすことで、一人ひとりの意欲や能力を最大発揮することを目指し、新たな価値創造を組織にもたらすべく、組織戦略の一環としてさまざまな取り組みを行っていきます。

 

a.女性活躍推進

快適な住環境を提供し、豊かな暮らしづくりに貢献するうえで、新たな価値創造するためにも「女性の活躍」を重要な経営戦略のひとつと位置づけています。女性社員が自身の強みを活かして活躍できる組織へと変革するため、柔軟な働き方に代表される諸制度の整備や、新たな事業部門の創設を含め、女性の活躍できる環境の創出を推進します。

 

b.キャリア採用の強化

当社グループは、キャリア採用である社会人採用も積極的に進めております。今後も引き続き、経営人財・DX人財・ガバナンス強化に関わる人財等、多様性を強化する方針のもと、毎年の新規採用者に占める社会人採用の割合を高めていく予定です。

 

c.キャリア自律支援

従業員が自らのキャリアビジョンを描き、その実現に向けて主体的にチャレンジできるよう、強力にサポートしていきます。2021年度に開始したキャリア自律意識を醸成する各種研修については、30歳到達者・40歳到達者・50代を中心に研修に参加し、自律的なキャリア形成に意欲を高めています。

また、2005年より実施している自身のキャリア希望を組織に反映する自己申告制度は、制度導入当初から組織体制を検討する仕組みとして社内に定着しており、今後も多くの従業員が新たなキャリア機会の創出にチャレンジしていきます。今後は各年代別のキャリア形成研修を継続的に実施することで、さらなるキャリア自律意識の醸成を推進していきます。

 

② 人財ポートフォリオの実現・リカレント教育体制の確立

人財データを一元化・分析するタレントマネジメントシステムを導入し、従業員の資質・能力・スキルを把握することで、経営戦略に基づいた人財ポートフォリオの実現に向け人的資本の最大化を目指します。

また、将来の組織を牽引する経営者候補を長期的かつ計画的に育成するサクセッションプランの実行と、リカレント教育の体制整備により、従業員が年齢に関係なく学び直し、主体的なキャリア形成を支援する風土を構築していきます。

 

③ 社員満足度及びモチベーションの向上、組織内コミュニケーションの充実

2021年度から導入した「1on1ミーティング」を活用することで、上司・部下のコミュニケーションの機会を増やし、人財教育と組織内の課題解決につなげております。

 

④ 健康経営の促進

心身ともに健康でいきいきと働けるように健康の維持・増進と職場環境づくりを促進しています。

 

⑤ ワークライフバランスの推進

従業員の幸せの源泉は、ワークとライフの充実であると位置づけ、「男性社員の育児休業の取得」を推進していきます。社内全体の意識改革への取り組みとして、制度整備、申請システム整備等を行い、取得率を向上してまいります。

 

 

(3) リスク管理

当社グループは、リスク管理会議において気候変動・環境課題を含めた全社的なリスク全体について、さまざまなリスクを一元的に洗い出し、対処すべきリスクの特定・評価、見直し、対応策の策定、実施状況の管理を行っています。

特に気候変動に起因する自然災害による事業活動に大きな影響を及ぼすリスクには、災害の未然防止策と被災後の迅速な対応策のBCP(事業継続計画)体制の整備、加えてサプライチェーンの寸断リスクを軽減させる在庫の安定確保、複数社調達、生産・供給の見通しの情報収集等サプライチェーンマネジメントの取り組みを行っています。

また、脱炭素の取り組みには、営業車両・トラックのハイブリッド化、フォークリフトの電動化、照明設備のLED化、ぺーパーレス化を進めています。今後は、CO2排出量(スコープ1、2レベル)を全社的に把握し、具体的なKPIを設定して、脱炭素社会に向けた活動をさらに促進していきます。

 


 

 

 

(4) 指標及び目標

当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績

(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2026年度 10.0

2.4

男性労働者の育児休業取得率

2026年度 100.0

28.6

労働者の男女の賃金の差異

2026年度 66.0

61.3

次期経営マネジメント層の社外研修会への参加人数

2026年度 50

16

次世代リーダーの資格・スキル取得人数

2024年度 230

164

1on1ミーティング実施率

2024年度 100.0

83.6

 

 

 

3 【事業等のリスク】

(1) リスクマネジメント体制

当社グループは、経営及び事業活動等に関する諸種のリスクは、取締役と管理部署の部門長により構成されるリスク管理会議において、リスクマネジメント体制の構築と運用にあたっています。リスク管理会議は、毎月開催され、事業リスクとオペレーションリスクで抽出されたリスクを評価・分析、対応策の策定とその運用状況の管理を実施します。

また、取締役会は、リスク管理会議で協議された内容の報告を受け、対応状況の論議、監督を行っています。

 

(2) 事業等のリスク

当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの特定・評価、見直し、対応策の策定、管理状況の確認はリスク管理会議において、年1回行っており、経営への「影響度」と「発生可能性」からリスクを分布したリスクマップを作成しています。

ただし、以下のリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。なお、下記の事項は有価証券報告書提出日(2024年6月21日)現在において判断した記載となっています。

 


 

① 安全労働管理に関するリスクによる影響

当社グループは、お客様へ迅速な配送を全国展開できる物流を強みとしており、営業現場及び東西の配送センタ―で倉庫・配送作業及び運送業務を行っております。

業務運営は、法令を遵守し安全面を最優先に配慮・対策を行っていますが、重大な労働災害・交通事故が発生した場合、人的損失及び被災者・被害者への補償、社会的信頼の失墜等により、信用・評価を大きく毀損することで、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。労働災害・交通事故の根絶に向けては、現場ごとに安全管理や対策が適切に履行されているか確認する「危険予知ミーティング」を全社的に定例実施しております。

 

② 建設市場動向による影響

当社グループの主要販売品目である管工機材商品は、新設住宅着工戸数、公共事業建設、民間設備投資等の建設投資動向により需要が大きく増減する傾向があります。これらの建設投資の動向が、当社グループの財政状態及び経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、市場動向に左右されにくい安定的な事業を拡大させるため、事業ポートフォリオについて、コア事業を見極めた強化と整理、収益力の向上、グループシナジーの発揮、新規事業の展開等の観点で見直し、経営資源を集中させて事業の最適化を進めています。また、今後、脱炭素の動きが加速するなかで、市場・顧客ニーズの高まるサステナブル商材の拡販を各支店の重点戦略として、市場動向を把握した重点拡販商品等の施策を展開、支店と営業本部一体となった営業推進を行っています。

 

③ 自然災害、感染症、予測困難な事象リスクによる影響

当社グループは、全国に倉庫を併設した営業所と東西の物流センターを保有しておりますが、地震や台風、集中豪雨等の大規模自然災害や感染症に加え、予測困難な事象(火災・テロ・戦争・ITシステム障害・サイバー攻撃等)による事業停止の影響により、物流と配送が分断される可能性があります。大規模自然災害や感染症に対し、必要とされるBCP(事業継続計画)を策定して発生時の対策を行っておりますが、環境変化や影響が想定より大きい場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、全国営業所の物流拠点を有することから、事業が停止した被災地区へ近隣拠点からの代替配送を行うことで、早期の事業復旧に向けた施策を推進します。 

 

④ サプライチェーンの安定性による影響

当社グループは、多数の仕入先から多様な商材を仕入れており、仕入先の原材料・部品の調達はグローバル化が進み、サプライチェーンは、複雑化しています。想定を超えた自然災害、感染症の流行、政情不安等突発的な変化による生産の中断、輸送停止でサプライチェーンが分断・停滞した場合、代替品の調達ができず、お客様への供給で支障が生じ、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

リスクの対応策として、在庫の安定的な確保、同類商材の複数社調達、仕入先からの生産・供給の見通しの情報収集、需要側のニーズや動向を捉える等サプライチェーンマネジメントの取り組みを行っています。

また、運送会社の2024年問題による輸送能力の低下により、ジャストインタイムの競争優位性が確保できないことで顧客離れが加速化し、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

荷主企業としての対応策は、取引する運送会社と十分な連携をとり、配送の効率化、残業時間の改善に取り組んでいます。

 

⑤ 買収した投資資産に関するリスクによる影響

当社グループは、M&Aによりグループ化した運送子会社を保有しております。当該会社に偶発債務や未認識債務が発生したり、計画どおりの利益が確保できず、買収額やのれん代として出資した投資額の回収が困難と判断し、当該のれん代や株式の減損損失を計上した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

リスクを回避するために、M&A実施時には、各種デューデリジェンスを綿密に行い、実施後には、統合作業による体制整備、また、親会社からの社外取締役がモニタリングに取り組んでおります。

 

 

⑥ 競走下の販売環境による影響

当社グループの属する管工機材業界は、垣根が低く成熟した市場であり、競合が激化、過度な値引競争が生じる環境となっています。加えて連結子会社のダイドレ株式会社が製造する金属系トーロー印商品の販売促進や商品開発に努めておりますが、製品素材が樹脂化と共に汎用化が加速され、価格が低下、過当競争で優位性が維持できなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

上記の環境化、中期経営計画の事業ポートフォリオ戦略では、既存ビジネスに加えて住宅設備やサステナブル商材の拡販、仕入先メーカーの最大ニーズである物流機能の拡大、商材と工事の一体受注等、次のコア事業に向けた取り組みを行っております。

また、得意先経営者の高齢化が進むなか、後継者難から事業承継が進まず、競合企業の子会社化、もしくは倒産・廃業に至ることで、得意先の減少が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 情報セキュリティリスクによる影響

当社グループは事業活動を通して、取引先の個人情報及び機密情報、また、当社グループの個人情報や機密情報を有しています。これらの情報に対するシステムのセキュリティ対策及びリスクマネジメント体制の強化を推進しております 。

しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入等により、万一、これらの情報が流出した場合や重要データの破壊・改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の費用が発生し、財政状態及び経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、多様化かつ巧妙化する情報セキュリティ上の脅威への対策として、サイバーセキュリティの技術的な対策に加え、階層別研修やeラーニング教育を通して、従業員の情報セキュリティ意識のレベルの向上に努めております。

また、情報システム部が中心となり、情報担当役員を責任者とする情報戦略委員会を設置し、各部門長が委員となり部門内の教育・啓発や対策を実施する取り組みで、情報セキュリティレベルを向上させています。

 

⑧ 法令・規制に関するリスクによる影響

連結子会社であるダイドレ株式会社が製造する排水継手・排水器具・マンホール類については「建築基準法」等、その他当社グループ事業についても関連する法律や規制の適用を受けております。これらの法律の改廃や新設、適用基準の変更等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、事業活動に関連する法令・規制の遵守を徹底させるコンプライアンス体制の強化を図っておりますが、これら対策を講じても、不正行為やコンプライアンスに関するリスクを完全に回避することはできず、重大な法令違反等が発生した場合には、社会から信頼が失墜、主要な事業運営に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法令とコンプライアンス遵守のために、基本理念となる「行動指針」を定め、階層別研修や定期的な社内周知等社員への啓発、教育活動を行っております。

 

⑨ 仕入価格の変動による影響

当社グループの取り扱う管工機材商品は、仕入れメーカーの製造原価が原材料価格の変動に影響を受けるため、仕入価格が変動する可能性があります。仕入価格が上昇した場合、販売価格に転嫁することで、売上総利益を維持することを行っておりますが、価格転嫁が進まない、または価格転嫁までに長期間を要した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、仕入価格の変動を捉えるため、原材料価格の動きやマーケット動向等を仕入れメーカーと情報共有、連携強化を図り、販売先への価格転嫁が迅速にできるよう取り組んでおります。また、複数社購買を行うことでリスクを低減しております。海外からの調達については、為替の変動に影響を受けるため、為替予約で変動リスクを軽減しておりますが、予測の範囲を超える大幅な為替変動やヘッジ未対応通貨の為替変動があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑩ 海外事業リスクによる影響

連結子会社であるダイドレ株式会社は、トーロー印商品等の素材及び商品の一部を、中国、タイ、ベトナムより調達しております。海外における事業活動は、政治情勢、法的規制、税制変更、経済状況変化等の予期せぬリスクに直面する可能性があり、こういった予期せぬリスクが生じた場合、素材及び商品の調達が困難になることで、期待どおりの収益が上げられず、損失となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、子会社について、親会社取締役の社外取締役としての監視体制と取締役会でのグループ会社の情報共有により、ガバナンスの強化に取り組んでおります。

 

⑪ 建設事業活動のリスクによる影響

連結子会社であるクリテック株式会社は、主に電気工事、土木工事、管工事ほか多岐に渡る工事種類の施工の事業を展開しております。受注活動を進める際には、自社施工体制が対応可能かどうか等リスクの抽出・判定を十分行って、受注決定の判断をおこなっています。建設工事における施工管理については、品質管理、原価管理、環境管理、安全衛生管理を厳格に行っております。

しかしながら施工期間中の重大な労働災害・人身事故や自然災害・周辺環境による想定外の工事遅延及び施工物件の契約不適合責任による修復費、補償費、加えて長期にわたる工事において資材費・労務費が著しく上昇して、請負金額に反映できない等、多大な費用負担が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、建設工事現場を監督する技術者不足から、人材確保が困難となり、当初想定した受注案件が実現されない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 子会社ガバナンスが機能しないリスクによる影響

当社グループは、グループとして企業価値を最大化させるため、一体となったグループガバナンス体制を整備しております。しかしながら親会社子会社間での価値観の相違、双方向のコミュニケーション・情報共有不足、コンプライアンス意識が浸透しないこと等で、ガバナンスが機能せず事業の失敗、法令・コンプライアンス違反やセキュリティ事故等想定しないリスクによる損失が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、グループで統一した共有すべき経営理念、行動基準に沿った法令・コンプライアンス等の遵守、損失危険管理、情報保存管理等に関する基準を定め、その遵守に向けた適切な啓蒙活動を実施します。

また、ガバナンスの機能として、親会社取締役の社外取締役による取締役会の監視・監督、親会社内部監査部によるモニタリングで監督機能を強化しており、親会社経営陣によるグループを含めたリスクの把握と解決に向けた定例会議を開催しております。

 

⑬ 固定資産に関するリスクによる影響

当社グループは、営業所で有形・無形固定資産、自社ビルの一部賃貸事務所で有形固定資産、倉庫の賃貸不動産で投資その他の資産を保有しておりますが、経営環境の著しい変化等による営業所の収益低下や不動産市況悪化等による賃貸収入低下で、十分なキャッシュ・フローを創出できず、対象資産の減損損失の計上をした場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、各営業所の業績目標に関する予算・実績管理は、月次で実施しており、業績が著しく低下した際には、営業本部主導で迅速に対応、改善できる体制にしております。

また、2027年度以降適用が予定されるリース会計を鑑み、固定資産の減損計上とならないよう不採算営業所の採算改善、安定的な利益計上に向けた取り組みも実施しております。

 

 

⑭ 人財確保に関するリスクによる影響

当社グループは、優秀な人材を幅広く採用・育成することで、事業活動の推進と競争力の維持・向上を図っています。人財の獲得競争の激化や社員の退職等によって十分な人財の確保及び育成ができなかった場合には、競争力の低下につながり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、新卒採用に加え、社員からの紹介採用、機動的な中途採用等、ダイバーシティ&インクルージョンを重視した採用を行っており、人財の定着化へ向けて、人を重要な経営資源とする人的資本経営の推進及び従業員エンゲージメントの向上や職場環境の改善に取り組んでおります。

また、サプライチェーンの観点からは、国内で配送ドライバーが不足する等、物流業界全般を通じて人材確保が困難になってきており、取り巻く環境の厳しさが増しています。物流能力を強化し、リスクの低減を進めていますが、運送会社の外部環境変化や労働力不足等の影響が想定よりも大きい場合には、輸送コスト等の上昇や販売の機会損失等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります 。なお、首都圏においては、親密運送会社をグループ化し、配送体制の効率化とドライバー確保に向けた採用のサポートをすることで物流の安定化を図っています。

 

⑮ 債権管理、与信管理に関するリスクの影響

当社グループは、与信管理規程に基づいて締結された得意先との契約をベースに売上債権を管理しております。得意先の信用度による与信上限金額を設定し、債権保証サービスによるリスク低減を図りながら、現場の情報収集に外部の信用調査機関情報も活用して与信管理を行っております。

また、自律的な与信管理体制を確立するために、現場の与信スキルを向上させる研修を定例開催しております。なお、必要に応じて貸倒引当金を計上しております。

しかしながら、経済情勢の変化により経営基盤の脆弱な企業等が、急速に経営状況が悪化する場合も考えられ、予測不能な事態が生じた場合には売上債権の回収に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯ 在庫に関するリスクによる影響

当社グループは、得意先のニーズにジャストインタイムで対応できるよう、豊富な商品を取り揃える目的で、棚卸資産を保有しております。棚卸資産は、適切な在庫管理を行っておりますが、急激な経済環境変化での市況悪化や自然災害等の外的要因で、著しく陳腐化し評価損を計上した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、営業所ごとに在庫の目標を設定し、商品管理を担う商品管理部指導のもと、月次でモニタリングを実施して在庫の適正化に取り組んでおります。

 

⑰ 会計処理による影響

当社グループは、税効果や退職給付費用等において、業績を始めとした将来の予想・前提に基づいて算定を行っております。そのため、予想や前提となる数値に変更がある場合、もしくはこれらの算定を行うための会計基準に変更がある場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
 

(1) 経営成績等の状況の概要

 ① 経営成績

当連結会計年度における国内経済は、インバウンドが牽引する個人消費の持ち直しや半導体工場関連の投資に加えて、自動化・省力化や脱炭素に向けた関連投資の設備投資が活発になり、景気は内需を中心に回復基調が続きました。

一方で、物価高、人手不足、実質賃金のマイナス、金利の動向、行き過ぎた円安、世界経済の減速リスク等不確実性が高い状況が続きました。

特に住宅業界においては、人口と世帯数の減少や住宅の長寿命化により新設住宅着工戸数が大きく減少することとなり、当社グループにとって厳しい事業環境となりました。

また、気候変動による環境問題及び人権問題、高齢化社会の進行等の社会問題もますます深刻化しており、サステナビリティ意識の高まりやデジタル化等、企業を取り巻く環境は急激に変化しています。

以上のような経営環境の変化のなか、新設住宅着工戸数等の市場動向や外部要因に左右されにくい安定的な事業を持続的に拡大させるため、「3つのトランスフォーメーション(変革)を実現する」をグループの全体的な経営目標として、以下中長期戦略を進めてきました。

 

 1)製品・市場のポートフォリオの変革

グループの事業ポートフォリオについて、コア事業を見極めた強化と整理、収益力の向上、グループシナジーの発揮、新規事業の展開等の観点で見直し、製品ごと市場ごと「誰に何を提供するか」を明確にして、経営資源を集中させて事業の最適化を進めます。

 

 2)業務プロセスの変革

地域戦略に基づいた営業所の拡張移転や再編、東西の物流センターや倉庫の物流業務に本社管理業務も加えデジタル・トランスフォーメーション(DX)を活用してシステム化・省力化・効率化を進め、生産性向上を進めます。

 

 3)組織・人財の変革

社員各階層の知識・スキルの向上を目指した人財開発に加え、モチベーション向上の取り組みを行い、業務を遂行するために必要な組織能力や体制構築、人財育成を促進していきます。

 

この取り組みのなかで当グループは、物流業の子会社である株式会社ハネイシとの協業による配送の効率化、ドライバーの労働環境(2024年問題)の改善等、グループシナジーを発揮し始めた一方で、建設業の子会社であるクリテック株式会社の大型造成工事において、当初予想を遥かに上回る資材価格の高騰、人手不足の環境下での自然災害発生(台風被害)と新型コロナウイルス感染症の蔓延による工期遅延、さらに近隣住民の安全安心を優先した結果、基礎工事・RC袖壁工事における想定以上の安全対策等で費用の大幅な増加となり多額の工事損失を計上しました。

  この結果、連結売上高は35,860百万円前年同期比2.8%増)、営業利益は413百万円前年同期比39.2%減)、経常利益は410百万円前年同期比39.3%減)、法人税等考慮後の親会社株主に帰属する当期純利益は143百万円前年同期比65.9%減)となりました。

 

 

セグメントの業績を示すと以下のとおりです。

 

 [管工機材]

当セグメントの売上高は35,191百万円前年同期比2.3%増)、営業利益は780百万円前年同期比16.2%増)となりました。

 

 [施工関連]

当セグメントの売上高は341百万円前年同期比16.3%減)、営業損失は490百万円前年同期は16百万円の損失)となりました。

 

[その他]

当セグメントの売上高は327百万円、営業利益は124百万円となりました。

なお、その他につきましては、前第3四半期連結会計期間(2022年12月)に株式会社ハネイシの株式を取得し、新たにセグメントを追加しました。そのため、前年同期比を記載しておりません。

 

管工機材の商品区分別状況は以下のとおりです。

 

 (排水・汚水関連商品)

当商品群は、住宅・公共物件・工場・ビル等の排水・汚水・雨水配管・通気配管に使用される商品が中心となります。

子会社であるダイドレ株式会社のMD継手は指定案件の受注により増加となりました。排水用集合管は、前年同期における生産遅延等により販売シェアを落としましたが、今期に入り回復しつつあり増加しました。耐火二層管は競合メーカーの事業撤退や各種案件の受注増により増加しました。

以上のことにより、当商品群の売上高は7,391百万円前年同期比6.0%増)となりました。

 

(給湯・給水関連商品)

当商品群は、住宅・公共物件・工場・ビル等の給湯・給水・空調冷媒配管に使用される商品が中心となります。

ポリエチレン管用継手は前年同期の値上げによる仮需なく売上減少しました。ガス管類は防災及び消火案件の受注により増加しましたが、ライニング鋼管類は樹脂化への管種変更や一部商品の製造中止により減少しました。一方で、ステンレス商材は案件受注と在庫の積極受注で大幅増となりました。

以上のことにより、当商品群の売上高は8,471百万円前年同期比1.8%増)となりました。

 

(化成商品)

当商品群は、住宅・公共物件・工場・ビル等の汚水・排水・雨水配管・上下水配管等に使用される塩化ビニル樹脂のパイプ・継手、マス類及びポリエチレン(PE)管・継手が中心となります。

塩ビパイプ・カラーパイプ及びポリエチレン管類に関しては、重点拡販商品としています。塩ビパイプ及び継手に関しては、競合他社からの当社への在庫切り替えにより増加しました。また、カラーパイプと継手、空調ドレン管、ポリエチレン管に関しては案件受注により大幅増となりました。

以上のことにより、当商品群の売上高は10,583百万円前年同期比1.2%増)となりました。

 

(その他)

当商品群は、上記以外の管材類・副資材や住宅設備機器類が中心となります。

住宅設備機器類は前期同様に継続して販売強化商品としています。各地区でルームエアコンの在庫受注は増えましたが、前年同期ほどの大型案件の受注がなく住宅設備機器類の売上は前年並みとなりました。一方で、フレキ類・バルブ類・埋設商材商品群は、案件増により売上が増加しました。

以上のことにより、当商品群の売上高は8,745百万円前年同期比1.0%増)となりました。

 

 ② 財政状態

(資産)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて164百万円減少し、16,981百万円となりました。流動資産は14百万円増加し、流動資産合計で12,702百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金が366百万円減少、受取手形及び売掛金が264百万円減少、電子記録債権が675百万円増加、商品及び製品が42百万円減少したこと等によるものです。固定資産は179百万円減少し、固定資産合計で4,278百万円となりました。この主な要因は繰延税金資産が54百万円減少したこと等によるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて249百万円減少し、12,065百万円となりました。流動負債は39百万円減少し、9,760百万円となりました。この主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が52百万円減少、リース債務が13百万円減少したこと等によるものです。固定負債は210百万円減少し、2,304百万円となりました。この主な要因は、長期借入金が227百万円減少したこと等によるものです。
 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて84百万円増加し、4,915百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が34百万円増加したこと等によるものです。

 

 ③ キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ366百万円減少し、1,373百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は4百万円(前年同期比768百万円減少)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益346百万円、売上債権の減少額234百万円等の資金増加要因に対し、割引手形の減少額646百万円等の資金減少要因があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果増加した資金は50百万円(前年同期比257百万円増加)となりました。この主な要因は、その他による収入116百万円等の資金増加要因に対し、有形固定資産の取得による支出55百万円、無形固定資産の取得による支出16百万円等の資金減少要因があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果減少した資金は421百万円(前年同期比361百万円減少)となりました。この主な要因は、長期借入れによる収入400百万円等の資金増加要因に対し、長期借入金の返済による支出680百万円配当金の支払額108百万円等の資金減少要因があったことによるものです。

 

  ④ 生産、受注及び販売の状況

  a.仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称(商品区分)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

仕入高(千円)

前年同期比(%)

 

管工機材

25,557,531

100.2

 

施工関連

 

その他

 

合計

25,557,531

100.2

 

(注) 金額は、仕入価格等によっております。

 

   b.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称(商品区分)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

 

 排水・汚水関連商品

7,391,695

106.0

 

 給湯・給水関連商品

8,471,108

101.8

 

 化成商品

10,583,295

101.2

 

 その他

8,745,638

101.0

 

管工機材

35,191,738

102.3

 

施工関連

341,182

83.7

 

その他

327,613

433.6

 

合計

35,860,535

102.8

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

渡辺パイプ株式会社

5,365,800

15.4

5,620,875

15.7

 

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討の内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

   ① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

   ② 当連結会計年度の経営成績等に関する認識及び分析・検討内容

   a.財政状態の分析

 (資産の部)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて164百万円減少し、16,981百万円となりました。

流動資産は14百万円増加し、流動資産合計で12,702百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金が366百万円減少、受取手形及び売掛金が264百万円減少、電子記録債権が675百万円増加、商品及び製品が42百万円減少したこと等によるものです。固定資産は179百万円減少し、固定資産合計で4,278百万円となりました。この主な要因は繰延税金資産が54百万円減少したこと等によるものです。

 

 (負債の部)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて249百万円減少し、12,065百万円となりました。

流動負債は39百万円減少し、9,760百万円となりました。この主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が52百万円減少、リース債務が13百万円減少したこと等によるものです。固定負債は210百万円減少し、2,304百万円となりました。この主な要因は、長期借入金が227百万円減少したこと等によるものです。
  

 (純資産の部)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて84百万円増加し、4,915百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が34百万円増加したこと等によるものです。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の28.2%から0.7%増加し、当連結会計年度末では28.9%となりました。

 

   b.経営成績の分析

  (売上高、売上総利益)

当連結会計年度の売上高は、35,860百万円前年同期比2.8%増)となりました。

売上高の増加理由は、クリエイト株式会社において素材高騰による製品値上げを戦略的な仮需対応で当社が獲得したこと、拡販商材である住宅設備機器において、政策的に取り扱いメーカーを拡大して対応し増販したこと等によるものです。

加えて業界全般として、素材が金属から樹脂へ変わりつつあることにより、ポリエチレン管・塩ビ製品等樹脂製品を増販したことも、政策的に成功となりました。

一方、関連子会社においては、運送業の子会社化による増収等も効果がありましたが、建設業の子会社であるクリテック株式会社の大型造成工事において、当初予想を遥かに上回る資材価格の高騰、人手不足の環境下での自然災害発生(台風被害)と新型コロナウイルス感染症の蔓延による工期遅延、さらに近隣住民の安全安心を優先した結果、基礎工事・RC袖壁工事における想定以上の安全対策等で費用の大幅な増加となり多額の工事損失となりました。

この結果、売上総利益は、5,879百万円前年同期比9.1%減)、売上総利益率は16.3%(前年同期比2.1%減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、5,465百万円(前年同期比5.5%減)となりました。

この要因は、当社における株式会社ハネイシに対して発生していた荷造梱包費や運賃等が、株式会社ハネイシを連結子会社化したことでグループ間取引消去の対象となり減少したこと等によるものです。

 

    (営業利益、経常利益)

当連結会計年度の営業利益は、413百万円(前年同期比39.2%減)となり、経常利益は、営業利益の減少により、410百万円(前年同期比39.3%減)となりました。

 

 

    (親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、143百万円(前年同期比65.9%減)となりました。経常利益に特別損益を加えた結果、税金等調整前当期純利益が346百万円(前年同期比50.0%減)となり、税効果会計適用後の法人税等を203百万円計上したことによるものです

 

   c.キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、③キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
 
 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。

 

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

 自己資本比率(%)

27.8

27.5

28.0

28.2

28.9

 時価ベースの自己資本比率
 (%)

14.9

16.6

15.4

14.0

21.1

 キャッシュ・フロー
 対有利子負債比率(倍)

3.7

5.8

10.1

2.1

342.4

 インタレスト・
 カバレッジ・レシオ(倍)

13.0

9.9

6.4

27.8

0.2

 

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
    時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
    キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
    インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。

 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての借入金を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

   d.資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

当社グループの資金需要の主なものは、商品の購入、製品製造のための材料・部品の購入、全国に拠点展開する事業所の家賃や人件費をはじめとする一般管理費、新規出店や拡張移転等による設備投資等があります。

 

(財務政策)

当社グループの事業活動の維持に必要な資金を安定的に確保するため、金融機関等からの借入により資金調達を行っております。
 新規出店や拡張移転による設備投資は固定費の増加につながることから、売上拡大とのバランスを勘案しながら計画的な実施を行っております。グループ全体の借入金の削減を図りながら、必要な運転資金及び設備投資資金を調達することを考えております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。