(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、景気の緩やかな拡大が継続し、個人消費も堅調に推移いたしました。当社グループの国内百貨店においても、堅調な個人消費に加え、好調なインバウンド需要などにより、増収となりました。一方、欧米での金融政策正常化の影響や、アジアにおける地政学リスク、さらには不安定な株式市場など、今後の先行きについては予断を許さない状況にあります。
このような環境の下、当社はグループ総合戦略である「まちづくり戦略」を推進し、営業力の強化に努めてまいりました。当社が街全体に人を集めるアンカーとしての役割を果たすとともに、商業デベロッパー機能を持つ東神開発株式会社のプロデュース力を活用し、百貨店と専門店を一つの館(やかた)の中で融合し、それぞれの強みを生かした売場づくりを行うなど、髙島屋グループが一体となって街・館の魅力を最大限に高める取組を進めてまいりました。また、デジタル技術を活用し、グループ経営のあり方を抜本的に見直すことで効率を高める「グループ変革プロジェクト」に着手いたしました。
当期の連結業績につきましては、連結営業収益は、949,572百万円(前年比2.8%増)、連結営業利益は、35,318百万円(前年比3.9%増)、連結経常利益は、38,606百万円(前年比3.7%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、23,658百万円(前年比13.4%増)となりました。
また、当期の単体業績につきましては、売上高は、711,341百万円(前年比2.9%増)、営業利益は、12,920百万円(前年比25.5%増)、経常利益は、15,235百万円(前年比17.9%増)となり、当期純利益は、8,642百万円(前年比29.6%増)となりました。
事業のセグメント別業績は、次のとおりであります。
<百貨店業>
百貨店業での営業収益は、826,561百万円(前年比3.7%増)、営業利益は、13,509百万円(前年比10.9%増)となりました。
百貨店業におきましては、底堅い個人消費やインバウンド需要の伸長もあり、高額品や雑貨等が好調に推移したことに加え、衣料品も回復傾向にあり、増収となりました。
店舗施策につきましては、高崎店が、昨年9月に、高崎駅前再開発に合わせた全館改装を実施し、売上高の増大に貢献いたしました。また、泉北店・立川店・米子店においても、専門店との協業や行政との連携を深め、より多くのお客様にご来店いただける体制を構築いたしました。これら収益力強化に努めた結果、全店黒字化となりました。
商品施策につきましては、百貨店ならではの編集力を生かし、見やすく買いやすい売場の原点に立ち返った編集売場の開発に努めました。心とカラダ両面の充実を目指すライフスタイルをコンセプトとしたフロア「ウェルビーフィールド」の新宿店への導入を始め、子育てライフスタイル提案売場「ハローベビーサロン」「ディアキッズスクエア」、働く世代を応援する「スーツクローゼット」、「タカシマヤスタイルオーダーサロン」、さらにロボットと人が共生する新たな暮らしを提案するロボット専門売場「ロボティクススタジオ」を開発いたしました。
お買物だけでなく、館の中で心豊かな時間をお過ごしいただけるよう、「写真家 沢田教一展 -その視線の先に」「池田学展 The Pen -凝縮の宇宙-」や「美しき氷上の妖精 浅田真央展」等の文化催事も、大型店を中心に開催いたしました。
お客様との接点拡大及びお客様の利便性を高める取組も、他企業とのアライアンスを積極的に進めることで実現してまいりました。株式会社NTTドコモや株式会社ロイヤリティ マーケティングの会員様を含めた共同マーケティングに加え、ソニー銀行株式会社との提携により、百貨店初のデビットカード「タカシマヤプラチナデビットカード」を発行いたしました。
増大するインバウンド需要につきましては、需要が増加する年末年始から旧正月の春節を前にして、主要店舗における中国発のモバイル決済(アリペイ、ウィーチャットペイメント)対象売場の拡充や、Wi-Fi環境の改善など、快適なお買物環境の実現に努めました。また、誘客に向けた販促活動を積極的に展開した結果、売上高及び件数とも前年から大きく伸長いたしました。新宿店においては、昨年4月に開業した「髙島屋免税店 SHILLA&ANA」や、各専門店、レストラン街と連動し、新宿「タカシマヤ タイムズスクエア」一体となった情報発信や販売促進策を強化して、訪日外国人のお客様の取り込みに努めました。
法人事業部におきましては、好調な事業環境を背景にした積極的な営業活動が奏功し、大幅な増収となりました。
海外におきましては、「シンガポール髙島屋」が、自社カード会員及び海外ツーリスト対策の強化や、デジタルメディアを中心とした広告戦略を推進するとともに、販売管理費の削減に努め、増収増益となりました。また、「上海高島屋」は、好調な個人消費を背景に、売上を伸ばしました。日本文化の紹介や、日本商品を販売する特設売場「日本館」、日本の上質商品を直輸入する新規売場の展開による店舗特徴化及びカード顧客政策の強化による会員数の増大が奏功いたしました。「ホーチミン髙島屋」は、現地のお客様から高いご支持を頂き、入店客数が大幅に増大するとともに、自社カード会員を順調に獲得いたしました。また、お客様ニーズを踏まえた品揃えの改善や、専門店と共同で開催した販売促進プロモーション等が奏功し、業績は順調に推移いたしました。
<不動産業>
不動産業での営業収益は、47,476百万円(前年比0.9%減)、営業利益は、11,393百万円(前年比3.3%増)となりました。
不動産業におきましては、東神開発株式会社が、横浜北幸ビルのマンション分譲による利益確保に努めると共に、百貨店と一体となった「まちづくり戦略」の具現化に向けた取組を強化してまいりました。国内では、日本橋の再開発において、2018年9月の新館開業及び2019年春の全館グランドオープンに向け、サービスの共通化やリーシング、施設計画などの諸施策を進めてまいりました。立川店が入居する立川TMビルにおいては、集客の核として「ニトリ」を新たに導入いたしました。また、百貨店と専門店とでお客様の声を共有し、館全体でのサービス向上に努めました。「流山おおたかの森S・C」においては、開業10周年を迎えるに当たり、「子育て世代が住みたい街」という街の特性に合わせ、子ども関連商品や託児室等を集積したキッズゾーンを新設した結果、売上高・入店客数とも前年から増加いたしました。「柏髙島屋ステーションモール」では、開業25周年という節目を迎え、駅上立地のポテンシャルを生かした利便性向上やデイリー性の強化に着手いたしました。
海外では、「ホーチミン髙島屋」をアンカーテナントとする商業施設「サイゴンセンター」が開業2年目に入り、髙島屋グループの高い商品力やホスピタリティーによって、順調に売上を伸ばしました。また、昨年3月には、同エリアの「A&Bタワー」の所有権を一部取得し、更なる「まちづくり戦略」に取り組んでまいりました。
<金融業>
金融業での営業収益は、14,187百万円(前年比5.8%増)、営業利益は、4,563百万円(前年比1.5%増)となりました。
金融業におきましては、髙島屋クレジット株式会社が、タカシマヤカード≪ゴールド≫発行10周年企画として新規会員獲得・カード利用促進策を実施するなど、会員数並びにカード取扱高の増加による手数料収入等の増大に努めたことから、増収増益となりました。
<建装業>
建装業での営業収益は、25,916百万円(前年比16.1%減)、営業利益は、1,207百万円(前年比48.4%減)となりました。
建装業におきましては、髙島屋スペースクリエイツ株式会社が、大型宿泊施設工事や住宅リフォーム関連事業が堅調に進捗したものの、前年の大型案件計上の反動により、減収減益となりました。
<その他の事業>
その他の事業全体での営業収益は、35,430百万円(前年比3.8%増)、営業利益は、3,331百万円(前年比42.7%増)となりました。
その他の事業におきましては、クロスメディア事業が、カタログ政策の変更により収支が大きく改善し、黒字転換いたしました。
(2)キャッシュ・フローの状況
営業活動キャッシュ・フローは、36,870百万円の収入となり、前年同期が42,266百万円の収入であったことに比べ5,395百万円の収入の減少となりました。
投資活動キャッシュ・フローは、62,286百万円の支出となり、前年同期が9,124百万円の支出であったことに比べ53,161百万円の支出の増加となりました。主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出が47,645百万円増加したことをはじめ、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入が1,970百万円減少したこと、関係会社株式の売却による収入が1,609百万円減少したこと、及び関係会社の整理による収入が1,444百万円減少したことなどによるものです。
財務活動キャッシュ・フローは、14,185百万円の収入となり、前年同期が4,228百万円の支出であったことに比べ18,414百万円の収入の増加(支出の減少)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出が12,725百万円減少したことをはじめ、長期借入れによる収入が5,819百万円増加したことなどによるものです。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ8,644百万円減少し、95,120百万円となりました。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年比(%) |
|
建装業 |
24,384 |
80.3 |
|
その他 |
381 |
86.3 |
|
合計 |
24,766 |
80.4 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去をしております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年比(%) |
受注残高(百万円) |
前年比(%) |
|
建装業 |
27,670 |
106.8 |
10,371 |
146.4 |
|
その他 |
414 |
95.8 |
32 |
- |
|
合計 |
28,084 |
106.6 |
10,404 |
146.8 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去をしております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年比(%) |
|
百貨店業 |
826,561 |
103.7 |
|
不動産業 |
47,476 |
99.1 |
|
金融業 |
14,187 |
105.8 |
|
建装業 |
25,916 |
83.9 |
|
その他 |
35,430 |
103.8 |
|
合計 |
949,572 |
102.8 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去をしております。
2 販売高には、「その他の営業収入」を含めて表示しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
○グループ経営理念「いつも、人から。」
当社グループは、「いつも、人から。」を経営理念として掲げております。この経営理念には、従業員一人ひとりが「人」としての思いやりや誠実さをもち、自主性・創造性を発揮して行動すること、そしてグループを取り巻くすべての「人」(ステークホルダー)との信頼を深め、ともにこころ豊かな暮らしを築いていきたいという強い思いが込められています。
お客様の豊かな暮らしの実現に奉仕すること、革新的な経営を推進すること、公正で透明な企業活動や社会貢献により社会的責任を果たしていくことなど、企業が成長・発展していくための原動力はすべて「人」に集約されます。企業に対し、より強い倫理観が求められる社会潮流の中で、当社グループはこれからも経営の原点を「人」におき、すべてのステークホルダーの皆様の期待に応えるための取り組みを進めてまいります。
○企業メッセージ「‘変わらない’のに、あたらしい」
心のこもったおもてなしなど「変えてはならないもの」と、お客様にもっと喜んでいただくため「変えるべきもの」を明確にし、全員が一丸となって、お客様を起点に進化し続ける企業グループを目指します。
(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、毎年5年後をターゲットとした「髙島屋グループ長期プラン」を策定しております。2022年度の連結経営目標は、以下の通りです。
○営業収益 10,330億円
○営業利益 500億円
○ROE 7.0%以上(当期純利益/自己資本)
○ROA 4.5% (経常利益/総資産)
○総投資額 2,800億円(うち成長・戦略投資1,525億円※)
※安全・安心に関わる施設投資等を除く
○自己資本比率 47.5%
(3)経営戦略等
2022年度の営業収益を1兆330億円、営業利益500億円をめざし、業界トップ水準の収益性、効率性、さらに安全性を実現してまいります。
営業収益は国内市場の縮小や消費増税の影響を織り込みつつ、国内の不動産・金融業および海外事業を中心に成長させてまいります。
営業利益は、同一労働同一賃金など人事関連法規改正や定年延長対応にともなう経費増加を見込む一方で、グループ変革プロジェクトを軸とした国内百貨店の営業改革・事業構造改革や国内グループ事業、海外事業の成長により、500億円を目指します。
ROEとROAについては、利益成長と投資のバランスをとりながら、持続的な向上を図ります。
成長・戦略投資については、資産売却等によるキャッシュも含め、営業キャッシュフローの範囲で戦略的に投資してまいります。
そのうえで有利子負債も削減させ、2022年度目標値を1,700億円としております。
事業別の基本戦略と主な取り組みは、以下の通りです。
<基本戦略>
○国内百貨店
国内百貨店では、日本橋をはじめ、まちづくり戦略を推進するとともに、グループ変革プロジェクトの取り組みにより、2022年度営業利益170億円の達成をめざしてまいります。
○国内グループ
国内グループでは、東神開発株式会社を中心とする不動産業や髙島屋クレジット株式会社をはじめとする金融業を強化するとともに、髙島屋スペースクリエイツ株式会社や株式会社アール・ティー・コーポレーション、A&S髙島屋デューティーフリー株式会社といったその他事業の成長により、営業利益250億円の達成をめざしてまいります。
○海外事業
海外事業では、アジア戦略の中心であるシンガポール事業の更なる成長に加えて、ベトナム事業や「上海高島屋」の早期黒字化の実現、タイ・バンコクの「サイアム髙島屋」の開業と早期収益化により、2022年度営業利益80億円をめざしてまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
国内景気は、グローバル経済の成長や円安による好調な企業業績などを背景に緩やかに拡大しており、雇用環境や所得も改善し、個人消費も持ち直しております。しかし中長期的には、少子化による人口減少と超高齢化社会への進展を背景とした構造的な問題を抱える中、百貨店業界の事業環境は予断を許さない状況にあります。当社グループにおきましては、「まちづくり戦略の進化を支える、グループ経営基盤の構築」を本年度の経営目標に掲げ、グループの力を結集した「まちづくり戦略」を具現化するとともに、将来を見据えた投資による基盤づくりを行ってまいります。「グループ変革プロジェクト」を推進し、商品情報や顧客情報など、これまで事業ごとに別々に管理されてきた非効率なシステムを効率化し、業務の進め方を変革してまいります。これらの課題を改善することにより新たに創出された原資を、グループの成長戦略に生かしてまいります。2018年度につきましては、「グループ変革プロジェクト」に加え、「日本橋髙島屋S.C.」及びタイ・バンコクの「サイアム髙島屋」開業に関連する経費など、将来の成長に向けたコストが一時的に増大し減益となりますが、2019年度以降は回復軌道に乗せ、成長を加速させてまいります。
百貨店業におきましては、これからも、東神開発株式会社と連携して「まちづくり戦略」を推進してまいります。特に本年は、日本橋店が専門店と融合した「日本橋髙島屋S.C.」に生まれ変わります。3月開業の東館に続き、9月に新館がオープンし、百貨店部分である本館のリニューアルも進め、2019年春のグランドオープンを目指してまいります。「美しい暮らしスタイル」の発信を全体コンセプトとして、時計専門館「ウオッチメゾン」と合わせて4館体制の新・都市型ショッピングセンターとすることで、日本橋エリアの賑わいを高めてまいります。
店づくりにおきましては、「グループ変革プロジェクト」で検討している取組を順次反映し、品揃えやサービスに生かしてまいります。基本となるお客様ニーズの把握に向けては、ご来店いただいているお客様はもとより、まだご来店いただけていないお客様のニーズ分析も行ってまいります。百貨店がなすべき品揃えを追求し、引き続き編集売場開発に取り組み、「スーツクローゼット」などの開発売場を複数店舗にて展開するとともに、本年は、ライフスタイル提案型のリビング売場や体験型のビューティーゾーンを開発いたします。
また、他業種とのアライアンスによる新規顧客獲得に向けた様々なマーケティング施策に加え、コミュニケーションツールとなるスマートフォン等のアプリの進化や、店頭とEコマースのシームレス化により、お客様との接点拡大や利便性向上に努めてまいります。
インバウンド需要の取り込みにつきましては、来街者の増加が期待される大阪・京都・新宿などの主要各店を中心に、地域の独自性に根ざしたマーケットの更なる拡大を図ってまいります。特に、インバウンド需要が伸長するエリアにある新宿店については、「髙島屋免税店 SHILLA&ANA」と共に、「タカシマヤ タイムズスクエア」が一体となった販売促進策を進め、訪日外国人の方々にも「ワンストップショッピング」の楽しさを提供してまいります。
海外では、事業の拠点となる「シンガポール髙島屋」が開店25周年を迎えるとともに、秋には、タイ・バンコクにおいて、「サイアム髙島屋」の開業を予定しております。当社グループが有するASEAN諸国における知名度、実績、ノウハウを最大限活用し、ASEAN地域における成長の基盤としてまいります。
不動産業におきましては、東神開発株式会社が、前年の不動産分譲による収益増の反動及び将来の持続的な成長に向けた国内外の投資計画により一旦減益を見込みますが、2019年度及び中長期的に再び成長に転じる計画としております。「日本橋髙島屋S.C.」の開発においては、日本橋界隈の賑わいの再生というエリアマネジメント発想の下、百貨店と専門店の融合という、髙島屋グループならではのアドバンテージを生かした商業施設の開業に向けて取り組んでまいります。千葉県流山地区においては、10月に、TX流山おおたかの森駅の高架下を活用した商業施設を開業するとともに、今後とも駅周辺案件の事業化に取り組み、既存SCとのシナジーを高めてまいります。海外では、ベトナム・ホーチミン市において、シンガポール事業で蓄積した経営資源を活用し、海外事業の基盤拡大を目指してまいります。「サイゴンセンター」における事業の安定的拡大を図り、当社グループの知名度と存在感を高め、周辺開発を進めてまいります。
金融業におきましては、髙島屋クレジット株式会社が、新規会員獲得とカード利用促進による収入増大を図ってまいります。あわせて、クレジットカード取引におけるセキュリティ対策強化として、クレジットカード情報の保護を目的としたデータセキュリティ基準PCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)に準拠することにより、お客様に安心・安全にご利用いただける環境整備を進めてまいります。
建装業におきましては、髙島屋スペースクリエイツ株式会社が、インバウンド需要や東京オリンピック・パラリンピック開催に備え活発化している、ホテルを始めとした大型建設プロジェクトにおいて、工事受注促進に努めてまいります。また、「日本橋髙島屋S.C.」の開業に伴うショップ等の内装受注拡大、加えて企画、デザインなどソフト機能の一層の充実と活用にも取り組み、特徴化による競争力の強化を図ってまいります。
CSR経営につきましては、従業員全員が、経営理念「いつも、人から。」の下、先人から受け継ぐ「お客様を大切にすること」や「進取の精神」を、今一度確認し行動することが不可欠と認識しております。本年度は、「コンプライアンス再徹底と『働き方改革』の推進」を重点テーマとし、企業倫理に基づいた行動を徹底してまいります。「お客様」があらゆる事業の原点であり、「消費者保護」に向け、「お客様の安心・安全」の確保を最優先とする取組を進めてまいります。また、CO2削減や食品ロスの問題など、環境問題への取組を強化してまいります。
「働き方改革」につきましては、昨年、内閣府による「女性が輝く先進企業表彰2017」において、「内閣総理大臣表彰」を受賞いたしました。総労働人口が減少する中、多様な人材の確保・育成に向け、ダイバーシティ推進室を中心に、「グループ変革プロジェクト」とも連動して、女性の活躍促進を始め、育児・介護離職の防止、健康経営の実現など、全ての人が意欲的に働ける環境整備に努めてまいります。
コーポレートガバナンスにつきましては、「コーポレートガバナンス・コード」への対応を更に強化し、取締役会での議論の活性化を図り、その実効性を高めるなど、継続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
なお、昨年7月、当社及び当社の子会社である株式会社髙島屋ファシリティーズ(旧株式会社髙島屋サービス)は、配送料金に関し独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会の立入検査を受けました。当社といたしましては、このような事態を厳粛かつ真摯に受け止め、公正取引委員会による調査に全面的に協力するとともに、コンプライアンス体制の強化・徹底に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は、当社グループの事業等のリスクをすべて網羅することを意図したものではないことにご留意ください。
(1)景気・季節要因
当社グループの中核である百貨店業は、国内外の景気動向や消費動向、また冷夏・暖冬などの天候不順により大きな影響を受けます。従って、これらの要因が当社グループの業績や財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)競合環境
当社グループ百貨店業においては、都心大型5店舗を売上・収益の柱としておりますが、いずれの店舗も同業他社の大型店と隣接し、それらの店舗の改装・増床が続くとともに、新たな都市型商業施設のオープンが相次ぐなど、競合環境が激化しております。さらに、地方郊外店商圏もロードサイドへの大型ショッピングセンター出店等により、店舗間・業態間競合が熾烈化する状況にあります。これら同業他社や新業態による改装・増床・新規出店など競争環境の変化が、当社グループの業績や財政状況に少なからず影響を及ぼす可能性があります。
(3)自然災害・事故
当社グループ百貨店業は店舗による事業展開を行っており、また不動産業においては専門店ビルにおける不動産賃貸収入を主要収益としております。このため、地震・洪水・台風等の自然災害や火災等事故により、当社グループの業績にマイナスの影響が及ぶ可能性があります。特に火災については、消防法に基づいた火災発生の防止や避難訓練を徹底して行っておりますが、店舗において火災が発生した場合、消防法による規制や被害者に対する損害賠償責任、従業員の罹災による人的資源の損失、建物等固定資産や棚卸資産への被害等、当社グループの業績や財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)商品取引
当社グループの中核である百貨店業は、信用を礎として消費者と商品取引を行っております。提供する商品については、適正な商品であることや安全性等に十分留意しておりますが、万一欠陥商品や健康被害を引き起こす商品等、瑕疵のある商品を販売した場合、公的規制を受ける可能性があるとともに、製造物責任や損害賠償責任等による費用が発生する場合があります。また、当社グループに対する信用失墜や、提供する商品に対する不安感が高まることにより売上高が減少し、当社グループの業績や財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)法的・公的規制
当社グループは、大規模小売店舗立地法や独占禁止法の他、食品の安全管理、消費者保護、租税、環境・リサイクル関連などに関する法令等に十分留意した営業活動を行っておりますが、万一これらに抵触する事態が生じた場合には、当社グループの企業活動が制限される可能性や、法令上の規制に対応するため経営コストが増加する可能性があります。また、消費税率の引き上げ等税制改正に伴い、個人消費が悪化し、売上高の減少を招く可能性があります。従って、これらの法令等の規制は当社グループの業績や財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)顧客情報の管理
当社グループでは、ハウスカード顧客を始め顧客の個人情報を保有しております。顧客情報の管理については、社内管理体制を整備し厳重に行っておりますが、不測の事故または事件によって顧客情報が外部に流出した場合、お客様個人に支払う損害賠償による費用の発生や、当社グループの社会的信用の失墜による売上高減少が考えられ、当社グループの業績や財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)システムリスク
当社グループ百貨店業を中心とした各種コンピューターシステムは、外部委託先のセキュリティセンターで集中管理しております。当該センターでは耐震設計(震度7程度まで)、電源・通信回線の二重化、自家発電装置、サイバー攻撃等による不正侵入防止などの安全対策を講じております。しかしながら、想定を超える自然災害、サイバー攻撃、システム障害等により通信回線切断やシステム停止が発生した場合には、当社グループの事業活動に大きな支障をきたし、当社グループの業績や財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)海外での事業活動
当社グループでは、主に百貨店業を中心に、海外での事業活動を行っております。この事業活動において、通貨価値の変動のほか、予期しえない景気変動、法規制・租税制度の変更、テロ・戦争・内乱その他の要因による政治的・社会的混乱等が当社グループの業績や財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
特記事項はありません。
特記事項はありません。
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
(1)経営成績の分析
① 概要
当連結会計年度における我が国経済は、景気の緩やかな拡大が継続し、個人消費も堅調に推移いたしました。当社グループの国内百貨店においても、堅調な個人消費に加え、好調なインバウンド需要などにより、増収となりました。一方、欧米での金融政策正常化の影響や、アジアにおける地政学リスク、さらには不安定な株式市場など、今後の先行きについては予断を許さない状況にあります。
このような環境の下、当社はグループ総合戦略である「まちづくり戦略」を推進し、営業力の強化に努めてまいりました。当社が街全体に人を集めるアンカーとしての役割を果たすとともに、商業デベロッパー機能を持つ東神開発株式会社のプロデュース力を活用し、百貨店と専門店を一つの館(やかた)の中で融合し、それぞれの強みを生かした売場づくりを行うなど、髙島屋グループが一体となって街・館の魅力を最大限に高める取組を進めてまいりました。また、デジタル技術を活用し、グループ経営のあり方を抜本的に見直すことで効率を高める「グループ変革プロジェクト」に着手いたしました。
② 連結営業収益(売上高及びその他の営業収入)
連結営業収益につきましては、前連結会計年度より25,971百万円の増収となりました。主な要因としましては、好調なインバウンド売上と堅調な国内消費に支えられた国内百貨店の増収に加え、タカシマヤ ベトナム LTD.の増収や当連結会計年度より連結子会社としたA&S髙島屋デューティーフリー㈱の営業収益によるものであります。
③ 連結営業利益
連結営業利益につきましては、前連結会計年度より1,318百万円の増益となりました。主な要因としましては、国内百貨店の増収によるものであります。
④ 連結経常利益
連結経常利益につきましては、前連結会計年度より1,391百万円の増益となりました。主な要因としましては、連結営業利益の増益等によるものであります。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度より2,788百万円の増益となりました。主な要因としましては、連結経常利益の増益に加え、減損損失の減少等によるものであります。
以上の結果、ROEは5.6%(前年比0.5ポイント増)となり、1株当たり当期純利益は67円69銭(前年比7円98銭増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ8,644百万円減少し、95,120百万円となりました。これは、営業活動によるキャッシュ・フロー(36,870百万円の収入)によって、投資活動によるキャッシュ・フロー(62,286百万円の支出)に充当し、財務活動によるキャッシュ・フロー(14,185百万円の収入)により調達したことによるものであります。
今後は、国内店舗への設備投資やアジア戦略などの事業資金を安定的に調達するとともに、十分な手元流動性を確保していく予定です。
(3)財政状態に関する分析
当連結会計年度末の総資産は、1,035,807百万円と前連結会計年度末に比べ49,343百万円増加しました。これは土地が増加し、借地権が減少したことが主な要因です。負債については、586,281百万円と前連結会計年度末に比べ21,706百万円の増加となりました。これは、借入金等が増加したことが主な要因です。純資産については、449,526百万円と利益剰余金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ27,636百万円増加しました。
以上の結果、自己資本比率は42.4%(前年比0.6ポイント増)となり、1株当たり純資産額は1,256円66銭(前年比 77円14銭増)となりました。