第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

○グループ経営理念「いつも、人から。」

当社グループは、「いつも、人から。」を経営理念として掲げております。この経営理念には、従業員一人ひとりが「人」としての思いやりや誠実さをもち、自主性・創造性を発揮して行動すること、そしてグループを取り巻くすべての「人」(ステークホルダー)との信頼を深め、ともにこころ豊かな暮らしを築いていきたいという強い思いが込められています。

お客様の豊かな暮らしの実現に奉仕すること、革新的な経営を推進すること、公正で透明な企業活動や社会貢献により社会的責任を果たしていくことなど、企業が成長・発展していくための原動力はすべて「人」に集約されます。企業に対し、より強い倫理観が求められる社会潮流の中で、当社グループはこれからも経営の原点を「人」におき、すべてのステークホルダーの皆様の期待に応えるための取り組みを進めてまいります。

 

○企業メッセージ「`変わらない´のに、あたらしい」

心のこもったおもてなしなど「変えてはならないもの」と、お客様にもっと喜んでいただくため「変えるべきもの」を明確にし、全員が一丸となって、お客様を起点に進化し続ける企業グループを目指します。

 

(2)百貨店収益力強化に向けたコスト構造改革

当社グループでは、毎期5年後をターゲットとした「髙島屋グループ長期プラン」を策定しております。しかし、国内百貨店の市場縮小や販売管理費の高止まりなど、外部環境の変化や構造的要因に起因する課題があります。そのような環境下でも、当社が持続的成長を実現していくためには、企業ブランド価値の源泉である国内百貨店の収益力強化に向けたコスト構造改革に、短期的かつ集中的に取り組んでいく必要があります。

そこで、これまでの5カ年の長期プランについては一旦中止し、新たに3カ年の緊急的経営計画を策定してまいります。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向け、政府より発出された緊急事態宣言を受け、国内のグループ商業施設では臨時休業や営業時間短縮を実施しており、海外の百貨店子会社の一部においても臨時休業を続けております。こうした営業状況を踏まえ、現時点では業績に与える不確定要素が多く、新しい経営計画につきましては、未定でございます。

 

(3)経営戦略等

当社グループは、グループ総合戦略である「まちづくり」の深耕・拡大に加え、コスト構造改革の断行により百貨店業、商業開発業、金融業、建装業、EC(電子商取引)等その他の事業のグループ総合力を結集させ、安定的成長を実現してまいります。

 

「まちづくり」の深耕・拡大には二つの考え方があります。

一つは、地域と共生し、街のアンカー機能としての吸引力をさらに高めることです。もう一つは、お客様の多様なニーズに応えるべくグループの総合力を結集させ、館の魅力を最大化することです。

成長領域への事業拡大として、海外でのアジア市場への経営資源の投資、金融業の領域拡大、ECの拡大によるネットとリアル店舗のシナジー効果発揮等を推進してまいります。また、集客の要であるフードビジネスの再構築や、高い利益率のファッション・アパレル事業の再生にも取り組んでまいります。

さらには、持続可能な社会の実現に向け、SDGsを経営戦略に組み入れ、事業活動を通じてESG(環境・社会貢献・企業統治)での成果も実現できる企業として変革し続けてまいります。

一方、コスト構造改革の断行については、すべての販売管理費をゼロベースで見直し、一層の業務効率化と生産性向上に取り組みます。

 

○百貨店業

国内・海外百貨店とも、新型コロナウイルス感染症の影響が非常に大きく、業績への影響は見通せない状況にありますが、当社ができることを着実に取り組んでまいります。

国内店舗は、まちづくり戦略を軸とした営業力強化と、すべての販売管理費をゼロベースで見直し、業務の効率化と生産性向上を図るコスト構造改革の両輪で施策を推進してまいります。

海外店舗は、アジア市場における成長基盤を築いてまいります。サイアム髙島屋はお客様ニーズに即した品揃えの継続的な見直しなどによる早期黒字化の実現、上海高島屋は引き続きローコスト経営を推進し、営業利益黒字化の維持に努めてまいります。

 

○商業開発業

商業開発業では、東神開発株式会社がまちづくり戦略をもとに、国内・海外における百貨店業とのシナジー効果を発揮する商業施設づくりへの取り組みを一層推進してまいります。

とりわけ、海外では、市場拡大が見込めるベトナム事業へ経営資源を投下してまいります。

 

○金融業

髙島屋クレジット株式会社と髙島屋保険株式会社を合併し、新たに髙島屋ファイナンシャル・パートナーズ株式会社としてスタートさせ、金融業の強化を図ってまいります。

ファイナンシャルカウンターを起点とした営業活動の開始に加え、信託・投資信託サービスメニューなどの具現化に努めてまいります。

 

○建装業

建装業では、髙島屋スペースクリエイツ株式会社が施工受注件数の増加による収益力向上に向け、企画・デザイン力を高め、提案型営業のさらなる推進を図ってまいります。

 

○その他の事業

通信販売業のなかでも成長領域としてのECは、ライフステージ型ギフトや自家需要商材を中心に品揃えを強化するとともに、集荷・出荷業務をシステムの最大活用により、さらに効率化を図ってまいります。通販カタログにおいては、新規顧客の獲得に向け、百貨店店頭顧客の取り込みに努めてまいります。また、品揃えのさらなる魅力化に向け、低価格帯ファッションやこれまで取り扱いしていない商品提案に努めてまいります。

広告宣伝業では媒体・デザインの発信機能をもつ株式会社エー・ティ・エーが、これまで以上にクリエーティブ力を発揮し、デザインの企画・構想力の向上により企業価値を高めてまいります。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

米中貿易摩擦や世界各地で頻発する異常気象など国際情勢が不透明さを増す中、新型コロナウイルスの感染拡大による影響は観光産業にとどまらず、サプライチェーンの分断によって製造業にも波及し、世界経済全体にマイナス影響が拡大しています。

国内においては、超高齢化社会を迎え少子化による人口減少が加速し、消費増税後の消費減退も続く中、終息の目途が立たない新型コロナウイルスの影響による社会不安の拡大もあり、国内景気は減速・悪化傾向が強まっています。一方で、今回の危機がきっかけとなり、デジタルトランスフォーメーションによる人々の生活やビジネスの在り方、働き方の変革が生まれるほか、ECの一層の成長が想定されます。

また、循環型や脱炭素といった環境負荷削減を実現する経済活動がグローバルかつ急速に広がるなど、企業には持続可能な社会の実現に向けた取り組みの必要性が高まっております。

こうした中、当社グループは、「グループ総合戦略『まちづくり』の深耕・拡大と『百貨店収益力強化に向けたコスト構造改革』の断行」を本年度の経営課題に掲げ、各事業の成長を目指してまいります。

とりわけ、消費者のニーズが多様化する中、業態を越えた競合が激化し、国内の人手不足などからくるコスト上昇もあり、低下している百貨店業の収益力を改善させるべく、将来の成長の礎となる構造改革の具体的施策をスタートさせます。

 

百貨店業におきましては、新型コロナウイルスの感染者数増加に伴い、感染拡大防止に向けた政府の緊急事態宣言を受け、国内百貨店・SCにおける臨時休業、営業時間短縮を実施してまいりました。その影響により売上高・営業利益は前年から大幅に減少する見通しであり、まちづくり戦略を軸とした営業力強化と、収益力強化に向けたコスト構造改革の両輪で施策を実行してまいります。営業力強化に向けて、百貨店業だけではなく、東神開発株式会社、株式会社アール・ティー・コーポレーションをはじめとするグループ力を結集し、集客の要であるフードビジネスや高い利益率のファッション事業を再構築してまいります。

フードビジネスにおいては、フォション等のプライベートブランドや、味百選などの自主編集売場における新規ブランド・商材の発掘・開拓や、出来立てを提供するライブ感、エンターテインメント性の高い売り方変革に取り組み、百貨店・SCの集客力を高めてまいります。

また、ファッション・アパレル事業の再生においては、自ら仕入れ自ら販売する自主編集売場・特徴化ショップを当社の強みとして、ディレクション機能を強化し、高感度でお客様の期待を上回る品揃えを実現するなど、専門店との差異化・特徴化を進めます。また、大手お取引先と協同で、商品カテゴリーを越えた売場開発に取り組んでまいります。

さらに、商品利益率の低下に歯止めをかけるMDの再構築に取り組みます。店頭マネジメント体制を見直し、販売と仕入れ双方の権限を有するマネジャーを配置、地域のお客様ニーズを先取りした話題性の高い品揃えを具現化することに加え、お取引先とともに売場運営コストを効率化し、双方の利益に寄与する売場開発にも取り組んでまいります。

コスト構造改革に向けては、組織・運営体制の見直しによる業務効率化と生産性向上に取り組みます。全ての販売管理費をゼロベースで見直し、業務のスクラップや合理化、システム化によるコストダウンを図ってまいります。また、売場運営体制の見直しや、百貨店とグループ会社間の重複業務の解消により、少人数で高い生産性を生み出す体制を構築してまいります。

持続可能な社会の実現につきましては、環境負荷削減に向けた取り組みとして、レジ袋および紙製食料品用手提袋の素材切り替え・有料化を本年4月に実施するなど、品揃え、サービス、環境面におけるユニバーサル化も進めてまいります。

海外店舗につきましては、各国ともに新型コロナウイルスによる影響が非常に大きく、業績への影響が不透明な状況にありますが、当社グループができることを着実に取り組み、アジアにおける成長の基盤を築いてまいります。とりわけ、周辺地域のインフラ整備の遅れなどの課題を抱える「サイアム髙島屋」におきましては、お客様ニーズに即した品揃えの継続的な見直しに努め、「上海高島屋」は、営業体制の再構築によるローコスト経営を推進し、収益改善を進めます。

商業開発業では、東神開発株式会社が百貨店と連携し、「玉川髙島屋S・C」を「過ごし・集い・共感を育む、玉川流ライフスタイルセンター」としてリニューアルさせ、「流山おおたかの森S・C」では人々が豊かに過ごせる街のコミュニティー空間の提供に向け、周辺開発をさらに推進します。海外では、市場拡大が見込めるベトナムに経営資源を集中投下してまいります。ハノイ市の不動産開発事業「スターレイク・プロジェクト」に参画し、2021年前半にバイリンガルスクールを開校するとともに、2022年以降には商業を中心とする複合施設の事業を開始する予定です。

金融業では、当社グループにおけるプラットフォームの統一を図るべく、髙島屋クレジット株式会社(カード事業)と髙島屋保険株式会社(保険代理業)を合併し、本年3月新たに「髙島屋ファイナンシャル・パートナーズ株式会社」をスタートいたしました。クレジットカード事業を起点に、お客様に寄り添った資産形成や資産保全等のファイナンシャルサービスを展開し、事業の強化・拡大を図ってまいります。

建装業では、髙島屋スペースクリエイツ株式会社が、東京オリンピック・パラリンピックによる需要拡大後の反動減に対応すべく、企画、デザインなどのソフト機能を高め、提案型営業による競争力・収益力向上を図ってまいります。

まちづくり戦略の中でも第三のまちとして位置づけられるECは、ライフステージ型ギフトや自家需要商材を中心に、品揃えを強化するとともに、集荷・出荷業務をシステムの最大活用により、さらに効率化させてまいります。さらに、ECサイトの機能やサービスを向上させ、ネットとリアル店舗の一層のシナジー発揮を目指してまいります。

内部統制システムにつきましては、グループ全体のリスクマネジメント体制を強化し、豪雨や地震など、自然災害時の事業継続や災害対策プランの構築等に取り組んでまいります。また、コーポレートガバナンス・コードへの対応を含め、取締役会のさらなる機能強化に取り組み、継続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

昨年、当社はECサイト「髙島屋オンラインストア」における化粧品の原産国誤表記事案において、消費者庁から業務改善を含めた措置命令を受けました。当社は、このような事態を厳粛かつ真摯に受け止め、コンプライアンス体制のさらなる強化・徹底に努めてまいります。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は、当社グループの事業等のリスクをすべて網羅することを意図したものではないことにご留意ください。

 

(1)社会環境・構造変化

人口減少や超高齢化社会の進展に加え、百貨店を取り巻く環境変化は、当社グループに大きなマイナスインパクトを及ぼす可能性があります。訪日外国人における消費行動の量的・質的変化、消費増税後における消費意欲の減退、一方、価値観の多様化やデジタル化の急速な普及によるECの台頭により、小売業そのものの在り方が問われています。

そのような中、小売業界も業種・業態を越えた競合が激化し、顧客獲得は厳しさを増しています。また、人口減少はマーケットの縮小に直結するとともに、大都市圏への人口集中による地方経済の急速な縮小を招いています。これらの社会環境の変化への対応が遅延した場合、当社グループの業績や財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、生産年齢人口の大幅な減少等、人口構造の変化は労働力不足を招き、とりわけ労働集約型産業における人材確保は喫緊の課題です。働き方改革を推進し、多様な人材の活用ができなければ、当社グループの将来を支える人材が枯渇する可能性があります。

 

(2)気候変動・自然災害

地球温暖化等の気候変動により、過去経験したことのないような自然災害(地震・洪水・豪雨等)の発生頻度が著しく高まる中、資産価格や担保価値が低下し、事業停止や資産毀損が発生するリスク、およびサプライチェーンが停止するリスクがあります。さらに、これらリスク発生時における経営判断の遅延により、お客様や従業員の安全を損ねたり、信頼を失うリスクがあります。

SDGs達成への貢献を強く意識することが企業として求められる世の中となり、ESG(環境・社会貢献・企業統治)への取り組みや成果も評価される時代を迎えています。グループ全社でSDGsの考えを理解し、社会課題を強く意識した経営・営業活動により、持続的成長の実現を目指します。SDGsをはじめとするESG課題に対し主体的に取り組まない場合、企業価値や企業評価が低下し、業績や財政状況に悪影響を及ぼすだけでなく、当社グループの持続性・存続性に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)感染症・テロ等

国内外で発生する可能性のある感染症やテロ等は百貨店業にとって消費行動を控えたり、消費者心理を冷やす最も懸念すべきリスクであります。これらのリスクが発生した場合、インバウンド需要の縮小や、サプライチェーンの分断による商品調達の遅れ、在宅勤務やシフト勤務など従業員の勤務体制の制約などを招くことで、当社グループの事業活動に大きな支障を来たし、業績や財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、パンデミックに及んでいる新型コロナウイルス感染症等の拡大防止に向けた政府からの緊急事態宣言の発出等が、国内百貨店・SCにおいて長期にわたる臨時休業、営業時間短縮につながり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)情報セキュリティ

サイバーテロ、ウイルス感染、ハッキング等による、システム・電子データの改ざん・破壊により、システム障害や情報漏えい事故が発生するリスクがあります。情報漏えい事故により、顧客情報が外部に流出した場合、お客様個人に支払う損害賠償による費用の発生や、当社グループの社会的信用の失墜による売上高減少が考えられ、当社グループの業績や財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、セキュリティセンターでは耐震設計(震度7程度まで)、電源・通信回線の二重化、自家発電装置、不正侵入防止などの安全対策を構築していますが、想定を超える自然災害やシステム障害が発生した場合には、当社グループの事業活動に大きな支障を来たし、業績や財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)海外事業

通貨価値の変動のほか、予期しえない景気変動、進出企業から見て不利な、不安定な政治、法規制・租税制度の変更、テロ・戦争・内乱その他の要因による政治的・社会的混乱等が、海外事業展開に悪影響を及ぼすリスクがあります。

 

(6)グループ会社管理

百貨店業を中核とした事業持株会社として、商業開発業・金融業などの事業領域を強化・拡大する中、国内外のグループ会社の管理(企業統治)が不十分である場合、不正・不祥事等の発生や、予期せぬ損失が発生する可能性があります。また、海外子会社において不正・不祥事等が発生した場合、現地だけでなく国内の事業に対しても、信用失墜、業績悪化につながるリスクがあります。

 

(7)法令・規制違反

当社グループ、当社グループの従業員、及び業務委託先等が、国内外において遵守すべき法令(独占禁止法、下請法、景品表示法、食品表示法、個人情報保護法、金融商品取引法、割賦販売法、不正競争防止法等)違反を起こした場合、企業活動の制限や法令上の規制に対応するためのコストの増加、レピュテーションの毀損等が発生するリスクがあります。

 

(8)財務

金利動向や業績見通しの悪化等の要因により、当社グループが求める条件での資金調達ができない可能性があります。また、各事業の営業損益の悪化や土地・保有株式等の市場価格の著しい悪化等が起こった場合、減損損失が発生するリスクがあります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2)経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態                              (単位:百万円)

 

当連結会計年度

前連結会計年度

前年増減高

前年比

総資産

1,168,503

1,078,130

90,373

8.4%

負債

712,632

616,545

96,086

15.6%

純資産

455,871

461,585

△5,713

△1.2%

自己資本比率

37.2%

41.2%

△4.0%

 

b.経営成績                              (単位:百万円)

 

当連結会計年度

前連結会計年度

前年増減高

前年比

営業収益

919,094

912,848

6,245

0.7%

営業利益

25,582

26,661

△1,078

△4.0%

経常利益

23,200

31,234

△8,034

△25.7%

親会社株主に帰属する

当期純利益

16,028

16,443

△414

△2.5%

(事業のセグメント別業績)                       (単位:百万円)

 

当連結会計年度

前連結会計年度

前年増減高

前年比

連結営業収益

919,094

912,848

6,245

0.7%

百貨店業

784,775

792,045

△7,269

△0.9%

商業開発業

45,531

43,681

1,849

4.2%

金融業

17,457

15,894

1,562

9.8%

建装業

33,190

24,795

8,395

33.9%

その他

38,138

36,431

1,707

4.7%

連結営業利益

25,582

26,661

△1,078

△4.0%

百貨店業

6,938

8,691

△1,752

△20.2%

商業開発業

9,922

9,410

512

5.4%

金融業

4,878

5,446

△568

△10.4%

建装業

1,779

727

1,052

144.6%

その他

2,562

2,371

191

8.1%

注1 髙島屋保険株式会社は従来「その他」としておりましたが、金融業を強化するために同社を含めた新規事業開発を推進する方針としたことから、当連結会計年度よりセグメント区分を「金融業」に変更しております。なお、前連結会計年度の事業のセグメント別業績については、変更後の区分方法により作成したものを記載しております。

注2 当連結会計年度より、従来「不動産業」としていた報告セグメントの名称を「商業開発業」に変更しております。当該セグメント名称の変更によるセグメント情報に与える影響はありません。なお、前連結会計年度のセグメント情報についても、変更後の報告セグメントの名称で記載しております。

 

②キャッシュ・フロー                          (単位:百万円)

 

当連結会計年度

前連結会計年度

前年増減高

前年比

営業活動キャッシュ・フロー

40,608

67,913

△27,305

△40.2%

投資活動キャッシュ・フロー

△23,434

△85,815

62,381

財務活動キャッシュ・フロー

△23,483

17,226

△40,710

現金及び現金同等物

88,411

94,692

△6,281

△6.6%

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年比(%)

建装業

32,281

42.4

その他

278

△24.6

合計

32,560

41.4

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去をしております。

2 金額は、販売価格によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年比(%)

受注残高(百万円)

前年比(%)

建装業

36,536

41.4

17,796

31.4

その他

304

△9.8

25

合計

36,840

40.8

17,821

31.6

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去をしております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年比(%)

百貨店業

784,775

△0.9

商業開発業

45,531

4.2

金融業

17,457

9.8

建装業

33,190

33.9

その他

38,138

4.7

合計

919,094

0.7

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去をしております。

2 販売高には、「その他の営業収入」を含めて表示しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等の状況に関する認識

当連結会計年度における我が国経済は、米中貿易摩擦の長期化等による世界経済の減速を反映して力強さを欠きました。とりわけ、昨年10月の消費税率引き上げ以降、増税前の駆け込み需要の反動や記録的な暖冬等により個人消費の動きは弱く、加えて新型コロナウイルスによる影響の深刻化は訪日客の減少にとどまらず世界経済全体に大きな影響を与え、国内景気においてもマイナス成長に転ずる懸念が強まっております。

このような環境の下、当社は経営方針において「グループシナジーの最大化による成果発揮」を経営目標とし、まちづくり戦略の進化やお客様づくりの深耕・拡大などに取り組んでおります。まちづくり戦略においては、「街のアンカーとしての役割発揮」「館の魅力最大化」の2つの考え方をもち、「日本橋髙島屋S.C.」のグランドオープンや、「玉川髙島屋S・C」開店50周年に伴う改装、「髙島屋東別館」(大阪市)のリノベーションオープンなどを具現化いたしました。

また、デジタル技術の活用におきましては、お客様づくりの深耕・拡大に努めたほか、ワークスタイル改革や業務の効率化にも取り組んでまいりました。ECでは、店頭とECサイトの使い分けニーズを含め、楽しさと利便性の向上に努めております。

持続可能な社会の実現に向けた取組といたしましては、脱炭素社会の実現に向け事業活動で使用する電力を、再生可能エネルギーへの100%転換を目指す国際的イニシアチブ「RE100」、及び事業活動で使用する車両を100%電気自動車化する国際的イニシアチブ「EV100」に参加いたしました。

なお、当連結会計年度より、国際財務報告基準(IFRS)を適用する在外連結子会社について、IFRS第16号「リース」を適用しております。なお、本基準の適用による累積的影響を適用開始日に認識する方法を採用しているため、適用前の前連結会計年度実績値で前年比較を行っております。影響額につきましては、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表等」の「注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。

 

b.財政状態

当連結会計年度末の総資産は、1,168,503百万円と前連結会計年度末に比べ90,373百万円増加しました。これは当連結会計年度の期首より、国際財務報告基準(IFRS)を適用する在外連結子会社についてIFRS第16号「リース」を適用したことにより、有形固定資産の使用権資産が増加したことが主な要因です。負債については、712,632百万円と前連結会計年度末に比べ96,086百万円の増加となりました。これは、同基準を適用したことにより、固定負債のリース債務が増加したことが主な要因です。純資産については、455,871百万円と利益剰余金は増加したものの、自己株式の取得や退職給付に係る調整累計額の減少により、前連結会計年度末に比べ5,713百万円減少しました。

以上の結果、自己資本比率は37.2%(前年比4.0ポイント減)となり、1株当たり純資産額は2,607円17銭(前年比66円63銭増)となりました。

 

c.経営成績

当連結会計年度の連結業績につきましては、連結営業収益は919,094百万円(前年比0.7%増)連結営業利益は25,582百万円(前年比4.0%減)連結経常利益は23,200百万円(前年比25.7%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は16,028百万円(前年比2.5%減)となりました。

また、当事業年度の単体業績につきましては、売上高は707,618百万円(前年比1.1%減)営業利益は3,928百万円(前年比54.0%減)経常利益は8,534百万円(前年比59.5%減)となり、当期純利益は9,296百万円(前年比11.0%減)となりました。

 以上の結果、連結ROEは3.6%(前年比0.1ポイント減)となり、1株当たり当期純利益は93円29銭(前年比81銭減)となりました。

 

事業のセグメント別業績は、次のとおりであります。

 

<百貨店業>

百貨店業での営業収益は784,775百万円(前年比0.9%減)営業利益は、6,938百万円(前年比20.2%減)となりました。

国内百貨店におきましては、消費税率引き上げ前の昨年9月には想定を上回る駆け込み需要がありました。増税後の反動減は想定の範囲内であったものの、大型台風による店舗の臨時休業や2年連続の暖冬に加え、本年1月の新型コロナウイルス発生後、中国からの団体旅行客の急減に伴いインバウンド売上は急激な減少となりました。加えて、不要不急の外出や集会を避ける政府からの要請により、来店客数は減少し、以降、売上高は前年を大きく下回りました。

店舗施策につきましては、日本橋店の改装に合わせて約6,000㎡の屋上庭園や高いサービスクオリティーの新しい車寄せ、大阪に次ぐ新たな文化発信拠点「髙島屋史料館TOKYO」など、憩いのスペースや生活文化を提案する施設等を導入いたしました。

港南台店につきましては、本年8月に閉店することを決定いたしました。また、米子髙島屋につきましては、本年3月に地元企業に全保有株式を譲渡いたしましたが、商標等ライセンス契約を締結し、店舗運営のための事業支援をしてまいります。

商品施策につきましては、百貨店の強みである編集力を生かした売場開発に引き続き努めてまいりました。大阪店におきましては、昨年10月においしさ、食の安全・安心を追求して厳選した食品を取り揃える自主編集売場「髙島屋ファーム」を導入いたしました。横浜店におきましては、2021年春の食料品フロア増床グランドオープンに先駆け、昨年11月に北海道の素材にこだわる洋菓子ブランド「グッドモーニングテーブル」を、関東初の常設売場として増床エリアにオープンいたしました。

顧客施策につきましては、大型店を中心にコンシェルジュを再配置し、お客様をお迎えする販売体制を整えました。また、キャッシュレス決済の流れが進む中、利便性向上に向け、NTTドコモの「d払い」等のスマホ決済サービスの利用を全店に拡大いたしました。インバウンド需要への対応におきましては、電子決済拡充や免税手続き簡便化など、お買物環境の整備のほか、旅行、金融、交通系の海外企業との協働による集客強化に継続して努めております。

文化発信につきましては、日本橋店のグランドオープンに合わせ、「美しい暮らしスタイル」の発信をテーマとする「髙島屋史料館TOKYO」をオープンいたしました。近現代の生活文化へ百貨店が与えた影響を紐解き、暮らしを心豊かにする情報・体験を提供してまいります。

海外におきましては、「シンガポール髙島屋」が改装効果等により売上高を伸ばしましたが、IFRS第16号適用による会計方針の変更のため賃料収入が減少し、減収増益となりました。昨年8月に予定を変更して営業継続を決定した「上海高島屋」は、セールの売上の効果もあり、現地通貨ベースでは増収増益となりましたが、為替の影響により減収増益となりました。「ホーチミン髙島屋」は、現地経済の拡大に加え、季節催事の好調もあり増収増益となりました。開業

1周年を迎えた「サイアム髙島屋」は、交通インフラの整備の遅れもあり苦戦が続いておりますが、現地のお客様ニーズを捉えたMDの再構築を進め、早期黒字化を目指してまいります。

 

<商業開発業>

商業開発業での営業収益は、45,531百万円(前年比4.2%増)営業利益は、9,922百万円(前年比5.4%増)となりました。

商業開発業におきましては、東神開発株式会社が開店50周年を迎えた「玉川髙島屋S・C」において、“過ごす場・集う場”として屋上庭園の改装や、食料品フロア全体のリニューアルを実施いたしました。また、流山おおたかの森駅周辺エリア(千葉県流山市)では、新たに3施設の開発を推進し、本年1月には駅前広場と一体となった商業施設の開発に着工いたしました。

本年1月には大阪店に近接し事務別館として活用してきた「髙島屋東別館」を、文化的価値の高い建築様式を生かした営業別館としてリノベーションし、アジア最大規模の不動産会社キャピタランドグループのアスコット社が運営するサービスレジデンス「シタディーンなんば大阪」をメインテナントとして開業いたしました。また同別館においては、当社のアーカイヴスの拠点であり、70周年を迎えた「髙島屋史料館」をリニューアルいたしました。

海外においては、成長が見込まれるベトナムにおいてさらなる事業展開を図っております。ホーチミンのサイゴンセンター事業、ハノイのスターレイク・プロジェクトに加えて、商業・オフィス複合ビル「インドチャイナプラザ・ハノイ」を所有・運営する現地法人を連結子会社といたしました。トーシンディベロップメントシンガポールPTE.LTD.は、歩合家賃収入の増加等により現地通貨ベースでは増収となりましたが、為替の影響により減収となりました。一方、営業利益はIFRS第16号適用による会計基準の変更もあり増益となりました。

なお、当連結会計年度より、従来「不動産業」としていた報告セグメントの名称を「商業開発業」に変更しております。これは、当社が推進するまちづくり戦略において、資産・施設の管理・運営等にとどまらず、百貨店業とのシナジー効果を発揮する商業施設づくりに、より一層取り組んでいくことを、東神開発株式会社の海外事業が本格化してきた当連結会計年度において、改めて明確にするためであります。当該セグメント名称の変更によるセグメント情報に与える影響はありません。

 

 

<金融業>

金融業での営業収益は、17,457百万円(前年比9.8%増)営業利益は、4,878百万円(前年比10.4%減)となりました。

なお、当連結会計年度より金融業に髙島屋保険株式会社を加えております。

金融業におきましては、髙島屋クレジット株式会社が、大型各店等におけるカード即日発行サービスを開始するなど、会員数及びカード取扱高の増加による手数料収入等の増大に努めました。しかしながら、外商お得意様専用の新カード「タカシマヤカード≪プレミアム≫」の発行に伴う一時費用や、本年3月の髙島屋クレジット株式会社と髙島屋保険株式会社の合併に係る諸費用が発生したことなどから、増収減益となりました。

 

<建装業>

建装業での営業収益は、33,190百万円(前年比33.9%増)営業利益は、1,779百万円(前年比144.6%増)となりました。

建装業におきましては、髙島屋スペースクリエイツ株式会社が東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、投資の活発なホテルやラグジュアリーブランド・ブティックなどの商業施設からの受注増により売上を伸ばし、増収増益となりました。

 

<その他の事業>

通信販売業等その他の事業全体での営業収益は、38,138百万円(前年比4.7%増)営業利益は、2,562百万円(前年比8.1%増)となりました。

その他の事業におきましては、通信販売業がカタログ販売の好調が続き増収増益となりました。さらに、タカシマヤトランスコスモスインターナショナルコマース PTE.LTD.や、株式会社セレクトスクエアの業績改善が進み、その他の事業全体でも増収増益となりました。

 

d.キャッシュ・フロー

営業活動キャッシュ・フローは、40,608百万円の収入となり、前年同期が67,913百万円の収入であったことに比べ27,305百万円の収入の減少となりました。主な要因は、売上債権の増減額が24,624百万円減少したことなどによるものです。

投資活動キャッシュ・フローは、23,434百万円の支出となり、前年同期が85,815百万円の支出であったことに比べ62,381百万円の支出の減少(収入の増加)となりました。主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出が48,589百万円減少したことをはじめ、有形及び無形固定資産の売却による収入が19,860百万円増加したことなどによるものです。

財務活動キャッシュ・フローは、23,483百万円の支出となり、前年同期が17,226百万円の収入であったことに比べ40,710百万円の収入の減少(支出の増加)となりました。主な要因は、社債の発行による収入が60,300百万円減少したことをはじめ、社債の償還による支出が39,901百万円減少したこと、自己株式の取得による支出が9,807百万円増加したこと、及びリース債務の返済による支出が6,843百万円増加したことなどによるものです。

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ6,281百万円減少し、88,411百万円となりました。

 

②資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金、売掛債権流動化資金、または外部調達(借入もしくは社債)により資金調達することとしております。このうち、外部調達に関しましては、主として長期・安定した資金にて実施しております。

また、当社は国内金融機関から相対取引による十分な借入枠を有しており、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)により国内グループ会社間の資金融通を行うことで資金効率を高め、海外グループ会社は十分な手許資金を保有することで事業運営上の流動性を確保しております。

なお、当連結会計年度末の有利子負債(借入もしくは社債。リース債務は含まない)の残高は193,043百万円であります。

 

③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

(単位:億円)

指標

2019年度

経営上の目標

増 減

営業収益

9,191

営業利益

256

ROE(自己資本当期純利益率)

3.6%

ROA(総資産経常利益率)

2.1%

自己資本比率

37.2%

 

新型コロナウイルス感染症の影響は世界的に拡大し、いまだ終息の目処が立たない状況にあります。当社におきましては、政府より発出された「緊急事態宣言」を受け、国内のグループ商業施設の営業時間短縮や臨時休業を実施しており、海外の百貨店子会社につきましても臨時休業を実施いたしました。

当社グループでは、「営業収益」、「営業利益」、「ROE(自己資本当期純利益率)」、「ROA(総資産経常利益率)」、「自己資本比率」を経営成績の客観的な分析指標として採用しておりますが、こうした営業状況を踏まえ、現時点では業績に与える不確定要素が多く、連結業績予想を合理的に算定することが困難と判断したことから、将来の経営上の目標につきましては「-」と記載しております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 特記事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 特記事項はありません。