第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

新型コロナウイルス感染症の影響を受けた当第1四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクには、前事業年度の有価証券報告書に記載した、以下8つの「事業等のリスク」

(1)社会環境・構造変化

(2)気候変動・自然災害

(3)感染症・テロ等

(4)情報セキュリティー

(5)海外事業

(6)グループ会社管理

(7)法令・規制違反

(8)財務

のうち、

(1)社会環境・構造変化

(3)感染症・テロ等

(4)情報セキュリティー

(5)海外事業

(8)財務

の項目に関して、以下のようなものがあります。

なお、文中における記載事項は、不確定要素が多く予測が困難ではありますが、当第1四半期連結累計期間末現在において、当社グループが新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて判断したものであります。また、以下の記載は、当社グループの事業等のリスクをすべて網羅することを意図したものではないことにご留意ください。

 

(1)社会環境・構造変化

新型コロナウイルス感染症の影響によりわが国経済への打撃は非常に深刻なものとなりました。当社グループにおいてもグループ商業施設の臨時休業や営業時間短縮の対応により、業績は非常に厳しい結果となりました。また、渡航制限による訪日外国人数の減少に伴い、インバウンド売上が大きく落ち込んだことに加え、感染防止対策に伴うお取引先の営業休止要請は、当社グループ商業施設の営業体制にも影響を与えました。今後、再び感染拡大が生じれば同様のリスクの発生が想定されます。

一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により、今後の生活様式・消費行動に大きな変化が予想されます。社会活動そのもののデジタルへのシフトが一層進み、消費活動はリアル店舗のみならずインターネットを活用したオンライン消費が飛躍的に増加していくことが想定されます。

このような変化を踏まえると、従来発想のままの事業継続では競争力が著しく低下するリスクがあります。

当社グループにおいては、デジタルシフトへの消費動向を見据え、インターネットにおけるEC(電子商取引)領域を将来の成長事業として取り組んでまいります。また日本社会における高齢化に伴い、生涯の生活を支える金融資産の長期・安定的な形成が課題となっています。このような社会的背景を踏まえ、お客様の豊かな生活と将来設計をお手伝いする資産の形成や資産の承継などのニーズを捉えたファイナンシャルサービス事業を、6月より、新たに開始いたしました。

一方、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい業績を踏まえ、さらなる収益力強化に向け、コスト構造の抜本的見直しも図ってまいります。

 

(3)感染症・テロ等

新型コロナウイルスの感染者数が増加する中、日本政府による緊急事態宣言が発出され、人命を第一優先とした安全確保に向け臨時休業要請および外出自粛要請への協力が推進されました。

当社グループにおいても政府の協力要請を受け、連日対策会議を開く中、ライフライン確保の観点から営業を継続した食料品・生活必需品フロア以外の臨時休業や、同フロアの営業時間短縮といった判断をしてまいりました。

さらに、営業時間内においては、お客様の安全・安心を最優先に消毒・ソーシャルディスタンスの確保・マスク着用の徹底等に取り組んでまいりました。

そして、店舗を含む当社グループ及びお取引先の従業員(以下、従業員という)への安全・安心確保に向け、政府・自治体の要請に則り、同様の対応を徹底してまいりました。

現在、緊急事態宣言が解除され、以前の日常生活に戻りつつあります。しかし、これまでの安全・安心確保に向けた取り組みが形骸化すれば、再び感染症が拡大し、事業活動への影響やお客様・従業員への安全・安心が確保できないといったリスクが現実のものとなる可能性があります。

当社グループは新型コロナウイルスの感染状況の推移や政府・自治体の動向を見据えながら、これまで通りお客様・従業員への安全・安心の確保に向けた取り組みを継続してまいります。

また、今回の緊急事態宣言の発出による臨時休業要請および外出自粛要請に伴い、働き方の改革に取り組みました。具体的には、グループ本社ビル勤務者を中心に1,000人規模の在宅勤務を推進し、デジタル技術を活用したコミュニケーションへシフトする等、業務生産性を向上する取り組みを実施してまいりました。

今回の取り組みを契機に、これまでの働き方を変える、非効率な業務を徹底的に見直す機会と捉え、在宅勤務をはじめ効率的・生産性向上につながる働き方へ変えていくよう進めてまいります。

一方、在宅勤務を推進することによる、コミュニケーション不足、モチベーション低下、業務生産性低下が発生するリスクが想定されます。今後、業務生産性向上に向けたネットワーク環境整備に加え、新たに就業規則(在宅勤務ルール等)の改正、人事評価などにおける環境整備の構築に向け取り組んでまいります。

 

(4)情報セキュリティー

今回の新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、働き方が変化し、グループ本社ビル勤務者を中心に在宅勤務を推進してまいりました。そうした中で、コロナ禍における在宅勤務の働き方を検証し、今後もデジタル技術を活用した在宅勤務の働き方を継続・拡大する方向で取り組みを推進してまいります。

一方、在宅勤務の継続・拡大に伴いネットワークにおける情報漏えい等のリスク拡大が想定されます。つきましては、社外でのデジタルツール使用のルール徹底や、セキュリティーの強化等、万全な環境整備をおこなってまいります。

 

(5)海外事業

新型コロナウイルス感染症は、国内に限らず海外を含め世界的に大きな影響をもたらしました。

海外商業施設においても、全館休業や一部臨時休業、あるいは営業時間の短縮が発生するとともに、入国規制により観光客の売上が減少いたしました。海外拠点における新型コロナウイルス感染症による影響は現在も継続しており、業績へのマイナスリスクが長期化する可能性があります。

そうした中、現地政府の方針に則り、国内百貨店同様に感染拡大防止策を継続しながら、営業活動、ならびに開発計画を着実に進めてまいります。

 

(8)財務

今回の緊急事態宣言発出に伴う休業要請や外出自粛要請が再び発生すれば、業績悪化により企業活動に必要な運転資金が不足する可能性があります。また、金融市場の混乱や業績悪化等の要因により、当社グループが求める条件での資金調達ができないリスクがあります。現時点で必要な資金は確保しておりますが、将来におけるリスクシナリオを想定し、多様な資金調達手段により十分な手元流動性を確保してまいります。

 

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループに関する財政状態、経営成績の状況の分析・検討内容は、原則として四半期連結

財務諸表に基づいて分析した内容であります。

 

(1)業績の状況

当第1四半期連結累計期間(2020年3月1日~2020年5月31日)におけるわが国経済は新型コロナウイルス感染症拡大の深刻な影響を被り、とくに緊急事態宣言の発出を受けた休業要請や外出自粛の強まりを背景に、個人消費は大きく落ち込みました。また世界的な需要減少を受け、企業業績の悪化は避けられない状況にあります。終息時期の見通しが立たない中、世界や日本の経済の先行き不透明感は依然として強く、企業業績へのマイナス影響は長期化することが懸念されます。

このような環境の下、当社グループは、「グループ総合戦略『まちづくり』(以下、まちづくり戦略)の深耕・拡大と『グループコスト構造改革』の断行」を本年度の経営課題に掲げ、各事業の成長をめざしております。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた日本国内外のグループ商業施設での臨時休業や営業時間短縮により、入店客数・売上ともに前年を大きく下回る結果となりました。

新型コロナウイルス感染症への対応におきましては、消費者のライフライン確保やお取引先を含む従業員の雇用維持、企業存続の観点から、食料品フロアから生活必需品へと営業範囲を拡大し、現在は全商業施設で営業を再開しております。また従業員については感染リスク軽減や生産性向上の観点から、グループ本社ビル勤務者を中心に1,000人規模での在宅勤務を実施するとともに、デジタル技術を活用したオンライン会議の導入などにより移動に伴う時間や出張費等の抑制に努めました。今後も引き続きデジタルトランスフォーメーションによる経営の在り方や働き方の変革に取り組んでまいります。

また持続可能な社会の実現につきましては、短期的・中長期的双方の視点に立って取り組みを進めております。4月には食料品用レジ袋の有料化や素材変更を実施するなど、廃プラスチックゼロに向けた取り組みを進めております。また4月から6月には、新型コロナウイルス感染症への対応に従事する医療関係者支援のためのWEB募金を当社サイト「クラウドファンディング型 髙島屋募金」で実施いたしました。今後も行政やお取引先等との協働により、社会課題の解決に取り組んでまいります。

当期の連結業績につきましては、連結営業収益は116,204百万円(前年同期比48.0%減)連結営業損失は7,368百万円(前年同期は営業利益7,746百万円)連結経常損失は8,684百万円(前年同期は経常利益7,117百万円)となり、親会社株主に帰属する四半期純損失は20,530百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益10,597百万円)となりました。

 

事業のセグメント別業績は、次のとおりであります。

 

<百貨店業>

百貨店業での営業収益は88,616百万円(前年同期比54.2%減)営業損失は8,608百万円(前年同期は営業利益2,849百万円)となりました。

百貨店業におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、2月末から多くのお客様のご来場が予想される店内催や文化催を中止したほか、大型店などで臨時休業や営業時間短縮を実施いたしました。さらに4月7日の緊急事態宣言発出を受け、全店で食料品フロアを除く店舗の臨時休業をいたしました。その後、5月11日の岡山店と高崎店を皮切りに各店の営業を順次再開し、5月27日には全店で全館の営業を再開いたしました。この結果、売上高は大きく減少いたしました。また渡航制限で訪日外国人が減少したことにより、百貨店各店でのインバウンド売上は前年から△96.8%の大幅な減少となりました。A&S髙島屋デューティーフリー株式会社が運営する市中免税店におきましても3月14日から休業しておりました。

一方、店舗の臨時休業や外出自粛が続く中、オンラインストアの売上は好調に推移いたしました。また店舗で中止した物産展をオンラインで展開することにより、お取引先や生産者の支援にも取り組みました。

海外(2020年1月~3月)におきましては、当社が事業を展開するASEAN・中国でも新型コロナウイルス感染症の影響は大きく、上海高島屋は1月から3月末まで営業時間を短縮し、ホーチミン髙島屋は3月から4月にかけて、サイアム髙島屋は3月から5月にかけて臨時休業を実施いたしました。さらにシンガポール髙島屋は4月から6月にかけて臨時休業を実施いたしました。その後、全館での営業を再開しておりますが、足元は引き続き厳しい状況にあります。

 

 

<商業開発業>

商業開発業での営業収益は8,397百万円(前年同期比26.1%減)営業利益は2,112百万円(前年同期比27.5%減)となりました。

商業開発業におきましては、東神開発株式会社が「まちづくり戦略」の中核としての役割を担っております。今春には、昨年の開業50周年の集大成として玉川髙島屋S・Cで「アーバンリゾートを象徴する、新しい発見に出会える場」をコンセプトとした、本館1・2階の吹き抜け空間のリニューアルを完成させました。一方、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けて各商業施設においては2月後半から営業時間の短縮を実施し、緊急事態宣言以降は食料品を除いて休業いたしました。その後、順次営業範囲を拡大いたしましたが、減収減益となりました。

海外においては、トーシンディべロップメントシンガポールPTE.LTD.が、2月1日からのシンガポール政府による入国規制の影響を受け、減収減益となりました。また、ベトナム事業では、3月からインドチャイナプラザ・ハノイが全館休業となったほか、ABタワーの一部飲食テナントが営業を休止しておりました。

 

<金融業>

金融業での営業収益は4,035百万円(前年同期比7.5%減)営業利益は1,058百万円(前年同期比24.5%減)となりました。

金融業におきましては、3月に髙島屋クレジット株式会社と髙島屋保険株式会社が合併し、髙島屋ファイナンシャル・パートナーズ株式会社が誕生いたしました。髙島屋グループにおける新たなファイナンシャルサービス開始に向けて、株式会社SBI証券との提携による金融商品仲介業の登録、ほがらか信託株式会社との提携による信託契約代理業の登録を行いました。当社グループでは金融業を成長分野と位置付け、百貨店の顧客基盤を活用した事業の強化・拡大を図ってまいります。一方、当社グループ商業施設の休業により、クレジットカード取扱高、新規入会顧客が大幅に落ち込み、減収減益となりました。

 

<建装業>

建装業での営業収益は7,258百万円(前年同期比9.5%増)営業利益は115百万円(前年同期比34.1%減)となりました。

建装業におきましては、髙島屋スペースクリエイツ株式会社が、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言を受けた工事の中断・遅延があったものの、外部受注の増加により売上高は前年同期を上回りました。しかしながら、競争激化に伴う利益率の低下により減益となりました。

 

<その他の事業>

クロスメディア事業等その他の事業全体での営業収益は7,896百万円(前年同期比1.4%減)営業利益は20百万円(前年同期比94.1%減)となりました。

その他の事業におきましては、クロスメディア事業及び株式会社セレクトスクエアが新型コロナウイルス感染症の影響によって自宅にいながらショッピングを楽しむ「巣ごもり消費」が拡大したことによるネットビジネスの好調により増収となりましたが、株式会社センチュリー&カンパニーが人材派遣先である商業施設の休業による業務の縮小によって減収減益となりました。その他の事業全体では減収減益となりました。

 

 

 

(2)財政状態に関する説明

当第1四半期連結会計期間末の総資産は、1,125,226百万円と前連結会計年度末に比べ43,276百万円減少しました。これは、売掛金が減少したことが主な要因です。負債については、695,171百万円と前連結会計年度末に比べ17,460百万円の減少となりました。これは、買掛金が減少したことが主な要因です。純資産については、430,054百万円と利益剰余金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ25,816百万円減少しました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

営業活動キャッシュ・フローは、23,918百万円の支出となり、前年同期が717百万円の収入であったことに比べ24,636百万円の支出の増加(収入の減少)となりました。主な要因は、税金等調整前四半期純利益が34,114百万円減少したことなどによるものです。

投資活動キャッシュ・フローは、7,939百万円の支出となり、前年同期が2,686百万円の収入であったことに比べ10,626百万円の支出の増加(収入の減少)となりました。主な要因は、有形及び無形固定資産の売却による収入が11,628百万円減少したことなどによるものです。

財務活動キャッシュ・フローは、39,540百万円の収入となり、前年同期が4,712百万円の支出であったことに比べ44,253百万円の収入の増加となりました。主な要因は、短期借入金の純増減額が34,000百万円増加したことをはじめ、長期借入れによる収入が15,168百万円増加したことなどによるものです。

以上の結果により、当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ4,795百万円増加し、93,206百万円となりました。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

新型コロナウイルス感染症の終息時期はいまだ不透明であり、経済活動の停滞は日本国内外で長期に及ぶ可能性があります。当社グループにおいては、感染拡大防止に向けて店舗の臨時休業を実施いたしましたが、今後再び店舗の休業をせざるをえない状況になることは最大のリスクであると捉えております。

こうしたことから、現時点でも業績に与える不確定要素が多く、当社グループの連結業績予想を合理的に算定することは非常に困難です。

その一方で、当社グループにおいては危機を契機に経営の在り方そのものの変革を進め、経営や営業、働き方のデジタルトランスフォーメーションを進めてまいります。店舗運営方法においては接客販売や在庫管理等にデジタル技術を導入していくほか、従業員の働き方においては在宅勤務やオンライン会議などを推進してまいります。これにより、業務効率化や生産性向上を図るとともに、オフィスの最適な在り方についても検討してまいります。

消費行動にもパラダイムシフトが起こっていく中で、店頭においては新たな営業スタイルの構築を検討してまいります。また今後もさらなる拡大が見込めるオンライン販売は百貨店業の第2の柱として重要な販路であることから、経営資源を大きく振り向け、取り組みの拡大を進めてまいります。

さらに財務の安定性につきましては、これまでの財務健全性への取り組みと、金融機関との緊密な取引関係、そして社会的信用に裏づけられた資金対応力により、機動的な資金調達を実施していくとともに、緊急時においても十分な手元流動性を確保していくことで、安定した企業経営を継続してまいります。

 

(5)研究開発活動

特記事項はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。