第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当年度は新型コロナウイルスの感染拡大によって社会・経済全体が大きな影響を受けた年度でした。緊急事態宣言発出に伴う臨時休業、営業時間短縮や外出自粛要請に伴って需要が低下するとともに、消費行動は大きく変容しました。当社グループにおいては中核事業である百貨店業が深刻な影響を受け、連結営業損失を計上しましたが、これは、百貨店の収益構造がこのような災禍や社会の変化に対してぜい弱であることを改めて露呈した結果であると認識しております。

このことから、当社グループが今後も成長を続けていくためには、ブランド価値の源泉である百貨店の再生と、グループ収益基盤の強化が必須であると考えております。この目標を達成するために、以下4つを経営課題として掲げ、グループ一丸となって取り組んでまいります。なお、これらの活動にあたり、「コンプライアンスの徹底」を何よりも優先すべく、経営トップが強い意志を持って取り組んでいきます。

 

〔 経営目標 〕

「百貨店の再生と、グループ収益基盤の強化」

〔 経営課題 〕

① 魅力ある品揃えの実現           ~MD再構築~

② お客様との関係の再構築         ~魅力ある価値・機能・サービスの提供~

③ グループ事業展開力の強化       ~成長事業の拡大~

④ グループコスト構造改革の断行   ~働き方改革の推進~

 

(2)経営戦略等

当社グループは、経営課題を達成するための具体的行動計画として、2023年度の連結営業利益300億円達成を目標とする「髙島屋グループ3カ年計画」を新たに策定し、PDCAサイクルに基づいて着実に実行してまいります。2021年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で傷んだ経営を立て直し、将来の展望を拓くための土台作りの一年と位置付けております。その土台のうえで2022年度以降、グループの更なる成長を目指してまいります。

当社グループは引き続き、グループ総合戦略「まちづくり」を基本とし、国内百貨店、国内グループ、海外事業とのシナジー効果の発揮に努めます。まちづくり戦略には2つの考え方があります。一つは、拠点開発によるまち全体の流れを作るアンカーとしての役割発揮、もう一つは、事業開発による館の魅力の最大化です。

 

〔 まちづくり戦略の概念図 〕

〇百貨店を中核とするまちづくりで成長領域を拡大

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投資に関しては、百貨店各店は安心・安全のために必要不可欠なもの、確実に利益が見込めるものを除いて抑制する一方、グループ各社においては、主に東神開発による成長事業への投資を積極的に推進し、3カ年累計で約1,400億円の投資を見込んでおります。また有利子負債は2,400億円以下、現預金は800億円以上にコントロールし財務健全性を維持します。

 

事業別の基本戦略と主な取り組みは以下の通りです。

 

<百貨店業>

魅力ある品揃えの実現に向けて、特に衣料品売場の再生、食料品売場の特徴化MDの運営体制見直しを進めるとともに、お客様へのサービスを維持しつつ徹底したコスト削減を進めてまいります。またECの売上高および営業利益増大に向けた各種対策を推進してまいります。

 

<商業開発業>

国内拠点開発を進めると同時に、異業種や外部企業とのアライアンスにより非商業も含めた次世代SCの開発を進めてまいります。また海外においてはベトナムを戦略拠点として複合開発事業への投資、学校開発プロジェクトへの参画などを積極的に進め、グループ事業の成長につなげてまいります。

 

<金融業>

百貨店業、商業開発業に次ぐ第3の柱と位置付け、次世代顧客づくりを見据えた新規融資事業への参入、百貨店と連携したファイナンシャルカウンター事業の成長に向けた基盤投資を行ない、事業の拡大を図ってまいります。

 

(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

「髙島屋グループ3カ年計画」における2023年度の連結経営目標は以下の通りです。

〇営業収益                 8,500億円      ( 2019年度比   △691億円 )

〇営業利益           300億円      (    同     + 44億円 )

〇自己資本比率         37.5%      (    同     + 0.3%    )

〇ROE(当期純利益/自己資本) 4.6%      (    同     + 1.0%   )

〇ROA(経常利益/総資産)     2.5%      (    同    + 0.4%   )

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

当年度は新型コロナウイルスが世界的に流行し、人と物の移動は制限され、グローバル化した世界経済は深刻な影響を被りました。今後、ワクチン接種の広がりによる沈静化への期待はあるものの、国際的な人の往来が以前の状態を取り戻すのはしばらく難しいと想定されます。

国内においては、コロナウイルスの変異株による感染が拡大する中、4月25日に発令された3度目の緊急事態宣言の延長が余儀なくされ、また、まん延防止等重点措置の適用区域が順次拡大するなど、未だ予断を許さない状況が続いており、国内需要の回復は不透明な状況にあります。一方で、デジタルトランスフォーメーションによる人々の生活や働き方のスタイルの変容は日常的なものとなりつつあります。

当社グループにおいては、当年度、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、中核事業である国内百貨店を中心に収益は大きく低下しました。

こうしたなか、当社グループは、「百貨店の再生と、グループ収益基盤の強化」を経営目標に掲げ、「魅力ある品揃えの実現」、「お客様との関係の再構築」、「グループ事業展開力の強化」、「グループコスト構造改革の断行」の4つを経営課題とし、百貨店業を中心に各事業の成長を目指してまいります。

企業活動にあたり、その根幹をなす「コンプライアンスの徹底」は何よりも優先すべきことです。グループ全体のリスクマネジメント体制の強化と、重要性が高まるグループガバナンス向上を図るための内部統制システムの充実、取締役会の更なる機能強化に取り組み、継続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

また、地球環境保全や気候変動への関心の高まりとともに、消費行動にもエシカルな視点が反映されつつあります。SDGsへの取組は企業の社会的責任であると同時に、経営戦略上重要な位置づけです。

当社グループにおいては、RE100の一環として100%再生可能エネルギー由来の電力を使用する「流山おおたかの森S・C FLAPS」、ZEB(Net Zero Energy Building)化したオフィスビル「日本橋三丁目スクエア」の開業など脱炭素化を推進するほか、再生ポリエステル使用の商品開発をはじめとする環境配慮型のオリジナル商品開発、プラスチック容器等の生分解材・非プラスチック材への置換による廃棄プラスチックの削減など、将来世代が安心して暮らすことができる地球環境の再生に向けた取組を推進してまいります。

 

<百貨店業>

当社グループのブランド価値の源泉である百貨店業におきましては、抜本的な収益基盤の強化が急務であり、営業力強化とコスト構造改革の両輪で具体的施策を推進してまいります。

まず営業力強化に向けては、お客様の声に耳を傾け、魅力ある品揃えやサービスにつなげる必要があります。これまで長期にわたり協業してきた主要なお取引先と目標を共有し、それを達成するための具体策を共に立案し、推進してまいります。一方で、主要お取引先のみならず、新規お取引先や新たなデザイナー・クリエイターを開拓し、取り込むことも並行して進めてまいります。

館の集客の要である食料品については、味百選・銘菓百選売場を皮切りに、地域色豊かな魅力ある品揃えを実現すると同時に、業務内容の標準化、効率的な売場運営を推進することで、売場の販売員がより販売業務に専念できる体制を整えて営業力強化につなげてまいります。

成長領域であるECの分野においては、百貨店ならではの魅力ある商材や独自商材の提案に加え、顧客体験価値を高めるべく次年度中にECシステムを刷新し、パーソナライズされた商品提案や商品検索機能の充実を図ってまいります。

なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響により変容した消費行動や生活様式への対応も急務です。短時間でお買物をしたいというニーズがある一方で、心豊かにふれあいを求めるお客様ニーズが存在します。まずは、店頭での商品知識や接客技術を高め、より高品質な販売サービスに磨きをかけてまいります。同時に、デジタル技術を活用したリモート接客やオンライン予約システム等、安心してお買物やご注文ができるツールを最大限活用し、お客様との関係をより強固なものとしてまいります。

飲食の分野においては、株式会社アール・ティー・コーポレーションの核ブランドである「鼎泰豊」の新規出店(本年4月 越谷レイクタウン、同年6月 大阪ルクア)や、第2の核ブランドと位置づける「リナストアズ」の新規展開(同年夏 表参道エリア)を進めてまいります。

また、当社グループのブランド価値向上と顧客接点の拡大に向け、本年4月、玉川髙島屋S・Cの近くに、健康長寿を目指した介護施設「タカシマヤ ユアテラス 二子玉川」を開業いたしました。付加価値の高い機能訓練特化型デイサービスを提供し、ご利用者の身体機能の維持・改善を図り、豊かな老後をサポートしてまいります。

一方、コスト構造の改革に向けては、まず現状の業務の更なる合理化に取り組みます。お客様と向き合う時間の創出に向け、社内申請書類・手続きにおけるペーパーレス、ハンコレス等を進めてまいります。さらに、当社グループの従業員が業務領域の枠を取り払い、複数の多様な業務をこなすことでグループ全体の利益につなげるという考えのもと、マルチタスク化を強力に進めてまいります。一人ひとりが幅広い業務に対応していくことで、個々人の能力向上を図るとともに、生産性を大きく向上させてまいります。

海外店舗につきましては、各国ともに新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく、業績回復は不透明な状況にはありますが、国内グループ各社が海外各店舗、現地法人と協働することによりブランド価値を向上させ、アジアにおける成長基盤を築いてまいります。ASEAN戦略の中核的役割を担うシンガポール髙島屋を安定的な収益軌道に戻すとともに、ホーチミン髙島屋の黒字化を確かなものとしていきます。一方、早期黒字化が急がれるサイアム髙島屋は、現地に根ざし、ワンストップで安心・便利・満足いただける品揃え・サービスの実現に努めてまいります。また上海高島屋は、全館フロアにおけるMDの再構築とローコスト経営を推進し、一層の収益改善を進めてまいります。

 

<商業開発業>

商業開発業におきましては、東神開発株式会社をけん引役に、「まちづくり戦略」を推進してまいります。まちづくり戦略の柱は拠点開発と事業開発であります。拠点開発はまち全体の流れをつくるアンカーとしての役割発揮につながり、事業開発は館の魅力最大化という側面へとつながります。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響により厳しい経営環境に置かれるSCの既存テナントを支え、商業開発業の収益性を回復するという足元の課題にも取り組んでまいります。国内では、本年3月に開業した「流山おおたかの森S・C FLAPS」や、同年12月末竣工予定の「日本橋三丁目スクエア」等の拠点開発を進めます。海外では、安定成長を続けるベトナム・ハノイを戦略拠点とし、スターレイクプロジェクトの着実な推進や、コロナ禍でも収益安定性が際立つ複合開発案件(ランカスター・ルミネール計画)への積極的な投資によって収益基盤の拡大を図ってまいります。

一方、事業開発では、次世代のSCに求められる新たなコンテンツ開拓に取り組むとともに、グループ各社が協業し、リアルな場でのFace to Faceの触れ合いとデジタルを活用した広範で緩やかなつながりを通じた髙島屋ファンのネットワーク化を進めます。先行モデルとして、日本橋髙島屋S.C.・玉川髙島屋S・Cにてコミュニティー機能の再構築に取り組みます。国内外においては、異業種や外部企業とのアライアンスを進め、非商業も含め間口を広げることで、新たな来店動機を創出してまいります。

 

<金融業>

金融業におきましては、百貨店業、商業開発業に次ぐ、第3の柱と位置づけて、融資事業の推進、ファイナンシャルカウンター事業の着実な成長に向けた基盤投資を行います。融資事業としては、ソーシャルレンディング(貸付型)への参入、次世代顧客づくりを見据えた新たなサービスの開発を推進してまいります。また、ファイナンシャルカウンター事業に関しては、本年7月に大阪店、同年9月に横浜店でファイナンシャルカウンターを増設(予定)し、金融の専門知識を持つ相談員が中立的な立場で要望に応じた金融商品の仲介や信託サービスの取次ぎを行い、お客様に寄り添ったサービスの強化を図ってまいります。

 

<建装業>

建装業では、髙島屋スペースクリエイツ株式会社が、新型コロナウイルス感染拡大の影響による内装工事需要の減少に対応すべく、さらなる受注拡大に向け、企画、デザイン等のソフト機能を高めます。具体的には、施設建築の企画・計画段階から当該プロジェクトに参画し、工事工程・コスト管理のノウハウ提供や、海外でデザインされた建築設計や建築材料等を日本の建築基準法をはじめとする各種法令に合致させるアレンジの提案などを実施してまいります。このように、単なる内装工事の受注だけに止まらない施設建築プロジェクト全体に対するソリューションを提供する先行提案型営業によって競争力・収益力向上を図ってまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事実の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は、当社グループの事業等のリスクをすべて網羅することを意図したものではないことにご留意ください。

なお、以下に記載したリスクのうち、新たな成長領域への事業拡大に関する法令違反や情報漏洩、お客様が損失を被るような事故等により、レピュテーションが低下するリスクは全ての項目において常に内在しています。当社グループは「コンプライアンスの徹底」を何よりも優先すべく、経営トップが強い意志を持って、グループ全体のリスクマネジメント体制の強化・内部統制システムの充実・取締役会の機能強化に取り組んでまいります。

 

(1)外部環境に起因するリスク

① 新型コロナウイルス感染拡大の影響継続

<想定されるリスク> ・・・影響度=特に大

 *店舗の休業・営業時間の短縮によるビジネス機会の逸失

 *消費マインドの低下および来店頻度の減少

<対応策>

経営の安定化に向けて、ブランド価値の源泉である百貨店の再生を図りつつ、商業開発業、金融業などの成長領域事業を積極的に拡大するなど、社会環境や消費行動の変化を見据えた事業ポートフォリオの最適化を図ってまいります。また、ECなど実店舗に頼らない無店舗販売チャネルの強化拡大、実店舗においてはデジタル技術を活用したリモート接客システムの導入など非接触型販売の仕組みを積極的に導入し、消費行動の変容に対応してまいります。

 

② 自然災害(地震・台風・洪水等)

<想定されるリスク> ・・・影響度=大

 *店舗など営業用資産の損壊によるビジネス機会の逸失

 *交通機関や通信網の破綻によるビジネス機会の逸失

<対応策>

当社グループは関西・関東隔たりなく拠点を展開しており、大規模かつ広域にわたる甚大な災害が起きた場合でも、関西・関東のいずれかに危機管理対策本部を速やかに設置し、情報連携および指示命令系統を損なわない体制を整えております。また被災店舗への救援体制の整備、重要データ消失を防ぐクラウド化の推進、事業を最低限継続できる各種インフラや備品の整備など、BCP対策の徹底を図っております。

また、主要都市に拠点を持つ企業として求められる社会的使命を果たす観点から、大規模災害時に帰宅困難者を受け入れるスペースを店舗施設内に予め確保するほか、生活関連物資を中心とした店頭商品の拠出ができるよう、あらかじめ仕入先と取り決めておくなど、直ちに被災者救援活動を行う体制を整えております。

 

③ 社会構造の変化による国内人口の減少と地方都市空洞化

<想定されるリスク> ・・・影響度=大

 *少子高齢化、地方都市空洞化に伴うマーケットの縮小

 *労働人口の減少に伴う必要人材の確保難

 

<対応策>

抗えないこれらの外部環境変化に対応するため、百貨店においてはお客様の興味・関心に即した売場の再編、エシカルな消費行動に対応した独自商品の販売を強化し、魅力ある品揃えの実現に努めてまいります。また多様化するニーズに対応した販売の仕組みづくりや、単なる商品販売に止まらず、金融サービスや介護サービスなどライフタイムバリュー全般の向上に寄与する商品提供による来店動機・機会の向上に努めてまいります。更に、実店舗に頼らないECの強化、百貨店のないエリアへの通販カタログ配布などを通じて商圏の拡大およびお客様との接点の拡大を図ります。

また、街のアンカーとしての機能強化につながる拠点開発(「流山おおたかの森S・C FLAPS」・「日本橋三丁目スクエア」)や異業種・外部企業とのアライアンスによって非商業分野も取り込んだ新たなコンテンツ開拓、各拠点における複合的な機能・サービス・空間としての魅力訴求による来店頻度の向上も積極的に推進してまいります。

一方、労働人口減少への対策としては、新卒にこだわらない採用活動、専門人材の登用、外国人労働者の受け入れを積極的に推進するほか、社内の人材育成にも努めてまいります。

 

(2)グループ経営におけるリスク

① ESG経営への取り組みの遅れ

<想定されるリスク> ・・・影響度=特に大

 *ステークホルダーからの信用喪失

 *グループ収益の根幹となるブランド価値の毀損

 *法令違反や情報漏洩等によるレピュテーションの低下

<対応策>

当社グループのESG戦略においては、環境・社会・ガバナンスそれぞれの面において、ステークホルダーに対して髙島屋グループならではの価値を提供することで共感を獲得し、社会課題解決と事業成長を両立しつつ、最終的には全ての人々が21世紀の豊かさを実感できる社会の実現を目指しております。

ESG経営を確実に推進していくために、グループの視点での方針管理、進捗管理を充実するための「グループ環境・社会貢献部会」を新たに設置し、より一体的でかつ実効性が発揮できる体制を整えております。

そのうえで、環境面の主な取組内容としては、省エネ対策や再生エネルギー転換などによる脱炭素化推進、環境に配慮した独自商品開発などによる循環型ビジネスへの取り組み、商品包材等の非プラスチック材やリサイクル材への転換による廃棄プラスチックの削減、再資源化や肥料化による食品ロスの削減を推進してまいります。

社会面におきましては、人権尊重に基づく雇用関係の確立、国籍や人種、LGBTなどに係わらない平等な賃金、教育機会、福利厚生の提供など、多様な価値観を受け入れる基本指針の策定と、その浸透に向けた意識の醸成を推進してまいります。

ガバナンス面では、取締役会が果たすべき責務・役割が発揮できているか、機能発揮のための適切な体制整備や取締役会運営ができているかという視点で、年1回、全取締役・監査役対象のアンケートと、その結果に基づく社外取締役・監査役への個別ヒアリングを通して取締役会の実効性評価を行っております。更に、評価結果から得られた改善点に対しては速やかに次年度取締役会に反映するなどPDCAサイクルを徹底し、取締役会の実効性向上に努めてまいります。

また当社グループでは社長を委員長とする「髙島屋グループCSR委員会」を設置し、コンプライアンス経営の徹底に加えて内部統制の状況や新しい社会課題に対するCSR領域への取組状況等をグループ横断的に検証し強化する体制を整えております。また、不正行為等の通報を匿名でも受け付ける窓口「髙島屋グループ・コンプライアンス・ホットライン」を社内外に設置し、より多くの内部通報を受け付けて自浄作用を高める仕組みを整えております。国内、海外問わず事業拡大に応じて増えつつある子会社・孫会社などグループ全体に行きわたるモニタリングと三線ディフェンスの一層強化に努めてまいります。

 

② デジタルトランスフォーメーションへの対応の遅れ

<想定されるリスク> ・・・影響度=大

 *新たなニーズの掘り起こしと新たな顧客層開拓への支障

 *グループコスト構造改革への支障

 *情報漏洩事故

 *ITシステム維持コストの増大

<対応策>

DXの着実な推進と効果の最大化に向け、グループ従業員および各組織のITリテラシーの向上を図ってまいります。そのうえで、デジタル技術を活用したオンライン予約システムやリモート接客などお客様の新しいニーズへの対応策を展開してまいります。コスト構造改革の観点からはデジタル技術を活用した販売手続き・業務手続きの簡素化を進めて業務の効率化と要員の最適化を図ってまいります。情報セキュリティーの観点からは、セキュリティーポリシーを随時見直し、それに基づく厳格なシステム運用を行っていきます。また、経営計画と連動し、IT関連の長期投資計画、予算の適正化に努めてITシステム維持コストの抑制に努めてまいります。

 

③ 成長事業に関するリスク

(a) EC事業拡大戦略の遅れ

<想定されるリスク> ・・・影響度=大

 *実店舗依存型ビジネスモデルからの脱却の遅れ

 *物流費などをはじめとする高コスト構造改善の遅れ

 

<対応策>

ECの売上高と強固な収益基盤の確立を早期に達成するため、単なる営業施策としての取組ではなく、社長直轄の推進プロジェクトを構築、全社・グループ横断的な検討を強力に推進してまいります。このプロジェクトを通じて、EC専業の事業者にはできない、百貨店ならではの魅力ある商品・独自商品の訴求とサービスの提供を図ります。また、実店舗とオンラインの垣根をなくして相乗効果を図るOMO(Online Merges with Offline)による他社との差別化対策や、業務量・出荷量の増に対応したあるべき物流スキーム・要員体制の構築などの検討を進め、収益基盤の確立に努めてまいります。

 

(b) 金融業への参入

<想定されるリスク> ・・・影響度=大

 *新たな顧客層開拓への阻害

 *グループ事業の拡大への阻害

<対応策>

特に新たな参入となるソーシャルレンディングなどに関しては、高い専門性を有するアライアンス先との更なる協業を進めて確実な成長につなげてまいります。また、百貨店ならではの接客サービスと金融の専門知識を融合させて、中立的な立場での金融商品仲介や信託サービスの取り次ぎができる、当社ならではの差別化戦略を更に訴求してまいります。また、金融のデジタル化、キャッシュレス化に対応した金融サービスの開発・提供による次世代顧客づくりの推進に努めてまいります。

 

(c) 海外事業の拡大

<想定されるリスク> ・・・影響度=大

 *突発的な政治・経済情勢の変化や為替変動に伴う資産価値の変動と投資回収の遅れ

 *現地採用従業員の文化・宗教等の違いからくるガバナンス破綻

<対応策>

当社グループにおいては、経営における迅速な判断・軌道修正を可能とするため、現地法人を設立して当該法人にイニシアチブを持たせています。その上で、グループ本社とはリモート会議等によるタイムリーな情報共有や、自主点検シートを活用した経営状況のチェックなど、三線ディフェンスの強化によるグローバルガバナンスの徹底を図ってまいります。また、現地従業員との人権尊重に基づく雇用関係確立、国籍や人種・宗教・LGBTなどに係わらず平等な賃金・教育機会・福利厚生を提供してまいります。そのうえで、現地従業員の幹部登用も視野に入れた能力開発を積極的に進め、同じ髙島屋グループの一員としての共通目標、意識の共有を図ってまいります。

 

④ サプライチェーンの破綻

<想定されるリスク> ・・・影響度=大

 *取引先の倒産や事業終了による百貨店の商品調達への支障、品揃えの魅力度低下

 *テナントの賃料支払能力低下による賃貸収入の減少

 *売場レイアウト破綻による売場空間の魅力低下

<対応策>

当社グループでは、お取引先とのWIN-WINの関係構築に向けて、主要なお取引先と目標を共有し、協働でそれを達成するための具体策を推進してまいります。また、新たな取引先開拓による品揃えの鮮度維持向上や、川上企業との直接取引拡大による商品調達力の向上を図ってまいります。商業開発業においては、専門店テナントとの共同販促活動を一層強化推進するほか、経営状態が厳しいテナントに対しては、家賃の一時的な敷金からの充当や当面の家賃支払猶予などの資金支援を行い、共存共栄を原則とした取組に努めてまいります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針並びに重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りに関しては、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表等」の「追加情報」に記載しております。

 

① 固定資産の減損会計

当社グループは、減損の兆候がある資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が当該資産グループの帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

減損損失の認識及び測定にあたっては、今後一定期間にわたり、個人消費やインバウンド需要が徐々に回復していくとの前提に基づき策定した「髙島屋グループ3カ年計画」をもとに将来キャッシュ・フローを見積っております。

新型コロナウイルス感染症の収束時期やその影響が及ぶ期間が長期化した場合等により「髙島屋グループ3カ年計画」の見直しが必要となった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失の計上が必要になる場合があります。

 

② 繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、将来減算一時差異や税務上の繰越欠損金等のうち、将来の税金負担額を軽減する効果が見込まれる繰延税金資産を計上しております。

繰延税金資産の回収可能性の判断にあたっては、今後一定期間にわたり、個人消費やインバウンド需要が徐々に回復していくとの前提に基づき策定した「髙島屋グループ3カ年計画」をもとに将来の課税所得を見積っております。

新型コロナウイルス感染症の収束時期やその影響が及ぶ期間が長期化した場合等により「髙島屋グループ3カ年計画」の見直しが必要となった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において計上する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

(2)経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態                              (単位:百万円)

 

当連結会計年度

前連結会計年度

前年増減高

前年比

総資産

1,150,506

1,168,503

△17,996

△1.5%

負債

735,395

712,632

22,763

3.2%

純資産

415,111

455,871

△40,759

△8.9%

自己資本比率

34.3%

37.2%

△2.9%

 

b.経営成績                              (単位:百万円)

 

当連結会計年度

前連結会計年度

前年増減高

前年比

営業収益

680,899

919,094

△238,194

△25.9%

営業利益又は営業損失(△)

△13,496

25,582

△39,079

経常利益又は経常損失(△)

△13,637

23,200

△36,837

親会社株主に帰属する当期

純利益又は親会社株主に帰属

する当期純損失(△)

△33,970

16,028

△49,998

 

(事業のセグメント別業績)                       (単位:百万円)

 

当連結会計年度

前連結会計年度

前年増減高

前年比

連結営業収益

680,899

919,094

△238,194

△25.9%

百貨店業

570,478

784,775

△214,297

△27.3%

商業開発業

36,981

45,531

△8,549

△18.8%

金融業

16,250

17,457

△1,206

△6.9%

建装業

19,079

33,190

△14,110

△42.5%

その他

38,108

38,138

△30

△0.1%

連結営業利益又は

連結営業損失(△)

△13,496

25,582

△39,079

百貨店業

△21,323

6,938

△28,261

商業開発業

5,867

9,922

△4,054

△40.9%

金融業

4,288

4,878

△590

△12.1%

建装業

△980

1,779

△2,760

その他

1,458

2,562

△1,104

△43.1%

 

② キャッシュ・フロー                         (単位:百万円)

 

当連結会計年度

前連結会計年度

前年増減高

前年比

営業活動キャッシュ・フロー

43,720

40,608

3,112

7.7%

投資活動キャッシュ・フロー

△27,034

△23,434

△3,600

財務活動キャッシュ・フロー

2,303

△23,483

25,786

現金及び現金同等物

105,320

88,411

16,909

19.1%

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年比(%)

建装業

18,704

△42.1

その他

325

16.8

合計

19,030

△41.6

  (注)1 セグメント間取引については、相殺消去をしております。

  2 金額は、販売価格によっております。

  3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

  4 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。

 

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年比(%)

受注残高(百万円)

前年比(%)

建装業

9,335

△74.4

8,426

△52.6

その他

300

△1.4

合計

9,635

△73.8

8,426

△52.7

  (注)1 セグメント間取引については、相殺消去をしております。

  2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

  3 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年比(%)

百貨店業

570,478

△27.3

商業開発業

36,981

△18.8

金融業

16,250

△6.9

建装業

19,079

△42.5

その他

38,108

△0.1

合計

680,899

△25.9

  (注)1 セグメント間取引については、相殺消去をしております。

  2 販売高には、「その他の営業収入」を含めて表示しております。

  3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等の状況に関する認識

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大により深刻な影響を被りました。2020年4-6月期に戦後最大のマイナス成長を記録したGDP成長率は、その後世界経済の持ち直しを背景に2期連続でプラス成長となりました。しかしながら2020年通年では4.8%減と11年ぶりのマイナス成長となるなど、依然、感染拡大前の水準には至っておりません。

個人消費につきましては、昨年5月の緊急事態宣言の解除に伴う経済活動の再開に加え、政策効果や消費マインドの改善により緩やかに拡大したものの、本年1月には11都府県に緊急事態宣言が再発出されたこともあり、持ち直しの動きには足踏みが見られる状況が続いております。

欧米各国に続き日本国内でもワクチン接種が始まったこともあり、沈静化に向けた兆しは見られるものの、いまだに収束時期の見通しが立たない状況にあります。世界経済全体の先行きは不透明感が強く、失業の増加や所得の低迷による消費や投資を控える動きが続くなど、企業業績へのマイナス影響は長期化することが想定されます。

このような環境の下、当社グループは当年度の経営課題として「グループ総合戦略『まちづくり』(以下、まちづくり戦略)の深耕・拡大と『グループコスト構造改革』の断行」を掲げ、成長をめざしてまいりました。感染が拡大する中、お客様や従業員の安全・安心の確保を第一に、感染防止策を徹底した上で営業を行い、昨年9月には「事前来店予約サービス」の対象店舗を7店舗に拡大するなどデジタル技術を活用した接客を強化し、お客様の利便性向上を図りました。オンラインストアでは「巣ごもり消費」による食料品・リビング関連の商材や、中元・歳暮等のギフトが需要を伸ばし、売上高は前年を大きく上回りました。また、本社スタッフについては在宅勤務を実施し、オンライン会議の導入等、デジタル技術を活用することで生産性向上に努めました。しかしながら、感染拡大防止に向けて実施した日本国内外のグループ商業施設での臨時休業や営業時間短縮に加え、外出自粛の動きが続いていることもあり、入店客数・売上ともに前年を大きく下回る結果となりました。

国内百貨店では従来からコスト構造や衣料品の再構築、デジタル活用をはじめとする営業の在り方などを経営課題として認識しておりましたが、コロナ禍においてこうした課題がより明確なものとなりました。また、消費者の生活様式や品揃えに対するニーズも大きく変化しています。引き続き、グループのブランド価値の源泉であり、中核である百貨店の再生を最重要テーマと位置づけ、これらの課題の克服に取り組んでまいります。

持続可能な社会の実現につきましては、短期的・中長期的双方の視点に立って取組を進めております。昨年4月には食料品用レジ袋の有料化や素材変更を実施するなど、廃プラスチックゼロに向けた取組を進め、また、一昨年から国際的イニシアチブ「RE100」に参加し、2050年までに事業活動で使用する電力を再生可能エネルギーに100%転換することを目標としております。昨年11月から、玉川髙島屋S・C周辺施設等既存施設8棟の使用電力について、順次再生可能エネルギーへの切替えを行っております。今後も行政やお取引先等との協働により、社会課題の解決に取り組んでまいります。

 

b.財政状態

当連結会計年度末の総資産は、1,150,506百万円と前連結会計年度末に比べ17,996百万円減少しました。これは受取手形及び売掛金、使用権資産、建物及び構築物が減少したことが主な要因です負債については、735,395百万円と前連結会計年度末に比べ22,763百万円の増加となりました。これは、長期借入金が増加したことが主な要因です。純資産については、415,111百万円と利益剰余金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ40,759百万円減少しました。

以上の結果、自己資本比率は34.3%(前年比2.9ポイント減)となり、1株当たり純資産額は2,364円96銭(前年比242円21銭減)となりました。

 

c.経営成績

当連結会計年度の連結業績につきましては、連結営業収益は680,899百万円(前年比25.9%減)連結営業損失は13,496百万円(前年同期は連結営業利益25,582百万円)連結経常損失は13,637百万円(前年同期は連結経常利益23,200百万円)となり、政府等の要請に基づきグループ商業施設を臨時休業したことにより発生した固定費や減損損失等を特別損失に計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は33,970百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益16,028百万円)となりました。

また、当事業年度の単体業績につきましては、売上高は527,579百万円(前年比25.4%減)営業損失は20,218百万円(前年同期は営業利益3,928百万円)経常損失は18,055百万円(前年同期は経常利益8,534百万円)となり、当期純損失は33,630百万円(前年同期は当期純利益9,296百万円)となりました。

以上の結果、連結ROEは△8.2%(前年比11.8ポイント減)となり、1株当たり当期純損失は203円74銭(前年同期は1株当たり当期純利益93円29銭)となりました。

 

事業のセグメント別業績は、次のとおりであります。

 

<百貨店業>

百貨店業での営業収益は570,478百万円(前年比27.3%減)営業損失は21,323百万円(前年同期は営業利益6,938百万円)となりました。

 

国内百貨店におきましては、緊急事態宣言の発出を受け、昨年4月から5月にかけ全店で食料品フロアを除き臨時休業を実施しました。全館営業の再開後においても、多くのお客様の来店を見込んだ営業施策・販売促進策の中止や開催方法の見直しを行ったことに加え、本年1月に緊急事態宣言が再発出されたこともあり、売上高は大きく減少いたしました。また、渡航制限で訪日外国人数が大幅に減少したことでインバウンド売上は前年から91.3%減となりました。

なお、昨年3月に子会社の株式会社米子髙島屋の全株式を売却し、同社は商標ライセンス契約会社となりました。また、同年8月には港南台店の営業を終了し、A&S髙島屋デューティーフリー株式会社が運営する市中免税店におきましては同年10月に営業を終了いたしました。一方、横浜店の地下食料品売場の改装を順次実施し、本年月には国内最大級の「デパ地下」としてグランドオープンいたしました。

海外におきましては、当社が事業を展開するASEAN・中国でも新型コロナウイルスの影響を大きく受けました。上海高島屋では昨年1月から3月にかけて営業時間を短縮しました。ホーチミン髙島屋では同年3月から4月、サイアム髙島屋では同年3月から5月、シンガポール髙島屋では同年4月から6月にかけて一部食料品を除き臨時休業いたしました。その後、各店ともに全館での営業を再開し、売上高も回復しつつあったものの、主力のシンガポール髙島屋においては、ツーリストや催事による売上高が引き続き大幅減となり、オンライン販売強化等、対を図りましたが、売上高が前年より大きく減少いたしました。

なお、サイアム髙島屋においては同年12月に高架鉄道が開業し、駅から店舗へ直結となりましたが、同時期に発生した現地での新型コロナウイルス感染の第2波が集客に影響し、開業効果は限定的となりました。

 

<商業開発業>

商業開発業での営業収益は、36,981百万円(前年比18.8%減)営業利益は5,867百万円(前年比40.9%減)となりました。

 

商業開発業におきましては、東神開発株式会社が「まちづくり戦略」の中核としての役割を担っており、グループが一体となった事業展開を通じて、当社グループの成長戦略をけん引しております。昨年7月には髙島屋東別館リノベーション第2弾として、「コミュニティー フードホール 大阪・日本橋」を開業し、館の価値向上に努めました。また、アクティブシニア向け住宅に対するニーズの高まりを背景に、当社グループの重点開発地域の一つである千葉県柏市において、同年月にサービス付き高齢者向け住宅運営に参画いたしました。

一方、新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、百貨店業と同様、各商業施設において昨年2月末から営業時間の短縮を実施し、同年4月に発出された緊急事態宣言以降は食料品を除いて臨時休業をいたしました。その後、順次営業範囲を拡大したものの、引き続き外出を控える動きは強く、緊急事態宣言が再発出されたこともあり、入店客数・売上ともに前年を大きく下回り減収減益となりました。

海外においては、トーシンディベロップメントシンガポールPTE.LTD.が、シンガポール政府による入国規制の影響や2カ月を超える臨時休業の影響により減収減益となりました。また、ベトナム事業では、インドチャイナプラザ・ハノイが昨年3月から4月にかけて全館休業となったほか、ホーチミンのA&Bタワーの一部飲食テナントも同年3月から5月にかけて営業を休止いたしました。

 

<金融業>

金融業での営業収益は、16,250百万円(前年比6.9%減)営業利益は4,288百万円(前年比12.1%減)となりました。

 

金融業におきましては、昨年3月に髙島屋クレジット株式会社と髙島屋保険株式会社が合併し、髙島屋ファイナンシャル・パートナーズ株式会社が誕生いたしました。当社グループにおける新たなファイナンシャルサービス開始に向けて、株式会社SBI証券との提携による金融商品仲介業の登録、ほがらか信託株式会社との提携による信託契約代理店の登録を行いました。同年6月には日本橋髙島屋S.C.本館8階に「タカシマヤ ファイナンシャル カウンター」をオープンし、お客様の資産形成や承継等の相談を承るとともに、金融商品を取り扱うファイナンシャルカウンター事業を開始しました。当社グループでは金融業を成長分野と位置づけ、百貨店の顧客基盤を活用した事業の強化・拡大を図ってまいります。

一方、新型コロナウイルスの感染拡大による新しい生活様式・価値観変化への対応として、タカシマヤオンラインストアにおけるクレジットカード新規入会獲得の強化や、ファイナンシャルカウンター事業におけるWEBセミナー・WEB面談の導入等の取組を行いましたが、外出自粛や商業施設の営業時間短縮に加え、入店客数減少の継続によりクレジットカード取扱高、新規入会顧客は大幅に落ち込み、減収減益となりました。

 

<建装業>

建装業での営業収益は、19,079百万円(前年比42.5%減)営業損失は980百万円(前年同期は営業利益1,779百万円)となりました。

 

建装業におきましては、髙島屋スペースクリエイツ株式会社が、緊急事態宣言発出を受けた工事の中断・遅延に加え、景気の先行き不透明感が強まったことに伴う企業の設備投資の抑制による内装工事の需要の急減に対し、経費削減等の利益確保に努めたものの、減収減益となりました。

 

<その他の事業>

クロスメディア事業等その他の事業全体での営業収益は38,108百万円(前年比0.1%減)営業利益は1,458百万円(前年比43.1%減)となりました。

 

その他の事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により「巣ごもり消費」が拡大したことでネットビジネスが好調に推移し、クロスメディア事業及び株式会社セレクトスクエアが増収となりました。一方、株式会社センチュリーアンドカンパニーが人材派遣先である商業施設の休業による業務の縮小によって減収減益となり、その他の事業全体でも減収減益となりました。

d.キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、43,720百万円の収入となり、前年同期が40,608百万円の収入であったことに比べ3,112百万円の収入の増加となりました。主な要因は、売上債権の増減額が15,597百万円増加したことなどによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、27,034百万円の支出となり、前年同期が23,434百万円の支出であったことに比べ3,600百万円の支出の増加となりました。主な要因は、有形及び無形固定資産の売却による収入が20,145百万円減少したことなどによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、2,303百万円の収入となり、前年同期が23,483百万円の支出であったことに比べ25,786百万円の収入の増加(支出の減少)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出が25,565百万円、社債の償還による支出が25,006百万円増加したものの、長期借入れによる収入が50,616百万円、コマーシャル・ペーパーの増減額が10,000百万円増加したことなどによるものです。

これらに換算差額を加えた結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ16,909百万円増加し、105,320百万円となりました。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

資本の財源及び資金の流動性に関し、当社グループは運転資金及び設備資金につきましては、内部資金、売掛債権流動化資金、または外部調達(借入もしくは社債)により資金調達することとしております。このうち外部調達に関しましては、主として長期・安定した資金にて実施しております。

また、当社は国内金融機関から相対取引による十分な借入枠を有しており、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)により国内グループ会社間の資金融通を行うことで資金効率を高め、海外グループ会社は十分な手許資金を保有することで事業運営上の流動性を確保しております。

新型コロナ禍に際しましては売上の急減による一時的な内部資金の流出が起こりましたが短期的な資金(借入金、コマーシャル・ペーパー)により手元流動性の確保を図ったうえで、有利子負債残高の適切な管理を行っております。コマーシャル・ペーパーの発行枠を増額し(300億円を600億円に)、売掛債権流動化プログラムも複数を保持するなど不測の事態に対しては多様かつ機動的な資金調達を実施してまいります。

なお、当連結会計年度末の有利子負債(リース債務は含まない)の残高は207,154百万円であります。

 

③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

(単位:億円)

指標

2020年度

経営上の目標

増 減

営業収益

6,809

8,500

1,691

営業利益又は営業損失(△)

△135

300

435

ROE(自己資本当期純利益率)

△8.2%

4.6%

12.8%

ROA(総資産経常利益率)

△1.2%

2.5%

3.7%

自己資本比率

34.3%

37.5%

3.2%

 

当社グループでは、「営業収益」、「営業利益」、「ROE(自己資本当期純利益率)」、「ROA(総資産経常利益率)」、「自己資本比率」を経営成績の客観的な分析指標として採用しております。

達成状況を判断するため、当連結会計年度実績との比較をしておりますが、目標値設定過程に関しては、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(2)「経営戦略等」及び(3)「経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等」をご覧ください。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 特記事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 特記事項はありません。