(1)経営方針
2022年度は、「百貨店の収益構造の変革と、グループ利益の最大化」を経営目標に、国内百貨店の構造改革やグループ会社の収益力強化、グループESG戦略の推進などに取り組んでまいりました。
国内百貨店における、営業力強化とコスト削減の両面から構造改革の取り組みでは、店頭運営体制を見直し、捻出した要員により外部委託業務を内製化するなど、コスト削減は一定の成果につながり、総額営業収益販売管理費比率は2019年度比で大きく改善いたしました。
その結果、2022年度の連結業績は、大幅な増収増益となり、コロナ前の2019年度に対しても増益となりました。総額営業収益は、コロナ影響の縮小に伴う消費マインドの改善に加え、国内百貨店での大口受注や、為替差益による海外グループ会社の業績押し上げもあり、国内百貨店・グループ会社ともに増収となっております。
販売費及び一般管理費につきましては、光熱費などの増加要因がありましたが、コスト構造改革の順調な進捗や会計処理変更による影響もあり、前年からは4億円の減少となりました。計画からも14億円良化しております。営業利益は、当初2023年度の目標としておりました300億円を、1年前倒しで達成いたしました。また、固定資産の売却などによる特別利益もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は2006年度の253億円を上回る過去最高益を達成いたしました。
次年度は、髙島屋グループ3カ年計画(2021~2023年度)の最終年度として、大胆な発想による新しい挑戦を通じてグループの収益力をさらに盤石なものとし、2031年の髙島屋創業200周年、そして、その先の将来にわたって成長し続ける基盤づくりを果たすための極めて重要な一年と捉えております。
こうしたなか、次年度は、「百貨店の営業力強化」、「人的資本経営の推進」、「グループ会社の業界競争力獲得」、「グループESG戦略の深化」に取り組んでまいります。
尚、企業活動にあたり、コンプライアンスは、あらゆる業務の基盤となる項目として全従業員の共通理解とします。一人ひとりが、法律やルールを主旨から正しく理解するとともに、それらの変化にも速やかに対応し、開かれた組織風土の中で実効性を高めてまいります。
[経営目標]
「持続的な成長と飛躍に向けたグループ経営の土台づくり」
~2031年創業200周年へ向けた基盤構築~
[経営課題]
①百貨店の営業力強化
②人的資本経営の推進
③グループ会社の業界競争力獲得
④グループESG戦略の深化
(2)経営戦略等
(2-1)グループ経営戦略
当社グループは引き続き、グループ総合戦略「まちづくり」(以下、まちづくり戦略)を基本とし、国内百貨店、国内グループ、海外事業とのシナジー効果の発揮に努めます。
まちづくり戦略には2つの考え方があります。1つは、拠点開発によるまち全体の流れを作るアンカーとしての役割発揮、もう1つは、事業開発による館の魅力の最大化です。
●まちづくり戦略の概念図
百貨店を中核とするまちづくりで成長領域を拡大
(2-2)サステナビリティへの取り組み
当社のグループ経営理念「いつも、人から。」は、SDGsが目指す「誰一人取り残さない」社会の実現と強く結び付くものです。2006年には、経営理念をもとにCSR活動領域を策定し、現在もそれに即した経営の推進や情報の開示を行っています。活動領域には、事業活動を通じて得た利益をさまざまな人々に還元する「経済的役割」や「コンプライアンス(法令遵守)」といった基本的な活動に加え、「企業倫理」に基づく行動や新しい価値の創造、社会問題の解決など「社会的役割」の実現といった活動があります。
こうした従来のCSR経営にSDGsの概念を融合し推進しているのが、「グループのESG経営」です。「環境に優しいより豊かな生活・文化の提案」・「多様な価値観への対応、多様な人材の活用」・「お客様視点に立った経営」など、当社ならではの価値提供を通じ、ステークホルダーの皆様からの共感を獲得することで、「すべての人々が21世紀の豊かさを実感できる社会の実現」に貢献していくことを目指しています。
当社は、ESG経営の重点課題として、「脱炭素化推進RE100」や「ダイバーシティ推進」をはじめとする10の項目を設定しています。脱炭素化推進では、LED化による電力使用量の削減、再生可能エネルギー由来電力への転換を進めています。また、ダイバーシティ推進では、女性の活躍・ジェンダー平等に向けた取り組みや、外国人従業員の生活者としての受入れなど、多様な価値観や能力を尊重し、あらゆる人材がその能力を最大限発揮でき、やりがいを感じられるダイバーシティ&インクルージョンの実現に向けた環境整備や意識啓発に取り組んでいます。
グループESG経営を推進することで、従来型のビジネスモデルから脱却し、時代や社会の要請に合わせて変革していくことが重要であり、結果として社会課題の解決はもちろんのこと、事業成長の好機にもつながるものと考えます。
当社がグループ総合戦略として位置づける「まちづくり戦略」も、コミュニティやサステナビリティの観点からESG経営と密接な関係にあります。「街の賑わいを創出し、地域との共生を図る」「商品や環境、サービスを通じて新しい価値を提案・提供する」ことは、さまざまな社会問題の解決に応用・発展させていくことができます。さらに当社は百貨店を中核に国内外で各グループ事業を展開しており、また優良な顧客基盤や店舗の立地、お取引先とのネットワークを有していることから、地球上のさまざまな問題にアプローチできる強みやポテンシャルを持ち合わせています。まちづくり戦略を推進する中で、短期的・中長期的両方の視点で社会課題の解決に取り組むことで、グループのさらなる成長を目指すと共に、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
{グループESG経営概念図}
{重点課題とKPI}
{TCFD提言への賛同}
当社は、グループ経営理念体系の「5つの指針」のひとつに「地球環境を守るためのたゆまぬ努力」を掲げています。また「髙島屋グループ環境方針」においても、地球温暖化の防止やCO2排出量の削減に重点を置くなど、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
このグループ環境方針は、ESG経営で掲げる環境課題を解決につなげる基本的姿勢でもあります。お客様やお取引先、地域社会など、多くの人々との直接的な接点をもつという事業特性を生かしながら、環境方針に基づくさまざまな活動に取り組んでいます。
しかし一方で、近年は気候変動や資源の枯渇、生物多様性の減少といった環境問題がより深刻化しており、環境問題への取り組みの重要性や緊急性が高まっています。特に中核事業である百貨店事業では、化石燃料などの地下資源による電力の大量消費や、プラスチックや食品ごみの大量廃棄、衣料品の過剰在庫など、現行のビジネスモデルが環境負荷を前提としていることをリスクと捉えています。
そこで当社は、従来型のビジネスモデルから、地球資源を再生・修復するビジネスモデルへと変革し、環境課題解決と事業成長の両立に取り組みます。また、TCFD提言に賛同し、TCFD提言が推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理とリスクに対する取り組み」「指標と目標」の4つの開示項目に基づき情報開示のさらなる拡充を図ってまいります。
{TCFD提言が推奨する開示項目に沿った情報開示}
TCFD提言が推奨する4つの開示項目<ガバナンス><戦略><リスク管理><指標と目標>と、項目毎の具体的な開示内容に基づき、当社グループは、気候関連情報を開示しています。
a)ガバナンス(環境課題に関するガバナンス)
①取締役会が気候関連課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、監視対象
髙島屋グループでは、グループESG経営で掲げる環境課題への取り組みを通じ、企業価値の向上や持続的成長を図り、お客様や株主・投資家をはじめとしたステークホルダーの皆様からのご期待に応えるためには、コーポレート・ガバナンスの強化は経営上の重要な課題と認識しています。
グループESG経営を組織内に浸透させ、当社がお客様や株主などステークホルダーの皆様との信頼関係を深め、社会的責任を重視した経営を持続的に推進するうえで、その支えとなるのが内部統制システムであると考えています。内部統制システムに関わる主な会議としては、社長を委員長とする「髙島屋グループCSR委員会」及び「髙島屋グループリスクマネジメント委員会」を設置しています。
「グループCSR委員会」は、2022年度より半期に一度開催し、コンプライアンス経営の徹底に加えて内部統制の状況や、新しい社会課題に対するCSR領域への取り組み状況をグループ横断的に検証し、強化する体制を整えています。
「グループリスクマネジメント委員会」は、必要に応じ都度開催し、主管部門が各部門と連携し、案件ごとにラインを通じて内部統制の強化を図っています。コンプライアンスリスク・自然災害リスク等の予防、極小化に向けグループ横断的に統制を図っています。また、新たなビジネスへのチャレンジ等、事業戦略上発生するリスクに対しては、リターンとのバランスを考慮しながら的確にコントロールし、グループ全体のリスクマネジメント体制の確立に取り組んでいます。
さらに、ESG経営を組織内に浸透させ、設定した重点課題に対する取り組みを確実に推進していくため、グループ視点での方針管理、進捗管理を充実させる「グループ環境・社会貢献部会」を四半期毎に開催し、より一体的でかつ実効性が発揮できる体制を整えています。
②経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス(委員会等)、モニタリング方法
取締役会は、当社の業務執行がグループ全体として適正かつ健全に行われるために、取締役の職務執行状況を適切に監督すると共に、実効性あるグループ全体の内部統制システムの基本方針に基づく運用状況や課題について定期的に確認しています。
社長が委員長を務める「グループCSR委員会」は、ESG重点課題の進捗状況を報告し、改善点に対しては速やかに次年度の活動へ反映するなどPDCAサイクルを徹底し、毎年度モニタリングを行っています。その内容については取締役会に報告し、取締役会による監督体制のもと、環境課題の取り組みに対するガバナンスの強化に努めています。
また、社長が委員長を務める「グループリスクマネジメント委員会」は、当社の業務執行に伴うさまざまなリスクを抽出し、リスク発生時の損失極小化に向けた対応等、協議された内容については、取締役会へ報告を行っています。
●内部統制システム体制図
●ESG重点課題 推進体制図
b)戦略(気候関連シナリオ分析)
①短期・中期・長期のリスク・機会の詳細
当社は、将来の気候変動が事業活動に与えるリスクと機会、財務影響を把握するため、従業員選抜型ワークショップを開催し、TCFDが提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて、2050年時点における外部環境変化を予測し、分析を実施しました。気候変動に伴う自然環境の変化や資源の枯渇等は、長期間にわたり当社の事業活動に大きな影響を与えるため、百貨店のみならずグループ事業全体において、従来型のビジネスから、地球資源を再生・修復するビジネスへと変革していくことが必要であると認識しています。当社が目指す将来社会を見据え、環境・社会領域におけるESG重点課題10項目は、2030年時点の達成目標(中長期)や、年度毎の数値目標(ロードマップ)を設定し、PDCAサイクルにて進捗管理を行っています。
②リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度
TCFDが推奨する気候変動関連リスクを移行リスク・物理的リスクの2つのカテゴリーに分類し、当社の事業活動に甚大な影響を及ぼす可能性がある主要なリスク項目を特定しました。また、「2℃以下シナリオを含む、様々な気候変動関連シナリオに基づく検討」を行うため、当社は、IPCCやIEA等のシナリオを参考に、事業活動や財務に及ぼす影響を分析し、持続可能な成長に向け、その対応策を検討・推進しています。当社のシナリオ分析は、パリ協定の目標である「2℃未満」と、CO2排出量削減が不十分な「4℃」の2つのシナリオを想定し、TCFDが推奨する典型的な気候変動関連リスクと機会を参考に分析を行いました。
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想定シナリオ |
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2℃未満 シナリオ |
気候変動対応の厳しい法規制施行による事業運営コストの増加 エネルギーコストや商品価格の高騰に伴う、商品調達リスクの拡大 消費者の環境意識の高まりによる新たなマーケット獲得 |
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4℃ シナリオ |
自然災害の多発・激甚化に伴う店舗被災、サプライチェーンの断絶など、営業機会の損失 エネルギー価格の高騰や資源不足に伴う商品調達リスクの拡大 環境負荷を前提としたビジネスモデルから脱却できない企業に対する市場からの淘汰 |
髙島屋グループのリスク・機会の概要と事業及び財務への影響
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リスク・機会 の分類 |
髙島屋グループ 気候変動関連リスク・機会の概要 |
事業及び |
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+2℃未満 |
+4℃ |
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リスク |
移 行 リ ス ク |
市場と 技術 |
* 再生可能エネルギーへの転換に伴う調達コスト増加 * 環境マーケット需要の獲得遅れに伴う競争力低下 |
〇 大きい |
大きくなる |
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評判 |
* 環境課題への対応遅れに伴うステークホルダーからの信用失墜、ブランド価値の毀損、組織会員離反 |
◎ 非常に 大きい |
非常に 大きくなる |
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政策と 法 |
* 炭素税の導入、プラスチック循環促進法への対応など、規制強化に伴う事業運営コストの増加 |
〇 |
軽微 |
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物理的 リスク |
* 大規模自然災害の発生に伴う店舗閉鎖や、サプライチェーン断絶に伴う営業機会損失 |
◎ |
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機会 |
エネルギー源 |
* 省エネ推進に伴う電力使用コスト削減 * 災害に備えた事業活動のレジリエンス確保 |
〇 |
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市場 |
* ESG経営の推進によるステークホルダーからの共感獲得、企業価値向上 * 高まる環境意識に対応した商品・サービスの提供によるマーケット獲得 |
〇 |
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③シナリオに基づくリスク・機会及び財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス
2030年時点を想定した2つのシナリオにおける事業及び財務への影響に関し、規制強化に伴う炭素税の導入や、再生可能エネルギー由来の電力調達コストが財務に影響を及ぼすものと考え、2℃未満シナリオにおける財務影響を試算しています。
当社への財務影響
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2030年時点を想定した財務影響 |
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炭素税導入 |
約25億円コスト増 |
※EUの炭素税価格(約11千円/t-CO2)を基準に、 当社2019年時点のCO2排出量(約230,516t)より算出 |
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再エネ由来の 電力調達 |
約16億円コスト増 |
※現状の調達電気との料金格差(約4円/kwh)に、 当社2019年時点の電力使用量(約392,824Mwh)より算出 |
当社は、気候変動関連リスクに対する事業活動や財務に与える影響などを踏まえ、持続可能な社会の実現に貢献することを目指し、社会課題解決と事業成長の両立を図る「グループESG経営」を推進しています。その一環として、2019年、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来の電力で調達することを目指す国際的イニシアチブ「RE100」に参加し、「2050年までに事業活動で使用する電力の100%を再生可能エネルギーに転換すること」を目標とし、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しています。また、店舗ごとに設備を省エネ効率の高い機器へと順次更新すると共に、既存照明をLED照明へ変更することにより、使用電力及びCO2の削減に努めています。国内百貨店では2011年~2021年までに約22,500Mwhの電力使用量を削減し、約10,000t-CO2のCO2排出量削減を実現しました。
さらに当社は、まちづくり戦略を通じ、「街のアンカーとして役割発揮」「館の魅力最大化」に取り組み、環境に配慮した商品やサービス、店舗施設の提供など、新しい価値を提案する次世代商業施設づくりを推進し、新たなマーケット獲得に取り組んでいます。グループ経営においても、これまで百貨店に集中していた経営資源をグループ内で有効活用し、既存事業の収益強化と将来の成長に向け事業規模の拡大や新規事業の開発を進めるなど、気候変動関連リスクの抑制に努めると共に、マーケット変化に積極的に対応し、新たなビジネス機会獲得に取り組んで参ります。
c)リスク管理とリスクに対する取り組み
①気候変動関連リスクの特定・評価プロセスの詳細、重要性の決定方法
当社は、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある気候変動関連リスクとして、「自然災害(地震・台風・洪水等)」、「ESG経営への取り組みの遅れ」、「サプライチェーンの破綻」等を事業等のリスクとして特定しています。これらのリスクに適切に対応するため、当社は、社長を委員長とする「髙島屋グループCSR委員会」及び「髙島屋グループリスクマネジメント委員会」を設置し、コンプライアンス経営の徹底に加え、内部統制の状況や新しい社会課題に対するCSR領域への取り組み状況等をグループ横断的に検証しています。
「髙島屋グループリスクマネジメント委員会」では、「グループの成長戦略の実行を阻害する事象」又は「事業活動継続と持続的成長を阻害する事象」を重要リスクであると定義し、気候変動に伴う重要リスクを特定、最終的に取締役会へ報告しています。
②重要な気候変動関連リスクの管理プロセスの詳細、優先順位付けの方法
気候変動関連リスクと機会は、当社の事業活動に大きな影響を及ぼすため、「髙島屋グループ環境・社会貢献部会」や「髙島屋グループCSR委員会」において、グループESG経営重点課題で掲げた環境課題に対し、年度計画に基づく取り組み内容や進捗状況を確認し、取締役会へ報告しています。
「髙島屋グループリスクマネジメント委員会」で特定した気候変動関連リスクは、「発生頻度・可能性」・「事業への影響度」を評価基準にリスクマップを策定し、その重要性を評価しました。
当社は、リスク管理体制を含む内部統制システムの整備に取り組み、気候変動関連リスクの予防・極小化に向け、グループ横断的に統制を図ると共に、新たなビジネスへのチャレンジ等、事業戦略上発生するリスクに対しては、リターンとのバランスを考慮しながら的確にコントロールするなど、グループ全体のリスクマネジメント体制の確立に取り組んでいます。
③全社リスク管理への仕組みの統合状況
気候変動関連リスクは、当社の事業活動に甚大な影響を及ぼす可能性があり、当社は、「髙島屋グループCSR委員会」及び「髙島屋グループリスクマネジメント委員会」を通じ、リスク発生時の対応やリスク管理体制の強化に努めています。リスクに対する取り組みとして、脱炭素社会の実現に向けた「RE100」や「EV100」の推進、廃棄プラスチックや食品ロスの削減、循環型ビジネスの構築等に取り組むと共に、自然災害の激甚化に伴う営業機会損失を最小限に抑制するため、店舗や施設のレジリエンスを高める設備投資や、EC事業・グループ経営の強化等に取り組んでいます。
d)指標と目標
①気候変動関連リスク・機会の管理に用いる指標
当社は、気候変動関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3温室効果ガス排出量、及び事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率を指標として定めています。
②温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)
百貨店事業を中核に位置付ける当社は、環境負荷を前提とした現行のビジネスモデルをリスクと捉え、環境課題の解決に向けて取り組んでいます。2019年、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来の電力で調達することを目指す国際的イニシアチブ「RE100」に参加し、脱炭素化推進に取り組んでいます。当社の2021年度Scope1・2温室効果ガス排出量は、約203千t-CO2、国内百貨店におけるScope3温室効果ガス排出量は、約2,772千t-CO2排出しています。
●温室効果ガス排出量
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範囲 |
2018 |
2019 |
2020 |
2021 |
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温室効果ガス排出量 |
CO2 ※1 |
連結 |
Scope1 排出量(t) |
12,153 |
24,953 |
21,055 |
20,197 |
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Scope2 排出量(t) |
119,468 |
205,563 |
178,090 |
183,301 |
|||
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Scope1-2 排出量(t) |
131,621 |
230,516 |
199,145 |
203,497 |
|||
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国内 百貨店 |
Scope3 排出量(t) |
3,449,427 |
3,382,417 |
2,495,547 |
2,772,244 |
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フロン類 排出量 ※2 |
連結 (海外除く) |
CO2-t |
1,353 |
1,552 |
1,609 |
1,580 |
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※1 CO2排出量(Scope1-2)は2018年度までは国内百貨店(㈱高島屋・分社含む)の数値です。
2019年度より国内外グループ会社も含めた連結ベースで算出しています。
※2 店内で使用している冷凍・冷蔵庫のフロン漏えい量を、フロン排出抑制法に基づき、CO2換算した数値です。
2018年度までは国内百貨店(㈱高島屋・分社含む)の数値です。
③気候変動関連リスク・機会の管理に用いる目標及び実績
当社は、2019年「RE100」に参加しております。「2030年度にScope1・2温室効果ガス排出量30%以上削減」、「2050年度までにScope1・2温室効果ガス排出量ゼロ」を目標として設定し、毎年度の数値目標を設定したロードマップに基づき、脱炭素社会の実現に向け、取り組んでいます。当社は、2019年度Scope1・2温室効果ガス排出量を基準に、中長期の温室効果ガス排出量削減目標とRE達成目標を設定し、脱炭素化を推進しています。
2021年度は、当初計画から前倒しを行い、グループ5施設(流山おおたかの森の3施設、髙島屋大宮店、日本橋3丁目スクエア)に、再生可能エネルギー由来の電力を導入しました。また、2022年度においても、流山おおたかの森S・C ANNEX2、こもれびテラスなど5施設に再生可能エネルギー由来の電力を導入し、脱炭素化を加速しています。
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Scope1・2 |
単位 |
2019年度 |
2025年度 |
2030年度 |
2050年度 |
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温室効果ガス排出量 |
t-CO2 |
230,516 |
208,961 |
161,361 |
0 |
|
削減量(19年度比) |
― |
△21,555 |
△69,155 |
△230,516 |
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温室効果ガス削減目標 |
% |
― |
△9.4% |
△30%以上 |
△100% |
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RE達成率 |
0% |
8.6% |
30%以上 |
100% |
(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
2023年度の連結経営目標は以下の通りです。
〇総額営業収益 9,400億円 ( 2019年度比 +209億円 )
○総額営業収益販売管理費比率 25.2% ( 同 △ 3.1% )
〇営業利益 350億円 ( 同 + 94億円 )
〇自己資本比率 36.3% ( 同 △ 0.9% )
〇ROE(当期純利益/自己資本) 5.5% ( 同 + 1.9% )
〇EBITDA総資産比率 5.0% ( 同 + 0.9% )
〇純有利子負債EBITDA倍率 2.0倍 ( 同 △ 0.2倍 )
○ROIC(投下資本利益率) 4.5% ( 同 + 1.4% )
(4)経営環境及び対処すべき課題
次年度は、水際対策緩和によるインバウンド需要の回復が見込まれる一方、物価高に対する消費者の生活防衛意識の高まりなど、国内個人消費の動向は決して楽観視できません。そうした中で持続的な成長を果たしていくためには、構造改革の成果である総額営業収益販売管理費比率の改善などを土台に、社会や経済、お客様ニーズの変化に対応しながら、売場づくり・接客・営業・目利き・仕入といった、百貨店の「人」を起点にした本質的な営業力を高め続けていく必要があります。
当社においては、企業の競争優位の源泉や、価値向上の大きな推進力となるのは、「人」や「ノウハウ」などの無形資産であると位置づけ、「人的資本経営」を推進し、人材への戦略投資による専門性・多様性の育成・獲得に取り組んでまいります。
また、当社はグループの各商業施設において、次年度、原則休業日を設定することといたしました。お取引先を含む従業員の就労環境の改善に取り組み、働く場としての当社の魅力向上を図ることで、継続的な人材確保を果たしてまいります。
サステナビリティに関しては環境問題への対処も緊急性を増しています。当社は、経営理念において「地球環境を守るためのたゆまぬ努力」を掲げております。これを体現するため、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)(※1)提言に賛同し、気候変動が事業活動や財務に及ぼす影響の分析を行い、持続可能な社会の実現に貢献するための対応策を検討・推進いたします。循環型ビジネススキームの構築や食品廃棄物の削減などの取組過程において、グループ全体で社会課題の解決に取り組むことで、ステークホルダーからの信頼・共感を獲得し、グループのブランド価値の向上と、持続的成長を可能とする事業基盤の強化につなげてまいります。
特に、次年度は多種多様なステークホルダーとの接点を有する当社の強みを発揮できる領域に重点を置いた取組を推進いたします。その一環として「エコ&エシカル」な商品・サービスによりサステナブルなライフスタイルを提案する「TSUNAGU ACTION」(※2)を本格始動し、より多くのお客様に共感・参画いただける活動としてまいります。
<百貨店業>
百貨店業におきましては、国内百貨店の営業力強化と収益安定化を図ってまいります。大型5店舗で取り組んだ構造改革については、品揃え・サービス面における改善点を早急に修正いたします。品揃えについては部門間の連携を深化させ、ライフスタイル軸の商品調達・プロモーションを推進いたします。販売面においては、販売手続の簡素化に取り組むと共に、デジタルツールの活用による業務効率化を図り、販売やサービスの質的向上につなげてまいります。
百貨店独自の価値提供による売上増大に向け、従来とは異なる切り口での高鮮度な催事やプロモーションなど、新しい企画の開発や、かつて当社が強みとしていた「海外商材の輸入ビジネス」のスキーム再構築に向けた計画の策定に着手いたします。
品揃えや売場づくりの基礎となる顧客政策については、お客様の属性やライフスタイルを基軸に多様化・細分化するニーズに即したマーケティング戦略を深化させ、お客様へのアプローチ精度向上を図ります。
ECにおきましては、ギフト対応の多角化と品揃えの拡充に取り組みます。また、お客様との接点づくりを強化し、新規顧客の獲得を推進してまいります。
飲食におきましては、株式会社アール・ティー・コーポレーションがセントラルキッチンの更なる活用を通じて食材調達の内製化を推進することにより、原価率の低減に取り組むと共に、核ブランドである「鼎泰豊」「リナストアズ」などの店舗のサービス向上と運営コストの見直しを図り、収益基盤を強化してまいります。
海外百貨店におきましては、今後成長が見込まれるASEAN地区の各拠点において、引き続き経営資源を投下してまいります。シンガポール髙島屋は、開店30周年を機に営業力強化策を推進してまいります。ホーチミン髙島屋は、顧客支持の高い商品群の改装を行い、収益増大を図ってまいります。上海高島屋は、ゼロコロナ政策からの転換により経済活動が正常化しつつある中、グランドオープン10周年を契機に、オンライン販売や法人向け販売促進など新しいチャネルでの営業施策を講じてまいります。サイアム髙島屋は、政府方針の下、増大するツーリスト需要を取り込むと共に、顧客ニーズに対応した品揃えやサービスの拡充を図ってまいります。
<商業開発業>
商業開発業におきましては、国内SCについてはローコスト運営モデルによる次世代型SCへの転換を加速させていきます。本年秋に京都髙島屋S.C.の開業や立川髙島屋S.C.のリニューアルオープンを予定しており、地域に根差した魅力的なSCを実現いたします。また、お客様のロイヤリティを基盤としたコミュニティを構築し、来店動機を創出することで新たなお客様層を開拓いたします。
加えて、収益基盤の更なる安定化に向け、引き続き非商業シェアを高めることでアセットの多角化を推進し、新たな需要を開拓する新規事業を開発いたします。
海外においては、引き続きベトナムを中心とした成長市場への投資を行います。商業開発・学校運営事業の「スターレイク・プロジェクトB計画」は、2025年の開業を目指して着実に計画を進めてまいります。
<金融業>
金融業におきましては、グループ全体の顧客基盤強化の主体として、新たな成長の柱づくりを強力に推進します。カード事業は、コロナ禍で毀損した会員基盤の早期復元を図るため、新規カード会員獲得を行う体制づくりや、カードの魅力向上に取り組みます。
ファイナンシャルカウンター事業と保険事業を展開するライフパートナー領域の事業は、カード事業に次ぐ金融の収益基盤として専門人材の配置など営業力を強化します。これによりライフプラン・資産アドバイザーからなる事業モデルを具現化し、専門性の強化とお客様提案・サービスの質的向上を図ってまいります。
また「スゴ積み」においては、昨年のサービス開始時に入会されたお客様の積立が本年7月に満期を迎え、店頭利用がスタートいたします。これを機に認知度拡大と会員獲得に向けたキャンペーンを実施し、顧客基盤強化に取り組んでまいります。
<建装業>
建装業におきましては、営業力とデザイン力を駆使した先行提案営業を確立すると共に、人材の補強や育成による専門性と多様性の発揮を通じて、業界競争力獲得を目指します。さらに、協力会社ネットワークを強化するなど技術を継承・発展させていくと共に、デジタル化による生産性向上や専門人材の定着化、ダイバーシティ推進にも取り組んでまいります。
<その他の事業>
その他の事業におきましては、広告宣伝業を担う株式会社エー・ティ・エーが、業界競争力向上に向け、デジタルを駆使したクリエイティブ力・企画営業力のある人材の育成と専門性向上を図り、外部営業力を強化いたします。また、マーケティング力・お客様ニーズへの対応力を高めると同時に、事業領域の拡大も進めてまいります。
※1:気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)
気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどの様に行うかを検討するため設立された国際機関であり、投資家に適切な投資判断を促すため、気候変動に関連する財務情報開示を企業へ促すことを目的としている。
※2:TSUNAGU ACTION
「21世紀の豊かさ」を共に考え実践するために、エコ&エシカルをテーマにしたライフスタイルの提案を通じ、年間を通してお客様と共に取り組むサステナブルな営業活動。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は、当社グループの事業等のリスクを全て網羅することを意図したものではないことにご留意ください。
なお、以下に記載したリスクのうち、新たな成長領域への事業拡大に関する法令違反や情報漏洩、お客様が損失を被るような事故等により、レピュテーションが低下するリスクは全ての項目において常に内在しています。当社グループは「コンプライアンスの徹底」を何よりも優先すべく、経営トップが強い意志を持って、グループ全体のリスクマネジメント体制の強化・内部統制システムの充実・取締役会の機能強化に取り組んでまいります。
(1)外部環境に起因するリスク
①新たなパンデミックの発生 ・・・影響度=特に大
<リスクと機会>
|
リスク |
*店舗の休業・営業時間の短縮によるビジネス機会の逸失 *消費マインドの低下及び来店頻度の減少 |
|
機 会 |
*新たな社会環境や消費行動に対応した事業展開 *アセットの多角化、経営資源の有効活用によるグループ事業の成長 |
<対応策>
経営の安定化に向けて、ブランド価値の源泉である百貨店の再生を図りつつ、商業開発業、金融業などの成長領域事業を積極的に拡大するなど、社会環境や消費行動の変化を見据えた事業ポートフォリオの最適化を図ってまいります。また、ECなど実店舗に頼らない無店舗販売チャネルの強化拡大、実店舗においてはデジタル技術を活用したリモート接客システムの導入など非接触型販売の仕組みを積極的に導入し、消費行動の変容に対応してまいります。
②自然災害(地震・台風・洪水等)、戦争・テロ等 ・・・影響度=特に大
<リスクと機会>
|
リスク |
*店舗など営業用資産の損壊によるビジネス機会の逸失 *交通機関や通信網の破綻によるビジネス機会の逸失 *金融市場の混乱による資金調達への悪影響 |
|
機 会 |
*地域の安心・安全に向けた取組への貢献 |
<対応策>
当社グループは関西・関東隔たりなく拠点を展開しており、大規模かつ広域にわたる甚大な災害が起きた場合でも、関西・関東のいずれかに危機管理対策本部を速やかに設置し、情報連携及び指示命令系統を損なわない体制を整えております。また被災店舗への救援体制の整備、重要データ消失を防ぐクラウド化の推進、事業を最低限継続できる各種インフラや備品の整備など、BCP対策の徹底を図っております。
主要都市に拠点を持つ企業として求められる社会的使命を果たす観点から、大規模災害時に帰宅困難者を受け入れるスペースを店舗施設内に予め確保するほか、生活関連物資を中心とした店頭商品の拠出ができるよう、あらかじめ仕入先と取り決めておくなど、直ちに被災者救援活動を行う体制を整えております。
また、戦争・テロ等に関しましては、世界的規模で各種市場が混乱し、適正な価格形成が果たせず、予期せぬ損失が発生する可能性があります。金融市場に及んだ場合には、当社グループが通常求める条件での資金調達ができないリスクが生じます。現時点で必要な資金は確保しておりますが、将来におけるリスクシナリオを想定し、多様な資金調達手段により十分な手元流動性を確保してまいります。
③社会構造の変化による国内人口の減少と地方都市空洞化
<リスクと機会> ・・・影響度=特に大
|
リスク |
*少子高齢化、地方都市空洞化に伴うマーケットの縮小 *労働人口の減少に伴う必要人材の確保難 |
|
機 会 |
*リスキルによる人材有効活用の促進 |
<対応策>
抗えないこれらの外部環境変化に対応するため、百貨店においてはお客様の興味・関心に即した売場の再編、エシカルな消費行動に対応した独自商品の販売を強化し、魅力ある品揃えの実現に努めてまいります。また多様化するニーズに対応した販売の仕組みづくりや、単なる商品販売に止まらず、金融サービスや介護サービスなどライフタイムバリュー(LTV)全般の向上に寄与する商品提供による来店動機・機会の向上に努めてまいります。更に、実店舗に頼らないECの強化、百貨店のないエリアへの通販カタログ配布などを通じて商圏の拡大及びお客様との接点の拡大を図ります。
また、街のアンカーとしての機能強化につながる拠点開発や異業種・外部企業とのアライアンスによって非商業分野も取り込んだ新たなコンテンツ開拓、各拠点における複合的な機能・サービス・空間としての魅力訴求による来店頻度の向上も積極的に推進してまいります。
一方、労働人口減少への対策としては、新卒にこだわらない採用活動、専門人材の登用、外国人労働者の受け入れを積極的に推進するほか、品揃え強化に向けたバイイング能力の向上、リスキルなど社内の人材育成にも努めてまいります。
(2)グループ経営におけるリスク
①改革推進の遅れ
<リスクと機会> ・・・影響度=特に大
|
リスク |
*グループ収益の減少 *百貨店事業の衰退 |
|
機 会 |
*商環境に左右されない収益構造の確立 |
<対応策>
当社は、百貨店事業が赤字に陥っていたのは、新型コロナウイルス影響だけではなく、時代の変化や消費者のニーズを的確に捉え、迅速に品揃えを見直し、百貨店の強みや特徴を発揮できるよう組織と意識を変革しきれていないからであると認識しております。厳しい環境下でも利益を創出するために、従業員一人ひとりの利益に対する意識を高め、利益にこだわる人と組織を確立していきます。全ての業務執行において、目標とする数値を常に明確にし、その進捗状況の確認や課題の共有・解決についても、数値で相互に可視化することで、随時モニタリングが可能な開かれた組織風土へ変革してまいります。
②ESG経営への取り組みの遅れ
<リスクと機会> ・・・影響度=特に大
|
リスク |
*ステークホルダーからの信用喪失 *グループ収益の根幹となるブランド価値の毀損 *法令違反や情報漏洩等によるレピュテーションの低下 |
|
機 会 |
*当社の社会的評価、存在意義の確立 |
<対応策>
当社グループのESG戦略においては、環境・社会・ガバナンスそれぞれの面において、ステークホルダーに対して髙島屋グループならではの価値を提供することで共感を獲得し、社会課題解決と事業成長を両立しつつ、最終的には全ての人々が21世紀の豊かさを実感できる社会の実現を目指しております。
ESG経営を確実に推進していくために、グループの視点での方針管理、進捗管理を充実するための「グループ環境・社会貢献部会」を設置し、より一体的でかつ実効性が発揮できる体制を整えております。
そのうえで、環境面の主な取組内容としては、省エネ対策や再生エネルギー転換などによる脱炭素化推進、「デザイン性・利便性」と「環境負荷軽減・インクルーシブ化(多様性の尊重)」を両立する商品開発・空間づくりを通じて、新たな文化を創造し、次代のトレンドをけん引する主体的な役割を当社グループが果たしていきます。
社会面におきましては、人権尊重に基づく雇用関係の確立、国籍や人種、LGBTなどに係わらない平等な賃金、教育機会、福利厚生の提供など、多様な価値観を受け入れる基本指針の策定と、その浸透に向けた意識の醸成を推進してまいります。
ガバナンス面では、取締役会が果たすべき責務・役割が発揮できているか、機能発揮のための適切な体制整備や取締役会運営ができているかという視点で、年1回、全取締役・監査役対象のアンケートと、その結果に基づく社外取締役・監査役への個別ヒアリングを通して取締役会の実効性評価を行っております。更に、評価結果から得られた改善点に対しては速やかに次年度取締役会に反映するなどPDCAサイクルを徹底し、取締役会の実効性向上に努めてまいります。
また当社グループでは社長を委員長とする「髙島屋グループCSR委員会」を設置し、コンプライアンス経営の徹底に加えて内部統制の状況や新しい社会課題に対するCSR領域への取り組み状況等をグループ横断的に検証し強化する体制を整えております。また、不正行為等の通報を匿名でも受け付ける窓口「髙島屋グループ・コンプライアンス・ホットライン」を社内外に設置し、より多くの内部通報を受け付けて自浄作用を高める仕組みを整えております。国内、海外問わず事業拡大に応じて増えつつある子会社・孫会社などグループ全体に行きわたるモニタリングと三線ディフェンスの一層強化に努めてまいります。
③デジタルトランスフォーメーションへの対応の遅れ
<リスクと機会> ・・・影響度=大
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リスク |
*新たなニーズの掘り起こしと新たな顧客層開拓への支障 *グループコスト構造改革への支障 *情報漏洩事故 *ITシステム維持コストの増大 |
|
機 会 |
*着実なデジタルトランスフォーメーションの推進による事業効率の向上 *新たな情報発信手法によるターゲットへの確実な訴求 |
<対応策>
デジタルトランスフォーメーションの着実な推進と効果の最大化に向け、グループ従業員及び各組織のITリテラシーの向上を図ってまいります。そのうえで、デジタル技術を活用したオンライン予約システムやリモート接客などお客様の新しいニーズへの対応策を展開してまいります。コスト構造改革の観点からはデジタル技術を活用した販売手続き・業務手続きの簡素化を進めて業務の効率化と要員の最適化を図ってまいります。情報セキュリティーの観点からは、セキュリティーポリシーを随時見直し、それに基づく厳格なシステム運用を行っていきます。また、経営計画と連動し、IT関連の長期投資計画、予算の適正化に努めてITシステム維持コストの抑制に努めてまいります。
④成長事業に関するリスク
a)EC事業拡大戦略の遅れ
<リスクと機会> ・・・影響度=特に大
|
リスク |
*実店舗依存型ビジネスモデルからの脱却の遅れ *物流費などをはじめとする高コスト構造改善の遅れ |
|
機 会 |
*新しい生活様式、消費行動に順応した事業展開 |
<対応策>
ECの売上高と強固な収益基盤の確立を早期に達成するため、単なる営業施策としての取り組みではなく、社長直轄の推進プロジェクトを構築、全社・グループ横断的な検討を強力に推進してまいります。このプロジェクトを通じて、EC専業の事業者にはできない、百貨店ならではの魅力ある商品・独自商品の訴求とサービスの提供、実店舗とオンラインの垣根をなくして相乗効果を図るOMO(Online Merges with Offline)による他社との差別化を図ります。
また、2024年4月1日から予定されている労働基準法改正(自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制)に伴う物流コストの上昇も見据え、EC出荷倉庫を準備し、配送スキームの効率化とコスト削減により収益基盤の確立に努めてまいります。
b)金融業拡大戦略の遅れ
<リスクと機会> ・・・影響度=特に大
|
リスク |
*グループ事業拡大の遅れ |
|
機 会 |
*新たな顧客層の開拓 |
<対応策>
金融業がグループ全体の盤石な顧客基盤形成に寄与するよう、百貨店売場や外商との連携をより一層緊密化した新たなサービスの開発、コンサルティングの強化、商品メニューの充実により、継続的に顧客満足度の向上に取り組んでまいります。
また、金融のデジタル化、キャッシュレス化に対応した新たな金融サービスの開発を、アライアンス企業との協業等を通じて推進し、次世代顧客層の拡大につなげてまいります。
c)海外事業の展開
<リスクと機会> ・・・影響度=大
|
リスク |
*突発的な政治・経済情勢の変化や為替変動に伴う資産価値の変動と投資回収の遅れ |
|
機 会 |
*カントリーリスクを踏まえた展開による盤石な事業基盤の確立と海外における 事業拡大 |
<対応策>
当社グループにおいては、経営における迅速な判断・軌道修正を可能とするため、現地法人を設立して当該法人にイニシアチブを持たせています。その上で、グループ本社とはリモート会議等によるタイムリーな情報共有や、自主点検シートを活用した経営状況のチェックなど、三線ディフェンスの強化によるグローバルガバナンスの徹底を図ってまいります。また、現地従業員との人権尊重に基づく雇用関係確立、国籍や人種・宗教・LGBTなどに係わらず平等な賃金・教育機会・福利厚生を提供してまいります。そのうえで、現地従業員の幹部登用も視野に入れた能力開発を積極的に進め、同じ髙島屋グループの一員としての共通目標、意識の共有を図ってまいります。
⑤サプライチェーンの破綻、サプライチェーン上における人権問題の発生
<リスクと機会> ・・・影響度=特に大
|
リスク |
*取引先の倒産や事業終了による百貨店の商品調達への支障、品揃えの魅力度低下 *人権問題に起因するレピュテーション低下、不買運動など *テナントの賃料支払能力低下による賃貸収入の減少 *売場レイアウト破綻による売場空間の魅力低下 |
|
機 会 |
*取引先との強固な関係構築による品揃えの魅力向上と安定的な利益確保 |
<対応策>
当社グループでは、お取引先とのWIN-WINの関係構築に向けて、主要なお取引先と目標を共有し、協働でそれを達成するための具体策を推進してまいります。また、新たな取引先開拓による品揃えの鮮度の維持向上や、川上企業との直接取引拡大による商品調達力の向上を図ってまいります。
サプライチェーン上における人権問題に対しては、ビジネス上の関係を洗い出してバリューチェーンの大枠把握とリスク要因の情報収集を行うなどの人権デューデリジェンスを進めてまいります。
商業開発業においては、専門店テナントとの共同販促活動を一層強化推進するほか、経営状態が厳しいテナントに対しては、家賃の一時的な敷金からの充当や当面の家賃支払猶予など資金支援を行い、共存共栄を原則とした取り組みに努めてまいります。
(1)経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。
①財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態 (単位:百万円)
|
|
当連結会計年度 |
前連結会計年度 |
前年増減高 |
前年比 |
|
総資産 |
1,178,201 |
1,144,335 |
33,865 |
3.0% |
|
負債 |
741,718 |
723,846 |
17,872 |
2.5% |
|
純資産 |
436,482 |
420,489 |
15,992 |
3.8% |
|
自己資本比率 |
35.1% |
34.8% |
- |
0.3% |
b.経営成績 (単位:百万円)
|
|
当連結会計年度 |
前連結会計年度 |
前年増減高 |
前年比 |
|
営業収益 |
443,443 |
761,124 |
△317,680 |
△41.7% |
|
営業利益 |
32,519 |
4,110 |
28,409 |
691.1% |
|
経常利益 |
34,520 |
6,903 |
27,617 |
400.0% |
|
親会社株主に帰属する当期 純利益 |
27,838 |
5,360 |
22,478 |
419.4% |
※収益認識に関する会計基準等の適用により、当連結会計年度の営業収益は438,319百万円減少し、営業利益は1,525百万円、経常利益は2,468百万円増加しております。
(事業のセグメント別業績) (単位:百万円)
|
|
当連結会計年度 |
前連結会計年度 |
前年増減高 |
前年比 |
|
連結営業収益 |
443,443 |
761,124 |
△317,680 |
△41.7% |
|
百貨店業 |
321,220 |
648,361 |
△327,141 |
△50.5% |
|
商業開発業 |
47,512 |
41,185 |
6,326 |
15.4% |
|
金融業 |
17,205 |
16,515 |
690 |
4.2% |
|
建装業 |
22,691 |
16,331 |
6,360 |
38.9% |
|
その他 |
34,812 |
38,729 |
△3,917 |
△10.1% |
|
連結営業利益又は 連結営業損失(△) |
32,519 |
4,110 |
28,409 |
691.1% |
|
百貨店業 |
18,410 |
△6,561 |
24,971 |
- |
|
商業開発業 |
9,266 |
7,279 |
1,987 |
27.3% |
|
金融業 |
4,513 |
4,358 |
154 |
3.5% |
|
建装業 |
16 |
△504 |
520 |
- |
|
その他 |
1,418 |
1,613 |
△195 |
△12.1% |
※収益認識に関する会計基準等の適用により、当連結会計年度の「百貨店業」の営業収益は436,343百万円減少、セグメント利益は1,521百万円増加し、「商業開発業」の営業収益への影響は軽微であり、セグメント利益への影響はありません。また「金融業」の営業収益及びセグメント利益への影響は軽微であり、「建装業」の営業収益及びセグメント利益への影響はなく、「その他の事業」の営業収益は1,950百万円減少、セグメント利益への影響は軽微であります。
②キャッシュ・フロー (単位:百万円)
|
|
当連結会計年度 |
前連結会計年度 |
前年増減高 |
前年比 |
|
営業活動キャッシュ・フロー |
36,497 |
21,044 |
15,453 |
73.4% |
|
投資活動キャッシュ・フロー |
△10,707 |
△37,120 |
26,413 |
- |
|
財務活動キャッシュ・フロー |
△32,428 |
△4,758 |
△27,669 |
- |
|
現金及び現金同等物 |
88,631 |
88,996 |
△365 |
△0.4% |
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年比(%) |
|
建装業 |
22,232 |
40.6 |
|
合計 |
22,232 |
40.6 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去をしております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年比(%) |
受注残高(百万円) |
前年比(%) |
|
建装業 |
29,212 |
87.7 |
15,159 |
85.4 |
|
合計 |
29,212 |
87.7 |
15,159 |
85.4 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去をしております。
2 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年比(%) |
|
百貨店業 |
321,220 |
△50.5 |
|
商業開発業 |
47,512 |
15.4 |
|
金融業 |
17,205 |
4.2 |
|
建装業 |
22,691 |
38.9 |
|
その他 |
34,812 |
△10.1 |
|
合計 |
443,443 |
△41.7 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去をしております。
2 販売高には、「その他の営業収入」を含めて表示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等の状況に関する認識
当連結会計年度における我が国経済は、昨年3月にまん延防止等重点措置が解除されるなど、経済活動の正常化に伴い、個人消費についても、徐々に新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)拡大前の状況に回復しつつあります。また、水際対策の緩和などにより訪日外国人の増加も見られます。しかし、政府の消費動向調査では、足元の物価高が懸念され、消費者マインドに足踏みが見られるなど、先行きは不透明な状況が続いております。
こうした中、髙島屋グループ(以下、当社)は、厳しい環境下における生き残りと将来成長を目指し「百貨店の営業力強化」「業務改革、従業員の意識・組織風土の変革」「グループ会社の収益強化と事業拡大への基盤構築」「グループESG戦略の推進」に取り組んでまいりました。
百貨店事業におきましては、来店客数の増加やインバウンドの回復などにより、売上高は前年を大きく上回りました。さらに、安定的に利益を創出できる経営体制の確立を最優先課題に、大阪店を皮切りとして、大型店舗の構造改革に取り組みました。この結果、国内百貨店の総額営業収益販売管理費比率は22.6%(前年同期は25.1%)に改善いたしました。
商業開発業では、東神開発株式会社が、千葉県の流山おおたかの森地区において、「流山おおたかの森S・C」を中心に周辺開発を進めてまいりました。また、アセットの多様化を加速し、賃貸住宅の取得など非商業分野の開発を進めております。ベトナムにおいてはホーチミン髙島屋を中核とするサイゴンセンター事業に続き、ハノイにおける拠点開発・事業開発を進めております。
金融業では、住信SBIネット銀行株式会社の「NEOBANK®」を活用し、銀行取引や百貨店でのお買物の積み立て「スゴ積み」(※1)が利用できる「髙島屋ネオバンク」サービスを昨年6月に開始いたしました。また同年9月には、「タカシマヤの投資信託」において、「タカシマヤのポイント投資」サービスを開始いたしました。本サービスにより、タカシマヤポイントの利用機会拡大を図り、百貨店業と金融業の活性化につなげております。
ESG経営においては、「すべての人々が21世紀の豊かさを実感できる社会の実現」を目指して、社会課題解決と事業成長の両立に取り組んでおります。環境課題への対応としては、グループ5施設への再生可能エネルギー導入に加えて、衣料用ビニールのマテリアルリサイクル(※2)や、納品時におけるリユース可能な箱の利用など、サプライチェーン連携による新たな取組を進めております。食品ロス削減月間である10月には、「フードドライブ活動」(※3)を10店舗(百貨店7店舗・SC3店舗)で実施いたしました。
社会課題に対する取組としては、個々の「違い」を受け入れ、認め合い、価値創造に生かしていくダイバーシティ&インクルージョンの実現に向け、昨年10月の改正育児・介護休業法を受け、出生時育児休職の制度などにおいて、法の基準を上回る改正を行いました。また、店頭販売員の一般制服の廃止など、誰もが働きやすい職場を目指した環境整備を進めております。
さらに、環境・社会課題の解決に貢献できる資金調達方法の一つとして、サステナビリティ・リンク・ローン(※4)契約を締結するなど、ESG経営と事業活動の両立を推進しています。
b.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、1,178,201百万円と前連結会計年度末に比べ33,865百万円増加しました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産が増加したことが主な要因です。負債については、741,718百万円と前連結会計年度末に比べ17,872百万円の増加となりました。これは、支払手形及び買掛金が増加したことが主な要因です。純資産については、436,482百万円と利益剰余金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ15,992百万円増加しました。
以上の結果、自己資本比率は35.1%(前年比0.3ポイント増)となり、1株当たり純資産額は2,620円43銭(前年比229円96銭増)となりました。
c.経営成績
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前期比(%)を記載せずに説明しております。
当連結会計年度の連結業績につきましては、連結営業収益は443,443百万円(前年同期は761,124百万円)、連結営業利益は32,519百万円(前年同期は4,110百万円)、連結経常利益は34,520百万円(前年同期は6,903百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は27,838百万円(前年同期は5,360百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、営業収益は438,319百万円減少し、営業利益は1,525百万円、経常利益及び税金等調整前当期純利益は2,468百万円それぞれ増加しております。
ROE(自己資本利益率)は6.9%、EBITDA(※5)総資産比率は4.8%、純有利子負債EBITDA倍率は2.2倍となり、2023年度を最終年度とする3カ年計画の目標値を1年前倒しして達成いたしました。自己資本比率は35.1%、総額営業収益販売管理費比率は25.9%となりました。
また、当事業年度の単体業績につきましては、売上高は284,067百万円(前年同期は597,951百万円)、営業利益は10,291百万円(前年同期は営業損失7,760百万円)、経常利益は15,908百万円(前年同期は2,620百万円)となり、当期純利益は17,036百万円(前年同期は6,949百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は407,753百万円減少し、営業利益は891百万円、経常利益及び税引前当期純利益は2,031百万円それぞれ増加しております。
事業のセグメント別業績は、次のとおりであります。
<百貨店業>
百貨店業での営業収益は321,220百万円(前年同期は648,361百万円)、営業利益は18,410百万円(前年同期は営業損失6,561百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、営業収益は436,343百万円減少し、営業利益は1,521百万円増加しております。
国内百貨店では、外出機会の拡大から店頭へのご来店が増加し、インバウンドを除く国内顧客売上は2019年度の水準まで回復してきております。各店で開催した「大北海道展」などの物産展は、多くのお客様から好評を博したほか、クリスマスや年末年始の商戦も賑わいが見られました。またラグジュアリーブランドや宝飾品などの高額品は引き続き好調に推移しており、水際対策緩和によるインバウンド売上の回復などもあり、入店客数・売上共に前期から大きく増加いたしました。
「立川髙島屋S.C.」の百貨店区画である立川店は、本年1月に営業終了いたしました。商業施設としては引き続き営業を継続し、本年秋に全館専門店としてリニューアルオープンいたします。またJR新横浜駅の「タカシマヤフードメゾン新横浜店」は、本年2月に営業終了いたしました。食料品売場の増床により品揃えが更に充実した横浜店にて、引き続きお客様のニーズにお応えしてまいります。
ECでは、店頭売上高回復の影響により苦戦したものの、百貨店らしい品揃えやサービスの特徴化・差別化を図ると共に、外部との連携による新規顧客の獲得や、決済方法の多様化による利便性向上を図りました。
海外(2022年1月~12月)におきましては、シンガポール髙島屋は昨年4月以降のコロナによる規制の緩和に伴い、ツーリスト売上が回復すると共に、好調な内需を取り込みました。また、ホーチミン髙島屋、サイアム髙島屋においても売上の回復が見られ、3社においては増収増益となりました。一方、上海高島屋は、コロナの感染拡大や対策強化に伴う休業等が継続し、減収減益となりました。
<商業開発業>
商業開発業での営業収益は47,512百万円(前年同期は41,185百万円)、営業利益は9,266百万円(前年同期は7,279百万円)となりました。なお、商業開発業セグメントにおいては、収益認識会計基準等の適用による営業収益への影響は軽微であり、営業利益への影響はありません。
国内におきましては、来店客数の増加に伴い賃料収入が回復し、増収増益となりました。昨年3月に開業15周年を迎えた「流山おおたかの森S・C」では、同年6月に「流山おおたかの森S・C ANNEX2」と「GREEN PATH」が開業いたしました。「玉川髙島屋S・C」では地域の安心・安全拠点として、世田谷区と災害時協力協定を締結するなど、引き続き地域に根差したコミュニティ基盤の創造と、サステナブルな地域社会の実現に取り組んでおります。 加えて、より安定的な事業ポートフォリオの構築に向け、大阪日本橋では当社用地を有効活用して賃貸住宅を着工、東京近郊では新たに賃貸住宅を取得するなど、非商業アセットの開発を進めております。
海外におきましては、「シンガポール髙島屋S.C.」を運営するトーシンディベロップメントシンガポールPTE.LTD.が、高額品を中心とした消費の伸長により、増収増益となりました。また、ベトナムにおいては引き続き、学校運営事業の「スターレイク・プロジェクトA計画」並びに住宅・オフィス・商業開発事業の「ランカスター・ルミネールプロジェクト」等を推進し、現地での事業基盤の拡大を進めております。
<金融業>
金融業での営業収益は17,205百万円(前年同期は16,515百万円)、営業利益は4,513百万円(前年同期は4,358百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用による営業収益及び営業利益への影響は軽微であります。
カード事業におきましては、百貨店や専門店の店頭、オンラインストア等のWEBチャネルからの入会促進による新規会員の獲得強化を進めると共に、消費回復を捉えたキャンペーンなども実施し、外部の加盟店利用を含むクレジットカード利用促進を図りました。
ファイナンシャルカウンター事業におきましては、日本橋・横浜・大阪の3拠点体制において売場と協働した認知度向上策と集客対策に取り組んでおります。投資信託や相続対策など、カウンター相談に加えて百貨店顧客向けのセミナーを開催し顧客接点を増やした結果、新規顧客数・成約件数共に増加しました。
「髙島屋ネオバンク」の「スゴ積み」においては、タカシマヤ友の会の会員と比べて50歳以下のお客様や男性のお客様の比率が高く、平均積立額も高いといった特性が見られております。
<建装業>
建装業での営業収益は22,691百万円(前年同期は16,331百万円)、営業利益は16百万円(前年同期は営業損失504百万円)となりました。なお、建装業セグメントにおいては、収益認識会計基準等の適用による営業収益及び営業利益への影響はありません。
髙島屋スペースクリエイツ株式会社は、コロナ影響からの回復により、ラグジュアリーブランドを中心とした商業施設や、大型ホテルの受注が増加し、増収となり黒字転換いたしました。引き続き先行提案営業を強化し、安定的な収益基盤の構築に努めてまいります。
<その他の事業>
その他の事業全体での営業収益は34,812百万円(前年同期は38,729百万円)、営業利益は1,418百万円(前年同期は1,613百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、営業収益は1,950百万円減少し、営業利益への影響は軽微であります。
クロスメディア事業は、百貨店の店頭売上高回復の影響により減収となりました。人材派遣業の株式会社センチュリーアンドカンパニーは、人材派遣、業務委託業の受注拡大により増収増益となりました。その他の事業全体では減収減益となりました。
※1:スゴ積み
「髙島屋のスゴイ積立」のことで、髙島屋ネオバンクアプリに搭載された機能の一つ。毎月一定額を12ヵ月積み立てると1ヵ月分のボーナスをプラスした「お買物残高」がアプリにチャージされ、髙島屋のお買物にお使いいただけるサービスのこと。
※2:マテリアルリサイクル
廃棄物を回収し、利用しやすいよう処理して、新しい製品の材料や原料として使うこと。
※3:フードドライブ活動
家庭に眠っている未開封で賞味期限前の食品を提供してもらい、フードドライブ団体や地域の福祉施設などに寄贈することで、未利用食品を有効活用する取組のこと。
※4:サステナビリティ・リンク・ローン
借り手のサステナビリティ目標と連携したサステナビリティ・パフォーマンスターゲット(SPT)を設定し、金利などの貸付条件とSPTに対する借り手のパフォーマンスを連動させ、SPT達成への動機付けを与えることで、環境的・社会的に持続可能な経済活動及び経済成長を促進し、支援することを目指した資金調達手法。
※5:EBITDA
会社の純粋な現金創出力を評価する指標。当社では、連結営業利益に連結減価償却費(海外グループ会社における、IFRS16号適用によるリース資産に対する減価償却費を除く)を加算したもの。
d.キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、36,497百万円の収入となり、前年同期が21,044百万円の収入であったことに比べ15,453百万円の収入の増加となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益が31,239百万円増加したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、10,707百万円の支出となり、前年同期が37,120百万円の支出であったことに比べ26,413百万円の支出の減少(収入の増加)となりました。主な要因は、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入が10,190百万円増加したこと、有形及び無形固定資産の取得による支出が6,925百万円減少したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、32,428百万円の支出となり、前年同期が4,758百万円の支出であったことに比べ27,669百万円の支出の増加(収入の減少)となりました。主な要因は、社債の発行による収入が20,000百万円減少したこと、自己株式の取得による支出が16,695百万円増加したことなどによるものです。
これらに換算差額を加えた結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ365百万円減少し、88,631百万円となりました。
②資本の財源及び資金の流動性
資本の財源及び資金の流動性に関し、当社グループは運転資金及び設備資金等の必要資金につきましては、内部資金、売掛債権流動化資金、又は外部調達(借入もしくは社債)により資金調達することとしております。このうち外部調達に関しましては、主として長期・安定した資金にて実施しております。
また、当社は国内金融機関から相対取引による十分な借入枠を有しており、TMS(トレジャリー・マネジメント・サービス:グループ会社間で一元的に資金を管理する仕組み)により国内グループ会社間の資金融通を行うことで資金効率を高め、海外グループ会社は十分な手許資金を保有することで事業運営上の流動性を確保しております。
なお、当連結会計年度末の有利子負債(リース債務は含まない)の残高は213,583百万円であります。
③重要な会計方針並びに重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表等」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表等」の(重要な会計上の見積り)に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りに関しては、第5「経理の状況の1「連結財務諸表等」の(追加情報)に記載しております。
④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
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指標 |
2022年度 |
経営上の目標 |
増 減 |
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総額営業収益 |
8,817億円 |
9,400億円 |
582億円 |
|
総額営業収益販売管理費比率 |
25.9% |
25.2% |
△0.7% |
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営業利益 |
325億円 |
350億円 |
25億円 |
|
自己資本比率 |
35.1% |
36.3% |
1.2% |
|
ROE(自己資本当期純利益率) |
6.9% |
5.5% |
△1.4% |
|
EBITDA総資産比率 |
4.8% |
5.0% |
0.2% |
|
純有利子負債EBITDA倍率 |
2.2倍 |
2.0倍 |
△0.2倍 |
|
ROIC(投下資本利益率) |
4.4% |
4.5% |
0.1% |
当社グループでは、「総額営業収益」、「総額営業収益販売管理費比率」、「営業利益」、「自己資本比率」、「ROE(自己資本当期純利益率)」、「EBITDA総資産比率」、「純有利子負債EBITDA倍率」、「ROIC(投下資本利益率)」を経営成績の客観的な分析指標として採用しております。
達成状況を判断するため、当連結会計年度実績との比較をしておりますが、目標値設定過程に関しては、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(2)「経営戦略等」及び(3)「経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等」をご覧ください。
特記事項はありません。
特記事項はありません。