第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、『地域住民への生活モデルの提供を通して、地域社会になくてはならない存在であり続けること』を企業の基本理念としており、『「楽しい」「うれしい」「おいしい」の価値創造を通じ、お客様の心を豊かにする暮らしの元気パートナーとして、地域社会と子どもたちや地球の未来に貢献したい』というビジョンのもと、グループ全体のさらなる企業価値向上を目指しております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、成熟した市場環境の中で将来にわたり継続的に企業価値の向上を図るために、成長戦略の明確化、株主還元強化、株主・投資家層拡大とコミュニケーション強化により株価収益率(PER)を、総資産・自己資本のコントロール、高成長/高収益事業への集中投資により連結の自己資本当期純利益率(ROE)をそれぞれ向上させ、株価純資産倍率(PBR)1倍超の達成と定着を目指してまいります。

 

(3) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

[長期事業構想2030 Ver.2]


 

既存事業の再建・磨き上げ、新市場への展開、新事業モデルへの挑戦を軸とする「長期事業構想2030」について、「中期経営計画 2021-2023」の成果や経営環境変化などを踏まえ、「長期事業構想2030 Ver.2」として成長戦略を再構築しました。顧客を最大の「資産」と捉えて顧客視点でビジネスを再編、国内顧客・店舗ビジネス、海外顧客ビジネス、顧客サービスビジネス、顧客データ活用ビジネス、及び企業インフラ整備推進に注力し、LTV(顧客への生涯提供価値)最大化に向けて「コミュニケーションリテイラー」の確立を目指します。2030年にはグループアクティブ顧客数1,000万人、営業利益350~400億円、ROE8%以上を目標とします。

 

[中期経営計画2024-2026 方針と重点取り組み]

インフレ型経済への移行の可能性、人口減社会への緩やかな進行、消費マーケットの二極化、インバウンド消費の急拡大、デジタルをベースとした生活スタイルやコミュニケーションの定着、資本市場やステークホルダーからの要請拡大などの経営環境変化やそれを受けた問題意識などを前提に、「長期事業構想2030 Ver.2」の実現に向けて、「中期経営計画2024-2026」において次の5つの方針と重点取り組みを策定しました。

 

① 百貨店事業の重点顧客戦略と阪急本店リモデルなどの実施や、食品事業の4つの食品スーパーの業務統合推進と効果の刈り取り、エリアにおける競争力強化などによる「国内顧客・店舗ビジネス」の深化

② 顧客開拓×パーソナルコミュニケーション×コンテンツ開発というサイクル実現のための取り組み本格化などによる「海外顧客ビジネス」への注力・強化

③ 顧客サービスビジネス・顧客データ活用ビジネスなどによる「新たな収益源の開発・展開」

④ IT/DX投資や人材育成・開発・投資、サステナビリティ経営の基盤強化と活動推進などによる「事業を支えるグループインフラ整備・利活用」

⑤ 資本コストを明らかにしたうえで、総資産・自己資本のコントロールや株主還元強化などの「資本コストや株価を意識した経営」の推進

 

[今後の課題と取り組み]

国内顧客・店舗ビジネスでは、資産効果によるアッパーマーケット拡大の一方で、本質的な価値や自分充足、社会的価値を重視するなどの消費価値観変化への対応が求められております。また、物価上昇の継続を受け、実質賃金低下による生活防衛意識が高まっております。海外顧客ビジネスにおいては、2024年度の百貨店インバウンド売上は過去最高を記録しました。世界経済の不透明感から、足元では一部影響も見られるものの、長期的には高いポテンシャルと伸びしろを期待できます。こうした環境変化を踏まえたうえで、成長に向けた取り組みを加速し、「中期経営計画2024-2026」の目標達成及び「長期事業構想2030 Ver.2」の実現を目指します。

 

●既存事業「国内顧客・店舗ビジネス」の深化

百貨店事業では、国内富裕層の拡大及び消費価値観の変化に対するスピーディーな対応や、重点顧客との関係性深化を課題と捉え、阪急本店のストアコンセプトを見直し、MD価値に加えて顧客満足価値、店舗価値を磨き上げ、国内外の顧客にとって高い目的性と魅力を装備した「グローバルデパートメントストア」に向けアップスケール化を図る改装に着手します。また、2025年5月には、集客力強化と事業構造見直しを図る阪神梅田本店において、大型専門店の導入に加え、フードワールドの磨き上げに向けた修正改装を実施。加えて、リニューアルオープンを迎えた「川西阪急スクエア」も、百貨店と専門店のベストミックスによる新しい郊外型百貨店モデルへと生まれ変わりました。さらに、今後、人口増加や再開発進行などによるマーケット成長を見込み、博多阪急リモデルを計画しております。

食品事業では、株式会社関西フードマーケットを完全子会社化し、食品スーパー事業の営業本部・本社機能を株式会社関西フードマーケットに集約するなど、事業基盤確立に取り組むとともに、食品スーパー約230店の店舗ポジション・役割を整理しました。そのうえで、顧客の二極化への対応として、価値訴求型と価格訴求型の店舗フォーマットを開発・推進し、マーケットシェア拡大を目指します。

※価値訴求型:阪急オアシス 宝塚南口店(2025年4月新規開業)

 価格訴求型:関西スーパーデイリーマート 市岡店(2025年4月改装開業)

 

●成長ポテンシャルの高い「海外顧客ビジネス」への注力・強化

世界経済の先行きが不透明な中、直近のインバウンド需要が為替の変動を受け減速する一方、海外富裕層の売上は堅調に推移しており、優良顧客の開拓と固定化が今後の重要な課題です。阪急うめだ本店にVIP専用の海外顧客サービスコーナーを新設し顧客対応への活用を進めることで、顧客開拓、コミュニケーション、コンテンツ開発に加え、顧客化推進を図り、外部環境に左右されにくいビジネスの確立を目指します。また、連結子会社化した寧波阪急は、2024年に実施したリモデル効果により業績は回復基調で、さらに2026年にかけて周辺エリアの開発が進展することもあり、収益事業として確立・成長を目指すとともに、阪急本店との連携により海外顧客ビジネス拠点として着実に推進します。

 

●事業を支えるグループインフラ整備・利活用

人材育成・開発・投資においては、企業と個人の関係を「ともに価値を高め成長し合う共創パートナー」と位置づけ、組織パフォーマンスの最適化、従業員エンゲージメントの活性化と働く環境・風土改革の3つの方針を掲げ、グループ横断の人事施策を推進しております。当社や株式会社阪急阪神百貨店で先行して実施している新たな価値創造に向けた人材育成などについては、今後グループへの拡充を目指します。

そして、サステナビリティ経営においては、大阪・関西万博2025のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」に賛同し、「TEAM EXPO 2025」プログラムの共創パートナーとして参画するなど、今後さらに地域社会の成長への貢献を推進していきます。

 

<※数値目標>

連結合計

2024年度実績

2025年度予想

営業利益

348億円

300億円

ROE

12.3%

6.0%

実質ROE

8.9%

ROIC

6.0%

5.4%

 

※実質ROEは資産売却などの特別利益や税効果を除く。

 

[サステナビリティ経営方針]

2021年4月に「地域社会の健全で持続的な発展に貢献すること」を柱にした3つの重点テーマと2つの基本テーマをグループの「重要課題(マテリアリティ)」と位置づけ、取り組みを推進しています。
・重点テーマ 「地域の絆を深める」「地域の子どもたちを育む」「豊かな地域の自然を守り、引き継ぐ」
・基本テーマ 「お客さま・ステークホルダーからの信頼に応える」「従業員の働きがいを高める」

 


 

地域の皆さまとの深いつながりは、当社グループにとって大切な財産です。私たちは各事業での「マーケットシェアNo.1」を目指すとともに「マインドシェアNo.1」のためにいつも地域の皆さまに寄り添い、心を豊かにするパートナーであることを目指します。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ経営推進委員会がグループ全体での気候変動をはじめとした環境課題、人的資本・多様性への取り組みなどサステナビリティ経営のマネジメントを担っています。当委員会は、当社グループの最高意思決定機関である取締役会の直下に設置されており、委員長を代表取締役社長が務めていることに加えて、他2人の代表取締役を含む各事業セグメントのトップおよびサステナビリティ担当役員を委員とし、当委員会での議論は、グループ経営会議での審議を経て、取締役会へ報告を行っています。

グループ経営会議の議長である代表取締役社長は、サステナビリティ経営推進委員会の委員長を務め、環境課題及び社会課題に関して最終的な責任を負っています。

※2024年度は当委員会を6回開催。

 

(2)戦略

①気候変動

当社は気候変動への取り組みを重視し、短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会に対処するための戦略を策定しています。

2030年の事業環境について、今世紀末気温上昇2℃未満と4℃の2つのシナリオを想定し、気候変動が当社グループに与えるリスクと機会を評価しました。

移行リスクにおける炭素価格による影響、脱炭素社会におけるお客様の選定志向の変化や、物理的リスクとしての災害影響や調達不安定化を主なリスクと認識し、これらを抑止するために省エネ化や再生可能エネルギーの導入などの対策投資を推進します。

また、2℃未満シナリオでは多くの機会が存在すると認識し、サステナブルな商品調達や、お客様の嗜好変化への対応を重視した売り場づくりや商品・サービスの提供を推進します。

物理的リスクの一つである被災による影響について、阪急本店の立地地点について詳細な分析が行われ、大雨や強風によるリスクが増大する可能性が示唆されました。

これらの結果はサステナビリティ経営推進委員会とリスク対策部門に共有され、今後はシナリオの見直し等も含めて検討を続けます。

機会については、既存の取り組みを推進してインパクトの最大化を目指してまいります。

 

②グループ人材戦略

当社グループでは、グループ共通のベースの価値観を「成長」の「共鳴」「共創」と定め、企業と個人がお互いの成長を支援し、積極的に貢献する「共創パートナー」をコンセプトに、「H2Oリテイリンググループ人材戦略2030」を策定し、「コミュニケーションリテイラー」の実現に向けグループ横断の人材戦略を推進しています。将来の新事業を開拓するフロンティア人材の育成、顧客志向人材へのマインドチェンジ、成長をテーマとした対話施策の開発、自律的な働き方の促進、デジタル活用・ビジネス開発など新たな事業領域に向けたスキルを持った人材の採用・育成、グループ共通教育体系の整備、多様な働き方の拡充など、さまざまな人事施策を進めております。

 


 

(3)リスク管理

サステナビリティ経営推進委員会において、気候関連のリスクをはじめとしたサステナビリティ課題に関連するリスク及び機会を洗い出し、当社グループ事業の特性、同業他社の認識、外部有識者の助言を総合的に検討し、当社グループと関連性の深いリスク及び機会を特定しています。

気候関連リスク及び機会については、それらの発生頻度・可能性と、発生時の影響額の大きさを考慮した上で、委員を通じて各事業会社の取り組みに落とし込み、定期的な委員会の議論の場と、当社と各事業会社のサステナビリティ推進責任者間の連携を通じて、進捗管理を行っています。

サステナビリティ経営推進委員会で行われた議論の内容については、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会への共有を行うとともに、グループ経営会議において審議を行い、取締役会へ報告を行うプロセスを通じて、全社のリスク管理プロセスと統合しています。

 

(4)指標及び目標

①気候変動

気候関連のリスク及び機会を管理する際の指標として、Scope1,2,3の温室効果ガス(GHG)排出量を使用しており、2020年度よりScope1,2,3のGHG排出量の算定を開始するとともに、中長期目標を設定し、GHG排出量の削減に取り組んでいます。

長期目標として、2050年度の当社グループのGHG排出量実質ゼロを目指しており、この目標達成に向けて、2030年度の中期目標(Scope1,2について2019年度比30%削減)を設定し、具体的な取り組みを推進しています。

なお2023年度のScope1,2(マーケット基準)の実績は、2019年度比で約22%の減少となりました。

コロナ禍からの業績回復に伴い、今後短期的にはGHG排出量の増加が見込まれますが、まずは省エネ対策を徹底し、同時に主要店舗や施設などで使用する電力の再生可能エネルギー化を進めることで、着実に排出量の削減を図ってまいります。

<温室効果ガス(GHG)排出量の目標および実績>

対象

スコープ

2023年度GHG排出量

(千t-CO2e/年)

2030年度GHG排出量

目標

主要14社

スコープ1

54

 

スコープ1、2 ▲30%

(2019年度比)

 

スコープ2(ロケーション基準)

240

スコープ2(マーケット基準)

193

 

※主要14社:株式会社阪急阪神百貨店、イズミヤ・阪急オアシス株式会社、株式会社関西スーパーマーケット、株式会社エイチ・ツー・オー商業開発ほか

 

 

②食品リサイクル率(店舗で排出される食品廃棄物のうちリサイクルされる割合)

2030年に70%(2026年60%)を目指します。

※ 対象:主要3社(株式会社阪急阪神百貨店、イズミヤ・阪急オアシス株式会社、株式会社関西スーパーマーケット)

 

グループ人材戦略に関する指標並びに目標及び実績 

小売業を主要な事業とする当社グループでは、顧客のニーズや生活スタイルが多様化するなか、ビジョン実現に向けてさまざまな視点を取り入れ、顧客基点での共創・協業により、これまでにない新しい付加価値を生み出していくことが欠かせないと考えております。そのためにも女性やシニア、外国人、障がい者やLGBTQ+への対応など、多様な人材がその力を十分に発揮できるよう、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に向けた取り組みを今後さらに進めていくとともに、女性・中途採用者等の管理職への登用にも積極的に取り組んでおります。なお、当社グループ全体においても、多様性の確保を実現するため、当社人事室において グループ各社の社員の自律的キャリアの推進、今後必要となるスキル向上に向けた教育の実施、デジタル教育の考案等、人材育成に取り組んでおります。なかでも、従業員の半数以上を占める女性の活躍に優先順位を置き、主要会社において、2030年の女性管理職比率の目標を設定しております。加えて、管理職には限らない当社グループならではの女性活躍について、サステナビリティ経営推進委員会にて議論を重ね、そのための具体的な対応を検討しており、一人ひとりが自分の力を最大限引き出し、活躍の場を拡げられるよう、各事業会社におけるプロジェクトの設置など、引き続き積極的に取り組んでまいります。

 

女性管理職比率KPI(2030年)

株式会社阪急阪神百貨店 35%

株式会社関西フードマーケット、イズミヤ・阪急オアシス株式会社、株式会社関西スーパーマーケット 20%

株式会社エイチ・ツー・オー商業開発 35%

 

  (注) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 」に記載しております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。ただし、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。また、以下に記載のリスクの顕在化する可能性の程度や時期、業績に与える影響について、合理的に予測することは困難であるため記載しておりません。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境

 小売業を取り巻く環境について

今後の国内の小売業を取り巻く環境については、少子高齢化、消費構造の二極化、業態を越えた競争の激化など大きな変化が予想され、これらによって当社グループの業績は、少なからず影響を受けることが予想されます。

当社グループでは、こうした環境の変化に対応するため、関西エリアにおいて多彩な顧客接点を持つ特性を活かし、リアル店舗とデジタルを融合したお客様との新しい関係づくりとビジネスモデル構築を図るとともに、コア事業である百貨店事業と食品スーパーを中心とした食品事業の磨き上げと強化を併せて、関西におけるマーケットシェア拡大を実現してまいります。 

 

(2) 法規制及び法改正

① 大規模小売店舗立地法等の法規制について

当社グループにおける百貨店及び食品スーパーの出店については「大規模小売店舗立地法」による規制を受けます。これは売場面積1,000㎡超の店舗を新規出店する場合及び売場面積が1,000㎡超となる既存店舗の増床を行う場合に際し、交通渋滞、騒音、ゴミ対策等について、近隣住民の生活環境を守る立場から都道府県または政令指定都市が審査及び規制を行うものであり、このため当社グループの今後の出店計画はこうした法規制による影響を受ける可能性があります。

このほか、当社グループは、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、下請代金支払遅延等防止法、環境基本法・資源の有効な利用の促進に関する法律・容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律等の環境・リサイクルに関連する法令、不当景品類及び不当表示防止法等の消費者保護に関連する法規制を受け、これらによっても影響を受ける可能性があります。

当社グループでは、これら事業活動に影響する各種の法令改正動向を注視し、適時適切な対応に努めてまいります。

② 税制改正による消費税率の引き上げについて

将来の社会保障の財源を確保するため、消費税率が段階的に引き上げられる可能性があります。これによって個人消費の冷え込みを招き、当社グループの売上高にマイナスの影響を与える可能性があります。

 

(3) 自然環境・事故

① 自然災害・事故について

当社グループは、百貨店や食品スーパー等の事業を展開しており、地震・洪水・台風及び火事等の不測の災害によって店舗等の事業所が損害を受けた場合、業績にマイナスの影響が及ぶ可能性があります。

特に、関西を中心に事業展開している当社グループにおいては、南海トラフ地震が発生した場合、地震だけでなく津波による被害も予想されており、甚大な人的・物的被害が出る可能性があります。従業員や店舗建物等の甚大な被害は、事業の停止に及ぶことが予想され、業績に大きなマイナス影響を及ぼすことが考えられます。

また、近年、甚大な被害を引き起こす台風や集中豪雨の発生頻度も高くなっています。台風や集中豪雨により、従業員や建物あるいは公共交通機関に影響が出ると、営業停止などの機会損失が発生する可能性があります。

その他、店舗において火災が発生した場合、お客様や従業員、建物や商品等に被害が及ぶと多大な損失が発生する可能性があります。

当社グループでは、これら自然災害及び事故に対する備えとして、対応マニュアル等の策定、安否確認システムや緊急連絡用の通信手段の整備、非常用物資の備蓄、定期的な訓練を実施しているほか、損害保険の付保等の対策を講じております

 

 

② 感染症について

感染症の拡大や長期化は、当社グループの主力事業の一つである百貨店事業を中心に、店舗の営業自粛や国内・インバウンド双方の需要の減少を通じて業績に大きなマイナス影響を及ぼす可能性があります。

新たなパンデミックが発生した際には、新型コロナウイルス感染症への対応で得た感染症拡大状況下での事業継続のノウハウをもとに、人命の安全を最優先するとともに、事業への影響の軽減に努めてまいります。

 

(4) その他

① 販売商品の安全性について

食中毒・健康被害等の事故の発生、販売商品の欠陥による顧客満足・信用の低下、鳥インフルエンザ等の疫病の発生による一般消費者の食品に対する不安感の高まり等により、当社グループの業績にマイナスの影響を与える可能性があります。販売商品の品質管理・衛生管理については、専門子会社やグループ横断の専門部会を設置するなどにより、商品に対する顧客の安心・安全確保を目的とする施策を積極的に推進しております。

② 顧客情報の管理について

不測の事故または不正アクセス等によって顧客情報が外部に流出した場合、当社グループの信用低下を招き、業績にマイナスの影響を与える可能性があります。顧客情報の管理については、専門部門やグループ横断の専門部会を設置し、個人情報管理規程及び管理マニュアルに基づくルールの厳格な運用と従業員教育の徹底など個人情報の保護に関する法律の遵守に努めるとともに、「コミュニケーションリテイラー」として積極的に顧客データを活用したビジネスを推進していくにあたり、顧客に安心して情報を提供いただけるよう個人情報保護ガバナンスの強化に向けた取り組みを行っております。

③ 海外事業リスクについて

当社グループは、中国で店舗を営業しております。そのため、中国の政治情勢、経済環境、法規制の変更、テロ行為、社会的混乱、その他の要因により、業績及び財政状態にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

また、中国の店舗における売上高、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のため、円換算しております。換算時の為替の変動により、これらの項目に影響を及ぼす可能性があります。

④ 情報システムについて

当社グループでは、業務の効率化及び高品質なサービスの提供のため、各分野において情報システムを利用していますが、地震・大規模停電や不正アクセス等の不測の事態によって、情報システムの円滑な運用に支障を来した場合、事業活動が制限される可能性があります。上記の事態に備え、グループ横断の専門部会を設置し、グループ全体のセキュリティ事故対応体制の整備など対策を講じております。

⑤ 賃貸借契約の更新拒絶について

当社グループにおける店舗・施設の多くが賃借物件であり、建物や土地の所有者等の賃貸人から、賃貸借期間満了により契約の更新を拒絶(定期建物賃貸借契約の場合は、再契約の不成立)され、店舗等の営業が継続できなくなる可能性があります

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)経営成績

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

24/3累計

25/3累計

 

 

金額

金額

前期比

増減

予算比

増減

 

百貨店事業

577,140

634,959

110.0%

+57,819

+0.5%

+3,414

 

食品事業

425,626

428,543

100.7%

+2,917

△0.1%

△456

 

商業施設事業

32,056

31,766

99.1%

△290

△2.9%

△933

 

その他事業

39,043

64,363

164.9%

+25,320

+1.0%

+608

総額売上高

1,073,866

1,159,632

108.0%

+85,766

+0.2%

+2,632

売上高

657,400

681,759

103.7%

+24,359

△0.0%

△240

 

百貨店事業

19,628

28,234

143.8%

+8,605

+4.6%

+1,234

 

食品事業

7,086

8,945

126.2%

+1,858

+1.7%

+145

 

商業施設事業

3,226

3,920

121.5%

+694

+2.6%

+99

 

その他事業

△21

2,198

+2,219

+2,039

 

調整額

△3,732

△8,468

△4,736

+311

営業利益

26,188

34,830

133.0

+8,642

+12.4%

+3,830

経常利益

27,875

35,909

128.8

+8,034

+12.2%

+3,909

 

特別利益

5,865

26,961

459.7%

+21,096

 

 

特別損失

11,450

11,540

100.8%

+89

親会社株主に帰属する
当期純利益

21,905

34,842

159.1%

+12,937

+16.1%

+4,842

 

※2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」等を適用し、消化仕入契約に基づく売上高等の計上方法を変更しております。なお、「収益認識に関する会計基準」等による影響を除外した従前の基準での売上高に相当する数値を「総額売上高」として記載しております。

※連結子会社が親会社である当社に対して支払うグループ本社費を営業外費用に配分しておりましたが、2025年3月期より、販売費及び一般管理費に配分して各セグメント利益に含む方法に変更いたしました。なお、2024年3月期のセグメント利益については変更後の区分により作成したものを記載しております。

 

>売上高

当連結会計年度における当社グループの連結業績は、売上高は681,759百万円(前期比103.7%)、収益認識に関する会計基準等による影響を除外した従前の基準での売上高に相当する総額売上高は1,159,632百万円(前期比108.0%)と前期に引き続き過去最高を更新しました。

訪日外国人客の増加や高額品ニーズの高まりなど、急拡大するインバウンド消費を受けた海外顧客向けの中長期での取り組みや、二極化する消費マーケットに向けた取り組みに同時並行で注力し、百貨店事業ではインバウンド売上が好調に推移しました。また、食品事業では生活防衛意識の高まる中、客数が堅調に推移し、総額売上高は前期を大きく上回りました。

 

 

>営業利益及び経常利益

総額売上高の伸びが寄与した結果、連結営業利益は34,830百万円(前期比133.0%)となり、「中期経営計画2024-2026」の営業利益目標32,000百万円を2年前倒しで達成しました。連結経常利益は35,909百万円(前期比128.8%)となり、いずれも過去最高となりました。

 

(百貨店事業)

百貨店事業では、国内売上高は堅調に推移し、インバウンド売上高も前期の約1.6倍に伸長したことで大幅な増収となりました。

店舗別では、インバウンド売上の伸長による押し上げもあり、阪急本店、博多阪急などの都心型店舗が好調で、両店とも過去最高売上を記録しました。カテゴリー別では、ラグジュアリーブランドファッションや宝飾品・時計などの高額商材のニーズが引き続き強く売上を牽引する中、衣料品や化粧品なども好調で、全カテゴリーで前期実績を上回りました。

以上の結果、総額売上高が634,959百万円(前期比110.0%)となり、売上増加による粗利益の増加が売上連動経費の増加を大きく上回った結果、営業利益は28,234百万円(前期比143.8%)といずれも過去最高となりました。

 

(食品事業)

食品事業では、株式会社関西フードマーケット完全子会社化に伴い、営業本部・本社機能を統合し動き出すとともに、製造事業も再編し、事業の体制を整備しました。

食品スーパーでは、物価高騰による生活防衛意識の高まりにより買上点数が前期を下回りましたが、屋号を越えた共同販促の実施などにより客数は堅調に推移し、既存店売上高はイズミヤ・阪急オアシス株式会社で前期比101.0%、株式会社関西スーパーマーケットで同102.2%となりました。また、製造事業では原材料が高騰する中、生産性の向上により業績は堅調に推移した一方で、宅配事業は稼働率が上がらず苦戦しました。

以上の結果、総額売上高は428,543百万円(前期比100.7%)となり、人件費・水光熱費などは増加しましたが、生産性の向上により営業利益は8,945百万円(前期比126.2%)と増収増益となりました。

 

(商業施設事業)

商業施設事業では、期中において設備の保守管理・警備等の事業を行う子会社を譲渡した影響により、総額売上高は31,766百万円(前期比99.1%)となりましたが、営業利益は3,920百万円(前期比121.5%)となりました。

ホテルを運営する株式会社大井開発では、首都圏での活発な宿泊需要を受け、客室平均単価と稼働率の最大化を図る機動的な価格施策の精度向上と低稼働日対策の強化により、売上高・営業利益ともに過去最高となりました。

株式会社エイチ・ツー・オー商業開発は、地域とのつながりの強化及び魅力向上のための改装投資を実施し、カナートモール住道及びイズミヤショッピングセンター学園前をリニューアルしました。

 

(その他事業)

その他事業では、総額売上高64,363百万円(前期比164.9%)、営業利益が2,198百万円となりました。

当期より新たに連結子会社となった寧波阪急商業有限公司は、消費が低迷する中国市場において前半は売上が伸び悩みましたが、実施した改装の効果により2024年秋以降は増収基調を取り戻しております。

また、当社において子会社からの配当金収入が増加したことにより、その他事業全体では大幅な増益となりました(なお、グループ内取引は連結では相殺されるため、連結業績には影響ありません)。

 

>親会社株主に帰属する当期純利益

投資有価証券売却益14,546百万円や寧波開発株式追加取得に伴う段階取得に係る差益7,984百万円など特別利益26,961百万円を計上した一方で、減損損失4,010百万円や進路設計支援費用2,232百万円など特別損失を11,540百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は34,842百万円(前期比159.1%)と過去最高となりました。

 

 

≪特別損益の状況≫

 

 

(単位:百万円)

科目

金額

主な内容

特別利益

26,961

(対前連結会計年度 5,865百万円)

 

投資有価証券売却益

14,546

東宝株式 売却

 

段階取得に係る差益

7,984

寧波開発株式 追加取得

 

固定資産売却益

2,730

店舗・物流センター 売却

 

子会社株式売却益

1,700

カンソー・カンソー堺株式 売却

特別損失

11,540

(対前連結会計年度 11,450百万円)

 

減損損失

4,010

エイチ・ツー・オー商業開発等

 

進路設計支援費用

2,232

阪急阪神百貨店

 

建物解体費用

2,158

商業施設 取り壊し費用

 

店舗等閉鎖損失

1,556

  

 

固定資産除却損

1,271

 阪急阪神百貨店、エイチ・ツー・オー リテイリング等

 

退職給付費用

311

退職給付制度変更に伴う費用

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績の状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

品名

生産高(百万円)

前期比(%)

食品事業

食料品

39,067

100.7%

合計

39,067

100.7%

 

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記以外のセグメントについては、該当事項はありません。

 

② 受注状況

当連結会計年度における該当事項はありません。

なお、食品事業(食料品製造業)については、過去の販売実績に基づいて見込生産を行っております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績の状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

品名

販売高(百万円)

前期比(%)

 百貨店事業

衣料品

134,465

107.1%

身の回り品

163,769

115.9%

家庭用品

14,058

101.3%

食料品

157,547

100.2%

食堂・喫茶

13,815

102.2%

雑貨

142,857

120.9%

サービス・その他

9,112

112.2%

消去

△666

108.3%

組替額 (注)2

△442,762

111.0%

192,197

107.8%

 食品事業

スーパーマーケット

409,336

100.7%

食料品製造

8,948

96.1%

個別宅配・宅配プラットフォーム

6,718

98.4%

サービス・その他

5,356

102.1%

消去

△1,816

76.6%

組替額 (注)2

△15,880

102.6%

412,663

100.6%

 商業施設事業

商業不動産賃貸管理

15,572

102.2%

衣料品・住居関連品

11,705

92.5%

ホテル

7,310

115.8%

サービス・その他

7,544

90.5%

消去

△10,367

98.9%

組替額 (注)2

△1,659

96.1%

30,106

99.3%

 その他事業

店舗内装工事

4,453

96.1%

飲食店

2,598

102.3%

百貨店友の会

995

98.1%

人材派遣

2,659

116.3%

中国事業

30,727

560.2%

その他

55,997

113.1%

消去

△33,068

125.2%

組替額 (注)2

△21,412

481.8%

42,951

124.1%

調整額 (注)1

3,841

96.5%

合計

681,759

103.7%

 

(注)1.事業セグメントで代理人取引として純額表示した外部顧客への売上高のうち連結決算では本人取引となる取引(セグメント間での消化仕入契約に基づく取引)の外部顧客への売上高を連結損益計算書で総額表示に組み替えるための調整額であります。

   2.2022年3月期の期首より適用した「収益認識に関する会計基準」等による影響を除外した従前の基準での売上高に相当する「総額売上高」を「売上高」に組み替えております。

 

 

(2)財政状態

(単位:百万円)

 

24/3末

25/3末

 

24/3末

25/3末

 現金及び預金

68,423

55,590

 買掛金

78,875

72,488

 受取手形及び
 売掛金

74,653

74,782

 借入金及び社債

163,844

154,611

 棚卸資産

20,086

20,411

 負債合計

416,062

417,079

 流動資産合計

180,095

169,516

 株主資本

223,672

248,449

 固定資産合計

529,994

560,983

 純資産合計

294,026

313,420

資産合計

710,089

730,499

負債純資産合計

710,089

730,499

 

※「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号 2022年10月28日)等を当連結会計年度の期首より適用しており、2024年3月期に係る各数値については、当該会計基準等を遡及適用した後の数値となっております。

 

今年度期末の資産合計は730,499百万円となり、前年度期末に比べて20,409百万円の増加となりました。これは主に、株式会社関西フードマーケットの完全子会社化及び寧波阪急商業有限公司の子会社化により、現金及び預金が12,833百万円減少した一方、寧波阪急商業有限公司の資産受入れなどにより有形固定資産及び無形固定資産合計が48,447百万円増加したことによるものです。

負債合計は417,079百万円となり、前年度期末に比べて1,016百万円の増加となりました。これは主に、社債の償還により有利子負債合計が9,944百万円減少した一方、寧波阪急商業有限公司の負債を受け入れたことなどによるものです。

純資産合計は313,420百万円となり、前年度期末に比べて19,393百万円の増加となりました。これは主に、関西フードマーケットを完全子会社化したことより非支配株主持分が11,306百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金の支払により利益剰余金が30,609百万円、株式含み益の増加によりその他有価証券評価差額金が3,558百万円それぞれ増加したことなどによるものです。

なお、当連結会計年度において、ROE(自己資本当期純利益率)が12.3%(前連結会計年度 8.5%)、ROA(総資産経常利益率)が5.0%(前連結会計年度 4.0%)、ROIC(投下資本利益率)が6.0%(前連結会計年度 4.7%)と、資本効率性・資産効率性を示す指標はいずれも上昇いたしました。

 

(3)キャッシュ・フロー

 

 

 

(単位:百万円)

 

主な項目

24/3

25/3

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

49,332

46,268

 

税金等調整前当期純利益

22,289

51,330

 

減価償却費

19,970

23,472

 

減損損失

7,196

4,010

 

段階取得に係る差損益(△は益)

△7,984

 

投資有価証券売却損益(△は益)

△21

△14,546

 

固定資産売却損益(△は益)

△5,817

△2,730

 

売上債権の増減額(△は増加)

△6,072

△251

 

棚卸資産の増減額(△は増加)

1,162

376

 

仕入債務の増減額(△は減少)

15,176

△6,487

 

未払金の増減額(△は減少)

1,424

5,162

 

法人税等の支払額

△7,225

△5,921

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

△17,752

△13,304

 

有形固定資産の取得による支出

△17,507

△20,215

 

有形固定資産の売却による収入

10,152

5,883

 

無形固定資産の取得による支出

△13,076

△10,761

 

投資有価証券の売却による収入

36

18,006

 

連結の範囲の変更を伴う子会社株式の

取得による支出

△11,860

 

長期貸付金の回収による収入

2,312

1,574

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

△22,531

△44,990

 

長期借入れによる収入

1,129

 

長期借入金の返済による支出

△15,431

△431

 

配当金の支払額

△2,895

△4,233

 

自己株式の取得による支出

△1,885

△28,530

 

営業CF+投資CF+財務CF

9,048

△12,026

 

現金及び現金同等物の期末残高

66,373

54,940

 

 

当連結会計年度の「現金及び現金同等物の期末残高」は、54,940百万円(前期末比11,433百万円減)となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、46,268百万円の収入(前期比3,064百万円の収入減)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得などにより、13,304百万円の支出(前期は17,752百万円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や自己株式の取得などにより、44,990百万円の支出(前期は22,531百万円の支出)となりました。

 

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりです。

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

自己資本比率

36.4%

36.2%

36.2%

37.8%

41.0%

時価ベースの自己資本比率

18.1%

15.9%

25.2%

31.6%

37.8%

キャッシュ・フロー
対有利子負債比率

15.9

29.2

6.3

3.5

3.5

インタレスト・
カバレッジ・レシオ

16.6倍

6.8倍

31.9倍

56.0倍

50.4倍

 

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利息の支払額
※1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。

※3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利息の支払額については、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産及び負債の報告金額、偶発資産及び負債の開示、報告期間における収益及び費用の金額に影響を与える様々な見積りを行っております。

これらの会計上の見積りの中で、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあると判断した項目に関しては、連結財務諸表の「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

当社は、2024年5月15日開催の取締役会において、当社を株式交換完全親会社、当社の子会社である株式会社関西フードマーケットを株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」という。)を実施することを決議し、同日付で、株式交換契約(以下「本株式交換契約」という。)を締結いたしました。

なお、本株式交換は、当社においては、会社法第796条第2項の規定に基づき、株主総会の決議による承認を必要としない簡易株式交換の手続により、また、株式会社関西フードマーケットにおいては、2024年6月20日開催の関西フードマーケットの定時株主総会の決議による本株式交換契約の承認を得た上で、2024年7月31日を効力発生日として行われました。

詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(企業結合等関係)をご参照ください。

また、当社は、2024年9月3日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社エイチ・ツー・オー商業開発(以下「エイチ・ツー・オー商業開発」という。)が、同社子会社である株式会社カンソ―(以下「カンソー」という。)の全株式を綜合警備保障株式会社に譲渡することを承認し、エイチ・ツー・オー商業開発は2024年9月4日付で株式譲渡契約を締結いたしました。本株式譲渡(2024年12月1日実行)により、カンソーは当社の連結対象外となりました。

 

 

6【研究開発活動】

特記事項はありません。