第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営の基本方針

近鉄百貨店グループは、

1.創造と革新の姿勢をもって、積極果敢に目標と取組む

2.顧客第一の精神に徹し、まごころと感謝の念をもって奉仕する

3.よりよき生活の提案者を目指し、魅力ある店づくりに努める

4.相互信頼を基盤として、取引先との共存共栄をはかる

5.理解と協調にもとづく人間関係を樹立し、働きがいのある職場環境をつくる

ことを経営方針としております。そして、お客様の生活のさまざまな場面で、より素敵な暮らしづくりを応援し、幅広い品揃えときめ細かなサービスの提供を通じて、すべてのステークホルダーの皆様の期待に応えるとともに、地域の発展に貢献する企業であり続けることを目指しております。

 

(2)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末に当社グループが判断したものであります。

経営者が認識している今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが2類相当から5類へ移行されるのに伴い、経済活動は緩やかに回復すると想定しているものの、物価高や、エネルギーコストの上昇、ウクライナに端を発する国際情勢の不安定化などにより、不確実性が極めて高い状況が続くものと予想されます。また、コロナ禍によってもたらされた消費行動、生活様式の変容により小売業全般を取り巻く経営環境は引き続き厳しさを増すことが予想されます。さらに、環境問題をはじめとする社会問題がより拡大、複雑化するなかで、地域とそこに暮らす人々に対する企業の社会的責任はますます大きくなり、「地域社会の発展」と「持続可能な社会の実現」に対する取組みを推進していくことは、企業として目指すべき姿であります。

このような状況の下、当社グループは3年目を迎える中期経営計画に基づき、引き続き「豊かなくらしと価値ある生活文化の創造」に邁進いたします。また、2021年4月に策定したESG方針に基づき、経営戦略の柱としてESG推進に取り組み、社会課題の解決と地域社会及び企業の持続的成長を目指してまいります。

なお、「中期経営計画(2021-2024年度)」は以下の内容を骨子としております。

 

・新たな飛躍に向けた長期戦略

 

 同計画では、長期的に2030年の当社の目指す姿を設定し、その実現に向けて、2024年度までの中期的に行うべき構造改革のための諸施策を策定しました。

 

1.長期ビジョン

2030年の日本は、健康寿命の延伸やデジタル技術の浸透、価値観とライフスタイルの変化により、“豊かで持続可能な社会”の構築が進むものと思われます。そのような社会を踏まえ、当社の目指す姿として、「くらしを豊かにするプラットフォーマー」をビジョンとして掲げます。

当社の目指す「プラットフォーマー」とは、沿線生活経済圏に「暮らす・働く・訪れる」顧客と、当社及び当社が連携する取引先・近鉄グループ各社・外部アライアンス先等が提供する「モノ・コト・サービス」を、当社が持つ顧客接点である「店舗」や「外商」、「EC」、「アプリ・SNS」などを通じて「つなぐ場」を提供する事業者になることを意味します。

当社は生活者のための“くらしのプラットフォーム”を構築し、持続可能な社会実現に向けて、生活にまつわるサービスを総合的に提供することで、「豊かなくらしと価値ある生活文化」を創造することを目指します。

 

2.ESG経営の推進

地域産業である小売業として、地域社会の課題解決に取り組み、「豊かで持続可能な社会」の実現に貢献するため、「地域に寄り添い、地域と活きる」を方針に、ESG経営を推進します。

 

3.事業ポートフォリオの変革

2030年に向け、さらなる成長を目指して事業ポートフォリオの変革を進め、百貨店事業を商業ディベロッパー事業へと変革するとともに、百貨店の強みを自立・収益事業化し、既存事業の構造改革による安定化と、新規事業の戦略的拡大を図ります。

 

事業構成は、新たな成長事業の占めるシェアを2030年には50%程度まで伸ばし、2020年度は百貨店事業単体で80%のシェアですが、商業ディベロッパー事業で50%程度とする計画です。

 

・「中期経営計画(2021-2024年度)」の概要

 

事業戦略

― くらしを豊かにする共創型マルチディベロッパーへの変革 ―

 

       百“貨”店 から 百“価”店へ

 

私たちは、顧客の暮らし方が大きく変わっていく中で、その変化に寄り添い、新たな価値を創造し提供する事業者となる

 

基本的な考え方

 2021-2024年度を構造改革と事業ポートフォリオの変革による「新たなビジネスモデル」を創造する期間と位置づけます。お客さまの満足度を生涯にわたって高め、沿線の生活経済圏での当社消費シェア最大化を目指します。

 

基本方針1.あべの・天王寺エリア「ハルカスタウン」の魅力最大化

当社最大の収益拠点である「あべの・天王寺エリア」の魅力を最大化するため、あべのハルカス近鉄本店の強化や街づくり事業を推進します。長期的には西日本の国際化の玄関口として「あべの・天王寺エリア」のグローバル化を目指します。

 

基本方針2.地域中核店・郊外店のタウンセンター化

タウンセンター化とは、今後地方・郊外においてコンパクトシティ化が進む中、駅前立地の強みを活かし、生活機能・商業機能・コミュニティ機能を融合した複合商業サービス施設への転換を目指すものです。地域生活に「なくてはならない存在」を目指すとともに、地域産業である小売業として、地域共創事業に取り組みます。

 

基本方針3.百貨店の強みの収益事業化

百貨店の強みを収益事業化するとともに、新たな事業創造にも取り組み、事業ポートフォリオの変革を進めます。具体的には、自主(フランチャイズほか)事業の進化、EC事業の強化、外商機能の顧客サービス事業への変革、法人外商機能の商社機能への取り組み、商業開発事業の拡大に取り組みます。

 

基本方針4.成長を支える機能と基盤強化

以上の成長を支えるため、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略、人財戦略、財務戦略、グループ会社の成長戦略を推進します。

 

(3)目標とする経営指標

上記の基本方針に則り、「中期経営計画」の最終年度である2024年度の連結経営目標数値は以下のとおりです。

 

①連結営業利益            65億円

②連結当期純利益           40億円

③ROE             10.0%以上

④ROA(営業利益ベース)    5.0%以上

 

なお、当社グループの中核となる百貨店業では、業界の売上高が減少する中、他の競合に打ち勝つため、財務基盤の安定・強化を図るとともに、売場改装などの設備投資並びに新業態開発に向けた先行投資が必要不可欠であります。

また、株主に対する安定的かつ継続的な利益還元の実現も重要な課題であります。

これらを踏まえ、中期経営計画の4年間で総額200億円の設備投資を効率的に行うとともに継続的かつ安定的に配当できるよう最終年度の連結ROE目標を10.0%以上としております。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。

当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)新型コロナウイルス感染症による影響

新型コロナウイルス感染症に伴う業績への影響については、感染症法上の位置付けが2類相当から5類へ移行されるのに伴い、インバウンド需要や国内の消費マインドの一部に持ち直しの動きがみられ明るい兆しが出てきているものの、今後、新型コロナウイルスの新たな変異株の出現又は新たな感染症が流行した場合は、当社グループの業績及び財政状態に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、これまで新型コロナウイルス感染症対策として、「労務管理面」と「店舗営業面」の両面において対策を講じてまいりました。「労務管理面」では、感染予防対策を徹底するため、注意喚起通知の発信や体調不良時の行動要領の適時更新を行うとともに、在宅勤務(テレワーク)やWEB会議の利用拡大を推進してまいりました。「店舗営業面」では、小売業の感染拡大予防ガイドラインに基づき、お客様及び従業員の安全・安心確保に努めてまいりました。今後、新たな感染症等が出現した場合にも、これまでの経験を活かし、関係各所と連携を図りながら影響の最小化に向けた取り組みを実施し、営業の継続に努めてまいります。

 

(2)経営環境

当社グループの主力セグメントである百貨店業は、主に一般消費者を対象とするため、地方・郊外の人口減少等の社会情勢や、景気動向、消費動向等の経済情勢に大きく影響を受けるほか、流通業界における競争激化も予想されます。さらに、新型コロナウイルス感染症流行の影響により、消費行動・生活様式の変容、デジタル化の進行、衣料品・アパレルの低迷、インバウンド需要の減退等、今まで以上に変化のスピードが加速しており、これらの環境変化が当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、このような環境変化に対応するため、店舗構造改革、コスト構造改革を推し進め、事業モデルの抜本的な改革に取り組んでおります。また、今後持続的な成長を続けるため、3年目を迎える中期経営計画に基づき、新たなビジネスモデルの構築に邁進いたします。同計画については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題」に記載しております。

 

(3)商品取引

当社グループの主力セグメントである百貨店業は、消費者向け取引を行っております。当社グループが製造・販売する商品の品質や食品の安全性に対して信用毀損が生じた場合、売上高の減少等、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは百貨店業の外商部門をはじめとして、法人向け等の掛売取引を行っております。取引先の倒産による売掛金の回収不能等による損失の発生により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

商品の品質や食品の安全性については、関係法令の遵守状況の確認や品質・衛生管理のチェックなどを定期的に実施し十分留意しております。また、法人向け等の掛売取引については与信管理を十分に行っております。

 

(4)法律の規制、制度の変更

当社グループは事業展開するにあたり、出店等については大規模小売店舗立地法、商品仕入面においては独占禁止法・下請法等、商品販売面においては景品表示法・JAS法・食品衛生法・製造物責任法(PL法)等、その他、環境・リサイクル関連法規など様々な法律による規制を受けております。万一これに違反する事態が生じた場合は、社会的信用が失墜するとともに、企業活動が制限される可能性があります。

当社グループでは、関係法令・規則の制定、改正等の動向について常にモニタリングしており、必要に応じて顧問弁護士への相談や意見聴取を行うとともに、社員教育等を通じて法令遵守の重要性を社内に周知徹底しております。

 

(5)災害

当社グループの主要な店舗・事業所の所在地は、東南海・南海地震の対策強化地域に含まれており、地震発生の可能性が比較的高い地域であります。想定を超える大規模な地震が発生した場合は、店舗等の事業所が甚大な被害を受け、復旧に多額の費用と時間を要するなどの直接的な影響があります。さらに、仕入先の被災による商品調達の停滞、さらには日本経済全体の消費マインドが冷え込むなど間接的な影響を受ける可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、大規模な火災が発生した場合、被害者への損害賠償責任、商品・建物への被害が考えられ、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、これら災害等の影響により、電気・水道・ガスの使用制限、道路・空港・港湾施設の閉鎖、通信機能の不具合等社会インフラ機能の低下が生じた場合、当社、協力会社及び取引先の事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、緊急地震速報の受信装置を主要店舗に設置しているほか、危機管理マニュアルを作成・配布し、地震発生時の対応の周知徹底を図っております。火災については、消防法に基づき定期的に検査・訓練等を実施し、万一の火災に備え、予防又は被害を最小限にとどめる努力をしております。

また、当社グループは、災害等の発生に備えた危機管理体制の整備に取り組んでおり、平時から、老朽化したインフラへの投資、施設の定期的な点検、損害保険の付保等の対策を講じているほか、店舗等が被災した場合でも、お客様・従業員の安全確保を前提として、早期の営業再開、営業の継続による商品供給を通じて、社会インフラとしての役割、社会的責任を果たすことを目的とした事業継続計画(BCP)を策定しております。

 

(6)情報管理

①情報システムの機能不全

当社グループは、POSシステム、経理システム、商品受発注システム、顧客情報管理システム等多くの情報システムを有しております。想定した以上の自然災害の発生、従業員の過誤によるシステム障害やコンピュータウィルスの感染等が起こった場合、営業活動に大きな支障をきたし、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、これらの情報システムの機能不全を防ぐため、電源の二重化、バックアップシステム構築、不正侵入防止プログラム等の対策を講じております。

 

②個人情報の漏洩

当社グループは、外商顧客、ギフト顧客、友の会会員など多数の個人情報を保有しております。万一、情報が外部に漏洩した場合は、当社グループの社会的信用が失墜するなどして、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、個人情報保護法その他の関係法令等を遵守し、お客様からお預かりしている個人情報の保護に万全を期すため個人情報保護方針を定めるとともに、個人情報管理規程などの社内規程等の整備や情報システムのセキュリティ向上、従業員教育の充実などにより万全を期しております。また保険を付保することにより業績への影響に備えております。

 

(7)資金調達・金利変動のリスク

当社グループは、主に金融機関からの借入れによって資金調達を行っておりますが、消費環境の悪化及び競争の激化などによって当社グループの中長期的な経営計画に不安が生じた場合や、急激な金利変動が生じた場合、当社グループの業績、財政状態及び資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、金利変動による影響を軽減するため、状況に応じて一定程度の金額を長期固定金利で調達しているほか、取引金融機関との間で情報交換を密にし、相互の信頼関係を築くとともに、銀行取引以外の資金調達方法についても研究しております。また、金融環境変化について状況把握に努め、安定的・効率的な資金繰りの実践に取り組んでおります。

 

 

(8)スタンダード市場上場維持基準

当社は、株式会社東京証券取引所にて2022年4月適用の新市場区分について、スタンダード市場を選択しておりますが、移行基準日時点(2021年6月30日)において、上場維持基準のうち、流通株式比率については基準を充たしていないことから、2021年12月24日に「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」を提出し、2027年2月末までに上場維持基準を充たすために各種取組を進める旨開示しております。これまでに、2021年8月20日に立会外分売を実施、2022年5月26日に流通株式比率向上を目的とする株式需給緩衝信託®を設定しましたが、2023年2月末時点で流通株式比率の上場維持基準を充たしておりません。

2023年3月31日に株式会社東京証券取引所から「上場維持基準に関する経過措置の取扱い等に係る有価証券上場規程等の一部改正について」が公表され、当社におきましては、上場維持基準の経過措置の終了時期が2026年2月末、改善期間の終了時期が2027年2月末となり、2027年2月末時点で上場維持基準を充たしていない場合、整理銘柄へ指定され、2027年8月末までに上場維持基準を充たしていない場合は上場廃止となります。2027年2月末までに上場維持基準を充たすため、今後も各種取組を進めてまいりますが、計画通り進捗しない場合、当社株式の上場を維持することができない可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①  経営成績の状況

当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和され、社会経済活動が正常化に向かい、景気が持ち直していくことが期待された一方で、感染再拡大や物価上昇、世界的な金融引締めなどにより、先行き不透明な状況が続きました。百貨店業界におきましては、緊急事態宣言下における店舗休業の反動と、行動制限の緩和等による外出機会の増加があり、消費マインドの回復がみられ、全国百貨店売上高は大都市を中心に好調に推移いたしました。

このような状況の下、当社グループは、「中期経営計画(2021-2024年度)」において長期ビジョンとして掲げた「くらしを豊かにするプラットフォーマー」を目指し、あべの・天王寺エリアの魅力最大化など4つの基本方針に基づく諸施策を強力に推進するとともに、各事業における収益力向上に懸命の努力を払いました。

この結果、当社グループの業績につきましては、売上高は107,848百万円(前期比9.9%増)、営業利益1,566百万円(前期 営業損失1,399百万円)となり、雇用調整助成金などを営業外収益に計上したことにより経常利益は1,945百万円(前期 経常損失572百万円)となりました。これに法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する当期純利益1,893百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失775百万円)となりました。

 

事業のセグメント別業績は、次のとおりであります。なお、前連結会計年度まで「その他事業」に含まれていた「不動産業」について、量的な重要性が増したことから、当連結会計年度より、セグメントを「百貨店業」「卸・小売業」「内装業」「不動産業」「その他事業」の5セグメント(従来は「百貨店業」「卸・小売業」「内装業」「その他事業」の4セグメント)に変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。また、前連結会計年度との比較については、セグメント変更後の数値に組み替えて比較を行っております。

 

<百貨店業>

百貨店業におきましては、お客様の安全確保を第一とし、全店において感染症拡大防止の対策を徹底しながら営業を継続するとともに、収益力及び集客力の強化に注力いたしました。まず、あべのハルカス近鉄本店については、特選ブランドの強化を図るため、タワー館1階特選洋品売場に「セリーヌ」を導入するとともに、「ロエベ」のリニューアルを実施いたしました。また、ウイング館5階婦人服売場に、衣・食・住・サービスを混在させた売場である「スクランブルMD」の第二弾として、食のセレクトショップを含む「いろどりマルシェ」を導入したほか、当社フランチャイズ事業として、タワー館12階レストランフロアに、新業態のフルーツカフェ「フルフルール」の第一号店を導入し収益源の確保に努めてまいりました。さらには、百貨店の強みである食料品売場の魅力向上のため、タワー館地下1階洋菓子売場に西日本初となる「ザ・マスターbyバターバトラー」や「あげもちcocoro」など5店舗を導入したほか、新型コロナウイルス感染症の影響により開催することができなかった集客催事を再開し、3年ぶりの開催となった秋の「大北海道展」では、連日多くのお客様にご来店いただきました。

次に、地域中核店・郊外店においては、地域生活に「なくてはならない存在」を目指し、生活機能、商業機能、コミュニティ機能を融合した「タウンセンター化」への変革を推進するとともに、フランチャイズ事業を積極的に拡充するなど、地域特性に応じた改装を実施したほか、大型専門店を導入するなど収益力の安定及びローコスト運営への転換を図ってまいりました。奈良店では、2階ファッションフロアに本店で好評を博している「北海道どさんこプラザ」やフランチャイズ事業の新業態であるライフスタイル雑貨を取り扱う「ハンプティーダンプティー」などの新ショップを組合せ、フロア全体で「スクランブルMD」を取り入れた改装を実施したほか、四日市店においては、ハンズとの協業による「Plugs Market(プラグスマーケット)」を導入し、地域共創に取り組みました。

 

これらの諸施策を推進した結果、前年の緊急事態宣言下での店舗臨時休業の反動増と、外商売上やインバウンド売上が好調に推移したことにより、売上高は89,476百万円(前期比11.8%増)、営業利益594百万円(前期 営業損失2,214百万円)となりました。

 

<卸・小売業>

卸・小売業におきましては、株式会社ジャパンフーズクリエイトにおいてサーモンなど水産物の価格上昇等により減収となったため、売上高は12,732百万円(前期比4.3%減)、営業利益は446百万円(同8.4%減)となりました。

 

<内装業>

内装業におきましては、株式会社近創で工事受注が順調に推移するとともにコスト削減に努めた結果、売上高は1,913百万円(前期比26.2%増)、営業利益は223百万円(同376.9%増)となりました。

 

<不動産業>

不動産業におきましては、賃貸収入により、売上高は287百万円(前期比1.0%減)、営業利益207百万円(同5.3%減)となりました。

 

<その他事業>

その他事業におきましては、売上高は3,438百万円(前期比13.3%増)、営業利益は175百万円(同58.9%増)となりました。

 

②  財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は、受取手形、売掛金及び契約資産が増加したものの、現金及び預金、建物及び構築物の減少などにより、前期末に比べ1,041百万円減少し118,343百万円となりました。

負債は、支払手形及び買掛金が増加したものの、借入金の減少などにより、前期末に比べ2,315百万円減少し83,756百万円となりました。

純資産は、自己株式が増加したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前期末に比べ1,274百万円増加し34,586百万円となりました。この結果、自己資本比率は29.2%となりました。

 

③  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ861百万円減少し3,243百万円となりました。

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、売上債権の増加はありましたが、減価償却費及び仕入債務の増加などにより、7,564百万円の収入(前期 2,505百万円の収入)となりました。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、有形固定資産の取得による支出などにより、3,022百万円の支出(前期 3,304百万円の支出)となりました。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、短期借入金の返済による支出などにより5,403百万円の支出(前期 715百万円の支出)となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績は、当社グループ全体の事業活動に占める比重が極めて低いため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

品名

売上高(百万円)

前年同期比(%)

百貨店業

衣料品

15,695

108.8

身回品

6,833

118.3

家庭用品

1,942

100.9

食料品

29,699

108.8

食堂・喫茶

551

118.3

雑貨

25,499

115.1

サービス

1,090

118.8

その他

8,235

116.2

消去

△71

120.3

89,476

111.8

卸・小売業

食料品

3,734

88.2

自動車関連

9,783

98.3

消去

△785

89.3

12,732

95.7

内装業

内装

4,188

132.3

消去

△2,274

137.9

1,913

126.2

不動産業

賃貸

345

99.2

消去

△57

100.0

287

99.0

その他事業

運送

4,360

101.1

その他

2,893

113.0

消去

△3,815

99.4

3,438

113.3

合計

107,848

109.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しておりますが、この作成にあたり、当連結会計年度末の資産及び負債並びに当連結会計年度に係る収益及び費用の報告金額に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況等に応じた合理的な判断に基づき見積りを行っております。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

a.繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得を合理的に見積もっております。従って、将来の課税所得の見積額に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額又は減額され、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

b.退職給付債務及び費用の計算

当社グループの退職給付債務及び費用は、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。従って、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合は、退職給付債務及び費用の計算に影響を及ぼす可能性があります。

 

c.固定資産の減損

当社グループは、多数の店舗を有しており、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づいて算出しております。従って、地価が大幅に下落した場合や、競争の激化等により店舗のキャッシュ・フローが著しく悪化した場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。

 

d.資産除去債務の計上

当社グループは、店舗及び事務所等の不動産賃借契約に基づき、退去時の原状回復に係る債務等を有しておりますが、賃借資産の使用期間が明確でなく、現時点において将来退去する予定がないものについては、資産除去債務を合理的に見積もることができないため計上しておりません。そのため、資産除去債務を計上していない資産について、今後店舗閉鎖や事業転換等の意思決定を行った場合、資産除去債務を追加計上する可能性があります。

 

②  当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載しております。

このうち、当連結会計年度において特に留意すべき要因については次のとおりであります。

・新型コロナウイルス感染症による影響

・経営環境

 

b.経営成績の分析・検討内容

経営成績に重要な影響を与える要因を踏まえた当連結会計年度の経営成績の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和され、社会経済活動の正常化により消費マインドの回復がみられたことで、当社グループの売上高は107,848百万円(前期比9.9%増)、営業利益は1,566百万円(前期 営業損失1,399百万円)となりました。

百貨店業では、前年の緊急事態宣言下での店舗臨時休業の反動増と、収益力及び集客力の強化に注力し外商売上やインバウンド売上が好調に推移したことにより、百貨店業全体の売上高は89,476百万円(前期比11.8%増)となりました。また、エネルギーコストの高騰により水道光熱費の増加がありましたが、引き続きローコスト運営を継続し、営業利益は594百万円(前期 営業損失2,214百万円)となりました。

卸・小売業では、株式会社シュテルン近鉄で、タイムリーな新車の乗り換え提案に努めたことで、フルモデルチェンジとなった新型「Cクラス」の販売が好調に推移しました。また、利益率の高い中古車在庫を確保するため新車乗り換え時の下取りを強化いたしました。さらに、車点検等のアフターセールスに丁寧に取り組んだことで、部品売上や修理といったアフターサービスも堅調に推移しました。株式会社ジャパンフーズクリエイトでは、大型物産展が好調に推移しましたが、主力商品であるノルウェーサーモンの価格高騰により商品価格が高止まりし、主力販売先の量販店への卸売りが減少しましたため、卸・小売業全体の売上高は12,732百万円(前期比4.3%減)、営業利益は446百万円(同8.4%減)となりました。

内装業では、株式会社近創で、ホテルや商業施設などの内装工事及びサイン工事が好調に推移するとともに、新規仕入先の開拓やコスト削減に努めた結果、内装業全体の売上高は1,913百万円(前期比26.2%増)、営業利益は223百万円(同376.9%増)となりました。

不動産業では、賃貸収入により、不動産業全体の売上高は287百万円(前期比1.0%減)、営業利益は207百万円(同5.3%減)となりました。

当社グループの経常利益は、雇用調整助成金などを営業外収益に計上したことにより1,945百万円(前期 経常損失572百万円)となりました。これに、特別利益で投資有価証券売却益、特別損失で固定資産除却損等を計上し、法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,893百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失775百万円)となりました。

 

c.経営判断のために採用している経営指標とその達成状況及びその理由

当社グループは、当連結会計年度を開始年度とする「中期経営計画(2021-2024年度)」に基づき、百貨店事業の収益力を強化しつつ、さらなる成長に向けての新たな収益の柱になる事業モデルの強化期間と位置づけて、様々な施策を実行してきました。

「中期経営計画(2021-2024年度)」において、当社グループは、「営業利益」、「親会社株主に帰属する当期純利益」、「ROE」、「ROA(営業利益ベース)」を重要な指標と位置付けております。

 

 

2022年2月期

2023年2月期

経営数値目標

(2025年2月期)

営業利益

△13億円

15億円

65億円

親会社株主に帰属する当期純利益

△7億円

18億円

40億円

自己資本当期純利益率(ROE)

△2.3%

5.6%

10.0%以上

総資産営業利益率

(ROA)

△1.2%

1.3%

5.0%以上

 

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

主な内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資金需要の主なものは、商品の仕入や営業費用などの運転資金に加え、店舗物件の改装や修繕などに伴う設備資金であります。

これらの資金需要に対応すべく、主に自己資金及び金融機関からの借入金により必要な資金を調達しております。

なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。

 

 

2019年2月期

2020年2月期

2021年2月期

2022年2月期

2023年2月期

自己資本比率(%)

28.4

29.8

27.3

27.9

29.2

時価ベースの自己資本比率

(%)

106.5

78.0

108.0

85.4

80.3

キャッシュ・フロー対

借入金比率(年)

1.7

1.5

4.0

6.7

1.7

インタレスト・カバレッジ・

レシオ(倍)

78.7

100.8

41.9

27.0

93.6

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対借入金比率:借入金/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利息の支払額

※ 各指標の算出は、連結ベースの財務数値によっております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

なお、期末発行済株式数より控除する自己株式に、株式需給緩衝信託が保有する当社株式291,200株が含まれております。

 

4【経営上の重要な契約等】

当社は、2022年5月26日開催の取締役会において、当社の流通株式比率向上を目的とする株式需給緩衝信託(以下「本信託」という。)の設定を決議し、野村信託銀行株式会社と本信託に関する契約を締結いたしました。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。