第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針

当社グループは、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、中長期の経営方針を定め、それをさらに年度の全社方針に展開し事業推進しております。当社グループは、この経営理念により、スポーツの振興と発展のため積極的に使命と役割を果たし、社会への貢献と企業の発展を目指しております。

また、当社グループは、主たる経営指標としてROA(総資産事業利益率)を採用しております。ROAは収益的成長と財務状態が適正にバランスすることにより向上する指標であり、現時点で中期的な目標を連結ベースで7%以上といたしております。この目標を達成するために、資産の効果的・効率的な投下による収益の最大化を図り、企業価値を増大させていきたいと考えております。

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

当社グループは、持続的成長と企業価値向上のため、下記の項目を経営の重点課題と位置づけ、事業に取り組んでまいります。

 

① 米州事業の更なる収支改善

当連結会計年度の米州事業の収支は、在庫管理強化に伴う売上総利益率の改善や、経費削減を推し進めた結果、前連結会計年度に比べ大幅に改善をいたしましたが、赤字からの脱却を達成するまでには至りませんでした。
 引き続き、業務の効率化や経費削減を進めるとともに、効果的なマーケティング施策の実践とより付加価値の高い製品・サービスの提供に努め、早期の黒字化を達成いたしたいと考えます。

 

② フットウエアビジネスの売上回復

フットウエアビジネスの売上回復に向けて、営業面におきましては、欧米での粗利額低迷の要因であった在庫品整理及び良質な売上に向けての供給量調整を終え、再興に向けての体制は整いつつあります。
 商品面におきましては、近年アスレジャーに代表されるファッションとスポーツの融合が世界的な消費者の嗜好となり、機能性だけでなく日常生活を豊かにする情緒的価値の向上が購買要素となるため、パフォーマンスアップ、快適性の追求とともに、見た目の新規性に加え消費者の使用シーンにマッチしたデザインを強化してまいります。
 また、デジタルを活用しながら、消費者インサイトの探求や話題性を高め、お客様にサービスと情報を多く提供することにより、回復へと繋げる所存です。
 さらに、サッカー、バドミントン、卓球、ワークなどのカテゴリーを幅広く強化し、フットウエアビジネス全体の底上げを図ってまいります。

 

③ 経営効率の更なる向上

ここ数年来続いていた売上総利益率の低下は、原価低減施策の成果などにより当連結会計年度において、一定の歯止めをかけることができました。
 今後も原価低減に向けた取り組みを継続するとともに、経営資源の配分の見直しを行い、新しい事業領域への投資を加速させることにより、新たな成長戦略を構築し、目標とする経営指標(ROA、ROE)の一層の向上を目指してまいります。

 

(3) 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針(会社法施行規則第118条第3号イ)、この基本方針を実現するための特別の取り組み(同条第3号ロ)について決議しております。

 

 

① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針

当社取締役会は、公開会社である当社における「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者」としてのあり方は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましく、その判断は最終的には当社の株主の意思に委ねられるべきものと考えます。
 一方で、スポーツ品の製造・販売やスポーツ施設の運営などの事業をグローバルで展開する当社グループを統括する当社の経営にあたっては、専門的ノウハウと豊富な経験、並びに国内外の顧客・従業員及び取引先やスポーツ産業特有の選手・チーム・団体や連盟等のステークホルダーとの間に築かれた関係への理解が不可欠であり、「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者」にこれらに関する十分な理解がなくては、株主価値を毀損する可能性があると考えます。

一段と激化する競争の中で、当社グループはスポーツ市場で「特徴あるブランド」として存在し続けていかなければなりません。

当社のブランド価値の核となるものは、「テクノロジー」「クラフトマンシップ」「品質」といった商品への信頼感であります。その信頼感の醸成のために、商品開発は当社のブランド価値向上の最も重要な要素であります。スポーツ品の研究開発においては、素材の基礎研究から製品化に至るまで多くの開発プロセスを経ており、長期の年月をかけ、その技術やノウハウの蓄積や技術者の育成を行ってまいりました。

また、海外と国内の事業を連動させ、競争優位のビジネスモデルの構築を目指すため、海外生産拠点の最適化を図り、継続的な製品コストの低減を行うとともに、コアとなる生産技術水準を維持・継承することにも努めております。

加えて、当社グループは顧客との情緒的な繋がりを強める企業文化や社風(当社の個性)を生み出す努力を継続してまいりました。従業員教育に努め、フェアプレー、フレンドシップ、ファイティングスピリットを大切にし、アンフェアな行為を許さない企業風土を有しております。また、長年にわたり地域スポーツ団体へのサポートや、指導者育成をはじめとしたスポーツ振興活動を行うなど社会貢献にも積極的に努めております。これらの企業文化や社風は、取引先、消費者、各種競技団体において当社グループと<ミズノ>ブランドに対する信頼感を高めてまいりました。

以上のように、信頼という無形の付加価値がグループの社員と企業文化によって築かれ、ブランド資産となり企業価値の向上に大きな役割を果たしております。
 当社では、100年以上にわたり築いてきたこれらの有形無形の財産が、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することとなる大規模買付行為を行う者の下においても保全され、中長期的にその価値を向上させられるものでなければ、当社の企業価値・株主共同の利益は大きく毀損されることになると判断いたします。従って、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれがあると認められる場合には、そのような大規模買付行為は不適切であると考えます。

 

② 基本方針を実現するための当社の取り組み

当社は、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、下記の長期経営方針に沿って企業価値向上の具現化を図っております。

・新100年ブランドの創造
 ・世界企業ミズノの実現
 ・誇りある企業文化の育成

創業以来、商品の品質・機能の充実を通してユーザー満足度を高める努力を行ってまいりましたが、次の100年にも通用するブランド創造を第一に掲げました。それにはグループ全体での企業価値の最大化を目指すために国境を越えた連携でグローバル企業を目指し、さらに公正な企業活動のもと、挑戦的で活力のある企業文化を醸成してまいります。

このためにも中長期的に以下のような重点目標を設定し、目標達成に向け経営資源を有効活用して企業価値を向上させていくことといたしております。

 

 

<海外市場でのシェア向上>

海外市場におけるマーケティング活動のさらなる強化推進により、すでに評価の高い技術や機能性を強く訴求することが重要と考えております。高いレベルのパフォーマンスを追求するエンドユーザーが対象顧客である「専門店チャネル」を中心に、欧州・米州・アジア・オセアニアをはじめとする海外市場でのブランド認知度の拡大とシェアアップを図ってまいります。

 

<商品開発力の強化>

ブランド差別化の源泉として、研究開発への人材と資金の投資を積極的に行ってまいります。すぐれた技術力により裏打ちされたスポーツシューズや、新素材の開発・採用に加え多様な機能性を発揮できる縫製技術を駆使するスポーツアパレルの領域は、グローバルでの市場規模が極めて大きく、これからの拡販余地が一層見込まれると考えております。従って、これらのプロダクト領域の開発に経営資源の配分ウエイトを高めてまいります。

 

<健康関連事業への取組み強化>

日本国内は、少子高齢化が加速するにともないシニア層の人口構成比が増大し、人々の健康への意識が高まりそのための活動の機会が増えると想定されます。日常的なスポーツやトレーニングへの志向に対する需要をしっかり受けとめ、競技スポーツで培った技術やノウハウをベースに、そのような需要に応える商品とサービスを提供してまいります。

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み

平成18年6月28日開催の第93回定時株主総会において、議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株式の買付行為、または結果として議決権割合が20%以上となる当社株式の買付行為(以下、「大規模買付行為」といい、大規模買付行為を行う者を「大規模買付者」という。)に関する対応方針が承認され、当社は買収防衛策を導入いたしました。
 この買収防衛策は、当社の企業価値、株主共同の利益を確保し向上させることを前提としており、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則に則った具体的なルールであります。
 大規模買付行為を受け入れるかどうかの最終判断は当社株主の皆様に委ねられるべきものであり、その判断のため、当社取締役会は大規模買付者からの提供情報に対し、評価・検討の上、取りまとめた意見や必要に応じ代替案を定められた期間内に開示いたします。
 また、当社取締役会が敵対的な買収と評価し、社外取締役及び外部専門家で構成する株主利益評価委員会が対抗措置発動の勧告を行った場合、当社取締役会はその勧告を最大限尊重して対抗措置の発動に関する最終的な意思決定を行います。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識するとともに、リスクの回避やリスクが発生した場合の対処・対応を事前に定めておりますが、業績等に影響を与える事項はこれらに限定されるものではありません。
 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) グローバルな事業展開において潜在するリスク

当社グループは、世界各地域に販売拠点や生産拠点を置くなど積極的に海外進出を推進しております。販売拠点は、欧州、北米、アジア、オーストラリアなどにおいて現地法人及び支店として展開していることに加え、現地の販売代理店を経由して当社製品の販売を行っております。また、中国、インドネシア及びベトナムなどには、スポーツシューズ、スポーツウエア及びゴルフクラブなど当社グループの主力商品を製造している自社工場やOEM委託工場が存在しております。
 これらのグローバルな事業展開には、進出先における予測不能な法令・規則の変更が行われたり、テロ・戦争・暴動・ストライキその他の要因による政治的・社会的・経済的混乱などが発生した場合には、当社グループのその後の事業展開が継続できないおそれがあり、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替レートの変動

当社グループは、世界各地域で製造・販売等の事業活動を行っておりますが、グループ各拠点の外貨建取引は為替レートの変動の影響を受けております。グループ各拠点は、為替変動の影響を最小限にとどめるためにリスクヘッジ手段として先物為替予約取引を行っておりますが、予想を大きく上回るなど不測の変動が生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 製品の欠陥

当社グループは、当社が定めた厳格な品質管理や品質保証に係る規程のもと、製品の生産を行っておりますが、スポーツやアウトドアなどアクティブな状況で使用される製品は、当社基準の想定を上回り破損し、破損によりユーザーや第三者を負傷させたり、器物の損傷を招くなどの潜在的なリスクを有しております。当社グループは、製造物責任保険に加入し、不意の訴訟や賠償要求に備えておりますが、保険で十分にカバーできるという保証はありません。また、万一、リコールが発生した場合には、製品回収・交換・設計変更などによる多大なコスト増大や、ブランドイメージや社会的評価の低下とそれにともなう売上高減少をまねくことになり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 原材料価格の高騰

当社グループが製造・販売する商品に関しては、天然皮革、天然樹脂、木材、金属及び石油製品などを原材料として使用しております。これらの原材料は資源価格の変動リスクにさらされており、不測の資源価格の上昇が発生した場合には、原材料コストの増大によって当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループが顧客に対して商品販売やサービス提供を行うに際しては、顧客の情報管理に最大限に注意を払い漏洩しないための情報システム防御を実行しております。しかしながら、第三者等による情報システムへの意図的な侵入が行われたり、様々な原因や理由によって情報システムが停止するなどの問題が予想され、それによって個人を含む顧客情報の漏洩や流出が発生するリスクが存在いたします。万一、このような事態が発生した場合には顧客からの損害賠償請求や信用の失墜により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 地震等の自然災害

地震等の自然災害の発生により、当社グループの販売や生産の拠点が損害を受け、操業の中断や物流の遅延、多額の復旧費用が発生するリスクが存在いたします。たとえ自社の施設や商品等への直接的な損害が限定的であったとしても、取引先や仕入先・製造委託先が被災した場合や消費活動の低迷などにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 経営成績

当連結会計年度において当社グループは、「米州事業の改善」、「ゴルフビジネスの再建」及び「原価低減を主とする経営効率の向上」を最重要課題と位置づけ事業経営に取り組んでまいりました。「米州事業の改善」については、在庫のコントロールや経費削減などの施策を実施した結果、損益は大きく改善しました。「ゴルフビジネスの再建」については、市場が下げ止まりの兆しを見せている中、ブランド価値向上の取り組みを進めており、特にカスタムフィッティングがグローバルで好調に推移しました。「原価低減を主とする経営効率の向上」については、生産、仕入コスト削減の取り組みの成果及び為替の影響による仕入コストの減少などにより、売上総利益率が向上しました。
 これらの結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高は、主に利益重視の良質な売上確保に向けた取り組みの結果、33億1千8百万円減収(前年同期比1.8%減)の1,853億9千9百万円となったものの、営業利益は、売上高総利益率の上昇、経費の抑制により65億9千9百万円増益の80億4千3百万円(前年同期比456.9%増)となりました。経常利益は、営業利益の増加などにより、65億7千6百万円増益(前年同期比430.0%増)の81億6百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、41億6千8百万円増益(前年同期比586.7%増)の48億7千8百万円となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

 

a 日本

 日本は、サッカー、卓球、バドミントンなどの種目を扱う競技スポーツ品販売事業が好調でした。野球品販売事業の売上高は競技人口の減少などにより前年同期をやや下回りましたが、ゴルフ品販売事業の売上高は、カスタムクラブが好調であったことなどにより前年同期を上回り、収益も大きく改善しました。自治体の指定管理施設の運営や工事、体育器具の販売を行うスポーツ施設サービス事業やライフスタイル品販売事業は堅調に推移しました。
 営業利益は、商品設計や調達方法の見直しなどの原価低減活動の成果などにより、大幅な増益となりました。
 これらの結果、売上高は8億5千7百万円増収(前年同期比0.7%増)の1,293億3千9百万円とほぼ前年並みでしたが、営業利益は42億8百万円増益(同133.9%増)の73億5千1百万円と大幅な増益となりました。

 

b 欧州

欧州は、主力のランニングシューズが、利益重視の良質な売上確保に向けた取り組みにより減収となりましたが、利益率は改善しました。一方、昨年度より市場に参入したテニスシューズが好調に推移するなど、競技スポーツ品販売事業は堅調に推移しました。ゴルフ品販売事業ではカスタムクラブが好調に推移し、低迷が続いた市場に明るさが見えました。営業損失は、滞貨在庫の処分販売の減少や販売先の構成変化などにより縮小しました。
 これらの結果、売上高は9億5千7百万円減収(前年同期比6.3%減)の143億1千4百万円でしたが、営業損失は1億3千9百万円縮小し、6千4百万円となりました。

なお、当連結会計年度における欧州各通貨の換算レートは以下のとおりであります。
 英ポンド:147.23円(前年同期142.97円)、ユーロ(欧州支店):129.44円(前年同期119.28円)
 ユーロ(子会社):126.84円(前年同期121.38円)、ノルウェークローネ:13.59円(前年同期13.08円)

 

 

c 米州

米州は、前年のランニングシューズの在庫過多、競争激化といった厳しい状況からの脱却を図っており、売上高は減少したものの在庫や販売単価は持ち直し、売上総利益率は大きく改善しました。また一層の経費削減も進めており、収益力は回復しつつあります。また、欧州同様にカスタムクラブを中心にゴルフ品販売事業に好転の兆しが見えています。
 これらの結果、売上高は33億4千3百万円減収(前年同期比13.8%減)の208億1千6百万円でしたが、営業損失は23億3千4百万円縮小し、2億9百万円となりました。

なお、当連結会計年度における米州各通貨の換算レートは以下のとおりであります。
 米ドル:112.35円(前年同期110.26円)、カナダドル:86.50円(前年同期82.96円)

 

d アジア・オセアニア

アジア・オセアニアの業績は、売上高は、ランニングシューズが苦戦したものの、他セグメント同様、ゴルフ品販売事業に回復の兆しが見えていることや、韓国で競技スポーツ品販売が好調であったことなどにより微増となりましたが、営業利益は中国やシンガポールで一時的な経費が発生した結果、減益となりました。
 これらの結果、売上高は1億2千5百万円増収(前年同期比0.6%増)の209億2千9百万円とほぼ前年並みとなりましたが、営業利益は9千万円減益(同8.4%減)の9億9千3百万円となりました。

なお、当連結会計年度におけるアジア・オセアニア各通貨の換算レートは以下のとおりであります。
 台湾ドル:3.69円(前年同期3.41円)、香港ドル:14.42円(前年同期14.21円)
 中国元:16.62円(前年同期16.60円)、豪ドル:86.04円(前年同期81.69円)
 韓国ウォン(100ウォンあたり):9.96円(前年同期9.47円)
 米ドル(シンガポール):112.35円(前年同期110.26円)

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ10億1百万円増加して1,568億9千7百万円となりました。受取手形及び売掛金が8億1千2百万円、投資有価証券が25億6千4百万円、流動、固定の繰延税金資産が3億7千3百万円、それぞれ増加し、商品及び製品が6億8千1百万円、建物、土地等の有形固定資産合計が3億2千7百万円、それぞれ減少したことが主な要因であります。
  負債は、前連結会計年度末に比べ25億3千3百万円減少して648億4千3百万円となりました。支払手形及び買掛金が2億6千7百万円、退職給付に係る負債が9億1千7百万円、長短の借入金が合計で43億5千6百万円減少したことが主な要因であります。
  純資産は、前連結会計年度末に比べ35億3千5百万円増加して920億5千3百万円となりました。退職給付に係る調整累計額が3億2千1百万円、為替換算調整勘定が2億4千9百万円、その他有価証券評価差額金が4億7千1百万円、それぞれ増加した一方、繰延ヘッジ損益が11億2千万円減少したことなどによります。
 この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の56.6%からへ58.5%へと1.9ポイント上昇いたしました。

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は159億7千6百万円となりました。当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。

 

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

営業活動によるキャッシュ・フローは113億1百万円の収入となりました。収入の主な内訳は税金等調整前当期純利益78億2千5百万円、減価償却費の計上29億5百万円、たな卸資産の減少額13億9千3百万円、支出の主な内訳は、売上債権の増加額7億6千1百万円、法人税等の支払額6億6千6百万円であります。

 

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

投資活動によるキャッシュ・フローは40億7千2百万円の支出となりました。収入の主な内訳は有形固定資産の売却による収入1億2千3百万円、支出の主な内訳は有形固定資産の取得による支出15億9千8百万円、無形固定資産の取得による支出6億5千8百万円、投資有価証券の取得による支出20億3千1百万円であります。

 

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

財務活動によるキャッシュ・フローは57億6千2百万円の支出となりました。収入の主な内訳は長期借入れによる収入33億4千万円、支出の主な内訳は短期借入金の減少30億2千5百万円、長期借入金の返済による支出46億8百万円、配当金の支払額12億6千万円であります。

 

 ④ 生産受注及び販売の実績

  a 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

日本

15,784

104.2

米州

2,111

95.8

アジア・オセアニア

3,594

75.0

合計

21,490

97.1

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 「欧州」の生産実績はありません。

 

  b 受注実績

当社グループは見込生産を行っており、その他の事業のうち、スポーツ施設関連の一部のみ受注生産を行っておりますが、全体に占める割合が僅少であるため記載を省略しております。

 

  c 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

日本

129,339

100.7

欧州

14,314

93.7

米州

20,816

86.2

アジア・オセアニア

20,929

100.6

合計

185,399

98.2

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 セグメント間の取引については相殺消去しております。

3 総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりでありますが、その前提となる様々な要因については、過去の実績、現在の状況及び将来の想定を総合的に勘案し、合理的と考えられる見積りと判断に基づいて適用しております。実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。
 当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

a 繰延税金資産

繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する様々な予測・仮定に基づいており、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。当社グループでは、将来の課税所得や加減算などのスケジューリングに基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しておりますが、将来の課税所得の予測・仮定に変更が生じ、繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断した場合、当社グループの繰延税金資産は減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

b 退職給付債務

当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される計算基礎を用いて算出されております。その見積数値と実績が異なる場合、または見積数値が変更された場合、その影響額は将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には、将来において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
 割引率の見積りにあたっては、安全性の高い長期の債券利回りを基礎に決定しております。また、期待運用収益率については、保有する年金資産のポートフォリオ、過去の実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して決定しております。

 

c 減損会計

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされる固定資産について、その帳簿価額の回収が懸念される企業環境の変化や経済事象が発生した場合には、減損の要否を検討しております。その資産の市場価格及びその資産を使用した営業活動から生じる損益等から減損の兆候があると判定された固定資産については、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、回収可能価額まで減損処理を行っております。
 回収可能価額は見積り将来キャッシュ・フロー及びその他の見積り及び仮定から合理的に決定しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、これらの見積り及び仮定が将来変更された場合、減損金額の増加及び新たな減損認識の可能性があります。

 

d 有価証券及び投資有価証券の評価

当社は、純投資目的及び長期的な協力関係や取引関係の観点から株式等を所有しており、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合に株式等の減損処理を実施することとしております。即ち、時価のある「その他有価証券」については、期末時価が帳簿価格を30%以上下回った場合に、また、時価のない「その他有価証券」については評価対象となる純資産額が帳簿価格を50%以上下回った場合に減損処理を実施するものであります。従って、将来の株式市場や投資先の業績動向により、これらの有価証券及び投資有価証券の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、ROA(総資産事業利益率)とROE(自己資本当期純利益率)を目標とする経営指標と位置付けておりますが、収益的成長と財務状態が適正にバランスすることにより向上するROAを特に重要な経営指標として目標値を設定しております。現時点で中期的な目標とするROAを連結ベースで7%以上といたしております。当連結会計年度におけるROAは5.3%(前年同期比4.2ポイント改善)であり、目標を達成するために、引き続き資産の効果的・効率的な投下による収益の最大化を図り、企業価値を増大させていきたいと考えております。                                                             

 

a 売上高及び売上総利益

売上高は33億1千8百万円減収(前年同期比1.8%減)の1,853億9千9百万円となりました。国内事業は概ね堅調に推移したものの、北米ランニングシューズ市況が引き続き厳しい状況であったことが主な要因であります。売上総利益率は生産、仕入コスト削減の取り組みの成果及び為替変動の影響により前年同期比で3.1ポイント改善し、売上総利益は46億2千6百万円の増益となりました。

 

b 販売費及び一般管理費、営業利益及び経常利益

販売費及び一般管理費は19億7千3百万円減少いたしました。

この結果、営業利益は65億9千9百万円増益(前年同期比456.9%増)の80億4千3百万円となりました。また、営業利益率は前年同期比で3.5ポイント改善しております。また、営業外損益では2千2百万円の減益要因となりました。

 この結果、経常利益は営業増益を主因として、65億7千6百万円増益(前年同期比430.0%増)の81億6百万円となりました。

 

c 特別損益、法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益

特別利益は、前年度の退職給付信託設定益等の影響により25億1千4百万円減少いたしました。特別損失は、減損損失や事業構造改善費用の影響等により7億5千8百万円減少いたしました。法人税等は、税金等調整前当期純利益の増加を主要因として、6億5千5百万円増加いたしました。
 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は41億6千8百万円増益(前年同期比586.7%増)の48億7千8百万円となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要の主なものは、商品、原材料等の購入費用、販売費及び一般管理費等の営業費用及び維持更新等を目的とした設備投資等であります。これらの資金需要に対しては、営業活動から獲得する自己資金並びに金融機関からの借入による調達を基本としております。
 当連結会計年度におきましては、営業活動により113億1百万円の資金を獲得しました。一方、既存設備等の維持更新を主な目的に有形無形固定資産の取得に22億5千7百万円、余資の運用として投資有価証券の取得に20億3千1百万円を支出したことなどにより、投資活動として40億7千2百万円を支出しました。また、借入金の減少に42億9千3百万円、配当金の支払いに12億6千万円を支出したことなどにより、財務活動として57億6千2百万円を支出しました。
 これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は159億7千6百万円となっております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、経営理念と長期経営方針に基づき、グローバル事業戦略に沿った商品開発を基本的なコンセプトとしております。そのためには、スポーツ工学及びスポーツ科学の研究を基盤とした基幹技術や素材の研究・開発を行うことが中核的な活動であり、そのことにより高機能製品の開発が実現されると考えております。同時に製品を実現するための生産技術の開発を進め、それらの技術が蓄積されることによりプロダクション機能の強化が果たされるものと考えております。

現在、研究開発活動の体制は、スポーツ品の製造に関しては、基礎研究・機能研究など広範で中長期的な視点で研究開発を行う当社の研究開発部と各グローバルプロダクト部門(アパレル、フットウエア、イクイップメント)の開発セクションを中心として、MIZUNO USA,INC.の開発部門やミズノテクニクス株式会社の技術部門、セノー株式会社開発本部などもその役割を担って推進しております。基盤技術や素材・製品の研究開発にあたっては、独自の研究に加え、多くの大学の研究室や取引先企業の研究開発部門等とも密接に連携を図り協力関係のもと遂行しております。

また、最近においては長年スポーツで培った技術をスポーツ以外の分野でも活用すべくライフイノベーション分野や産業資材分野への応用展開にも力を入れております。ミズノのスポーツテクノロジー、商品・サービスを通じて健康・快適・安全の領域でより多くの人が生きがいや喜びを感じ幸せに暮らす事に貢献出来るように、またより安全で快適な社会を作ることに貢献できるように研究開発を進めています。ミズノグループでの研究開発に携わる人員はグループ全体で215名であります。

なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は25億9千8百万円であります。