当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中における将来に関する事項は、当中間連結会計期間末日(2025年9月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善により、緩やかな回復傾向が見られたもの
の、物価上昇圧力や米国通商政策が及ぼす消費の下振れリスクに対する懸念が広がりました。海外経済も緩やかな回復傾向にありましたが、米国通商政策や、地政学的緊張などにより、先行きの不透明感が見られました。
このような状況の中、当社グループは、国内においては、フットボールやバレーボール等の競技スポーツ品や、ワークビジネスやスポーツスタイルシューズの売上が好調に推移しました。海外においてはゴルフに加え、成長分野と位置付けるフットボール、ランニングや、スポーツスタイルシューズの販売が伸長しました。
これらの結果、当社グループの経営成績は、売上高は68億9千4百万円増収(前年同期比5.8%増)の1,265億8百万円、営業利益は8億5千9百万円増益(前年同期比7.7%増)の120億1千1百万円、経常利益は14億1千3百万円増益(前年同期比12.5%増)の127億2千2百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は17億7千9百万円増益(前年同期比22.0%増)の98億7千6百万円と、いずれも中間連結会計期間として過去最高の結果となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
① 日本
日本は、フットボールやバレーボール等の競技スポーツ品や、非スポーツ分野であるワークビジネスやスポーツスタイルシューズの売上が好調に推移しました。ワークビジネスにおいてはスポーツ用品開発で培った機能を搭載したシューズやアパレルが評価され、個人向け、企業向け共に販売が拡大しました。
この結果、売上高は31億7千5百万円増収(前年同期比4.5%増)の734億6千8百万円、営業利益は12億8千1百万円増益(前年同期比21.5%増)の72億3千3百万円となり、いずれも中間連結会計期間として過去最高となりました。
② 欧州
欧州は、主力カテゴリーであるランニング、ゴルフや、スポーツスタイルシューズの販売が好調に推移したものの、物流コストの上昇などにより利益が下押しされました。
この結果、売上高は17億6千3百万円増収(前年同期比14.3%増)の141億8百万円で過去最高の結果となったものの、営業利益は3億1千5百万円減益(前年同期比49.7%減)の3億2千万円となりました。
なお、当中間連結会計期間における欧州各通貨の換算レートは以下のとおりであります。
英ポンド:193.71円(前年同期 195.55円)、 ユーロ:162.59円(前年同期 164.82円)、
ノルウェークローネ:13.92円(前年同期 14.35円)
③ 米州
米州は、主力事業であるゴルフが引き続き好調に推移しました。鍛造アイアンを中心とした商品面への高
い評価に加えて、カスタムフィッティングのサービス面でもユーザーから高い信頼を獲得しています。
この結果、売上高は3億4千8百万円増収(前年同期比1.7%増)の208億1千5百万円、営業利益は5百万円増益(前年同期比0.2%増)の23億4千1百万円と、いずれも中間連結会計期間として過去最高となりました。
なお、当中間連結会計期間における米州各通貨の換算レートは以下のとおりであります。
米ドル:148.99円(前年同期 152.30円)、カナダドル:105.31円(前年同期 112.40円)
④ アジア・オセアニア
アジア・オセアニアは、成長分野と位置付けるランニング、フットボール、スポーツスタイルシューズの販売が伸長しました。一方で韓国ゴルフ市場の停滞により韓国でのゴルフの収益性が低下しました。
この結果、売上高は16億6百万円増収(前年同期比9.7%増)の181億1千6百万円で過去最高の結果となったものの、営業利益は1億7千5百万円減益(前年同期比7.7%減)の21億1千2百万円となりました。
なお、当中間連結会計期間におけるアジア・オセアニア各通貨の換算レートは以下のとおりであります。
台湾ドル:4.69円(前年同期 4.78円)、香港ドル:19.11円(前年同期 19.47円)、
中国元:20.53円(前年同期 21.08円)、豪ドル:94.19円(前年同期 100.61円)、
韓国ウォン(100ウォンあたり):10.42円(前年同期 11.28円)、
米ドル(シンガポール):148.99円(前年同期 152.30円)、
タイバーツ:4.44円(前年同期 4.22円)
財政状態の分析は、以下のとおりであります。
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ29億9千8百万円増加し、2,214億7千8百万円となりました。商品及び製品が24億7千8百万円、売掛金が24億3千9百万円それぞれ減少した一方、投資有価証券が41億2千7百万円、現金及び預金が32億5千9百万円それぞれ増加したことが主な要因です。
負債は、前連結会計年度末に比べ32億1千7百万円減少し、581億4千万円となりました。支払手形及び買掛金が27億3百万円、未払金及び未払費用が17億2千2百万円、それぞれ減少したことが主な要因です。
純資産は、前連結会計年度末に比べ62億1千6百万円増加し、1,633億3千8百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の71.6%から73.4%へと1.8ポイント増加しました。
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ32億5千9百万円増加し、356億5千8百万円となりました。
当中間連結会計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは113億9千8百万円の収入となりました。収入の主な内訳は税金等調整前中間純利益133億7千8百万円、売上債権の減少額20億7千万円、棚卸資産の減少額25億3千万円、支出の主な内訳は仕入債務の減少額25億2千8百万円、法人税等の支払額28億6千3百万円、未払金及び未払費用の減少額13億7千6百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは48億7千4百万円の支出となりました。支出の主な内訳は有形固定資産の取得による支出14億4千6百万円、投資有価証券の取得による支出31億4千6百万円、収入の主な内訳は短期貸付金の減少額2千4百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは25億8千4百万円の支出となりました。支出の主な内訳は配当金の支払額22億9千6百万円、長期借入金の返済による支出11億6千4百万円、収入の主な内訳は長期借入れによる収入10億円であります。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
なお、当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針(会社法施行規則第118条第3号イ)、この基本方針を実現するための特別の取り組み(同条第3号ロ)を以下のとおり決議しております。
イ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針
当社取締役会は、公開会社である当社における「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者」としてのあり方は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましく、その判断は最終的には当社の株主の意思に委ねられるべきものと考えます。
一方で、スポーツ品の製造・販売やスポーツ施設の運営などの事業をグローバルで展開する当社グループを統括する当社の経営にあたっては、専門的ノウハウと豊富な経験、並びに国内外の顧客・従業員及び取引先やスポーツ産業特有の選手・チーム・団体や連盟等のステークホルダーとの間に築かれた関係への理解が不可欠であり、「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者」にこれらに関する十分な理解がなくては、株主価値を毀損する可能性があると考えます。
一段と激化する競争の中で、当社グループはスポーツ市場で「特徴あるブランド」として存在し続けていかなければなりません。
当社のブランド価値の核となるものは、「テクノロジー」「クラフトマンシップ」「品質」といった商品への信頼感であります。その信頼感の醸成のために、商品開発は当社のブランド価値向上の最も重要な要素であります。スポーツ品の研究開発においては、素材の基礎研究から製品化に至るまで多くの開発プロセスを経ており、長期の年月をかけ、その技術やノウハウの蓄積や技術者の育成を行ってまいりました。
また、海外と国内の事業を連動させ、競争優位のビジネスモデルの構築を目指すため、海外生産拠点の最適化を図り、継続的な製品コストの低減を行うとともに、コアとなる生産技術水準を維持・継承することにも努めております。
加えて、当社グループは顧客との情緒的な繋がりを強める企業文化や社風(当社の個性)を生み出す努力を継続してまいりました。従業員教育に努め、フェアプレー、フレンドシップ、ファイティングスピリットを大切にし、アンフェアな行為を許さない企業風土を有しております。また、長年にわたり地域スポーツ団体へのサポートや、指導者育成をはじめとしたスポーツ振興活動を行うなど社会貢献にも積極的に努めております。これらの企業文化や社風は、取引先、消費者、各種競技団体において当社グループと<ミズノ>ブランドに対する信頼感を高めてまいりました。
以上のように、信頼という無形の付加価値がグループの社員と企業文化によって築かれ、ブランド資産となり企業価値の向上に大きな役割を果たしております。
当社では、100年以上にわたり築いてきたこれらの有形無形の財産が、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することとなる大規模買付行為を行う者の下においても保全され、中長期的にその価値を向上させられるものでなければ、当社の企業価値・株主共同の利益は大きく毀損されることになると判断いたします。従って、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれがあると認められる場合には、そのような大規模買付行為は不適切であると考えます。
ロ.基本方針を実現するための当社の取り組み
当社は、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、下記の長期経営方針に沿って企業価値向上の具現化を図っております。
・未来へ続くブランドの共創
・世界企業ミズノの実現
・誇りある企業文化の育成
創業以来、商品の品質・機能の充実を通してユーザー満足度を高める努力を行ってまいりましたが、スポーツの力で持続可能な社会を実現することを原動力として、全社員の手で、すべての顧客やステークホルダーと共にミズノブランドを創り上げてまいります。そのためには、グループ全体での企業価値の最大化を目的に国境を越えた連携でグローバル企業を目指し、さらに公正な企業活動のもと、挑戦的で活力のある企業文化を醸成してまいります。また、中長期的に以下のような重点目標を設定し、目標達成に向け経営資源を有効活用して企業価値を向上させていくことといたしております。
<海外市場でのシェア向上>
海外市場におけるマーケティング活動のさらなる強化推進により、すでに評価の高い技術や機能性を強く訴求することが重要と考えています。高いレベルのパフォーマンスを追求するエンドユーザーが対象顧客である「専門店チャネル」を中心に、欧州・米州・アジア・オセアニアをはじめとする海外市場でのブランド認知度の拡大とシェアアップを図ってまいります。
<商品開発力の強化>
ブランド差別化の源泉として、研究開発への人材と資金の投資を積極的に行ってまいります。すぐれた技術力により裏打ちされたスポーツシューズや、新素材の開発・採用に加え多様な機能性を発揮できる縫製技術を駆使するスポーツアパレルの領域は、グローバルでの市場規模が極めて大きく、これからの拡販余地が一層見込まれると考えております。従って、これらのプロダクト領域の開発に経営資源の配分ウエイトを高めてまいります。
<健康関連事業への取組み強化>
日本国内は、少子高齢化が加速するにともないシニア層の人口構成比が増大し、人々の健康への意識が高まり、そのための活動の機会が増えると想定されます。日常的なスポーツやトレーニングへの志向に対する需要をしっかり受けとめ、競技スポーツで培った技術やノウハウをベースに、そのような需要に応える商品とサービスを提供してまいります。
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は15億4千6百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当社グループにとって経営成績に重要な影響を与える事項として、品質とコストの安定が挙げられます。製品の品質保持は、技術と知恵に裏打ちされた生産管理ノウハウに拠るものであり、それを包含したプロダクション機能の強化が重要と考えております。
また、海外の製造拠点におけるコストの上昇は深刻な問題であり、原材料価格の変動や現地労働市場の動向への絶え間ない注視と迅速な対処が求められます。加えて、直接的に輸入仕入コストに影響する為替変動については、適宜ヘッジを実行してコストの平準化に努めております。
さらに、当社グループでは、同じカテゴリーの製品を複数の製造委託先に委託することや、複数の国にわたって製造の拠点を分散させるなど、リスク管理、品質安定及びコスト抑制を常に図っております。
当社グループは、以下の施策により、今後の成長に必要な資金調達能力を保持しております。
短期的な運転資金は、金融機関からの借入により、多様な資金需要に対応しております。設備投資などの長期の資金需要については、調達コストの抑制を図りつつ、取引の安定性を重視して金融機関との間で長期借入契約を締結しております。
また、当社では、グループ各拠点の資金ポジション(過不足状況)を把握し、拠点間の需給の調整や、相互融通による資金マネジメントにより有効活用しております。さらに、主要取引銀行との間で締結している当座借越契約は、万一の資金不足の際の安全弁として、流動性の備えとしております。
当中間連結会計期間において、重要な契約等の決定または締結等はありません。