第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

■ 会社の経営の基本方針

当社グループでは、「インパクトと利益の二項対立を乗り越える」というビジョンを掲げ、「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念に基づき、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブな社会をステークホルダーの皆さまと共に創ることをミッションとしています。

この実現には、私たちだけでなく、ステークホルダーの皆さまとの共創が必要です。当社グループでは、お客さまをはじめ、株主・投資家の皆さま、地域・社会、お取引先さま、社員、将来世代すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和を企業価値としています。ステークホルダーの皆さまと共創する共創経営を進めることで、この企業価値の拡大とビジョンの実現をめざしています。

当社グループの「共創経営」の詳細については、「共創経営レポート2023」「VISION BOOK 2050」をご覧ください。

共創経営レポート(https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/i-report.html)

VISION BOOK 2050(https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/s-report.html

 

 


 

 

経営ビジョン&戦略ストーリー2031の策定について

2031年の創業100周年に向けて、「経営ビジョン&戦略ストーリー2031」を策定しました。経営ビジョンとして高い目標を掲げ、そこからバックキャスティングして戦略ストーリーを構築し、ビジョン・インパクト・事業戦略を連動させることで社会的価値の創出を実現していきます。


 

1)経営ビジョン

当社グループは、これまでの小売・フィンテック・共創投資による三位一体ビジネスから、フィンテックを中心とした「『好き』を応援するビジネス」へ転換することで、「インパクトと利益の二項対立を乗り越える」というビジョンを実現していきます。

経営ビジョンの前提として、30年以上続くデフレ経済は変化の潮目を迎えており、消費者の行動にも変化が生じる中、これまでのポイント還元に代表されるコスパ消費とは対極となる「『好き』が駆動する経済」という新たな経済の可能性を見出し、この新しい市場を創造することで成長していきます。


 

2)戦略ストーリー

 「『好き』を応援するビジネス」を通じてめざすインパクトと、その実現に向けた戦略は以下のとおりです。

 

「好き」を通じて誰かのため、社会のためへと広がる消費

「好き」を応援するビジネスの目的は、「好き」を応援することで「自分のため」の消費が「誰かのため」となり、やがて「社会のため」へと広がっていくことでインパクトと利益を両立させることにあります。

当社グループの「好き」を応援するカードでは、ご利用を通じて応援したい相手に寄付ができるカードの会員が拡大しており、「誰かのため」に「寄付」することに幸せを感じる新しいタイプの消費者が、今後もますます増えていくと予想されます。

新しいタイプの消費者にお応えすることで差別化戦略を進め、「好き」を応援するカードの会員数を2031年3月期には300万人まで拡大し、2041年3月期にはゴールドカードの会員数を上回ることをめざします。


 

「好き」を応援するファイナンシャル・エンパワーメント

当社グループはこれまで若者の自己実現を応援してきましたが、今後は「好き」を応援するファイナンシャル・エンパワーメントを通じて、すべての人の自己実現を支援していきます。

これまでのフィンテックのビジネスでは、丸井の店舗がある大都市圏を中心とした地域で「信用の共創」によりクレジットカードを発行してきましたが、今後はその対象範囲を広げ、地域を問わず小売の新たな自主運営体制の全国展開を通じて会員募集を行います。

・また、今後拡大する自営業、スタートアップ、フリーランス等の多様な働き方に対しては「オーナーカード」、「ランサーズカード」、日本で働く外国人の方々に対しては協業を通じた「GTNカード」を含め、会員を拡大します。


 

支援戦略

自主・PBに代わる新たな顧客接点として、コンパクトな面積で、高い集客力や会員募集力、客単価や荒利益率の向上が期待できる「好き」を応援するイベントとグッズ、カードの新しい自主運営ユニットを全国主要都市に展開することで、インパクトと利益の両立を支援します。

また、当社グループはこれまでDXを通じた顧客体験の向上をめざして、UXの先進企業でもあるグッドパッチ社との合弁会社や新たに設立したマルイユナイトを通じて、専門人材の採用を進めるとともにアジャイルな開発体制を整備してきました。

・今後はプロフェッショナル人材の活躍を通じて、デジタルのUXと新自主運営ユニットによるリアルの体験を融合した独自の体験価値を提供することでロイヤルカスタマー化を推進します。


 

「フロー」を通じた創造性の発揮

・当社グループでは、能力と挑戦、創造性と幸せ、というビジネスにとって重要な要素を包括的に捉えることのできる「フロー」という概念に注目し、社員一人ひとりの働きがいと組織活力を高める取り組みを行ってきました。


今後は、「好き」を応援するコンクールなどを通じて自分の「好き」を仕事に活かす機会を増やし、創造性を発揮することで、アイデアやナレッジ、ノウハウなどの無形資産を活かしたビジネスを拡大し、2031年3月期までに無形資産比率を70%以上に高めることで企業価値の向上をめざします。

 

ソーシャル・イントラプレナーによる事業開発

社外の起業家とのイノベーションの創出に加え、「会社にいながら社会を変えられるソーシャル・イントラプレナー(社内起業家)」の活躍を促すために、ビジネスプロデュース推進室を設置し、様々な雇用形態を通じて社内外から人材を募集し事業開発を進めます。

中長期的な人材育成のため「ソーシャル・イントラプレナー育成財団」を設立し、大学生、中高生向けに講座を提供します。将来的には当社グループへの入社やプロジェクトへの参加を通じ、当社グループの事業開発にも活かしていきます。


 

 

探究領域

「好き」を応援するビジネスのグローバル化に取り組み、まずは「世界から見た『好き』の対象としての日本」というテーマで世界中から人材を募集し事業開発を進めます。

 

3)リスク

金利上昇による金融費用増加への対応

分割・リボ手数料については、2026年3月期の期中における手数料率の変更を計画しており、収益の増加を見込んでいます。

調達金利については、平均調達年限を短縮することで調達利率の低減を図るとともに、格付の向上をめざして格付機関との対話を強化し、金融費用の増加抑制に取り組みます。

 

4)資本政策と株主還元

資本政策

2031年3月期には、バランスシートが1.5兆円規模に拡大する見通しとなり、セグメント別では小売の自己資本比率が50%と、当社グループが最適とする35%から乖離する見込みのため、300億円の資本最適化をすることで連結自己資本比率16%を目標にバランスシートの見直しを進めます。

株主還元方針については、2031年3月期に向けてROE15%以上をめざすことを鑑み、株主資本配当率(DOE)10%としています。

資本配分については、6年間の基礎営業キャッシュ・フロー3,500億円を、成長投資として既存事業に900億円、DX投資・事業開発などの未来投資に600億円、資本最適化に向けた自己株式取得に300億円、株主還元に1,700億円を配分する計画です。

 

□ 資本配分(26年3月期~31年3月期)


 

株主還元

株主還元については、適正な利益配分を継続的に実施することを基本方針とします。

配当については、EPSの長期的な成長に基づく継続的な配当水準の向上に努め、「高成長」と 「高還元」の両立を図ります。

・株主資本配当率(DOE)は10%程度を目安とし、長期安定的な増配の実現をめざします。

自己株式の取得については、最適資本構成、財務状況および株価水準等を総合的に勘案し、資本効率と株主利益の向上に向けて、適宜機動的に実施します。なお、取得した自己株式は原則として消却します。

・配当の基準および自己株式取得の方針については、定期的に検証し適宜見直しを行います。

 

 

5)KPI

2031年3月期におけるKPIはPBR3~4倍、EPS成長率は年率9%以上、TSR成長率は年率12%以上の高成長・高還元の実現をめざします。


 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

1.会社の考えるサステナビリティ

Ⅰ. サステナビリティ全般

当社グループでは、2016年より環境への配慮、社会的課題の解決、ガバナンスへの取り組みがビジネスと一体となった未来志向のサステナビリティ経営への第一歩を踏み出しました。それまで取り組んできた「すべての人」に向けたビジネスを「インクルージョン(包摂)」というテーマでとらえ直したうえで、重点テーマを整理し、取り組みを進めてきました。これらの取り組みは、国連の持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」の実現にも寄与するものです。

そして、2019年には本格的なサステナビリティ経営に向け、2050年を見据えた長期ビジョン「丸井グループビジョン2050」を策定し、「インパクトと利益の二項対立を乗り越える」ことを宣言しました。

2021年には「ビジョン2050」に基づき、サステナビリティとWell-beingに関わる目標を「インパクト」として定義しました。インパクトは、「ビジョン2050」に定めた取り組みをアップデートし、「将来世代の未来を共に創る」「一人ひとりの『しあわせ』を共に創る」「共創のエコシステムをつくる」という共創をベースにした3つのテーマを定めました。

2025年には新たに「経営ビジョン&戦略ストーリー2031」を策定し、「好き」が駆動する経済の実現に向けて、インパクトを「将来世代の未来を共に創る」「一人ひとりの『好き』が駆動する経済を創る」「働く人の『フロー』を生み出す社会を創る」の3つのテーマに再定義しています。

ビジネスを通じて社会課題の解決と利益の両立をめざし、「インパクト」と「利益」の主要な取り組み項目を主要KPIとして設定しています。具体的な指標は「(4)指標と目標」に記載しています。
 

 

(1)ガバナンス

すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和と拡大に向け、ステークホルダーをインクルードした経営の仕組みづくりに着手します。

ステークホルダー経営

ステークホルダーの求める利益としあわせを共に実現する共創経営に向けて、ステークホルダーをボードメンバーに迎えることで、ガバナンス体制を進化させていきます。

サステナビリティマネジメントの推進

サステナビリティ経営の推進に向けて活動を適時検証するとともに、サステナビリティとビジネスの両立をめざす重点指標(KPI)の進捗を確認しています。サステナビリティマネジメント体制の強化に向け、2019年にサステナビリティアドバイザーおよび取締役会の諮問機関としてのサステナビリティ委員会を設置しました。外部有識者や将来世代を含むメンバーにて、グループ全体のサステナビリティ戦略および取り組みなど、未来に向けた対話を深め、積極的に取締役会に報告・提言を行っています。

リスクマネジメントの推進

サステナビリティ経営の礎として、「グループ行動規範」を定め、そのもとに「丸井グループ人権方針」「丸井グループ安全衛生方針」「丸井グループ環境方針」等を定めています。外部環境の変化に対応し、デジタル化や技術革新による事業構造転換のさらなるスピードアップに向けて、CDO(Chief Digital Officer)を配置しています。また、情報セキュリティリスクへの対応を強化するため、情報セキュリティ委員会を設置し、グループ全体の情報資産などを保護・管理する最高セキュリティ責任者としてCSO(Chief Security Officer)を配置しています。さらに、今後の金融事業におけるリスク対応を強化するため、金融リスク委員会を設置し、マネー・ローンダリングへの対応をはじめとした法令・規制・ガイドラインのコンプライアンスや不正利用への対応など、組織全体で効果的なリスク文化を推進するための戦略を講じています。サステナビリティ経営における高リスク分野の管理向上を図るため、各委員会の統括機能として、代表取締役を長とするコンプライアンス推進会議にて、当社グループのリスクを統合的に管理しています。規範・各種方針は、実効性を年1回検証するとともに、研修などを通じてグループ社員へ周知を図っています。今後も毎年、検討および見直し等を行い、時代に合わせたリスクマネジメントを推進していきます。

次世代リーダーの育成

2017年4月より次世代経営者育成プログラム「共創経営塾(CMA)」を開設しています。毎年10人~20人程度を選抜し、社外取締役の監修のもと、次世代の経営を担う人材の発掘と育成をめざします。

 

 

(2)戦略

当社グループは、「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念に基づき、「すべての人が『しあわせ』を感じられるインクルーシブな社会を共に創る」ことをミッションとしています。金融と小売の融合を通じて、経済的な豊かさだけでなく精神的な豊かさとしての「しあわせ」を提供すること、一部の人たちだけでなく、すべての人が「しあわせ」になれる社会の実現をめざします。

2050年を見据えた長期ビジョン「ビジョン2050」の策定に合わせ、当社グループが優先的に取り組むべき社会課題をインパクトとして定義しました。

2025年からは、新たに「経営ビジョン&戦略ストーリー2031」を策定し、「好き」が駆動する経済の実現に向けて、共創を基盤にフィンテックを中心としたイベント・グッズ・サービス・共創投資・事業開発、そして人・組織・働き方などすべてを通じて「好き」を応援するビジネスを推進していきます。

当社グループが取り組むべきことを3テーマ6つのインパクト目標として設定し、「インパクトと利益の二項対立を乗り越える」ビジョンの実現に向けた取り組みを進めることで、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブな社会をめざします

 

 

■ 将来世代の未来を共に創る

「脱炭素社会の実現」や「将来世代の事業創出の応援」により、地球と共存する持続可能な未来を将来世代につなげます。

 

脱炭素社会の実現

<自社排出の削減>

温室効果ガス削減への取り組みとして、2019年9月に策定した新たな温室効果ガス削減の中長期目標は、国際的なイニシアティブである「Science Based Targets(SBT)イニシアティブ」により「1.5℃目標」として認定されました。さらに、2023年8月にSBTネットゼロ認定を取得しました。グループ全体の温室効果ガス削減目標は次のとおりです。

 

2030年までに、2017年3月期比で

・Scope1(※1)+Scope2(※2)を80%削減

・Scope3(※3)を35%削減

 

 

2050年までに2017年3月期比でグループ全体のScope1、2の合計およびScope3を90%削減し、残余分を炭素除去することでネットゼロを達成

 

2025年3月期の実績

・Scope1(9,003トン)+Scope2(22,112トン)合計31,115トン

2017年3月期比 73.7%削減

・Scope3(213,096トン)2017年3月期比 56.5%削減

温室効果ガス排出量原単位(※4)は5.5(前年比82.7%)となりました。

 

2018年7月にRE100に加盟し、2030年までにグループの事業で使用する電力を、すべて再生可能エネルギーにすることとしています。2025年3月期の再生可能エネルギー比率は72.1%となりました。

※1自社の燃料の使用による温室効果ガスの排出量
※2自社の電力等の使用による温室効果ガスの排出量
※3自社のバリューチェーンに関わる温室効果ガスの排出量
※4温室効果ガス排出量(トン)/連結営業利益(百万円)にて算出

<お客さまとの共創による社会排出の削減>

当社グループは、株式会社UPDATER(旧みんな電力株式会社)と共に、「みんなで再エネ」プロジェクトをスタートしました。カード会員に対し、再エネ電力を簡単に申し込めるサービスを提供し、お客さまと共にCO2の社会排出削減に取り組みます。

将来世代の「事業創出」を応援

当社グループはこれまで、社外の起業家と共創投資を通じてイノベーションの創出をめざしてきました。今後はこれに加えて、社内起業家による事業創出に取り組みます。そのために、「会社にいながら社会を変えられるソーシャル・イントラプレナー」という働き方を提唱し、広く発信していきます。中長期的な人材育成を進めるためにソーシャル・イントラプレナー育成財団を設立し、大学生、高校生向けに講座を提供します。将来的には卒業生の入社やプロジェクトへの参加を通じて当社グループの事業開発に活かしていきます。

 

 

 

■ 一人ひとりの「好き」が駆動する経済を創る

一人ひとりの「好き」の応援を通じて、個がエンパワーできる社会の実現を加速させます。

 

「好き」を通じて誰かのため、社会のためへと広がる消費

動物保護団体に寄付できるエポスペットカードをはじめ、作家の創作活動に寄付できるヘラルボニーカード、山岳保全団体に寄付できるYAMAPエポスカード、再生可能エネルギーの生産者に寄付できるみんな電力エポスカードなど、「好き」を応援するカードを通じて応援したい相手に寄付できるカードのラインナップを増やしていきます。「自分のため」の消費が「誰かのため」になり、やがて「社会のため」に広がっていくことで、日本における寄付文化の醸成に貢献し、インパクトと利益の両立をめざします。

「好き」を応援するファイナンシャル・エンパワーメント

当社グループは、これまで家具やファッションなど消費財の割賦販売を通じて若者の自己実現を応援してきましたが、今後は「好き」を応援する金融サービスを通じて、すべての人の自己実現を支援していきます。対象となるのは、全国の約7割に相当する地方に多く見られる一次産業や建築業、サービス業などに従事する人たちや自営業やスタートアップ、フリーランサーといった多様な働き方をする人たち、そして日本で働く多くの外国人たちなどです。これらの人たちの多くは「月給」に代表される定期的・安定的な収入ではなく、不定期で変動的な収入形態を持つため、クレジットカードを持つことができない人々が多数存在します。このような人たちを中心に、「好き」を活かした暮らしと仕事の可能性を開花させるための応援を推進していきます。

 

 

■ 働く人の「フロー」を生み出す社会を創る

社員一人ひとりの働きがいや組織活力を高めるための取り組みを、フロントランナーとして推進していきます。

 

社内外に開かれた共創の場

世界中の優秀な人材を惹きつけ、その活躍を促進するため、ビジネスプロデュース推進室を設置しています。さまざまな雇用形態を通じて、社内外からソーシャル・イントラプレナーを募り、「好き」が駆動する経済に向けた事業開発を進めていきます。

創造性を発揮する人・働き方

当社グループは、能力と挑戦、創造性と幸せ、というビジネスにとって重要な4つの要素を包括的に捉える「フロー」という概念に注目し、社員一人ひとりの働きがいと組織活力を高める取り組みを推進しています。具体的には、「好き」を応援するコンクールなどを通じて、自分の「好き」を仕事に活かす機会を増やし、創造性を発揮できる組織づくりを進めることで、アイデアやナレッジ、ノウハウなどの無形資産を活用したビジネスを拡大し、無形資産比率を70%以上に高めることで、企業価値の向上をめざします。

 

 

(3)リスク管理

当社グループは、サステナビリティに関する課題を把握し評価するため、リスク・機会を特定しています。特定したリスク・機会はサステナビリティ推進体制のもと、戦略策定・個別事業運営の両面で管理しています。グループ会社の役員で構成されるESG委員会で議論された内容は、代表取締役を長とするコンプライアンス推進会議や、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会において定期的に報告し協議を行い、案件に応じて、取締役会への報告・提言を年1回以上行っています。企業戦略に影響する世の中の動向や法制度・規制変更等の外部要因の共有や、グループ各社の施策の進捗状況や今後のリスク・機会等の内部要因を踏まえて、戦略・施策等の検討を実施していきます。

 

 

(4)指標と目標

当社グループは、社会的・環境的なインパクトの創出を通じた持続可能な価値創造をめざし、インパクト測定・評価マネジメントを導入しています。2031年3月期においては、共創を基盤とした以下の3つのテーマ「将来世代の未来を共に創る」「一人ひとりの『好き』を駆動する経済を創る」「働く人の『フロー』を生み出す社会を創る」を掲げ、具体的な取り組みを推進していきます。

早期のインパクトKPIの達成に向け、グループ各社・各部が中期計画を策定し、経営層へ進捗を報告する会議にて、年1回モニタリングを実施しています。さらに、毎期実施するステークホルダーとの対話やビジネスを通じた社会実験を通じて、インパクトを特定し、改善に取り組んでいます

 


 

Ⅱ.気候変動への取り組みとTCFDへの対応

気候変動は、もはや気候危機としてとらえるべきことであり、当社グループは、重要な経営課題のーつと認識し、パリ協定が示す「平均気温上昇を1.5℃に抑えた世界」の実現をめざしています。「丸井グループ環境方針(2022年3月改定)」に基づき、パリ協定の長期目標を踏まえた脱炭素社会へ積極的に対応すべく、ガバナンス体制を強化するとともに、事業への影響分析や気候変動による成長機会の取り込みおよびリスクへの適切な対応への取り組みを推進しています。当社グループはFSB(金融安定理事会)により設立されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同し、有価証券報告書(2019年3月期)にて、提言を踏まえ情報を開示しました。さらに分析を重ね、有価証券報告書(2020年3月期)にて、気候変動による機会および物理的リスク等の内容を拡充しました。今後も情報開示の充実を図るとともに、TCFD提言を当社グループの気候変動対応の適切さを検証するベンチマークとして活用し、サステナビリティ経営を進めていきます。

 

(1)ガバナンス

気候変動に関わる基本方針や重要事項等を検討・審議する組織として、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会を設置しています。また、関連リスクの管理水準の向上を図る機関としてESG委員会を設置し、代表取締役を長とするコンプライアンス推進会議を通じて、当社グループ全体のリスク管理を行っています。事業戦略の策定や投融資等に際しては、こうした体制をもとに「丸井グループ環境方針」や気候変動に係る重要事項を踏まえ総合的に審議し決定することで、気候変動に関するガバナンスの強化を進めていきます。

 

 

(2)戦略

(事業のリスクと機会)

気候変動による世界的な平均気温の4℃上昇が社会に及ぼす影響は甚大であると認識し、気温上昇を1.5℃以下に抑制することをめざす取り組みへの貢献が重要であると考えています。2℃以下シナリオ(1.5℃目標)への対応力を強化すべく、気候関連のリスクと機会がもたらす事業への影響を把握し、戦略の策定を進めています。

当社グループは、フィンテックを中心に、イベント、グッズ、サービス、共創投資、事業開発、 そして人・組織・働き方など、すべてを通じて「好き」を応援するビジネスを推進していきます。気候変動は、台風・豪雨等の水害による店舗・施設等への被害や規制強化にともなう炭素税の導入による費用の増加等のリスクが考えられます。一方、消費者の環境意識の向上に対応した商品・サービスの提供や環境配慮に取り組む企業への投資は当社グループのビジネスの機会であるととらえています。

 

(財務的影響の分析・算定)

事業への財務的影響については、気候変動シナリオ等に基づき分析し2050年までの期間内に想定される利益への影響額として項目別に算定しています。リスクについては、物理的リスクとして、気温上昇が1.5℃以下に抑制されたとしても急性的に台風・豪雨等での水害が発生しうると予測しています。店舗の営業休止による不動産賃貸収入等への影響(約19億円)および建物被害(約30億円)、被災地におけるクレジットカードの貸倒率上昇によるコスト影響(約0.5億円) を算定しています。移行リスクとしては、将来のエネルギー関連費用の増加を予測し、再生可能エネルギーの調達コストの増加(約8億円)および炭素税導入による増税(約22億円)を算定しています。機会については、環境意識が高い消費者へのライフスタイル提案による店舗収益への影響(約19億円)およびカード会員の増加による長期的収益(約26億円)、環境配慮に取り組む企業への投資によるリターン(約9億円)を算定しています。カード会員の再生可能エネルギー電力の利用によりリカーリングが増加しゴールドカード会員化につながることでの長期的収益(約20億円)、業界平均を下回る低貸倒率を維持する独自の与信システムにより、災害時の貸倒償却額を抑制(約0.2億円)、電力小売事業への参入による調達コストの削減(約3億円)および炭素税の非課税(約22億円)を算定しています。今後もさまざまな動向を踏まえ定期的に分析し、評価の見直しと情報開示の充実を進めていきます。

 

(前提要件)

対象期間

2020年~2050年

対象範囲

丸井グループの全事業

算定要件

気候変動シナリオ(IPCC・IEA等)に基づき分析

項目別に対象期間内に想定される利益影響額を算定

リスクは事象が発生した際の影響額で算定

機会は原則、長期的な収益(LTV)で算定

公共事業等のインフラ強化やテクノロジーの進化等は考慮しない

 

 

(気候変動によるリスクおよび機会)

 

世の中の変化

丸井グループのリスク

リスクの内容

利益影響額

台風・豪雨等
による水害
※1

店舗の営業休止

営業休止による不動産賃貸収入等への影響

約19億円

浸水による建物被害(電源設備等の復旧)

約30億円

システムセンター

の停止

システムダウンによるグループ全体の営業活動休止

対応済
※2

貸倒コストへの

影響

被災地におけるクレジットカードの貸倒率上昇

約0.5億円

再エネ需要の

増加

再エネ価格の上昇

再エネ調達によるエネルギーコストの増加

約8億円

(年間)

政府の

環境規制の強化

炭素税の導入

炭素税による増税

約22億円

(年間)

 

 

 

世の中の変化

丸井グループの機会

機会の内容

利益影響額

機会

環境意識の向上・

ライフスタイルの変化

サステナブルな
ライフスタイルの提案

環境配慮に取り組むテナント導入等による収益

約19億円

※3

サステナブル志向の高いカード会員の増加

約26億円
※4

環境配慮に取り組む企業への投資によるリターン

約9億円

一般家庭の再エネ需要
への対応

カード会員の再エネ電力利用による収益

約20億円
※5

台風・豪雨等 による水害

低貸倒率により

抑えられた

貸倒の回避額

独自の与信システムにより業界平均を下回る低貸倒率により、災害時の最終貸倒償却額を少額に抑制

約0.2億円

電力調達の
多様化

電力小売事業への参入

電力の直接仕入れによる中間コストの削減

約3億円

(年間)

政府の

環境規制の強化

炭素税の導入

温室効果ガス排出量ゼロの達成による炭素税非課税

約22億円

(年間)

 

 

※ 1 ハザードマップに基づき影響が最も大きい河川(荒川)の氾濫を想定(流域の2店舗に3カ月の影響)

※ 2 バックアップセンター設置済みのため利益影響は無いと想定

※ 3 不動産賃貸収入の増加およびクレジットカード利用の増加

※ 4 クレジットカードの新規入会や利用による収益を算定

※ 5 リカーリング等でのゴールドカード会員の増加による収益を算定

 

(3)リスク管理

当社グループは、グループの事業が気候変動によって受ける影響を把握し評価するため、シナリオの分析を行い、気候変動リスク・機会を特定しています。特定したリスク・機会はサステナビリティ推進体制のもと、戦略策定・個別事業運営の両面で管理しています。グループ会社の役員で構成されるESG委員会で議論された内容は、代表取締役を長とするコンプライアンス推進会議や、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会において定期的に報告し協議を行い、案件に応じて、取締役会への報告・提言を年1回以上行っています。企業戦略に影響する気候変動を含めた世の中の動向や法制度・規制変更等の外部要因の共有や、グループ各社の施策の進捗状況や今後のリスク・機会等の内部要因を踏まえて、戦略・施策等の検討を実施していきます。

 

(4)指標と目標

温室効果ガスの削減については、グループ全体の温室効果ガス削減目標「2030年までに2017年3月期比Scope1+Scope2を80%削減、Scope3を35%削減(2050年までに2017年3月期比Scope1+Scope2の合計およびScope3を90%削減)」が、2019年9月にSBTイニシアティブにより「1.5℃目標」として認定されています。

2030年までにグループの事業活動で消費する電力の100%(中間目標:2025年までに70%)を再生可能エネルギーから調達することを目標として、2018年7月にRE100に加盟しています。

 

2.会社の考える人的資本経営

当社グループでは「人の成長=企業の成長」という理念のもと、継続的な企業価値向上をめざし、2005年より企業文化の変革に取り組んできました。企業文化の変革に向けて、「企業理念」「対話の文化」「働き方改革」「多様性の推進」「手挙げの文化」「グループ会社間職種変更異動」「パフォーマンスとバリューの二軸評価」「Well-being」等の施策を同時進行で進めてきました。

当社グループの「人的資本経営」のパフォーマンスデータについては、「2025年3月期ESGデータブック」の「社会(Social)」のカテゴリーをご覧ください。

ESGデータブック(https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/databook.html)

 

<企業文化変革のための取り組み>

1)企業理念

当社グループの人的資本経営は「人の成長=企業の成長」という経営理念が根本となっています。この理念について、働く理由や会社に入って成し遂げたいことなどを対話の場を設けて話し合うことで、会社のパーパスと個人のパーパスのすり合わせを行い、10年以上で4,500名以上の社員が参加しました。その結果、理念を共有できない人が退職したことで一時的に退職率は上がりましたが、その後は低水準で定着しており、2025年3月期の退職率(定年退職者を除く)は3.5%となりました。また、入社3年以内の離職率は約17%と世の中の平均を大きく下回る水準で推移しており、会社と個人との「選び選ばれる関係」の基盤が構築されています。

 

2)対話の文化

かつての一方通行から、双方向のコミュニケーションを通じた「対話の文化」が醸成されてきました。「1.安全な場宣言から始める」「2.特に目的を定めない」「3.結論を求めない」「4.傾聴する」「5.人の発言を受けて発言する」「6.人の意見を否定しない」「7.間隔を置いて熟成させる」の7つの目安に沿って、会議やミーティングは必ず対話を交えて行われています。

 

3)働き方改革

働きやすい環境の実現のみならず、仕事の本質を「時間の提供」から「価値の創出」と考える企業文化の転換をめざしています。社員によるプロジェクト活動の結果、2008年3月期には月間11時間だった1人当たり残業時間は、2025年3月期では約5.5時間まで大幅に減少しました

 

4)多様性の推進

2014年から「男女」「年代」「個人」の3つの多様性を掲げ、組織改革を推進しています。「男女」の多様性については、2014年3月期から女性活躍推進のプロジェクトをスタートし、「女性イキイキ指数」という独自のKPIを掲げて取り組みを進めた結果、2025年3月期では男性社員の育休取得率が7年連続で100%を達成し、さらに女性の上位職志向も58%まで向上しました。2022年3月期からは新たに「男性の産休取得」と「男女の性別役割分担の見直し」を目標に掲げ、より本質的な取り組みにも着手しています。

 


 

5)手挙げの文化

10年以上にわたり、社員が自ら手を挙げて参画する「手挙げの文化」づくりを進めてきました。手挙げの文化の目的は、社員一人ひとりの自主性を促し、自律的な組織をつくり、イノベーションを創出する企業になることです。「公認プロジェクト・イニシアティブ」「中期経営推進会議」など、幅広い手挙げの機会を設け、2025年3月期では自ら手を挙げて参画した社員の割合は約9割に達しました。

 

 


 

6)グループ会社間職種変更異動

社員の手挙げに基づいて、当社グループ内のさまざまな事業を跨ぐ「グループ会社間職種変更異動」を2013年から本格的に推進し、2025年3月期までに、全グループ社員の約86%が職種変更を経験しています。2016年実施のアンケートでは、約86%が「異動後に成長を実感した」と回答しており、個人の中の多様性とレジリエンス力が育まれています。今後は、共創投資先を中心に他企業への出向にも拡げ、より変化に強い人材の育成を進めます。

 

 


 

7)パフォーマンスとバリューの二軸評価

人事評価制度においては、業績に基づく評価だけでなく、バリューに関わる上司、同僚、部下からの360度評価を実施することで、「人の成長」という企業理念の実現をめざします。

 

8)Well-being

当社グループでは、一人ひとりがやりがいを持ってイキイキと仕事に取り組める活力のある組織をめざして、2016年からWell-beingに取り組んでいます。CWO(チーフウェルビーイングオフィサー)で取締役上席執行役員の小島玲子氏が中心となり、「幹部向けのレジリエンスプログラム」や社員の手挙げによる「Well-being推進プロジェクト」を通して、組織の中での一人ひとりのしあわせを実現していきます。

 

<企業文化変革を通じた社員エンゲージメントの向上>

当社独自の取り組みを含む8つの施策を通じて、経営のOSである企業文化を新しいOSへと更新してきました。また、これらの施策の結果、社員のエンゲージメントが高まりました。当社が独自に計測しているエンゲージメント指標を2012年と2024年で比較すると、仕事での「期待」は46%から81%へ、職場での「尊重」は28%から69%へ、自分の「強みを活かす」は38%から58%へと、それぞれ大幅に改善しました。

 

 


 

 

 


 

(1)戦略

当社グループは、2019年に策定したビジョン2050で「インパクトと利益の二項対立を乗り越える」というビジョンを掲げています。企業文化の変革によって、このビジョンの実現に向けたイノベーションが創出できるようになりましたが、これらはまだ小さな「芽」にすぎません。インパクトと利益という「双葉」をつけたこれらの「芽」を増やし、成長させることで、大きな樹に育て上げ、たくさんの果実を実らせることで、「社会課題解決企業」へと進化していきます。

 


 

「利益追求」と「社会課題解決」の2つを両立するための高いハードルをクリアするためには、一人ひとりの「創造力」を全開にすることが不可欠であり、そのために「仕事を通じてフロー体験できる」組織づくりに取り組みます。

「フロー」は心理学者のチクセント・ミハイが提唱する概念で、人が能力と挑戦のレベルが釣り合っている時にしばしば体験する、「時を忘れ、我を忘れて」没頭する状態のことを指します。人はフローを体験することで、想像力をフルに発揮することができ、それによって高いハードルを乗り越え、成長することができます。また、フローはその体験自体が「しあわせ」をもたらします。「仕事を通じてフローを体験できる組織」を創ることで、めざす姿の実現と働く一人ひとりのしあわせの両立をめざします。そのために「働き方と組織のイノベーション」と「DXの推進」の2つの取り組みを進めます。

 


 

■ 働き方と組織のイノベーション

働き方と組織のイノベーションでは、プロジェクト型の働き方と組織づくりを促進します。インパクトを実現したいという思いを持った社員が自ら手を挙げ、グループ会社の枠を超えて集まり、プロジェクト的に働くことでイノベーションを進めてきましたが、このような働き方はこれまで例外的でした。今後は、プロジェクト型を例外ではなく、当たり前の働き方として広げていきます。

 


 

ⅰ.公認イニシアティブの拡大

インパクトと利益を両立させ、さまざまなテーマを設定した「公認イニシアティブ」を前年の12テーマのうち、6テーマは活動を終了、6テーマは活動を継続します。今年度は、さらに7テーマ追加し、13テーマに拡大します。各テーマについて自ら手を挙げて集まったメンバーが、社内外の枠を超えてプロジェクト的に活動することでイノベーションを創出します。

 


 

 

ⅱ.課長のいない組織

人と組織の管理を担う課長が、組織の長ではなく、チームのサポーターとして、上から横に回ることで、一人ひとりのメンバーが自立自走するフラットな組織を創り、チームとしての創造力を促します。

 


 

ⅲ.早期管理職登用

人事制度を改定し、「企業価値向上への貢献が期待できる人材」には、「人的資本投資」として早期昇進を後押しすることで、最短で29歳であった管理職への登用を26歳に早めました。さらに2025年4月に人事制度を一部見直し、最短25歳での管理職登用が可能となりました。若手の優秀な人材が早期に活躍できる舞台を用意することで、イノベーションの創出を加速します。

 

 


 

■ DXの推進

DXにおいて、現状とめざす姿のギャップを埋めるためには、デジタルの力を活かすことが欠かせません。デジタルのレバレッジとスピードを活用し、高速に仮説検証を繰り返すことが不可欠です。

 


 

ⅰ.Mutureによる専門人材の採用

2022年4月、UXデザインの先進企業であるグッドパッチ社との合弁会社Mutureを設立し、当社グループのブランドでは採用できなかった高度な専門人材の採用を開始しました。業界でも有数の人材が続々と参画しており、ライフスタイルアプリやOMEMIEの開発に貢献しています。

 

ⅱ.CDXOの招聘

Mutureを通じた専門人材の活躍でプロダクトの開発は大きく進展しましたが、これを全社的に拡げ、継続的に進化させるためには、部門横断で連携の取りにくい縦割型の意思決定プロセスや組織構造を変革する必要性が生じました。そこで、アジャイルな組織開発を推進するため、組織開発に関して高度な知見を持ち、デジタルの専門家と経営者の両方の視点を持つ株式会社グッドパッチ社の土屋尚史氏を2023年6月より執行役員CDXO(チーフデジタルトランスフォーメーションオフィサー)に迎えました。

 

ⅲ.テックカンパニーの設立

アジャイルなプロダクト開発の推進・波及を目的に、2024年9月、新会社マルイユナイト (marui unite) を設立しました。プロダクト開発のテック専門組織としてグループの事業会社と一体となり、新たな体験価値の創出をスピード感をもって実現していくことで、当社グループのDXによる変革を後押ししていきます。

 


 

「人的資本投資」については、これまで人材投資としていた教育・研修費に加え、単年度の損益項目の中で中長期的に企業価値向上につながる項目として、研究開発費に含めていた新規事業に係る人件費や共創チームの人件費、さらにグループ会社間職種変更異動した社員の1年目の人件費などを含めて再定義しています。この再定義による2025年3月期の人的資本投資は88億円です。当社グループでは、人的資本投資を2022年3月期の77億円から、2026年3月期には100億円まで拡大することで、持続的な企業価値の向上をめざします。

 

(2)ガバナンス

経営戦略と人材戦略の連動を図るため、2022年4月から取締役会の諮問機関として、人材戦略委員会を新設しました。委員長にはCHRO(チーフヒューマンリソースオフィサー)で専務執行役員の石井友夫氏が就任し、委員には社外取締役の岡島悦子氏が就任しました。人材戦略委員会は戦略検討委員会と連携し、人材戦略を取締役会に提言する役割を果たします。

 

(3)リスク管理

当社グループの成長は、社員一人ひとりの成長や活躍により実現できると考えています。今後、人材獲得競争の激化や既存社員の流出、それにともなう将来の経営人材の不足等が顕在化した場合、事業の進化や継続性に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、すべての社員が自ら手を挙げてチャレンジできる風土をベースとした、将来の企業価値の源泉となる無形資産としての人的資本投資を重視しています。公募型の教育・研修プログラムはもとより、対話を通じてグループ経営にとって重要なテーマを考える「グループ公認プロジェクト」や一人ひとりが創造性を発揮し、価値を創出することを目的とした「グループ公認イニシアティブ」、経営に革新を起こせる人材を育成する「次世代経営者育成プログラム(共創経営塾:CMA)」の実施、さらにスタートアップ企業への出向など、計画的な人材投資により、さまざまな視点から、成長とやりがいを実感できる環境づくりを進めています。

人材獲得に向けて、新卒採用においては長期インターンシップ等の新たな手法を積極的に活用することで、優秀な学生と早期に接点を設け、当社とのエンゲージメント向上につなげています。中途採用については、フィンテックやEC事業のさらなる拡大に向け、これまで社内育成を行ってきた基幹系システム人材に加え、UI/UXにスピーディに対応すべくWeb系システム人材の採用を推進しています。採用確保に向けては、丸井グループの独自のビジネスモデルや成長戦略を採用市場にて明示するとともに、2022年に立ち上げたUI/UXデザインの先進的企業であるグッドパッチ社との合弁会社Mutureを通じた、UI/UXデザインの専門性を持つ人材の採用を行っています。また、デジタル顧客接点におけるアジャイルなプロダクト開発の推進・波及を目的として2024年9月に立ち上げた新会社マルイユナイトでは、DXによる変革を加速するために、エンジニアリング領域などで活躍するデジタル人材の採用を積極的に進めていきます。

 

(4)指標と目標

更なる企業文化の変革に向け、自ら「社会実験企業」を宣言することで、「失敗を許容し、挑戦を奨励する」文化を育みます。そのために、行動KPIとして、チャレンジに向けた「打席数」や「試行回数」などを設けています。「たくさん実験して、早く失敗することで、成功のためのノウハウを蓄積する」fail fast,fail forwardを奨励し、イノベーションを創出し続ける企業をめざします。

 


 

当社グループの2017年3月期から2021年3月期までの5年間の人的資本投資は320億円です。一方で、同期間に創出された、アニメ事業や家賃保証、共創投資などの新たな事業による限界利益をリターンとみなすと、2017年3月期から2026年3月期までの10年間に生み出される限界利益は560億円です。投資採算、資本効率に関しては、IRRによるリターンを算出する測定モデルを用いており、2026年3月期までを投資回収期間とするとIRRは12.7%となり、株主資本コストを上回る見込みです。この測定モデルをもとに効果検証を継続しながら、企業価値向上につながる人的資本投資をさらに推進していきます。 

 



 

 

人的資本投資のIRR12.7%は、店舗などを中心とした有形投資のハードルレートである10%を上回っています。今後は実効性を高めつつ人的資本投資を5年間で650億円以上に拡大することで、高効率な経営を実現します。

 


 

 

◇人的資本経営に関する指標


 

 


※「女性の上位職志向」の割合は、24年3月期の開示より算出対象を54歳までに変更(過年度も変更済み)

 

3 【事業等のリスク】

 

1.リスク管理体制

当社グループは経営上の重要リスクを管理するために、広報IR委員会、内部統制委員会、ESG委員会、情報セキュリティ委員会、安全管理委員会、インサイダー取引防止委員会、金融リスク委員会を設置し、スピーディな業務の改善と事故の未然防止を図るとともに、各委員会の統括機能として代表取締役を議長とするコンプライアンス推進会議を設置しています。各委員会が管理するリスクの状況や新興リスクについて定期的にコンプライアンス推進会議に報告しています。また、コンプライアンス推進会議で確認した当社グループの重要リスクの特定・見直し・管理状況、新興リスクについて定期的に取締役会に報告しています。

これらの各委員会の設置・開催のほか、執行役員が参加する定期的なミーティングの開催などを通じて密に連携をとり、リスク情報を共有し、スピーディな意思決定と対応策を実施することで、リスク管理の実効性を高めています。

 

各委員会のリスクの管理対象

広報IR委員会:広報・IR活動でのSNSやメディア対応等におけるレピュテーショナルリスク等

内部統制委員会:不正や不祥事等のコンプライアンスリスク、事務リスク等

ESG委員会:気候変動に関するリスク、人権リスク、ガバナンスリスク等

情報セキュリティ委員会:個人情報漏洩リスク、外部からのサイバー攻撃や不正アクセスに関するリスク等

安全管理委員会:地震、風水害、火災、事件・事故、感染症に関するリスク等

インサイダー取引防止委員会:重要事実の漏洩リスクや役職員によるインサイダー取引のリスク等

金融リスク委員会:財務リスク、システム停止リスク、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与に関するリスク等

 

2.主要なリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)事業戦略上のリスク

① 小売・フィンテック環境に関するリスク

・消費動向の変化

・競合の発生、競争の激化

・EC市場の拡大、決済手段の多様化

・関連税制、関連法律の改正

 

(影響)

当社グループは小売とフィンテックを一体運営しており、首都圏を中心とした営業店舗および全国各地の営業拠点で事業を展開しています。景気変動、物価高や金利上昇による経済状況の変化、人口減少等、個人消費の低迷をもたらす市場の変化をはじめ、競合の発生、EC市場の拡大、シェアリングエコノミーの台頭等により、店舗の入店客数や取扱高、クレジットカードの利用額が減少することが予想されます。また、キャッシュレス化の推進にともなう決済手段の多様化などテクノロジーの進化や、人口動態変化による価値観の多様化・消費者行動の変化等により、クレジットカードの市場環境が変動し、競合他社との競争が激化することによって、顧客の減少や手数料収入の減少が予想されます。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。

店舗運営においてはSC・定借化を進め安定的な収益構造を築いてきましたが、テナントの撤退による空室率の上昇や賃料収入の減少のほか、地価の変動による減損損失計上や関連税制の改正による税負担の増加等により、当社グループの売上収益や利益、財務状況が影響を受ける可能性があります。

また、当社グループの総資産のうち大きな構成を占めるカードの営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)については、遅延債権の発生状況や過去の貸倒実績率等に基づき貸倒引当金を計上していますが、経済状況の悪化や関連法律の変更等により支払遅延や未回収債権が増加する恐れがあり、貸倒損失や引当金の急激な増加等により、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。カードキャッシング利息の返還に対しては、これまでの返還実績をもとに将来の返還額を予測し利息返還損失引当金を計上していますが、引当額が将来の返還請求額に対して不十分である場合には追加費用が発生する可能性があります。

(対応策)

マルイ・モディ店舗では、「売ること」を目的としない体験型テナントやスクール、飲食・サービスなどの非物販テナントの導入を進めていきます。また、お客さまがいつご来店されても楽しんでいただける店舗をめざすため、イベントフルな店づくりも進めていきます。2022年に全国のマルイ・モディの出店スペースの検索から契約までをオンラインで完結することができるマルイの出店サービス「OMEMIE(おめみえ)」をスタートさせました。これによりD2Cブランドや個人事業主の方など、これまでマルイに出店のなかった新規テナントの導入に繋げ、イベントのバリエーションを広げていきます。リアル店舗ならではの価値を創出することにより、フィンテックと連動した成長をさらに促進し、収益の拡大を図っていきます。

フィンテックではキャッシュレス化の推進を大きな機会としてとらえ、エポスカードのゴールド・プラチナ会員に加え「好き」を応援するカード会員の拡大や、家賃保証事業をはじめとする家計シェア最大化戦略によるメインカード化を推進することで、競合環境の激化や決済手段の多様化に対応しています。また、収入や世代を問わず、すべての人が必要な時に必要なサービスを受けることができるファイナンシャル・エンパワーメントの実現をめざし、創業から培ってきた与信ノウハウに基づいたデータを活用し初期与信を行うとともに、「信用はお客さまと共につくるもの」という考えのもと途上与信を行っています。ご利用頻度・ご利用額、ご入金実績に基づきご利用限度額を拡大することにより低水準の貸倒率を実現しています。

 

 

② 共創投資に関するリスク

・投資効果の不確実性

・対未上場企業投資における減損のリスク

・投資有価証券の価格変動

 

(影響)

当社グループでは、無形資産への投資を加速している中で、社外からのイノベーション導入を目的に「共創投資」を推進しています。共創投資と新規事業投資を合わせて「未来投資」とし、「小売」「フィンテック」との三位一体のビジネスモデルにより、個々の事業の総和を超えた価値の創出をめざしてきました。現在は、「好き」を応援するビジネスへと転換し、その一つとして「共創投資」を推進しています。

共創投資の実行には、対象企業の財務内容や契約関係等の確認、経営陣との面談を通して詳細な事前審査を行い、十分なリスク検討をしていますが、対象企業における偶発債務の発生や未認識債務の判明等、事前の調査によっても把握できなかった問題が生じた場合や、投資先の今後の事業成績や事業方針の変更、国際紛争や金融危機などによる株式市場の冷え込みなどによっては、期待する成果を得られないことや減損損失計上等の可能性があります。また、当社グループが保有する上場株式については、株式市場の動向により価格変動の影響を受ける可能性があります。

(対応策)

共創投資先の選定時は、投資先より入手した事業計画をもとに当社独自の計画を作成し、ファイナンシャルリターンだけではなく、当社グループとの協業によって発生する協業リターンも含めた収益性を確認したうえで投資判断を行っています。また、「共創投資」においては、当社グループのクレジットカード事業、小売事業、またそれに係る人材等のリソースを、投資先企業のノウハウやスキル等の無形資産と掛け合わせることによって「共創」を実現し、事業計画の達成や企業としての成長に大きく貢献することで投資リスクの低減とリターンの向上に貢献できるものと考えています。さらに、2024年3月期より投資方針の見直しを実施し、初回投資はリスクを抑えるために少額にとどめ、協業の成果として上場の可能性が高まった場合には、ファイナンシャルリターンを目的とした追加投資を行う方針に変更しました。結果として、減損リスクの抑制に繋がっています。

企業価値向上に向けて、戦略上重要な協業および取引関係の維持発展が認められる場合を除き、原則として政策保有株式を保有しない方針です。2016年2月開催の取締役会において、当社が株式を保有する企業とは、すでに一定の取引関係が構築されていることを確認し、資産効率や株価変動リスクの観点から段階的に保有額を削減することとしました。

また、投資判断をする際には、反社会的勢力調査等の外部機関の評価を参照するとともに、起業家の社会課題解決に向けた想いや人間性、当社グループの方針やビジョンとの重なり合い等についてのデューデリジェンスを実施しています。さらに、投資後の事業成長の過程においては、サステナビリティの観点でも株主として定期的なモニタリングを行っています。

 

 

(2)自然災害・感染症等に関するリスク

① 大規模災害に関するリスク

・経済活動の停滞、消費行動の減少

・保有資産の損壊、補修費用の発生

・事業所、システム、社員の被害による事業活動の停止

 

(影響)

当社グループは首都圏を中心とした営業店舗および全国各地の営業拠点で事業を展開しています。各営業拠点のある地域において大規模な地震・風水害などの自然災害、テロ行為等が発生した場合、社会インフラ等の寸断により事業活動の停止を余儀なくされ、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。

(対応策)

社員の安否確認システムの導入、災害対策マニュアルの策定、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む。)、火災・防災・水防訓練、必要物資の備蓄などの対策を講じ、各種災害・事故に備えています。震災等発生時には、グループ震災対策本部を設置し、グループ各社が連携して事業継続が可能な体制を整えています。

 

② 気候変動に関するリスク

・台風・豪雨等による店舗・施設の被害

・規制強化にともなう炭素税等の導入

 

(影響)

台風・豪雨等の水害発生による店舗の被害および炭素税の導入等による費用の増加等、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。

(対応策)

当社グループは気候変動によるリスクへの適切な対応および成長機会の取り込みが重要であると考えています。気候変動への取り組みとTCFDへの対応の詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 1.会社の考えるサステナビリティ Ⅱ.気候変動への取り組みとTCFDへの対応」において記載しています。

 

③ 感染症に関するリスク

・経済活動の停滞、消費行動の減少

・感染症拡大による店舗の営業活動の自粛・停止

・社員の感染による事業活動の停止

 

(影響)

当社グループは首都圏を中心とした営業店舗および全国各地の営業拠点で事業を展開しています。各営業拠点のある地域において感染症が流行した場合や、感染拡大防止策として外出自粛等の措置がとられた場合、店舗の営業休止等、営業活動の制約により、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。また、社員の感染者数増加により事業継続が困難になる可能性があります。

(対応策)

感染症の拡大リスクに対応するため、オフィスでの勤務を主としている社員については可能な限りテレワークを活用し、コールセンターや物流センターなど出社が不可欠な部門においては、交替制での運営や事務所の分散化、飛沫感染防止の徹底等の対応ができる体制を整えています。また、各営業拠点において、アルコール消毒液の設置やマスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保等、状況に応じてお客さま・社員の感染予防対策を行っています。

 

(3)企業運営に関するリスク

① 資金調達に関するリスク

・資金調達の制約

・調達金利の上昇

 

(影響)

当社グループでは、ショッピングクレジットの取扱高の伸長や家賃保証をはじめとしたサービス事業の拡大など、フィンテックの成長が見込まれる中で、営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)の増加により、資金需要が拡大していくと予想しています。したがって、これまでに調達した資金の返済・償還への対応に加えて新たな資金が必要となるため、今後徐々に調達額が拡大し、資金調達に関するリスクが高まると考えています。

金融市場に混乱が発生した場合には資金調達に制約を受ける可能性があります。また、当社グループの業績が著しく悪化したり信用力が急激に低下した場合には、金融機関からの借入が困難となり社債発行にも支障をきたすなどの状況が想定されます。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの資金繰りに重大な影響が生じる可能性があります。

また、調達金利は市場環境その他の要因により変動するため、その動向によっては調達コストが大きく上昇する可能性があり、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。

(対応策)

当社グループは、負債増加によるリスクを抑制するため、有利子負債は営業債権の9割程度を維持することとしています。

営業活動に必要な資金の調達については、金融機関からの借入などの間接調達、社債やコマーシャル・ペーパーの発行などの直接調達のほか、営業債権の流動化に取り組むことで調達手段の多様化を進めるとともに、各調達メニューのバランスをとることで安全性の確保を図っています。

毎年の返済・償還については、その借換時のリスクに対応するため調達年限をコントロールすることにより返済・償還額の平準化を図っています。また、金融機関とのコミットメントライン契約の締結や当座貸越枠の設定などにより流動性を確保し、資金調達の制約を受けた場合においても確実に調達ができる体制を整えています。

調達資金の金利については、固定金利の構成を一定割合に保つことにより、市場金利の変動による調達コストの急激な増加を抑制するとともに、格付の向上をめざすことで調達コストの増加抑制に取り組みます。

 

② 情報セキュリティに関するリスク

・事故・欠陥等によるシステム障害

・外部からのサイバー攻撃、不正アクセス、ウイルス感染

・個人情報の漏洩

 

(影響)

i. システム関連

当社グループでは、コンピューターシステムおよび通信ネットワークを多岐にわたり使用しており、ハードウェアやソフトウェアの欠陥等によるシステムエラーやネットワーク障害、外部からのサイバー攻撃や不正アクセス等によるシステム遅延・サービス停止やウェブサイトの改ざん等が引き起こされた場合、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。また、生成AIをはじめとする近年の技術革新による新たな攻撃の発生や巧妙な手口での不正利用が増大した場合にも、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。

 

ⅱ. 個人情報関連

当社グループでは、エポスカードの会員情報をはじめとする多数のお客さまやステークホルダーの皆さまの個人情報を保有しており、万が一、情報の漏洩や不正利用等の事態が生じた場合においては、当社グループの社会的な信用の失墜や損害賠償責任が発生するリスクが考えられ、その際は当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃やハッキング技術等の高度化、AIや量子技術活用による暗号解読等により情報漏洩が生じる可能性があり、その際にも当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(対応策)

i. システム関連

当社グループでは、コンピューターシステムの冗長化や、システムの定期的なリプレイス、修正プログラムの適用、コンピューターウイルスや不正侵入の防御など、安定的に稼働できるよう対策を講じるとともに、外部コンサルティングによるリスクアセスメントや定期的な脆弱性検査の実施など、より一層の情報セキュリティ強化に取り組んでいます。また、クラウドサービスなど他社のサービス活用時には、事前のセキュリティチェックを実施するなど、安全性を確認しています。

ⅱ. 個人情報関連

当社グループが保有するお客さま情報をはじめとした情報資産を、不正アクセスやサイバー攻撃などのさまざまな脅威から保護し、グループ全体の情報セキュリティを強化していくことが、経営上の最重要課題と認識し、「グループ情報セキュリティ方針」を定めるとともに、「グループプライバシーポリシー」を設定し、お預かりしたすべての個人情報の適切な管理・保護に努めています。

具体的には、個人情報保護法をはじめとした法令や関連する指針・規範等に基づいて、個人情報に関する安全管理措置を講ずるとともに、特に多数の個人情報を取扱う当社グループ各社においては「プライバシーマーク」の取得を行い、適切な個人情報の取扱いを実践しています。

 

③ 人材に関するリスク

・経営人材の不足

・人材獲得競争の激化

 

(影響)

当社グループの成長は、社員一人ひとりの成長や活躍により実現できると考えています。今後、少子高齢化・生産年齢人口の減少により、事業存続に必要な専門人材をはじめとする人材獲得競争の激化や既存社員の流出、それにともなう将来の経営人材の不足等が顕在化した場合、事業の進化や継続性に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、すべての社員が自ら手を挙げてチャレンジできる風土をベースとした、将来の企業価値の源泉となる無形資産としての人的資本投資を重視しています。公募型の教育・研修プログラムはもとより、対話を通じてグループ経営にとって重要なテーマを考える「グループ公認プロジェクト」や一人ひとりが創造性を発揮し、価値を創出することを目的とした「グループ公認イニシアティブ」、経営に革新を起こせる人材を育成する「次世代経営者育成プログラム(共創経営塾:CMA)」の実施、さらにスタートアップ企業への出向など、計画的な人材投資により、さまざまな視点から、成長とやりがいを実感できる環境づくりを進めています。

人材獲得に向けて、新卒採用においては長期インターンシップ等の新たな手法を積極的に活用することで、優秀な学生と早期に接点を設け、当社とのエンゲージメント向上につなげています。中途採用については、フィンテックやEC事業のさらなる拡大に向け、これまで社内育成を行ってきた基幹系システム人材に加え、UI/UXにスピーディに対応すべくWeb系システム人材の採用を推進しています。採用確保に向けては、丸井グループの独自のビジネスモデルや成長戦略を採用市場にて明示するとともに、2024年に立ち上げた株式会社マルイユナイトを通じてエンジニアリング領域などで活躍するデジタル人材の採用を積極的に進めていきます。同時にデジタル人材の方の働きやすさと働きがいの両立を図ります。

 

3.グループ行動規範・各種方針

当社グループがめざすのは、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブな社会を実現することです。その実現に向けては、社員をはじめ、お客さま、株主・投資家、地域・社会、お取引先さま、将来世代の皆さまとの共創が不可欠です。当社グループは、ステークホルダーの皆さまを、未来の「しあわせ」を共に創るパートナーと捉えています。

私たちがめざす「しあわせ」は、これらすべてのステークホルダーとの共創を通じて、初めて実現できるものです。この考えのもと、関係法令、国際ルールおよびその精神を順守し、丸井グループの行動指針として「グループ行動規範」を定め実行します。

「グループ行動規範」は、グループの全役員および全社員に適用されます。「グループ行動規範」に反する行為や、違法や不正などの不適切行為を早期に発見し、問題を解決するために内部通報制度を設置しています。「グループ行動規範」は取締役会で適宜レビューをおこない、十分に議論した上で改廃を決定します。「グループ行動規範」に反する重大な事態が発生したときには、原因究明と再発防止に努めます。

また、情報資産のセキュリティを確保するための体制・対応方針を含めた「丸井グループ情報セキュリティ方針」、税法の順守、税務リスクの最小化に向けた取り組みなどを明記した「丸井グループ税務方針」、および権力や立場を利用した不正や非倫理的な行為などのあらゆる腐敗行為のない誠実な企業活動を実行していくための「丸井グループ腐敗行為防止方針」、犯罪による収益の移転防止に関する法律ならびにこれに関連する政省令および各監督官庁によるガイドライン類に従い、「丸井グループ マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止のための基本方針」を制定しています。規範・各種方針は実効性を年1回検証するとともに、研修等を通じてグループ社員へ周知を図っています。


 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

(連結業績)

EPSは143.2円(前年比+10%、前年差+12.5円)、利益の増加により前年を上回り、過去最高となりました。ROEは10.6%(前年差+0.7%)と株主資本コスト(6.7%)を上回り、34年ぶりに10%を超えました。ROICは3.8%(前年差+0.2%)と資本コスト(WACC 3.0%)を上回りました。

 


 

※ 企業会計基準第29号(収益認識に関する会計基準)等適用後の数値を記載しています。

 

 

グループ総取扱高は4兆9,269億円(前年比+10%、前年差+4,397億円)、フィンテックのカードクレジット取扱高が全体をけん引したことにより、過去最高となりました。

売上収益は2,544億円(前年比+8%)、営業利益は445億円(前年比+9%)、経常利益は399億円(前年比+3%)、当期利益は266億円(前年比+8%)と4期連続の増収増益となりました。

 

※「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」において、億円単位で記載している金額は億円未満を四捨五入しています。

 


※ 企業会計基準第29号(収益認識に関する会計基準)等適用後の数値を記載しています。

 

営業利益増減の内訳

債権流動化による債権譲渡益(80億円)が前年に比べ6億円増加し、償却額・費用等(80億円)が7億円増加したため、営業利益は1億円減少しました。

上記の債権流動化影響を除いた実質的な営業利益は36億円の増益(小売+16億円、フィンテック+18億円)となりました。

 

□ 営業利益増減の内訳

 


 

(セグメント別の状況)

小売セグメントの営業利益は前年を16億円上回る86億円(前年比+24%)、ROICは3.1%(前年差+0.5%)となりました。

フィンテックセグメントの営業利益は前年を17億円上回る441億円(前年比+4%)、ROICは4.8%(前年差△0.1%)となりました。

 

□ セグメント別の売上収益・営業利益


 

※ 企業会計基準第29号(収益認識に関する会計基準)等適用後の数値を記載しています。

 

<小売セグメント>

・マルイ・モディ店舗においては、リアル店舗ならではの価値創出をめざして、「売ること」を目的としない体験型テナントやスクール、飲食・サービスなどの導入を進めており、当期の非物販テナントの面積構成は65%(前年差+4%)となり、カテゴリー転換が着実に進みました。新たなテナントの導入により店舗の未稼働区画の面積は減少し、施設のバリューアップが進んだことから、営業利益は4期連続の増益となりました。

 

□ 非物販テナント構成の推移


・お客さまがいつご来店されても楽しんでいただける店舗をめざし、イベントフルな店づくりを進めています。中でも、2022年からスタートしたマルイの出店サービス「OMEMIE(おめみえ)」は、全国のマルイ・モディの出店スペースの検索から契約までをオンラインで完結することができるサービスで、D2Cブランドや個人事業主の方などに幅広くご活用いただいており、これまでマルイに出店のなかった新規テナントの導入につながっています。その結果、新たなテナントが提供するサービスの体験会やワークショップなど、イベントのバリエーションが広がっています。

ECの取扱高は、WEB専門人材を活用し、オンラインビジネス本来の取組みを進めることで、25年3月期の取扱高は過去最高の243億円となりました。

 

ECの取扱高の推移

 


 

 

<フィンテックセグメント>

・戦略的に進めている「家計シェア最大化」の取り組みにより家賃払いやECでのご利用、公共料金などの定期払いが伸長したことで、第4四半期のカードクレジット取扱高は1兆1,517億円(前年比+10%)、通期では4兆5,305億円(前年比+10%)とそれぞれ過去最高となりました。

 

□ カードクレジット取引高の推移

 

 


 

分割・リボ取扱高は4,321億円(前年比+10%)と拡大し、流動化債権を含む分割・リボ払い残高は過去最高の4,693億円(前年比+8%)となりました。

エポスカードの新規会員数は82万人(前年差+1万人)、期末会員数は過去最高の790万人(前年差+31万人)となりました。

・これまで事業の成長をけん引してきたゴールドカードに加えて、一人ひとりの「好き」を応援するカードの取り組みを強化しています。「好き」を応援するカードは、一般カードに比べて若者の保有比率が高く、LTV(生涯利益)が2~7倍高いカードとなっています。アニメ・ゲームやエンターテインメントとコラボレーションしたカードは、熱量の高いファンが多く、SNSなどを通じて認知が広まりやすい特性もあり、ネット入会との親和性が高いことが特徴です。この「好き」を応援するカードは、フィンテックだけでなく、小売や共創投資に携わる社員からも提案が生まれており、企画数は全115企画に拡大しています。店舗では「好き」を応援するカードと連動したイベントなど、リアルでの体験の場を提供したり、ECではコラボグッズを開発・販売するなど、カード・店舗・ECを持つ当社グループならではの取り組みを行うことで、独自の体験価値を提供しています。これらの取り組みにより、「好き」を応援するカードの新規会員数は34万人、期末会員数は111万人(前年差+21万人)となりました。今後もグループ一体となって取り組みを強化することで、ロイヤリティの高い会員を拡大し、取扱高や新規入会数のさらなる拡大につなげていきます。

 

□ 新規入会の推移

 


 

□ カード会員数の推移

 


 

(LTVの安定性を表す指標)

当社グループの収益構造はこれまでのビジネスモデルの転換にともない、店舗の不動産賃貸収入やカード手数料をはじめとする「リカーリングレベニュー(継続的収入)」が拡大し、売上・利益に占める構成が大きくなりました。お客さま・お取引先さまとの契約に基づく継続的収入であるリカーリングレベニューからは、翌期以降の将来収益を「成約済み繰延収益」としてとらえることが可能であり、収益の安定性を測る指標として使用できます。これらは、LTVを重視した当社グループの長期視点の経営において重要な要素であると考えています。

 

当期のリカーリングレベニュー(売上総利益ベース)は1,515億円(前年比+8%)となり、売上総利益に占める割合は66.8%(前年差△0.2%)となりました。

・当期末の成約済み繰延収益は3,984億円(前年比+5%)となり、当期の売上総利益の約1.8倍の将来収益が見込まれています。なお、成約済み繰延収益の算出は、不動産賃貸収入は契約残年数、分割・リボ手数料やカードキャッシング利息は返済期間、加盟店手数料(リカーリング分)はカード有効期間、家賃保証は保証期間をもとに行っています。

 

 

 

□ LTV経営の指標

 


(注)売上総利益ベースのリカーリングレベニュー、およびその構成を算出する際の売上総利益には、販管費戻り(お取引先さまから継続的にいただく経費)を含めています。

 

(財政状態)

営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)は、カードクレジット取扱高の拡大などにより6,298億円(前年差+396億円)となりました。総資産は1兆534億円(前年差+499億円)となりました。

・有利子負債(リース債務を除く)は6,365億円(前年差+421億円)となりました。

・自己株式の取得や配当金の支払などにより、自己資本は2,461億円(前年差△71億円)となり、自己資本比率は23.4%(前年差△1.8%)となりました。

 

□ バランスシートの状況

 


 

(キャッシュ・フローの状況)

・営業キャッシュ・フローは、45億円の支出(前期は380億円の収入)となりました。営業キャッシュ・フローから営業債権等の増減を除いた基礎営業キャッシュ・フローは、税引前利益の増加などにより、前期より106億円増加し、497億円の収入となりました。

・投資キャッシュ・フローは、有形および無形固定資産の取得131億円、投資有価証券の取得68億円などにより137億円の支出(前期は183億円の支出)となりました。

・財務キャッシュ・フローは、有利子負債の増加による420億円の収入や自己株式の取得による支出185億円、配当金の支払195億円などにより28億円の収入(前期は79億円の支出)となりました。

 

 

□ キャッシュ・フローの状況

 


 

(注) 当社グループでは営業キャッシュ・フローから営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)等の増減を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」を収益性・健全性の指標としています。

 

(生産、受注及び販売の状況)

① 生産の状況

連結財務諸表提出会社および関係会社において、該当事項はありません。

 

② 受注の状況

小売およびフィンテックの一部において受注による営業を行っており、当連結会計年度の受注額は14,911百万円(前年同期比131.9%)、当連結会計年度末の受注残高は7,984百万円(同175.1%)です。

 

③ 販売の状況

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年比(%)

小売

 

 

定期借家テナント収入等

44,546

107.7

商品売上高

1,901

117.3

受託販売手数料(純額)

5,752

104.3

消化仕入売上高(純額)

3,984

89.1

関連事業収入

19,365

112.3

小売計

75,550

107.6

フィンテック

178,841

108.4

合計

254,392

108.1

 

(注) 1 上記の金額は、外部顧客に対する売上収益を示しています。

2 小売の販売実績は、2016年3月期より「消化仕入売上高」、2021年3月期より「受託販売売上高」の利益相当額を売上収益に計上する方法に変更しています。従来基準(2015年3月期以前)での売上収益に付随する販売実績(取扱高)は、324,401百万円(前年比108.7%)です。

 

④ 仕入の状況

当連結会計年度における商品仕入実績は次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年比(%)

小売

1,492

116.9

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

② 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況の分析

「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。

資本の財源および資金の流動性については「3 事業等のリスク」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」に記載しています。

 

■ 非財務情報と財務情報のコネクティビティ

当社グループは、企業価値向上のため、ステークホルダーとの建設的な対話に資すると考えられる有益な情報については、財務情報・非財務情報にかかわらず、積極的に開示を行うことをポリシーとしています。有価証券報告書においては、リカーリングレベニュー(継続的収入)といった当社グループが経営上重要と考えているLTV(生涯利益)に関する指標やサステナビリティなどの非財務情報を開示しています。

これらの非財務情報は、当社グループの企業価値の向上や毀損等をステークホルダーが評価するために有益な情報であり、非財務情報の基礎となるデータおよび仮定は連結財務諸表をはじめとした財務情報の作成において、関連する会計上の見積り等に影響を及ぼすため、当社グループは上記の情報間のコネクティビティを重視しています。

具体的には、非財務情報の基礎データおよび仮定については、関連する財務情報の基礎データおよび仮定と同一のものを用いることで、非財務情報と監査証明の対象である財務情報のコネクティビティを確保しています。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

第3 【設備の状況】

 

1 【設備投資等の概要】

当連結会計年度の設備投資は、店舗の売場改装やシステム投資など総額14,537百万円を実施しました。

なお、セグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

小売

11,264

フィンテック

5,981

調整額

2,709

合計

14,537

 

(注) 上記の金額には、有形固定資産のほか、無形固定資産を含んでいます。

 

2 【主要な設備の状況】

主要な設備は、次のとおりです。

(1) 提出会社

2025年3月31日現在

事業所名
(所在地)

セグメント
の名称

設備の内容

帳簿価額(百万円)

従業員数
(名)

建物及び構築物

土地
(面積㎡)

リース
資産

その他

合計

本社
(東京都中野区)

事務所

14

(―)

220

235

270

[28]

 

(注) 1  帳簿価額の内「その他」には、有形固定資産のほか、無形固定資産を含んでいます。

2  従業員数は就業人員であり、従業員数欄の[外書]は、臨時従業員の期中平均雇用者数(月間所定労働時間を基準に算出)です。

 

(2) 国内子会社

2025年3月31日現在

主な
子会社

事業所名
(所在地)

セグメント
の名称

設備の内容

帳簿価額(百万円)

従業員数
(名)

建物及び構築物

土地
(面積㎡)

リース
資産

その他

合計

㈱丸井

丸井グループ本社
(東京都中野区)

小売

事務所

2,838

6,199

(4,278)

1,766

10,805

404

[55]

中野マルイ
(東京都中野区)

小売

店舗等

(オフィ
ス含む)

4,272

219

(3,207)

115

4,608

11

[5]

新宿マルイ
(東京都新宿区)

小売

店舗等

4,140

5,735

(1,861)

4,028

13,903

32

[22]

渋谷店
(東京都渋谷区)

小売

店舗等

1,716

5,136

(1,311)

126

6,980

13

[5]

吉祥寺マルイ
(東京都武蔵野市)

小売

店舗等

965

(―)

374

1,339

2

[7]

柏店
(千葉県柏市)

小売

店舗等

727

4,500

(1,567)

713

5,940

8

[3]

町田店
(東京都町田市)

小売

店舗等

2,968

4,513

(2,182)

303

7,785

10

[4]

大宮マルイ
(埼玉県さいたま市)

小売

店舗等

808

(―)

1,164

1,972

8

[6]

錦糸町マルイ
(東京都墨田区)

小売

店舗等

1,423

6,780

(6,059)

55

8,260

16

[4]

 

 

主な
子会社

事業所名
(所在地)

セグメント
の名称

設備の内容

帳簿価額(百万円)

従業員数
(名)

建物及び構築物

土地
(面積㎡)

リース
資産

その他

合計

㈱丸井

上野マルイ
(東京都台東区)

小売

店舗等

1,327

(―)

546

1,874

19

[8]

国分寺マルイ
(東京都国分寺市)

小売

店舗等

490

(―)

2,339

2,829

11

[14]

草加マルイ
(埼玉県草加市)

小売

店舗等

824

2,480

(4,010)

26

3,330

8

[6]

マルイシティ横浜
(神奈川県横浜市)

小売

店舗等

(―)

6,648

6,648

20

[7]

マルイファミリー溝口
(神奈川県川崎市)

小売

店舗等

3,211

10,856

(4,053)

1,572

15,640

28

[10]

マルイファミリー志木
(埼玉県志木市)

小売

店舗等

1,716

1,747

(3,603)

590

4,055

12

[9]

マルイファミリー
海老名
(神奈川県海老名市)

小売

店舗等

1,530

(―)

790

2,320

17

[10]

神戸マルイ
(兵庫県神戸市)

小売

店舗等

298

(―)

482

761

1,542

10

[2]

北千住マルイ
(東京都足立区)

小売

店舗等

4,404

8,653

(4,892)

1,108

14,166

28

[12]

なんばマルイ
(大阪府大阪市)

小売

店舗等

1,099

(―)

1,093

2,193

12

[5]

有楽町マルイ
(東京都千代田区)

小売

店舗等

3,895

22,328

(2,912)

681

26,906

45

[6]

博多マルイ
(福岡県福岡市)

小売

店舗等

1,815

(―)

973

2,789

11

[3]

戸塚モディ
(神奈川県横浜市)

小売

店舗等

1,134

1,916

(1,283)

298

3,349

6

[6]

静岡モディ
(静岡県静岡市)

小売

店舗等

777

2,485

(1,504)

16

3,279

1

[-]

戸田商品センター
(埼玉県戸田市)

小売

配送センター

967

1,407

(22,415)

23

2,398

1

[-]

㈱エポス
カード

本社等
(東京都中野区他)

フィンテック

店舗、
事務所等

741

550

(586)

6

6,009

7,307

1,542

[709]

㈱エイム
クリエイ

本社等
(東京都中野区他)

小売

事務所等

84

49

(208)

130

264

239

[45]

㈱ムービ
ング

商品センター等
(埼玉県戸田市)

小売

事務所、
営業所等

1,009

1,251

(6,693)

1,238

3,499

231

[260]

㈱エムア
ンドシー
システム

システムセンター等
(埼玉県戸田市他)

小売/フィンテック

事務所等

922

1,100

(3,145)

579

5,353

7,956

217

[13]

㈱マルイファシリティーズ

太陽光発電所等
(栃木県下都賀郡他)

小売

事務所、
太陽光
発電等

11

235

(75,935)

1,545

1,793

406

[130]

㈱マルイ
ホーム
サービス

賃貸マンション等
(東京都武蔵野市他)

フィンテック

事務所、
賃貸用
住宅等

2,390

2,362

(3,973)

120

4,873

69

[13]

 

(注) 1  帳簿価額の内「その他」には、有形固定資産のほか、無形固定資産および差入保証金を含んでいます。

2  従業員数は就業人員であり、従業員数欄の[外書]は、臨時従業員の期中平均雇用者数(月間所定労働時間を基準に算出)です。

3  上記の店舗等のうち、連結会社以外からの建物の賃借面積は377,521㎡です。

 

3 【設備の新設、除却等の計画】

(1) 重要な設備の新設等

当連結会計年度末現在における設備計画の主なものは次のとおりです。

会社名

事業所名
(所在地)

セグメント
の名称

設備の内容

投資予定額

資金調達方法

着工年月

完成予定
年月

売上
予定額
(年間)

総額
(百万円)

既支払額
(百万円)

㈱丸井

渋谷マルイ(仮称)
(東京都渋谷区)

小売

店舗(改装)

10,500

  3,291

自己資金等

2023年
10月

2026年中

未定

㈱丸井

各店装工事

小売

店舗内装

3,000

-

自己資金等

2025年

4月

2026年

3月

-

 

(注) 設備計画のうち取得完了もしくは完成したものは、順次固定資産勘定への振替を行っています。

 

(2) 重要な設備の除却等

該当事項はありません。